JP2005254714A - インクジェット画像形成方法 - Google Patents

インクジェット画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005254714A
JP2005254714A JP2004072142A JP2004072142A JP2005254714A JP 2005254714 A JP2005254714 A JP 2005254714A JP 2004072142 A JP2004072142 A JP 2004072142A JP 2004072142 A JP2004072142 A JP 2004072142A JP 2005254714 A JP2005254714 A JP 2005254714A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
ink
layer
recording medium
zinc oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004072142A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Kaga
誠 加賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2004072142A priority Critical patent/JP2005254714A/ja
Publication of JP2005254714A publication Critical patent/JP2005254714A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】 本発明の目的は、オゾンガス耐性、耐光性、耐候性に優れ、かつインク吸収性が改良されたインクジェット画像形成方法を提供する。
【解決手段】 非吸収性支持体上に、少なくとも1層のインク吸収層を有し、該非吸収性支持体から最も離れた位置にあるインク吸収層が、酸化亜鉛、ルチル型酸化チタン及び酸化亜鉛とルチル型酸化チタンの混合物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含有するインクジェット記録媒体に、少なくとも水溶性染料と水分散性ポリマー微粒子とを含有する水溶性染料インクを用いて記録することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規のインクジェット画像形成方法に関する。
近年、インクジェット記録方式は、急速に画質向上が図られており、銀塩写真画質に迫りつつある。しかしながら、インク吸収性向上のための無機顔料微粒子を主体とする多孔質メディアのうち、コストメリットの高いシリカを用いたインクジェット記録媒体は、表面光沢が低く、銀塩写真にはまだ及ばない。またオゾンガス等による色材の分解に起因する画像保存性低下(以下、オゾンガス耐性という)が大きく、様々な技術が開示されているが、未だ銀塩写真のそれに及ばないのが実状である。
オゾンガス耐性を改良する技術としては、例えば、染料インクプリントの画像保存性を改良する手段として、インク中に水分散性ポリマー微粒子を添加することで、インクを記録媒体表面に着弾後、ポリマー微粒子により画像表面を被覆し、オゾンガス等の侵入を防止することで画像保存性が向上する技術がある(例えば、特許文献1〜5参照。)。しかしながら、これらの技術について詳細に検討したところ、同じ色、同じ濃度部分でもポリマー微粒子の被覆状態が微視的には異なることから、褪色防止効果にばらつきが見られ、また耐候性あるいは耐光性に対しては、その改良効果が充分とは言えないのが現状である。また、インクジェット記録媒体表面に付与されたポリマー微粒子がプリントの長期保存によって部分的に脱離し、褪色ムラを更に促進することになった。また、水分散性ポリマー微粒子を含有する染料インクによるプリントは、長期の保存により、プリント表面に亀裂が発生し、画質を著しく低下させる現象(以下、耐候性ともいう)がみられる。
一方、染料インクを用いた際の耐光性を改良する方法として、例えば、有機系の紫外線吸収剤をインク吸収層中に添加する方法が知られているが、確かに耐光性の向上は見られるが、長期保存中にこれら紫外線吸収剤が分解し、変色あるいはインクジェット記録媒体表面への滲みだしを起こしやすく、その効果の持続性に問題を抱えている。また、インク吸収層中に酸化亜鉛あるいは酸化チタン等の金属化合物を含有させて、耐光性を改良したインクジェット記録媒体が開示されている(例えば、特許文献1、6〜9参照。)。しかしながら、上記開示されている方法では、オゾンガス耐性に対する改良効果に乏しいため、耐光性とオゾンガス耐性とを両立できる技術が見出されていないのが現状である。
特開2001−187582号公報 特開2002−264490号公報 特開2002−285049号公報 特開2002−194523号公報 特開2002−240413号公報 特開平11−61692号公報 特開平11−321090号公報 特開2001−88429号公報 特開2003−25192号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、オゾンガス耐性、耐光性、耐候性に優れ、かつインク吸収性が改良されたインクジェット画像形成方法を提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
非吸収性支持体上に、少なくとも1層のインク吸収層を有し、該非吸収性支持体から最も離れた位置にあるインク吸収層が、酸化亜鉛、ルチル型酸化チタン及び酸化亜鉛とルチル型酸化チタンの混合物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含有するインクジェット記録媒体に、少なくとも水溶性染料と水分散性ポリマー微粒子とを含有する水溶性染料インクを用いて記録することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
(請求項2)
前記酸化亜鉛とルチル型酸化チタンのそれぞれの平均一次粒径が、10nm以上、100nm以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット画像形成方法。
(請求項3)
前記酸化亜鉛またはルチル型酸化チタンを含有するインク吸収層が水溶性バインダーを含有し、該水溶性バインダーの固形分質量(B)に対する該酸化亜鉛またはルチル型酸化チタンの固形分質量(F)の比(F/B)が、3以上、30以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット画像形成方法。
(請求項4)
前記水溶性染料インクが含有する前記水分散性ポリマー微粒子の平均粒径が、10nm以上、200nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
本発明によれば、オゾンガス耐性、耐光性、耐候性に優れ、かつインク吸収性が改良されたインクジェット画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、非吸収性支持体上に、少なくとも1層のインク吸収層を有し、該非吸収性支持体から最も離れた位置にあるインク吸収層が、酸化亜鉛、ルチル型酸化チタン及び酸化亜鉛とルチル型酸化チタンの混合物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含有するインクジェット記録媒体に、少なくとも水溶性染料と水分散性ポリマー微粒子とを含有する水溶性染料インクを用いて記録するインクジェット画像形成方法により、オゾンガス耐性、耐光性、耐候性の両立を果たし、かつインク吸収性が改良された画像が得られるインクジェット画像形成方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明に係るインクジェット記録媒体について説明する。
本発明に係るインクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)では、非吸収性支持体上に、少なくとも1層のインク吸収層を有し、該非吸収性支持体から最も離れた位置にあるインク吸収層(以下、表面層ともいう)が、酸化亜鉛、ルチル型酸化チタン及び酸化亜鉛とルチル型酸化チタンの混合物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含有することを特徴とする。
表面層に用いられる酸化亜鉛またはルチル型酸化チタンは、市販品から容易に入手することができ、酸化亜鉛としては、例えば、三井金属社製の1号亜鉛華(平均粒径170nm)、エレメンティスジャパン社製のEA−2695(平均粒径60nm)、堺化学工業社製のFINEX−50(平均粒径20nm)、同75(平均粒径10nm)等を挙げることができる。また、ルチル型酸化チタンとしては、例えば、テイカ社製のJR−405(平均粒径210nm)、MT600B(平均粒径50nm)、MT150W(平均粒径15nm)等を挙げることができる。
本発明においては、酸化亜鉛またはルチル型酸化チタンの平均一次粒径としては10〜100nmであることが好ましい。平均一次粒径がこの範囲内にあれば特に制約はないが、10〜80nmの範囲が特に好ましい、10nm以上とすることで表面のインクが通る隙間が大きくなるので、インク吸収が向上し、インク溢れを防止することができる。また、100nm以下であれば、表面粗さが小さくなるので、光沢を向上させることができる。
また、酸化亜鉛とルチル型酸化チタンを混合物の形態で用いる場合には、その混合比としては特に制限はなく、10:90〜90:10の範囲で用いることができる。
表面層で用いる水溶性バインダーとしては、従来公知の親水性樹脂が用いられる。公知の親水性樹脂としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、水溶性ポリビニルブチラール等を挙げることができる。
水溶性バインダーの添加量は、表面層の酸化物を脱着させない量ならば制限はないが、水溶性バインダーの固形分質量(B)に対する該酸化亜鉛またはルチル型酸化チタンの固形分質量(F)の比(F/B)が、3以上、30以下であることが好ましい。F/Bが3以上であれば、表面層の結合が強固になり、スリ傷耐性が更に向上する。また、F/Bが30以下であれば、インク吸収性が高まり、インク溢れを一層防止することができる。
表面層を形成する塗布液中には、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性ポリマー、架橋剤、界面活性剤(カチオン、ノニオン、アニオン、両性)、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機溶媒、高沸点有機溶媒、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、マット剤、シリコンオイル等が挙げられるが、中でもカチオン性ポリマーは、印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。
カチオン性ポリマーとしては、第1〜3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いこと等から、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。
好ましいカチオン性ポリマーは、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン重縮合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合体、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシ)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物等が挙げられる。
表面層の膜厚は特に限定する必要がないが、塗膜形成の観点から、0.01〜100μmが好ましい。この範囲では、塗布故障等を起こさずに均一な塗膜を得ることができる。更に好ましくは、光の干渉縞を防ぐ観点から0.01〜0.3μmまたは1.2〜100μmであり、更に好ましくは0.02〜0.3μmまたは1.2〜20μmである。
本発明の記録媒体においては、インク吸収容量を増やし、濃度の高い画像を得るためには、表面層と支持体の間にインク吸収層として溶媒吸収層を設けることが好ましい。そこで形成する溶媒吸収層としては、大きく分けて膨潤層と多孔質層があり、本発明の記録媒体においては、溶媒吸収吸収層が、無機微粒子及びバインダーを含有する多孔質層であることが好ましい。
(多孔質層)
〈無機微粒子〉
多孔質層は、無機微粒子と水溶性バインダーを混合して塗布したもので、層内に空隙を形成することを特徴としている。
多孔質層に用いられる無機微粒子としては、γ−アルミナ、アルミナ、水酸化マグネシウム、シリカ等が挙げられる。中でもシリカ微粒子、またはアルミナ粒子を用いると空隙を多くすることができるので、溶媒吸収量が多く得られることから好ましい。特に好ましくはシリカ微粒子である。シリカ微粒子としては、通常の湿式法で合成されたシリカ、気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、空隙を多くすることから気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。
湿式シリカとは、珪酸ソーダ等を原料として沈降法またはゲル法により合成されたものである。湿式シリカの平均粒径は1〜200nmが必要である。平均粒径がこの範囲内にあれば、個々の湿式シリカの一次粒子径に関する下限に特に制約はないが、シリカ粒子の製造安定性の観点から3nm以上であり、皮膜の透明性の観点から200nm以下であることが好ましい。
気相法シリカとは、四塩化ケイ素等と水素を原料とし、燃焼法により合成されるものである。
湿式シリカ、気相法シリカの粒径については、平均一次粒子径は1〜200nmが好ましく、更に好ましくは1〜50nmである。平均一次粒子径がこの範囲内にあれば、個々のシリカの一次粒子径に関する下限に特に制約はないが、一次粒径分布における変動係数は0.4以下であることが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.4である。変動係数が0.4より大きい場合には空隙率が低減する。粒径がこの範囲にあれば、表面表面への影響も少なく、更に高い光沢が得られる。シリカ等の一次粒径分布における変動係数は、空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の一次粒子の粒径を求めてその粒径分布の標準偏差を数平均粒径値で割った値として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子等任意の形状のものを使用することができる
本発明のインクジェット記録媒体において、多孔質層のバインダーに対する無機微粒子の比率は、質量比で2〜50倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、多孔質層の空隙率は良好であり、充分な空隙容量が得やすく、過剰のバインダーがインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぐことを避けられる。一方、この比率が50倍以下の場合には、多孔質層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じにくく好ましい。特に好ましいバインダーに対する無機微粒子の比率は、2.5〜20倍であり、乾燥塗膜の折れ割れ耐性という観点から5〜15倍がより好ましい。
高空隙率の多孔質層を得るためには、BET法により測定される比表面積が100m2/g以上であることが好ましい。また、比表面積の下限は写真に近い光沢が得られる観点から40m2/g以上であることが好ましい。なお、本発明でいうBET法とは、気相吸着等温線から1g当たりの表面積を求める方法により比表面積を測定する方法である。
特に、本発明に係る多孔質層は、単位面積当たり15〜40ml/m2の容量を持つことが好ましい。この容量とは、単位体積の塗膜を水につけたときに発生した気泡の体積、塗膜が吸収しうる水の体積、または、最終的に得られるインクジェット記録媒体を、J.TAPPI 51に規定される紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)で測定したときの、接触時間が2秒における液体転移量等で定義される。
多孔質層のバインダーとしては、表面層のバインダーとして用いられるものを使用することができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、水溶性ポリビニルブチラール等を挙げることができる。
多孔質層を形成する塗布液中には、各種の添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン性ポリマー、架橋剤、界面活性剤(カチオン、ノニオン、アニオン、両性)、白地色調調整剤、蛍光増白剤、防黴剤、粘度調整剤、低沸点有機溶媒、高沸点有機溶媒、ラテックスエマルジョン、退色防止剤、紫外線吸収剤、多価金属化合物(水溶性もしくは非水溶性)、マット剤、シリコンオイル等が挙げられるが、中でもカチオン性ポリマーは、無機微粒子の分散を促進して多孔質層を平滑にする結果、表面のRaを下げる効果があることから、特に好ましい。
本発明に係る多孔質層で用いられるカチオン性ポリマーは、一般には、上記表面層で記載したカチオン性ポリマーと同じものを用いてもよい。好ましいカチオン性ポリマーは、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン重縮合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合体、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシ)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物等を挙げることができる。
本発明に係る多孔質層では、耐水性を向上させるため、多価金属化合物を用いてもよい。例えば、Al3+、Zr2+等の硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等で用いられる。なお、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニル等の無機ポリマー化合物も、好ましい水溶性多価金属化合物の例に含まれる。これらの水溶性多価金属イオンは、記録用紙1m2当たり、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で用いられる。
本発明のインクジェット記録媒体に係る多孔質層においては、多価金属化合物と共に、エポキシ基を有する有機ポリマーを含有してもよい。多孔質層にエポキシ基を有する有機ポリマーを用いることにより、インクの吸収速度を高めることができる。これは、架橋することによりポリビニルアルコールの膨潤を抑制し、空隙によるインク吸収速度が阻害されないことによる。
更に、塗布製造時のひび割れ防止のために、多価金属化合物とエポキシ基を有する有機ポリマーに加えて、アミノ酸を含有してもよい。
また、本発明に係る多孔質層には、炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物を含有してもよい。
分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物の具体例としては、ブタジエン単独あるいは他の重合性モノマーを共重合させた樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、C5石油樹脂、テルペン樹脂、シクロペンタジエン系樹脂等の樹脂及び、ジアリルフタレート、トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジンペンタエリスリトールテトラ(メタ)クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の重合性基を複数個有する重合体等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物の分子量としては、臭気等の点から1000以上が好ましく、インク吸収性等の点から更に10000以下であることが好ましい。
これらの化合物の中では、ブタジエンまたはイソプレン単量体を含む重合体が好ましく、末端を水酸基、カルボキシル基、アミノ基、マレイン酸無水物等で変性したポリブタジエン、あるいはスチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合したポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げられるが、その中でもポリブタジエンまたはポリイソプレンが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体は、塗布時のひび割れ及びインク吸収性を更に改良するために、尿素化合物を含有してもよい。含有してもよい尿素化合物としては、具体的には尿素、ビウレット、セミカルバジド塩酸塩、ビウレア、1−メチル尿素、1,1−ジメチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,1,3−トリメチル尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素、1−エチル尿素、1,1−ジエチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,1,3−トリエチル尿素、1−(n−プロピル)尿素、1−(n−ブチル)尿素、1−(tert−ブチル)尿素、1−アリル尿素、1,3−ジアリル尿素、1−フェニル尿素、1,1−ジフェニル尿素、1,3−ジフェニル尿素、1−(o−トリル)尿素、1−(m−トリル)尿素、フェニルアセチル尿素、1−(ベンジル)尿素、1−ヒドロキシ尿素、1,3−ビス(トリメチルシリル)尿素、ビス(ペンタメチレン)尿素、2−イミダゾロン、バルビツル酸、1,3−ジシクロヘキシル尿素、ニトロソ尿素、ジシアンジアミジン、ヒダントイン等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも尿素が好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体においては、塗布液の表面張力を調整するためにいずれかの層にフッ素系界面活性剤を含有してもよい。フッ素系界面活性剤としては、アニオン型、カチオン型、ノニオン型、ベタイン型のいずれのタイプでもよく、また低分子でも高分子でもよい。例えば、パーフルオロアルキルスルフォン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルケニルスルフォン酸塩、パーフルオロアルケニルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルケニルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルキル第4級アンモニウム塩、パーフルオロアルケニル第4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルケニルベタイン、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル燐酸エステル等が例示でき、適宜選択して、あるいは混合して使用することができる。
上記フッ素系界面活性剤の中でも、カチオン型フッ素系界面活性剤、ノニオン型フッ素系界面活性剤、またはベタイン型フッ素系界面活性剤を用いるのが好ましい。
また、多孔質層には揮発性酸またはその塩と、水溶性多価金属化合物とを含有してもよい。多孔質層に揮発性酸またはその塩を用いることにより、多孔質層塗布液のpHを好ましく調整することができる。揮発性酸とは、水分とともに容易に揮発し、また常圧で分解せずに揮発する酸を言う。具体例としては、塩酸、硝酸、弗酸、炭酸、及び酢酸等の炭素数10以下の低級脂肪酸等が挙げられる。これらの中でもその揮発性、酸性度、取扱性等の観点から炭酸、酢酸が好ましい。
本発明において、揮発性酸は、カチオン性化合物との塩の形態で使用してもよい。具体例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンとの塩、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオンとの塩、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、亜鉛イオン等の金属イオン及びこれらの金属イオンを含む錯イオンとの塩、トリエタノールアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等の無機あるいは有機のアンモニウムイオンとの塩、カチオン性基を有する他の有機化合物やポリマーとの塩等が挙げられる。
本発明に係る多孔質層は、単層であっても多層であってもよく、多層構成の場合には、全ての層を同時に塗布することが製造コスト低減の観点から好ましい。
(膨潤型の溶媒吸収層)
一方、膨潤型の溶媒吸収層は、インク液滴に対して高い膨潤性を示す膨潤層を有することが必要である。この膨潤層は、インク液膨潤性を示す親水性バインダーがこの膨潤層の主たる構成として用いられる。好ましく用いられる親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチンまたはゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン(平均分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ポリエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号及び同7−9757号に記載のポリアルキレンオキサイド系共重合性ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独またはこれらのビニルモノマーを繰り返して有する共重合体等のポリマーを挙げることができる。これらの親水性バインダーは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の効果は、溶媒吸収層として多孔質層、膨潤層いずれも用いても十分に効果が得られるが、多孔質層の方が溶媒吸収速度が速いために、インク溢れの観点から多孔質層の方が好ましい。
本発明に用いられる記録媒体の膜面pHは3〜10であることが好ましい。これにより、インク中の顔料が凝集を起こしにくくなり、濃度や彩度を向上させることができる。記録媒体の膜面pHはpH調節剤等の公知の各種添加剤を用いて調整することができる。本発明において、記録媒体の膜面pHは、記録媒体の溶媒吸収層上に純水0.05mlを滴下し、そのpHを測定して求める。
(支持体)
本発明のインクジェット記録媒体に用いられる支持体は、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体を用いる。
好ましく用いられる非吸水性支持体としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ジアセテート系フィルム、トリアテセート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、セロハン、セルロイド等の材料からなる透明または不透明のフィルム、あるいは基紙の両面をポリオレフィン樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆紙、いわゆるレジンコート紙等が挙げられる。特に好ましくはレジンコート紙である。
上記支持体上に、前記の水溶性塗布液を塗布するに当たっては、表面と塗布層との間の接着強度を大きくする等の目的で、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録媒体は着色された支持体であってもよい。
以下、最も好ましいポリオレフィンの代表であるポリエチレンでラミネートしたレジンコート紙について説明する。
レジンコート紙に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10〜70質量%であることが好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlであることが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と、42メッシュ残分の質量%との和が30〜70質量%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法ににより測定した場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面はを被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、塗布層側のポリエチレンに層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目等の微粒面を形成したものも本発明で使用することができる。
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、塗布組成物の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
更に、上記ポリエチレン被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1)引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2)引き裂き強度:JIS−P−8116による規定方法で、縦方向が0.1〜2N、横方向が0.2〜2Nが好ましい
3)圧縮弾性率:≧1030N/cm2
4)表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、500秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であってもよい
5)裏面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、100〜800秒が好ましい
6)不透明度:直線光入射/拡散光透過条件の測定条件で、可視域の光線での透過率が20%以下、特に15%以下が好ましい
7)白さ:JIS−P−8123に規定されるハンター白色度で、90%以上が好ましい。また、JIS−Z−8722(非蛍光)、JIS−Z−8717(蛍光剤含有)により測定し、JIS−Z−8730に規定された色の表示方法で表示したときの、L*=90〜98、a*=−5〜+5、b*=−10〜+5が好ましい。
上記支持体の表面層、溶媒吸収層(多孔質層)側には、溶媒吸収層との接着性を改良する目的で、下引き層を設けることが好ましい。下引き層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマー等が好ましい。これらバインダーは、インクジェット記録媒体1m2当たり0.001〜2gの範囲で用いられる。下引き層中には、帯電防止の目的で、従来公知のカチオン性ポリマー等の帯電防止剤を少量含有させることができる。
上記支持体の表面層、多孔質層を有する面とは反対側の面には、滑り性や帯電特性を改善する目的でバック層を設けることもできる。バック層のバインダーとしては、ゼラチンやポリビニルアルコール等の親水性ポリマーやTgが−30〜60℃のラテックスポリマー等が好ましく、またカチオン性ポリマー等の帯電防止剤や各種の界面活性剤、更には平均粒径が0.5〜20μm程度のマット剤を添加することもできる。バック層の厚みは、概ね0.1〜1μmであるが、バック層がカール防止のために設けられる場合には、概ね1〜20μmの範囲である。また、バック層は2層以上から構成されていてもよい。
バック層の塗設に当たっては、支持体表面のコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を併用することが好ましい。
(塗布方法)
上記各塗布液の塗布方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号公報に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
(水溶性染料インク)
次いで、本発明に係る水溶性染料インクについて説明する。
本発明に係る水溶性染料インクにおいては、水溶性染料と共に、水分散性ポリマー微粒子とを含有することを特徴とする。
本発明に係る水分散性ポリマー微粒子は、媒質中、例えば、水中に分散状態にあるポリマー粒子を含み、ポリマー微粒子あるいはラテックスとも呼ばれている。
上記水分散性ポリマー微粒子は、各種ポリマーの水分散体の形態で用いることができる。具体的には、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各ポリマーを挙げることができる。
通常、これらの水分散性ポリマー微粒子は、乳化重合法によって得られる。そこで用いられる界面活性剤、重合開始剤等については、常法で用いられるものを用いれば良い。ポリマー微粒子の合成法に関しては、米国特許第2,852,368号、同2,853,457号、同3,411,911号、同3,411,912号、同4,197,127号、ベルギー特許第688,882号、同691,360号、同712,823号、特公昭45−5331号、特開昭60−18540号、同51−130217号、同58−137831号、同55−50240号等に詳しく記載されている。
本発明に係る水溶性染料インクで用いるポリマー微粒子は、平均粒径が10〜200nmであることが好ましく、より好ましくは10〜150nm、更に好ましくは10〜100nmである。この場合、ポリマー微粒子の平均粒径を10nm〜200nmの範囲に規定することで、ポリマー微粒子の記録媒体への被覆率が高まり、水溶性染料インク液滴の出射安定性との両立が可能となる。すわなち、ポリマー微粒子の粒径が10nm以上の場合は、印字後画像表面のポリマー微粒子による被覆が十分に行われ画像保存性の改良効果が得られる。一方、200nm以下の粒径の場合は、水溶性染料インク液滴の出射安定性が向上する。
ポリマー微粒子の平均粒径は、光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の粒径測定装置、例えば、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)等を用いて、簡便に求めることができる。
本発明に係る水溶性染料インクにおいては、ポリマー微粒子の水溶性染料インク中での含有量が、0.2〜10質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜5質量%である。ポリマー微粒子の添加量が0.2質量%以上であれば、褪色性に対しより十分な効果を発揮することができ、10質量%以下であれば、水溶性染料インク吐出性がより安定となり、更に保存中での水溶性染料インク粘度の上昇を抑制することができより好ましい。
また、本発明においては、水溶性染料インク中における水分散性ポリマー微粒子のガラス転移点(Tg)が−30〜30℃であることが好ましく、更に好ましくは−20〜0℃である。水分散性ポリマー微粒子のガラス転移点(Tg)が−30以上であれば、記録ヘッドのノズル部での目詰まり耐性を得ることができ、また30℃以下であれば、好ましい成膜能を得ることができる。
ポリマー微粒子のガラス転移点(Tg)については、温度を変化させる過程において熱膨張係数及び比熱などが不連続的に変化することを利用して公知の方法で測定することができる。また、J.Brandup,E.H.Immergu共編「Polymer Handbook」第3版(John Wily & Sons)1989年、VI209〜277頁にも記載されている。
本発明に係るポリマー微粒子においては、最低造膜温度(MFT)が、0〜60℃であることが好ましい。本発明においては、ポリマー微粒子の最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は、可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
本発明のインクジェット記録方法においては、水分散性ポリマー微粒子を含有する水溶性染料インクを、記録媒体に0.5μl滴下した際の0.1秒後の接触角が30度以下であることが1つの特徴であるが、30度以下となるように水溶性染料インクと記録媒体とを組み合わせることにより、オゾンガス耐性と印刷部の光沢が向上するため好ましい。本発明の構成により効果が発現する機構は明らかではないが、接触角が30度以下と低い場合には、水溶性染料インク中の水分散性ポリマー微粒子が記録媒体上で横方向に濡れ拡がり、記録媒体上を広く覆うことができるのでオゾンガス耐性が向上し、加えて、記録媒体上に平滑な水分散性ポリマー微粒子による膜面を形成するため、印刷部の光沢が向上すると推定している。
本発明に係る水溶性染料インクの少なくとも1種は、上記説明した水分散性ポリマー微粒子と共に水溶性染料を含有することが好ましい。
水溶性染料の例としては、例えば、アゾ染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料などを挙げることができる。水溶性染料の具体的化合物を以下に示す。ただし、これらに例示した化合物に限定されるものではない。
〔C.I.アシッドイエロー〕
1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、42、44、49、59、61、65、67、72、73、79、99、104、110、114、116、118、121、127、129、135、137、141、143、151、155、158、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、220、230、232、235、241、242、246
〔C.I.アシッドオレンジ〕
3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168
〔C.I.アシッドレッド〕
1、6、8、9、13、18、27、35、37、52、54、57、73、82、88、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415
〔C.I.アシッドバイオレット〕
17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126
〔C.I.アシッドブルー〕
1、7、9、15、23、25、40、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350
〔C.I.アシッドグリーン〕
9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109
〔C.I.アシッドブラウン〕
2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413
〔C.I.アシッドブラック〕
1、2、3、24、26、31、50、52、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222
〔C.I.ダイレクトイエロー〕
8、9、10、11、12、22、27、28、39、44、50、58、86、87、98、105、106、130、132、137、142、147、153
〔C.I.ダイレクトオレンジ〕
6、26、27、34、39、40、46、102、105、107、118
〔C.I.ダイレクトレッド〕
2、4、9、23、24、31、54、62、69、79、80、81、83、84、89、95、212、224、225、226、227、239、242、243、254
〔C.I.ダイレクトバイオレット〕
9、35、51、66、94、95
〔C.I.ダイレクトブルー〕
1、15、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、160、168、189、192、193、199、200、201、202、203、218、225、229、237、244、248、251、270、273、274、290、291
〔C.I.ダイレクトグリーン〕
26、28、59、80、85
〔C.I.ダイレクトブラウン〕
44、106、115、195、209、210、222、223
〔C.I.ダイレクトブラック〕
17、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169
〔C.I.ベイシックイエロー〕
1、2、11、13、15、19、21、28、29、32、36、40、41、45、51、63、67、70、73、91
〔C.I.ベイシックオレンジ〕
2、21、22
〔C.I.ベイシックレッド〕
1、2、12、13、14、15、18、23、24、27、29、35、36、39、46、51、52、69、70、73、82、109
〔C.I.ベイシックバイオレット〕
1、3、7、10、11、15、16、21、27、39
〔C.I.ベイシックブルー〕
1、3、7、9、21、22、26、41、45、47、52、54、65、69、75、77、92、100、105、117、124、129、147、151
〔C.I.ベイシックグリーン〕
1、4
〔C.I.ベイシックブラウン〕

〔C.I.リアクティブイエロー〕
2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176
〔C.I.リアクティブオレンジ〕
1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107
〔C.I.リアクティブレッド〕
2、3、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、228、235
〔C.I.リアクティブバイオレット〕
1、2、4、5、6、22、23、33、36、38
〔C.I.リアクティブブルー〕
2、3、4、5、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236
〔C.I.リアクティブグリーン〕
8、12、15、19、21
〔C.I.リアクティブブラウン〕
2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46
〔C.I.リアクティブブラック〕
5、8、13、14、31、34、39
等が挙げられ、これら上記に列挙した染料は、「染色ノート第21版」(出版;色染社)等に記載されている。
本発明に係る水溶性染料インク中での水溶性染料の含有量は、0.1〜20質量%の範囲で選択することができ、インクジェット画像で写真画像を形成するには、水溶性染料の含有量を各々変化させた、いわゆる濃淡インクを調製して用いるのが好ましい。また、必要に応じて、赤、緑、青等の特色インクを用いることも色再現上好ましい。
本発明に係る水溶性染料インクに含有できる溶剤としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンアジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロへキシル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)が挙げられる。
本発明に係る水溶性染料インクには、その表面張力を制御するため、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、両性、ノニオン系のものが使用され、代表的には、アニオン系の界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等、カチオン系の界面活性剤としては、アミン塩、テトラアルキル4級アンモニウム塩、トリアルキル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩等、ノニオン系の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、本発明に係る水溶性染料インクには、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジへの適合性、保存安定性、その他諸特性向上を目的として、それぞれの目的に適合する、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤、pH調整剤、染料溶解助剤、消泡剤、金属キレート剤等を添加することもできる。
防腐剤、防かび剤の好ましい具体例としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンズイソチアゾリジン−3−オン(アビシア社のプロキセルCRL、プロキセルBD、プロキセルGXL、プロキセルTN、プロキセルXL−2等)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)が挙げられる。
pH調整剤の例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類及びそれらの変性物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウム等)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩類その他リン酸塩等が挙げられる。
染料溶解助剤の例としては、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素等の尿素類が挙げられる。
本発明のインクジェット画像形成方法で使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《記録媒体の作製》
〔下地用記録媒体の作製〕
(シリカ分散液D1の調製)
予め均一に分散されている1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカを25%、水溶性蛍光増白剤UVITEXNFW LIQUID(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を0.3%含むシリカ分散液B1(pH=2.3、エタノール1%含有)400Lを、カチオン性ポリマーP−1を12%、n−プロパノールを10%及びエタノールを2%含有する水溶液C1(pH=2.5、サンノブコ社製の消泡剤SN381を2g含有)110Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで、ホウ酸とほう砂の1:1質量比の混合水溶液A1(各々3%)54Lを攪拌しながら徐々に添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液を得た。これを、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行い、シリカ分散液D1を得た。
Figure 2005254714
(シリカ分散液D2の調製)
上記シリカ分散液D1の400Lを、カチオン性ポリマーP−2を12%、n−プロパノール10%及びエタノールを2%含有する水溶液C2(pH=2.5)120Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いで、上記混合水溶液A1の52Lを攪拌しながら徐々に添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液を得た。これを、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過を行、シリカ分散液D2を得た。
Figure 2005254714
(オイル分散液の調製)
ジイソデシルフタレート20kgと酸化防止剤(AO−1)20kgを酢酸エチル45kgに加熱溶解し、酸処理ゼラチン8kg、カチオン性ポリマー(P−1)を2.9kg及びサポニン10.5kgを含有するゼラチン水溶液210Lと55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化分散した後、全量を純水で300Lに仕上げて、オイル分散液を調製した。
Figure 2005254714
(塗布液の調製)
上記調製した各分散液を使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合して、塗布液を調製した。なお、各添加量は塗布液1L当たりの量で表示した。
〈第1層用塗布液:最下層〉
シリカ分散液D1 589ml
ポリビニルアルコール(平均重合度2300、ケン化度88%)6.5%水溶液
290ml
オイル分散液 30ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製、AE803) 42ml
エタノール 8.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
〈第2層用塗布液〉
シリカ分散液D1 548ml
ポリビニルアルコール(平均重合度2300、ケン化度88%)6.5%水溶液
270ml
オイル分散液 20ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製、AE803) 22ml
エタノール 8ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
〈第3層用塗布液〉
シリカ分散液D2 548ml
ポリビニルアルコール(平均重合度2300、ケン化度88%)6.5%水溶液
135ml
オイル分散液 10ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製、AE803) 5ml
エタノール 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
〈第4層用塗布液〉
シリカ分散液D2 548ml
ポリビニルアルコール(平均重合度2300、ケン化度88%)6.5%水溶液
135ml
ベタイン型界面活性剤−1の4%水溶液 3ml
サポニンの25%水溶液 2ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
Figure 2005254714
上記のようにして調製した各塗布液を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、さらにアドバンテック東洋社製のTCPD−10フィルターで濾過した。
(塗布)
次に、上記の各塗布液を下記に記載の湿潤膜厚となるよう、40℃で両面にポリエチレンを被覆したRC支持体上に、スライドホッパー型コーターを用いて4層同時塗布した。
第1層が最も支持体に近い側の塗布層である。
〈湿潤膜厚〉
第1層:42μm
第2層:39μm
第3層:44μm
第4層:38μm
なお、上記で使用したRC支持体は、含水率が8%で、坪量が170gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを押し出し溶融塗布した。表面側は、コロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA235)を記録媒体1m2当たり0.05gになるように下引き層を塗布し、裏面側にはコロナ放電加工した後、Tgが約80℃のスチレン・アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1g及び約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
なお、インク吸収層用塗布液の塗布を行った後の乾燥は、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させた後、複数設けた乾燥ゾーンの温度を適宜設定して乾燥を行った後、ロール状に巻き取って下地用記録媒体を得た。
〔記録媒体1の作製〕
上記作製した下地用記録媒体上に、ワイヤバーを用いて下記の表面層塗布液1を、乾燥付量が3.2g/m2となる条件で塗布、乾燥して、記録媒体1を作製した。
(表面層塗布液1の調製)
10%のカチオン性ポリマーP−1分散剤水溶液(n−プロパノールを10%及びエタノールを2%含有する)水溶液120gに、予め均一に分散されている一次粒子の平均粒径が約12nmの気相法シリカ(日本アエロジル社製;アエロジル200)を30%含有するシリカ分散液(pH2.6、エタノール0.5%含有)の133gを攪拌しながら添加した。次いで、0.5mmジルコニアビーズを加えて、サンドミル分散を行い、ろ過によりジルコニアビーズを取り除いて、気相法シリカ粒子含有量20%になるように全量を純水で仕上げて分散液を調製した。
次いで、40℃で攪拌しながら上記分散液の500gに、重合度2400のポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA224)の8%水溶液を250g混合し、pHを4.2に調整した後、最後に純水で全量を1000gに調整して、表面層塗布液1を調製した。
この表面層塗布液1のF/Bは、5.0である。
〔記録媒体2〜13の作製〕
上記記録媒体1の作製において、表面層塗布液1の調製で用いた気相法シリカに代えて、表1に記載のコロイダルシリカ、酸化チタンまたは酸化亜鉛に変更し、更に重合度2400のポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA224)の添加量を、表1に記載のF/Bとなるように変更した以外は同様にして、記録媒体2〜13を作製した。
なお、表1に略称で記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
気相法シリカ:日本アエロジル社製、アエロジル200、平均粒径12nm
コロイダルシリカ:日産化学工業社製、カチオン性コロイダルシリカAK−L、平均粒径50nm
酸化チタンA:テイカ社製、JR−405、平均粒径210nm
酸化チタンB:テイカ社製、MT600B、平均粒径50nm
酸化チタンC:テイカ社製、MT150W、平均粒径15nm
酸化亜鉛A:三井金属社製、1号亜鉛華(微粒品)、平均粒径170nm
酸化亜鉛B:エレメンティスジャパン社製、EA−2695、平均粒径60nm
酸化亜鉛C:堺化学工業社製、FINEX−50、平均粒径20nm
酸化亜鉛D:堺化学工業社製、FINEX−75、平均粒径10nm
Figure 2005254714
《染料インクの調製》
〔染料インク1の調製〕
C.I.Direct Blue 199 3質量%
ジエチレングリコール 25質量%
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.01質量%
水で全量を100質量%に仕上げて、染料インク1を調製した。
〔染料インク2の調製〕
上記染料インク1に、染料固形分の1%相当量の下記水分散性ポリマー微粒子1を添加した以外は同様にして、染料インク2を調製した。
水分散性ポリマー微粒子1:SX−1503 日本ゼオン社製 Tg−12℃ 平均粒径60nm
〔染料インク3の調製〕
上記染料インク1に、染料固形分の1%相当量の下記水分散性ポリマー微粒子2を添加した以外は同様にして、染料インク3を調製した。
水分散性ポリマー微粒子2:Nipol−1561 日本ゼオン社製 Tg−11℃ 平均粒径50nm
〔染料インク4の調製〕
上記染料インク1に、染料固形分の1%相当量の下記水分散性ポリマー微粒子3を添加した以外は同様にして、染料インク4を調製した。
水分散性ポリマー微粒子3:UWSー145 三洋化成社製 Tg−50℃ 平均粒径10nm未満
〔染料インク5の調製〕
上記染料インク1に、染料固形分の1%相当量の下記水分散性ポリマー微粒子4を添加した以外は同様にして、染料インク3を調製した。
水分散性ポリマー微粒子4:Nipol Lx−416 日本ゼオン社製 Tg50℃ 平均粒径110nm
〔染料インク6の調製〕
上記染料インク1に、染料固形分の1%相当量の下記水分散性ポリマー微粒子5を添加した以外は同様にして、染料インク6を調製した。
水分散性ポリマー微粒子5:Nipol Lx−531B 日本ゼオン社製 Tg−12℃ 平均粒径300nm
なお、上記水分散性ポリマー微粒子の平均粒径は、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用いて測定した。
《インクジェット画像の形成》
上記調製した各インクを、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンタMJ800Cのマゼンタインクカートリッジに充填し、表2に記載の記録媒体と組み合わせで、シアンベタ画像及びシアンウェッジ画像を印字し、画像1〜19を作成した。
《形成画像の評価》
〔オゾンガス耐性の評価〕
上記作成したシアンベタウェッジ画像を、23℃でオゾン濃度が50ppmの環境下で120分間曝露させた後、曝露前の反射濃度が1.0の濃度部分を光沢濃度計(X−Rite社製X−Rite938)で測定し、下式に従い画像残存率を求め、下記基準に則り評価を行った。
画像残存率(%)=(オゾン曝露後の画像濃度/オゾン曝露前の画像濃度)×100
◎:画像残存率が95%以上
○:画像残存率が80%以上、95%未満
△:画像残存率が65%以上、80%未満
×:画像残存率が65%未満
〔耐光性の評価〕
上記作成した反射濃度が約1.0の各ウエッジ画像を、キセノンフェードメーター(アトラス社製、C:65キセノンウェザーメーター)にて70000lxの照度で240時間照射した。反射濃度約1.0の画像部の照射前後の反射濃度を測定し、下式に従って濃度残存率(%)を各々測定し、下式に従い画像残存率を求め、下記基準に則り評価を行った。
画像残存率(%)=(光照射後の画像濃度/光照射前の画像濃度)×100
◎:画像残存率が95%以上
○:画像残存率が80%以上、95%未満
△:画像残存率が65%以上、80%未満
×:画像残存率が65%未満
〔耐候性の評価〕
上記作成した各ベタ画像を、南向きの屋外に一ヶ月間放置した後、その画像表面を目視観察し、下記の評価基準に従って耐候性の評価を行った。
◎:ベタ画像及び記録媒体表面に、ひび割れ及び剥がれが全く認められない
○:ベタ画像及び記録媒体表面に、僅かにひび割れ及び剥がれが認められる
△:ベタ画像及び記録媒体表面に、ひび割れ及び剥がれが明らかに認められる
×:ベタ画像及び記録媒体表面に、ひび割れ及び剥がれが多発している
〔インク吸収性の評価〕
上記各画像の印字後に、その画像面に普通紙を当てる時間を変化させ、普通紙に染料の転写が起こらなくなるまでの時間を測定し、下記の基準に従ってインク吸収性の評価を行った。
◎:普通紙へのインクの転写が全くなし
○:普通紙へのインクの転写が若干みられるが、実用上問題なし
△:普通紙へのインクの転写が明らかに発生
×:普通紙へのインクの転写がひどく発生
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2005254714
表2に記載の結果より明らかなように、表面層に酸化亜鉛またはルチル型酸化チタンを含有するインクジェット記録媒体に、水分散性ポリマー微粒子とを含有する水溶性染料インクを用いて記録して形成した本発明の画像は、オゾンガス耐性と耐光性が共に改良され、かつ耐候性、インク吸収性にも優れていることが分かる。更に、本発明の中でも、平均一次粒径が10〜100nmの酸化物を用いた記録媒体、表面層のF/Bが3〜30である記録媒体、あるいは平均粒径が0.01〜0.2μmの水分散性ポリマー微粒子を含むインクを用いることにより、その効果がより一層発揮されていることが分かる。

Claims (4)

  1. 非吸収性支持体上に、少なくとも1層のインク吸収層を有し、該非吸収性支持体から最も離れた位置にあるインク吸収層が、酸化亜鉛、ルチル型酸化チタン及び酸化亜鉛とルチル型酸化チタンの混合物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含有するインクジェット記録媒体に、少なくとも水溶性染料と水分散性ポリマー微粒子とを含有する水溶性染料インクを用いて記録することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
  2. 前記酸化亜鉛とルチル型酸化チタンのそれぞれの平均一次粒径が、10nm以上、100nm以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット画像形成方法。
  3. 前記酸化亜鉛またはルチル型酸化チタンを含有するインク吸収層が水溶性バインダーを含有し、該水溶性バインダーの固形分質量(B)に対する該酸化亜鉛またはルチル型酸化チタンの固形分質量(F)の比(F/B)が、3以上、30以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット画像形成方法。
  4. 前記水溶性染料インクが含有する前記水分散性ポリマー微粒子の平均粒径が、10nm以上、200nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
JP2004072142A 2004-03-15 2004-03-15 インクジェット画像形成方法 Pending JP2005254714A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004072142A JP2005254714A (ja) 2004-03-15 2004-03-15 インクジェット画像形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004072142A JP2005254714A (ja) 2004-03-15 2004-03-15 インクジェット画像形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005254714A true JP2005254714A (ja) 2005-09-22

Family

ID=35080904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004072142A Pending JP2005254714A (ja) 2004-03-15 2004-03-15 インクジェット画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005254714A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005088337A (ja) インクジェット記録媒体、その製造方法及びインクジェット画像形成方法
JP2004098490A (ja) 水性染料インク用インクジェット記録用紙
JP3716561B2 (ja) インクジェット記録用紙およびその製造方法
JP2005131802A (ja) インクジェット記録用紙
JP2001010209A (ja) インクジェット記録用紙
JP2007069417A (ja) インクジェット記録方法及び記録物
JP2005254714A (ja) インクジェット画像形成方法
JP2005263834A (ja) インクジェット記録方法
JP2003220753A (ja) インクジェット記録媒体及びインクジェット画像記録方法
JP2005088333A (ja) インクジェット記録用紙
JP2003326838A (ja) インクジェット記録用紙
JP2005254477A (ja) インクジェット記録方法
JP2005238458A (ja) インクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法
JP2005262705A (ja) インクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法
JP2005238814A (ja) インクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法
JP2005088214A (ja) インクジェット記録用紙
JP2005271271A (ja) インクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法
JP2004243619A (ja) インクジェット記録用紙及びインクジェット記録用紙の製造方法
JP2005262614A (ja) インクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法
JP2007130828A (ja) インクジェット画像形成方法
JP2005246776A (ja) インクジェット画像形成方法
JP2003276323A (ja) インクジェット記録物及びその製造方法
JP2006224494A (ja) インクジェット画像形成方法
JP2005119066A (ja) インクジェット記録用紙
JP2005119110A (ja) インクジェット記録用紙