JP2005254163A - ポリアリーレンスルフィド樹脂製造における排水処理方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂製造における排水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリフェニレンスルフィドを代表とするポリアリーレンスルフィドの製造時において排出される高COD物質を効率よく除去する。
【解決手段】 ポリフェニレンスルフィドを代表とするポリアリーレンスルフィド製造時に生ずるCOD物質を含有する排水に有機溶媒(例えば、ヘキサノール)を加え、高COD物質を抽出除去する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PASと略称する)の製造工程で生ずる難分解性のCOD物質(たとえば、ベンゼン環を有する芳香族炭化水素系化合物)を含有する排水処理方法に関するものであり、PAS製造における排水処理の効率化により、近年拡大しつつある同重合体の供給安定化に貢献せんとするものである。ここで、COD物質とは、化学的酸素要求量(COD)を発現する物質、すなわち被酸化性物質をいう。
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略称する)に代表されるPASは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質の優れたエンジニアリングプラスチックであり、繊維、フィルム、射出成形用および押出成形用などの各種用途に幅広く利用されている。
PASの代表的な製造方法としては、例えば、特許文献1、特許文献2等に開示されているが如く、非プロトン性極性有機溶媒(例えは、N−メチルピロリドン(以下、NMPと略す)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム等)中で、スルフィド化剤(例えば、硫化ナトリウムに代表される硫化アルカリ金属、あるいは水硫化ナトリウムに代表される水硫化アルカリ金属と水酸化ナトリウムに代表される水酸化アルカリ金属の組合せ等)と、p−ジクロロベンゼンに代表されるポリハロ芳香族化合物とを重合反応させる方法等により得られる。
重合反応は、通常、高温高圧のアルカリ条件下で行われ、例えば、原料として硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンを用いた場合には、目的物質のPPSと共に、塩化ナトリウムが生成する他に重合反応後の粗反応生成物には未反応の原料や溶媒、副生成物、オリゴマー等が含有されている。
重合反応後の粗反応生成物は適当な容器に取り出され、それに含有される溶媒は減圧蒸留装置、濾過器、遠心分離器等の適当な固液分離装置を用いて分離回収されて(本操作を脱溶媒という)、再利用されたり、必要に応じて更に精製されて利用される。
一方、脱溶媒後の「粗ポリアリーレンスルフィド」は、一般には水洗と濾過が繰り返され、主に例えば塩化ナトリウムやアルカリ性物性等の不純物が除去される。一般には、100℃未満で行う水洗方法と、100℃以上の高温高圧下で行う熱水洗方法とがある。PPSは水洗又は熱水洗後に濾過器、遠心濾過器等で分離され、その後乾燥され、必要に応じて熱処理し架橋反応を行い製品とする。
PASの製造時の精製工程中で発生する排水のうち、COD負荷原因となる溶媒は脱溶媒時の溶媒の回収率向上により改善可能であり、また、未反応の硫化物は酸化処理によりCODの削減は可能であるが、全体の半分以上を占める水洗した排水に含まれるCOD物質の削減には至らなかった。
従来のCOD物質含有排水の処理方法としては、排水のpHを調整してCOD物質を凝集させる方法が一般的に知られている。例えば、特許文献3にはCOD物質を含有する排水に、アルカリ剤を加えてpH調整して、酸化剤を添加混合し二酸化マンガンの存在下で前記COD物質を酸化し、更に無機系あるいは高分子凝集剤を加え、凝集沈殿槽でCOD物質を不溶化、凝集させながら沈殿させた後引き抜き除去し、上澄水は中和処理して放水する方法が開示されており、特許文献4にはCOD物質を含有する排水に、酸性凝集剤を加えてpH調整し、COD物質を不溶化または難溶化させ、且つ大きなフロック状に析出される酸性凝集剤を使用することにより固液分離を容易にして、COD物質を分離する方法が開示されている。しかしながら特許文献3記載の方法では、不溶化させたCOD物質の沈殿に長時間を要し、大きな処理槽と広い設置スペースが必要であった。また、沈殿物を引き抜き、デカンターで処理する装置まで考慮するとコスト的にも高価となり、更に沈殿物の引き抜き作業では連続処理が困難であるという問題があり、特許文献4記載の方法では、固液分離方法が容易になっているものの、高価な固液分離装置が必要という問題があった。
また、凝集させたCOD物質を含む反応液を固液分離装置へ送り、分離処理する方法も、このままの油状物では極めて分離効率が低く実用上問題があった。そのため大量の水で希釈して排水する方法もあるが、環境汚染上好ましくない。
特許文献5は、PAS製造時にPASを単離精製する工程で排出される着色排水をpH7〜10に調整した後、次亜塩素酸化合物を添加する方法であるが、着色排水の脱色を目的にしたものであり、COD物質の除去を目的にしたものではなかった。
PASはその製造工程において排水中にベンゼン環を有する芳香族炭化水素系化合物を含んでいるため、一般的に排水処理設備として利用されている活性汚泥処理方法では分解され難く、COD物質を充分に低減することが困難であり、また湿式酸化法やメタン発酵法では排水中に多量の食塩を含んでいることからPASの排水処理には適していない。
特公昭45−3368号公報 特公昭52−12240号公報 特開平8−257574号公報 特開2003−275773号公報 特開平11−169870号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、PPSを代表とするPASの製造時の精製工程において排出される高COD物質含有排水を、効率よく処理するためのPAS製造における排水処理方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、PPSを代表とするPAS製造時の精製工程のCOD物質を含有する排水に、有機溶媒(例えば、ヘキサノール)を排水100重量部に対し20〜200重量部の範囲で加え、COD物質を排水中より抽出させることにより、排水中よりCOD物質の除去が容易に出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、非プロトン性極性有機溶媒中でポリハロ芳香族化合物とスルフィド化剤とを反応させて得られたPASを含有する生成物からPASを単離精製する工程(精製工程)において出されるCOD物質を含有する排水に、有機溶媒(例えば、ヘキサノール)を排水100重量部に対し20〜200重量部の範囲で加えて、COD物質を排水中より抽出させることにより、排水中よりCOD物質を除去することを特徴とするPAS製造における排水処理方法である。
以上説明したように、本発明の排水処理方法によれば、PPSを代表とするPAS製造時の精製工程のCOD物質を含有する排水に、有機溶媒(例えば、ヘキサノール)を加え、COD物質を排水中より抽出させることにより、排水中よりCOD物質の除去が容易に出来、PAS製造における排水処理の効率化により、近年拡大しつつある同重合体の供給安定化に貢献できる。
PPSを代表とするPASは、通常、NMP等の非プロトン性極性有機溶媒中で、少なくとも1種のポリハロ芳香族化合物と少なくとも1種のスルフィド化剤とを従来公知の重合条件下で反応させて得られる。重合反応後、粗反応生成物から減圧条件下で溶媒を蒸留除去あるいは濾過等の適当な方法で脱溶媒して溶媒を回収する方法が一般的に取られており、本発明でも特に制限はしない。
本発明でいうポリハロ芳香族化合物とは、例えば、芳香族環に直接結合した2個以上のハロゲン化芳香族化合物であり、例えば、p−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、トリクロルベンゼン、テトラクロルベンゼン、ジブロムベンゼン、ジヨードベンゼン、トリブロムベンゼン、トリヨードベンゼン、ジクロルナウタレン、ジブロムナフタレン、ジクロルジフェニルベンゼン、ジブロムジフェニルベンゼン、ジクロルベンゾフェノン、ジブロムベンゾフェノン、ジクロルジフェニルエーテル、ジブロムジフェニルエーテル、ジクロルジフェニルスルフィド、ジブロムジフェニルスルフィド、ジクロルビフェニル、ジブロムジフェニル等のポリハロ芳香族化合物及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中で、好ましいのは、使用する全ポリハロ芳香族化合物のモル数に対して、p−ジクロルベンゼンを80モル%以上含むものである。
また、本発明でいうスルフィド化剤とは、特に制限されるものではなく、アルカリ金属硫化物の無水物又は含水物または水溶液として用いることが出来、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム及び硫化セシウム、又はこれらの水和物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。上記アルカリ金属硫化物の中でも、反応性に優れる点から硫化ナトリウムと硫化カリウムが好ましく、中でも硫化ナトリウムが特に好ましい。
また、これらアルカリ金属硫化物は、例えば、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物、あるいは硫化水素とアルカリ金属水酸化物とを反応容器中で事前に接触させ、反応させることによっても得られるが、反応系外で調整されたものを用いてもよい。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられるが、中でも水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。これらはそれぞれ単独使用でも2種以上を混合して用いてもよい。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物は、固体状態、液体状態、溶融状態等、どのような形態で反応に用いてもよく、特に制限はない。
尚、通常、硫化アルカリ金属中に微量存在する水硫化アルカリ金属、チオ硫酸アルカリ金属と反応させるために、少量の水酸化アルカリ金属を加えても差し支えない。
アルカリ金属水硫化物は、特に制限されず、アルカリ金属水硫化物の無水物又は含水物又は水溶液として用いることが出来る。アルカリ金属水硫化物としては、例えば、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム及び水硫化セシウム等が挙げられ、中でも水硫化ナトリウムが好ましい。これらはそれぞれ単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明でいう非プロトン性極性有機溶媒とは、例えば、NMP、N−シクロヘキシルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等が挙げられ、これらの中でも、NMPがスルフィド化剤の反応性を向上させる特性に優れる点から特に好ましい。
上記非プロトン性極性有機溶媒の使用量は、使用する溶媒の種類及び系内の溶媒に対する系内の水分量により異なるため、特に制限されるものではないが、反応系を撹拌可能な状態に維持するためには、重合に用いる非プロトン性極性有機溶媒の使用量はスルフィド化剤中の硫黄源1モル当たり1.0〜6.0モルとなる範囲であることが好ましく、より好ましくは2.5〜4.5モルの範囲である。
また、必要に応じて重合反応を行う前に、例えば、原料である非プロトン性極性有機溶媒とアルカリ金属水硫化物、またはアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物、又はアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を反応容器に加え、昇温しながら系内の水を系外に留出させる、脱水反応を行った後に密閉し、ポリハロ芳香族化合物の溶融物または非プロトン性極性有機溶媒を使用した溶液を滴下し、重合反応を行うとよい。
重合条件としては、特に限定しないが、好ましくは240℃以上であり、より好ましくは240〜290℃の範囲である。
重合反応終了後、通常、粗反応生成物中の溶媒は、240℃以上の加圧状態から常圧下に抜き出してポリマーを回収する減圧蒸留装置、濾過器、遠心分離器等の適当は固液分離装置にて、脱溶媒され分離回収されることが好ましい。
脱溶媒後の粗ポリアリーレンスルフィドは、通常、水洗と濾過が繰り返され、更に100℃以上、好ましくは150℃以上での高温高圧条件(例えば、約190℃、約1.6MPa)での熱水洗と濾過が繰り返され、ハロゲン化アルカリ金属塩(例えば、塩化ナトリウム)やアルカリ性物質(例えば、NaSH、NaOH他)、副生成物などの不純物が除去されることが好ましい。
本発明者等は、PPSを代表とするPAS製造時の重合工程から精製工程、及び溶媒回収工程まで全工程にわたり、排水中に含まれるCOD物質について解析を行い、その主たる原因物質が非プロトン性極性有機溶媒(例えば、NMP)とポリハロ芳香族化合物(例えば、p−ジクロロベンゼン)との反応物であり、主に熱水洗工程の濾過での濾液中に多く含有されていることを解明した。
更に、本発明者等は、この主たる原因物質が非プロトン性極性有機溶媒(例えば、NMP)とポリハロ芳香族化合物(例えば、p−ジクロロベンゼン)との反応物を排水中より除去すべく鋭意検討した結果、該反応物は有機溶媒(例えば、ヘキサノール)にて排水中より抽出除去できることを見出した。
本発明でいう有機溶媒としては、水に溶解し難く、排水中に含まれるCOD物質を溶解し易い有機溶媒が好ましく、例えばヘキサノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどのアルコール系溶媒およびヘキサン、ブタン、ペンタンなどの鎖状炭化水素系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒を1種又は2種以上用いればよい。これらの有機溶媒のなかでも、特にヘキサノール、ヘキサンなどの使用が好ましい。
ポリハロ芳香族化合物(例えば、p−ジクロロベンゼン)を用いて重合反応で非プロトン性極性有機溶媒(例えば、NMP)を使用した場合は、熱水洗工程で非プロトン性極性有機溶媒(例えば、NMP)とポリハロ芳香族化合物(例えば、p−ジクロロベンゼン)との反応物がPASより除去され、排水中の該反応物は、抽出溶媒として有機溶媒(例えば、ヘキサノール)を使用することにより、該反応物の水と有機溶媒(例えば、ヘキサノール)に対する溶解度の違いにより、水層の該反応物が有機溶媒層へ抽出され、その後、水層と有機溶媒層を静置分離することにより、水層より該反応物を除去することが出来る。
本発明では精製工程から排出される排水中から、有機溶媒(例えば、ヘキサノール)を用い、COD物質を抽出除去しているが、この時、精製工程より排出される排水100重量部に対し有機溶媒(例えば、ヘキサノール)を20〜200重量部の範囲で用いることが、COD物質の除去率アップの点及び経済性の面でより好ましい。
また、精製工程から排出される排水を、有機溶媒(例えば、ヘキサノール)にて抽出処理するが、この時、精製工程より排出される排水は、通常pH=10.0〜12.0程度であり、これをpH=3.0〜7.0に調整することが、COD物質の除去率アップの点でより好ましく、特にpH=4.0〜6.0に調整することが特に好ましい。
pHを調整する具体的な方法としては、精製工程より排出される排水に、酸性剤(例えば、95%硫酸)を加えてpH測定することが挙げられ、本発明でいう酸性剤としては、例えば硫酸、塩酸などが挙げられる。
有機溶媒で精製工程から排出される排水を抽出処理する際の抽出温度については特に制限はなく、10〜90℃程度の任意の温度が選択できる。抽出温度が高くなるほど抽出効率が高くなる傾向があるが、通常は10〜60℃の抽出温度で十分な効果が得られる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂製造における排水処理方法とは、PAS樹脂製造工程において樹脂精製工程にて生ずる難分解性のCOD物質を有機溶媒(例えば、ヘキサノール)にて抽出除去する工程を有することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂製造における排水処理方法である。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。尚、%は、特にことわりのない限り、全て重量基準であり、室温とは、特にことわりのない限り10℃〜30℃である。
なお、実施例、比較例中の各値は以下の方法に従って求めた。
1)COD(化学的酸素要求量):常法に従い、過マンガン酸カリウム酸化滴定法によって求めた。
2)COD削減率:COD削減率={(排水中のCOD)−(処理水中のCOD)}÷(排水中のCOD)×100
[参考例1]
底に弁のついた撹拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム・9水塩6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.656kg(8モル)およびN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に、反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.734kg(25.4モル)ならびにNMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、272℃まで昇温し、272℃で2時間反応させた。その後、272℃反応液を冷却コンデンサーの付いた250℃に加熱保温された撹拌槽にフラッシュ(常圧に解放)させ、ポリアリーレンスルフィドと塩類の混合粉末を得た。これを70℃のイオン交換水15リットルでスラリー化し、遠心分離器で濾過した。続いて得られたケーク、イオン交換水15リットルを撹拌機付きのオートクレーブに仕込み、窒素ガス下に密閉し、190℃に加熱昇温し、190℃に到達後70℃まで冷却した。得られたスラリーを遠心分離器で濾過し、これを80℃のイオン交換水で洗浄した。
以下、実施例及び比較例で挙げる「PPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水」とは上記で挙げた「70℃のイオン交換水15リットルでスラリー化し、遠心分離器で濾過した濾液」のことである。
[実施例1]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水100gおよびヘキサノール5gを分液ロートにいれ、室温にて、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは2687mg/lであり、排水中のCOD削減率は55%であった。
[実施例2]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水100gおよびヘキサノール10gを分液ロートにいれ、室温にて、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは2209mg/lであり、排水中のCOD削減率は63%であった。
[実施例3]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水100gおよびヘキサノール25gを分液ロートにいれ、室温にて、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは817mg/lであり、排水中のCOD削減率は86%と優れていた。
[実施例4]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水100gおよびヘキサノール50gを分液ロートにいれ、室温にて、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは287mg/lであり、排水中のCOD削減率は95%と優れていた。
[実施例5]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水100gおよびヘキサノール100gを分液ロートにいれ、室温にて、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは178mg/lであり、排水中のCOD削減率は97%と優れていた。
[実施例6]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水100gおよびヘキサノール200gを分液ロートにいれ、室温にて、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは119mg/lであり、排水中のCOD削減率は98%と優れていた。
[実施例7]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水100gおよびヘキサノール300gを分液ロートにいれ、室温にて、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは113mg/lであり、排水中のCOD削減率は98%と優れていた。
[比較例1]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水を何ら処理を行わなかったところ、排水中のCODは5989mg/lであり、排水中のCOD削減率は1%以下であった。
表1に測定結果を示す。表1の結果から明らかなように、ヘキサノールの使用量(抽出溶媒比)が高いほど、COD削減率が高くなり、抽出溶媒比が20%以上になるとCOD削減率が80%以上になり好ましく、また経済性の面から抽出溶媒比は20〜200%の範囲が好ましい。
[実施例8]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水100gおよびヘキサノール25gを分液ロートにいれ、60℃にて保温し、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは617mg/lであり、排水中のCOD削減率は90%と優れていた。
[実施例9]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水100gおよびヘキサノール10gを分液ロートにいれ、60℃にて保温し、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは1888mg/lであり、排水中のCOD削減率は69%であった。
[実施例10]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水を95%硫酸にてpH4.02に調整した後、該排水100gおよびヘキサノール50gを分液ロートにいれ、室温にて、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは120mg/lであり、排水中のCOD削減率は98%と優れていた。
[実施例11]
参考例1においてPPSの精製工程で水洗濾材よりでたpH=11の排水を95%硫酸にてpH2.87に調整した後、該排水100gおよびヘキサノール50gを分液ロートにいれ、室温にて、数回撹拌後30分間静置し、液液分離を行った。処理水中のCODは360mg/lであり、排水中のCOD削減率は94%であった。
Figure 2005254163
Figure 2005254163
表1および表2から明らかなように、本発明の排水処理方法によれば排水中のCOD削減率が極めて高い(実施例1〜11)。また、表1および表2から明らかなように、抽出温度が高いほどCOD削減率は高くなり、さらに排水のpHを3.0〜7.0に調整した方がCOD削減率は高くなる(実施例4と実施例10および11との比較)。

Claims (4)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂製造工程において生ずる難分解性のCOD物質を含有する排水に有機溶媒を加え、該COD物質を該有機溶媒にて抽出除去する工程を有することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂製造における排水処理方法。
  2. 前記抽出除去を、前記排水100重量部に対し有機溶媒を20〜200重量部の範囲で用いて行うことを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂製造における排水処理方法。
  3. 前記有機溶媒が、ヘキサノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサン、ブタン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレンからなる群より選ばれる1種又は2種以上のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂製造における排水処理方法。
  4. 前記抽出除去を、前記排水をpH=3.0〜7.0に調整して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂製造における排水処理方法。
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