以下、本発明に係る遊技機の一実施の形態であるパチンコ機1について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態であるパチンコ機1の斜視図であり、図2はパチンコ機1の裏面から見た斜視図である。図1および図2に示すように、本発明の一実施の形態であるパチンコ機1によれば、外枠12に対する中枠13の着脱を容易にし、かつ単純な構造を有する上ヒンジ30を備えたものである。さらに、上ヒンジ30を構成するラッチ部32は、ダイキャストにより製造されるため、ラッチ部32の量産を容易とするものである。なお、図1に示すパチンコ機1の紙面手前側をパチンコ機1の前面側とし、紙面奥行き側をパチンコ機1の裏面側とする。
はじめに、パチンコ機1の概略構成について説明する。図1および図2に示すように、パチンコ機1は、ホールの島設備(図示外)に配設され、パチンコ機1本体を支持する略長方形状の外枠12を備えている。そして、外枠12の遊技者に対向する前面側には、略長方形状の中枠13が設けられている。そして、この中枠13の中枠左柱部13c(図5参照)は、上ヒンジ30および下ヒンジ27(図2参照)を介して、外枠12の外枠左柱部12c(図2参照)近傍に軸支されている。そのため、中枠13が外枠12に対して、略水平方向に回動可能となっている。
一方、中枠13の略中央よりやや上部には、遊技盤2が固定されるための略長方形状の遊技盤用開口部Q(図5参照)が形成され、当該遊技盤用開口部Qの前面側には、略矩形状の表枠14が設けられている。そして、表枠14の左側端部が、上ヒンジ30および中ヒンジ29を介して、中枠左柱部13c(図5参照)近傍に軸支されている。そのため、表枠14が中枠13に対して、略水平方向に回動可能となっている。さらに、表枠14の略中央には、略円形状の窓部23が形成され、その窓部23には、略長方形状のガラス板(図示外)が嵌め込まれている。
また、図1に示すように、パチンコ機1の中枠13の遊技盤用開口部Q(図5参照)には、発射ハンドル7の操作により、発射手段である発射機(図示外)から発射された遊技球が流下する遊技盤2が固定されている。この遊技盤2は略正方形状に形成され、ガラス板を略中央に保持した表枠14によって保護されている。また、中枠13において、遊技盤2の下方には、発射機に遊技球を供給し、かつ賞品球を受け入れる上皿5が設けられている。さらに、上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられ、その下皿6の右側には発射機による遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。また、下皿6の左側には、灰皿9が設けられている。
さらに、図1に示すように、中枠13の上皿5の右側には鍵穴75が設けられており、この鍵穴75の背面にはシリンダ錠(図示外)が設けられている。そして、この鍵穴75に鍵(図示外)を挿入し、挿入された鍵を反時計回りに回転させることにより、外枠12に対して固定されていた中枠13が、略水平方向に回動可能となる。一方、挿入された鍵を時計回りに回転させることにより、中枠13に対して表枠14が略水平方向に回動可能となる。
一方、図1に示すように、遊技盤2の前面には、外レール(図示外)および内レール10が設けられ、その内レール10の内側には略円形状の遊技領域4が設けられている。そして、この遊技領域4の略中央には、LCDから構成された特別図柄表示画面、各種ランプおよびLEDを備えた特別図柄表示装置8が設けられている。また、この特別図柄表示装置8の下側には特別図柄始動電動役物15が設けられている。さらに、特別図柄始動電動役物15の下方には、大入賞口16が設けられている。そして、大入賞口16の下方には、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球が回収されるアウト口(図示外)が設けられている。
また、図2に示すように、パチンコ機1の裏面側には、制御基板、サブ統合基板、音基板などの各種基板が組み付けられており、それら基板は、樹脂製の透明な板材からなるセンターカバー85や基板ボックス86,87が覆設されて保護されている。また、センターカバー85の上部には、遊技機設置島から供給される遊技球を貯留する遊技球タンク81が設けられている。
次に、外枠12について説明する。図3は、外枠12の左上角部近傍を上から見た図であり、図4は、外枠12の左上角部近傍を左側から見た図である。図1および図2に示すように、外枠12は、ホールの島設備(図示外)に取り付けられるパチンコ機1本体を支持する枠部材である。図1および図2に示すように、この外枠12は、外枠上柱部12a、外枠右柱部12b、外枠左柱部12c、外枠下柱部12dからなり、略長方形状の枠を構成している。そして、外枠下柱部12dは、他の3つの柱部材である外枠上柱部12a、外枠右柱部12b、外枠左柱部12cよりもやや前方へ突出した形状を有している。このため、外枠下柱部12dは、他の3本の枠部材よりも高い強度を有し、土台としての機能も担っている。さらに、図2に示すように、外枠下柱部12dの、遊技者に対向する前面には、樹脂で形成された黒色の薄板である化粧板(図示外)が覆設されている。
そして、上記構成からなる外枠12の左上角部近傍には、本発明の要部である上ヒンジ30を構成するラッチ部32が固定されている。図3および図4に示すように、ラッチ部32は、略L字型のラッチ固定片33と、当該ラッチ固定片33から、外枠12の前面側に向かって突出して延設されたラッチ延設片34とから構成されている。そして、ラッチ固定片33は、外枠上柱部12aと外枠左柱部12cとが接する角部近傍の各外側面に当接されている。そして、図3に示すように、ラッチ固定片33の、外枠上柱部12aの上面に当接する片は、2つの固定ネジ40,40で固定されている。一方、図4に示すように、外枠左柱部12cの外側面に当接する片は、2つの固定ネジ41,41で固定されている。そして、ラッチ延設片34の先端部には、ラッチ片35が揺動軸37によって軸支され、中枠13の中枠上柱部13a(図6参照)に固定されたヒンジ掛け部26(図6参照)の軸ピン22の先端に設けられた頭部22c(図6参照)を把持している。こうして、図1および図2に示すように、ラッチ部32と、ヒンジ掛け部26(図6参照)とで上ヒンジ30を構成している。なお、上ヒンジ30の構造については、後に詳述する。
次に、中枠13について説明する。図5は、中枠13の前面から見た斜視図であり、図6は、中枠13の左上角部近傍に固定されたヒンジ掛け部26の左側面図である。図5に示すように、中枠13は、中枠上柱部13a、中枠右柱部13b、中枠左柱部13c、中枠下柱部13dにより、略長方形状に構成されている。そして、中枠13を構成する各柱部材は、金属製の板部材からなる。さらに、中枠上柱部13a、中枠右柱部13bおよび中枠左柱部13cは、平面視略短冊形状に形成されている。一方、中枠下柱部13dは、中枠上柱部13a、中枠右柱部13bおよび中枠左柱部13cの幅よりも広い面積を有する平面視略長方形状に形成されている。そして、中枠下柱部13dの前面側には、上述した下皿6、発射ハンドル7および灰皿9などの各部品(図1参照)および各装置が組み付けられる。
また、図5に示すように、中枠上柱部13aの前面の、長手方向左側一端部近傍には、ラッチ部32(図3参照)とともに、上ヒンジ30を構成するヒンジ掛け部26が固定されている。ヒンジ掛け部26は、略水平に延設され、2つの固定ネジ24aで固定された短冊状のヒンジ固定片24と、当該ヒンジ固定片24の長手方向左側一端側近傍の上端部から略水平に延設された水平片21と、当該水平片21の上面から略垂直上方に突設された軸ピン22と、水平片21の下面から略垂直下方に突設された表枠軸ピン25とで構成されている。一方、中枠左柱部13cの前面の、長手方向略中間よりもやや下方位置近傍には、中ヒンジ29を構成する受け部29aが固定されている。この受け部29aは、表枠14(図1参照)の左下角部近傍に固定された掛け部(図示外)とともに中ヒンジ29(図1参照)を構成する。そして、受け部29aには、受け部29aの上面から上方に向かって軸ピン29bが突設され、その軸ピン29bには、表枠14(図1参照)の左下角部近傍に固定された掛け部(図示外)に設けられた係合穴(図示外)が係合する。さらに、中枠左柱部13cの前面の、長手方向下端部近傍には、掛け部27aが固定されている。この掛け部27aは、外枠12(図1参照)の左下角部に固定された受け部(図示外)とともに下ヒンジ27(図2参照)を構成する。さらに掛け部27aには、下ヒンジ27(図2参照)の受け部に凸設された軸ピン(図示外)と係合するための係合穴27bが設けられている。
そして、図1および図2に示すように、中枠13の中枠左柱部13c(図5参照)は、上ヒンジ30および下ヒンジ27を介して、外枠12の外枠左柱部12c近傍に軸支されることにより、外枠12に対して中枠13が略水平方向に回動可能となる。一方、表枠14の左側の端部は、上ヒンジ30および中ヒンジ29を介して、中枠13の中枠左柱部13c(図5参照)近傍に軸支されることにより、中枠13に対して表枠14が略水平方向に回動可能となる。
また、図5に示すように、上記構成からなる中枠13には、遊技盤2を固定するための4つの固定レバー70,71,72,73が設けられている。これら固定レバー70,71,72,73は、略L字型のアングル部材によって構成されている。詳細にいうと、中枠右柱部13bの長手方向上端部近傍には、遊技盤2(図1参照)の右上角部近傍を固定するための固定レバー70の長手方向一端側が軸支され、中枠右柱部13bの長手方向下端部よりやや上方には、遊技盤2の右下角部近傍を固定するための固定レバー71の長手方向一端側が軸支されている。一方、中枠左柱部13cの長手方向上端部近傍には、遊技盤2の左上角部近傍を固定するための固定レバー72の長手方向一端側が軸支され、中枠左柱部13cの長手方向下端部よりやや上方には、遊技盤2の左下角部近傍を固定するための固定レバー73の長手方向一端側が軸支されている。
こうして、固定レバー70,71,72,73は、中枠13に対して、手動により各々回動可能となっている。例えば、固定レバー70,71,72,73の軸支される一端側とは反対の他端側が、中枠13の内側に向かって略水平方向に位置する時、固定レバー70,71,72,73は、遊技盤2(図1参照)を固定可能な「遊技盤固定位置」の状態にある。一方、固定レバー70,71,72,73の軸支される一端側とは反対の他端側が、中枠13の上方に向かって位置する時、固定レバー70,71,72,73は、遊技盤2(図1参照)を取り外し可能な「遊技盤開放位置」の状態にある。そして、固定レバー70,71,72,73を、遊技盤固定位置および遊技盤開放位置の間で手動で変位させることにより、中枠13に対する遊技盤2(図1参照)の着脱を可能としている。
次に、遊技盤固定枠50について説明する。図5に示すように、遊技盤固定枠50は、中枠13に対する遊技盤2(図1参照)の位置決めをして固定するための枠部材であり、中枠13の裏面側に固着されている。そして、遊技盤固定枠50は、固定枠上柱部50a、固定枠右柱部50b、固定枠左柱部50c、固定枠下柱部50dによって、略長方形状の枠を構成している。また、これら柱部材は、金属製のアングル部材であり、固定枠左柱部50cおよび固定枠右柱部50bは、平面視略短冊形状に形成されている。一方、固定枠上柱部50aおよび固定枠下柱部50dは、固定枠左柱部50cおよび固定枠右柱部50bよりも幅の広い平面視略長方形状に形成されている。そして、このような構成からなる遊技盤固定枠50の内側には、略長方形状の遊技盤用開口部Qが形成されている。この遊技盤用開口部Qには、図1に示す遊技盤2の背面から突出する特別図柄表示装置8の一部や、各部品の凸部形状が挿入される。したがって、遊技盤固定枠50の前面に、遊技盤2(図1参照)の裏面を密着させることができる。
次に、中枠13側に固定されるヒンジ掛け部26について説明する。図5および図6に示すように、ヒンジ掛け部26は、中枠13の中枠上柱部13aの長手方向左側一端部近傍に固定され、略水平に延設され、2つの固定ネジ24a(図5参照)で固定された短冊状のヒンジ固定片24と、当該ヒンジ固定片24の長手方向左側一端部近傍の上端部から略水平に延設された水平片21と、当該水平片21の上面の略中央より略垂直上方に突設された軸ピン22と、水平片21の下面から略垂直下方に突設され、表枠14(図1参照)の上端部に設けられた受け部(図示外)に軸支される表枠軸ピン25とで構成されている。このヒンジ掛け部26は、外枠12に固定されたラッチ部32(図1参照)とともに上ヒンジ30(図1参照)を構成する。なお、図5に示すヒンジ固定片24と、水平片21とが、「金属板」に相当する。
さらに、図6に示すように、軸ピン22は3つの部位からなる。その3つの部位とは、水平片21の上面に固定される平面視略円形状のピン固定部22aと、当該ピン固定部22aの上面に突設され、軸ピン22の本体を形成する略円筒状のピン本体22bと、当該ピン本体22bの先端側に設けられ、ピン本体22bよりもやや径が大きく形成された略茸形状である頭部22cとである。また、頭部22cの先端側の外周面は、テーパ状に形成されている。そして、軸ピン22の頭部22cには、ラッチ片35の把持頭部52の鉤状係合部51(図15参照)が係合するようになっており、互いにラッチ機構を形成している。
次に、本発明の要部であるラッチ部32について説明する。図7は、ラッチ部32の左側面図であり、図8は、ラッチ部32の平面図であり、図9は、ラッチ部32の正面図である。さらに、図10は、ラッチ部32の裏面図であり、図11は、ラッチ片35の把持頭部52を上方に押し上げた状態を示すラッチ部32の正面図であり、図12は、ラッチ片35の把持頭部52を上方に押し上げた状態を示すラッチ部32の左側面図である。図7に示すラッチ部32は、外枠12(図1参照)の左上角部近傍に固定され、中枠13の左上角部近傍に固定されるヒンジ掛け部26(図6参照)とともに、上ヒンジ30(図1参照)を構成し、互いにラッチ機構を構成している。
まず、ラッチ部32の構造について説明する。図7および図8に示すように、ラッチ部32は、外枠12(図1参照)の左上角部近傍に固定される略L字型のラッチ固定片33と、当該ラッチ固定片33より、外枠12(図1参照)の前面側に向かって延設されるラッチ延設片34とから構成されている。そして、図8に示すように、ラッチ延設片34の略中央には、平面視略長方形状の嵌合溝34aが形成され、その嵌合溝34aの前方側の端部は開放されている。そのため、ラッチ延設片34の先端側は、平面視略コの字型形状となっている。さらに、ラッチ延設片34の下部には、外枠12の前面側に向かって延設されたラッチ片35が設けられ、そのラッチ片35の先端部は、嵌合溝34aの内側に嵌め込まれている。図9および図10に示すように、このラッチ片35の先端部には、ヒンジ掛け部26の軸ピン22の頭部22c(図6参照)を把持して固定する把持頭部52が設けられている。さらに、図10に示すように、その把持頭部52の下面側には、ヒンジ掛け部26の軸ピン22の頭部22c(図6参照)に係合する鉤状係合部51が形成されている。
また、図7および図8に示すように、嵌合溝34a(図8参照)の後端側には、ラッチ延設片34の延設方向に対して直交する方向に軸線を有する揺動軸37が固定され、その揺動軸37は、ラッチ片35を軸支している。このため、ラッチ片35は、揺動軸37を軸心として、外枠12の前面側および後面側に対して、上下方向に揺動するようになっている。また、図9および図10に示すように、ラッチ片35の後端側は、略垂直下方に向かって延設され、中枠13の上端部が当接して押し込まれる略正方形状のラッチ当接部54が設けられている。さらに、図10および図11に示すように、ラッチ片35の下方において、揺動軸37(図11参照)の軸支される部位よりも後方側には、バネ60が埋め込まれるようにして配設されている。このバネ60は、図11に示すように、ラッチ片35の後端側を上方に付勢することで、ラッチ片35が揺動軸37を軸心として回動し、ラッチ片35の先端部である把持頭部52が下方に付勢される。このため、ラッチ片35の把持頭部52は、嵌合溝34aに常時嵌合された状態となっている。
次に、ラッチ固定片33について説明する。図7、図8および図9に示すように、ラッチ固定片33は、略L字型の固定片である。このラッチ固定片33は、略水平に延設された平面視略長方形状の上面固定部33aと、当該上面固定部33aの一端部から略垂直下方に延設された平面視略長方形状の側面固定部33bとから構成されている。そして、図8に示すように、上面固定部33aの、側面固定部33bと隣接する辺とは反対の他辺近傍には、2つの固定穴40a,40aが、ラッチ固定片33の稜線の長手方向に対して平行かつ直列して設けられている。一方、図7に示すように、側面固定部33bの、下方側の一端部近傍には、2つの固定穴41a,41aが、ラッチ固定片33の稜線の長手方向に対して、平行かつ直列して設けられている。そして、このような構成からなるラッチ固定片33において、上面固定部33aが、外枠12の外枠上柱部12a(図3参照)の上面に当接され、側面固定部33bが、外枠左柱部12cの外側面(図4参照)に当接される。さらに、上面固定部33aの固定穴40a,40aには、固定ネジ40,40(図3参照)を各々固定する。一方、側面固定部33bの固定穴41a,41aには、固定ネジ41,41(図4参照)を各々固定する。こうして、ラッチ固定片33が、外枠12(図1参照)の左上角部近傍に強固に固定される。
次に、ラッチ延設片34について説明する。図7および図8に示すように、ラッチ延設片34は略直方体状の延設部材である。そして、図8に示すように、ラッチ延設片34は、ラッチ固定片33の、上面固定部33aの一端部より、外枠12の前面側(図3および図4参照)に向かってその先端側が突出している。そして、ラッチ延設片34の先端部の角部は面取りされているため、当該先端部は曲面を有している。さらに、ラッチ延設片34の略中央には、平面視略長方形状の嵌合溝34aが設けられ、その嵌合溝34aの前方側(外枠12の前面側)は開放されている。そのため、ラッチ延設片34の先端側は、平面視略コの字型形状となっている。また、図9に示すように、この嵌合溝34aの下段には、嵌合溝34aの奥行き方向に沿ってフランジ部45,45が設けられている。そして、このような嵌合溝34aに、図6に示すヒンジ掛け部26の軸ピン22を挿入させると、軸ピン22の頭部22cの底面部が、フランジ部45,45の上部を移動する。さらに、軸ピン22が嵌合溝34aの奥行き方向に向かって移動することにより、軸ピン22が、嵌合溝34aの奥側に嵌合するようになっている。
次に、ラッチ片35について、図13乃至図16を参照して説明する。図13は、ラッチ片35の平面図であり、図14は、ラッチ片35の左側面図であり、図15は、ラッチ片35の裏面図であり、図16は、ラッチ片35の正面図である。なお、以下の説明において、ラッチ片35の把持頭部52側を「ラッチ片35の前方側」とし、ラッチ片35のラッチ当接部54側を「ラッチ片35の後方側」とする。
図13乃至図15に示すように、ラッチ片35は、平面視および側面視が略L字型形状に形成されている。このラッチ片35は、ラッチ片35の本体を形成する略ベース型形状のラッチ本体部53と、当該ラッチ本体部53の、外枠12の前面側に位置する一端部よりやや斜め上方に向かって延設された第1首部57と、当該第1首部57のラッチ本体部53と連接する一端部とは反対の他端部に連接され、ラッチ片35の先端部を形成する把持頭部52と、ラッチ本体部53の第1首部57が連接する端部とは反対の端部には、略垂直下方に延設された平面視略正方形状のラッチ当接部54と、当該ラッチ当接部54に隣接して、ラッチ本体部53の他端部より略垂直下方に延設され、ラッチ当接部54よりも短く延設された平面視略帯状の第2首部56(図15、図16参照)とから構成されている。
また、図13および図15に示すように、把持頭部52は、平面視略長方形状に形成されている。さらに、図14に示すように、把持頭部52の先端部側は内側に折り返されているため、その縦断面は略コの字型に形成されている。そして、把持頭部52の平面の長手方向に直交する方向の両端部からは、軸支片52aが略垂直下方に各々延設されている。さらに、それら2つの軸支片52aには、揺動軸37(図17参照)が挿入されるための軸支穴52bが各々設けられている。そして、それら2つの軸支穴52bは互いに同軸上に位置している。また、図15に示すように、把持頭部52の先端部は、内側に湾曲する曲線状に切断され、鉤状係合部51が形成されている。そして、この鉤状係合部51に、ヒンジ掛け部26の軸ピン22の頭部22c(図6参照)が係合するようになっている。なお、図15に示す把持頭部52および鉤状係合部51が、「把持部」に相当する。
さらに、図16に示すように、ラッチ当接部54は、平面視略正方形状に形成されている。これは、中枠13(図5参照)の上端部を密着して当接しやすい形状であり、当接する面積がやや広めにとられている。また、中枠13(図5参照)の上端部がラッチ当接部54に確実に当接するために、図16に示すように、ラッチ片35を正面から見た時に、ラッチ当接部54が把持頭部52よりも、外枠12(図1参照)の内側(図16の右側)よりになるように設けられている。こうすることにより、中枠13が外枠12(図1参照)に対して組み付けられる際に、中枠13(図1参照)の上端部を確実にラッチ当接部54に当接させることができる。なお、ラッチ当接部54の形状については、特に限定されず、中枠13が確実に密着して当接できる形状であればよい。
次に、揺動軸37について説明する。図17は、揺動軸37の平面図である。図12に示すように、揺動軸37は、ラッチ延設片34の右側面および左側面を貫通して穿設された軸支穴(図示外)に、図14に示すラッチ片35の各軸支片52aの軸支穴52bに各々挿入された状態で固定される。図17に示すように、揺動軸37は、一般的な固定ネジであり、ネジ本体部39と、当該ネジ本体部39の一端側に設けられたネジ頭部38と、その反対の他端部側の外周面上に形成されたネジ部39aとで構成されている。そして、ネジ頭部38の溝にドライバなどを差し込んで回転させることにより、図12に示すように、揺動軸37がラッチ延設片34に固定され、ラッチ片35がラッチ延設片34を軸支するようになっている。
次に、バネ60について説明する。図18は、バネ60の正面図である。図18に示すように、バネ60は、螺旋状に巻かれた略円筒状のバネ本体60cと、当該バネ本体60cを形成する金属線の一端部が上方に延設されたバネ上端部60aと、バネ本体60cを形成する金属線の一端部とは反対の他端部が、側方に折り返されたバネ下端部60bとから構成されている。そして、図11に示すように、このような構成からなるバネ60が、ラッチ片35の下方側に埋め込まれるようにして配設される。さらに、図10に示すように、バネ上端部60aを、ラッチ延設片34の内側底面に引っ掛け、バネ下端部60bを、ラッチ片35のラッチ本体部53に当接させる。こうして、ラッチ片35のラッチ本体部53は、バネ60のバネ下端部60bによって常時上方に付勢されるので、ラッチ片35の把持頭部52が下方に向かって常時付勢された状態にすることができる。したがって、ラッチ片35が、上下に振動するのを防止できる。さらに、図6に示すヒンジ掛け部26の軸ピン22を把持していたラッチ片35の把持頭部52が突然外れたりするのを防止することもできる。
なお、このような構成からなるラッチ部32において、ラッチ固定片33、ラッチ延設片34は一体的に形成され、ダイキャストで製造される。また、ラッチ部32のラッチ片35も同様にダイキャストで製造される。したがって、ラッチ部32の量産が容易となるため、ラッチ部32を安価に、かつ大量生産することができる。また、ダイキャストで製造されるラッチ部32の各構成部品の寸法精度が高いことから、仕上げ加工などの後工程を省略することができる。よって、ラッチ部32の製造コストを節約することができる。また、ラッチ部32は、少数の部材が互いに組み合わされた単純な構造であるため、構成部品の交換が容易であり、ラッチ部32の修理を簡単に行うことができる。
次に、上記構成からなるラッチ部32と、ヒンジ掛け部26とのラッチ機構について説明する。図19は、ラッチ部32の把持頭部52を上方に押し上げた状態で、嵌合溝34aに、ヒンジ掛け部26の軸ピン22を嵌合させた状態を示す図であり、図20は、図19の把持頭部52を下方に下ろした状態を示す図である。はじめに、外枠12の左上角部近傍に固定されたラッチ部32において、ラッチ片35の把持頭部52を上方に押し上げる。すると、図11に示すように、ラッチ延設片34の内側が露出され、嵌合溝34aの内側に設けられたフランジ部45,45が露出される。また、図12に示すように、ラッチ片35のラッチ当接部54が、外枠12(図1参照)の前方側に移動し、中枠13(図5参照)の上端部の当接を待機する状態となる。そして、このラッチ当接部54に中枠13の上端部を当接するとともに、図19に示すように、この嵌合溝34aの前方側から、ヒンジ掛け部26の軸ピン22を挿入する。さらに、軸ピン22の頭部22cの底面を、嵌合溝34aのフランジ部 45,45上を移動させるようにして、軸ピン22のピン本体22bを嵌合溝34aの奥側に押し込む。
そして、図20に示すように、ヒンジ掛け部26の軸ピン22のピン本体22bが、ラッチ延設片34の嵌合溝34aの奥側に押し込まれると、ラッチ片35が揺動軸37(図12参照)を軸心として回動し、ラッチ片35の把持頭部52が下方に降りる。すると、図10に示す把持頭部52の鉤状係合部51が、軸ピン22の頭部22cの底面に係合する。こうして、ヒンジ掛け部26の軸ピン22が、ラッチ部32のラッチ片35に強固に把持された状態となる。
次に、外枠12に対する中枠13の組み付け方法について説明する。はじめに、図5に示す中枠13の左下角部近傍に固定された掛け部27aの係合穴27bを、図2に示す外枠12の外枠下柱部12dの長手方向左側一端部近傍の上面に固定された受け部(図示外)の軸ピン(図示外)に係合させ、下ヒンジ27のピン合わせを行う。そして、上記説明したように、中枠13側の、図6に示すヒンジ掛け部26の軸ピン22を、図20に示すように、ラッチ部32に把持させることにより、外枠12に対して中枠13が軸支される。このように、図2に示す下ヒンジ27側のピン合わせをすることで、ワンタッチで上ヒンジ30のピン合わせを行うことができるので、外枠12に対する中枠13の着脱を容易に、かつ迅速に行うことができる。また、作業者の披露も軽減することができ、作業効率も向上することができる。
以上説明したように、本発明の一実施の形態であるパチンコ機1によれば、外枠12の左上角部近傍には、ラッチ部32が固定され、中枠13の左上角部近傍には、ヒンジ掛け部26が固定され、互いにラッチ機構を構成することで上ヒンジ30を構成している。そして、ラッチ部32は、外枠12の左上角部近傍に固定される断面視略L字型のラッチ固定片33と、当該ラッチ固定片33より、外枠12の前面側に向かって延設されるラッチ延設片34とから構成されている。そして、ラッチ延設片34の略中央には、平面視略長方形状の嵌合溝34aが形成されている。さらに、ラッチ延設片34の下部には、外枠12の前面側に向かって延設されたラッチ片35が設けられ、そのラッチ片35の先端部は、嵌合溝34aの内側に嵌め込まれている。このラッチ片35の先端部には、ヒンジ掛け部26の軸ピン22の頭部22cを把持して固定する把持頭部52が設けられ、その把持頭部52の下面側には、ヒンジ掛け部26の軸ピン22の頭部22cに係合する鉤状係合部51が形成されている。
そして、嵌合溝34aの後端側には、ラッチ延設片34の延設方向に対して直交する方向に軸線を有する揺動軸37が固定され、その揺動軸37は、ラッチ片35を軸支している。このため、ラッチ片35は、揺動軸37を軸心として、外枠12の前後方向に対して、上下方向に揺動することができる。また、ラッチ片35の後方側端部には、略垂直下方に向かって延設され、中枠13の上端部が当接して押し込まれる略正方形状のラッチ当接部54が設けられている。
このようなラッチ部32において、まず、ラッチ片35の把持頭部52を上方に押し上げる。すると、ラッチ延設片34の内側のフランジ部45,45が露出される。さらに、ラッチ片35のラッチ当接部54が、外枠12の前方側に移動する。そして、このラッチ当接部54に中枠13の上端部を当接するとともに、この嵌合溝34aの前方側から、ヒンジ掛け部26の軸ピン22を挿入する。すると、それにラッチ当接部54も動きに連動して、上方に押し上げられたラッチ片35の把持頭部52が、揺動軸37を軸心として自動的に下方に移動する。すると、把持頭部52の鉤状係合部51が、軸ピン22の頭部22cの底面に係合する。したがって、ヒンジ掛け部26の軸ピン22を、ラッチ部32のラッチ片35に対して強固に把持させることができる。
また、ラッチ部32において、ラッチ固定片33、ラッチ延設片34は一体的に形成され、ダイキャストで製造され、ラッチ部32のラッチ片35も同様にダイキャストで製造される。したがって、ラッチ部32の量産が可能となるため、ラッチ部32を安価に、かつ大量生産することができる。また、ダイキャストで製造されるラッチ部32の各構成部品の寸法精度が高いことから、仕上げ加工などの後工程を省略することができる。よって、ラッチ部32の製造コストを節約することができる。さらに、ラッチ部32は、少数の部材が互いに組み合わされた単純な構造であるため、構成部品の交換が容易であり、修理が非常に簡単である。
なお、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。まず、本実施の形態では遊技機として、遊技機の一種であるパチンコ機1を例に挙げているが、遊技機はパチンコ機に限られず、パチコン機およびスロット等の各種遊技機に適用可能である。