JP2005251568A - 燃料電池セパレーター用樹脂組成物及びこれを成形してなる燃料電池セパレーターの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成形性、電気的特性に優れた燃料電池用セパレーター用樹脂組成物及びこれを成形してなる寸法精度がよく反りの少ない燃料電池セパレーターの製造方法を提供する。
【解決手段】 熱硬化性樹脂と、導電性を有する炭素系基材とを必須成分として含有する熱硬化性樹脂組成物であって、金型温度におけるブラベンダー溶融トルクが0.4kg・m〜1.2kg・mであり、ゲル化時間が15秒〜90秒であることを特徴とする燃料電池セパレーター用樹脂組成物。製造方法としては、この樹脂組成物を射出成形及び射出圧縮成形により成形する。
【選択図】 なし
【解決手段】 熱硬化性樹脂と、導電性を有する炭素系基材とを必須成分として含有する熱硬化性樹脂組成物であって、金型温度におけるブラベンダー溶融トルクが0.4kg・m〜1.2kg・mであり、ゲル化時間が15秒〜90秒であることを特徴とする燃料電池セパレーター用樹脂組成物。製造方法としては、この樹脂組成物を射出成形及び射出圧縮成形により成形する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、燃料電池セパレーター用樹脂組成物及びこれを成形してなる燃料電池セパレーターの製造方法に関するものである。
従来、燃料電池セパレーターは熱硬化性樹脂と炭素質粉末との混合物を成形した後、成形体を焼成し導電性を高める黒鉛化工程や、切削や研磨などにより必要形状を付与する機械加工工程を含む方法(例えば、特許文献1)、或いは金属板に溝などの形状加工をした上で樹脂コートを行うなどの金属板樹脂コンポジットを素材とする方法(例えば、特許文献2及び非特許文献1)などにより、作成が試みられてきた。しかし、黒鉛化工程や機械加工工程を必要とする手法では、大量生産への展開が困難なためにコストが下げられず、一方、溝加工した金属板樹脂コンポジットを素材とする手法では、使用される環境において金属板と樹脂との界面層で発生する層剥離及び金属板の腐食問題が解決せず、品質と価格で適切な燃料電池セパレーターを供給する目途が立っていない。このため、さらに種々の試みがなされており、黒鉛やカーボンブラック等の炭素系基材に、フェノール樹脂やエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂をバインダー成分として配合した樹脂組成物を圧縮成形する試みがなされている。
しかし、圧縮成形による製造方法の場合、前記の黒鉛化工程や機械加工工程を必要とする手法に比べ、大幅に安価にすることができるが、家庭用コジェネレーションシステムの電源や自動車用電源としての燃料電池の実用化を考慮すると、更なる低コスト化が必要とされる。
熱硬化性樹脂を用いた圧縮成形方法は、樹脂が硬化する間は加熱した金型の中にセパレーター組成物を例えば、10〜80MPaで数分間保持する必要があり、この成形時間の短縮が困難で大量生産に不向きである。そのため、樹脂組成物の配合により樹脂の硬化性を速くしたり、金型温度を上げたりすることで成形時間を短縮できるが、樹脂の硬化速度が上がると組成物の流動性は低下するため、寸法精度に優れた成形品を得ることが難しくなる。そのため樹脂組成物を予め金型内に均一に投入することが必要となるが、寸法精度を管理することが困難であるという問題があった。
かかる問題を解決すべく、射出成形や射出圧縮成形により製造方法が提案されている(例えば、特許文献3及び特許文献4)。これらの方法によれば成形時間を大幅に短縮できるため、大量生産に対応でき、安価な燃料電池セパレーターを提供することができるが、圧縮成形に比べ、射出成形は製品の歪みが大きくなり反りが生じ易い。数百枚を積層し、燃料ガスを溝流路に流す必要があるセパレーターにおいては、反りが大きいと、隣り合ったセパレーター同士のガスシーリング性を損ない、実装上の不具合が生じるためを反りは極力抑える必要がある。
通常、射出成形においては、ゲート付近は樹脂内圧が高く、ゲートから遠ざかるに従い樹脂内圧が低下する。この樹脂内圧の差による充填性や硬化性の不均一性が要因となり、成形品は歪みを生じ応力を誘発する。発生した応力は樹脂組成物の硬化に伴い、成形体内部に残留するため、セパレーターのように薄肉で、溝形状を有した成形品の場合、更に反りが生じ易くなる。射出圧縮成形をした場合には射出成形に比べ樹脂内圧を均等にすることができるため、この残留応力を緩和し、反りを低減させることができる。しかし、残留応力は充填性や硬化性など、樹脂組成物の粘性や硬化特性の影響を受けやすく、例えば溶融粘度が高く、硬化速度が速いほど残留応力が大きくなり、反りが生じ易い傾向にある。このため型内における溶融粘度や硬化性を適正化することが、反り低減に重要である。
本発明は、以上のような従来の欠点に鑑み、寸法精度、電気特性に優れ、反りが小さい燃料電池セパレーター用樹脂組成物及びこれを成形してなる燃料電池セパレーターの製造方法を提供するものである。
このような目的は、下記(1)〜(6)記載の本発明により達成される。
(1) 熱硬化性樹脂(A)と、導電性を有する炭素系基材(B)とを必須成分として含有する樹脂組成物であって、金型温度におけるブラベンダー溶融トルクが0.4kg・m〜1.2kg・mであることを特徴とする燃料電池セパレーター用樹脂組成物。
(2) 金型温度におけるゲル化時間が15秒〜90秒である(1)に記載の燃料電池セパレーター用樹脂組成物。
(3)(1)又は(2)に記載の樹脂組成物を用いる成形方法であって、金型のゲート部がフィルム状サイドゲートであることを特徴とする燃料電池セパレーターの製造方法。
(4)前記成形方法が射出成形である(3)に記載の燃料電池セパレーターの製造方法。
(5) 前記成形方法が射出圧縮成形である(3)に記載の燃料電池セパレーターの製造方法。
(6) 前記射出圧縮成形における圧縮ストロークが0.5mm〜5.0mmである(5)に記載の燃料電池セパレーターの製造方法。
(1) 熱硬化性樹脂(A)と、導電性を有する炭素系基材(B)とを必須成分として含有する樹脂組成物であって、金型温度におけるブラベンダー溶融トルクが0.4kg・m〜1.2kg・mであることを特徴とする燃料電池セパレーター用樹脂組成物。
(2) 金型温度におけるゲル化時間が15秒〜90秒である(1)に記載の燃料電池セパレーター用樹脂組成物。
(3)(1)又は(2)に記載の樹脂組成物を用いる成形方法であって、金型のゲート部がフィルム状サイドゲートであることを特徴とする燃料電池セパレーターの製造方法。
(4)前記成形方法が射出成形である(3)に記載の燃料電池セパレーターの製造方法。
(5) 前記成形方法が射出圧縮成形である(3)に記載の燃料電池セパレーターの製造方法。
(6) 前記射出圧縮成形における圧縮ストロークが0.5mm〜5.0mmである(5)に記載の燃料電池セパレーターの製造方法。
熱硬化性樹脂、導電性を有する炭素系基材を含有してなる樹脂組成物を射出成形又は射出圧縮成形することによって、寸法精度、電気特性に優れ、反りが小さい燃料電池セパレーターを安価に製造することができる。
以下、本発明の燃料電池セパレーター用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という)及びこれを成形してなる燃料電池セパレーターの製造方法について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、導電性を有する炭素系基材を必須成分として含有してなることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池セパレーターの製造方法は、前記樹脂組成物を射出成形又は射出圧縮成形してなるものである。
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、導電性を有する炭素系基材を必須成分として含有してなることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池セパレーターの製造方法は、前記樹脂組成物を射出成形又は射出圧縮成形してなるものである。
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物の溶融粘度は、金型温度におけるブラベンダー溶融トルクが0.4kg・m〜1.2kg・mである。樹脂組成物の溶融粘度をかかる範囲内とすることによって、充填性が良く、反りの小さい成形品を得ることができる。ブラベンダー溶融トルクが前記下限値未満では、過剰なバリが生じるため、樹脂内圧がキャビティ全体に行き渡らず、完全な成形体になり難い。ブラベンダー溶融トルクが前記上限値を超えると、充填性の低下が生じ残留応力が大きくなるため、反りが増大する。
本発明の樹脂組成物の硬化速度は、金型温度におけるゲル化時間が15秒〜90秒である。更に好ましくは30秒〜60秒である。ゲル化時間が前記下限値未満では、樹脂がキャビティ内に充填する前に過剰に硬化反応が進行するため、硬化が不均一となり易く、残留応力が大きくなり、反りが大きくなる。また、樹脂の流動性が損なわれるため、充填性が劣り完全な成形品になり難い。ゲル化時間が前記上限値を超えると、硬化反応が遅すぎるため、成形品を必要形状に保持して取り出すために硬化時間を長くする必要があるため、成形時間が長くなり、大量生産に不向きとなる。
樹脂組成物の粘度及び硬化速度を前記範囲に適正化する手法としては、本発明の樹脂組成物で用いられる熱硬化性樹脂(A)の種類にもよるが、特に限定されず、機械的強度やイオン性不純物含有量に実用上問題ない範囲で、樹脂の分子量を適宜選択したり、硬化剤、硬化促進剤の種類、量を調整したりすることができる。熱硬化性樹脂(A)としては特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられ、これらを単独で使用してもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂を用いた場合は、耐熱性、機械的強度、電気的安定性、コスト等種々の点において優れているとともに、ベースとなる樹脂を低分子量のものから適宜選択することができるなどの点で好ましい。
本発明の樹脂組成物には、成形体に導電性を付与するために導電性を有する炭素系基材(B)(以下、単に「炭素系基材」という)を配合する。炭素系基材としては特に限定されないが、導電性の優れているものが好ましく用いられる。具体的にはグラファイト構造が成長したものであり、天然や人造の黒鉛がこれに該当する。天然に産出する鉱物としての黒鉛には、特に限定されないが、例えば、天然黒鉛と称される鱗片状の黒鉛や土壌黒鉛等があるが、このうち天然黒鉛が導電性に優れている。
また、人造黒鉛については、特に限定されないが、例えば、石炭系コークスを熱処理したものと石油系コークスを熱処理したもの等があり、形状としては例えば、鱗状、針状、塊状、球状、凝集体等があるが、いずれのものも、X線解析による格子定数精密法で求めるc軸(002)層面間距離(d002)が0.335〜0.400nmの範囲にあって、真比重が1.9〜2.3の範囲にあることが好ましい。層面間距離が前記下限値未満であり、且つ、真比重が前記上限値を超えると、黒鉛の結晶構造の発達が顕著で、成形時に配向し易く、また黒鉛の結晶面間の層剥離(劈開)を生じやすいため、成形品の機械的強度の低下を招く恐れがある。層面間距離が前記上限値を超えるか、真比重が前記下限値未満であると、黒鉛単体の導電性が低下するため、高充填しても十分な電気特性を得られないことがある。
また、人造黒鉛については、特に限定されないが、例えば、石炭系コークスを熱処理したものと石油系コークスを熱処理したもの等があり、形状としては例えば、鱗状、針状、塊状、球状、凝集体等があるが、いずれのものも、X線解析による格子定数精密法で求めるc軸(002)層面間距離(d002)が0.335〜0.400nmの範囲にあって、真比重が1.9〜2.3の範囲にあることが好ましい。層面間距離が前記下限値未満であり、且つ、真比重が前記上限値を超えると、黒鉛の結晶構造の発達が顕著で、成形時に配向し易く、また黒鉛の結晶面間の層剥離(劈開)を生じやすいため、成形品の機械的強度の低下を招く恐れがある。層面間距離が前記上限値を超えるか、真比重が前記下限値未満であると、黒鉛単体の導電性が低下するため、高充填しても十分な電気特性を得られないことがある。
また、黒鉛以外の炭素系基材(B)を併せて用いることもできる。黒鉛以外の炭素系基材(B)としては特に限定されないが、例えば、炭素繊維やカーボンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられ、これらは非晶質カーボンを含んでいてもよい。炭素繊維やカーボンブラックは、樹脂組成物中の樹脂相内に分散して導電助剤として機能すると共に、炭素繊維の場合はその形状により、曲げ強さや靭性などの機械的特性を改善する効果があり、これらを必要に応じて配合することができる。
次に、熱硬化性樹脂(A)と炭素系基材(B)の含有量について説明する。本発明の樹脂組成物には、特に限定されないが、樹脂組成物全体100重量部に対して、熱硬化性樹脂10〜25重量部、炭素系基材70〜90重量部を配合することが好ましい。更に好ましくはそれぞれ13〜22重量部、73〜87重量部であり、特に好ましくはそれぞれ15〜20重量部、77〜85重量部である。熱硬化性樹脂の含有量が前記下限値未満であるか、炭素系基材の含有量が前記上限値を超えると、成形時に十分な流動性が確保できず、精密な形状を成形することが難しくなることがある。これは樹脂量が相対的に少なく、黒鉛粒子間を充填するにはその体積が不充分であるためと考えられ、この結果成形品の機械的強度にも影響することがある。
一方、熱硬化性樹脂の含有量が前記上限値を越えるか、炭素系基材の含有量が前記下限値未満であると、成形品の導電性が低下し、実用に適したセパレーターを得ることが難しくなる場合がある。これは樹脂体積が増えることで黒鉛粒子同士の凝集が起こるようになり、結果として絶縁体部分を生じて導電性を低下させるものと考えられる。
なお、本発明の樹脂組成物には、これまで説明した原材料以外にも、本発明の目的および効果に反しない範囲内において、樹脂組成物として一般的に用いられる可塑剤、離型剤などを用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、通常の方法により製造することができる。すなわち、前記原材料を所定量配合し、リボンブレンダーやプラネタリミキサーなどを用いて予備混合した後、80℃〜100℃の加熱ロールや二軸混練機を用いて溶融混練し、これをさらに造粒化するか、冷却後粉砕・分級などの操作を経て組成物とすることができる。
次に、本発明の燃料電池セパレーターの製造方法について説明する。本発明の燃料電池セパレーターは、本発明の組成物を用いて、これを所定の条件で射出成形もしくは射出圧縮成形することにより得られる。
射出圧縮成形を用いる場合は、特に限定されないが、例えば、金型を開いた状態で樹脂組成物を射出充填し、その後金型を閉じて圧縮する方法、金型を型締め圧力をゼロにした状態で閉じて樹脂組成物を射出充填し、その際の樹脂内圧により金型を開かせた後、金型を閉じて圧縮する方法などがある。前者の方法の場合、射出時の金型の開き量、すなわち圧縮ストロークは、使用する射出圧縮用成形機により適宜選択できるが、油圧制御する場合に比べ、トグル式で電動制御する方がより精密制御することができる点で好ましい。
ゲート形状については、特に限定されないが、例えば、多点のピンゲートやフィルム状ゲートなど様々な形状にすることができるが、セパレーターのように薄肉成形品で高寸法精度、高信頼性を要求される場合には、強度や寸法精度の低下を招く恐れがあるウェルドの発生を抑えることができる点で、フィルム状サイドゲートが好ましい。
またフィルム状サイドゲートの場合、圧縮する前のゲート部分は、圧縮ストローク分だけ金型が後退しており、その分だけゲートの断面積が大きくなる。そのため射出時の充填性が良くなり、残留応力が小さくなるため、反りを低減することができる。またゲートの断面積が大きいと、樹脂組成物がゲートを流動する際のせん断応力が低減するため、せん断応力による樹脂組成物中の炭素系基材の配向が緩和される。黒鉛や炭素繊維などのような導電性に異方性があり、セパレーターの面方向に配向するために貫通方向の導電性が損なわれ易い炭素系基材を用いる場合には、配向が緩和されることで、セパレーターの面方向と貫通方向の導電性の異方性が低減され、セパレーター貫通方向の導電性は良好になる。圧縮ストロークが大きいほど上述した反りの低減、貫通方向の導電性向上の効果は大きいが、圧縮ストロークが必要以上に大きい場合には、キャビティ容積が大きくなり過ぎ、射出時に樹脂がキャビティ内に均一に充填し難くなるため、射出後の圧縮により充填させようとしても樹脂が十分に行き渡らず、充填性が劣り寸法精度が損なわれることがある。従って、圧縮ストロークは、寸法精度と反り低減及び導電性向上の効果のバランスを保てるように適宜選択する必要がある。
本発明における圧縮ストロークは、0.5mm〜5.0mmであることが好ましい。更に好ましくは1.0mm〜3.0mmである。圧縮ストロークが前記下限値未満であると、反り低減及び導電性向上の効果が十分に発揮されないことがある。圧縮ストロークが前記上限値を超えると、充填性が劣り、寸法精度が損なわれることがある。
射出成形及び射出圧縮成形の成形条件は、使用する熱硬化性樹脂の溶融粘度や硬化剤、離型剤などの種類や含有量、成形品の大きさにより適宜選択されるが、一例を挙げると、シリンダー温度60〜110℃、射出圧力50〜200MPa、射出速度1〜20mm/sec、金型温度150〜200℃、硬化時間15〜120秒、型締め圧力50〜400トンで成形することで、燃料電池セパレーター成形品を得ることができる。
以下、実施例により本発明を説明する。実施例における「%」は全て「重量%」を表す。
[樹脂組成物の成形品の作製
(1)実施例1
遊離フェノール除外フェノール換算数平均分子量が500のレゾール型フェノール樹脂20.5%、人造黒鉛77%及びカーボンブラック2%、イミダゾール化合物(2−メチル−4−メチルイミダゾール)をフェノール樹脂に対して0.3%をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、原料混合物を得た。
この原料混合物を80℃の加熱ニーダーで5分間溶融混練した後取り出し、顆粒状に粉砕して180℃におけるブラベンダー溶融トルクが0.6kg・m、ゲル化時間が53秒の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型温度180℃、シリンダー温度90℃、最大射出圧力150MPa、射出速度10mm/sec、硬化時間45秒、型締め圧力200トン、圧縮ストローク2.0mmで射出圧縮成形し、図1に示す燃料電池セパレーター相当の成形品を得た。
この成形品の大きさは320mm×100mm、厚みは1.7mmで、溝形状は幅1.0mm、深さ0.5mm、2.0mmピッチで両面に加工されている。
(1)実施例1
遊離フェノール除外フェノール換算数平均分子量が500のレゾール型フェノール樹脂20.5%、人造黒鉛77%及びカーボンブラック2%、イミダゾール化合物(2−メチル−4−メチルイミダゾール)をフェノール樹脂に対して0.3%をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、原料混合物を得た。
この原料混合物を80℃の加熱ニーダーで5分間溶融混練した後取り出し、顆粒状に粉砕して180℃におけるブラベンダー溶融トルクが0.6kg・m、ゲル化時間が53秒の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を金型温度180℃、シリンダー温度90℃、最大射出圧力150MPa、射出速度10mm/sec、硬化時間45秒、型締め圧力200トン、圧縮ストローク2.0mmで射出圧縮成形し、図1に示す燃料電池セパレーター相当の成形品を得た。
この成形品の大きさは320mm×100mm、厚みは1.7mmで、溝形状は幅1.0mm、深さ0.5mm、2.0mmピッチで両面に加工されている。
(2)実施例2
遊離フェノール除外フェノール換算数平均分子量が700のレゾール型フェノール樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして、180℃におけるブラベンダー溶融トルクが0.8kg・m、ゲル化時間が40秒の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を射出圧縮成形における圧縮ストロークを1.0mmとした以外は、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
遊離フェノール除外フェノール換算数平均分子量が700のレゾール型フェノール樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして、180℃におけるブラベンダー溶融トルクが0.8kg・m、ゲル化時間が40秒の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を射出圧縮成形における圧縮ストロークを1.0mmとした以外は、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
(3)実施例3
イミダゾール化合物の含有量をフェノール樹脂に対して0.7%とした以外は、実施例1と同様にして、180℃におけるブラベンダー溶融トルクが0.7kg・m、ゲル化時間が12秒の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を射出圧縮成形における圧縮ストロークを3.5mmとした以外は、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
イミダゾール化合物の含有量をフェノール樹脂に対して0.7%とした以外は、実施例1と同様にして、180℃におけるブラベンダー溶融トルクが0.7kg・m、ゲル化時間が12秒の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を射出圧縮成形における圧縮ストロークを3.5mmとした以外は、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
(4)実施例4
射出圧縮成形における圧縮ストロークを0.2mmとした以外は、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
射出圧縮成形における圧縮ストロークを0.2mmとした以外は、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
(5)実施例5
射出圧縮成形における圧縮ストロークを6.0mmとした以外は、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
射出圧縮成形における圧縮ストロークを6.0mmとした以外は、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
(6)比較例1
遊離フェノール除外フェノール換算数平均分子量が900のレゾール型フェノール樹脂を使用し、イミダゾール化合物の含有量をフェノール樹脂に対して1.1%とした以外は、実施例1と同様にして、180℃におけるブラベンダー溶融トルクが1.3kg・m、ゲル化時間が10秒の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
遊離フェノール除外フェノール換算数平均分子量が900のレゾール型フェノール樹脂を使用し、イミダゾール化合物の含有量をフェノール樹脂に対して1.1%とした以外は、実施例1と同様にして、180℃におけるブラベンダー溶融トルクが1.3kg・m、ゲル化時間が10秒の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
(7)比較例2
イミダゾール化合物の含有量をフェノール樹脂に対して0.1%とし、原料混合物を70℃の加熱ニーダーで2.5分間溶融混練した後取り出した以外は、実施例1と同様にして、180℃におけるブラベンダー溶融トルクが0.2kg・m、ゲル化時間が230秒の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
イミダゾール化合物の含有量をフェノール樹脂に対して0.1%とし、原料混合物を70℃の加熱ニーダーで2.5分間溶融混練した後取り出した以外は、実施例1と同様にして、180℃におけるブラベンダー溶融トルクが0.2kg・m、ゲル化時間が230秒の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、実施例1と同様にして、セパレーター相当の成形品を得た。
[樹脂組成物の評価]
1.ブラベンダー溶融トルク
東洋精機製作所社製ラボプラストミルを用いて、180℃における樹脂組成物の最低溶融トルクを測定した。
2.ゲル化時間
キュラストメーター(V型)を用いて、180℃における樹脂組成物のゲル化時間を測定した。
1.ブラベンダー溶融トルク
東洋精機製作所社製ラボプラストミルを用いて、180℃における樹脂組成物の最低溶融トルクを測定した。
2.ゲル化時間
キュラストメーター(V型)を用いて、180℃における樹脂組成物のゲル化時間を測定した。
[成形品の評価]
1.反り量
実施例及び比較例で得られた成形品を定盤に置き、4隅の定盤からの高さを測定し、反り量とした。
2.厚み精度
実施例及び比較例で得られた成形品の厚み15箇所を測定し、その最大値と最小値の差を算出した。
3.導電性
図2に示す実施例及び比較例で得られた成形品の溝形状を有していない部分から40mm×40mmの試料を切り出した。これらの試料を用いて、図3に示す方法で貫通方向の抵抗を測定し、導電性の評価を行った。
即ち、試料1を2枚のカーボンペーパー2を介して電極1にセットし、貫通方向の固有抵抗を求めた。比較データとしてJIS K 7194に準拠し、体積固有抵抗率も測定した。
4.成形外観
実施例及び比較例で得られた20個の成形品表面にフクレや割れが生じていないかを目視観察した。
○:フクレ、割れなどの不良モードがなし
×:フクレ、割れなどの不良モードが1つ以上あり
1.反り量
実施例及び比較例で得られた成形品を定盤に置き、4隅の定盤からの高さを測定し、反り量とした。
2.厚み精度
実施例及び比較例で得られた成形品の厚み15箇所を測定し、その最大値と最小値の差を算出した。
3.導電性
図2に示す実施例及び比較例で得られた成形品の溝形状を有していない部分から40mm×40mmの試料を切り出した。これらの試料を用いて、図3に示す方法で貫通方向の抵抗を測定し、導電性の評価を行った。
即ち、試料1を2枚のカーボンペーパー2を介して電極1にセットし、貫通方向の固有抵抗を求めた。比較データとしてJIS K 7194に準拠し、体積固有抵抗率も測定した。
4.成形外観
実施例及び比較例で得られた20個の成形品表面にフクレや割れが生じていないかを目視観察した。
○:フクレ、割れなどの不良モードがなし
×:フクレ、割れなどの不良モードが1つ以上あり
表1の結果から、実施例1〜5は金型温度における溶融粘度及び硬化速度が特定の範囲内になるように樹脂の分子量、硬化剤、混練条件を適正化した樹脂組成物であり、この射出圧縮成形による成形品の寸法精度、電気特性はいずれも良好なものとなった。
特に実施例1〜3は本発明における請求範囲の圧縮ストロークで成形したため、反りと厚み精度のバランスがよい成形品が得られた。
一方、比較例1では、金型温度における溶融粘度が高く、硬化速度が速すぎるため、充填性が損なわれ、厚み精度が劣り、硬化不均一による反りの増大が生じた。
また、比較例2では、金型温度における硬化速度が遅すぎるため、成形品にフクレが生じ、導電性の低下を招いたり、完全な成形品として保持できなかったりするなど、硬化時間を延長する必要があった。
特に実施例1〜3は本発明における請求範囲の圧縮ストロークで成形したため、反りと厚み精度のバランスがよい成形品が得られた。
一方、比較例1では、金型温度における溶融粘度が高く、硬化速度が速すぎるため、充填性が損なわれ、厚み精度が劣り、硬化不均一による反りの増大が生じた。
また、比較例2では、金型温度における硬化速度が遅すぎるため、成形品にフクレが生じ、導電性の低下を招いたり、完全な成形品として保持できなかったりするなど、硬化時間を延長する必要があった。
本発明は、熱硬化性樹脂、導電性を有する炭素系基材を含有してなり、金型温度における溶融粘度及び硬化速度を適正化することを特徴とする樹脂組成物である。この樹脂組成物を射出成形及び射出圧縮成形することによって、寸法精度、電気特性に優れ、反りが小さい成形品を得ることができ、燃料電池セパレーター用として好適に使用できるものである。
また、本発明により大量生産に対応することが可能で、安価な燃料電池セパレーターを提供することができる。
また、本発明により大量生産に対応することが可能で、安価な燃料電池セパレーターを提供することができる。
1 電極
2 カーボンペーパー
3 本発明の成形品から切り出した試料
4 定電流装置
5 電圧計
2 カーボンペーパー
3 本発明の成形品から切り出した試料
4 定電流装置
5 電圧計
Claims (6)
- 熱硬化性樹脂(A)と、導電性を有する炭素系基材(B)とを必須成分として含有する樹脂組成物であって、金型温度におけるブラベンダー溶融トルクが0.4kg・m〜1.2kg・mであることを特徴とする燃料電池セパレーター用樹脂組成物。
- 金型温度におけるゲル化時間が15秒〜90秒である請求項1に記載の燃料電池セパレーター用樹脂組成物。
- 請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物を用いる成形方法であって、金型のゲート部がフィルム状サイドゲートであることを特徴とする燃料電池セパレーターの製造方法。
- 前記成形方法が射出成形である請求項3に記載の燃料電池セパレーターの製造方法。
- 前記成形方法が射出圧縮成形である請求項3に記載の燃料電池セパレーターの製造方法。
- 前記射出圧縮成形における圧縮ストロークが0.5mm〜5.0mmである請求項5に記載の燃料電池セパレーターの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004060717A JP2005251568A (ja) | 2004-03-04 | 2004-03-04 | 燃料電池セパレーター用樹脂組成物及びこれを成形してなる燃料電池セパレーターの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007184198A (ja) * | 2006-01-10 | 2007-07-19 | Toyota Motor Corp | 燃料電池用セパレータの製造方法 |
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2004
- 2004-03-04 JP JP2004060717A patent/JP2005251568A/ja active Pending
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