JP2004055375A - 燃料電池セパレーター用成形材料とその製造方法、及び燃料電池セパレーター - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性、導電性及び機械的強度に優れた燃料電池セパレーター用成形材料とその製造方法、及び燃料電池セパレーターを提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有し、前記黒鉛として塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料であり、好ましくは、前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、平均粒径が20〜100μmで比表面積が5〜10m2/gであり、前記黒鉛全体に対して10〜50重量%が含有され、前記塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛は、比表面積が0.5〜5m2/gである。
【選択図】 なし
【解決手段】熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有し、前記黒鉛として塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料であり、好ましくは、前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、平均粒径が20〜100μmで比表面積が5〜10m2/gであり、前記黒鉛全体に対して10〜50重量%が含有され、前記塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛は、比表面積が0.5〜5m2/gである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術的分野】
本発明は、固体高分子形燃料電池セパレーター用成形材料とその製造方法、及び固体高分子形燃料電池セパレーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子形燃料電池は、燃料ガスと酸化ガスとの電気化学的反応によって生ずる電気を取り出す一種の発電装置である。セパレーターとは電極の間で燃料ガス及び酸化ガスの流路を形成すると共に、両ガスを隔てる分離板である。また、発生した電気を集める集電板としての役割も果たしている。従って、セパレーターには高導電性とガス不透過性が要求される。また、通常必要な電圧を得るためにセパレーター、膜・電極接合体、ガス拡散層などからなる単セルを数百枚積層する。その際、各部材の接触抵抗を小さくし、ガスシール性を確保するために、強い力で締め付けられる。そのため積層の締め付け力に耐えうる機械的強度が必要となる
【0003】
固体高分子形燃料電池セパレーターの製造方法としては、カーボン粉末を原料としてこれにフェノール樹脂をバインダーとして加え、混練、成形した後に炭化及び黒鉛化する方法が知られている(例えば特開平8−222241号公報等)。しかし、この方法の場合、1000〜3000℃の高温で長時間加熱を行う焼成の工程とともに、焼成したカーボン板にガス流路を切削加工する工程を含むために、製造に要する時間とコストが高くなるという問題があった。あるいは、金属板などに溝をプレス加工した上で樹脂コートを行うなどの金属樹脂コンポジットを素材とする方法(例えば、特開平11−345618号公報、新エネルギー産業技術総合開発機構 平成12年度固体高分子形燃料電池研究開発成果報告会要旨集P70)などにより製作が試みられてきたが、使用される環境における金属と樹脂との界面層での層剥離及び金属板の腐食問題等が解決せず、品質と価格で適切なセパレーターを供給する目処が立っていない。
【0004】
このため、更に種々の試みがなされており、黒鉛やカーボンブラック等の導電性炭素系基材を樹脂でバインドして成形材料化し、これを加熱成形することにより溝形状を付与するモールド成形法が、コストと特性の両立する手法として有望視されている。この手法ではセパレーターとして高導電性を得るために、成形材料中の黒鉛粒子の配合量を多くする必要がある。しかし、黒鉛粒子をこのように大量に配合した場合、材料の流動性が十分でないために充填不足となったり、燃料ガスや酸化ガスが透過してしまったり、基材同士を結びつけるバインダーとしての樹脂量が少ないために機械的強度が不足するなどの問題が発生してしまう。従って、成形性と導電性及び機械的強度の3つの特性を両立させるための技術が必要となる。これまで黒鉛の粒子形状を最適化することにより、種々の試みがなされてきた。
【0005】
例えば、黒鉛粒子のアスペクト比を小さくし、粒径を揃える試み(例えば、特公昭64−340号公報)では、導電性には優れるが、アスペクト比が小さいために流動性が悪化し、ガス不透過性や機械的強度に問題が起こる可能性がある。これを解決するために黒鉛粒子のアスペクト比を大きくして充填性を改良する試み(WO99/05737号公報)がある。しかし、この方法では成形時に黒鉛が配向し、貫通方向の導電性が低下する問題があった。また、繊維系の基材を添加して機械的強度を向上させる試みもあるが、繊維の分散性や導電性の低下に問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形性、導電性及び機械的強度に優れた燃料電池セパレーター用成形材料とその製造方法、及び燃料電池セパレーターを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明(1)〜(9)によって達成される。
(1)熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有し、前記黒鉛として塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料。
(2)前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、前記黒鉛300〜900重量部を含有する上記(1)に記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(3)前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、平均粒径が20〜100μmである上記(1)又は(2)に記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(4)前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、比表面積が5〜10m2/gである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(5)前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、前記黒鉛全体に対して10〜50重量%が含有される上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(6)前記塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛は、比表面積が0.5〜5m2/gである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(7)上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料を成形してなる燃料電池セパレーター。
(8)上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料を製造する方法であって、熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有する原材料混合物を、溶融混練装置を用いて混練することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料の製造方法。
(9)上記(8)に記載の燃料電池セパレーター用成形材料の製造方法により得られた成形材料を成形してなる燃料電池セパレーター。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の燃料電池セパレーター用成形材料とその製造方法、及び燃料電池セパレーターについて説明する。
本発明の燃料電池セパレーター用成形材料(以下、「成形材料」という)は、熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有し、前記黒鉛として塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする。
また、本発明の燃料電池セパレーター用成形材料の製造方法(以下、「成形材料の製造方法」という)は、前記本発明の成形材料を製造する方法であって、熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有する原材料混合物を、溶融混練装置を用いて混練することを特徴とする。
そして、本発明の燃料電池セパレーターは、前記成形材料及び前記製造方法により得られた成形材料を成形してなるものである。
まず、本発明の成形材料について詳しく述べる。
【0009】
本発明の成形材料に用いられる熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、フェノール樹脂、エポキシ樹脂を用いた場合は、耐熱性、機械的強度、電気的特性、価格などにおいて優れている。また、ベースとなる樹脂を低分子量のものから選択することができるため、黒鉛の配合比率が高い本発明の成形材料においても、成形材料製造時の材料粘度を調整しやすく、さらに、成形時に流動性を付与しやすいという点でも好ましいものである。
【0010】
本発明の成形材料には、成形品に導電性を付与するために黒鉛を配合するが、ここで用いられる黒鉛は、塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする。塊状コークスを原料とする黒鉛は、結晶化度が低く、結晶サイズが小さい黒鉛であり、その形状から配向性が小さい。また、粒子表面に細かい凹凸が多くあることから比表面積が大きいという特徴を有し、バインダーとして用いる熱硬化性樹脂との密着性に優れるため、いわゆるアンカー効果により成形品の機械的強度を向上させることができる。
【0011】
本発明で用いられる塊状コークスを原料とする黒鉛は特に限定されないが、平均粒径が20〜100μmであり、比表面積が5〜10m2/gであることが好ましい。さらに好ましくは、平均粒径が50〜80μmであり、比表面積が6〜8m2/gである。これにより、成形材料の流動性を実質的に低下させることなく、成形品に良好な機械的強度を付与することができるので、成形性や成形品の特性のバランスに優れた成形材料とすることができる。平均粒径が前記下限値未満であったり、比表面積が前記上限値より大きかったりすると、成形時の流動性が低下するようになる。また、平均粒径が前記上限値を越えたり、比表面積が前記下限値未満であったりすると、成形品の機械的強度を向上させる効果が小さくなる場合がある。
【0012】
前記塊状コークスを原料とする黒鉛の含有量としては特に限定されないが、前記黒鉛全体に対して10〜50重量%であることが好ましい。さらに好ましくは20〜40重量%である。これにより、前記効果を有効に発現させることができる。含有量が前記下限値より少ないと、アンカー効果を充分に発揮することができず、機械的強度の向上効果が小さい場合がある。また、前記上限値を超えると、塊状コークスを原料とする黒鉛同士が直接接触する確率が高くなるため、成形時に黒鉛粒子表面の凸凹構造に由来する流動性の低下が起こることがある。
【0013】
本発明の成形材料で用いられる塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛の種類としては特に限定されないが、比表面積が0.5〜5m2/gであることが好ましい。かかる黒鉛としては特に限定されないが、例えば、針状コークスを原料とする人造黒鉛や、メソフェーズ小球体を原料とする高密度等方性黒鉛、及び鱗片状黒鉛、土壌黒鉛などの天然黒鉛が挙げられる。このような黒鉛は、粒子表面が比較的平滑であることから、成形材料の流動性を大きくすることができるので、成形品の成形性に優れ、厚み方向の導電性を確保できるという利点を有する。比表面積が前記上限値より大きいと、成形時の流動性が低下する傾向がみられるようになる。また、前記下限値未満であると機械的強度が低下する傾向がある。なお、本発明で比表面積とは、単位質量あたりの全粒子表面積で表される値であり、具体的には、窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET法により測定されたものである。
【0014】
以上に述べたように、本発明の成形材料に用いられる黒鉛には、塊状コークスを原料とする黒鉛を配合することにより、成形品に充分な機械的強度を付与することができる。そして、塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛として、好ましくは所定の比表面積を有するものを使用することにより、成形時の流動性を確保し、燃料電池セパレーターの厚み精度を実質的に低下させないようにすることができる。本発明の成形材料は、このように性状が異なる黒鉛を併用し、これらが付与する効果を効果的に発現させることにより、燃料電池セパレーターに成形性、導電性、機械的強度のバランスに優れた特性を付与できることを見出したものである。
【0015】
本発明の成形材料において、熱硬化性樹脂と黒鉛との配合割合については特に限定されないが、熱硬化性樹脂100重量部に対して黒鉛300〜900重量部であることが好ましい。さらに好ましくは500〜800重量部である。これにより、成形材料を成形する際に最低限必要な流動性と、成形品である燃料電池セパレーターに良好な導電性を付与することができる。黒鉛の配合量が前記上限値を上回ると、成形時の流動性が不足し精密な形状を成形することが難しいことがある。一方、前記下限値を下回ると、燃料電池セパレーターとして要求される導電性が十分でなくなることがある。これは、成形品内において熱硬化性樹脂が占有する体積が増えることで、黒鉛粒子間に絶縁層である樹脂が多く存在する確率が高くなり、結果として絶縁体部分が増えて導電性を低下させるものと考えられる。
【0016】
なお、本発明の成形材料には、これまで説明した熱硬化性樹脂、黒鉛以外にも、本発明の目的および効果に反しない範囲内において、燃料電池セパレーター用成形材料として一般的に用いられる滑材、離型剤、着色剤、硬化促進剤、難燃剤などを用いることができる。
【0017】
次に、本発明の成形材料の製造方法について説明する。
本発明の成形材料の製造方法は、上記の本発明の成形材料を製造する方法であり、熱硬化性樹脂と黒鉛とを含有する原材料混合物を、溶融混練装置を用いて混練することを特徴とする。これにより、原材料混合物の均一混合性を高めることができ、熱硬化性樹脂と黒鉛との濡れ性、密着性を高めることができるので、成形品の成形性、導電性、機械的強度などの特性を良好なものにすることができる。溶融混練装置としては特に限定されないが、二軸ニーダー、二軸押出機、単軸押出機、ロール混練装置などの公知のものを用いることができる。混練条件としても特に限定されず、用いる黒鉛の粒度分布・性状、溶融混練装置の種類、成形材料の組成・性状、及び成形材料中の黒鉛の粒度分布などを考慮し、最適な混練条件を選定して用いることができる。
【0018】
次に、本発明の燃料電池セパレーターについて説明する。本発明の燃料電池セパレーターは、前記本発明の成形材料、あるいは前記本発明の成形材料の製造方法により得られた成形材料を成形してなるものである。
本発明の燃料電池セパレーターの成形方法としては特に限定されないが、通常、圧縮成形やトランスファー成形が用いられる。圧縮成形を用いる場合は、成形品の形状に合わせて予備成形品を成形し、これを成形することで成形性を補助することもできる。圧縮成形の一例を挙げると、圧力50〜400kg/cm2、温度20〜70℃、時間0.1〜2分間で予備成形品を成形し、これをさらに圧力200〜1500kg/cm2、温度150〜200℃、時間1〜30分間で成形することにより、燃料電池セパレーター用成形品を得ることができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
1.成形材料の製造
表1に示した原料配合比で、原料混合物をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製・FM20B)を用い、室温で1分間350rpmで混合した後、引き続き、二軸押出機(東芝機械製・TEM−50)を用い、80℃で混練した後、造粒して成形材料を得た。
【0020】
2.燃料電池セパレーター用材料としての諸特性評価(その1)
(1)貫通方向抵抗率の測定
図1に示す方法で行った。
実施例および比較例で得られた成形材料を用いて、金型温度170℃、成形圧力300kg/cm2、成形時間3分間で圧縮成形して、80×80×15mmの試料3、及び80×80×5mmの試料4を得た。これらの試料を用いて貫通方向の抵抗値を測定した。即ち、厚さの異なる2枚の試料3、試料4を組み合わせて、カーボンペーパー2を介して電極1にセットし、成形体の厚みが異なった状態での抵抗値より、貫通方向の固有抵抗を求めた。
【0021】
3.燃料電池セパレーター用素材としての諸特性評価(その2)
実施例又は比較例で得られた成形材料を用いて、金型温度170℃、成形圧力400kg/cm2、成形時間3分間で圧縮成形して300×300×2mmの大きさの成形品を得た。この成形品およびこれより切り出したテストピースを用いて評価を行った。
(1)曲げ強度:JIS−K6911に準じて行った。
(2)厚み精度:300×300×2mmの大きさの成形品を用い、ミツトヨ社製・3次元測定器を用いて等間隔に16ヶ所の厚みを測定し、最大値と最小値の差を厚み精度とした。
【0022】
実施例、比較例における原材料の配合と、成形品の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0023】
(表の注)
(1)フェノール樹脂:以下の方法により製造したものを用いた。
2リットルフラスコにホルムアルデヒド(F)とフェノール(P)をモル比(F/P)=1.7で仕込み、ナフテン酸亜鉛と蓚酸を用いてPHを5.5に調整し、120rpmで攪拌しながら4時間反応させた。次に常圧のまま120℃まで脱水昇温したあと、減圧下で脱水しながら160℃まで昇温した後、フラスコから取り出してレゾール型フェノール樹脂(遊離フェノール除外フェノール換算数平均分子量864)を得た。
(2)エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製・エピコート1001(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、数平均分子量900)
(3)硬化剤:四国化成工業社製・2MZ
(4)脂肪酸:東亜化成社製カルナバワックス(平均炭素数26、融点83℃)
(5)塊状コークスを原料とする黒鉛:株式会社エスイーシー製SGLを用い、これを分級して下記の特性を有する塊状コークスを原料とする黒鉛1〜3を調製して使用した。
a)1:平均粒径80μm、比表面積6m2/g
b)2:平均粒径60μm、比表面積8m2/g
c)3:平均粒径30μm、比表面積10m2/g
(6)塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛:日本黒鉛工業株式会社製PAGを用い、これを分級して下記の特性を有する塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛1〜3を調製して使用した。
a)1:平均粒径120μm、比表面積0.6m2/g
b)2:平均粒径50μm、比表面積3.5m2/g
c)3:平均粒径30μm、比表面積6.5m2/g
【0024】
表1の結果より、実施例1〜9は、熱硬化性樹脂と黒鉛とを含有し、黒鉛の一部に塊状コークスを原料とする黒鉛を用いた本発明の成形材料であり、これを用いた燃料電池セパレーター相当の成形品は曲げ強度に優れたものが得られた。特に、実施例1〜5は、塊状コークスを原料とする黒鉛及び塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛として最適な性状のものを用い、その配合量についても最も好ましい範囲であったので、電気的特性や厚み精度とのバランスにおいても優れたものとなった。一方、比較例は塊状コークスを原料とする黒鉛を用いなかったので、曲げ強度に劣る成形品となった。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有し、前記黒鉛として塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料であり、これを成形してなる燃料電池セパレーターに充分な機械的強度を付与することができる。さらに、塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛として、好ましくは比表面積が所定のものを用いることにより、成形材料に良好な流動性を与え、成形性、導電性を実質的に低下させることがないものである。従って本発明は、成形性、導電性、及び機械的強度のバランスに優れた燃料電池セパレーターを得られる成形材料として好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における貫通方向抵抗率の測定方法を示す概略図
【符号の説明】
1 電極
2 カーボンペーパー
3 本発明の成形材料の成形物(厚さ15mm)
4 本発明の成形材料の成形物(厚さ5mm)
5 定電流装置
6 電圧計
【発明の属する技術的分野】
本発明は、固体高分子形燃料電池セパレーター用成形材料とその製造方法、及び固体高分子形燃料電池セパレーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子形燃料電池は、燃料ガスと酸化ガスとの電気化学的反応によって生ずる電気を取り出す一種の発電装置である。セパレーターとは電極の間で燃料ガス及び酸化ガスの流路を形成すると共に、両ガスを隔てる分離板である。また、発生した電気を集める集電板としての役割も果たしている。従って、セパレーターには高導電性とガス不透過性が要求される。また、通常必要な電圧を得るためにセパレーター、膜・電極接合体、ガス拡散層などからなる単セルを数百枚積層する。その際、各部材の接触抵抗を小さくし、ガスシール性を確保するために、強い力で締め付けられる。そのため積層の締め付け力に耐えうる機械的強度が必要となる
【0003】
固体高分子形燃料電池セパレーターの製造方法としては、カーボン粉末を原料としてこれにフェノール樹脂をバインダーとして加え、混練、成形した後に炭化及び黒鉛化する方法が知られている(例えば特開平8−222241号公報等)。しかし、この方法の場合、1000〜3000℃の高温で長時間加熱を行う焼成の工程とともに、焼成したカーボン板にガス流路を切削加工する工程を含むために、製造に要する時間とコストが高くなるという問題があった。あるいは、金属板などに溝をプレス加工した上で樹脂コートを行うなどの金属樹脂コンポジットを素材とする方法(例えば、特開平11−345618号公報、新エネルギー産業技術総合開発機構 平成12年度固体高分子形燃料電池研究開発成果報告会要旨集P70)などにより製作が試みられてきたが、使用される環境における金属と樹脂との界面層での層剥離及び金属板の腐食問題等が解決せず、品質と価格で適切なセパレーターを供給する目処が立っていない。
【0004】
このため、更に種々の試みがなされており、黒鉛やカーボンブラック等の導電性炭素系基材を樹脂でバインドして成形材料化し、これを加熱成形することにより溝形状を付与するモールド成形法が、コストと特性の両立する手法として有望視されている。この手法ではセパレーターとして高導電性を得るために、成形材料中の黒鉛粒子の配合量を多くする必要がある。しかし、黒鉛粒子をこのように大量に配合した場合、材料の流動性が十分でないために充填不足となったり、燃料ガスや酸化ガスが透過してしまったり、基材同士を結びつけるバインダーとしての樹脂量が少ないために機械的強度が不足するなどの問題が発生してしまう。従って、成形性と導電性及び機械的強度の3つの特性を両立させるための技術が必要となる。これまで黒鉛の粒子形状を最適化することにより、種々の試みがなされてきた。
【0005】
例えば、黒鉛粒子のアスペクト比を小さくし、粒径を揃える試み(例えば、特公昭64−340号公報)では、導電性には優れるが、アスペクト比が小さいために流動性が悪化し、ガス不透過性や機械的強度に問題が起こる可能性がある。これを解決するために黒鉛粒子のアスペクト比を大きくして充填性を改良する試み(WO99/05737号公報)がある。しかし、この方法では成形時に黒鉛が配向し、貫通方向の導電性が低下する問題があった。また、繊維系の基材を添加して機械的強度を向上させる試みもあるが、繊維の分散性や導電性の低下に問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形性、導電性及び機械的強度に優れた燃料電池セパレーター用成形材料とその製造方法、及び燃料電池セパレーターを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明(1)〜(9)によって達成される。
(1)熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有し、前記黒鉛として塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料。
(2)前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、前記黒鉛300〜900重量部を含有する上記(1)に記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(3)前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、平均粒径が20〜100μmである上記(1)又は(2)に記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(4)前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、比表面積が5〜10m2/gである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(5)前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、前記黒鉛全体に対して10〜50重量%が含有される上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(6)前記塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛は、比表面積が0.5〜5m2/gである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
(7)上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料を成形してなる燃料電池セパレーター。
(8)上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料を製造する方法であって、熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有する原材料混合物を、溶融混練装置を用いて混練することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料の製造方法。
(9)上記(8)に記載の燃料電池セパレーター用成形材料の製造方法により得られた成形材料を成形してなる燃料電池セパレーター。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の燃料電池セパレーター用成形材料とその製造方法、及び燃料電池セパレーターについて説明する。
本発明の燃料電池セパレーター用成形材料(以下、「成形材料」という)は、熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有し、前記黒鉛として塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする。
また、本発明の燃料電池セパレーター用成形材料の製造方法(以下、「成形材料の製造方法」という)は、前記本発明の成形材料を製造する方法であって、熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有する原材料混合物を、溶融混練装置を用いて混練することを特徴とする。
そして、本発明の燃料電池セパレーターは、前記成形材料及び前記製造方法により得られた成形材料を成形してなるものである。
まず、本発明の成形材料について詳しく述べる。
【0009】
本発明の成形材料に用いられる熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、フェノール樹脂、エポキシ樹脂を用いた場合は、耐熱性、機械的強度、電気的特性、価格などにおいて優れている。また、ベースとなる樹脂を低分子量のものから選択することができるため、黒鉛の配合比率が高い本発明の成形材料においても、成形材料製造時の材料粘度を調整しやすく、さらに、成形時に流動性を付与しやすいという点でも好ましいものである。
【0010】
本発明の成形材料には、成形品に導電性を付与するために黒鉛を配合するが、ここで用いられる黒鉛は、塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする。塊状コークスを原料とする黒鉛は、結晶化度が低く、結晶サイズが小さい黒鉛であり、その形状から配向性が小さい。また、粒子表面に細かい凹凸が多くあることから比表面積が大きいという特徴を有し、バインダーとして用いる熱硬化性樹脂との密着性に優れるため、いわゆるアンカー効果により成形品の機械的強度を向上させることができる。
【0011】
本発明で用いられる塊状コークスを原料とする黒鉛は特に限定されないが、平均粒径が20〜100μmであり、比表面積が5〜10m2/gであることが好ましい。さらに好ましくは、平均粒径が50〜80μmであり、比表面積が6〜8m2/gである。これにより、成形材料の流動性を実質的に低下させることなく、成形品に良好な機械的強度を付与することができるので、成形性や成形品の特性のバランスに優れた成形材料とすることができる。平均粒径が前記下限値未満であったり、比表面積が前記上限値より大きかったりすると、成形時の流動性が低下するようになる。また、平均粒径が前記上限値を越えたり、比表面積が前記下限値未満であったりすると、成形品の機械的強度を向上させる効果が小さくなる場合がある。
【0012】
前記塊状コークスを原料とする黒鉛の含有量としては特に限定されないが、前記黒鉛全体に対して10〜50重量%であることが好ましい。さらに好ましくは20〜40重量%である。これにより、前記効果を有効に発現させることができる。含有量が前記下限値より少ないと、アンカー効果を充分に発揮することができず、機械的強度の向上効果が小さい場合がある。また、前記上限値を超えると、塊状コークスを原料とする黒鉛同士が直接接触する確率が高くなるため、成形時に黒鉛粒子表面の凸凹構造に由来する流動性の低下が起こることがある。
【0013】
本発明の成形材料で用いられる塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛の種類としては特に限定されないが、比表面積が0.5〜5m2/gであることが好ましい。かかる黒鉛としては特に限定されないが、例えば、針状コークスを原料とする人造黒鉛や、メソフェーズ小球体を原料とする高密度等方性黒鉛、及び鱗片状黒鉛、土壌黒鉛などの天然黒鉛が挙げられる。このような黒鉛は、粒子表面が比較的平滑であることから、成形材料の流動性を大きくすることができるので、成形品の成形性に優れ、厚み方向の導電性を確保できるという利点を有する。比表面積が前記上限値より大きいと、成形時の流動性が低下する傾向がみられるようになる。また、前記下限値未満であると機械的強度が低下する傾向がある。なお、本発明で比表面積とは、単位質量あたりの全粒子表面積で表される値であり、具体的には、窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET法により測定されたものである。
【0014】
以上に述べたように、本発明の成形材料に用いられる黒鉛には、塊状コークスを原料とする黒鉛を配合することにより、成形品に充分な機械的強度を付与することができる。そして、塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛として、好ましくは所定の比表面積を有するものを使用することにより、成形時の流動性を確保し、燃料電池セパレーターの厚み精度を実質的に低下させないようにすることができる。本発明の成形材料は、このように性状が異なる黒鉛を併用し、これらが付与する効果を効果的に発現させることにより、燃料電池セパレーターに成形性、導電性、機械的強度のバランスに優れた特性を付与できることを見出したものである。
【0015】
本発明の成形材料において、熱硬化性樹脂と黒鉛との配合割合については特に限定されないが、熱硬化性樹脂100重量部に対して黒鉛300〜900重量部であることが好ましい。さらに好ましくは500〜800重量部である。これにより、成形材料を成形する際に最低限必要な流動性と、成形品である燃料電池セパレーターに良好な導電性を付与することができる。黒鉛の配合量が前記上限値を上回ると、成形時の流動性が不足し精密な形状を成形することが難しいことがある。一方、前記下限値を下回ると、燃料電池セパレーターとして要求される導電性が十分でなくなることがある。これは、成形品内において熱硬化性樹脂が占有する体積が増えることで、黒鉛粒子間に絶縁層である樹脂が多く存在する確率が高くなり、結果として絶縁体部分が増えて導電性を低下させるものと考えられる。
【0016】
なお、本発明の成形材料には、これまで説明した熱硬化性樹脂、黒鉛以外にも、本発明の目的および効果に反しない範囲内において、燃料電池セパレーター用成形材料として一般的に用いられる滑材、離型剤、着色剤、硬化促進剤、難燃剤などを用いることができる。
【0017】
次に、本発明の成形材料の製造方法について説明する。
本発明の成形材料の製造方法は、上記の本発明の成形材料を製造する方法であり、熱硬化性樹脂と黒鉛とを含有する原材料混合物を、溶融混練装置を用いて混練することを特徴とする。これにより、原材料混合物の均一混合性を高めることができ、熱硬化性樹脂と黒鉛との濡れ性、密着性を高めることができるので、成形品の成形性、導電性、機械的強度などの特性を良好なものにすることができる。溶融混練装置としては特に限定されないが、二軸ニーダー、二軸押出機、単軸押出機、ロール混練装置などの公知のものを用いることができる。混練条件としても特に限定されず、用いる黒鉛の粒度分布・性状、溶融混練装置の種類、成形材料の組成・性状、及び成形材料中の黒鉛の粒度分布などを考慮し、最適な混練条件を選定して用いることができる。
【0018】
次に、本発明の燃料電池セパレーターについて説明する。本発明の燃料電池セパレーターは、前記本発明の成形材料、あるいは前記本発明の成形材料の製造方法により得られた成形材料を成形してなるものである。
本発明の燃料電池セパレーターの成形方法としては特に限定されないが、通常、圧縮成形やトランスファー成形が用いられる。圧縮成形を用いる場合は、成形品の形状に合わせて予備成形品を成形し、これを成形することで成形性を補助することもできる。圧縮成形の一例を挙げると、圧力50〜400kg/cm2、温度20〜70℃、時間0.1〜2分間で予備成形品を成形し、これをさらに圧力200〜1500kg/cm2、温度150〜200℃、時間1〜30分間で成形することにより、燃料電池セパレーター用成形品を得ることができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
1.成形材料の製造
表1に示した原料配合比で、原料混合物をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製・FM20B)を用い、室温で1分間350rpmで混合した後、引き続き、二軸押出機(東芝機械製・TEM−50)を用い、80℃で混練した後、造粒して成形材料を得た。
【0020】
2.燃料電池セパレーター用材料としての諸特性評価(その1)
(1)貫通方向抵抗率の測定
図1に示す方法で行った。
実施例および比較例で得られた成形材料を用いて、金型温度170℃、成形圧力300kg/cm2、成形時間3分間で圧縮成形して、80×80×15mmの試料3、及び80×80×5mmの試料4を得た。これらの試料を用いて貫通方向の抵抗値を測定した。即ち、厚さの異なる2枚の試料3、試料4を組み合わせて、カーボンペーパー2を介して電極1にセットし、成形体の厚みが異なった状態での抵抗値より、貫通方向の固有抵抗を求めた。
【0021】
3.燃料電池セパレーター用素材としての諸特性評価(その2)
実施例又は比較例で得られた成形材料を用いて、金型温度170℃、成形圧力400kg/cm2、成形時間3分間で圧縮成形して300×300×2mmの大きさの成形品を得た。この成形品およびこれより切り出したテストピースを用いて評価を行った。
(1)曲げ強度:JIS−K6911に準じて行った。
(2)厚み精度:300×300×2mmの大きさの成形品を用い、ミツトヨ社製・3次元測定器を用いて等間隔に16ヶ所の厚みを測定し、最大値と最小値の差を厚み精度とした。
【0022】
実施例、比較例における原材料の配合と、成形品の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0023】
(表の注)
(1)フェノール樹脂:以下の方法により製造したものを用いた。
2リットルフラスコにホルムアルデヒド(F)とフェノール(P)をモル比(F/P)=1.7で仕込み、ナフテン酸亜鉛と蓚酸を用いてPHを5.5に調整し、120rpmで攪拌しながら4時間反応させた。次に常圧のまま120℃まで脱水昇温したあと、減圧下で脱水しながら160℃まで昇温した後、フラスコから取り出してレゾール型フェノール樹脂(遊離フェノール除外フェノール換算数平均分子量864)を得た。
(2)エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製・エピコート1001(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、数平均分子量900)
(3)硬化剤:四国化成工業社製・2MZ
(4)脂肪酸:東亜化成社製カルナバワックス(平均炭素数26、融点83℃)
(5)塊状コークスを原料とする黒鉛:株式会社エスイーシー製SGLを用い、これを分級して下記の特性を有する塊状コークスを原料とする黒鉛1〜3を調製して使用した。
a)1:平均粒径80μm、比表面積6m2/g
b)2:平均粒径60μm、比表面積8m2/g
c)3:平均粒径30μm、比表面積10m2/g
(6)塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛:日本黒鉛工業株式会社製PAGを用い、これを分級して下記の特性を有する塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛1〜3を調製して使用した。
a)1:平均粒径120μm、比表面積0.6m2/g
b)2:平均粒径50μm、比表面積3.5m2/g
c)3:平均粒径30μm、比表面積6.5m2/g
【0024】
表1の結果より、実施例1〜9は、熱硬化性樹脂と黒鉛とを含有し、黒鉛の一部に塊状コークスを原料とする黒鉛を用いた本発明の成形材料であり、これを用いた燃料電池セパレーター相当の成形品は曲げ強度に優れたものが得られた。特に、実施例1〜5は、塊状コークスを原料とする黒鉛及び塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛として最適な性状のものを用い、その配合量についても最も好ましい範囲であったので、電気的特性や厚み精度とのバランスにおいても優れたものとなった。一方、比較例は塊状コークスを原料とする黒鉛を用いなかったので、曲げ強度に劣る成形品となった。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有し、前記黒鉛として塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料であり、これを成形してなる燃料電池セパレーターに充分な機械的強度を付与することができる。さらに、塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛として、好ましくは比表面積が所定のものを用いることにより、成形材料に良好な流動性を与え、成形性、導電性を実質的に低下させることがないものである。従って本発明は、成形性、導電性、及び機械的強度のバランスに優れた燃料電池セパレーターを得られる成形材料として好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における貫通方向抵抗率の測定方法を示す概略図
【符号の説明】
1 電極
2 カーボンペーパー
3 本発明の成形材料の成形物(厚さ15mm)
4 本発明の成形材料の成形物(厚さ5mm)
5 定電流装置
6 電圧計
Claims (9)
- 熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有し、前記黒鉛として塊状コークスを原料とする黒鉛を含有することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料。
- 前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、前記黒鉛300〜900重量部を含有する請求項1に記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
- 前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、平均粒径が20〜100μmである請求項1又は2に記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
- 前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、比表面積が5〜10m2/gである請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
- 前記塊状コークスを原料とする黒鉛は、前記黒鉛全体に対して10〜50重量%が含有される請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
- 前記塊状コークスを原料とする黒鉛以外の黒鉛は、比表面積が0.5〜5m2/gである請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料を成形してなる燃料電池セパレーター。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の燃料電池セパレーター用成形材料を製造する方法であって、熱硬化性樹脂と黒鉛とを必須成分として含有する原材料混合物を、溶融混練装置を用いて混練することを特徴とする燃料電池セパレーター用成形材料の製造方法。
- 請求項8に記載の燃料電池セパレーター用成形材料の製造方法により得られた成形材料を成形してなる燃料電池セパレーター。
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---|---|---|---|
JP2002212162A JP2004055375A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | 燃料電池セパレーター用成形材料とその製造方法、及び燃料電池セパレーター |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006331673A (ja) * | 2005-05-23 | 2006-12-07 | Nisshinbo Ind Inc | 燃料電池セパレータ |
WO2007072745A1 (ja) * | 2005-12-21 | 2007-06-28 | Tokai Carbon Co., Ltd. | 固体高分子形燃料電池用セパレータ材及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-07-22 JP JP2002212162A patent/JP2004055375A/ja active Pending
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WO2007072745A1 (ja) * | 2005-12-21 | 2007-06-28 | Tokai Carbon Co., Ltd. | 固体高分子形燃料電池用セパレータ材及びその製造方法 |
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