JP2005247681A - 種結晶の固定方法及びその固定方法を用いた単結晶の製造方法 - Google Patents

種結晶の固定方法及びその固定方法を用いた単結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】種結晶と種結晶を保持する黒鉛台座とを空隙のない金属炭化物層を用いて結合させることにより、成長単結晶中に伸長するマクロ欠陥の発生を抑制した炭化珪素単結晶を成長させるための種結晶の固定方法及びこれを用いた単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】種結晶(3)を黒鉛台座(1)に固定して種結晶(3)から単結晶を成長させるための種結晶の固定方法において、単結晶の成長温度以下の融点を持つ金属材料(2)を黒鉛台座(1)上に配置し、その金属材料(2)の上に種結晶(3)を配置し、さらにその種結晶(3)の上に加重を加えるための加圧部材(4)を配置した積層体(25)を形成し、積層体(25)を金属材料(2)の融点以上、かつ単結晶の成長温度以下の温度で加熱処理して黒鉛台座(1)と金属材料(11)と種結晶(3)を固定一体化し、積層体(25)を冷却し、積層体(25)から加圧部材(4)を取り除く。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素などの単結晶成長用の種結晶を黒鉛台座に固定するための固定方法及びそれらを用いた単結晶の製造方法に関するものである。
近年、炭化珪素単結晶基板は高耐圧電力用トランジスタ、高耐圧ダイオード等の高耐圧大電力用半導体デバイスの半導体基板として開発されている。そして、この炭化珪素単結晶基板の製造方法として、昇華再結晶法(改良レーリー法)が主に採用されている。図5はこの昇華再結晶法に用いられる装置の概略図で、容器体14と台座を備えた蓋体15よりなる黒鉛製坩堝の下半部内には、原料粉末としてSiC粉末16が収容してあり、これに対向する蓋体15の下面には種結晶17が配置してある。坩堝内は、SiC粉末16側が高温に、種結晶17側が低温になるように保持され、SiC粉末16の昇華ガスが低温の種結晶17上で再結晶することにより単結晶18が成長する。
上記方法において、種結晶17は、通常、蓋体15に設けた台座に接着剤を用いて貼付けられる。ところが、この場合、図6Aに示すように、接着剤を乾燥・硬化させる熱処理工程により接着層19に気泡が発生しやすく、接着層19に空隙20が残ってしまう。この空隙20が存在する状態で単結晶を成長させると、空隙20がなく接着層19に密着している場所では蓋体15に熱が伝導するため、種結晶17と蓋体15の温度勾配はなく、空隙20が存在する場所では種結晶17が蓋体15に熱を逃がさないために、局所的に種結晶17と蓋体15の間に温度勾配が生じる。
この結果、図6Bに示すように、空隙部分20で種結晶17の裏面から温度の低い蓋体15に向かって種結晶17の昇華が起こる。こうした、種結晶17の裏面で起こる裏面昇華は、種結晶17と蓋体15の貼付け面の複数箇所で発生し、単結晶成長中において継続して起こり、図6Cに示すように、種結晶17と台座との界面から成長方向に伝播する大きな欠陥(マクロ欠陥)21を引き起こす。このマクロ欠陥21の存在により、長尺のSiC単結晶を得ても、実用可能なSiCウェーハを多数枚切出すことが困難となるばかりでなく、マクロ欠陥21を起点にマイクロパイプと呼ばれる中空貫通欠陥を誘発するおそれがある。このため、高品質SiC単結晶を大面積で得ることは困難であるという問題がある。
これを解決するため、例えば、種結晶と蓋体の台座との間に炭化層を介在させて両者を結合させることにより、種結晶の面内温度分布を均一にする方法が提案されている(特許文献1参照)。この構成は、図6A−Cの接着層19が炭化層22に置き代わっているだけなので図示を省略する。また、種結晶の単結晶が成長する面以外の面に、単結晶成長条件において安定な物質(例えば、タンタル)よりなる保護層で被覆した上で、蓋体の台座に接着剤で接合することにより、マクロ欠陥を抑制する方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開平9−110584号公報 特開平9−268096号公報
しかし、特許文献1の方法は、高分子材料を含有する液状接着剤(例えば、レジスト)を介在させたあと、高温で熱処理することにより種結晶17と蓋体15の台座との間に炭化層22を形成して種結晶17を固定しているため、熱処理工程により発生した気泡が原因で生じる空隙20が発生しやすく、図6Cに示したのと同様にマクロ欠陥21を完全に抑制することはできない。
また、特許文献2の方法においても、図7A−Cに示すように、接着層19の不均一さにより局所的な温度分布が発生し、その結果、保護層23にクラック24が入り、そのクラック24を通して種結晶17と蓋体15の台座貼付け面の間で裏面昇華が起こり、マクロ欠陥21が発生してしまうという問題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、種結晶裏面と台座との間で生じる裏面昇華を防止し、成長結晶中に伸長するマクロ欠陥の発生をより確実に抑制できるようにした、単結晶成長用の種結晶の固定方法及びこれにより得られた種結晶を用いた単結晶の製造方法を提供する。
本発明の種結晶の固定方法は、種結晶を黒鉛台座に固定して前記種結晶から炭化珪素単結晶を成長させるための種結晶の固定方法において、前記単結晶の成長温度以下の融点を持つ金属材料を前記黒鉛台座上に配置し、その金属材料の上に前記種結晶を配置し、さらにその種結晶の上に加重を加えるための加圧部材を配置した積層体を形成し、前記積層体を前記金属材料の融点以上、かつ前記単結晶の成長温度以下の温度で加熱処理して前記黒鉛台座と金属材料と種結晶を固定一体化し、前記積層体を冷却し、前記積層体から前記加圧部材を取り除くことを特徴とする。
本発明の別の種結晶の固定方法は、種結晶を黒鉛台座に固定して前記種結晶から炭化珪素単結晶を成長させるための種結晶の固定方法において、前記単結晶の成長温度以下の融点を持つ金属材料を前記黒鉛台座上に配置し、その金属材料の上に前記種結晶を配置し、さらにその種結晶の上に加重を加えるための加圧部材を配置した積層体を形成し、前記積層体を覆う容器体を前記黒鉛台座上に配置し、前記黒鉛台座の下部温度と前記容器体の上部温度との差を調節しながら、前記黒鉛台座の下部温度が前記金属材料の融点以上、かつ前記単結晶の成長温度以下になるよう加熱処理して前記黒鉛台座と金属材料と種結晶を固定一体化し、前記容器体と前記積層体とを冷却し、前記積層体から前記容器体と前記加圧部材を取り除くことを特徴とする。
本発明の単結晶の製造方法は、黒鉛台座に保持された種結晶上に炭化珪素原料からの昇華ガスを供給し、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる際に、上記の種結晶の固定方法により固定された種結晶を用いることを特徴とする。
本発明の種結晶の固定方法及びその固定方法を用いた単結晶の製造方法によれば、種結晶と種結晶を保持するための黒鉛台座との間に金属炭化物からなる接着層を形成することにより、単結晶成長時の高温下において、種結晶と黒鉛台座との間に空隙が生じることが無いので、種結晶裏面から伸長する結晶内部へのマクロ欠陥の発生を抑制でき、高品質な炭化珪素単結晶を得ることができる。
本発明において前記金属材料は、チタン、バナジウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも一つの材料であることが好ましい。これらの金属材料は、空隙の存在しない種結晶と黒鉛台座を密着させる金属炭化物層の形成が可能となり、種結晶裏面からの昇華を防止することができ、成長単結晶中へ伸長するマクロ欠陥の発生を抑制できる。
前記金属材料の厚さは、20μm以上200μm以下の範囲であることが好ましい。この厚さの範囲であれば、十分な接着強度を得ることができるとともに、種結晶表面への溶融金属の回り込みを防止でき、種結晶表面に付着した金属を核としたマイクロパイプ欠陥の発生や成長させる単結晶中への金属汚染を抑制することができる。
前記金属材料にチタンを用いた際の前記加熱工程における加熱温度は、1700℃以上2000℃以下の範囲であることが好ましい。この温度範囲であれば、チタンは溶融し、黒鉛台座と種結晶とを固定一体化できる。
前記金属材料にバナジウムを用いた際の前記加熱工程における加熱温度は、1900℃以上2200℃以下の範囲であることが好ましい。この温度範囲であれば、バナジウムは溶融し、黒鉛台座と種結晶とを固定一体化できる。
前記金属材料にジルコニウムを用いた際の前記加熱工程における加熱温度は、1900℃以上2200℃以下の範囲であることが好ましい。この温度範囲であれば、ジルコニウムは溶融し、黒鉛台座と種結晶とを固定一体化できる。
前記加熱工程における加熱時間は、1時間以上6時間以下の範囲であることが好ましい。前記反応時間であれば、黒鉛台座表面の黒鉛と金属材料が反応して単結晶の成長温度以上の融点を有する金属炭化物層を効率よく形成できる。
前記加圧部材は、前記種結晶に対して7.84kPa以上87.5kPa以下の圧力を加えられる重量を持つことが好ましい。黒鉛台座表面の黒鉛と金属材料を密着させて、均一に反応させて金属炭化物層を効率よく形成できる。
前記加圧部材は、黒鉛、タンタル、ニオブ、モリブデン、タンタル炭化物、ニオブ炭化物及びモリブデン炭化物から選ばれる少なくとも1つの材料で構成されることが好ましい。前記加圧部材であると加熱温度で溶融せず、かつ種結晶の表面を汚染しないからである。
前記冷却工程は、前記加熱工程の加熱温度より1100℃まで降下する間は、5〜15℃/minの速度で降温させ、その後は装置内で室温に達するまで室温で放置することが好ましい。前記のように徐冷すれば、黒鉛台座と金属炭化物層と種結晶の間の熱膨張差が原因で生じる応力により金属炭化物層にクラックが入るのを防止できる。ここで室温とは、10℃以上30℃以下の範囲をいう。
本発明において、容器を用いる場合は、種結晶の面積は黒鉛台座の種結晶を固定する部分の面積よりも大きく、且つ加圧部材は種結晶の周辺部のみに接触して加重を加えることができる形状であることが好ましい。たとえば、黒鉛台座の種結晶を固定する部分を直径10mm、種結晶を直径10.5〜12mmのものを使用する場合は、面積比は1.1〜1.44倍の種結晶面積になる。また黒鉛台座の種結晶を固定する部分が直径16mmの場合は、種結晶は直径16.5〜18mmくらいが好ましく、面積比は1.06〜1.27倍になる。別の表現にすると、種結晶の大きさは種結晶を固定する部分より0.5〜1mm程度はみだすようにするのが好ましい。
前記において、加圧部材は種結晶の周辺部のみに接触して加重を加えることができる形状とは、例えば中空の円筒形である。
前記種結晶の周辺部は、種結晶の面積を黒鉛台座の種結晶を固定する部分の面積よりも大きくし、黒鉛台座の種結晶を固定する部分の面積よりはみ出した種結晶領域の少なくとも一部分であることが好ましい。
はみ出した部分に加圧部材が接触しており、この部分の種結晶表面は表面粗れが生じるが、単結晶成長雰囲気において、このはみ出した表面の粗れた領域は高温となりエッチングされて無くなる。したがって、表面粗れを起こした領域は無くなり、表面粗れを起こしていない良好な表面だけが残ることになる。この表面粗れを起こしていない平滑な表面は、品質の良好な単結晶を作るのに有効である。
以下に、本発明の炭化珪素単結晶を成長させるための種結晶の固定方法及びそれらを用いた単結晶の製造方法の実施例を図面とともに詳細に説明する。
(実施例1)
本発明の種結晶の固定方法に対応する具体的な方法について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施例では、種結晶としてレーリー法により製造された厚さ約0.3〜0.5mmのレーリー種結晶を用いているが、このレーリー種結晶上に昇華再結晶法(改良レーリー法)を用いて成長させたインゴットから得られた基板や、アチソン法などにより作製された単結晶を種結晶としても用いることができる。
まず、図1Aに示すように、黒鉛台座1上に、厚さ50μmのチタンからなる金属材料2、レーリー種結晶3、黒鉛からなる加重を加えるための加圧部材4が、この順で配置された積層体25を形成した。加重として種結晶に対し33.5kPa加わるようにした。
次に、図1Bに示すように、黒鉛からなる容器体5を積層体25にかぶせ、さらにこれを上下に穴の開いた断熱材6で覆い、内部の圧力調整が可能な水冷された二重石英容器7中に設置した。二重石英容器7周辺には黒鉛からなる容器体5を加熱するRFコイル8、二重石英容器7上下部に黒鉛台座1の下部温度と黒鉛製坩堝容器5の上部温度を監視するためのパイロメータ9、10が備え付けている。実際には、積層体を保持する固定治具、二重石英容器7を真空に引くための真空ポンプ、二重石英容器7内の雰囲気を調節する圧力調整弁等もあるが、省略する。
次いで、二重石英容器中を5×10-4Pa以下になるまで真空引きし、アルゴンガスを導入して圧力を79.8kPa(600Torr)に調節した。この状態で黒鉛台座1の下部温度がパイロメータ10の測定値で1700℃になるまで加熱し、約3時間保持した。その後1100℃まで10℃/minの速度で降温し、続いて室温(25℃)付近まで4時間かけて自然冷却した。二重石英容器7から積層体25を取り出し、黒鉛からなる加重を加えるための加圧部材4を取外した。
このようにして図1Cに示すレーリー種結晶3が黒鉛台座1にチタンカーバイドからなる金属炭化物層11により固定一体化されたものを得た。加熱雰囲気としてアルゴンガスを用いたが、台座の黒鉛、種結晶の炭化珪素、使用する金属材料と反応するものでなければよく、ヘリウムやアルゴンとヘリウムの混合ガスなどを用いても良い。
このような固定方法により形成されたチタンカーバイドからなる金属炭化物層11は、空隙の存在しないレーリー種結晶3と黒鉛台座1を密着させる融点が約3000℃以上の接着層となり、通常、炭化珪素単結晶を成長させる2300℃程度の温度において、レーリー種結晶3と黒鉛台座1との間に温度勾配が生じず、種結晶3裏面からの昇華を防止することができ、マクロ欠陥の発生を抑制できる。チタンカーバイドは、カーボンの含有量により融点が異なるが、カーボンの含有量が18atom%以上であれば融点2500℃以上を有するため、炭化珪素単結晶成長温度でも種結晶を固相で保持することが可能である。実際に、固定した種結晶の種結晶と黒鉛台座界面のSEM(scanning electron microscope)観察とEDX(Energy Dispersive X-ray Fluorescence Spectrometer)分析を行なったところ、チタン45atom%、カーボン55atom%の空隙の存在しないチタンカーバイド層が形成されていた。
ところで、金属材料2の具体例としてチタンを用いたが、バナジウムやジルコニウムを用いても、空隙の存在しない種結晶3と黒鉛台座1を密着させる金属炭化物層11の形成が可能となり、種結晶裏面からの昇華を防止することができ、成長単結晶中へ伸長するマクロ欠陥の発生を抑制できる。バナジウムは融点約1890℃でありカーボン含有量35atom%で融点2500℃以上のバナジウムカーバイド、ジルコニウムは融点1850℃でありカーボン含有量15atom%で融点2500℃以上のジルコニウムカーバイドとなる。
チタンを用いたときと同様に、実際に、バナジウムとジルコニウムを用いて固定一体化した種結晶の種結晶と黒鉛台座界面のSEM観察とEDX分析を行なったところ、バナジウムを用いた場合は、バナジウム51atom%、カーボン49atom%の空隙の存在しない融点約2700℃のバナジウムカーバイド層が、ジルコニウムを用いた場合は、ジルコニウム40atom%、カーボン60atom%の空隙の存在しない融点約2900℃のジルコニウムカーバイド層が形成されていた。但し、加熱温度としては、融点を考慮して、バナジウムの場合は1900℃、ジルコニウムの場合は1900℃とし、他の条件はチタンで用いたものと同様とした。
また、チタンからなる金属材料2の厚さとしては50μmとしたが、20〜200μmの間のものを用いることにより、十分な接着強度を得ることができる。加えて、種結晶表面への溶融金属の回り込みを防止でき、種結晶表面に付着した金属を核としたマイクロパイプ欠陥の発生や成長させる単結晶中への金属汚染を抑制することができる。チタンの厚さを変えて、加重33.5kPaとして、圧力79.8kPa(600Torr)のアルゴンガス雰囲気中で、加熱温度1700℃で3時間熱処理した場合の結果を表1に示す。
Figure 2005247681
評価項目としては、接着強度と結晶表面への金属の回り込みの有無で判断した。すなわち、回り込みが無いものは○、回り込みの有るものは×とした。
接着強度に関しては、100g/cm2より大きな負荷に耐えることができるものを○、100g/cm2以下の負荷にしか耐えられないものを×とした。これは昇華法で作製出来る結晶の大きさに関与する値なので大きいほど良いが、必要以上に大きい値は不要である。例えば、2インチ口径の種結晶を用いて長さ100mm程度の単結晶インゴットを作製する場合には、最低32g/cm2の負荷に耐えることができればよいが、これ以上大きな結晶を作製するには、不十分である。実用性を考慮して、接着強度の判断基準を、負荷100g/cm2に耐えるか否かとした。
以上の評価基準は、表2以下においても同様である。
表1の結果から明らかなように、金属材料の厚みが薄いほど、接着強度が低くなる。厚さ20μmでは、十分な接着強度を有しているが、厚さが5μmになると接着強度が低下し、レーリー種結晶が黒鉛台座に接着されていなかった。一方、金属材料の厚さが厚くなるに連れ、種結晶への金属材料の回り込みが大きくなる。金属材料の厚さ200μmでは、接着強度は十分であるものの、チタンが種結晶側面にわずかに回り込んだチタン溶融跡が残っていた。ただし、レーリー種結晶表面にチタンの回り込みはないのでこれが回り込みの限界と考えられる。さらに厚くした厚さ250μmでは種結晶表面の周辺部分や、黒鉛で出来た加圧部材にチタンの溶融跡が確認できた。これらのことより、チタンの厚さとしては、20〜200μmであることが望ましい。
同様に、バナジウムとジルコニウムの厚さを変えて、加重33.5kPaとして、圧力79.8kPa(600Torr)のアルゴンガス雰囲気中で、加熱温度1900℃で3時間熱処理した場合の結果を表2と表3に示す。評価項目は表1と同様である。
Figure 2005247681
Figure 2005247681
バナジウムとジルコニウムの場合も、チタンを用いたときと同様の結果となり、20〜200μmが最適であるという結果が得られた。これらのことより、バナジウムあるいはジルコニウムを用いた場合も厚さとしては、20〜200μmであることが望ましい。
以上のことから、金属材料2の厚さは、上記三種の材料では、20〜200μmが好適である。
次に加熱温度の具体的条件を説明する。本実施例では、加熱工程の加熱温度を、金属材料としてチタンを用いた場合は1700℃、バナジウムを用いた場合は1900℃、ジルコニウムを用いた場合は1900℃を用いたが、それぞれの適切な加熱温度範囲を示す。この適切な加熱温度範囲であれば、種結晶3と黒鉛台座1とを金属炭化物層11により強固に結合させることができるとともに、マクロ欠陥を抑制することができる。
加熱温度を変化させて、金属材料として厚さ50μmのチタン、バナジウム、ジルコニウムを用いて、加重33.5kPa、圧力79.8kPa(600Torr)のアルゴンガス雰囲気中で3時間熱処理した場合の結果を表4〜6に示す。
評価項目としては、接着強度とマクロ欠陥密度で判断した。マクロ欠陥に関しては、所定の条件で固定した種結晶上に同成長条件で約8mm程度単結晶を成長させ、この結晶を成長方向と平行にスライスした後、研磨して断面観察を行い評価した。光学顕微鏡の透過モードを利用することにより、断面観察試料の厚さ方向にピントをずらしながらマクロ欠陥の本数をカウントし、それを種結晶の幅と断面観察試料の厚みで割ることにより、マクロ欠陥密度を算出した。マクロ欠陥密度0〜100/cm2を○、100〜500/cm2を△、500/cm2以上を×とした。この評価基準は、表4以下においても同様である。
マクロ欠陥を評価するために単結晶成長の手順は、以下の通りである。図2に示すように、黒鉛からなる容器体5と金属炭化物層11で種結晶3が固定された黒鉛台座1よりなる黒鉛製坩堝の下半分内に、原料粉末としてSiC粉末12を収容し、これを上下に穴のあいた断熱材6で覆い、内部の圧力調整が可能な水冷された二重石英容器7中に設置する。二重石英容器7周辺には黒鉛製坩堝を加熱するRFコイル8、二重石英容器7上下部に黒鉛台座1と黒鉛からなる容器体5の温度を監視するためのパイロメータ9、10を備え付けている。実際には、坩堝を保持する固定治具、二重石英容器7を真空に引く真空ポンプ、二重石英容器7内の雰囲気を調節する圧力調整弁等もあるが、省略する。続いて、SiC粉末12側を高温に、種結晶3側を低温にし、昇華ガスを種結晶上で再結晶化させて炭化珪素単結晶13を成長する。マクロ欠陥を観察するための炭化珪素単結晶の成長条件としては、圧力3.99kPa(30Torr)のアルゴンガス雰囲気中で、SiC粉末側温度2350℃、種結晶側温度2200℃、成長時間30時間とした。成長量としては、約8mmである。
金属材料としてチタンを用いた場合の加熱温度と接着強度及びマクロ欠陥の関係を表4に示す。
Figure 2005247681
表4から明らかなように、加熱温度が1500℃〜1600℃では、接着強度は十分であるものの、マクロ欠陥密度は加熱温度の低下とともに増加する傾向にある。これは、加熱温度がチタンの融点である約1675℃より低いため、チタンが完全に溶融せず台座の黒鉛との反応が進行していないために、カーボン含有量が18atom%より低く、融点が2500℃より低いチタンカーバイド層が形成されているためであると思われる。一方、加熱温度が1700〜2000℃の範囲では、接着強度とマクロ欠陥密度ともに良好な結果が得られた。これは、チタンが完全に溶融して台座の黒鉛と反応が十分進行したため、カーボン含有量が18atom%より高く、融点が2500℃より高いチタンカーバイド層が形成されているためであると思われる。さらに加熱温度を上げ、2050℃にすると、種結晶が台座に接着されない。これは、加熱温度が高いため、溶融したチタンと台座の黒鉛が過剰に反応し、チタンカーバイド層がカーボンリッチになり、ポーラスな層構造になったためと推測される。従って、金属材料としてチタンを用いた場合は、加熱温度は1700〜2000℃であることが望ましい。
次に金属材料としてバナジウムを用いた場合の加熱温度と接着強度及びマクロ欠陥の関係を表5に示す。
Figure 2005247681
表5から明らかなように、加熱温度1700℃では種結晶は黒鉛台座に接着されていなかった。加熱温度1800℃においては、接着強度は十分であるものの、マクロ欠陥が確認できた。これは、加熱温度がバナジウムの融点約1890℃より低いため、バナジウムが完全に溶融せず台座の黒鉛との反応が進行していないために、カーボン含有量が35atom%より低く、融点が2500℃より低いバナジウムカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱温度1900〜2200℃の範囲では、接着強度とマクロ欠陥密度とも良好な結果が得られた。これは、バナジウムが完全に溶融して台座の黒鉛と反応が十分進行したために、カーボン含有量が35atom%より高く、融点が2500℃より高いバナジウムカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱温度2300℃においては、種結晶が台座に接着されていなかった。これは、チタンを金属材料として用いた場合と同様、加熱温度が高いため、溶融したバナジウムと台座の黒鉛が過剰に反応し、バナジウムカーバイド層がカーボンリッチになり、ポーラスな層構造になっているためと推測される。従って、金属材料としてバナジウムを用いた場合の加熱温度は、1900〜2200℃であることが望ましい。
金属材料としてジルコニウムを用いた場合の加熱温度と接着強度及びマクロ欠陥の関係を表6に示す。
Figure 2005247681
表6から明らかなように、加熱温度1700℃では種結晶が台座に接着されていなかった。加熱温度1800℃においては、接着強度は十分であるものの、マクロ欠陥が確認できた。これは、加熱温度がジルコニウムの融点約1850℃より低いため、ジルコニウムが完全に溶融せず台座の黒鉛との反応が進行していないために、カーボン含有量が15atom%より低く、融点が2500℃より低いジルコニウムカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱温度1900〜2200℃の範囲では、接着強度とマクロ欠陥密度とも良好な結果が得られた。これは、ジルコニウムが完全に溶融して台座の黒鉛との反応が十分に進行したため、カーボン含有量が15atom%より高く、融点が2500℃より高いジルコニウムカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱温度2300℃においては、種結晶が台座に接着されていなかった。これに関しては、金属材料にチタンとバナジウムを用いた場合と同様、加熱温度が高いため、溶融したジルコニウムと台座の黒鉛が過剰に反応し、ジルコニウムカーバイド層がカーボンリッチになり、ポーラスな層構造になっているためと推測される。従って、金属材料としてジルコニウムを用いた場合の加熱温度は、1900〜2200℃であることが望ましい。
次に加熱時間の具体的条件を説明する。本実施例では、加熱工程の加熱時間の具体例として、金属材料2としてチタン、バナジウム及びジルコニウムを用いた場合に3時間としたが、すべての金属材料において1〜6時間の範囲であれば、レーリー種結晶3と黒鉛台座1とを金属炭化物層11により強固に結合させることができるとともに、マクロ欠陥を抑制することができる。加熱時間を変化させて、金属材料として厚さ50μmのチタン、バナジウム、ジルコニウムを用いて、加重33.5kPa、圧力79.8kPa(600Torr)のアルゴンガス雰囲気中にて熱処理した場合の接着実験の結果を表7〜9に示す。加熱温度は、上記の結果より、チタンを金属材料として用いた場合は1700℃〜2000℃の範囲、バナジウムを金属材料として用いた場合は1900℃〜2200℃の範囲、ジルコニウムを金属材料として用いた場合は1900℃〜2200℃の範囲とした。評価項目としては、接着強度とマクロ欠陥密度とした。
金属材料としてチタンを用いた場合の加熱時間と接着強度及びマクロ欠陥との関係を表7に示す。
Figure 2005247681
表7で明らかなように、加熱時間0.5時間では加熱温度1700℃、1800℃、1900℃において種結晶が黒鉛台座に接着されていなかった。これは、加熱温度1700〜1900℃の範囲において、加熱時間0.5時間ではチタンが溶融するのに十分な時間でないのが原因と考えられる。2000℃では、接着強度は十分であるものの、マクロ欠陥が確認できた。これは、加熱温度2000℃、加熱時間0.5時間では、チタンが溶融し黒鉛台座と反応するものの、時間が短いために反応時間が短く、カーボン含有量が18atom%より低く、融点が2500℃より低いチタンカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱時間1〜6時間では、加熱温度1700〜2000℃の範囲において、接着強度とマクロ欠陥密度とも良好な結果が得られた。これは、この条件範囲では、チタンが完全に溶融して台座の黒鉛と十分に反応したために、カーボン含有量が18atom%より高く、融点が2500℃より高いチタンカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱時間8時間以上では、すべての加熱温度において、接着強度減少、マクロ欠陥密度増加の傾向が見られた。これに関しては、加熱時間が長いために、溶融したチタンが台座の黒鉛と過剰に反応し、チタンカーバイド層がカーボンリッチになり、ポーラスな層構造になっているためと推測される。従って、チタンを用いた場合の加熱時間は、1〜6時間の範囲にあることが望ましい。
金属材料としてバナジウムを用いた場合の加熱時間と接着強度及びマクロ欠陥の関係を表8に示す。
Figure 2005247681
表8に示すように、加熱時間0.5時間では加熱温度1900℃、2000℃において種結晶が黒鉛台座に接着されていなかった。これは、加熱温度1900〜2000℃の範囲において、加熱時間0.5時間ではバナジウムが溶融するのに十分な時間でないのが原因であると考えられる。2200℃では、接着強度は十分であるものの、マクロ欠陥が確認できた。これは、加熱温度2200℃、加熱時間0.5時間では、バナジウムが溶融し黒鉛台座と反応するものの、時間が短いために反応時間が短く、カーボン含有量が35atom%より低く、融点が2500℃より低いバナジウムカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱時間1〜6時間では、加熱温度1900〜2200℃の範囲において、接着強度とマクロ欠陥密度とも良好な結果が得られた。これは、この条件範囲では、バナジウムが完全に溶融して台座の黒鉛と十分に反応したために、カーボンの含有量が35atom%より高く、融点が2500℃より高いバナジウムカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱時間8時間以上では、すべての加熱温度において、接着強度減少、マクロ欠陥密度増加の傾向が見られた。これに関しては、加熱時間が長いために、溶融したバナジウムが台座の黒鉛と過剰に反応し、バナジウムカーバイド層がカーボンリッチになり、ポーラスな層構造になっているためと推測される。従って、バナジウムを用いた場合の加熱時間は、1〜6時間の範囲にあることが望ましい。
金属材料としてジルコニウムを用いた場合の加熱時間と接着強度及びマクロ欠陥との関係を表9に示す。
Figure 2005247681
表9で明らかなように、加熱時間0.5時間では加熱温度1900℃、2000℃において種結晶が黒鉛台座に接着されていなかった。これは、加熱温度1900〜2000℃の範囲において、加熱時間0.5時間ではジルコニウムが溶融するのに十分な時間でないのが原因であると考えられる。2200℃では、接着強度は十分であるものの、マクロ欠陥が確認できた。これは、加熱温度2200℃、加熱時間0.5時間では、ジルコニウムが溶融し黒鉛台座と反応するものの、時間が短いために反応時間が短く、カーボン含有量が15atom%より低く、融点が2500℃より低いジルコニウムカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱時間1〜6時間では、加熱温度1900〜2200℃の範囲において、接着強度とマクロ欠陥密度とも良好な結果が得られた。これは、この条件範囲では、ジルコニウムが完全に溶融して台座の黒鉛と十分に反応したために、カーボン含有量が15atom%より高く、融点が2500℃より高いジルコニウムカーバイド層が形成されているためであると思われる。加熱時間8時間以上では、すべての加熱温度において、接着強度減少、マクロ欠陥密度増加の傾向が見られた。これに関しては、加熱時間が長いために、溶融したジルコニウムが台座の黒鉛と過剰に反応し、ジルコニウムカーバイド層がカーボンリッチになり、ポーラスな層構造になっているためと推測される。従って、ジルコニウムを用いた場合の加熱時間は、1〜6時間の範囲にあることが望ましい。
次に接着時の加圧条件について説明する。本実施例では、接着時の加重を加えるための加圧部材4の加重としては黒鉛製の部材で33.5kPaとしたが、チタン、バナジウム及びジルコニウムのどの金属材料を用いた場合でも7.84〜87.5kPaの範囲であれば、種結晶3と黒鉛台座1とを金属炭化物層11により強固に結合させることができるとともに、マクロ欠陥を抑制することができる。加圧を変化させて、金属材料2として厚さ50μmのチタン、バナジウム、ジルコニウムを用いて、圧力79.8kPa(600Torr)のアルゴンガス雰囲気中にて3時間熱処理した場合の結果を表10〜12に示す。加熱温度は、チタンを金属材料として用いた場合は1700℃〜2000℃の範囲、バナジウムを金属材料として用いた場合は1900℃〜2200℃の範囲、ジルコニウムを金属材料として用いた場合は1900℃〜2200℃の範囲とした。評価項目としては、接着強度とマクロ欠陥密度で判断した。
金属材料としてチタンを用いた場合の加圧力と接着強度及びマクロ欠陥との関係を表10に示す。
Figure 2005247681
表10から明らかなように、すべての温度範囲で、加圧4.23kPaにおいて、接着強度は十分であるものの、わずかではあるがマクロ欠陥が確認できた。これは、加圧が弱いために、種結晶とチタンの界面、あるいは、チタンと黒鉛の台座界面において、局所的に接触している部分と接触していない部分ができるため、熱処理を施した際に、チタンと黒鉛の反応が十分に行われている部分と反応が不十分である部分が存在することが原因ではないかと思われる。これにより、接着層の構成が、カーボン含有量が18atom%より高いチタンカーバイド層とカーボン含有量が18atom%より低いチタンカーバイド層が混在した層となり、接着強度はあるものの、マクロ欠陥を抑制できていないのではないかと推測される。加圧7.84〜87.5kPaにおいては、すべての温度範囲で接着強度とマクロ欠陥密度とも良好な結果が得られた。これは、種結晶とチタンの界面、あるいは、チタンと黒鉛の台座界面において、全面的に良好な接触が得られているため、熱処理を施した際に、チタンと黒鉛の反応が全面均一に行われているためではないかと思われる。加圧95.3kPaにおいては、接着強度は十分であるものの、加圧が大きいため、接着後に種結晶の周辺が欠けたり、周辺からひび割れが入ったりしていた。表の×(*)は、接着されてはいるけれども、後の単結晶成長に影響を及ぼす状態を示す。従って、加熱温度1700〜2000℃の範囲でチタンを用いた場合の加圧力は、7.84〜87.5kPaであることが望ましい。
金属材料としてバナジウムを用いた場合の加圧力と接着強度及びマクロ欠陥との関係を表11に示す。
Figure 2005247681
表11において明らかなように、加圧7.84〜87.5kPaの範囲において、接着強度とマクロ欠陥密度とも良好な結果が得られた。理由としては、チタンを用いた実験のときと同様である。従って、加熱温度1900〜2200℃の範囲でバナジウムを用いた場合の加圧力は、7.84〜87.5kPaであることが望ましい。
金属材料としてジルコニウムを用いた場合の加圧力と接着強度及びマクロ欠陥との関係を表12に示す。
Figure 2005247681
表12において明らかなように、加圧7.84〜87.5kPaの範囲において、接着強度とマクロ欠陥密度とも良好な結果が得られた。理由としては、チタンを用いた実験のときと同様である。従って、加熱温度1900〜2200℃の範囲でジルコニウムを用いた場合の加圧力は、7.84〜87.5kPaであることが望ましい。
また、加重をかけるための加圧部材4の具体例として黒鉛を用いたが、タンタル、ニオブ、モリブデン、タンタル炭化物、ニオブ炭化物、モリブデン炭化物の少なくともいずれか1つから構成されたものを用いても、加熱工程の間、加圧部材4の溶融や溶融した加圧部材4が種結晶3と反応することがないため、種結晶表面への汚染がなく、成長させる単結晶中への不純物取り込みを抑制することができる。
以上のように、最適な熱処理条件で、金属材料を溶融し、黒鉛と反応させ、単結晶成長温度以上の融点を有する空隙のない金属炭化物層で種結晶と黒鉛台座とを強固に固定することにより、種結晶上に成長した単結晶中に伸長するマクロ欠陥を大幅に抑制することが可能となる。
(実施例2)
本発明の他の種結晶の固定方法に対応する具体的な方法について、図3A−Cを参照して説明する。
まず、図3Aに示すように、黒鉛台座1上に、厚さ50μmのチタンからなる金属材料2、黒鉛台座1の種結晶を支持する領域の面積より大きな面積のレーリー種結晶3、黒鉛台座1の種結晶を支持する領域よりはみ出した種結晶領域の少なくとも一部分のみが接触するようにした黒鉛からなる加重を加えるための加圧部材4が、この順で配置された積層体25を形成した。加重として種結晶に対し33.5kPa加わるようにしている。図3Aは断面で表現しているので加圧部材の形状がわかりにくいが、上方から見ると加圧部材が接触している領域以外の種結晶表面を確認できる穴が中心にあるドーナツ形状をしている。
次に、図3Bに示すように、黒鉛からなる容器体5を積層体25にかぶせ、さらにこれを上下に穴の開いた断熱材6で覆い、内部の圧力調整が可能な水冷された二重石英容器7中に設置した。二重石英容器7周辺には黒鉛からなる容器体5をかぶせた積層体25を加熱するRFコイル8、二重石英容器7上下部に黒鉛台座1の下部温度と黒鉛からなる容器体5の上部温度を監視するためのパイロメータ9、10が備え付けられている。実際には、坩堝を保持する固定治具、二重石英容器7を真空に引くための真空ポンプ、二重石英容器7内の雰囲気を調節する圧力調整弁等もあるが、省略する。続いて、二重石英容器中を5×10-4Pa以下になるまで真空引きし、アルゴンガスを導入して圧力を93.1kPa(700Torr)に調節し、黒鉛台座1の下部温度がパイロメータ10の測定値で1700℃、黒鉛からなる容器体5の上部温度がパイロメータ9の測定値で1700℃以上になるまで加熱し、(下部温度−上部温度)≦0の状態で約3時間保持した。その後1100℃まで10℃/minの速度で降温し、続いて室温(25℃)付近まで4時間かけて自然冷却した。その後、二重石英容器7から黒鉛からなる容器体5かぶせた積層体25を取り出し、黒鉛からなる容器体5と黒鉛からなる加重を加えるための加圧部材4を取外した。図3Cに示すように、レーリー種結晶3が黒鉛台座1にチタンカーバイドからなる金属炭化物層11により固定一体化されたものを得た。黒鉛台座1の下部温度と黒鉛からなる容器体5の上部温度の差の調節は、黒鉛台座1の下部温度側で所定の温度で一定になるように制御を行い、RFコイル8と黒鉛からなる容器体5をかぶせた積層体25の相対的な位置関係を変更した。これにより上部温度を変更させた。
このような固定方法により形成されたチタンカーバイドからなる金属炭化物層11は、空隙の存在しないレーリー種結晶3と黒鉛台座1を密着させる融点が約3000℃以上の接着層となり、通常、炭化珪素単結晶を成長させる2300℃程度の温度において、レーリー種結晶3と黒鉛台座1との間に温度勾配が生じず、種結晶3裏面からの昇華を防止することができ、マクロ欠陥の発生を抑制できた。また、種結晶3を黒鉛台座1に固定後に種結晶3の表面が粗れないため、種結晶3上に単結晶を成長させた場合、種結晶表面と成長層の界面から発生するマイクロパイプ欠陥を抑制することができ、高品質な炭化珪素単結晶を得ることができた。
本発明の実施例2の実施例1と異なる点は、黒鉛台座1の種結晶を支持する領域の面積より種結晶3の面積が大きく、黒鉛台座1の種結晶を支持する領域よりはみ出した種結晶領域の少なくとも一部分のみが加圧部材4と接触するようにしたこと、黒鉛台座1の下部温度と黒鉛からなる容器体5の上部温度の差を調節するようにしたことの2点である。これ以外の、金属材料の種類、金属材料の厚さ、加熱温度範囲、加熱時間範囲、加圧範囲などに関しては実施例1と同様であるため、説明は省略した。本実施例では、金属材料にチタンを用いた場合について説明するが、バナジウム及びジルコジウムについても同様である。
本実施例の大きな特徴は、黒鉛台座1の種結晶を支持する領域の面積より種結晶3の面積を大きく、加圧部材4が黒鉛台座1の種結晶を支持する領域よりはみ出した種結晶領域の少なくとも一部分のみに接触するようにしたことである。この効果を、以下説明する。
種結晶の固定の条件は、金属材料はチタン50μm、下部温度1700℃、上部温度1665℃、加熱時間3時間、加重33.5kPaとした。黒鉛台座の種結晶を支持する領域の大きさは直径10mmとし、レーリー種結晶の大きさとしては略円形で直径11mmのものを用い、種結晶の外周部約0.5mmの部分に黒鉛からなる加圧部材が接触するようにした。評価項目としては、種結晶の初期の表面粗さRaと種結晶の固定後の表面粗さRaの測定と、この種結晶を用いて単結晶を成長させ断面観察を行い、マクロ欠陥密度とマイクロパイプ密度を計測した。単結晶の成長条件は、実施例1と同様とした。Raの測定は、Zygo社製New View5032を用いて行った。測定領域は、縦:0.14mm、横:0.11mmである。比較として、黒鉛からなる加圧部材がレーリー種結晶全面に接触した場合についても同様の実験を行った。結果を表13に示す。
Figure 2005247681
表13より明らかなように、加圧部材が周辺部のみに接触している場合は種結晶の固定後の表面粗さRaは1.596nm、全面に接触している場合は種結晶の固定後の表面粗さRaは8.365nmであり、明らかに加圧部材を周辺部のみに接触させる方法では、種結晶の固定後の表面の粗さが小さい。これは、1700℃で加熱処理をしているため、炭化珪素の構成元素で融点が約1450℃と低いシリコンが種結晶表面から抜けやすい状況にあり、種結晶全面に黒鉛からなる加圧部材が接触しているとシリコンと黒鉛との反応が促進されるためと考えられる。周辺部のみの接触でも、加圧部材が接触している周辺領域は加圧部材が全面接触しているときと同様Ra=7.963nmと悪くなるが、単結晶の成長雰囲気において、黒鉛台座の種結晶を支持する領域よりはみ出した種結晶領域は高温となり熱エッチングされて消失してしまうため、単結晶の品質に影響を及ぼさない。マクロ欠陥密度に関しては、両者とも0であり、チタンカーバイド層により良好な接着が得られていると思われる。マイクロパイプ密度に関しては、加圧部材が周辺部のみ接触している場合は3300/cm2、加圧部材が全面に接触している場合は10000/cm2であった。種結晶の固定条件や単結晶成長条件を同じにしていることから、マイクロパイプ密度は種結晶の固定後の表面粗さに依存しているものと推測される。
以上のことから、接着時の加重を加えるための加圧部材としては、黒鉛台座の種結晶を支持する領域よりはみ出した種結晶領域の少なくとも一部分のみに接触するような形状にすることが最適であることがわかる。
次に、黒鉛台座1の種結晶を支持する領域の面積より種結晶3の面積が大きく、加圧部材4が黒鉛台座1の種結晶を支持する領域よりはみ出した種結晶領域のみが接触するようにし、黒鉛台座1の下部温度と黒鉛からなる容器体5の上部温度の差を調節するようにしたことの効果について、結果とともに説明する。種結晶の固定の条件は、金属材料はチタン50μm、下部温度1700℃、加熱時間3時間、加重33.5kPaとし、上部温度をパラメータとして変化させた。黒鉛台座の種結晶を支持する領域の大きさは直径10mmとし、レーリー種結晶の大きさとしては略円形で直径11mmのものを用い、種結晶の外周部約0.5mmの部分に黒鉛からなる加圧部材が接触するようにした。評価項目としては、種結晶の固定後の表面粗さRaの測定と、マクロ欠陥密度とマイクロパイプ密度の計測とした。種結晶の初期の表面粗さRaは、約0.5nm程度にそろえた。単結晶の成長条件は、実施例1と同様とした。
結果を、図4A−Bに示す。図4Aは固定後の表面粗さの結果であり、図4Bは種結晶と成長層界面から生じるマイクロパイプ密度の結果である。(下部温度−上部温度)≦0の条件において、種結晶の固定後のRaは0.7nm程度となっており、表面粗れが抑制されているのがわかる。これに対応して、マイクロパイプ密度も、(下部温度−上部温度)≦0の条件において、激減しており、50/cm2以下を実現することができている。これは、(下部温度−上部温度)>0の条件では、上部温度が低いために種結晶を原料とした一種の昇華法のようなことが起こり種結晶が昇華されて表面が粗れ、(下部温度−上部温度)≦0の条件では、逆のことが起こり種結晶が昇華されることがないからではないかと推測される。マクロ欠陥については、すべての条件において0であった。
以上のことから、接着時の加重を加えるための加圧部材として黒鉛台座の種結晶を支持する領域よりはみ出した種結晶領域の少なくとも一部分のみに接触するような形状にし、黒鉛台座の下部温度と黒鉛製容器の上部温度の関係を(下部温度−上部温度)≦0にすることが最適であることがわかる。
以上のように、黒鉛台座の種結晶を支持する領域の面積より種結晶の面積を大きくし、黒鉛台座の種結晶を支持する領域よりはみ出した種結晶領域の少なくとも一部分のみを加圧部材に接触させ、黒鉛台座の下部温度と黒鉛製容器の上部温度の関係を(下部温度−上部温度)≦0にすることにより、種結晶上に成長した単結晶中に伸長するマクロ欠陥を大幅に抑制するとともに、種結晶と成長層の界面から発生するマイクロパイプも抑制することができる。
(実施例3)
本発明における単結晶の製造方法について、具体的に説明する。なお、種結晶として、実施例1で固定されたものを用いて炭化珪素単結晶を成長している。
図2に示すように、黒鉛からなる容器体5と実施例1で固定した種結晶がチタンカーバイド等よりなる金属炭化物層11で固定された黒鉛台座1よりなる黒鉛製坩堝の下半分内に、原料粉末としてSiC粉末12を収容し、これを上下に穴のあいた断熱材6で覆い、内部の圧力調整が可能な水冷された二重石英容器7中に設置する。二重石英容器7周辺には黒鉛製坩堝を加熱するRFコイル8、二重石英容器7上下部に黒鉛台座1と黒鉛からなる容器体5の温度を監視するためのパイロメータ9、10が備え付けられている。実際には、坩堝を保持する固定治具、二重石英容器7を真空に引く真空ポンプ、二重石英容器7内の雰囲気を調節する圧力調整弁等もあるが、省略する。
続いて、SiC粉末12側を高温に、種結晶3側を低温にし、昇華ガスを種結晶上で再結晶化させて炭化珪素単結晶13を成長する。空隙のない金属炭化物層11で黒鉛台座1に固定一体化された種結晶3を用いて成長を行なうことで、マクロ欠陥の存在しない高品質な単結晶13を得ることができる。
実際に、金属材料に50μmのチタン、加熱温度1700℃、加熱時間3時間、加重33.5kPaの条件で、圧力93.1kPa(700Torr)のアルゴンガス雰囲気中で加熱処理して黒鉛台座に固定したレーリー種結晶を用いて、この種結晶上に圧力3.99kPa(30Torr)のアルゴンガス雰囲気中で、SiC粉末側温度2350℃、種結晶側温度2200℃として、30時間成長を行なった。これにより、約8mmの高さの単結晶が得られた。この結晶を、成長方向と平行にスライスして断面観察を行なった結果、種結晶と黒鉛台座との界面から成長単結晶中へ伸長するマクロ欠陥は全く観察されなかった。再現性を確認するために、同様の実験を10回行ったところ、9回はマクロ欠陥を完全に抑制できていた。
また、従来例の比較サンプルとして、レジストでレーリー種結晶を黒鉛台座に貼付け、約500℃で3時間の加熱処理でレジストを炭化させて固定した種結晶を用いて単結晶を成長させた。成長条件は、上記と同様であり、得られた結晶高さも約8mmとほぼ同じであった。この結晶の断面観察を行なった結果、種結晶と黒鉛台座との界面から種結晶を貫通し単結晶部分まで伸長したマクロ欠陥が観察された。顕微鏡の透過モードの観察により、スライスした結晶の厚み方向に徐々に焦点をずらしながらマクロ欠陥密度を計測したところ、約970cm-2であった。
以上のように、金属材料を溶融し、黒鉛と反応させた空隙のない単結晶成長温度以上の融点を有する金属炭化物で種結晶と黒鉛台座とを固定した種結晶を用いて炭化珪素単結晶を成長させることにより、マクロ欠陥を抑制することができ、高品質な単結晶を得ることができる。
(実施例4)
本発明における他の単結晶の製造方法について、具体的に説明する。なお、種結晶として、実施例2で固定されたものを用いて炭化珪素単結晶を成長している。単結晶の成長手順に関しては、実施例3と同様であるので説明は省略する。
実際に、金属材料に50μmのチタン、下部温度1700℃、上部温度1740℃、加熱時間3時間、加重33.5kPaの条件で、圧力93.1kPa(700Torr)のアルゴンガス雰囲気中で加熱処理して黒鉛台座に固定一体化したレーリー種結晶を用いて、この種結晶上に圧力3.99kPa(30Torr)のアルゴンガス雰囲気中で、SiC粉末側温度2350℃、種結晶側温度2200℃として、30時間成長を行なった。これにより、約8mmの高さの単結晶が得られた。固定後の種結晶表面のRaは、0.706nmであった。この結晶を、成長方向と平行にスライスして断面観察を行なった結果、種結晶と黒鉛台座との界面から成長単結晶中へ伸長するマクロ欠陥は全く観察されなかった。また、成長結晶中のマイクロパイプ密度は、マクロ欠陥より誘発されて発生したものと表面粗れが原因で発生する種結晶と成長層界面からのものがなくなったため、80/cm2程度を達成することができた。
以上のように、金属材料を溶融し、黒鉛と反応させた空隙のない単結晶成長温度以上の融点を有する金属炭化物で種結晶と黒鉛台座とを固定した表面粗れのない種結晶を用いて炭化珪素単結晶を成長させることにより、マクロ欠陥を抑制することができるとともに、マイクロパイプも抑制することが可能となり、高品質な単結晶を得ることができる。
[産業上の利用可能性]
本発明にかかる炭化珪素単結晶を成長させるための種結晶の固定方法及びそれらを用いた単結晶の製造方法は、種結晶裏面からの昇華を防止し、成長結晶中へのマクロ欠陥の導入を抑制できるため、昇華法により成長できる単結晶である硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化亜鉛(ZnS)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)などにも適用できる。
図1A−Cは本発明の実施例1における単結晶成長用の種結晶の固定方法を示す断面図。 図2は本発明の実施例1における炭化珪素単結晶の製造方法を示す断面図。 図3A−Cは本発明の実施例2における単結晶成長用の種結晶の固定方法を示す断面図。 図4A−Bは本発明の実施例2における種結晶の固定後の表面粗さと種結晶と成長層界面から発生するマイクロパイプ密度の結果を示すグラフ。 図5は従来例の単結晶を成長させるための昇華法装置の概略断面図。 図6A−Cは従来方法における種結晶の構造及びマクロ欠陥発生メカニズムを示す断面図。 図7A−Cは従来方法における保護層に被覆された種結晶の構造及びマクロ欠陥発生メカニズムを示す断面図。
符号の説明
1 黒鉛台座
2 金属材料
3,17 種結晶
4 加圧部材
5,14 容器体
6 断熱材
7 二重石英容器
8 RFコイル
9,10 パイロメータ
11 金属炭化物層
12,16 SiC粉末
13,18 単結晶
15 蓋体
19 接着層
20 空隙
21 マクロ欠陥
22 炭化層
23 保護層
24 クラック
25 積層体

Claims (24)

  1. 種結晶を黒鉛台座に固定して前記種結晶から炭化珪素単結晶を成長させるための種結晶の固定方法において、
    前記単結晶の成長温度以下の融点を持つ金属材料を前記黒鉛台座上に配置し、その金属材料の上に前記種結晶を配置し、さらにその種結晶の上に加重を加えるための加圧部材を配置した積層体を形成し、
    前記積層体を前記金属材料の融点以上、かつ前記単結晶の成長温度以下の温度で加熱処理して前記黒鉛台座と金属材料と種結晶を固定一体化し、
    前記積層体を冷却し、
    前記積層体から前記加圧部材を取り除くことを特徴とする種結晶の固定方法。
  2. 前記金属材料は、チタン、バナジウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも一つの材料である請求項1に記載の種結晶の固定方法。
  3. 前記金属材料の厚さは、20μm以上200μm以下の範囲である請求項1に記載の種結晶の固定方法。
  4. 前記金属材料にチタンを用いた際の前記加熱工程における加熱温度は、1700℃以上2000℃以下の範囲である請求項2に記載の種結晶の固定方法。
  5. 前記金属材料にバナジウムを用いた際の前記加熱工程における加熱温度は、1900℃以上2200℃以下の範囲である請求項2に記載の種結晶の固定方法。
  6. 前記金属材料にジルコニウムを用いた際の前記加熱工程における加熱温度は、1900℃以上2200℃以下の範囲である請求項2に記載の種結晶の固定方法。
  7. 前記加熱工程における加熱時間は、1時間以上6時間以下の範囲である請求項1に記載の種結晶の固定方法。
  8. 前記加圧部材は、前記種結晶に対して7.84kPa以上87.5kPa以下の圧力を加えられる重量を持つ請求項1に記載の種結晶の固定方法。
  9. 前記加圧部材は、黒鉛、タンタル、ニオブ、モリブデン、タンタル炭化物、ニオブ炭化物及びモリブデン炭化物から選ばれる少なくとも1つの材料で構成される請求項1に記載の種結晶の固定方法。
  10. 前記冷却工程は、前記加熱工程の加熱温度より1100℃まで降下する間は、5〜15℃/minの速度で降温し、その後は室温に達するまで室温で放置する請求項1に記載の種結晶の固定方法。
  11. 種結晶を黒鉛台座に固定して前記種結晶から炭化珪素単結晶を成長させるための種結晶の固定方法において、
    前記単結晶の成長温度以下の融点を持つ金属材料を前記黒鉛台座上に配置し、その金属材料の上に前記種結晶を配置し、さらにその種結晶の上に加重を加えるための加圧部材を配置した積層体を形成し、
    前記積層体を覆う容器体を前記黒鉛台座上に配置し、前記黒鉛台座の下部温度と前記容器体の上部温度との差を調節しながら、前記黒鉛台座の下部温度が前記金属材料の融点以上、かつ前記単結晶の成長温度以下になるよう加熱処理して前記黒鉛台座と金属材料と種結晶を固定一体化し、
    前記容器体と前記積層体とを冷却し、
    前記積層体から前記容器体と前記加圧部材を取り除くことを特徴とする種結晶の固定方法。
  12. 前記種結晶の面積は、前記黒鉛台座の種結晶を固定する部分の面積よりも大きく、且つ前記加圧部材は、前記種結晶の周辺部のみに接触して加重を加えることができる形状である請求項11に記載の種結晶の固定方法。
  13. 前記種結晶の周辺部は、前記種結晶の面積を前記黒鉛台座の種結晶を固定する部分の面積よりも大きくし、前記黒鉛台座の種結晶を固定する部分の面積よりはみ出した種結晶領域の少なくとも一部分である請求項12に記載の種結晶の固定方法。
  14. 前記黒鉛台座の下部温度と前記容器体の上部温度との関係が、
    (下部温度−上部温度)≦0
    の関係を満たす請求項11に記載の種結晶の固定方法。
  15. 前記金属材料は、チタン、バナジウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも一つの材料である請求項11に記載の種結晶の固定方法。
  16. 前記金属材料の厚さは、20μm以上200μm以下の範囲である請求項11に記載の種結晶の固定方法。
  17. 前記加熱工程における加熱温度は、金属材料がチタンの場合、黒鉛台座の下部温度が1700℃以上2000℃以下の範囲である請求項15に記載の種結晶の固定方法。
  18. 前記加熱工程における加熱温度は、金属材料がバナジウムの場合、黒鉛台座の下部温度が1900℃以上2200℃以下の範囲である請求項15に記載の種結晶の固定方法。
  19. 前記加熱工程における加熱温度は、金属材料がジルコニウムの場合、黒鉛台座の下部温度が1900℃以上2200℃以下の範囲である請求項15に記載の種結晶の固定方法。
  20. 前記加熱工程の加熱時間は、1時間以上6時間以下の範囲である請求項11に記載の種結晶の固定方法。
  21. 前記加圧部材は、前記種結晶に対して7.84kPa以上87.5kPa以下の範囲の圧力を加えられる重量を持つ請求項11に記載の種結晶の固定方法。
  22. 前記加圧部材は、黒鉛、タンタル、ニオブ、モリブデン、タンタル炭化物、ニオブ炭化物及びモリブデン炭化物から選ばれる少なくとも一つの材料で構成される請求項11に記載の種結晶の固定方法。
  23. 前記冷却工程は、前記加熱工程の加熱温度より1100℃まで降下する間は、5〜15℃/minの速度で降温し、その後は室温に達するまで室温で放置する請求項11に記載の種結晶の固定方法。
  24. 黒鉛台座に保持された種結晶上に炭化珪素原料からの昇華ガスを供給し、前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる製造方法において、請求項1乃至23いずれかに記載の固定方法により固定された種結晶を用いることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。

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