JP2005246433A - 非晶質金属シートの接合方法及び接合装置並びに水素透過ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】 接合部の脆化が少なく、接合強度の向上を図ることが可能な非晶質金属シートの接合方法及び接合装置を提供する。
【解決手段】 接合装置10は、レーザー光を照射する加熱装置13と、冷却板14と、押え板15を備える。接合部に非晶質が残るようなレーザー加熱により複数のシート11,12を溶融接合する。
【選択図】 図1
【解決手段】 接合装置10は、レーザー光を照射する加熱装置13と、冷却板14と、押え板15を備える。接合部に非晶質が残るようなレーザー加熱により複数のシート11,12を溶融接合する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、非晶質金属シートを含む複数のシートを接合する方法に関し、特に、水素透過膜として使用される非晶質金属シートの接合技術に関する。
例えば、燃料電池に用いられる水素は、電池性能の劣化を防ぐために、CO2ガス等の不純物が少ない高純度であるのが望ましいとされる。また、半導体製造工程においては、従来よりもさらに高純度の水素が要求される傾向にある。高純度の水素を製造するために、水素を優先的に透過させる水素透過膜が用いられる。
水素透過膜としては、一般に、PdあるいはPdを主成分とした合金や、VあるいはVを主成分とした合金が使用される。VあるいはVを主成分とした合金の場合、使用中に材料の脆化や性能の低下が進みやすいという問題がある。一方、PdあるいはPdを主成分とした合金の場合、貴金属であるPbの材料コストが高く、低コスト化が図りにくい。
そこで、透過性能に優れかつ貴金属を使用しない水素透過膜として、非晶質金属シート、例えばZrとNiを主成分とする合金を液体急冷法により非晶質(アモルファス)とした箔帯が提案されている(特許文献1参照)。
非晶質金属シートを水素透過膜として用いるには、その熱特性からシート同士の接合技術が課題となる。非晶質金属シートの接合方法としては、レーザー加熱により複数のシートを溶融接合する技術が提案されている(特許文献2参照)。なお、レーザーを用いた接合法は、作業が比較的簡単でしかも短時間で済むという利点がある。
特開2000−256002号公報
特開平8−325680号公報
上記文献(特許文献2)に記載されたレーザーによる非晶質金属シートの接合技術では、レーザー光の照射に伴って接合部の結晶化が生じやすく、その結果、接合部の脆化を招き、接合強度の向上を図るのが難しいという課題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、接合部の脆化が少なく、接合強度の向上を図ることが可能な非晶質金属シートの接合方法及び接合装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、非晶質金属シートを水素透過膜として好ましく用いることが可能な水素透過ユニットを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、非晶質金属シートを水素透過膜として好ましく用いることが可能な水素透過ユニットを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の非晶質金属シートの接合方法は、非晶質金属シートを含む複数のシートを接合する方法であって、接合部に非晶質が残るようなレーザー加熱により前記複数のシートを溶融接合することを特徴とする。
この接合方法によれば、接合部に非晶質が残ることにより、接合部における結晶化に伴う脆化が抑制され、その結果、接合強度の向上が図られる。
上記の接合方法において、接合のために溶けた部分で溶けていない非晶質金属シートと接する部分が非晶質であって、つながった状態で残ることが好ましい。すなわち、接合のための溶けた部分で非晶質となった部分によって、元の非晶質金属シートが連結した状態で残ることにより、接合強度の向上が確実に図られる。
また、接合のために溶解した部分の非晶質が独立した結晶質を含むのが十分な接合強度を得る上で好ましい。
レーザー出力は、接合対象に基づいて適宜定められるが、接合部の結晶化抑制のためになるべく低く設定されるのが好ましく、例えば50W以下であるのが好ましい。
また、上記の接合方法においては、前記複数のシートを互いに重ね合わせ、その重ね合わせ部分にレーザー光を照射することにより、接合強度が確実に向上する。
さらに、前記複数のシートに対して、レーザー光の照射と同時に、レーザー光の照射の裏側から冷却を行うことにより、溶融部位の冷却速度が大きくなり、接合部の結晶化がより確実に防止される。
なお、上記の接合方法は、非晶質金属シートのみ同士を接合するのに限らず、非晶質金属シートと金属結晶シートとの接合にも好ましく適用される。
また、上記の接合方法は、前記複数のシートに代えて、単数のシート(例えば長尺状のシート)の端部同士を互いに接合する場合にも好ましく適用される。
また、本発明の非晶質金属シートの接合方法は、非晶質金属シートと合金あるいは金属シートとを接合する方法であって、レーザー加熱により非晶質金属シートを貫通しない接合部(非貫通状態の溶接部)を作ることを特徴とする。
この接合方法によれば、接合のために溶解した部分が、非晶質金属シートの表面から裏面まで広がっていないことにより、接合強度の向上が図られる。
本発明の非晶質金属シートの接合装置は、非晶質金属シートを含む複数のシートを接合する装置であって、接合部に非晶質が残るようなレーザー加熱により前記複数のシートを溶融接合する加熱装置を備えることを特徴とする。
この接合装置では、上記加熱装置を備えることにより、上記の接合方法を実施することが可能となり、その結果、接合部における結晶化に伴う脆化を抑制し、接合強度の向上を図ることが可能となる。
上記の接合装置において、前記複数のシートに対して、レーザー光の照射の裏側から吸熱する冷却板を備えることにより、複数のシートの溶融部位が冷却板を介して冷却される。その結果、溶融部位の冷却速度が大きくなり、接合部の結晶化がより確実に防止される。
この場合、前記冷却板は、CuあるいはCu合金からなることにより、冷却板の吸熱能力の向上が図られる。
また、前記複数のシートにおけるレーザー光が照射される部位を前記冷却板に密着させる押え板を備えることにより、複数のシートの溶融部位が冷却板によってより確実に冷却される。
ここで、前記押え板は、例えば、前記冷却板に対して、前記複数のシートの重ね合わせ部分の一部を押えるものである。この場合、複数のシート同士が重ね合わされることにより、接合強度の向上が図られる。
あるいは、前記押え板は、例えば、前記冷却板に対して、前記複数のシートのそれぞれを押えるものである。この場合、上記重ね合わせ接合の他に、複数のシートの端部同士を付き合わせた接合を行うことが可能となる。
また、前記押え板が、CuあるいはCu合金からなることにより、複数のシートに対して、冷却板のみならず、押え板を介して冷却が行われる。その結果、溶融部位の冷却速度をさらに大きくすることが可能となる。
本発明の水素透過ユニットは、上記の接合装置を用いて接合が行われた非晶質金属シートを、水素透過膜として備えることを特徴とする。
本発明の接合方法によれば、接合部に非晶質を残した溶融接合により、接合部の脆化を抑制し、接合強度の向上を図ることができる。
また、本発明の水素透過ユニットによれば、高い接合強度で非晶質金属シートの接合が行われることから、非晶質金属シートを水素透過膜として好ましく用いることができる。
また、本発明の水素透過ユニットによれば、高い接合強度で非晶質金属シートの接合が行われることから、非晶質金属シートを水素透過膜として好ましく用いることができる。
以下、本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る非晶質金属シートの接合装置の実施の形態例を示す模式図である。
接合装置10は、レーザー加熱により複数のシート11,12を溶融接合するものであり、レーザー光源を含む加熱装置13、冷却板14、押え板15等を備えて構成されている。
図1は、本発明に係る非晶質金属シートの接合装置の実施の形態例を示す模式図である。
接合装置10は、レーザー加熱により複数のシート11,12を溶融接合するものであり、レーザー光源を含む加熱装置13、冷却板14、押え板15等を備えて構成されている。
この接合装置10は、主に、2枚のシート11,12の端部同士を接合するために用いられる。なおこれに限らず、3枚以上のシートをまとめて接合する場合や、1枚のシートの端部同士を接合する場合にも用いることができる。
接合対象である複数のシート11,12は、少なくとも1枚の非晶質金属シート(アモルファス金属シート)を含む。非晶質金属シート同士の組み合わせ(同種材料)に限らず、非晶質金属シートと金属結晶シート(金属シート、合金シート)との組み合わせ(異種材料)でもよい。
非晶質金属シートとしては、例えば、ZrとNiとを主成分とする非晶質多元合金からなるシートが挙げられる。非晶質金属シートは、例えば、20〜100μm程度の厚さであり、冷却速度が103〜104℃/secの単ロール液体急冷法を用いて製造することができる。ZrとNiとを主成分とする非晶質多元合金及びその製造方法は、特開2000−256002号公報に記載されている。なお、本発明はこの非晶質金属シートに限定されるものではなく、他の非晶質金属シートにも好ましく適用される。
金属結晶シートとしては、例えば、Al、Ni、Co、Fe、Zr、Ta、Nb、Mo、Pd、Ag、Auからなる金属シート及びそれを主成分とする合金シートが挙げられる。なお、本発明はこれに限定されない。
加熱装置13が備えるレーザー光源としては、各種レーザーが適用可能であるが、低出力のものが好ましく用いられる。レーザー出力は、接合対象の材質や厚みに基づいて適宜定められ、50W以下が好ましく用いられる。なお、レーザー光の照射位置は、適宜移動自在である。また、加熱装置13は、パルス発振のトリガ制御や、パルス光の発振波長やスペクトル幅の制御が行えるように構成されている。
冷却板14は、接合作業時に複数のシート11,12が配置される搭載面14aを有して構成されている。この搭載面14aは、本例では平面からなるが、例えば段差を設けてもよい。冷却板14の形成材料としては、熱伝導性が高いのが好ましく、例えば、Cu及びCu合金、Al及びAl合金などが挙げられる。なお、冷却板14内に冷媒を流すなど、熱媒体を介して冷却板14の熱を適宜取り除く構成としてもよい。
押え板15は、冷却板14の搭載面14aに対して、複数のシート11,12の接合すべき部位、特に複数のシート11,12におけるレーザー光が照射される部位を密着させるものであり、複数のシート11,12を間に挟んで冷却板14の搭載面14a上に配置される。押え板15の重量等により複数のシート11,12の接合すべき部位が冷却板14の搭載面14aに密着(接触)する。押え板15にさらに荷重を与える構成としてもよい。押え板15は、単体の部材からなってもよく、複数の部材からなってもよい。押え板15の形成材料としては、熱伝導性が高いのが好ましく、例えば、Cu及びCu合金、Al及びAl合金などが挙げられる。
次に、上記構成の接合装置10を用いた非晶質金属シートの接合方法の一例として、2枚の非晶質金属シート同士を接合する方法について説明する。
まず、先の図1に示すように、2枚のシート11,12の端部同士を重ね合わせ、冷却板14の搭載面14a上に配置するとともに、押え板15によって各シート11,12のそれぞれと両シートの重ね合わせ部分の一部とを冷却板14に対して押える。つまり、冷却板14と押え板15とで2枚のシート11,12の重ね合わせ部分を挟む。より具体的には、2枚のシート11,12の重ね合わせ部分について、中央にレーザー光照射用の線状の隙間を開けた状態でその両側を押え板15で押える。これにより、シート11,12の重ね合わせ部分、特にレーザー光に照射される部位が冷却板14の搭載面14aに密着した状態となる。なお、押え板15によって形成されたレーザー光照射用の隙間は、上記密着(接触)の度合いを向上させる上で、なるべく狭いのが好ましい。
次に、シート11,12の重ね合わせ部分に対して、加熱装置13によりレーザー光を照射する。つまり、シート11,12の重ね合わせ部分のうち、押え板15の隙間の線状の領域に対して、レーザー光を照射しかつその領域に沿って線状に走査させる。なお、レーザー出力は、低出力が好ましく、シート11,12の厚みが20〜100μm程度の場合、例えば50W以下(例えば3W)である。レーザー加熱により、シート11,12の重ね合わせ部分のうち、レーザー光の照射部分が溶融する。そして、この溶融部分が凝固することにより、シート11,12同士が互いに接合される。
図2は、上記接合方法により接合された非晶質金属シートの接合部を模式的に示している。また、図3は、比較例として、従来の接合方法により接合された非晶質金属シートの接合部を模式的に示している。
まず、図3の例では、接合部のほとんどが結晶化されている。この場合、接合部が脆く、接合強度の低下を招きやすい。
これに対して、図2に示すように、本発明に係る接合方法によれば、接合部に非晶質が残る。これは、低出力のレーザーを用いたことに加え、レーザー加熱時における溶融部位の冷却速度が冷却板によって高められた結果である。
これに対して、図2に示すように、本発明に係る接合方法によれば、接合部に非晶質が残る。これは、低出力のレーザーを用いたことに加え、レーザー加熱時における溶融部位の冷却速度が冷却板によって高められた結果である。
すなわち、非晶質金属は、溶融後の冷却速度が臨界値を越えると結晶化するものの、本例の接合方法では、冷却板によって2枚のシートの溶融部位から熱が奪われる(抜熱、吸熱)。その結果、溶融部位の冷却速度が大きくなり、溶融部位の少なくとも一部において非晶質状態の凝固が生じ、接合部に非晶質が残る。
特に、本例では、レーザー光照射による入熱箇所と冷却板による抜熱箇所が互いにきわめて近く、急速加熱と急速冷却とが小領域で同時に起こる点で非晶質を残すのに有利である。なお、本例では、2つのシートに対して、レーザー光の照射と同時に、レーザー光の照射の裏側から冷却板を介して吸熱するので、接合部のうちの冷却板側において非晶質が残りやすい。なお、レーザー光による入熱量によっては、接合部のほぼすべてが非晶質となって残る場合もある。
接合部に非晶質が残ることにより、結晶化による接合部の脆化が抑制され、その結果、高い接合強度が得られる。なお、接合部に非晶質がつながった状態、つまり接合部の両側のシートにわたって非晶質がつながった状態で残ることにより、接合強度の向上が確実に図られる。すなわち、接合のための溶けた部分で非晶質となった部分によって、元の非晶質金属シートが連結した状態であるのが接合強度を得る上で好ましい。
本例では、2枚のシートの重ね合わせ部分が冷却板に密着されているので、その密着した面全体から冷却板を介して熱が奪われるので、非晶質がつながった状態で残りやすい。なお、冷却板がCu(Cu合金)などの熱伝導性の高い部材からなることにより、吸熱効果の向上が図られる。また、先の図1に示す押え板15もCu(Cu合金)などの熱伝導性の高い部材からなることにより、溶融部位の冷却速度をさらに大きくすることが可能となる。
また、接合のために溶解した部分の非晶質が独立した結晶質を含むのが好ましい。すなわち、非晶質中には細かな結晶した粒が存在することが知られており、接合後において結晶化した粒が独立していることにより、高い接合強度が得られる。
また、レーザーからみて裏面に非晶質金属シートを配置した場合には、次に説明するように、接合のために溶けた部分は裏面までつき抜けていない限り、非晶質でなくてもよい。
図4は、上記接合方法により接合された非晶質金属シートの接合部の他の例を模式的に示している。
図4の例では、合金あるいは金属シート(シート1)と非晶質金属シート(シート2)とを接合している。また、合金あるいは金属シート(シート1)の側からのレーザー加熱により、非晶質金属シート(シート2)を貫通しない接合部(溶接部)を作っている。これは、低出力のレーザーを用いたことに加え、レーザー加熱時における溶融部位の冷却速度が冷却板によって高められた結果である。
図4の例では、合金あるいは金属シート(シート1)と非晶質金属シート(シート2)とを接合している。また、合金あるいは金属シート(シート1)の側からのレーザー加熱により、非晶質金属シート(シート2)を貫通しない接合部(溶接部)を作っている。これは、低出力のレーザーを用いたことに加え、レーザー加熱時における溶融部位の冷却速度が冷却板によって高められた結果である。
接合のために溶解した部分が非晶質金属シートの表面から裏面まで広がっていないことにより、接合強度の向上が図られる。
非晶質金属シートは、前述したように、水素透過膜として好ましく使用することが可能である。本発明に係る接合方法により、高い接合強度で非晶質金属シートの接合を行うことが可能となることで、非晶質金属シートを水素透過膜として用いた水素透過ユニットの製作が容易となる。例えば、水素透過膜の大面積化や幅広化、あるいは水素透過膜を三次元構造化(例えば円柱構造)の容易化が図られる。
なお、2枚のシート11,12を重ね合わせることなく、端部を突合せて接合してもよい。図5は、先の図1の接合装置10を用いて2枚のシート11,12を突合せ溶接する様子を模式的に示している。この場合にも、レーザー照射の低出力化及び冷却板の冷却効果により、接合部に非晶質を残し、接合強度の向上を図ることが可能である。
(実施例)
次に、本発明に基づいて非晶質金属シートの接合を行った実施例について説明する。
非晶質金属シートとして、Ni−Nb−Zr 系アモルファスシート(融点:1250−1350℃)を使用し、(a)アモルファスシート−アモルファスシート、(b)アモルファスシート−Cu合金シート、(c)アモルファスシート−Ni合金シート、(d)アモルファスシート−Nbシート、の4つの組み合わせについて接合を行い、その接合強度を調べた。なお、各シートの融点を比べると、Ni−Nb−Zr 系アモルファスシートに比べて、Cu合金シートは低く、Ni合金シートは同程度であり、Nbシートは高い。
次に、本発明に基づいて非晶質金属シートの接合を行った実施例について説明する。
非晶質金属シートとして、Ni−Nb−Zr 系アモルファスシート(融点:1250−1350℃)を使用し、(a)アモルファスシート−アモルファスシート、(b)アモルファスシート−Cu合金シート、(c)アモルファスシート−Ni合金シート、(d)アモルファスシート−Nbシート、の4つの組み合わせについて接合を行い、その接合強度を調べた。なお、各シートの融点を比べると、Ni−Nb−Zr 系アモルファスシートに比べて、Cu合金シートは低く、Ni合金シートは同程度であり、Nbシートは高い。
先の図1に示したように、冷却板(Cu合金)に2つのシートの端部を重ね合わせて載せるとともに、その重ね合わせ部分の中央に線状の隙間を開けた状態でその両側を押え板(Cu合金)で押え、2つのシートを冷却板に密着させた。なお、異種材料の組み合わせの場合、金属(合金)シートをレーザー照射側、アモルファスシートを冷却板側に配置した。そして、押え板の線状の隙間部分にレーザー光を照射し、2つのシートを溶融接合した。入熱は、出力3Wのパルスレーザーによるレーザー光照射により行った。その後、接合強度の試験として引張強度試験を行った。図6に引張強度試験における引張方向を示す。
その結果、(a)〜(d)のすべての組み合わせで、100MPa以上の引張強度が得られた。(a)アモルファスシート−アモルファスシートは、引張強度が140MPaであり、(b)アモルファスシート−Nb合金シートは、引張強度が160MPaであった。(c)アモルファスシート−Ni合金シートは、引張強度が105MPaであった。(d)アモルファスシート−Nbシートは、引張強度が145MPaであった。
アモルファスシート同士の接合の場合(上記(a)の組み合わせ)、接合部の一部(レーザー光の照射側)で結晶化が見られたものの、先の図2に示したように、接合部の冷却板側において非晶質がつながった状態で残っているのが観察された。図7に、アモルファスシート同士の接合部を光学顕微鏡で観察した画像を示す。
アモルファスシートとアモルファスシートに比べて融点が低いか同程度の金属(合金)シートとの接合の場合(上記(b)、(c)の組み合わせ)、アモルファスシートの表面の一部を瞬間的に溶解させるだけで高い接合強度が得られることがわかった。またこの場合、接合界面に反応層が観察された。反応層中に脆い金属間化合物が生成していることも想像されるが、(1)冷却板を介した急冷効果により反応層自体の厚さが薄い、(2)反応層がほとんど存在しない領域もある、などの理由により高い接合強度が得られていると考えられる。
アモルファスシートとアモルファスシートに比べて融点が高い金属(合金)シートとの接合の場合(上記(d)の組み合わせ)、レーザー光の照射により金属(合金)シートが溶解すると、それに伴ってアモルファスシートの一部が溶解した。アモルファスの組織の一部に、溶解した痕跡が観察されるものの、アモルファス(非晶質)を保っていることがX線回折の解析からわかった。これは、冷却板を介した急冷効果が大きいと考えられる。図8に、アモルファスシートとNbシートとの接合部を透過顕微鏡で観察した画像を示す。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
10…接合装置、11,12…シート、13…加熱装置、14…冷却板、14a…搭載面、15…押え板。
Claims (17)
- 非晶質金属シートを含む複数のシートを接合する方法であって、
接合部に非晶質が残るようなレーザー加熱により前記複数のシートを溶融接合することを特徴とする非晶質金属シートの接合方法。 - 接合のために溶けた部分で溶けていない非晶質金属シートと接する部分が非晶質であって、つながった状態で残ることを特徴とする請求項1に記載の非晶質金属シートの接合方法。
- 接合のために溶解した部分の非晶質が独立した結晶質を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非晶質金属シートの接合方法。
- レーザー出力が、50W以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかに記載の非晶質金属シートの接合方法。
- 前記複数のシートを互いに重ね合わせ、その重ね合わせ部分にレーザー光を照射することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかに記載の非晶質金属シートの接合方法。
- 前記複数のシートに対して、レーザー光の照射と同時に、レーザー光の照射の裏側から冷却を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれかに記載の非晶質金属シートの接合方法。
- 前記複数のシートは、非晶質金属シートのみを含むか、または、非晶質金属シートと金属結晶シートとを含むことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれかに記載の非晶質金属シートの接合方法。
- 前記複数のシートに代えて、単数のシートの端部同士を互いに接合することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれかに記載の非晶質金属シートの接合方法。
- 非晶質金属シートと合金あるいは金属シートとを接合する方法であって、
レーザー加熱により、非晶質金属シートを貫通しない接合部を作ることを特徴とする非晶質金属シートの接合方法。 - 非晶質金属シートを含む複数のシートを接合する装置であって、
接合部に非晶質が残るようなレーザー加熱により前記複数のシートを溶融接合する加熱装置を備えることを特徴とする非晶質金属シートの接合装置。 - 前記複数のシートに対して、レーザー光の照射の裏側から吸熱する冷却板を備えることを特徴とする請求項10に記載の非晶質金属シートの接合装置。
- 前記冷却板は、CuあるいはCu合金からなることを特徴とする請求項11に記載の非晶質金属シートの接合装置。
- 前記複数のシートにおけるレーザー光が照射される部位を前記冷却板に密着させる押え板を備えることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の非晶質金属シートの接合装置。
- 前記押え板は、前記冷却板に対して、前記複数のシートの重ね合わせ部分の一部を押えることを特徴とする請求項13に記載の非晶質金属シートの接合装置。
- 前記押え板は、前記冷却板に対して、前記複数のシートのそれぞれを押えることを特徴とする請求項13に記載の非晶質金属シートの接合装置。
- 前記押え板は、CuあるいはCu合金からなることを特徴とする請求項13から請求項15のうちのいずれかに記載の非晶質金属シートの接合装置。
- 請求項10から請求項16のうちのいずれかに記載の接合装置を用いて接合が行われた非晶質金属シートを、水素透過膜として備えることを特徴とする水素透過ユニット。
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