JP2009056483A - 重ね合わせレーザ溶接方法およびレーザ溶接品 - Google Patents

重ね合わせレーザ溶接方法およびレーザ溶接品 Download PDF

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Abstract

【課題】重ね合わせ溶接において、端面に沿ってレーザビームを走査して端面近傍を溶接する場合に発生する溶接欠陥を防止し、溶接品質および部材品質を確保する重ね合わせレーザ溶接方法およびレーザ溶接品を提供する。
【解決手段】重ね合わせた複数の薄板の端面に沿って該端面からの距離が1.75mm以上、8.00mm未満の領域にレーザビームを照射させて複数の薄板を溶接する重ね合わせレーザ溶接方法であって、溶接方向に断続した溶接部を繰り返し形成するステッチ溶接、端面を冷却しつつ溶接する端面冷却溶接、および端面を押圧しつつ溶接する端面押圧溶接の1種以上を用いて溶接を行うことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄板の重ね合わせレーザ溶接方法およびレーザ溶接品に関する。特に、重ね合わせた薄板の端面近傍をレーザ溶接するに際し、レーザ溶接部の溶接割れを抑制することができるレーザ溶接方法およびレーザ溶接品に関する。
近年、自動車などの車体の高機能化、軽量化を目指し、従来の車体組立て溶接方法であるスポット溶接に代えて、レーザ溶接を適用するケースが増えつつある。スポット溶接に対するレーザ溶接のメリットとしては、
(1)レーザ溶接は片側からの溶接が可能なため、施工自由度が高く、スポット溶接の電極により被溶接材を狭持できないような構造であっても溶接が可能であること、
(2)点溶接であるスポット溶接に対し、線溶接が可能であり、溶接部材の強度・剛性の改善が期待できること、
などを挙げることができる。
たとえば、非特許文献1には、フランジを有する薄板部材において、スポット溶接ではフランジ幅が14mm以上必要であるが、レーザ溶接であれば、8mmのフランジ幅があれば重ね合わせ溶接が可能である旨記載されている。また、上述した利点に加え、フランジレス(短フランジ幅化)による軽量化や同じ部材幅(部材断面積)を有していてもより大きな閉断面を形成することにより、さらなる部材剛性の向上が期待できることも示されている。
なお、これまでの車体部品のレーザ溶接としては、上記非特許文献1のように、現在の主たる溶接法であるスポット溶接の代替として、フランジ幅が8mm以上である部材への適用の検討が行われているが、フランジ幅が8mm未満の部材へのレーザ溶接についての検討はなく、また、発生する割れに関する知見は全く示されていない。
一方、レーザ溶接時の割れについては、例えば特許文献1〜3に開示されているように、溶接熱歪みの発生が大きな厚板やもともと高温割れが発生し易い鋼材を対象としており、厚板などに比べ割れの発生が小さい自動車用薄板のレーザ溶接割れ対策についてはほとんど明らかにされていない。
また、レーザ溶接は、アーク溶接法などと比べ、低入熱での溶接が可能であり、さらに、薄鋼板では、溶融する金属量も小さく、発生する熱歪み量も厚板と比べ、極端に小さい条件となるため、自動車用薄板の割れに関しての知見は示されていない。
"The present and the future of laser technology in the automotive industry", European Automotive Laser Application 2006 Proceedings,独国,2006.01.26-27. 特開平6−190575号公報 特開2004−25278号公報 特開2004−90091号公報
そこで本発明は、自動車用薄板の重ね合わせ溶接において、端面に沿ってレーザビームを走査して端面近傍を溶接する場合に発生する溶接欠陥を防止し、溶接品質および部材品質を確保する重ね合わせレーザ溶接方法およびレーザ溶接品を提供することを課題とする。
本発明者らは、レーザ溶接部の幅は通常1mm程度であることから、さらなるフランジレス化すなわちレーザ溶接部と端面との距離を小さくすることについて鋭意検討し、端面からの距離が8mm未満の端面近傍を端面に沿って重ね合わせ溶接するレーザ溶接技術に関する本発明を完成させた。これにより溶接品を軽量化をすることができ、又は、同じ部品幅であるときには閉断面積の拡大による部材剛性の向上をはかることが可能である。
詳しくは本発明者らは、薄板である板厚0.7mm〜2.0mmの強度の異なる種々の鋼板を用い、同種鋼板同士を2枚重ね合わせ、レーザ溶接位置(レーザビームの照射位置と端面との距離)を変更して端面に沿ってレーザビームを走査して端面近傍を溶接する試験を実施し、以下の知見を得た。
(A)端面に極近い部位を溶接するとエッジが溶融し、溶融金属が垂れ下がった状態で凝固し、継手形状(外観品質)が損なわれる。
(B)エッジを溶融させないためには、端面からの距離が1.75mm以上離れた位置を溶接する必要がある。すなわち、溶接入熱が小さいレーザ溶接であっても、端面から、1.75mm以内を狙い位置として溶接した場合(これは、通常のレーザ溶接部幅に対し、1.0mm以上の未溶融部(=1.75mm−0.5mm)が期待される位置)、端面側では、抜熱の効果が小さいため、溶接の進行に伴いエッジが高温となり溶融する。
(C)端面から8mm以上離れた位置を溶接する場合には溶接割れが発生しない。
(D)端面から8mm未満の端面近傍を溶接した場合には、溶接部に割れが生じることがある。
さらにこの知見に基づき、溶接割れの発生要因について詳細に検討し、以下の知見を得た。
(E)図4に、端面に沿って該端面から2mmの位置をレーザ溶接(鋼板の板厚:1.4mm、溶接条件:出力4kW、速度2.5m/分)した際の溶接中の状態と発生した割れの外観を示す。図4(a)は鋼板1側からみた模式的図、図4(b)は溶接部を模式的に示した断面図で割れが発生した部分を示す。図4(a)において、溶接は、紙面の右から左に進行した。図4において、符号1、2は鋼板1、2であり、Aで示した部分が溶接部(溶接ビード)、Cで示した部分が割れである。また、割れはBで示した範囲で発生した。
ここで、割れBは、当該溶接中にレーザ照射点から約7mm後方(=レーザ照射後、約0.15秒後)で発生することがわかった。すなわち、割れは、レーザが照射され形成された溶融池が凝固した位置で発生し、これは溶融池が凝固して冷却する過程で発生することを意味すると考えられる。
(F)図5に溶接部Aを挟んで端面側と母材側における溶接後の温度履歴を測定した結果を示す。温度測定は溶接部Aの中心から端面側と母材側にそれぞれ1.3mmの位置に熱電対を取り付けることによりおこなった。図5では横軸に溶接直後を0秒としたときの時間(秒)を、縦軸には温度(℃)を示している。図5(a)は端面から2mmの位置を溶接し割れが発生した場合、図5(b)は端面から4mmの位置を溶接し割れが発生しなかった場合の結果である。
図5(a)に示すように、割れが発生する場合には、端面側と母材側の溶接熱履歴が大きく異なる。これは、溶接入熱が小さく溶接時の熱歪みが小さいレーザ溶接であっても、端面近傍を溶接した場合には、端面側では溶接位置(=熱源)から端面までの距離が短く、抜熱が十分でない状態となる。そのため、端面側は母材側に対し高い温度となり、端面側と母材側の温度差が大きく、割れが発生する。一方、割れが発生しない場合には図5(b)のように端面側と母材側との熱履歴の差が小さい。
(G)図6は、割れ発生のメカニズムを模式的に示す説明図である。母材側と端面側との熱膨張量差が大きくなると、特に図6にEで示したように、溶接部Aは発生する溶接線に直交する方向の端面方向に大きく引っ張られるように歪みが大きくなり、割れCが発生する。
(H)溶接時の割れは、母材側と端面側の抜熱の差に起因するため、端面からの距離が小さいほど割れの発生頻度は高くなる。端面からの距離が3.5mm以上離れた位置を溶接することにより、割れの発生頻度は大幅に低減する。
(I)割れの防止には、端面側と母材側の温度差に起因する歪み量を小さくすることが重要であり、歪み量を小さくするには、溶接速度を2.5m/分未満とすること、溶接方向に断続した溶接部を繰り返し形成する断続溶接(ステッチ溶接)を行うこと、端面を冷却しつつ溶接すること、または端面を押圧して端面側の熱変形を抑制しつつ溶接することが有効である。
以上の知見から発明者らは以下に示す本発明を完成させた。
請求項1に記載の発明は、重ね合わせた複数の薄板の端面に沿って該端面からの距離が1.75mm以上、8.00mm未満の領域にレーザビームを照射させて複数の薄板を溶接する重ね合わせレーザ溶接方法であって、溶接方向に断続した溶接部を繰り返し形成するステッチ溶接、端面を冷却しつつ溶接する端面冷却溶接、および端面を押圧しつつ溶接する端面押圧溶接の1種以上を用いて溶接を行うことを特徴とする重ね合わせレーザ溶接方法を提供することにより前記課題を解決する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重ね合わせレーザ溶接方法における端面からの距離が3.5mm以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の重ね合わせレーザ溶接方法における薄板は、板厚が0.7mm以上、2.0mm以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、重ね合わせた複数の薄板の端面に沿ったレーザ溶接部を有するレーザ溶接品であって、レーザ溶接部を端面からの距離が1.75mm以上、3.5mm以下の範囲に具備することを特徴とするレーザ溶接品を提供することにより前記課題を解決する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のレーザ溶接品における薄板は、板厚が0.7mm以上、2.0mm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、特に薄板の鋼板において複数の鋼板を重ね合わせて端面近傍をレーザ溶接しても溶接割れが抑制され、外観品質の良好な溶接継手を得ることができる。
図1は第一実施形態に係る本発明のレーザ溶接方法およびレーザ溶接品を説明するための図である。レーザ溶接品10は、図1に表わされる表側の鋼板11と、裏側の鋼板12(図1には表れていない。)とが端部から図1にIで示した距離の部分でレーザ溶接により一体化されている。ここで、レーザ溶接品10は、いわゆるステッチ溶接により溶接が行われているので、溶接部13、13、…と該溶接部13、13、…間に存する空走部14、14、…とを具備している。ここで、ステッチ溶接は割れが発生しない溶接長さで溶接して溶接部13を形成した後、適当な空走距離を設け空走部14を形成し、さらに溶接部13と空走部14とを形成するサイクルを繰り返し行うものである。
このときの溶接部13、13、…の長さおよび空走部14、14、…の長さは、溶接条件(出力や速度)などにより変化するため、割れが発生しない溶接部長さを求め、適時設定する。なお、空走長さは割れが発生しなければ特に限定されるものではない。
また、図1にIで示した距離は1.75mm以上、8.00mm未満である。これにより従来に比べ溶接品の軽量化、又は同じ部品幅であるときには閉断面積の拡大による部材剛性の向上をはかることが可能となる。
そしてこのように端部に近い溶接であっても上記のステッチ溶接を行うことにより、被溶接材に投入される熱量が低減し、その結果、発生する歪み量が小さくなり、割れの発生を抑制させることができる。
ここで、溶接される鋼板の鋼種は特に限定されるものではなく、レーザによる重ね合わせ溶接が適用できる薄鋼板であれば特に制限はない。また、裸材であってもめっき材であってもよい。ここで薄鋼板の厚さは、0.7mm〜2.0mmであることが好ましい。
また、当該レーザの種類は通常に鋼材のレーザ溶接に用いられるレーザであれば、特に限定されることはなく、これには例えばCOレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザなどを挙げることができる。なお、レーザ溶接におけるスポット径(レーザの鋼板への照射径)も特に限定されないが、0.5mm〜1.0mmが好ましく、得られる溶接部幅は約1mmであることが通常である。
図2は第二実施形態に係る本発明のレーザ溶接方法およびレーザ溶接品を説明するための図である。レーザ溶接品20、20’は、表側の鋼板21、21’と、裏側の鋼板22、22’とが端部から図2にJ、J’で示した距離においてされるレーザ溶接により一体化されている。ここで、レーザ溶接品20、20’は端面に工具25、25’を接触させつつ溶接をおこなうことで端面を冷却させながら溶接をする。これにより端面が冷却されるため、端面側の到達温度が低下して熱歪の発生を抑制し、溶接部の割れを抑制することができる。ここで冷却される端部の範囲は割れが抑制されれば特に限定されることはないが、図2にF、F’で示したレーザ照射点と、該照射点から遡って10mmの点との間に相当する端部の全範囲であることが好ましい。
また、図2にJ、J’で示した距離は1.75mm以上、8.00mm未満である。これにより従来に比べ溶接品の軽量化、又は同じ部品幅であるときには閉断面積の拡大による部材剛性の向上をはかることが可能となる。
ここで、溶接される鋼板の鋼種は特に限定されるものではなく、レーザによる重ね合わせ溶接が適用できる薄鋼板であれば特に制限はない。また、裸材であってもめっき材であってもよい。ここで薄鋼板の厚さは、0.7mm〜2.0mmであることが好ましい。
また、当該レーザの種類は通常に鋼材のレーザ溶接に用いられるレーザであれば、特に限定されることはなく、これには例えばCOレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザなどを挙げることができる。なお、レーザ溶接におけるスポット径(レーザの鋼板への照射径)は特に限定されないが、0.5mm〜1.0mmが好ましく、得られる溶接部幅は約1mmであることが通常である。
ここで当該冷却溶接のための工具の例を図2(a)および図2(b)に示した。図2(a)の工具は固定式工具25であり、直方体のブロック状であるとともにその一面には鋼板21、22の端部を受け入れる凹部26が形成されている。これにより鋼板21、22の端部を効率よく冷却させることができる。固定式工具25は熱伝導率の高い例えば銅や銅合金などの材料を用いるのが望ましい。また、抜熱効果を高めるために、内部に冷却水を供給する流路を配することがさらに望ましい。
図2(b)の工具は回転式工具25’であり、鋼板21’、22’の積層方向に平行な回転軸を有する円筒状であるとともに外周面には鋼板21’、22’の端部を受け入れる凹部26’が形成されている。これにより鋼板21’、22’の端部を効率よく冷却させることができる。回転式工具25’は熱伝導率の高い例えば銅や銅合金などの材料を用いるのが望ましい。また、抜熱効果を高めるために、内部に冷却水を供給する流路を配することがさらに望ましい。
図3は第三実施形態に係る本発明のレーザ溶接方法およびレーザ溶接品を説明するための図である。レーザ溶接品30、30’は表側の鋼板31、31’と、裏側の鋼板32、32’とが端部から図3にK、K’で示した距離においてされたレーザ溶接により一体化されている。ここで、レーザ溶接品30、30’は端面に工具35、35’を接触させ、図3に直線矢印で示したように該工具35、35’を溶接部33、33’の方へ押圧しながら溶接されたものである。これにより溶接部33、33’に作用する歪みを小さくすることができ、該溶接部33、33’の割れを抑制することができる。ここで押圧される端部の範囲は割れが抑制されれば特に限定されることはないが、図3にG、G’で示したレーザ照射点と、該照射点から遡って10mmの点との間に相当する端面の全範囲であることが好ましい。
また、図3にK、K’で示した距離は1.75mm以上、8.00mm未満である。これにより従来に比べ溶接品の軽量化、又は同じ部品幅であるときには閉断面積の拡大による部材剛性の向上をはかることが可能となる。
ここで、溶接される鋼板の鋼種は特に限定されるものではなく、レーザ溶接の重ね溶接が適用できる薄鋼板であれば特に制限はない。また、裸材であってもめっき材であってもよい。ここで薄鋼板の厚さは、0.7mm〜2.0mmであることが好ましい。
また、当該レーザの種類は通常に鋼材のレーザ溶接に用いられるレーザであれば、特に限定されることはなく、これには例えばCOレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザなどを挙げることができる。なお、レーザ溶接におけるスポット径(レーザの鋼板への照射径)は特に限定されないが、0.5mm〜1.0mmが好ましく、得られる溶接部幅は約1mmであることが通常である。
ここで当該押圧溶接のための工具の例を図3(a)および図3(b)に示した。図3(a)の工具は固定式工具35であり、直方体のブロック状であるとともにその一面側には鋼板31、32の端部を受け入れる凹部36が形成されている。これにより鋼板31、32の端部を効率よく押圧することができる。固定式工具35はレーザ溶接時に変質しないような耐熱性を有するものであれば良く、例えば熱間工具鋼や耐熱性樹脂などを用いることができる。
図3(b)の工具は回転式工具35’であり、鋼板31’、32’の積層方向に平行な回転軸を有する円筒状であるとともに外周面には鋼板31’、32’の端部を受け入れる凹部36’が形成されている。これにより鋼板31’、32’の端部を効率よく押圧することができる。回転式工具35’は高い耐熱性を有する例えば熱間工具鋼を用いるのが望ましい。
以上第一〜第三実施形態をそれぞれ別個に説明したが、実際にはこれらが単独で行われてもよいし、複数が組み合わされて行われてもよい。
また、上記した各実施形態のレーザ溶接における溶接速度に関し、該溶接速度が速すぎると、溶接部(13、23、33など)の中心を軸として、溶融池が溶接進行方向の後方に大きく尾を引くような形状となる。すなわち、溶融池の凝固は母材から溶接部(13、23、33など)の中心方向に向かい進行するため、溶接部の端が凝固し、中央部に溶融金属が残存した領域が大きくなる。従ってここに歪みが生じるので割れが発生し易くなる。特に、溶接部(13、23、33など)が端面から近い距離にあると、発生する歪みも大きくなる。以上より、溶接速度は2.5m/分以下とすることが好ましい。
より詳しくは、溶融池の凝固は母材から溶接部(13、23、33など)の中心方向に向かって進行し、中央部に溶融金属(液相)がわずかに残存した状態を経て凝固する。このとき、中央にわずかに液相が残存した状態で歪みが生じると割れが発生する。そのため、この液相が僅かに残存した領域と最も歪みが大きくなる領域との位置関係が重要となる。板厚2.0mmまでの重ね溶接において、ビームスポット径を0.6mm程度に絞るレーザ溶接では、溶融池が小さく上記した液相が僅かに残存している領域は小さいが、溶接速度が速くなるほど溶融池が大きくなるため、結果として液相がわずかに残存している領域も大きくなり、割れが生じる虞が高くなる。このことからも溶接速度を2.5m/分以下とすることが好ましい。
実施例として強度、および板厚の異なる4種の鋼板(軟鋼:厚さ1.2mm、440鋼:厚さ0.7mm、590鋼:厚さ1.4mm、780鋼:厚さ1.6mm)を用い、2枚の鋼板を重ね合わせて溶接をおこなった。ここでは、実施例、および比較例を含めて、端面からレーザ照射位置までの距離、ステッチ溶接の有無、端面冷却有無、端面押圧有無などの条件を変更してN数=5のレーザ溶接試験を実施した。
ステッチ溶接では、所定の溶接速度にて溶接部長さ13mm、空走部長さ5mmを繰返す溶接をおこなった。端面冷却溶接では、2枚重ねた鋼板の端面に接触する幅(溶接方向に平行な方向)30mmの銅製の固定式工具を用いて抜熱しながら溶接した。ここでは端面と固定式工具の密着を確実なものとするため当該固定式工具を9.8N(1kgf)の力で端面に押し付けるように加圧した。また、端面冷却と端面押圧を同時に行う場合には、さらに98N(10kgf)の力で固定式工具を端面に押し付けるように押圧した。また、端面冷却をしない端面押圧溶接では、熱伝導率の低い、厚さ2.0mm、長さ30mm、幅10mmの樹脂板を上記固定式工具の表面に取付け、加圧力98N(10kgf)で端面を加圧しつつ溶接した。
なお、端面冷却および端面押圧においては、溶接点から溶接進行方向の反対方向に約10mmの範囲に対応する端部を含むように固定式工具を配置した。
また、他の条件として、レーザ溶接には、YAGレーザを用い加工点出力を4.0kWに固定した。溶接速度は重ね合わせた鋼板の板厚により適正な貫通溶接条件を設定した。ここでレーザ光は、鋼板表面にて0.6mmのスポット径を有するように集光され、得られた溶接部幅は、概ね1.0mmであった。
溶接結果の評価は外観観察によりおこない、板エッジの溶融の有無、溶接部内の割れの有無を評価した。具体的にはN=5の供試体のうち
○:全数割れ発生無し
△:1〜4本の割れ発生
×:全数割れ発生
とした。表1に試験条件および試験結果を示す。
Figure 2009056483
表1に示すように、いずれの鋼種でも、板端面からの距離が1.5mmの場合(符号1、11、21)には、エッジ部に溶融を生じて外観品質に劣る結果となった。符号12〜16において板端面からの距離が1.75mm〜3.5mmの場合には、板端面から溶接部までの距離が大きくなるほど、割れの発生頻度は小さくなるものの、少なくとも1つの供試体で割れの発生が認められ必ずしも好ましいものではなかった。
一方、本発明の実施例であるステッチ溶接(符号4、18)、端面冷却溶接(符号5、7、9、19、23)、端面押圧溶接(符号6、7、10、20、24)の少なくとも1種を含む溶接では、板端面から溶接部までの距離が1.75mmの条件であっても割れの発生は認められなかった。
以上、現時点において、もっとも実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う重ね合わせレーザ溶接方法およびレーザ溶接品もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
ステッチ溶接を説明するための図である。 端部冷却溶接を説明するための図である。 端部押圧溶接を説明するための図である。 割れ発生を説明するための図である。 溶接部を挟んで端面側と母材側における溶接後の温度履歴を測定した結果を示す図である。 割れ発生のメカニズムを模式的に示す説明図である
符号の説明
10、20、30 溶接品
11、12、21、22、31、32 鋼板
13 23、33 溶接部
14 空走部
25、35 固定式工具
25’、35’ 回転式工具

Claims (5)

  1. 重ね合わせた複数の薄板の端面に沿って該端面からの距離が1.75mm以上、8.00mm未満の領域にレーザビームを照射させて前記複数の薄板を溶接する重ね合わせレーザ溶接方法であって、
    溶接方向に断続した溶接部を繰り返し形成するステッチ溶接、前記端面を冷却しつつ溶接する端面冷却溶接、および前記端面を押圧しつつ溶接する端面押圧溶接の1種以上を用いて溶接を行うことを特徴とする重ね合わせレーザ溶接方法。
  2. 前記端面からの距離が3.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の重ね合わせレーザ溶接方法。
  3. 前記薄板は、板厚が0.7mm以上、2.0mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重ね合わせレーザ溶接方法。
  4. 重ね合わせた複数の薄板の端面に沿ったレーザ溶接部を有するレーザ溶接品であって、
    前記レーザ溶接部を前記端面からの距離が1.75mm以上、3.5mm以下の範囲に具備することを特徴とするレーザ溶接品。
  5. 前記薄板は、板厚が0.7mm以上、2.0mm以下であることを特徴とする請求項4に記載のレーザ溶接品。
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