JP2005243371A - 正極とそれを用いた捲回型電気化学素子 - Google Patents

正極とそれを用いた捲回型電気化学素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2005243371A
JP2005243371A JP2004050624A JP2004050624A JP2005243371A JP 2005243371 A JP2005243371 A JP 2005243371A JP 2004050624 A JP2004050624 A JP 2004050624A JP 2004050624 A JP2004050624 A JP 2004050624A JP 2005243371 A JP2005243371 A JP 2005243371A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
active material
electrode active
electrochemical device
current collector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004050624A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Higuchi
洋 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2004050624A priority Critical patent/JP2005243371A/ja
Publication of JP2005243371A publication Critical patent/JP2005243371A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】 充電時に正極で生じるストレスを抑制して、渦巻き状に捲回された正極からの正極活物質の脱落を抑制する捲回型電気化学素子用正極を提供する。
【解決手段】 捲回型電気化学素子用正極は、電子伝導性を有するフィルム状集電体と、集電体の少なくとも片面に密着した正極活物質とからなり、充電時に正極活物質が膨張する方向が、捲回型電気化学素子用正極の捲回軸方向に対して40°以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、捲回型電気化学素子用正極およびそれを用いた捲回型電気化学素子に関する。
従来より、リチウムイオン二次電池の電極には、集電体に活物質を塗布したものが使用されている。正極側の活物質として用いられるコバルト酸リチウムは、扁平の結晶粒であり、塗布工程において圧縮した方向に無配向かあるいは僅かにc軸配向する。コバルト酸リチウムは、充電時にリチウムを放出する際に、c軸方向に約5%膨張する。
捲回型電気化学素子の一例であるリチウムイオン二次電池は、図3のように、金属箔の両面に正極活物質粉末を塗着して得られた正極、金属箔の両面にカーボン粉を塗布して得られた負極、および前記正極と負極との間に配されたセパレータを重ねて渦巻状に捲回して得られた構造物(以下、電極群と表す)を電池缶内に封じた構造を有する。
この電池が抱える問題の一つに、充放電サイクル寿命が短いことが挙げられる。この問題を解決する方法として、充放電サイクル特性を改善するために、正極の法線方向に対する正極活物質の結晶軸の向きを制御することが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、次世代の電池として、固体電解質を用いた全固体二次電池が研究されている(例えば、特許文献2)。この電池の分野においては、気相成膜によって固体電解質、活物質などの主要な電池材料を形成した例が数多く報告されている。気相成膜とは、材料をガス化あるいは数原子が集まったクラスター状態にして、膜を形成しようとする面まで飛行、衝突させることにより膜を形成することをいう。この代表的なものとして、スパッタ法や蒸着法がある。
この全固体二次電池についても、正極活物質の結晶軸の向きを制御することが提案されている(例えば、特許文献3)。さらに、気相成膜により結晶性の活物質層を形成するための手段として、電子照射や光照射などによるエネルギー照射の有効性が報告されている(例えば、特許文献4)。
捲回型電気化学素子は、充放電に伴い正極活物質が膨張、収縮するので、正極が局部的に屈曲を繰り返して、正極活物質が脱落し、充放電サイクル寿命が低下するという問題がある。
以下に、本発明が解決しようとする充放電サイクル寿命に関する詳細を説明する。
例えば、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられるコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム等は、空間群R−3mで示される層状結晶構造を有する。理論容量の50%を充電することに伴うリチウムイオンの放出の際には、これらの正極活物質はc軸方向に約5%程度膨張する性質を有する。
厚さ数百nm〜数十μmの正極活物質層は、スパッタ法等の気相成膜法により形成され、さらに熱処理することにより得られる。この正極活物質層のc軸は、基板の成膜面に対して垂直方向に配向しやすいため、充電に伴う正極の膨張は、この成膜面に垂直な方向に起こりやすい。
本発明者は、表面に金属箔や導電性膜を形成した可とう性を有する基板上に、その垂直方向にc軸配向した正極活物質層を形成した正極を用いて捲回型電気化学素子を作製し、充放電サイクル試験を行ったところ、電池容量が著しく低下することがわかった。
この容量低下の原因を調べるため、充放電サイクル試験後の捲回型電気化学素子を分解したところ、正極活物質が基板から脱離している部分が多く見られた。
充放電に伴い基板に垂直な方向に正極活物質が膨張収縮するため、すなわち、円筒形の電極群が円筒の側面方向に膨張収縮するため、電極群内部に大きなストレスが生じる。このストレスにより正極活物質が脱落しやすくなると考えられる。したがって、電極群内部のストレスを解消するためには、正極活物質の正極上の法線方向における膨張収縮を抑える必要がある。
しかし、電極群の捲回軸に対する正極活物質のc軸の向きによる、電極群内部のストレスへの影響については依然解明されていない。
特許第3362561号明細書 米国特許第5338625号明細書 特開2001−330661号公報 特開2001−265510号公報
そこで、本発明では、充電時に正極で生じるストレスを抑制して、渦巻き状に捲回された正極からの正極活物質の脱落を抑制する捲回型電気化学素子用正極を提供することを目的とする。また、この正極を用いることにより容量低下が小さく、充放電サイクル特性に優れた捲回型電気化学素子を提供することを目的とする。
以上の考察を踏まえてc軸方向と捲回軸方向の関係について種々検討した結果、正極の基板上に形成される正極活物質層の充電時に膨張する方向(c軸方向)が、捲回軸に対し40°以下のとき充放電サイクル特性が改善されることを見出した。
すなわち、本発明の捲回型電気化学素子用正極は、電子伝導性を有するフィルム状集電体と、前記集電体の少なくとも片面に密着した正極活物質とからなる捲回型電気化学素子用正極であって、充電時に前記正極活物質が膨張する方向が、前記捲回型電気化学素子用正極の捲回軸に対して40°以下であることを特徴とする。
充電時に前記正極活物質が膨張する方向が、前記捲回型電気化学素子用正極の捲回軸方向に対して30°以下であるのが好ましい。
前記膨張する方向が、前記正極活物質の結晶におけるc軸方向であることが好ましい。
前記正極活物質が、コバルト酸リチウムまたはニッケル酸リチウムであることが好ましい。
前記正極活物質の層が、気相成膜法により前記集電体上に形成されるのが好ましい。
また、本発明の捲回型電気化学素子は、上記の捲回型電気化学素子用正極を用いることを特徴とする。
本発明によれば、充電時に正極で生じるストレスを抑制して、渦巻き状に捲回された正極からの正極活物質の脱落を抑制する捲回型電気化学素子用正極を提供することができる。また、この正極を用いることにより容量低下が小さく、充放電サイクル特性に優れた捲回型電気化学素子を提供することができる。
本発明は、電子伝導性を有するフィルム状集電体と、前記集電体の少なくとも片面に密着した正極活物質とからなる捲回型電気化学素子用正極であって、充電時に前記正極活物質が膨張する方向と、前記捲回型電気化学素子用正極の捲回軸に平行な正極上の直線とのなす角度が40°以下である捲回型電気化学素子用正極に関する。
前記正極活物質がコバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムの場合、それは層状結晶構造を有し、充電時にリチウムを放出すると電気的斥力によって層の法線方向(結晶のc軸方向)に膨張する。したがって、膨張する方向は正極活物質の結晶におけるc軸方向と一致する。
本発明の捲回型電気化学素子用正極の一例として、正極活物質がコバルト酸リチウムまたはニッケル酸リチウムである場合を以下に示す。図1に、捲回型電気化学素子用正極の概略縦断面図を示す。
正極11は、正極集電体11aおよび、集電体11aの両面に形成された正極活物質11bの層からなる。この正極11を、負極やセパレータとともに捲回することにより電極群14が構成される。
ここで、図2は、捲回された正極11上の任意の点Aにおいて捲回軸Xに平行な直線X1と、c軸方向Yとを示す。このとき、直線X1とc軸方向Yとがなす角度をφとする。なお、角度φは、直線X1とc軸方向Yとがなす角度のうち、鋭角の方とする。
そして、φ≦40°の場合、充電時に正極活物質が膨張する方向が、捲回軸方向側に向いていることになるため、正極に加わるストレスを低減することができる。これにより、渦巻き状に捲回された正極からの正極活物質の脱落が抑制され、充放電サイクル寿命が向上する。
一方、φ>40°の場合、上述した従来の場合と同様に、電極群の一部に大きな力が加わり、正極が局部的に屈曲することにより正極活物質が脱落するので、本発明のような効果が期待出来ない。
さらに、充電時に正極活物質が膨張する方向が、捲回型電気化学素子用正極の捲回軸方向に対して30°以下であることが特に好ましい。このとき、充放電サイクル寿命が大幅に向上する。
したがって、本発明に係る正極活物質の結晶体における結晶方向は、角度φが40°以下となるように設計されている。
本発明では、このように正極における正極活物質のc軸方向に対して可能な限り沿うように捲回軸を選択することにより、充電時に正極に加わる力を抑制し、正極の屈曲による正極活物質の脱落を抑制することができる。
本発明の正極の作製方法としては、結晶配向を制御することができる気相成膜の手法を用いることができる。気相成膜法としては、スパッタ法、蒸着法(抵抗加熱式、電子ビーム式、イオンビーム式、分子線エピタキシー式)、イオンプレーティング法(アーク式、プラズマ式)、CVD法(熱式、プラズマ式、レーザー式、原子層エピタキシー式)などが挙げられる。
気相成膜による作製方法の一例として図4に示す製造装置を用いた場合を以下に示す。
真空容器38の上方には、基板ホルダー32により基板として金属箔からなる正極集電体11aが保持されている。その下方には、材料33aを入れるるつぼ34、および前記材料33aの入ったるつぼ34に必要に応じて電子ビームを照射する電子ビーム銃35からなる蒸着ユニットが設置されている。電子ビームの照射により、るつぼ34が加熱されて材料33aが蒸発する。そして、蒸発した材料33aは、すぐ上に存在する正極集電体11aに到達し、集電体11a上に膜を形成する。
材料33aは、正極活物質の種類によって適当に組み合わせる必要がある。
正極活物質が、例えば、コバルト酸リチウムの場合、これが蒸発しない材料であることから、リチウム用材料とコバルト用材料の二つの材料に分ける必要である。さらに、酸化物とするために、真空容器38の内部に酸素を含ませておく必要がある。
リチウム用材料としては、金属リチウム、リチウムの酸化物や炭酸化物などが挙げられる。その中でも、蒸発状態の安定性を確保することができるため、金属リチウムが好ましい。また、コバルト用材料としては、金属コバルト、コバルトの酸化物や炭酸化物などが挙げられる。その中でも、蒸発状態の安定性を確保することができるため、金属コバルトが好ましい。
金属リチウムは180℃で溶解し、蒸気圧も高いことから抵抗加熱ヒーターでも十分な蒸発速度を得ることができる。この装置は、抵抗加熱ヒーターを用いる場合は、抵抗加熱ヒーターで加熱する材料33bを入れるるつぼを別途設けることができる。このるつぼには、抵抗加熱ヒーターが備えられ、このとき、材料33aおよび33bは、例えば、正極集電体11aに対して図5および6に示す位置関係に配置される。
一方、金属コバルトは融点が1490℃と高く、必要な蒸気圧を得るには1700〜2200℃の高温が必要となることから電子ビーム銃による加熱が望ましい。金属リチウムおよび金属リチウムを集電体11a面上で原子数比が1:1となるように調整する。成膜速度の調整には、水晶振動子41により膜厚をモニタリングする方法等が有効である。
調整後、ガス供給管37より容器38に酸素を導入する。酸素欠損状態になるのを防ぐため、蒸発するリチウム、コバルトの速度から考えられる最低限必要な酸素供給量の3倍から5倍の量を供給するのが好ましい。また、電子ビームを照射する際の異常放電を抑制するためには、容器38内部を10-2Pa程度の減圧状態に保つのが好ましい。このことから、予めメインバルブ40を備えたガスを排出する排気管39の排気能力も十分に大きく設計しておくのがよい。
結晶化した正極活物質を形成するために、上述の手順と並行して正極集電体11aに対して電子照射装置42より電子照射を行う。照射する電子は、結晶化に要する再配列エネルギーを与えるためのものであり、加速電圧としては数十〜400V程度とすることが適当である。電流は、成膜速度に応じてその値を調整する。
以上に述べた方法によって、材料および再配列のエネルギーが供給されることによって、正極集電体11a面上に正極活物質11bの層が形成される。
コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムの場合、材料原子が飛来する方向にc軸が配向する傾向が強い。
ここで、図5および6は、正極集電体11aに対して、材料を設置すべき位置を示すものである。図5および6中の角度φ1は、下方にある蒸着ユニットから飛来するLiまたはCo原子の飛来ベクトルと正極集電体11aとのなす角度である。材料原子あるいはクラスタを、膜を形成しようとする正極集電体11aの面に対して40°以下の角度φ1で入射する場合、正極活物質のc軸が膜の成長方向に向く性質が作用し、c軸が入射方向に向いた状態で成膜することができる。すなわち、正極集電体11aに対して角度φ1の方向に正極活物質のc軸方向を制御することが可能である。
これにより、図7のように入射方向Yにc軸を有する正極活物質11bの層が正極集電体11a上に形成される。正極集電体11aは、回転可能な基板ホルダー32により保持されるため、下方にある蒸着ユニットから飛来するLi、Co原子の飛来ベクトルと正極集電体11aとのなす角度φ1を調整することが可能である。
本発明の捲回型電気化学素子は、上記の正極を用いることにより得られる。
本発明の正極を使用した捲回型電気化学素子の一例としてリチウムイオン二次電池の構成を図3に示す。
正極11は、セパレータ12、負極13とともに捲回され、電極群14が構成されている。そして、正極は、上記のように正極活物質11bのc軸方向と捲回軸方向との角度φが30°以下となるように捲回されている。電極群14は、例えば、六フッ化リン酸リチウム等を溶解させた有機溶媒からなる電解液を含んだ状態で電池缶15中に収容される。そして、封口板17、ガスケット18、安全弁21、押さえ板22、外装チューブ23の各部品を用いることにより、外気から隔絶された状態に保持される。
充放電の際に電池缶15内に極微量に混入した水分が分解することにより発生した水素によって、電池缶15の内圧が上昇し、電池が破裂しないように、ガスを排気し、外気の流入を防止する孔16および安全弁21が配されている。正極11は正極リード19を介して正極端子20に、負極13は電極缶15にそれぞれ接続されており、電池は、正極端子20と負極端子を兼ねる電池缶15とから出力する。
上記のような構成とすることにより、容量低下が小さく、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
《実施例1》
(1)正極の作製
上述した図4と同様の製造装置を用いて、気相成膜によりアルミニウム箔からなる正極集電体11aにc軸の向きを所定の向きに制御したコバルト酸リチウムからなる正極活物質11bの層を形成し、図1と同様の正極11を得た。
材料33aとして金属コバルト50gを電子ビーム加熱用るつぼ34に入れ、材料33bとして金属リチウム3gを抵抗加熱ヒーター用るつぼ(図示しない)に入れ、基板として正極集電体11aを基板ホルダー32に装着した後、真空容器38の内部を10-3Pa以下に減圧した。
抵抗加熱るつぼを加熱して金属リチウムを溶解させ、水晶振動子41の表示値が7Å/秒になるように抵抗加熱るつぼの温度を調整した。表示値の7Å/秒は、水晶振動子の検出面に対してリチウム(原子量7)が堆積する割合が、10-8mol/sec/cm2であることを示す。このとき、抵抗加熱るつぼの温度は約540℃であった。
また、電子ビームにより金属コバルトを溶解させて、水晶振動子41の表示値が59Å/秒となるように電子ビームからの出力電流を調整して、成膜速度を調整した。表示値の59Å/秒は、水晶振動子の検出面に対してコバルト(原子量59)が堆積する割合が、10-8mol/sec/cm2であることを示す。
圧力を2×10-2Paに保った状態で、ガス供給管37から酸素を200sccmの流量で導入した。そして、電子照射装置42から加速電圧60Vで電子を正極集電体11aに向けて照射し、その状態でシャッター36を開放し、正極集電体11a上に厚さ1μmの正極活物質11bの層を形成した。なお、形成される正極活物質11bの層の厚さは、水晶振動子41によるモニタリングによって管理した。このとき、るつぼから正極集電体11a面へリチウムとコバルトの原子が飛来し入射する角度φ1は、φ1=8°とした。
正極活物質層に対する入射方向を変えないように正極活物質層を固定した状態で正極活物質層を集電体11aから剥離し、高速反射電子線回折分析により正極活物質層の結晶方向を確認した。
φ1=8°の場合の正極活物質層の剥離したサンプルに対して、成膜時に原子が入射した方向と同一な方向から電子線を照射したときに得られる電子線回折パターン(以下、デバイリングと表す)を図8に示す。このデバイリングは、(003)、(006)および(009)に起因するものであり、これらはc軸方向に電子線を入射させたときにみられる。また、これ以外のリングが見られないことから、この膜がc軸に配向していることが確認された。
(2)電極群の作製
負極13およびセパレータ12とともに、上記で得られた正極11を以下に示す条件で捲回し、電極群14を得た。なお、セパレータ12には、ポリプロピレンからなる厚さ15μmの多孔性膜を用いた。負極13には、銅箔(厚さ10μm)からなる負極集電体の表面に負極活物質として厚さ15μmのカーボン粉末を塗布したものを用いた。
ここで、正極等を捲回して得られた電極群14を図9に示す。図9には、正極11上の任意の点Aにおける接平面Z1に垂直な面Z2、点Aを通り捲回軸Xに平行な直線X1、点Aにおけるc軸方向Yが示されている。そして、点Aにおけるc軸方向Yが、前記直線X1ともに点Aにおける接平面Z1に垂直な面Z2の中に含まれるように捲回した。すなわち、リチウムおよびコバルトの原子が入射した角φ1がφとなる捲回軸を定めた。
(3)リチウム二次電池の組み立て
上記で得られた電極群14を電池缶15に入れた後、これを0.4気圧の減圧下で電解液中に1分間浸漬した。そして、封口板17、ガスケット18、正極リード19、正極端子20、安全弁21、押さえ板22、外装チューブ23の各部材を用いて、電極群14を電池缶15内に封じた。
電解液には、プロピレンカーボネートとジメトキシエタンの混合溶媒(体積比1:1)に過塩素酸リチウムを1mol/L溶解させたものを用いた。
《実施例2〜6および比較例1》
実施例1における角度φ1(=φ)を、φ1=15°、25°、30°、35°、40°、50°と種々に変えた以外は、実施例1と同様の方法により正極11を作製した。そして、これらの正極について実施例1と同様の方法により結晶方向を調べたところ、φ1の方向にc軸が配向していることが確認された。
これらの正極を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりそれぞれリチウム二次電池を作製した。
《実施例7〜9および比較例2》
実施例2と同様の方法によりφ1=15°の正極11を作製した。
そして、この正極、ならびに実施例1と同様の負極およびセパレータを用いて以下の条件で捲回し電極群を得た。
ここで、図10および11は、正極上の任意の点Aにおけるc軸方向Yが点Aにおける接平面Z1に垂直な面Z2に含まれない電極群14を示す。
c軸方向が図10および11に示すような場合において、正極上の任意の点Aにおける接平面Z1へのc軸方向Yの射影Y1と、点Aを通り捲回軸Xに平行な直線X1とがなす角度δが5°、20°、30°、40°となるように捲回軸Xの方向を種々に変えた。このとき、φ、φ1およびδは、cosφ=cosφ1・cosδという関係式を満たす。
《比較例3》
正極活物質としてのコバルト酸リチウム粉末(粒径7μm)と、導電材としての炭素粉末(アセチレンブラック、粒径2μm)と、結着材としてのPVDF(ポリフッ化ビニリデン)とを重量比90:6:4の割合で混合し、正極ペーストを得た。そして、この正極ペーストをアルミニウム箔からなる正極集電体に塗着し、300℃で乾燥した後、ロールプレスにより厚さ15μmの正極活物質層を集電体上に形成し、正極とした。そして、この正極、ならびに実施例1と同様の負極およびセパレータを用いて従来の方法により捲回し、電極群を得た。この電極群を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりリチウム二次電池を作製した。
上記で作製した実施例1〜9および比較例1〜3の各電池についてサイクル寿命を評価するため、以下の充放電サイクル試験を実施した。
得られた各電池を、環境温度20℃において、充電電流0.2C(電池の理論容量に相当する量を5時間で充電できる電流値)で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、その後、放電電流2C(電池の理論容量に相当する量を1/2時間で放電できる電流値)で電池電圧が3Vに達するまで放電した。
このとき、5サイクル目の活物質重量当たりの放電容量を初期放電容量とした。上記の充放電を1サイクルとする充放電を繰り返し、初期放電容量の80%まで容量が低下した時点のサイクル数を調べた。この充放電サイクル試験の結果を表1に示す。
Figure 2005243371
表1より、φ>40°の比較例1および2では、従来の比較例3よりもサイクル数が小さいが、φ≦40°の実施例1〜9では、比較例1〜3よりも大きなサイクル数が得られた。特に、φ≦30°の実施例1〜4、7および8では、サイクル数が800程度であり、大幅に充放電サイクル特性が改善された。
全ての電池を分解したところ、実施例1〜9では異常が見られなかったのに対して、比較例1〜3では、正極活物質の一部がアルミニウム箔からなる集電体から剥離していることが確認された。これは、本発明のように角度φがφ≦40°を満たす場合、正極集電体が屈曲することによる正極活物質の脱落が抑制されたものと考えられる。
以上のように、本発明の捲回型電気化学素子用正極は、充電時に正極に加わる力を抑制して、正極集電体の屈曲による正極活物質の脱落を抑制することができるため、長寿命を要する捲回型電気化学素子に適用することができる。
一般的な正極の概略縦断面図である。 電極群における正極上の任意の点Aにおける結晶(c軸)方向Yと捲回軸Xとを示す図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の構成を示す図である。 本発明の正極の製造装置の構成を示す図である。 図4の基板と材料との位置関係を示す斜視図である。 図4の基板と材料とのy軸方向における位置関係を示す図である。 本発明の正極の概略縦断面図である。 本発明のコバルト酸リチウムからなる正極活物質の高速反射電子線回折分析における(003)に起因するデバイリングを示す図である。 正極上の任意の点Aにおけるc軸方向Yが、点Aにおける接平面Z1に垂直な面Z2に含まれる電極群を示す図である。 正極上の任意の点Aにおけるc軸方向Yが、点Aにおける接平面Z1に垂直な面Z2に含まれない電極群を示す図である。 図10の正極上の任意の点Aにおけるc軸方向Yの接平面Z1への射影Y1を示す図である。
符号の説明
11 正極
11a 正極集電体
11b 正極活物質
12 セパレータ
13 負極
14 電極群
15 電池缶
16 孔
17 封口板
18 ガスケット
19 正極リード
20 正極端子
21 安全弁
22 押さえ板
23 外装チューブ
32 基板ホルダー
33a、33b 材料
34 るつぼ
35 電子ビーム銃
36 シャッター
37 ガス供給管
38 真空容器
39 排気管
40 メインバルブ
41 水晶振動子
42 電子照射装置

Claims (6)

  1. 電子伝導性を有するフィルム状集電体と、前記集電体の少なくとも片面に密着した正極活物質とからなる捲回型電気化学素子用正極であって、
    充電時に前記正極活物質が膨張する方向が、前記捲回型電気化学素子用正極の捲回軸方向に対して40°以下であることを特徴とする捲回型電気化学素子用正極。
  2. 充電時に前記正極活物質が膨張する方向が、前記捲回型電気化学素子用正極の捲回軸方向に対して30°以下である請求項1記載の捲回型電気化学素子用正極。
  3. 前記膨張する方向が、前記正極活物質の結晶におけるc軸方向である請求項1記載の捲回型電気化学素子用正極。
  4. 前記正極活物質が、コバルト酸リチウムまたはニッケル酸リチウムである請求項1または2記載の捲回型電気化学素子用正極。
  5. 前記正極活物質の層が、気相成膜法により前記集電体上に形成された請求項1記載の捲回型電気化学素子用正極。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の正極を用いた捲回型電気化学素子。
JP2004050624A 2004-02-26 2004-02-26 正極とそれを用いた捲回型電気化学素子 Pending JP2005243371A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004050624A JP2005243371A (ja) 2004-02-26 2004-02-26 正極とそれを用いた捲回型電気化学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004050624A JP2005243371A (ja) 2004-02-26 2004-02-26 正極とそれを用いた捲回型電気化学素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005243371A true JP2005243371A (ja) 2005-09-08

Family

ID=35024889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004050624A Pending JP2005243371A (ja) 2004-02-26 2004-02-26 正極とそれを用いた捲回型電気化学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005243371A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007046322A1 (ja) * 2005-10-21 2007-04-26 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 電池
WO2011007412A1 (ja) * 2009-07-13 2011-01-20 トヨタ自動車株式会社 正極活物質層の製造方法
WO2018025649A1 (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 日本碍子株式会社 全固体リチウム電池
WO2018025595A1 (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 日本碍子株式会社 全固体リチウム電池の使用方法
WO2018025594A1 (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 日本碍子株式会社 全固体リチウム電池
EP3352254A4 (en) * 2016-02-24 2018-07-25 NGK Insulators, Ltd. Plate-shaped lithium composite oxide
EP3648203A1 (en) * 2018-11-05 2020-05-06 Samsung Electronics Co., Ltd. Electrode structure, method of manufacturing the electrode structure, and secondary battery including the electrode structure

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007046322A1 (ja) * 2005-10-21 2007-04-26 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 電池
US8367240B2 (en) 2005-10-21 2013-02-05 Panasonic Corporation Lithium secondary battery with wound electrodes
WO2011007412A1 (ja) * 2009-07-13 2011-01-20 トヨタ自動車株式会社 正極活物質層の製造方法
US9093708B2 (en) 2009-07-13 2015-07-28 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method for producing cathode active material layer
US10454109B2 (en) 2016-02-24 2019-10-22 Ngk Insulators, Ltd. Plate-shaped lithium composite oxide
EP3352254A4 (en) * 2016-02-24 2018-07-25 NGK Insulators, Ltd. Plate-shaped lithium composite oxide
KR20180116279A (ko) * 2016-02-24 2018-10-24 엔지케이 인슐레이터 엘티디 판형 리튬 복합 산화물
KR102643570B1 (ko) 2016-02-24 2024-03-04 엔지케이 인슐레이터 엘티디 판형 리튬 복합 산화물
WO2018025595A1 (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 日本碍子株式会社 全固体リチウム電池の使用方法
WO2018025594A1 (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 日本碍子株式会社 全固体リチウム電池
JPWO2018025594A1 (ja) * 2016-08-02 2019-05-30 日本碍子株式会社 全固体リチウム電池
JPWO2018025595A1 (ja) * 2016-08-02 2019-05-30 日本碍子株式会社 全固体リチウム電池の使用方法
JPWO2018025649A1 (ja) * 2016-08-02 2019-05-30 日本碍子株式会社 全固体リチウム電池
WO2018025649A1 (ja) * 2016-08-02 2018-02-08 日本碍子株式会社 全固体リチウム電池
EP3648203A1 (en) * 2018-11-05 2020-05-06 Samsung Electronics Co., Ltd. Electrode structure, method of manufacturing the electrode structure, and secondary battery including the electrode structure
US11799073B2 (en) 2018-11-05 2023-10-24 Samsung Electronics Co., Ltd. Electrode structure, method of manufacturing the electrode structure, and secondary battery including the electrode structure

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8221918B2 (en) Anode for lithium ion secondary battery, production method thereof, and lithium ion secondary battery using the same
US8318359B2 (en) Electrode for lithium secondary battery, lithium secondary battery and method for producing the same
CN111201634B (zh) 无烯烃隔板的锂离子电池
JP4208940B2 (ja) 負極活物質、これを用いた負極およびリチウムイオン二次電池
US6649033B2 (en) Method for producing electrode for lithium secondary battery
KR101088263B1 (ko) 전지용 전극판 및 그것을 이용하는 리튬이차전지
JP3624174B2 (ja) 金属酸化物電極及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池
JP5173181B2 (ja) リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法
JP5230946B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極、その製造方法、およびそれを用いたリチウムイオン二次電池
JPWO2007046322A1 (ja) 電池
JP2008098157A (ja) リチウムイオン二次電池用負極およびそれを用いるリチウムイオン二次電池
JP2007109423A (ja) 非水電解質二次電池およびその負極の製造法
JP2010282901A (ja) リチウムイオン二次電池用負極材、および、その製造方法、ならびに、リチウムイオン二次電池
JP2010073402A (ja) リチウム二次電池用負極の製造方法
JP2005135856A (ja) リチウム二次電池用電極及びその製造方法、並びにリチウム二次電池
JP2005243371A (ja) 正極とそれを用いた捲回型電気化学素子
JP2009043523A (ja) リチウム二次電池用負極の製造方法、およびリチウム二次電池用負極
JP2003234100A (ja) リチウム二次電池用電極の製造方法
JP2007335086A (ja) リチウム電池用電極の製造方法
CN110085917B (zh) 全固态锂离子电池及其制备方法和用电设备
JP2009123402A (ja) リチウム二次電池用負極の製造方法
JP4183745B2 (ja) リチウム電池用電極およびリチウム電池用電極の製造方法
JP2003308832A (ja) リチウム二次電池用電極の製造方法
JP2005093372A (ja) 電気化学素子とその製造方法
JP3935729B2 (ja) リチウム二次電池用電極