JP2005093372A - 電気化学素子とその製造方法 - Google Patents

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禎之 岡崎
Junichi Inaba
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Abstract

【課題】 リン酸リチウム化合物を固体電解質として含む、充放電特性などの特性が高い電気化学素子とその製造方法とを提供する。
【解決手段】 第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配置された固体電解質層とを含む電気化学素子の製造方法であって、(i)第1の電極上に、酸素の一部または全部を、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素に置換した非晶質のリン酸リチウム化合物を含む前駆体層を形成する工程と、(ii)形成した前駆体層の少なくとも一部を結晶化することによって、リン酸リチウム化合物の結晶粒を含む固体電解質層を形成する工程と、(iii)形成した固体電解質層を第1の電極と共に狭持するように、第2の電極を配置する工程とを含むことを特徴とする製造方法とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電気化学素子とその製造方法に関し、特に、例えば、固体電解質電池に関する。
近年、携帯電話やPDAに代表される携帯型電子機器の小型軽量化が急速に進んでおり、より小型かつ高出力の電池が求められている。なかでもリチウム電池は、一次電池、二次電池を含め、鉛蓄電池やニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池を凌駕する出力電圧とエネルギー密度とを有している。このため、特に二次電池の分野において、従来主流であったニッケル−水素電池を凌ぎ、リチウム電池が現在の主流となっている。しかしながら、液体電解質を用いたリチウム電池では、液漏れや短絡、電池形状の制限などの理由から、さらなる小型化、高電圧化への対応が困難であるのが現状である。
このような問題を解決する一つの手段として、電解質にリチウム(Li)伝導性を有する固体電解質を用いた固体電解質電池がある。なかでも、薄膜プロセスを応用することによって電極、電解質などの各要素を形成した固体薄膜電池は、各要素を連続的に積層することができ、従来のリチウム電池の数倍のエネルギー密度が期待される。
固体電解質電池に用いる固体電解質として、非晶質のリン酸リチウム化合物などが提案されている(例えば、特許公報1などに記載)。この化合物のLi伝導のメカニズムは、非晶質状態の網目構造の隙間を介してLiイオンが移動するという考え方が一般的である。また、Li伝導性を向上するために、リン酸リチウム化合物に含まれる酸素の一部を窒素に置換することによって網目構造の隙間を広げることが提案されている。
特開2002−184455号公報
しかしながら、上記化合物は非晶質であるため化学的に不安定であり、水分との反応により変質しやすいなどの課題がある。これに対して、単なる上記化合物の結晶では、Li伝導性が低下することが報告されている(例えば、特許文献1に記載)。おそらく、このLi伝導性低下の問題から、これまでリン酸リチウム化合物の結晶体を固体電解質に用いた固体電解質電池は報告されていない。特許文献1においても、あくまで非晶質の状態を保つように基板の温度範囲を設定することが示されている。
そこで、本発明は、リン酸リチウム化合物の結晶体を含みながらも、Li伝導性を確保した固体電解質を含む電気化学素子と、その製造方法とを提供することを目的とする。
本発明の電気化学素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された固体電解質層とを含む電気化学素子であって、前記固体電解質層が、酸素の一部または全部を、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素に置換したリン酸リチウム化合物の結晶粒を含むことを特徴としている。
このような電気化学素子とすることによって、充放電特性などの特性が高い電気化学素子とすることができる。
次に、本発明の電気化学素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された固体電解質層とを含む電気化学素子の製造方法であって、
(i)前記第1の電極上に、酸素の一部または全部を、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素に置換した非晶質のリン酸リチウム化合物を含む前駆体層を形成する工程と、
(ii)前記形成した前駆体層の少なくとも一部を結晶化することによって、前記リン酸リチウム化合物の結晶粒を含む固体電解質層を形成する工程と、
(iii)前記形成した固体電解質層を前記第1の電極と共に狭持するように、前記第2の電極を配置する工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明の電気化学素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された固体電解質層とを含む電気化学素子の製造方法であって、
(I)前記第1の電極の表面に、酸素の一部または全部を、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素に置換したリン酸リチウム化合物の結晶粒を含む固体電解質層を形成する工程と、
(II)前記形成した固体電解質層を前記第1の電極と共に狭持するように、前記第2の電極を配置する工程とを含むことを特徴としていてもよい。
このような製造方法とすることによって、充放電特性などの特性が高い電気化学素子を得ることができる。
本発明によれば、充放電特性などの特性が高い電気化学素子と、その製造方法とを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態において、同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
最初に、本発明の電気化学素子について説明する。
図1は、本発明の電気化学素子の一例を示す模式断面図である。図1の電気化学素子1は、第1の電極である正極3と、第2の電極である負極4と、正極3と負極4との間に配置された固体電解質層2とを含む電気化学素子1である。固体電解質層2は、酸素(O)の一部または全部を、窒素(N)、およびタングステン(W)から選ばれる少なくとも1種の元素に置換したリン酸リチウム化合物(以下、単に、「リン酸リチウム化合物」ともいう)の結晶粒を含んでいる。
リン酸リチウム化合物の結晶体は、従来電解質層として用いられてきた非晶質体に比べて、化学的により安定であると考えられる。このため、製造時において固体電解質層2の取り扱いが容易であり、また、充放電サイクルによる固体電解質層2の劣化も抑制することができる。また、リン酸リチウムの酸素原子の一部または全部を、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素に置換することによって、Li伝導性(イオン伝導性)が高い固体電解質層2とすることができる。よって、このような電気化学素子1とすることによって、出力特性、充放電特性などの特性が高い電気化学素子とすることができる。
固体電解質層2に含まれるリン酸リチウム化合物は、リン酸リチウム(Li3PO4)中の酸素原子の一部、または全部が、窒素、およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素で置換されている限り、特に限定されない。例えば、窒化リン酸リチウムなどを用いればよい。なかでも、イオン伝導性などの観点からは、窒化リン酸リチウム(Li3PO4-x2x/3)が好ましい。なお、窒化リン酸リチウムの組成式において、xは、窒素に置換された酸素の量を反映する値であり、例えば、0.05〜1の範囲で調整される値である。
リン酸リチウム化合物は、少なくともその一部が結晶体であればよい。結晶の状態、例えば、リン酸リチウム化合物の結晶化度や、結晶粒の構造(例えば、結晶子サイズ、結晶形状)などは特に限定されない。
なかでも、固体電解質層2に対して広角X線回折測定(WAXD測定)を行った場合に、上記WAXD測定によって得られた回折線上に存在する、リン酸リチウム化合物の結晶粒の結晶面に帰属する回折ピークの半値全幅Δ2θFWHMが、2°以下であってもよく、1.5°以下がより好ましい。このような固体電解質層2は、結晶性がより高いリン酸リチウム化合物を含んでいるといえ、イオン伝導性がより高い固体電解質層2とすることができる。
WAXD測定の方法には、無機材料に対する一般的な測定手法を用いればよい。例えば、X線源にCuKα線(波長λ=1.5405nm)を用い、反射測定法を用いて測定すればよい。測定範囲は、リン酸リチウム化合物の種類に応じて設定すればよく、回折角2θにして、例えば、10°〜80°の範囲である。
リン酸リチウム化合物が窒化リン酸リチウム(結晶群:Pmn21)である場合、その結晶粒の結晶面に帰属する主なピークは、2θ=16.9°、22.4°、23.4°、25.0°、33.9°、34.3°、37.1°付近に観察される。このように複数の回折ピークが見られる場合は、最も強度が大きい回折ピーク(例えば、(010)面に帰属する2θ=16.9°のピーク)に対して半値全幅Δ2θFWHMを求めればよい。
リン酸リチウム化合物の結晶粒は、固体電解質層2の両方の主面に露出していてもよい。このような固体電解質層では、固体電解質層内をLiイオンが移動する場合に、拡散速度が大きい結晶粒界を介して移動できるため、よりイオン伝導性が高い固体電解質層2とすることができる。
リン酸リチウム化合物の結晶粒は、柱状結晶および塊状結晶から選ばれる少なくとも1種の結晶形状であってもよい。このような結晶形状である場合、Liイオンが拡散しやすい粒界が、固体電解質層2の一方の主面から他方の主面に対して連続的に複数存在することになる。このため、よりイオン伝導性が高い固体電解質層2とすることができる。また、柱状結晶および塊状結晶は、1つの結晶粒が固体電解質層2の両方の主面に露出していてもよい。なお、塊状結晶は、柱状結晶に比べてより容易に形成させることができる。また、結晶粒が柱状結晶である場合、その長手方向が、固体電解質層2の厚さ方向であることが好ましい。
結晶粒のサイズは、塊状結晶である場合、例えば、その平均結晶粒径が30nm〜500nmの範囲であればよく、100nm〜200nmの範囲が好ましい。柱状結晶である場合、例えば、その長手方向の平均結晶子サイズが100nm〜1μmの範囲であり、短手方向の平均結晶子サイズが50nm〜500nmの範囲であればよい。
固体電解質層2の厚さは、特に限定されず、例えば、50nm〜10μmの範囲であればよく、500nm〜3μmの範囲が好ましい。固体電解質層2の厚さ、面積などは、電気化学素子として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。
正極3および負極4に用いる材料やその構造などは、特に限定されず、例えば、一般的に電気化学素子に用いられる電極を用いればよい。電気化学素子1がリチウム一次電池である場合、正極3は放電時にLiイオンを受け入れることができる限り特に限定されず、負極4は放電時にLiイオンを放出できる限り特に限定されない。電気化学素子1がリチウム二次電池である場合、正極3および負極4は、Liイオンを可逆的に吸蔵および放出できる限り特に限定されない。
例えば、図1に示す電気化学素子1では、正極3は、正極集電体31と正極集電体31上に配置された正極活物質層32とを含んでいる。また、負極4は、負極集電体41と負極集電体41上に配置された負極活物質層42とを含んでいる。正極集電体31には、例えば、Al、Cu、Ni、Ti、ステンレススチールなどの箔、網などを用いることができる他、上記金属の薄膜が表面に形成されたポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの高分子基板などを用いればよい。負極集電体41には、例えば、Cu、Ni、ステンレススチールの箔、網などを用いることができる他、上記金属の薄膜が表面に形成されたポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの高分子基板などを用いればよい。正極集電体31、負極集電体41の厚さは、例えば、10μm〜80μmの範囲である。また、正極活物質は、例えば、Co、Ni、Mo、Ti、Mn、Vなどの遷移金属を含む、リチウム含有遷移金属酸化物などを持ちいればよい。負極活物質には、例えば、黒鉛などの炭素材料や、Si、Zn、Al、Snなどを含む合金系の材料などを用いればよい。正極活物質、負極活物質ともLiイオンの出入りができる材料であれば特に限定されない。
正極活物質層32は、放電時にLiイオンを受け入れる、あるいは吸蔵できる正極活物質の他に、必要に応じて、導電剤、結着剤などを含んでいてもよい。同様に、負極活物質層42は、放電時にLiイオンを放出できる負極活物質の他に、必要に応じて、導電剤、結着剤などを含んでいてもよい。それぞれの活物質層が含む導電剤、結着剤は、一般的に用いられる材料、例えば、導電剤としてアセチレンブラックなどのカーボン材料など、結着剤としてニトリルゴム、ブチルゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどを用いればよい。
正極3および負極4の厚さ、面積など、ならびに両電極を構成する部材の厚さ、面積などは特に限定されない。電気化学素子1として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。電気化学素子1としての形状も図1に示す形状に限定されず、自由に設定することができる。例えば、電気化学素子1がリチウム電池の場合、図1に示す円形の他にも、角形、円筒形、コイン形、ボタン形などの形状であってもよい。
本発明の電気化学素子は、例えば、以下に説明する本発明の電気化学素子の製造方法によって得ることができる。
本発明の電気化学素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配置された固体電解質層とを含む電気化学素子の製造方法であって、
(i)第1の電極上に、非晶質のリン酸リチウム化合物を含む前駆体層を形成する工程と、
(ii)上記(i)の工程において形成した前駆体層の少なくとも一部を結晶化することによって、リン酸リチウム化合物の結晶粒を含む固体電解質層を形成する工程と、
(iii)上記(ii)の工程において形成した固体電解質層を第1の電極と共に狭持するように、第2の電極を配置する工程とを含んでいる。
このような製造方法とすることによって、充放電特性やイオン伝導性などの特性が高い固体電解質層を有する電気化学素子を得ることができる。即ち、充放電特性、出力特性などの特性が高い電気化学素子を得ることができる。なお、本発明の製造方法では、固体電解質層が含むリン酸リチウム化合物の結晶状態を制御することができるため、固体電解質層の特性を調整することが可能である。このため、充放電特性が高い、出力特性が高いといった効果を選択的な効果とすることができる。換言すれば、本発明の電気化学素子は、必ずしも上述したすべての効果を同時に満たす必要はない。また、第1の電極および第2の電極は、どちらが正極であっても負極であってもよい。
本発明の製造方法では、上記(i)の工程が、気相成膜法によって行われてもよい。この方法によれば、大気や水分に触れることなく、第1の電極上に(第1の電極の表面に)非晶質のリン酸リチウム化合物を含む前駆体層を形成することができる。このため、前駆体層中の非晶質体が安定しており、上記(ii)の工程において結晶化を行った際に、安定した結晶粒を形成することができる。また、形成するリン酸リチウム化合物の組成の制御も比較的容易である。また、実施例に示すように、第1の電極上に連続して前駆体層を形成することも可能である。
気相成膜法は特に限定されず、例えば、蒸着法、スパッタ法などを用いればよい。蒸着法を用いる場合、例えば、リン酸リチウムと、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素とをそれぞれ気相の状態で含む雰囲気下に第1の電極を配置して、蒸着を行えばよい。スパッタ法を用いる場合、例えば、リン酸リチウムをターゲットとして、上記少なくとも1種の元素を気相の状態で含む雰囲気下に第1の電極を配置して成膜を行えばよい。具体例は実施例に後述する。
本発明の製造方法では、上記(ii)の工程が、上記(i)の工程において気相成膜法によって形成した前駆体層を大気に曝露することなく行われてもよい。このような製造方法では、化学的に不安定な非晶質を大気に曝さずに結晶化を行うことができる。このため、上記(ii)の工程において安定した結晶粒を形成することができる。また、前駆体層の形成に続いて結晶化を行うことも可能であり、実施例に示すように、連続して固体電解質層を形成することもできる。
本発明の製造方法では、上記(ii)の工程において、前駆体層を熱処理することによって、結晶化を行ってもよい。このような製造方法では、低コストかつ連続的に固体電解質層を形成することができる。また、熱処理の温度や時間を制御することによって、リン酸リチウム化合物の結晶粒の状態を制御することも可能である。熱処理にあたっては、前駆体層自体を加熱してもよいし、第1の電極を加熱することによって前駆体層を加熱してもよい。加熱の手段は特に限定されず、例えば、加熱炉、ヒーターなどを用いればよい。熱処理の温度は、例えば、300℃〜700℃の範囲、好ましくは、450℃〜550℃の範囲である。300℃以下では、リン酸リチウム化合物の結晶化が進行しにくい可能性がある。また、700℃以上では、リン酸リチウム化合物からLiの脱離が発生する可能性がある。
熱処理は、例えば、上記少なくとも1種の元素を含む雰囲気下で行えばよい。例えば、窒化リン酸リチウムを含む前駆体層の場合、窒素を含む雰囲気下で行えばよい。また、分圧にして10-3Pa程度の酸素を含む雰囲気下であってもよく、窒素以外の不活性ガスを含む雰囲気下であってもよい。
本発明の製造方法では、上記(ii)の工程において、前駆体層にエネルギービームを照射することによって、結晶化を行ってもよい。エネルギービームを照射する方法では、熱処理に比べて、適切なエネルギーをより効率よく前駆体層に加えることが可能である。このため、このような製造方法とすることによって、より低コストに固体電解質層を形成することができる。また、リン酸リチウム化合物の結晶粒の状態をより細かく制御することができる。
エネルギービームの種類は、第1の電極および前駆体層の構造が変性などを起こさない限り、特に限定されない。例えば、電子ビーム、イオンビーム、プラズマ粒子線、紫外線および赤外線から選ばれる少なくとも1種を用いればよい。なかでも、ビーム照射のコストが低いことなどから電子ビームが好ましい。エネルギービームのエネルギー、照射量なども特に限定されず、例えば、非晶質のリン酸リチウム化合物の結晶化を進行させるだけのエネルギーを有するエネルギービームを照射すればよい。前駆体層の温度が300℃〜700℃の範囲、好ましくは、450℃〜550℃の範囲となるようにエネルギービームを照射してもよい。例えば、エネルギービームに電子ビームを用い、電子ビームの線源に電子銃を用いた場合、放電電圧は30V〜100V程度の範囲、放電電流は5A〜50A程度の範囲であればよい。なお、エネルギービームの照射は、上述した熱処理と同様の雰囲気下で行えばよい。
電子ビームを照射するためには、例えば、日本電子製電子銃(EBG−103UA0)などを用いればよい。イオンビームを照射するためには、例えば、オメガトロン製イオンガン(OMB−0030PN)などを用いればよい。紫外線および赤外線を照射するためには、例えば、ランプ、レーザーなどを用いればよく、必要に応じて集光装置などの光学装置を併用してもよい。
本発明の電気化学素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配置された固体電解質層とを含む電気化学素子の製造方法であって、
(I)第1の電極の表面に、酸素の一部または全部を、窒素、およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素に置換したリン酸リチウム化合物の結晶粒を含む固体電解質層を形成する工程と、
(II)上記(I)の工程において形成した固体電解質層を第1の電極と共に狭持するように、第2の電極を配置する工程とを含んでいてもよい。
このような製造方法によっても、上述の製造方法と同様の効果を得ることができる。
本発明の製造方法では、上記(I)の工程が、第1の電極の表面を加熱した状態で、気相成膜法によって行われてもよい。この方法によれば、上述した、気相成膜法を用いる効果および熱処理による効果と同様の効果を得ることができ、さらにより生産性が高い製造方法とすることができる。また、大気に曝露することなく、固体電解質層を形成することもできる。
気相成膜法の手法は、上述した手法と同様の手法を用いればよい。また、第1の電極の表面を加熱する方法は特に限定されず、上述した熱処理と同様の手法を用いればよい。その際、第1の電極の表面のみを加熱しても、第1の電極全体を加熱してもよい。
本発明の製造方法では、上記(I)の工程が、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素およびリン酸リチウムの気体を含む雰囲気下において、第1の電極の表面および上記気体から選ばれる少なくとも1つにエネルギービームを照射した状態で、気相成膜法によって行われてもよい。この方法によれば、上述した、気相成膜法を用いる効果およびエネルギービームを用いて結晶化を行う効果と同様の効果を得ることができ、さらにより生産性が高い製造方法とすることができる。また、大気に曝露することなく、固体電解質層を形成することもできる。
気相成膜法の手法は、上述した手法と同様の手法を用いればよい。また、エネルギービームの種類、エネルギービームの照射方法、照射量などは、上述した手法と同様の手法を用いればよい。
本発明の製造方法では、上記(iii)の工程および上記(II)の工程を行う方法は特に限定されない。例えば、別途作製しておいた第2の電極を、上記(ii)の工程あるいは上記(I)の工程において形成した第1の電極と固体電解質層との積層体上にさらに配置すればよい。図1に示すような電気化学素子1であれば、例えば、上記形成した固体電解質2上に、正極活物質層32を予め形成した正極集電体31を積層してもよい。第1の電極が正極である場合は、上記形成した固体電解質2上に、負極活物質層42を予め形成した負極集電体41を積層してもよい。その際、上記積層体を所定の形状に加工した後に第2の電極を配置してもよいし、第2の電極を配置した後に全体を所定の形状に加工してもよい。なかでも、上記(ii)の工程あるいは上記(I)の工程において形成した固体電解質層を大気に曝露することなく第2の電極を配置すれば、より安定した固体電解質層とすることができ、より充放電特性などの特性が高い電気化学素子を得ることができる。なお、正極活物質層32および負極活物質層42は、それぞれ正極活物質および負極活物質を含んでいればよく、必要に応じて導電剤、結着剤などを含んでいてもよい。このような活物質層は、活物質を含む(あるいは、導電剤、結着剤などをさらに含む)電極合剤を集電体上に塗布、乾燥することによって形成することができる。
なお、本発明の製造方法で用いる電極などは、上述した本発明の電気化学素子に用いる電極と同様であればよい。また、本発明の製造方法によって形成する固体電解質層の組成、厚さなどは、上述した本発明の電気化学素子に含まれる固体電解質層と同様であればよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
本実施例では、図2〜図4に示す蒸着装置を用いて固体電解質層および電気化学素子を作製した。最初に、図2に示す装置を用いた固体電解質層および電気化学素子の作製方法について説明する。
図2に示す装置では、上記(i)の工程および上記(ii)の工程を行うことができる。図2に示す装置は全体が真空容器6の内部に収められており、真空容器6に接続された真空排気装置7によって、真空容器6の内部を蒸着のための所定の圧力および気体の組成に保つことができる。巻き出し軸8からは、基板支持ローラー10へと、蒸着の対象となる基板を連続的に供給することができる。基板支持ローラー10の近傍には、蒸着部11が配置されており、蒸着部11は、蒸着ソース12と抵抗加熱装置13とを備えている。蒸着ソース12の温度は、熱電対14と電力線15に流す(即ち、抵抗加熱装置13に流す)電流とによって制御することができる。蒸着ソース12を所定の温度に加熱し、基板支持ローラー10に基板を供給することによって、基板の表面に連続的に蒸着を行うことができる。抵抗加熱装置13には、カーボン、チタン、ニオブ、タンタル、タングステン、白金などの高融点材料を用いた。
まず、正極集電体となる帯状の銅箔(厚さ6μm)上に、リチウムのコバルト酸塩を含む正極活物質層を形成した基板5を作製する。正極活物質層は、正極活物質としてリチウムのコバルト酸塩と、導電剤としてカーボン粒子と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを混合した電極合剤を上記銅箔上に塗布し乾燥して形成した。正極活物質層の厚さは3μmとした。
このようにして準備した基板5を、図2に示す装置にセットし、巻き取り軸8から搬送ローラー9を介して基板支持ローラー10へと連続的に供給した。このとき、基板5の正極活物質層が蒸着部11側となるようにした。蒸着ソース12には、リン酸リチウム(Li3PO4)30gを用い、基板5の供給に併せて1300℃以上に加熱した。また、これと同時に、ガス供給管19から、窒素ガスを供給した。窒素ガスを供給することによって、蒸着ソース12から飛来したリン酸リチウムガスの酸素の一部が窒素に置換され、基板5の正極活物質層上に、窒化リン酸リチウムからなる固体電解質層(厚さ2μm)を形成できた。なお、固体電解質層を形成する際の真空容器6内の雰囲気は、圧力10-3Paの酸素窒素混合ガス(酸素と窒素の混合比は、モル比で1:1)であった。なお、基板5上への固体電解質層の形成の際には、所定の蒸着条件になるまではシャッター18を閉じておき、安定した蒸着条件になった後にシャッター18を開けて蒸着を開始した。
蒸着によって固体電解質層を形成した後、引き続き基板5を熱処理部16に導入して熱処理を行った。熱処理部16は全体がヒーターを用いた加熱室となっている。また、熱処理部16の内部は、真空排気装置7によって、任意の圧力、気体の組成に設定することができる。熱処理は、500℃で15分〜5時間行った(熱処理時間15分、30分、1時間、3時間および5時間の5サンプルを作製(サンプルa1〜a5))。熱処理後のサンプルは、巻き取り軸17によって巻き取った。熱処理の際の雰囲気は、窒素酸素混合雰囲気(圧力10-3Pa、窒素と酸素のモル比が1:1)とした。
まず、形成した固体電解質層の状態を調べるために、上記のようにして得た正極と固体電解質との積層体を所定の形状(20mmΦの円形)に加工し、固体電解質層上に厚さ1μmの銅からなる膜をスパッタ法により形成した。このようにして得た積層体は、固体電解質層の結晶の状態およびイオン伝導度を評価するために用いた。
また、同様に、正極と固体電解質との積層体を所定の形状(20mmΦの円形)に加工し、固体電解質層上に金属リチウムを用いて厚さ0.5μmの負極活物質層を形成した。さらに、負極活物質層上に電子ビーム蒸着法を用いて銅からなる負極集電体(厚さ0.5μm)を形成し、図1に示すような電気化学素子を作製した。このようにして得た電気化学素子は、充放電特性を評価するために用いた。
次に、図3に示す装置を用いた固体電解質層および電気化学素子の作製方法について説明する。図3に示す装置は、図2に示す装置と熱処理部16以外は同様である。図3に示す装置は、熱処理部16の代わりに電子ビームを基板に照射できる照射部20を備えている。
図2に示す装置を用いたときと同様にして準備した基板5を、図3に示す装置にセットし、巻き取り軸8から搬送ローラー9を介して基板支持ローラー10へと連続的に供給した。このとき、基板5の正極活物質層が蒸着部11側となるようにした。蒸着ソース12には、リン酸リチウム(Li3PO4)30gを用い、基板5の供給に併せて1300℃以上に加熱した。また、これと同時に、ガス供給管19から、窒素ガスを供給した。窒素ガスを供給することによって、蒸着ソース12から飛来したリン酸リチウムガスの酸素の一部が窒素に置換され、基板5の正極活物質層上に、窒化リン酸リチウムからなる固体電解質層(厚さ2μm)を形成できた。なお、固体電解質層を形成する際の真空容器6内の雰囲気は、圧力10-3Paの酸素窒素混合ガス(酸素と窒素の混合比は、モル比で1:1)であった。なお、基板5上への固体電解質層の形成の際には、所定の蒸着条件になるまではシャッター18を閉じておき、安定した蒸着条件になった後にシャッター18を開けて蒸着を開始した。
蒸着によって固体電解質層を形成した後、引き続いて、基板5上に形成された固体電解質層に対して照射部20から電子ビームの照射を行った。照射部20は、電子銃22と電子銃用ガス導入管23とを備えている。電子銃22から射出された電子ビームは、マスク21によって絞り込まれ、固体電解質層上に照射されるように調整できる。電子銃の放電電圧は60V、放電電流は20Aとし、照射時間は1時間とした。電子ビーム照射後のサンプルは巻き取り軸17によって巻き取った(サンプルb)。
形成した固体電解質層の状態を調べるために、上記のようにして得た正極と固体電解質との積層体を上述したように加工し、固体電解質層上に厚さ1μmの銅からなる膜をスパッタ法により形成した。このようにして得た積層体は、固体電解質層の結晶の状態およびイオン伝導度を評価するために用いた。
また、同様に、正極と固体電解質との積層体を上述したように加工し、固体電解質層上に金属リチウムを用いて厚さ0.5μmの負極活物質層を形成した。さらに、負極活物質層上に電子ビーム蒸着法を用いて銅からなる負極集電体(厚さ0.5μm)を形成し、図1に示すような電気化学素子を作製した。このようにして得た電気化学素子は、充放電特性を評価するために用いた。
次に、図4に示す装置を用いた固体電解質層および電気化学素子の作製方法について説明する。図4に示す装置は、図2に示す装置と熱処理部16以外は同様である。図4に示す装置は、熱処理部16の代わりに電子ビームを基板、あるいは基板近傍に照射できる照射部20を備えている。ただし、図3に示す装置の場合とは異なり、図4に示す装置における照射部20は基板支持ローラー10の近傍を向くことができ、基板5上に窒化リン酸リチウムを蒸着する際に、基板5あるいは基板5の近傍に電子ビームを照射することができる。
図2に示す装置を用いたときと同様にして準備した基板5を、図4に示す装置にセットし、巻き取り軸8から搬送ローラー9を介して基板支持ローラー10へと連続的に供給した。このとき、基板5の正極活物質層が蒸着部11側となるようにした。蒸着ソース12には、リン酸リチウム(Li3PO4)30gを用い、基板5の供給に併せて1300℃以上に加熱した。これと同時に、ガス供給管19から窒素ガスを供給した。また、蒸着に併せて、照射部20から基板5の表面(リン酸リチウム化合物が蒸着される面)に電子ビームをさらに照射した(放電電圧20V、放電電流8A)。窒素ガスを供給することによって、蒸着ソース12から飛来したリン酸リチウムガスの酸素の一部が窒素に置換され、基板5の正極活物質層上に、窒化リン酸リチウムからなる固体電解質層(厚さ2μm)を形成できた。また、電子ビームによって蒸着とほぼ同時に、窒化リン酸リチウムの結晶体が形成されていると考えられる(サンプルc)。なお、固体電解質層を形成する際の真空容器6内の雰囲気は、圧力10-3Paの酸素窒素混合ガス(酸素と窒素の混合比は、モル比で1:1)であった。なお、基板5上への固体電解質層の形成の際には、所定の蒸着条件になるまではシャッター18を閉じておき、安定した蒸着条件になった後にシャッター18を開けて蒸着を開始した。電子ビームの照射もシャッター18を開けるのと同時に開始した。蒸着を行った基板5は、そのまま巻き取り軸17によって巻き取った。
形成した固体電解質層の状態を調べるために、上記のようにして得た正極と固体電解質との積層体を上述したように加工し、固体電解質層上に厚さ1μmの銅からなる膜をスパッタ法により形成した。このようにして得た積層体は、固体電解質層の結晶の状態およびイオン伝導度を評価するために用いた。
また、同様に、正極と固体電解質との積層体を上述したように加工し、固体電解質層上に金属リチウムを用いて厚さ0.5μmの負極活物質層を形成した。さらに、負極活物質層上に電子ビーム蒸着法を用いて銅からなる負極集電体(厚さ0.5μm)を形成し、図1に示すような電気化学素子を作製した。このようにして得た電気化学素子は、充放電特性を評価するために用いた。
次に、比較例として、熱処理を行わない以外は、上述した図2に示す装置を用いた方法と同様にして積層体および電気化学素子を作製した(サンプルz)。
以上の方法によって作製したサンプルa1〜a5、b、cおよびzの積層体について、積層体の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)観察することによって、固体電解質層の結晶形状を評価した。また、同様に、WAXD測定によって固体電解質層の結晶性(平均結晶粒径)の評価を、交流インピーダンス測定によって固体電解質層のイオン伝導度の評価を行った。
WAXD測定は、X線源にCuKα線を用い、反射測定法を用いて行った。このとき、固体電解質層に含まれる結晶粒の結晶面に帰属するピークのうち、結晶面(010)に帰属するピーク(2θ=16.9°)が最も強度が大きかったため、このピークの半値全幅を求めて評価を行った。ピークの半値全幅の値から結晶粒の平均結晶粒径を求めるためには、シェラーの式を用いた。交流インピーダンス法の測定には一般的な4端子測定法を用い、複素因子解析によりイオン伝導度を評価した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2005093372
表1に示すように、サンプルzの固体電解質層は、結晶化することなくアモルファスであった(WAXD測定によって得られた回折線に、結晶粒の結晶面に帰属するピークが測定されなかった)。これに対して、サンプルa1〜a5、bおよびcの各サンプルの固体電解質層は、SEM観察およびWAXD測定により結晶化している(即ち結晶粒を含んでいる)ことが確認された。また、熱処理の時間が長いほど、平均結晶粒径が大きくなる結果となった。サンプルa1〜a5、bおよびcのすべてのサンプルでサンプルzよりもイオン伝導度が向上したが、なかでも、WAXD測定によって得られた回折ピークの半値全幅が2°以下であるサンプルa1〜a3、bおよびcにおいて高いイオン伝導度が得られた。特に、結晶形状が柱状であるサンプルb、平均結晶粒径が固体電解質層の膜厚以上であるサンプルcのイオン伝導度が大きくなる結果となった。なお、サンプルbの結晶形状は柱状であったため、表1におけるサンプルbの平均結晶粒径の欄には、隣接する結晶粒同士の粒界間の平均距離を記載した。
次に、以上の方法によって作製したサンプルa1、a4、a5、b、cおよびzの電気化学素子を、環境温度20℃、環境湿度60%のアルゴン雰囲気において、充放電レートを0.01Cレート(正極活物質層の質量に基づく電池の理論容量を100時間で充電できる電流値)から10Cレート(正極活物質層の質量に基づく電池の理論容量を0.1時間で充電できる電流値)で変化させ、1サイクル目の充放電容量を測定した。
各レートでの放電容量/充電容量をプロットした結果を図5に示す。サンプルzに比べて、結晶性の固体電解質を含む電気化学素子であるサンプルa1、a4、a5、bおよびcの充放電容量が向上した。なかでも、固体電解質層に対するWAXD測定によって得られた回折ピークの半値全幅が2°以下であるサンプルa1、bおよびcの充放電容量が大きく向上した。特に、固体電解質層に含まれる結晶粒の結晶形状が柱状であるサンプルb、上記結晶粒の平均結晶粒径が固体電解質層の膜厚以上であるサンプルcの充放電容量が向上した。
なお、正極集電体にステンレスなどの導電性金属を用いた場合も同様の結果を得ることができた。また、正極活物質として、ニッケル酸塩、マンガン酸塩、バナジウム酸塩、クロム酸塩およびこれらの複合酸塩などを用いた場合、負極活物質として、カーボン、グラファイト、シリコン、窒化チタン酸リチウムなどを用いた場合も同様の結果を得ることができた。
上記説明したように、本発明によれば、充放電特性などの特性が高い電気化学素子と、その製造方法とを提供することができる。電気化学素子は、例えば、固体電解質電池(一次電池、二次電池)などを含む。
本発明の電気化学素子の一例を示す断面模式図である。 実施例で用いた、本発明の電気化学素子の製造ラインの一例を示す模式図である。 実施例で用いた、本発明の電気化学素子の製造ラインの別の一例を示す模式図である。 実施例で用いた、本発明の電気化学素子の製造ラインのまた別の一例を示す模式図である。 実施例で作製した、本発明の電気化学素子の充放電特性を示す図である。
符号の説明
1 電気化学素子
2 固体電解質層
3 正極
31 正極集電体
32 正極活物質層
4 負極
41 負極集電体
42 負極活物質層
5 基板
6 真空容器
7 真空排気装置
8 巻き出し軸
9 搬送ローラー
10 基板支持ローラー
11 蒸着部
12 蒸着ソース
13 加熱装置
14 熱電対
15 電力線
16 熱処理部
17 巻き取り軸
18 シャッター
19 ガス導入管
20 照射部
21 マスク
22 電子銃
23 電子銃用ガス導入管

Claims (15)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された固体電解質層とを含む電気化学素子であって、
    前記固体電解質層が、酸素の一部または全部を、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素に置換したリン酸リチウム化合物の結晶粒を含むことを特徴とする電気化学素子。
  2. 前記リン酸リチウム化合物が、窒化リン酸リチウムである請求項1に記載の電気化学素子。
  3. 前記固体電解質層に対する広角X線回折測定によって得られた、前記結晶粒の結晶面に帰属する回折ピークの半値全幅Δ2θFWHMが、2°以下である請求項1に記載の電気化学素子。
  4. 前記結晶粒は、前記固体電解質層の両方の主面に露出している結晶粒を含む請求項1に記載の電気化学素子。
  5. 前記結晶粒が、柱状結晶および塊状結晶から選ばれる少なくとも1種の結晶形状である請求項1〜4のいずれかに記載の電気化学素子。
  6. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された固体電解質層とを含む電気化学素子の製造方法であって、
    (i)前記第1の電極上に、酸素の一部または全部を、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素に置換した非晶質のリン酸リチウム化合物を含む前駆体層を形成する工程と、
    (ii)前記形成した前駆体層の少なくとも一部を結晶化することによって、前記リン酸リチウム化合物の結晶粒を含む固体電解質層を形成する工程と、
    (iii)前記形成した固体電解質層を前記第1の電極と共に狭持するように、前記第2の電極を配置する工程とを含むことを特徴とする電気化学素子の製造方法。
  7. 前記(i)の工程が、気相成膜法によって行われる請求項6に記載の電気化学素子の製造方法。
  8. 前記(ii)の工程が、前記(i)の工程において形成した前記前駆体層を大気に曝露することなく行われる請求項7に記載の電気化学素子の製造方法。
  9. 前記(ii)の工程において、前記前駆体層を熱処理することによって、前記結晶化を行う請求項6〜8のいずれかに記載の電気化学素子の製造方法。
  10. 前記熱処理の温度が、300℃〜700℃の範囲である請求項9に記載の電気化学素子の製造方法。
  11. 前記(ii)の工程において、前記前駆体層にエネルギービームを照射することによって、前記結晶化を行う請求項6〜8のいずれかに記載の電気化学素子の製造方法。
  12. 前記エネルギービームが、電子ビーム、イオンビーム、プラズマ粒子線、紫外線および赤外線から選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載の電気化学素子の製造方法。
  13. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された固体電解質層とを含む電気化学素子の製造方法であって、
    (I)前記第1の電極の表面に、酸素の一部または全部を、窒素およびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素に置換したリン酸リチウム化合物の結晶粒を含む固体電解質層を形成する工程と、
    (II)前記形成した固体電解質層を前記第1の電極と共に狭持するように、前記第2の電極を配置する工程とを含むことを特徴とする電気化学素子の製造方法。
  14. 前記(I)の工程が、前記表面を加熱した状態で、気相成膜法によって行われる請求項13に記載の電気化学素子の製造方法。
  15. 前記(I)の工程が、前記少なくとも1種の元素およびリン酸リチウムの気体を含む雰囲気下において、
    前記表面および前記気体から選ばれる少なくとも1つにエネルギービームを照射した状態で、気相成膜法によって行われる請求項13に記載の電気化学素子の製造方法。
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