JP2005239987A - 生体分子を固定化する反応性ポリマー、その製造方法及び用途 - Google Patents

生体分子を固定化する反応性ポリマー、その製造方法及び用途 Download PDF

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一彦 石原
Yoichi Shindo
洋一 進藤
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喜久子 福本
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Abstract

【課題】タンパク質、核酸(オリゴヌクレオチド、アプタマーを含む)、多糖など生体由来の分子を構造の変化を抑制しつつ簡便に結合、固定化し、安定化するとともに、これら結合した分子が生物学的特異性を有効に発現するポリマー固定化担体を提供することにある。
【解決手段】イソシアネート基を有するスチレン誘導体モノマーとリン脂質極性基を有するアクリル酸誘導体モノマーの二種類を少なくとも同時に含むモノマー組成物を、極性の反応媒体中でラジカル重合して得られるポリマーであって、得られるポリマー中にタンパク質、核酸、多糖などの生体由来の分子に対して簡便に反応するイソシアネート基を有するスチレン誘導体モノマーユニットが1〜40モル%、及びリン脂質モノマーユニットが5〜50モル%の範囲である水に不溶なポリマーを提供する。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
本発明は、タンパク質、核酸(オリゴヌクレオチド、アプタマーを含む)、多糖など生体由来の分子を構造の変化を抑制しつつ簡便に結合、固定化し、安定化するとともに、これら結合した分子が生物学的特異性を有効に発現するポリマー、その製造方法及びこのポリマーからなる固定化材に関する。
分子骨格中にホスホリルコリン基を含有するポリマーは、ホスホリルコリン基に由来する特異な性質が注目されている。例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンをモノマーユニットとするポリマー(以下、MPCポリマーと略す。)は生体系に存在するリン脂質と同一の極性基構造を有し、そのためタンパク質吸着抑制、タンパク質構造安定化特性あるいはDNAのハイブリッド形成促進効果などを有することが明らかとなっている。
一方、タンパク質や核酸、多糖など生体由来の分子を基材に固定化し、これらの分子に結合するタンパク質,核酸などを迅速に測定できるアフィニティープレート,アフィニティーカラムあるいはアフィニティーキャピラリーなどが、臨床検査、バイオ解析に利用されている。しかしながら、固定化した際の、生体由来分子の構造変化や、活性低下などが起こるために、効果が低下することが問題とされている。
また、生体由来の分子の固定化反応において、反応条件が限定されていることが多い。例えば、反応系のpHを生理条件とは異なるようにする必要があり、場合によっては加熱し、反応時間を長くとらねばならない。さらに、溶媒を水系以外としなければならない。これらのことは、生体由来分子の構造を著しく変化させるために、生理活性が劇的に低下することが問題として指摘されてきた。
生体由来の分子を効率よく基板上に固定化する方法についていくつか研究がなされて来ている。例えば、p−ニトロフェニルエステル基を導入したMPCポリマーを利用して活性エステル基を基板上に導入し,これを介して生体由来分子を固定化する方法である(Lab on the Chips誌、4巻、4頁、2004年)。この場合効率の高い生体由来分子の固定化が可能であるが、反応において,媒体のpHを高くしなければならないために、タンパク質の構造の変化が懸念される。さらにp−ニトロフェニル基はラジカル連鎖移動が起こるために、通常のフリーラジカル重合により基材ポリマーを合成する際に分子量が大きくならず、これを用いて基材を修飾した場合、ポリマー修飾層の安定性に問題がある。
発明が解決しようとする課題
本発明では、タンパク質、核酸(オリゴヌクレオチド、アプタマーを含む)、多糖など生体由来の分子を構造の変化を抑制しつつ簡便に結合、固定化し、安定化するとともに、これら結合した分子が生物学的特異性を有効に発現する固定化担体用のポリマーを提供することを第1の目的としている。また、本発明の第2の目的は、該ポリマーの製造方法において、極性の高い有機溶媒を使用し、ラジカル重合法により反応を行うことを特徴とするポリマーの製造方法を提供することにある。またさらに、本発明の第3の目的は、該ポリマーを、生体由来分子を簡便に修飾できる固定化担体として応用することである。
課題を解決するための手段
本発明者らは、前記の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、三級炭素に結合し、その周囲にかさだかい置換基を有するイソシアネート基が生体由来分子のもつアミノ基に選択的に結合し、一方で、アルコールや水といったプロトン性化合物と常温では反応しにくいことに着目した。そこでこの官能基を有する重合性化合物としてスチレン誘導体を選択した。
一方で,固定化する際に、生体由来の分子が近接できるように親水性を有し、かつ固定化した生体由来分子の構造変化を抑制し、高い活性が維持されるような表面を提供するリン脂質極性基に着目し、これを有するモノマーユニットの導入を考案した。これにより得られたポリマーは、生体由来の分子に対して簡便かつ温和な反応条件にて固定できることを見いだし、これまでの固定化担体の機能を飛躍的に高めることができることの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示す(1)〜(3)である。
(1)下記式[1]で示されるイソシアネート基を有するスチレン誘導体モノマーと下記式[2]で示されるリン脂質極性基を有するアクリル酸誘導体モノマーとを少なくとも同時に含み、その他の疎水性モノマーも含むモノマー組成物を重合してなる非水溶性ポリマーで、化学式1で示されるイソシアネート基を有するスチレン誘導体ユニットの組成が1−40モル%であり、化学式2で示されるリン脂質モノマーユニットの組成が5−50モル%であることを特徴とするポリマー。
Figure 2005239987
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2、R3は同一でも異なってもよく炭素数1〜3の炭化水素基を示す。)
Figure 2005239987
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜10の2価の炭化水素基及びオキシエチレン基を示し、R3は炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、R4、R5およびR6は同一でも異なってもよく炭素数1〜4の炭化水素基を示し、Aはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合から選ばれる2価の結合を示す。)
(2)記載のポリマー製造方法において、極性溶媒を主たる成分とする反応媒体中でラジカル重合して得られるポリマーの製造方法。
(3)前記のポリマーを有効成分とするタンパク質、核酸(オリゴヌクレオチド、アプタマーを含む)、多糖など生体由来の分子を反応固定化できる水に不溶な固定化担体。
本発明は、イソシアネート基を有するスチレン誘導体モノマーとリン脂質極性基を有するアクリル酸誘導体モノマーとを少なくとも同時に含み、その他の疎水性モノマーも含むモノマー組成物を重合してなる非水溶性ポリマーで、得られるポリマー中のイソシアネート基を有するスチレン誘導体ユニットの組成が1〜40モル%であり、かつリン脂質モノマーユニットの組成が5〜50モル%であることを特徴とするポリマーである。これら2種類のモノマーユニット以外に、水に対して溶解しないように、また基材の表面処理に適した造膜性を付与する目的で、疎水性モノマーユニットを第三成分として有してもよい。本発明に用いるイソシアネート基を有するスチレン誘導体は芳香環に三級炭素を介してイソシアネート基が結合した構造であり、リン脂質極性基を有するアクリル酸誘導体モノマーは分子構造内に、ホスホリルコリン基などの天然の存在するリン脂質分子の極性基と、重合性のアクリロイル基あるいはメタクリロイル基を含むものが考えられる。
本発明で用いるインシアネート基を有するスチレン誘導体モノマーは、具体的には、m−(ジメチルメチルイソシアネート)スチレン、p−(ジメチルメチルイソシアネート)スチレン、m−(メチルエチルイソシアネートメチル)スチレン、p−(メチルエチルイソシアネートメチル)スチレン、m−(ジメチルメチルイソシアネート)−β−メチルスチレン、p−(ジメチルメチルイソシアネート)−β−メチルスチレン、m−(メチルエチルイソシアネート)−β−メチルスチレン、m−(メチルプロピルイソシアネートメチル)スチンン、m−(ブチルエチルイソシアネートメチル)スチレンなどが挙げられる。この中でm−(ジメチルメチルイソシアネート)−β−メチルスチレンが重合性とポリマーとしたときのイソシアネート基の反応性の観点から好ましい。
本発明で用いるリン脂質極性基を有するアクリル酸誘導体モノマーは、具体的には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、MPCと略す。)、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3−ア(メタ)クリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4−ア(メタ)クリロイルオキシブチルホスホリルコリン、6−ア(メタ)クリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−ア(メタ)クリロイルオキシデシルホスホリルコリン、ω−ア(メタ)クリロイルポリオキシエチレンホスホリルコリン、2−アクリルアミドエチルホスホリルコリン、3−アクリルアミドプロピルホスホリルコリン、4−アクリルアミドブチルホスホリルコリン、6−アクリルアミドヘキシルホスホリルコリン、10−アクリロイルアミドデシルホスホリルコリン、ω−ア(メタ)クリルアミドポリオキシエチレンホスホリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルエタノールアミン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルエタノールアミン、3−ア(メタ)クリロイルオキシプロピルホスホリルエタノールアミン、4−ア(メタ)クリロイルオキシブチルホスホリルエタノールアミン、6−ア(メタ)クリロイルオキシヘキシルホスホリルエタノールアミン、10−ア(メタ)クリロイルオキシデシルホスホリルエタノールアミン、ω−ア(メタ)クリロイルポリオキシエチレンホスホリルエタノールアミン等が挙げられる。このうちMPCが、入手性などの観点から好ましい。
本発明で使用できる第三成分のモノマーとしては、主たる成分であるイソシアネート基を有するスチレン誘導体モノマーとリン脂質極性基を有するアクリル酸誘導体モノマーと好適に共重合でき、かつ疎水的で、イソシアネート基と重合条件にて反応しないものなら、制限なく利用できる。具体的には、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、p−エトキシメチルスチレンなどが挙げられる。
本発明に用いるラジカル重合としては、通常のフリーラジカル重合が挙げられる。通常、ラジカル発生剤としては特に限定されないが、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチルなどの過酸化物、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリルなどの脂肪族アゾ化合物などが挙げられる。
本発明のポリマーの製造方法は、重合反応中有に生成するポリマーが溶解し、またイソシアネート基との反応などにより本発明の効果を損なわない範囲であれば任意の溶媒を選択することができるが、アルコールとテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなど他の非プロトン性極性溶媒との混合溶媒が望ましい。混合液のアルコール組成が50%以下であることが好ましく、特に15%〜40%であることが好ましい。
重合反応については、本発明の効果を損なわない範囲において、任意の温度において行なってよい。具体的には、例えば熱分解によりラジカルを発生させる場合は、10℃〜90℃、より好ましくは、20℃〜70℃の条件が挙げられる。
反応容器については、重合反応を阻害しないかぎりにおいて特に制限がなく、ガラス製、ステンレス製など、適宜選択して使用することができる。反応系を加圧する場合は、耐圧容器を使用することが好ましい。
このようにして得られるポリマー中のイソシアネート基を有するスチレン誘導体ユニットの組成が1〜40モル%であることが、生体由来分子を確実に反応させる点から好ましい。
またリン脂質モノマーユニットの組成が5〜50モル%であることが生体由来分子の固定化反応で、基板に親水性を与え、また固定化した後の生体由来分子の構造変化を抑制し、活性を維持する点から好ましい。このポリマーの収率は、20%以上、好ましくは30%以上で得ることができる。
本発明のポリマーを生体由来分子の固定化材として基材の表面修飾に用いる場合、ポリマーは沸点の比較的低い有機溶媒系に溶解することが必要である。ポリマー濃度は0.01%〜10%、好ましくは0.03%〜0.5%が好ましい。この溶液中に、基材を浸漬し、有機溶媒を揮散させることによりポリマーを表面に修飾できる。この場合、通常のディップコーティング法あるいはスピンコーティング法を利用することができる。
本発明の生体由来分子固定化担体に固定化できる生体由来分子としては、抗体、酵素、レセプター、成長因子、細胞増殖因子、分化誘導因子などのタンパク質、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、アプタマーなどの核酸、アミノ糖、アミノ化多糖など多糖およびこれらを主成分とする誘導体が挙げられる。
発明の効果
本発明によれば、生体由来分子に対して容易に反応する官能基を有し、親水性であるにもかかわらず非水溶性のポリマーを、イソシアネート基を有するスチレン誘導体とリン脂質極性基を有するアクリル酸誘導体のユニットを双方少なくとも有するポリマーを合成できる。上記のポリマーは有機溶媒に可溶で,任意の基材上にコーティングなどの方法により表面修飾できる。上記ポリマーをタンパク質、核酸、多糖の固定化担体として使用すると、安定性、耐熱性、活性、生物学的特異性を高めあるいは長期間維持できる点で、優れた性能を示すので、産業上、特に臨床検査、診断、食物検査、生体の機能解明などバイオテクノロジー、医療、製薬、食品製造、分析装置製造などの分野に有用である。
以下に、本発明を具体例に基づいて詳細に説明する。次に、分析方法および条件等について記載する。
構造確認は以下の方法によった。赤外吸収分光(IR)法を用いた。ポリマー1mgを臭化ナトリウム10mgと混合し、これを粉末成型してペレットを作成し、日本分光製、FT/IR5300により室温にて測定した。ポリマー中に含まれる各モノマーユニットの組成決定は以下の方法によった。H−NMRはポリマー20mgを重エタノール(d−6)1.5mLに溶解させた試料溶液を用いて、日本電子(株)製、α−500(500MHz)により30℃にて測定した。分子量はゲルパーミュエーションクロマトグラフィーを用い、ポリスチレンを標準物質として、エタノール/クロロホルム(5/5)混合溶媒中で30℃にて測定した。
実施例1(イソシアネート基とホスホリルコリン基を有するポリマーの合成)
フラスコに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPCと略記する)284mgを秤量し、エタノール2.1gを仕込み、かき混ぜながら容器内を窒素で置換した。次いでm−(ジメチルメチルイソシアネート)−β−メチルスチレン(IPMSと略記する)388mg、n−ブチルメタクリレート(BMAと略記する)2.33gおよび2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル15.9mgを添加し、さらにテトラヒドロフラン(THFと略記する)4.90gを入れて全体が均一になるように窒素雰囲気下にてかき混ぜた。その後、60℃に加温し、48時間かき混ぜた。得られた容液を取り出し、ヘキサン/クロロホルム(9/1)混合溶液300ml中に滴下して固形のポリマーを得た。収量は980mg、収率は33%であった。これを減圧乾燥し、ポリマーを得た。前記のポリマーのIR分析条件に従ってこのポリマーを分析した。結果は、イソシアネート基に由来する赤外吸収が2200〜2300cm一1に、エステル結合に由来する赤外吸収が1730cm−1に、ホスホリルコリン基に由来する赤外吸収が1200〜1100cm−1に確認できた。NMRの測定結果よりポリマー中の各モノマーユニットの組成はIPMS/MPC/BMA=14.3/17.8/67.9(モル%)であった。分子量は数平均分子量で30,000であった。
実施例2(イソシアネート基とホスホリルコリン基を有するポリマーの合成)
フラスコにMPC600mgを秤量し、エタノール3.2gを仕込み、かき混ぜながら容器内を窒素で置換した。次いでIPMS388mg、n−ブチルメタクリレート(BMAと略記する)2.33gおよび2、2‘−アゾビスイソブチロニトリル16.9mgを添加し、さらにTHF7.5gを入れて全体が均一になるように窒素雰囲気下にてかき混ぜた。その後、60℃に加温し、24時間かき混ぜた。得られた溶液を取り出し、ヘキサン/クロロホルム(9/1)混合溶液500ml中に滴下して固形のポリマーを得た。収量は1.80g、収率は54%であった。これを減圧乾燥し、ポリマーを得た。前記のポリマーのIR分析条件に従ってこのポリマーを分析した。結果は、イソシアネート基に由来する赤外吸収が2200〜2300cm−1に、エステル結合に由来する赤外吸収が1730cm−1に、ホスホリルコリン基に由来する赤外吸収が1200〜1100cm−1に確認できた。NMRの測定結果よりポリマー中の各モノマーユニットの組成はIPMS/MPC/BMA=11.3/33.8/65.9(モル%)であった。分子量は数平均分子量で52,000であった。
実施例3(イソシアネート基とホスホリルコリン基を有するポリマーの合成)
試験管に2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(APCと略記する)270mgを秤量し、エタノール2.1gを仕込み、かき混ぜながら容器内を窒素で置換した。次いでIPMS388mg、n−ブチルメタクリレート(BMAと略記する)2、33gおよび過酸化ベンゾイル23、4mgを添加し、さらにジメチルホルムアミド4.90gを入れて全体が均一になるように窒素雰囲気下にてかき混ぜた。その後、試験管を溶封し、オイルバスにて70℃に加温し、12時間かき混ぜた。得られた溶液を取り出し、ヘキサン/クロロホルム(8/2)混合溶液300ml中に滴下して固形のポリマーを得た。収量は2.1g、収率は70%であった。これを減圧乾燥し、ポリマーを得た。前記のポリマーのIR分析条件に従ってこのポリマーを分析した。結果は、イソシアネート基に由来する赤外吸収が2200〜2300cm−1に、エステル結合に由来する赤外吸収が1730cm−1に、ホスホリルコリン基に由来する赤外吸収が1200〜1100cm−1に確認できた。NMRの測定結果よりポリマー中の各モノマーユニットの組成はIPMS/APC/BMA=10.5/12.8/76.7(モル%)であった。分子量は数平均分子量で64,000であった。
実施例4(イソシアネート基とホスホリルコリン基を有するポリマーの合成)
IPMSの替わりにp−(ジメチルメチルイソシアネート)スチレン(DMISと略記する)を361mg用いた以外は実施例1と同じ操作にてポリマーを得た。収量は1.9g、収率は64%であった。これを減圧乾燥し、ポリマーを得た。前記のポリマーのIR分析条件に従ってこのポリマーを分析した。結果は、イソシアネート基に由来する赤外吸収が2200〜2300cm−1に、エステル結合に由来する赤外吸収が1730cm−1に、ホスホリルコリン基に由来する赤外吸収が1200〜1100cm−1に確認できた。NMRの測定結果よりポリマー中の各モノマーユニットの組成はDMIS/MPC/BMA=15.9/12.8/71.3(モル%)であった。分子量は数平均分子量で44,000であった。
比較例1(イソシアネート基とホスホリルコリン基を有するポリマーの合成)
フラスコにIPMS311mg、MPC1.37g、BMA1.32gおよび2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル12.8mgを添加し、さらにエタノール7.0gを入れて全体が均一になるように窒素雰囲気下にてかき混ぜた。その後、60℃に加温し、24時間かき混ぜた。得られた溶液を取り出し、ヘキサン/クロロホルム(9/1)混合溶液300ml中に滴下して固形のポリマーを得た。収量は1.98g、収率は66%であった。これを減圧乾燥し、ポリマーを得た。前記のポリマーのIR分析条件に従ってこのポリマーを分析した。結果は、イソシアネート基に由来する赤外吸収が2200〜2300cm−1に認められず、重合反応中に溶媒のエタノールと反応したと考えられる。
比較例2(イソシアネート基とホスホリルコリン基を有するポリマーの合成)
フラスコにIPMS370mg、MPC542mg、BMA2.01gおよび2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル15.2mgを添加し、さらにエタノール7.0gを入れて全体が均一になるように窒素雰囲気下にてがき混ぜた。その後、60℃に加温し、24時間かき混ぜた。得られた溶液を取り出し、ヘキサン/クロロホルム(9/1)混合溶液300ml中に滴下して固形のポリマーを得た。収量は342mg、収率は11%であった。これを減圧乾燥し、ポリマーを得た。前記のポリマーのIR分析条件に従ってこのポリマーを分析した。結果は、イソシアネート基に由来する赤外吸収が2200〜2300cm−1に認められず、重合反応中に溶媒のエタノールと反応したと考えられる。
実施例5(重合溶媒の選定)
重合反応中のイソシアネート基の反応を抑制するために、重合溶媒の検討を行った。IPMSを組成の異なるエタノール/THF混合溶媒中に入れ、60℃にて反応させて、イソシアネート基に由来する赤外吸収の変化を観察した。その結果、エタノール中では12時間後43%、24時間後13%、48時間後には1%となることがわかった。エタノール/THF=4/6中では12時間後90%、24時間後70%となることがわかった。これらに対して、エタノール/THF=3/7中では12時間後97%、24時間後94%、48時間後でも99%となることがわかった。これにより重合反応について、イソシアネート基の反応が抑制できる溶媒としてエタノール組成30%以下が好適であることを見いだした。
実施例6(ディップコーティング法による固体化基板の作成)
実施例1で得られたポリマー10mgをイソプロパノール/THF(7/3)混合溶媒100mlに溶解した。これにガラス板(3x5cm)を浸漬し、直ちに引き上げ、室温にて徐々に溶媒を揮発させた。減圧下にて1時間乾燥したのち、表面をX線光電子分光測定した。その結果、リン原子のピークが133eVに,窒素原子のピークが399eVおよび403eVに観察された。これより表面にポリマーが被覆されていることを確認した。
実施例7(スピンコーティング法による固体化基板の作成)
実施例2で得られたポリマー5mgをイソプロパノール/THF(7/3)混合溶媒100mlに溶解した。これにポリエチレンテレフタレート板(2x2cm)に50μl滴下し、2000回転にてスピンコートした。その後減圧下にて1時間乾燥したのち、表面をX線光電子分光測定した。その結果、リン原子のピークが133eVに,窒素原子のピークが399eVおよび403eVに観察された。これより表面にポリマーが被覆されていることを確認した。
実施例8(タンパク質の固定化)
パパイン(20mg)をリン酸緩衝液(pH7.0)20mlに溶解し、これに実施例6で得られた固定化基板を浸漬し、4℃にて緩やかに4時間攪拌した。反応終了後、リン酸緩衝液で表面を十分に洗浄し、固定化タンパク質(パパイン)を得た。
実施例9(酵素の活性測定)
実施例8で得られた固定化タンパク質(パパイン)及び未修飾のパパインの酵素活性をベンゾイル−L−アルギニン−エチルエステルを基質として、リン酸緩衝液(pH6.1)中で40℃にて測定した。酵素反応により基質が分解され、258nmの紫外吸収が増加するため、この経時的変化を追跡して、反応速度を求めた。その結果、未処理のパパインの活性は7日目に全く見られなくなり、パパインの安定性が悪いことが確認できた。これに対して、実施例9の固定化したパパインでは28日目においても100%の活性を維持することがわかった。これらより実施例1で得られたポリマーのタンパク質固定化材としての有効性が確認できた。
実施例10(核酸の固定化)
実施例7で得られた固体化基板を用いて、核酸(サケ精巣DNA)を固定化した。核酸を1mg/mlとなるようにトリス緩衝液に溶解し、基板上に500μl滴下した。4℃にて1時間放置後、表面をトリス緩衝液にて洗浄し、核酸を基盤に固定化した。 DNAの固定化はX線光電子分光測定およびIR測定により確認した。
実施例11(多糖の固定化)
実施例6で得られた固体化基板を用いて、多糖(キトサン)を固定化した。多糖を0.5mg/mlとなるようにリン酸緩衝液に溶解し、基板上に300μl滴下した.10℃にて1時間放置後、表面をトリス緩衝液にて洗浄し、固定化多糖を得た。多糖の固定化はX線光電子分光測定およびIR測定により確認した。
実施例1で得られたポリマーのIRスペクトル測定結果

Claims (6)

  1. 下記式[1]で示されるイソシアネート基を有するスチレン誘導体モノマーと下記式[2]で示されるリン脂質極性基を有するアクリル酸誘導体モノマーとを少なくとも同時に含み、その他の疎水性モノマーも含むモノマー組成物を重合してなる非水溶性ポリマー。
    Figure 2005239987
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2、R3は同一でも異なってもよく炭素数1〜3の炭化水素基を示す。)
    Figure 2005239987
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜10の2価の炭化水素基及びオキシエチレン基を示し、R3は炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示し、R4、R5およびR6は同一でも異なってもよく炭素数1〜4の炭化水素基を示し、Aはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合から選ばれる2価の結合を示す。)
  2. 請求項1に記載のイソシアネート基とリン脂質極性基とを同時に有するポリマーで、化学式1で示されるイソシアネート基を有するスチレン誘導体ユニットの組成が1−40モル%であり、化学式2で示されるリン脂質モノマーユニットの組成が5−50モル%であることを特徴とするポリマー。
  3. 請求項1に記載のポリマー製造方法において、極性溶媒を主たる成分とする反応媒体中でラジカル重合して得られるポリマーの製造方法。
  4. 請求項1に記載のポリマーを有効成分とするタンパク質固定化材。
  5. 請求項1に記載のポリマーを有効成分とする核酸(オリゴヌクレオチド、アプタマーを含む)固定化材。
  6. 請求項1に記載のポリマーを有効成分とする多糖固定化材。
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