JP3428133B2 - 細胞培養材料、製造および培養方法 - Google Patents

細胞培養材料、製造および培養方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェニルボロン酸基を有
するビニルモノマーの共重合体からなる細胞培養材料、
その製造方法および培養方法に関するもので、より詳細
には細胞接着性、および培養増殖性に優れるとともに、
細胞の集合、細胞塊構築等の細胞の組織化を促進でき、
さらに細胞の脱着、回収性をも有する細胞培養材料、そ
の製造方法および培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞培養、特に動植物細胞の組織培養
は、人工臓器用材料をはじめ、ワクチン、ホルモン、イ
ンターフェロンなどの生理活性物質の生産、あるいは診
断や治療にとって重要であり、各種細胞の機能を損なわ
ずに培養でき、細胞が本来持っている組織構築能を有す
るとともに、さらに細胞の損傷が少ない細胞剥離が可能
な細胞培養材料が望まれている。
【0003】細胞培養容器を構成する材料の表面特性
は、接着依存性細胞の培養において重要な因子となり、
特に親水性、疎水性表面が細胞の接着、増殖に影響を与
える。一般に、表面の親水性が高い程細胞は接着しやす
く、逆にあまり含水率の高いヒドロゲルでは接着性が低
下することが知られている。例えば、高分子をコロナ放
電、UV照射、プラズマ処理(USP3383163)
し、表面を親水性化したものについて、細胞付着力向上
効果が認められている。
【0004】細胞の増殖性については、ポリスチレン、
ポリメチルメタクリレート、ガラス等が良好であること
が知られており、中でもポリスチレンは細胞毒性が低
く、経済性、加工性の点で優位性があるため、現在組織
培養にはほとんどポリスチレンを前記親水化処理したも
のが使用されている。しかし、これらにより形成した培
養床では、細胞の伸展、増殖が認められるものの、細胞
凝集塊、細胞のネットワーク、三次元的接着まで誘導す
ることは困難であった。
【0005】ところで、フェニルボロン酸基を有するモ
ノマーを構成成分とするポリマーが特開平4−1241
44号、同4−124145号に示されているが、糖に
応答して反応するポリマーに関するものであり、細胞培
養材料として用いることは示唆されていない。
【0006】また、培養細胞を剥離させる方法として
は、従来EDTAによるカルシウムイオンのトラップ方
法、あるいは蛋白質分解酵素による接着細胞の表面蛋白
質の破壊による方法などが知られている。しかし、これ
らの方法では、細胞種が限定され、また酵素による細胞
膜の損傷、機能低下を生じるなどの問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、細胞
の接着性が良好であり、細胞毒性がない上、生理的条件
下で培養細胞が伸展、増殖し、さらに細胞凝集塊、スフ
ェロイド、ネットワークへと組織形成を促進するととも
に、機能発現を誘発することができ、しかも脱着、剥離
が容易で、それに伴う細胞の構造、機能変化を抑制でき
る細胞培養材料、その製造方法、およびこのような細胞
培養材料を用いた細胞培養方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次の細胞培養材
料、その製造方法および細胞培養方法である。 (1)(A)フェニルボロン酸基含有ビニルモノマー
と、(B)アミノ基含有ビニルモノマーとを含むモノマ
ー組成物の共重合体からなることを特徴とする細胞培養
材料。 (2)(A)フェニルボロン酸基含有ビニルモノマー
と、(B)アミノ基含有ビニルモノマーと、(C)これ
らと共重合可能な水溶性ビニルモノマーとを含むモノマ
ー組成物の共重合体からなることを特徴とする細胞培養
材料。 (3)(A)フェニルボロン酸基含有ビニルモノマー
と、(B)アミノ基含有ビニルモノマーとを含むモノマ
ー組成物を共重合させることを特徴とする細胞培養材料
の製造方法。 (4)(A)フェニルボロン酸基含有ビニルモノマー
と、(B)アミノ基含有ビニルモノマーと、(C)これ
らと共重合可能な水溶性ビニルモノマーとを含むモノマ
ー組成物を共重合させることを特徴とする細胞培養材料
の製造方法。 (5)上記(1)または(2)記載の細胞培養材料を用
いて細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。
【0009】本発明の細胞培養材料を構成する共重合体
は、フェニルボロン酸基含有ビニルモノマー(A)と、
アミノ基含有ビニルモノマー(B)とを必須モノマーと
するモノマー組成物の共重合体であり、さらに上記モノ
マーと共重合可能な水溶性ビニルモノマー(C)を共重
合した共重合体が好ましい。これらの共重合体は、さら
に共重合可能な他の一官能ビニルモノマー(D)および
/または多官能モノマー(E)との共重合体であっても
よい。
【0010】フェニルボロン酸基含有ビニルモノマー
(A)としては、例えば3−(アクリルアミド)フェニ
ルボロン酸、3−(メタクリルアミド)フェニルボロン
酸、ヒドロキシボリルスチレンなどがあげられる。これ
らのモノマーはフェニルボロン酸基によって細胞表面層
の糖鎖と相互作用して接着細胞の増殖、さらに組織形成
を促進する特性、および糖添加による細胞脱着特性を共
重合体に付与するために用いられる。
【0011】アミノ基含有ビニルモノマー(B)として
は、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、ビニルピリジン、アルキルビニルピリジ
ン、N−ビニルイミダゾールなどがあげられる。これら
モノマーは、生理的条件下での細胞培養を可能にする特
性を共重合体に付与するために用いられる。
【0012】水溶性ビニルモノマー(C)としては、例
えば(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロ
ピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモ
ルホリン、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシ(メ
タ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニル
ラクトン、(メタ)アクリル酸モノグリセロール、メチ
ルビニルエーテル、無水マレイン酸などがあげられる。
これらの水溶性ビニルモノマーは、共重合体に水溶性や
親水性を付与するために用いられる。
【0013】共重合可能な一官能のビニルモノマー
(D)としては、例えばスチレン、メチルスチレン、ク
ロロスチレン、メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、ビニルビバレート、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、エチルビニルエーテル、n−ブチル
ビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレ
ン、プロピレン、イソブチレン、アクリロニトリルなど
があげられる。これらのモノマーは、共重合体に疎水性
を付与し、親水性と疎水性のバランスを調整し、細胞と
の適度な親和性を付与するとともに、共重合体を他の材
料にコートする時の親和性も付与し、細胞培養材料とし
て適度な強度を持たせるために用いられる。
【0014】共重合可能な多官能モノマー(E)として
は、例えばアリル(メタ)アクリレート、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニル
ベンゼン、メチレンビスアクリルアミドなどがあげられ
る。これらのモノマーは共重合体を架橋構造にするため
に用いられる。
【0015】上記の各モノマー(A)〜(E)は、それ
ぞれ1種単独で、または2種以上の混合系で使用するこ
とができる。必須モノマーの共重合組成は、フェニルボ
ロン酸含有ビニルモノマー(A)が5〜70モル%、好
ましくは10〜50モル%、アミノ基含有ビニルモノマ
ー(B)が95〜30モル%、好ましくは90〜50モ
ル%である。フェニルボロン酸含有ビニルモノマー
(A)が5モル%未満では、細胞に対する相互作用が著
しく低くなり、また70モル%を超えると、共重合によ
る効果が得られず好ましくない。
【0016】水溶性モノマー(C)の共重合割合は特に
制限はないが、ビニルモノマー(A)、(B)の合計量
を1モル%としたとき、99モル%以下であればよい。
一官能のビニルモノマー(D)の共重合割合はビニルモ
ノマー(A)、(B)、(C)の合計量に対して、90
モル%以下、特に30モル%以下とするのが好ましい。
多官能モノマー(E)の共重合割合は、ビニルモノマー
(A)、(B)、(C)、(D)の合計量に対して30
モル%以下、特に10モル%以下とするのが好ましい。
【0017】本発明で用いる共重合体は、フェニルボロ
ン酸基含有ビニルモノマー(A)とアミノ基含有ビニル
モノマー(B)とを必須モノマーとして含むモノマー組
成物、さらに(A)、(B)のビニルモノマーと共重合
可能な水溶性ビニルモノマー(C)を含むモノマー組成
物をラジカル重合開始剤の存在下にラジカル共重合する
ことにより製造できる。上記モノマー組成物には、さら
に共重合可能な一官能のビニルモノマー(D)および/
または多官能モノマー(E)が含まれていてもよい。ラ
ジカル重合の形態としては、例えば塊状重合、懸濁重
合、乳化重合、溶液重合等の重合法が採用できる。
【0018】ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベン
ゾイル、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルオキシジカ
ーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート、t−ブチルペルオキシビバレート、t−ブチ
ルペルオキシジイソブチレート、アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2′−
アゾビス(2−アミノプロパン)二塩酸塩、4,4′−
アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス
〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プ
ロパン〕二塩酸塩、2,2′−アゾビス〔2−(2−イ
ミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2′
−アゾビスイソブチルアミド二水和物、過硫酸塩及び過
硫酸塩−亜硫酸水素塩系等を用いることができる。ラジ
カル重合開始剤の使用量としては、全モノマー100重
量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1
〜5重量部が適当である。
【0019】反応溶媒はそれぞれの重合法に適したもの
が使用でき、例えば、水、メチルアルコール、エチルア
ルコール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミドな
どが使用できる。上記共重合の条件としては、適時重合
系を不活性ガス、例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム等
で置換ないし雰囲気下にし、重合温度30〜100℃の
範囲で、重合時間としては1〜72時間程度とするのが
好ましい。
【0020】ラジカル重合により得られる本発明の前記
共重合体の分子量は、重合温度、開始剤使用量等によっ
て調整可能であり、共重合体中の前記ビニルモノマー
(A)の含有量によっても異なるが、数平均分子量1,
000〜1,000,000の範囲、さらには3,00
0〜100,000の範囲のものが好ましい。
【0021】本発明の細胞培養材料は、こうして得られ
る共重合体からなるものである。このような培養材料と
しては前記共重合体により、シャーレ、プレート、フラ
スコ、チューブ等の培養容器、あるいはビーズ状その他
の形状の培養床などを成形して細胞培養に用いるほか、
他のプラスチックやガラス等により形成された培養容器
や培養床の表面に前記共重合体をコーティングないしラ
イニングして細胞培養に用いることができる。
【0022】上記成形、コーティング等を行うには共重
合体を適当な溶媒に溶解させ所望の形状にキャストない
しコーティングしたのち、室温または加温下で乾燥する
方法が好ましい。使用できる溶媒としては、水、メチル
アルコール、エチルアルコール、イソプロパノールなど
の水溶性を有する溶媒があげられ、これらは1種単独
で、あるいは混合溶媒として用いられ、共重合体は0.
1〜10重量%の濃度で溶解することができる。こうし
て得られた培養容器等は、必要に応じて使用前にオート
クレーブ等により滅菌することもできる。
【0023】本発明の細胞培養材料は、培養目的、培養
器の種類、構造、使用条件、成形方法等に応じて、所望
の物性を得るように、モノマー(A)〜(E)を任意に
選択して組合せ、共重合することにより得られる。例え
ば水溶性、親水性を付与するためにはモノマー(C)を
加え、疎水性を付与するにはモノマー(D)を加え、さ
らに架橋構造にするためにはモノマー(E)を加えて共
重合する。
【0024】本発明の細胞培養方法は、上記の細胞培養
材料を用いて細胞を培養する。培養する細胞としては動
物(ヒトを含む)、植物の組織のほか、微生物なども含
まれる。このような細胞の例としては、例えば動物の血
管の細胞、肝臓の細胞、ひ臓の細胞等の体内細胞、ある
いは遊離細胞などをあげることができる。
【0025】これらの細胞の培養条件は、通常の細胞培
養の場合と変わらないが、pH6.8〜7.6、特にp
H7.4付近で培養を行うと、細胞の増殖、組織形成、
機能発現が良好になるので好ましい。この場合、本発明
の細胞培養材料は細胞に対する毒性がなく、細胞の接着
性、増殖性に優れ、生理条件下での培養が行われる。
【0026】細胞の接着性は、共重合体表面のフェニル
ボロン酸基が細胞表面層の糖類の水酸基と結合すること
によるものと推測される。この接着性により細胞が細胞
培養材料に付着して伸展、増殖する。共重合体表面のア
ミノ基は、pHが7.4付近においてフェニルボロン酸
基に配位し、フェニルボロン酸基と細胞表面糖鎖との結
合力を安定させる機能を有し、これにより細胞の増殖、
組織形成、機能発現が促進されるものと推測される。
【0027】このほか水溶性モノマー(C)による水溶
性、親水性の付与、他の一官能ビニルモノマー(D)に
よる疎水性の付与、および多官能モノマー(E)による
架橋構造の付与を組合せることにより、それぞれの培養
に適合した環境が形成される。
【0028】こうして培養細胞が細胞培養材料に付着し
て伸展、増殖し、さらに細胞凝集塊、スフェロイド、ネ
ットワークへと組織形成を促進し、機能発現を誘引す
る。これにより器官形成の場や三次元培養床としての応
用も期待される。
【0029】培養した細胞は、伸展、増殖した細胞とし
て、あるいは凝集塊、スフェロイド、ネットワーク状の
組織として、そのまま採取することができる。このとき
水酸基含有化合物を添加すると、細胞が剥離し容易に脱
着する。使用される水酸基含有化合物としては、グルコ
ース、マンノース等の糖類、エチレングリコール、グリ
セリン等の水酸基含有化合物などが適している。
【0030】上記の剥離脱着は、添加した水酸基含有化
合物がフェニルボロン酸基と結合することにより、付着
していた細胞の表面糖鎖が細胞培養材料から脱離するこ
とにより起こるものである。このように細胞の脱着が容
易であるため、適用細胞の種類が拡大するほか、脱着、
剥離に伴う細胞塊あるいは細胞ネットワークの分解や、
細胞機能の変化が抑制でき、細胞培養法の新しい手法と
して有用である。
【0031】
【発明の効果】本発明の細胞培養材料および細胞培養方
法によれば、フェニルボロン酸基含有ビニルモノマー、
およびアミノ基含有ビニルモノマーを含む共重合体を用
いるため、細胞の接着性が良好であり、細胞毒性がない
上、生理的条件下で培養細胞が伸展、増殖し、細胞凝集
塊、スフェロイド、ネットワークへと組織形成を促進す
るとともに、機能発現を誘発することができ、しかも脱
着、剥離が容易で、それに伴う細胞の構造、機能変化を
抑制することができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 重合溶媒としてジメチルホルムアミド9g、重合開始剤
としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.0
1gを用いて、N−イソプロピルアクリルアミド(IP
A)0.8g、3−(アクリルアミド)フェニルボロン
酸(PBA)0.1g、およびN,N−ジメチルアミノ
プロピルメタクリルアミド(DMAPM)0.1gを配
合して、封管重合法により、重合温度70℃で24時間
重合させてポリマーを合成した。ポリマーはジメチルホ
ルムアミド/ジエチルエーテルで再沈精製した。
【0033】得られた共重合体を蒸留水に溶解して、1
0g/l水溶液を作成し、オートクレーブで滅菌した
後、クリーンベンチ内で細胞培養用のシャーレに、所定
量のポリマー層になるように注入し、乾燥することによ
って培養床を作成した。
【0034】細胞培養は、培養細胞としてウシ大動脈由
来の血管内皮細胞の継代培養したものを用い、培地には
DMEM+10%FBSの液体培地(pH7.4)を使
用し、37℃で5%CO2、15%O2、80%N2の雰
囲気下で7日間培養した。培地交換は2日毎に行い、培
養床の表面観察は電子顕微鏡により行った。また、培養
後4.5mg/mlのグルコースを含む細胞培養用リン
酸緩衝液を添加し、細胞の脱着の確認を行った。ここ
で、細胞数の評価は浮遊している細胞を取り除いた後に
行った。結果を表1に示した。
【0035】実施例2 培養細胞にラット肝細胞を用い、上皮成長因子(EG
F)を添加し、Williams'E系合成培地を用いた以外は実
施例1と同様にして培養および評価を行った。結果を表
1に示す。
【0036】比較例1 モノマーとしてIPA 0.9g、PBA 0.1gを
用いた以外は実施例1と同様の方法でポリマーを合成し
た。このポリマーからなる培養床を用い、実施例2と同
様にしてラット肝細胞の培養および評価を行った。結果
を表1に示した。
【0037】比較例2、3 市販の細胞培養用のシャーレ(Tissue Cult
ure Poly Stylene(TCPSt))を
用いて実施例1または2と同様にして培養および評価を
行った。結果は表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】以上の結果より、実施例1、2では伸展、
増殖による形態変化が認められ、細胞の脱着も可能であ
った。これに対し、アミノ基含有モノマーを含まないポ
リマーを用いた比較例1では細胞の付着が認められず、
細胞の伸展、増殖が起こらなかった。また市販のシャー
レを用いた比較例2、3は細胞の伸展、増殖は認められ
たが、形態変化はなく、脱着もできなかった。
【0040】実施例3 実施例1と同様の培養床を用いて、次の条件でラット肝
細胞を培養した。 培養細胞:ラット肝由来の初代細胞 細胞初期濃度:4.2×104cells/cm2 培地:William'E系合成培地に上皮成長因子(EGF)
を0、10または100ng/mlの濃度で添加した液体培
地(pH=7.4) 温度:37℃ その他:5%CO2、15%O2、80%N2の雰囲気下
で培養
【0041】上記条件で培養を7日間行った。培地交換
は42℃のホット・プレート上で、あらかじめ37℃に
加温しておいた上記培地を用いて2日毎に行った。所定
日数培養した後の培養床に付着している細胞数を次のよ
うにして測定した。まず上澄を取り除くと同時にリン酸
緩衝液を用いて軽くリンスすることによって浮遊してい
る細胞を取り除いた。次に細胞溶解用溶液(10mmol/
l-EDTA、pH=12.3(NaOH))を作用させ、37℃で
一晩インキュベートし、細胞を溶解した。次にリン酸二
水素カリウムの1mol/l水溶液を用いて中和後、DNA
測定液(2mg/l−ヘキスト33258、100mmol/l
-NaCl、10mmol/l-Tris、pH=7.0)を加え、攪拌
した。次に蛍光強度(Exλ=360nm、Emλ=450n
m)を測定してDNA量を算出し、これを細胞数に換算
した。結果を表2に示した。
【0042】
【表2】
【0043】比較例4 培養床として比較例1と同様の培養床を用い、EGF濃
度を0、10または100ng/mlとして7日間培養を行
ったが、細胞の付着は認められなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 則子 東京都板橋区前野町6−10−1−601 (72)発明者 片岡 一則 千葉県柏市大室1083−4 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12M 1/00 - 3/00 C12N 5/00 - 5/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)フェニルボロン酸基含有ビニルモ
    ノマーと、(B)アミノ基含有ビニルモノマーとを含む
    モノマー組成物の共重合体からなることを特徴とする細
    胞培養材料。
  2. 【請求項2】 (A)フェニルボロン酸基含有ビニルモ
    ノマーと、(B)アミノ基含有ビニルモノマーと、
    (C)これらと共重合可能な水溶性ビニルモノマーとを
    含むモノマー組成物の共重合体からなることを特徴とす
    る細胞培養材料。
  3. 【請求項3】 (A)フェニルボロン酸基含有ビニルモ
    ノマーと、(B)アミノ基含有ビニルモノマーとを含む
    モノマー組成物を共重合させることを特徴とする細胞培
    養材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 (A)フェニルボロン酸基含有ビニルモ
    ノマーと、(B)アミノ基含有ビニルモノマーと、
    (C)これらと共重合可能な水溶性ビニルモノマーとを
    含むモノマー組成物を共重合させることを特徴とする細
    胞培養材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の細胞培養材料を
    用いて細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。
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