JP2005239953A - 糖質−カロテノイド系色素脂溶体および/または固溶体の製造法 - Google Patents

糖質−カロテノイド系色素脂溶体および/または固溶体の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】 カロテノイド系色素を溶解および/または均一分散し、脂溶体を形成させ、さらに糖質に均一分散させた状態で固溶体を形成させる方法、また、色素乾燥物を作るために澱粉を適度に加水分解した糖質を用いて色素−糖質混合粉体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 カロテノイド系色素を溶解および/または均一分散し、脂溶体を得るにあたり、所定の糖質を用いること、または糖質とカロテノイド系色素を含む混合物を特定の条件下に低部分加水分解反応を行うことを特徴とする糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法並びに糖質−カロテノイド系色素固溶体を得るにあたり、糖質として所定のものを用いること、または糖質とカロテノイド系色素を含む混合物を特定の条件下に高部分加水分解反応を行うことを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、糖質−カロテノイド系色素脂溶体および/または固溶体の製造法に関し、詳しくは水に溶解および/または均一分散しないカロテノイド系色素を溶解および/または均一分散させ、脂溶体を製造する方法並びに水に溶解および/または均一分散しないが、利用しやすい形態である固溶体を製造する方法に関する。
なお、本発明では、カロテノイド系色素が溶液状になったものを脂溶体と表現し、これには懸濁液でも、液中に色素が均一に、かつ安定に存在する状態を含めるものとする。また、カロテノイド系色素が他の素材と均等に混合し、液中から固体として分離するものを固溶体と表現することにする。脂溶体と固溶体を合わせて両溶体と呼び、さらに色素を糖質で包み込むという意味で、上位概念として糖質ラップと呼ぶことにする。
カロテノイド系色素とは、カロチノイドまたはカロテノイド、カロテノイド色素とも呼ばれ、緑色植物、カビ、酵母、キノコ、細菌などが産生する黄色から赤色、紫色の水不溶性色素である。この色素の多くは炭素数40でテトラテルぺノイド構造で、トマト果実に多いリコペン(カロテンまたはカロチン:カロテノイド炭化水素の総称)を基本とし、その分子の両端が環状、酸素を含有するなど500種以上の色素が知られている。葉緑体のβ−カロテン、ルテイン、ビオラキサンチンなどの他、スピリロキサンチン、スフェロイデンが光合成微生物にも含まれ、タンパク質と結合してエビ、カニの甲羅に含まれる赤色のアスタキサンチンなどが動物に含まれる。
ニンジン、カボチャ、卵黄、バターなど動植物に広く存在する黄〜赤色のカロテノイド系色素を動物または植物から摂取し、ビタミンAなどの生理活性物質に変換して利用している。また、古くから染料、食品着色料として利用されている。しかし、その構造式は一つおきに二重結合が繰り返されたポリエン構造で、空気酸化や光酸化を受けやすく、分解して退色しやすい性質である。
そこで、その安定化と水への溶解性を高めて利用しやすい素材にする方法の開発が求められ、幾つかの方法が開発された。その一つに、「水産練り製品の赤色着色方法」(例えば、特許文献1参照)がある。本法は、カロテノイド系色素を乳化剤、増粘安定剤および乳化安定効果のある食品素材の1種以上を用いて分散させた後、微細化するか、または油溶性のカロテノイド系色素を微細化させた後、乳化剤、増粘安定剤および乳化安定効果のある食品素材の1種以上を用いて分散させて得た赤色着色料を原料として用いて水産練り製品を赤色に着色する方法である。
また、「安定なアスタキサンチンとγ−シクロデキストリンとの包接化合物及びその製造方法、並びに液剤、飲食物、飼料、医薬品及び化粧品用途」(例えば、特許文献2参照)、「安定なアスタキサンチン−シクロデキストリン包接化合物及びその製造方法、並びに該包接化合物を含有する液剤、飲食物、飼料、医薬品及び化粧品」(例えば、特許文献3参照)もあるが、これらの方法はサイクロデキストリン(以下、CDと略称することがある)を用いた包接体形成による安定化および利用面の拡大手法である。
特開平7−135929号公報 特開2002−348275号公報 特開2002−348276号公報
しかし、これらの方法は煩雑であり、製造に多くのプロセスと時間がかかる上に、乳化剤、増粘安定剤、CDなどは食品素材としてはやや高価で実用化には不利な点がある。したがって、より安価・安全な原料を用い、簡単な方法で、カロテノイド系色素の水不溶性を改善して脂溶体または固溶体にする方法が見出されれば、利用面はこれまで以上に拡大するものと期待される。
そこで、本発明の目的は、糖質−カロテノイド系色素脂溶体、糖質−カロテノイド系色素固溶体を製造する方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明者らは澱粉を原料として脂溶体、固溶体を製造する方法について鋭意検討し、澱粉で色素を溶解および/または均一分散させる方法を検討した結果、ハイアミロースコーンスターチ以外の、ほとんどの澱粉で糖質−色素溶液の調製が可能であることが判明した。しかし、澱粉濃度が高いと、ゲル状になり、粉体となり難いため使い難い。そこで、粉体としやすい糖質素材を求めた。その結果、澱粉低加水分解物に脂溶体形成能があり、澱粉高加水分解物では脂溶体が形成し難いことを見出し、澱粉を酵素で部分加水分解した、部分分解糖質および/または澱粉の酸部分分解糖質を用いるか、澱粉と色素を混合したものに澱粉加水分解酵素を作用させて、直接、糖質−色素溶液を調製する方法を確立した。
さらに、澱粉と澱粉分解酵素のみでは色素の脂溶体形成が不十分である場合、色素を5〜25%エタノール溶液に溶解して溶解および/または均一分散させると、溶解性は向上する。このようにして調製したものは、必要に応じて乾燥し、糖質−色素混合体、糖質−色素混合体粉末とすることができる。
また、逆に、糖質−色素が均一に混合した状態で沈殿すれば、固溶体となり、使いやすい素材になりうる。この目的のためには、澱粉としてハイアミロースコーンスターチを用いることが適当であり、溶解および/または均一懸濁糖液の状態で色素を添加して、振盪または加熱混合して静置すれば固溶体が得られる。さらに、通常の澱粉の場合、脂溶体形成条件よりも強い条件で酵素作用させると、固溶体が形成される。しかし、強い反応条件では、固溶体も形成されないこと並びにイオン性成分の添加で固溶体の形成が容易になることを見出し、これらの知見に基づいて本発明に到達した。
請求項1記載の本発明は、カロテノイド系色素を溶解および/または均一分散させ、脂溶体を得るにあたり、糖質として、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、モチトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、粳米澱粉および糯米澱粉の中の1種もしくは2種以上を用いることを特徴とする糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法である。
請求項2記載の本発明は、糖質として、請求項1に記載の澱粉をサイクロデキストリン合成酵素またはα−アミラーゼで部分加水分解して得られる部分分解糖質および/または該澱粉の酸部分分解糖質を用いることを特徴とする請求項1記載の糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法である。
請求項3記載の本発明は、酸部分分解糖質がDE15〜40のものである請求項2記載の方法である。
請求項4記載の本発明は、カロテノイド系色素を溶解および/または均一分散させ、脂溶体を得るにあたり、糖質としての請求項1記載の澱粉とカロテノイド系色素の混合物に、サイクロデキストリン合成酵素またはα−アミラーゼを添加して低部分加水分解反応を行うことを特徴とする糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法である。
請求項5記載の本発明は、低部分加水分解反応を、サイクロデキストリン合成酵素を用いて、酵素濃度0.4〜1.0THU/g澱粉、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間2〜24時間の条件で行うことを特徴とする請求項4記載の糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法である。
請求項6記載の本発明は、低部分加水分解反応を、α−アミラーゼを用いて、酵素濃度3.35〜6.7U/g澱粉(糊精化力測定天野法)、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間2〜24時間の条件で行うことを特徴とする請求項4記載の糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法である。
請求項7記載の本発明は、カロテノイド系色素として、該色素を5〜25%エタノール溶液に溶解および/または均一分散したものを用いて、請求項1または2記載の方法により糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法である。
請求項8記載の本発明は、請求項1、2または7記載の方法で調製した糖質−カロテノイド系色素脂溶体を、乾燥処理して得た糖質−カロテノイド系色素混合体乾燥物もしくはその粉末である。
請求項9記載の本発明は、乾燥処理が、噴霧乾燥、流動層乾燥または凍結乾燥である請求項8記載の乾燥物もしくはその粉末である。
請求項10記載の本発明は、カロテノイド系色素が、アナトー色素、パプリカ色素、クチナシ黄色素、カロチン色素、ビキシン、ノルビキシン、カプサンチン、クロシン、クロセチン、リコペン、β−カロチン、ルティン、ビオラキサンチンおよびアスタキサンチンの中のいずれかである請求項1、2または7記載の方法である。
請求項11記載の本発明は、糖質−カロテノイド系色素固溶体を得るにあたり、糖質としてハイアミロースコーンスターチを用いることを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法である。
請求項12記載の本発明は、糖質として、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉および粳米澱粉の中の1種もしくは2種以上を用い、カロテノイド系色素と混合、溶解および/または均一分散させ、サイクロデキストリン合成酵素またはα−アミラーゼを添加して高部分加水分解反応を行うことを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法である。
請求項13記載の本発明は、高部分加水分解条件を、サイクロデキストリン合成酵素を用いて、酵素濃度1.0〜10THU/g澱粉、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間12〜24時間の条件で行うことを特徴とする請求項12記載の糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法である。
請求項14記載の本発明は、高部分加水分解条件を、α−アミラーゼを用いて、酵素濃度6.7〜20U/g澱粉(糊精化力測定天野法)、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間12〜24時間の条件で行うことを特徴とする請求項12記載の糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法である。
請求項15記載の本発明は、請求項1記載の方法において、糖質として、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉および粳米澱粉の中の1種もしくは2種以上を用い、該糖質とカロテノイド系色素を5〜25%エタノール溶液に混合、溶解および/または均一分散し、サイクロデキストリン合成酵素またはα−アミラーゼで高部分加水分解することを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法である。
請求項16記載の本発明は、請求項1、2または7記載の方法で調製した糖質−カロテノイド系色素溶液および/または均一分散液に、食塩、酢酸−苛性ソーダ、有機酸(酢酸を除く)−苛性ソーダ、アミノ酸およびタンパク質の中の少なくとも1種の物質を加えることを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法である。
請求項17記載の本発明は、澱粉加水分解物とカロテノイド系色素を5〜25%エタノール溶液に混合、溶解および/または均一分散させたものに、食塩、酢酸−苛性ソーダ、有機酸(酢酸を除く)−苛性ソーダ、アミノ酸およびタンパク質の中の少なくとも1種の物質を加えることを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法である。
請求項18記載の本発明は、ハイアミロースコーンスターチ、セルロース、キチンをアルカリで可溶化した後、カロテノイド系色素を加え、均一に混合した後中和することを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法である。
本発明によれば、糖質である澱粉を用いてカロテノイド系色素を溶解および/または均一分散し、脂溶体を形成させることができる。さらに、澱粉濃度が高いとゲル状になり、粉体を形成させることが困難であるので、粉体としやすい素材として澱粉の低加水分解物を用い、エタノールを添加または無添加で脂溶体を形成させて乾燥、粉末化することができる。一方、澱粉の高加水分解物を用いると、エタノールの添加または無添加で固溶体が形成される。この場合、イオン性物質の添加で固溶体形成効率を高めることができる。このようにして調製された素材は、使いやすく、カロテノイド系色素も安定化されているので、これまでより広い用途に利用できる。
本発明では、色素としてカロテノイド(カロチノイドとも言う)を用いるが、食品用素材としては例えば、市販のアナトー色素がある。本色素は、ベニノキ科ベニノキの種子から抽出した色素で、ビキシン、ノルビキシンが主成分で、酸性で黄色、中性で赤色を呈する。トウガラシ色素としては、市販の「オレンジカラー100」、「オレンジカラー75 WS」(いずれも商品名)があり、これらはトウガラシの果実から得られたカプサンチン類を主成分とするもので、橙〜赤色を呈する。
また、クチナシ黄色素としては、市販の「キリシンLコンク」、「キリシンLY」、「キリシンA-15P」、「キリシンK-400(G)」(いずれも商品名)などがあり、クチナシの果実から得られた水溶性のクロシンおよびクロセチンを主成分とするものである。これら色素は、美しい黄色を呈するが、光、酸には比較的弱い。本色素は、分子末端がカルボン酸または糖質とのエステルとなっているので水溶性であるが、エタノール溶液にもよく溶け、脂溶性も兼ね備えている。本発明の方法は、これらカロテノイド系色素に適用できるものであり、応用範囲は極めて広い。
澱粉としては各種のものが本発明に適用できるが、一般的に、脂溶体形成にはアミロペクチンを多く含む澱粉、固溶体形成にはアミロースを多く含む澱粉が好ましい。澱粉には通常、約20〜30%のアミロースと80〜70%のアミロペクチンが含まれるので、使用する澱粉の条件を適切に設定すれば、脂溶体、固溶体の何れのものでも調製できる。しかし、固溶体形成の場合、ハイアミロースコーンスターチのアミロース50%と70%のものは適用できるが、これを熱処理して難消化性に加工した製品への適用は困難である。
澱粉加水分解物としては、市販の各種デキストリンがあるが、一般に、酵素加水分解法で製造されたものは、何れの溶体形成にも好適には用いられない。一方、酸加水分解法で製造されたものは、DEを適切に選択すれば、脂溶体形成のために利用でき、さらに固溶体形成に利用することもできる。この理由は、酵素分解法によるものは、分子の大きさがより均一であり、溶解しやすい糖質分子になっているためと考えられる。一方、酸分解法によるものは、糖質分子が不均一で大小各様の分子が混合しており、その中の大きな分子が脂溶体、固溶体形成にかかわっているものと考えられる。この大分子の糖質に小分子(CDは除く)の糖質が混在していても、両溶体の形成に大きな変化はない。
その他の糖質としてグルコース、フルクトースなどの単糖類、マルトース、トレハロースなどのオリゴ糖類、エリスリトール、ソルビトールのような糖アルコール単独またはこれらの混合物の場合は、カロテノイド系色素は僅かに溶解されるようになるが、食品用素材の製造には適当ではない。しかし、添加量が少ない医薬、化粧品などには適用できる可能性はある。
本発明では、酵素剤としてはサイクロデキストリン合成酵素(以下、CGTaseと略称することがある)、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼなどの澱粉加水分解酵素を用いるが、酵素剤の主要な働きは澱粉分子の内部鎖を切断し、適度な大きさにすることであり、目安は、澱粉が液化して、粘性のないサラサラの糖液になりはじめる程度が適当である。
このように、酵素の種類は特定のものに限定されず、粘性を僅かに残した状態で澱粉分子を切断する酵素であれば、何れでもよい。特に、CGTaseではマセランス、ステアルサーモフィラス、オーベンシスなどの微生物由来の酵素が知られているが、これらに限定されるものではない。α−アミラーゼについても同様に各種のものが利用できる。市販酵素としては天野エンザイム株式会社製の「コンチザイム」(バチルス・マセランスの酵素)があり、これは600THU/mL(Tilden-Hudson法 E.B.Tilden and C.S.Hudson: J.Bacteriol.、43、527(1942))以上の活性をもつ溶液である。その他のα−アミラーゼとしては、天野エンザイム製の「アミラーゼAD[アマノ]1」があり、10,000U/g粉末(pH6.0、糊精化力測定天野法で測定した値)は、乾燥澱粉当たり0.1〜0.3%が標準的使用量とされている。この他、グルコアミラーゼ、プルラナーゼなども市販酵素があるので、これらを利用できるが、CGTase、α−アミラーゼに比べて効果が劣り、特にプルラナーゼの効果は劣る。
脂溶体形成のための酵素反応標準条件は、コーンスターチ150mgに対して、CGTase0.1〜0.25μL(0.4〜1.0THU/g澱粉)、反応温度35〜65℃(好ましくは45℃)、反応時間2〜24時間(好ましくは12時間)、反応pH5.0〜6.5(好ましくは5.0〜6.0)の振盪反応である。上記酵素量は、通常のCD生産に用いる酵素量が10 THU/g澱粉、24時間であるから、かなり少ない添加量となる。
一方、α−アミラーゼの添加量は、コーンスターチ150mgに対して酵素粉末0.1mg〜0.05mg、反応温度35〜65℃(好ましくは45℃)、反応時間2〜24時間(好ましくは12時間)、反応pH5.0〜6.5(好ましくは5.0〜6.0)の振盪反応である。酵素量について計算すると、3.35〜6.7U/g澱粉(糊精化力測定天野法)となる。乾燥澱粉当たり0.1%が通常の使用量であるから、澱粉g当たりの添加量は1mgとなり、これは10U/gに相当するので、上記本発明における酵素量は、通常の使用量の約2分の1から3分の1ということになる。なお、この範囲外でも条件により脂溶体、固溶体を形成することがあるので、条件に適合した酵素量を選択すべきである。
ところで、澱粉の種類と両溶体の形成について、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、ロードスター(ハイアミロースコーンスターチを難消化性に加工した加工澱粉)、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、粳米澱粉または糯米澱粉を10ml容の耐圧バイアルに各150mg宛秤量し、25mgの色素を含むエタノール溶液1mLと0.2Mの酢酸緩衝液(pH5.0)4mLを加えて湯浴中で加熱溶解し、45℃になるまで放冷した後、同緩衝液中に0.1THU/50μLのCGTaseを含む酵素液を50μL添加し、45℃にて12時間振盪反応を実施した。その結果を表1に示す。なお、表中の12時間経過後の色は、上澄み液がある場合は、上澄みの色/沈殿の色のように示し、沈殿の色が振盪により変化する場合は、橙→赤のように表す。また、CGTase欄の+は該酵素を添加、−は無添加を示し、脂溶体・固溶体形成欄の◎は脂溶体形成良好、○は脂溶体形成、□は固溶体形成、△は固溶体形成不良、×は脂溶体、固溶体とも形成せずを示す。
Figure 2005239953
表1から明らかなように、ワキシーコーンスターチ、糯米スターチでは、CGTaseの反応で両溶体の形成が困難であった。なお、澱粉を添加し、脂溶体が形成された場合は、本処理12時間後でも色調に変化はなく、安定化されていることを示している。澱粉を添加しない対照実験区(1)では橙に退色している。
なお、他の澱粉でも、酵素反応を強めると、両溶体の形成程度が低下する。また、グルコアミラーゼではα−アミラーゼと同様な傾向を示すが、形成効果は劣る。プルラナーゼを添加して反応させると、反応の強弱にかかわらず両溶体は形成されない。
次に、カロテノイド系色素(アスタキサンチン)の溶液に及ぼすCDの影響について検討した。結果を表2に示す。すべての溶液には、25mgの色素を含むエタノール溶液1mLと0.2Mの酢酸緩衝液(pH5.0)4mLが含まれ、CD量は150mgであり、表中の+は添加、−は無添加を示す。混合液は、45℃にて12時間振盪処理した。また、表中の12時間経過後の色は、上澄み液がある場合は、上澄みの色/沈殿の色のように示し、沈殿の色が振盪により変化する場合は、橙→赤のように表す。
表2に示したように、α、β、γ−CDを用いた対照実験では、いずれも脂溶体形成を阻害し、その強さは、γ>β>αの順であり、特にγ−CDによる阻害が大きい。また、β−CDでは包接体形成による僅かな沈殿が起こる。従って、CGTaseによる加水分解とCD生成により、両溶体形成が困難になるものと推察される。
Figure 2005239953
さらに、澱粉の種類による脂溶体、固溶体形成能について、検討して以下のように3つの系に大別し、分類した。
1系:それ自体で脂溶体形成能があり、CGTase作用で固溶体を形成する澱粉。
2系:それ自体で脂溶体形成能があり、CGTase作用で固溶体を形成せず、脂溶体の形成も阻害する澱粉。
3系:それ自体で固溶体形成能があり、CGTase作用でも固溶体を形成する澱粉。
1系に属する澱粉は、アミロペクチンとアミロースの組み合わせからなる澱粉であり、2系に属する澱粉は、アミロペクチンのみの澱粉である。また、3系に属する澱粉は、アミロースを主要成分とする澱粉が該当する。
脂溶体形成を望む場合は、非分解澱粉(ハイアミローススターチは除く)および/または低加水分解澱粉を用いればよく、脂溶体の形成が不十分な場合は、加水分解酵素とワキシー澱粉を組み合わせたり、エタノールを補助的に添加することが有効である。
一方、固溶体の形成には、ハイアミローススターチおよび/または高加水分解澱粉を用いるか、非分解澱粉または低加水分解澱粉に食塩、酢酸ナトリウム、アミノ酸などのイオン性素材を添加することが効果的である。なお、小麦澱粉、粳米澱粉はCGTaseによる固溶体形成能は小さい。
次に、加水分解条件について検討した。低部分加水分解条件:CGTaseでは、酵素濃度0.4〜1.0THU/g澱粉、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間2〜24時間の条件が適当である。また、α−アミラーゼでは、酵素濃度3.35〜6.7 U/g澱粉(糊精化力測定天野法)、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間2〜24時間程度が適当である。
高部分加水分解条件:CGTaseでは、酵素濃度1.0から10THU/g澱粉、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間12〜24時間が適当であり、α−アミラーゼでは、酵素濃度6.7から20U/g澱粉(糊精化力測定天野法)、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間12〜24時間程度である。しかし、条件によっては、この範囲外でも脂溶体、固溶体形成が可能であることも予想される。酸加水分解処理した澱粉から低分子量の成分を除去するか、酸・高温処理により各種結合を作って難消化性にした素材なども同様に利用できる可能性がある。
また、糖質を用いてカロテノイド系色素を溶解おとび/または均一分散し、脂溶体を形成させるに当たって、エタノールを使用する場合、該エタノールの添加量は、通常は5%から25%が望ましく、20%程度が好適であるが、用いる糖質の種類により、エタノールが存在しなくても脂溶体が形成されるものであれば、添加の必要はない。
次に、デキストリンを使用して目的とする脂溶体を形成するための条件について、市販澱粉加水分解物製品を用いて検討した。すべての溶液は、25mgの色素アスタキサンチンと蒸留水5mLを含む。デキストリンの使用量は150mgであり、表中の+は添加、−は無添加を示す。混合液は、45℃にて12時間振盪処理した。その結果の一例を表3に示す。表中の○は脂溶体の形成あり、△は脂溶体の形成が少ない、×は脂溶体の形成なしを示す。
検討の結果、酸部分分解物でDE15〜40の製品を用いた場合には脂溶体が形成されるが、これ以外のデキストリンでは脂溶体形成は困難であった。表3の結果から明らかなように、酸分解デキストリンでは、DEが15以下でも脂溶体を形成するデキストリンとすることができる可能性がある。また、この他、分岐デキストリン、高度分岐環状デキストリンなどや、プルラン、デキストラン、さらに結合様式が異なる他の糖質でも適用できる可能性がある。溶解補助剤として、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコールなどを添加することも考えられる。
Figure 2005239953
このようにして調製した脂溶体に0.2M程度の食塩を加えると、赤色沈殿が生じる。これを放置するか、遠心分離すれば、フレーク状のものが得られる。CGTaseなどの澱粉加水分解酵素を、脂溶体を形成させるための条件よりも強い条件で反応させれば、固溶体となる。なお、食塩の他、グリシン、グルタミン酸ナトリウムなどアミノ酸やミルクカゼインなどの蛋白質を加えた場合も固溶体を形成するので、固溶体の形成にはイオン性の物質の添加で効果があることが分かる。また、ペプチドによっても同様の効果があるものと予想される。さらに、酢酸、クエン酸などの有機酸を苛性ソーダで中和して生ずる塩でも固溶体を形成しやすい。
脂溶体を乾燥すれば、粉末が得られる。この粉末は、溶解して赤色溶液となるので、各種の食品製造に利用できる。乾燥方法については、特に制限はなく経済的な方法を選択すべきであるが、噴霧乾燥が便利である。単に濃縮するだけであれば、効用缶等による加熱濃縮も利用可能である。
固溶体の調製には、上記の他、アミロースを多量に含む澱粉も利用でき、この種の澱粉に色素を添加して加熱攪拌・溶解し、室温放置するだけで目的とする固溶体が得られる。また、アルカリ性で安定な色素であれば、ハイアミロースコーンスターチをアルカリで可溶化し、これに色素を加えてから中和して固溶体にすることもできる。この標品の場合、溶解性は劣るので、液状食品への利用は困難である。また、アルカリ性に劣る色素の場合は、可及的速やかに中和すべきである。
本発明によって得られる脂溶体、固溶体は、色素の安定化にも効果があり、例えばクチナシ黄色色素は、糖質ラップにすることにより退色が効果的に抑制される。このように、カロテノイド系色素の糖質ラップは利用範囲が広く、食品を主とし、化粧品、医薬品等の分野においても利用することができる。
なお、本発明の方法においては、デキストリン以外の澱粉加工製品(例えば化学修飾澱粉など)、可溶性繊維なども利用できる可能性がある。糖質をエタノール沈殿して、その沈殿に脂溶性成分を混合して水に溶解し脂溶体を形成させることも、練り込み混合して固溶体とすることもできる。
ところで、各種の市販食用色素について、馬鈴薯澱粉を用いて実験を行い脂溶体、固溶体を形成できるか否か調べた。すなわち、馬鈴薯澱粉とCGTaseによる高部分加水分解反応(条件:CGTase濃度10THU/g澱粉、反応pH5.0、反応温度45℃、反応時間12時間)による脂溶体と固溶体の形成の有無を調べた。その結果を以下に示す。なお、固溶体が形成しがたいものもが3種あった。
馬鈴薯澱粉で脂溶体形成、高部分加水分解により固溶体を形成する市販食用色素
KC yellow KL-15、 KC yellow CP-15、 KC yellow CP-35、 KC yellow GC、
KC yellow GE-2、 KC orange PP、 KC orange PE-3C、 KC orange PE-DK、
KC orange PE-S、 Paprika base No.30、 KC orange YE-3、 KC orange YE-2、
KC orange BE-03、 KC orange TO-10、 Anato yellow、 Anato yellow No.2、
Orange S、 Orange S conc、 Anato yellow K、 Paprika CWS、 Paprika CKD25Y、
Paprika CKD30Y、 Paprika CKD30、 Haematococcus WS-10、 Haematococcus KD-10、
β-carotene WS、 β-carotene KD30、 Palm carotene KD30
馬鈴薯澱粉で脂溶体形成、高部分加水分解により固溶体を形成しない市販食用色素(但し、食塩添加により固溶体を形成する)
Gardenia 120、 Annatto color 100、 Gardenia yellow AYNo.5D
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
澱粉として馬鈴薯澱粉を用い、10mL容のバイアルに150mgを入れ、0.2M酢酸緩衝液(pH5.0)4mLと色素アスタキサンチンのエタノール溶液(色素25mg/mL含有)1mLを加えて、沸騰水浴中で溶解したところ、赤色の溶液が調製できた(脂溶体形成)。これを45℃で12時間振盪処理して観察した結果、色素は均一に溶解・分散しており、脂溶体形成は保持された。一方、馬鈴薯澱粉を加えないで同様に処理したときには、色素は退色して橙色になった。このことから、脂溶体形成により色素は安定化されることを示している。なお、馬鈴薯澱粉などの澱粉にカロテノイド色素を直接まぶしても良いが、この方法は均一に混合し難い上に、乾燥粉末を得ることも困難である。
実施例2
澱粉としてコーンスターチを用いたこと以外は実施例1と同様に実施したところ、脂溶体が形成された。なお、澱粉の溶解性が劣り、僅かな沈殿が形成された。
実施例3
澱粉として、ワキシーコーンスターチを用いたこと以外は実施例1と同様に実施したところ、安定な脂溶体が形成された。
実施例4
澱粉として馬鈴薯澱粉を用い、10mL容のバイアルに150mgを入れ、0.2M酢酸緩衝液(pH5.0)4mLと色素アスタキサンチンのエタノール溶液(色素25mg/mL含有)1mLを加えて、沸騰水浴中で溶解し、50℃程度まで放冷した後、CGTaseを0.3THU含む50μLの酵素液を加えて12時間振盪反応を行った。反応後、オートクレーブで120℃、10分間の処理をした後、室温に放冷したところ、脂溶体を調製できた。また、CGTaseの代わりにα−アミラーゼを1U/g澱粉(糊精化力測定天野法)、反応pH5.0、反応温度45℃、反応時間12時間の条件で反応させたところ、脂溶体を調製することができた。
実施例5
糯米澱粉を用い、10mL容のバイアルに150mgを入れ、水5mLと色素アスタキサンチン25mgを加えて、沸騰水浴中で溶解した。その結果、脂溶体を調製できた。
実施例6
DE19±1の市販デキストリン150mg、色素アスタキサンチン25mgおよび蒸留水5mLを沸騰水浴中で振盪混合することにより脂溶体を調製できた。なお、僅かに色素油層が浮遊していた。
実施例7
実施例6における蒸留水5mLの代わりに蒸留水4mLとエタノール1mLを用いたところ、色素油層浮遊のない脂溶体を調製することができた。
実施例8
実施例1で得た脂溶体を常法により凍結乾燥して赤色粉末を得た。
実施例9
実施例7で得た脂溶体2リットルを常法により噴霧乾燥して赤色粉末を得た。
実施例10
澱粉としてハイアミロースコーンスターチを用い、10mL容のバイアルに150mgを入れ、これに水4mLと色素アスタキサンチンのエタノール溶液(色素25mg/mL含有)1mLを加えて、沸騰水浴中で溶解、混合した後、放冷して固溶体を調製した。
実施例11
澱粉として馬鈴薯澱粉を用い、10mL容のバイアルに150mgを入れ、さらに0.2M酢酸緩衝液(pH5.0)4mLと色素アスタキサンチンのエタノール溶液(色素25mg/mL含有)1mLを加えて、沸騰水浴中で溶解した。その後、50℃程度まで放冷してから、CGTase濃度1.5THU、またはα−アミラーゼ濃度3U/g澱粉(糊精化力測定天野法)を加え、pH5.0、温度45℃、12時間の条件で反応させた。その後、オートクレーブで120℃、10分間処理してから放冷し、固溶体を得た。
実施例12
実施例4で調製した脂溶体に、苛性ソーダを用いてpH5.0に調整した1Mクエン酸溶液1mLを加えて固溶体を調製した。なお、クエン酸の代わりに食塩またはグリシンを0.5M濃度に加えたとき、並びにミルクカゼインを3%加えたときも同様に固溶体が形成された。
実施例13
澱粉としてハイアミロースコーンスターチを用い、10mL容のバイアルに150mgを入れ、0.1N 苛性ソーダ4 mLを加えて溶解し、これに色素アスタキサンチンのエタノール溶液(色素25mg/mL含有)1mLを加えて混合した後、1N 塩酸で中和して固溶体を調製した。
セルロース、キチンも同様に各微粉末150mgを1N苛性ソーダで一昼夜室温で攪拌処理し、可溶化した部分を遠心分離して、色素アスタキサンチンのエタノール溶液(色素25mg/mL含有)1mLを加えて混合、均一に混合した後、5N塩酸で中和して糖質−カロテノイド系色素固溶体を調製した。なお、アルカリ処理では完全に可溶化せず、コロイド状になるが、この状態でも、カロテノイド系色素を加え、均一に混合した後、5N塩酸で中和して糖質−カロテノイド系色素固溶体が調製できる。
本発明により、水不溶性のカロテノイド系色素の物性を改善して脂溶体および/または固溶体を形成することができる。そのため、当該色素を染料、食品着色剤などとして簡便に、かつ有効に利用することができる。

Claims (18)

  1. カロテノイド系色素を溶解および/または均一分散させ、脂溶体を得るにあたり、糖質として、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、モチトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、粳米澱粉および糯米澱粉の中の1種もしくは2種以上を用いることを特徴とする糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法。
  2. 糖質として、請求項1に記載の澱粉をサイクロデキストリン合成酵素またはα−アミラーゼで部分加水分解して得られる部分分解糖質および/または該澱粉の酸部分分解糖質を用いることを特徴とする請求項1記載の糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法。
  3. 酸部分分解糖質がDE15〜40のものである請求項2記載の方法。
  4. カロテノイド系色素を溶解および/または均一分散させ、脂溶体を得るにあたり、糖質としての請求項1記載の澱粉とカロテノイド系色素の混合物に、サイクロデキストリン合成酵素またはα−アミラーゼを添加して低部分加水分解反応を行うことを特徴とする糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法。
  5. 低部分加水分解反応を、サイクロデキストリン合成酵素を用いて、酵素濃度0.4〜1.0THU/g澱粉、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間2〜24時間の条件で行うことを特徴とする請求項4記載の糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法。
  6. 低部分加水分解反応を、α−アミラーゼを用いて、酵素濃度3.35〜6.7U/g澱粉(糊精化力測定天野法)、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間2〜24時間の条件で行うことを特徴とする請求項4記載の糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法。
  7. カロテノイド系色素として、該色素を5〜25%エタノール溶液に溶解および/または均一分散したものを用いて、請求項1または2記載の方法により糖質−カロテノイド系色素脂溶体を製造する方法。
  8. 請求項1、2または7記載の方法で調製した糖質−カロテノイド系色素脂溶体を、乾燥処理して得た糖質−カロテノイド系色素混合体乾燥物もしくはその粉末。
  9. 乾燥処理が、噴霧乾燥、流動層乾燥または凍結乾燥である請求項8記載の乾燥物もしくはその粉末。
  10. カロテノイド系色素が、アナトー色素、パプリカ色素、クチナシ黄色素、カロチン色素、ビキシン、ノルビキシン、カプサンチン、クロシン、クロセチン、リコペン、β−カロチン、ルティン、ビオラキサンチンおよびアスタキサンチンの中のいずれかである請求項1、2または7記載の方法。
  11. 糖質−カロテノイド系色素固溶体を得るにあたり、糖質としてハイアミロースコーンスターチを用いることを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法。
  12. 糖質として、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉および粳米澱粉の中の1種もしくは2種以上を用い、カロテノイド系色素と混合、溶解および/または均一分散させ、サイクロデキストリン合成酵素またはα−アミラーゼを添加して高部分加水分解反応を行うことを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法。
  13. 高部分加水分解条件を、サイクロデキストリン合成酵素を用いて、酵素濃度1.0〜10THU/g澱粉、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間12〜24時間の条件で行うことを特徴とする請求項12記載の糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法。
  14. 高部分加水分解条件を、α−アミラーゼを用いて、酵素濃度6.7〜20U/g澱粉(糊精化力測定天野法)、反応pH5.0〜6.5、反応温度35〜65℃、反応時間12〜24時間の条件で行うことを特徴とする請求項12記載の糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法。
  15. 糖質として、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉および粳米澱粉の中の1種もしくは2種以上を用い、該糖質とカロテノイド系色素を5〜25%エタノール溶液に混合、溶解および/または均一分散し、サイクロデキストリン合成酵素またはα−アミラーゼで高部分加水分解することを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法。
  16. 請求項1、2または7記載の方法で調製した糖質−カロテノイド系色素溶液および/または均一分散液に、食塩、酢酸−苛性ソーダ、有機酸(酢酸を除く)−苛性ソーダ、アミノ酸およびタンパク質の中の少なくとも1種の物質を加えることを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法。
  17. 澱粉加水分解物とカロテノイド系色素を5〜25%エタノール溶液に混合、溶解および/または均一分散させたものに、食塩、酢酸−苛性ソーダ、有機酸(酢酸を除く)−苛性ソーダ、アミノ酸およびタンパク質の中の少なくとも1種の物質を加えることを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法。
  18. ハイアミロースコーンスターチ、セルロース、キチンをアルカリで可溶化した後、カロテノイド系色素を加え、均一に混合した後中和することを特徴とする糖質−カロテノイド系色素固溶体の製造方法。
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