JP2005239150A - 車両間の連絡用蛇腹の床 - Google Patents
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Abstract
【課題】2台の車両を連結する床であって、カーブを曲がる際には両車両の相対的変位に追従することを可能とするとともに、乗客がその床の上面を歩くことにより両車両間を移動することを可能とするための横方向の起伏を有し、それら起伏が横方向に伸びる金属製ブレードによって補強され、各対の金属製ブレード間にエラストマ補強構造部が設けられる床の耐久性を向上させる。
【解決手段】各エラストマ製補強部の横方向の寸法を2L0とし、各エラストマ製補強部を少なくとも1つのエラストマ片30から成るものとする。床の前後方向の端12、14に隣接する少なくとも1対の金属製ブレード15の間のエラストマ製補強部を、前後方向に平行な面である床の前後方向対称面から離隔した少なくとも2つのエラストマ片30から成るものとする。
※※【選択図】 図3a
【解決手段】各エラストマ製補強部の横方向の寸法を2L0とし、各エラストマ製補強部を少なくとも1つのエラストマ片30から成るものとする。床の前後方向の端12、14に隣接する少なくとも1対の金属製ブレード15の間のエラストマ製補強部を、前後方向に平行な面である床の前後方向対称面から離隔した少なくとも2つのエラストマ片30から成るものとする。
※※【選択図】 図3a
Description
本発明は、2台の車両間の連絡通路用蛇腹のために設計された、変形能を有する床に関する。それらの車両としては、特に、地下鉄電車、路面電車等の鉄道車両や、連結バス等の連結車両がある。
上記の床は、例えば、1988年2月16日にウッチンソン(Hutchinson)から出願されたヨーロッパ特許第860305に開示されている。
上記床は、金属製ブレードによって補強された横方向の起伏を有し、その床の底部は、通路部を構成する床の中心部においてそれら金属製補強ブレード間にエラストマ補強部が配設されることにより、補強されている。床またはそれを覆うマットの上面は、通路部において平坦であり、踏み板部が浮き彫り形成されている。
上記金属製ブレード間の隙間に配設されたエラストマ補強部の幅は、床の中央において最小であり、支持体の組み付け後、2台の車両のそれぞれの車体に固定される床の前後方向両端に接近するに従って徐々に増大する。
しかし、上記従来のエラストマ補強部には、急なカーブとそれに続く逆向きの戻りのカーブに対応して、2台の車両がそれぞれの前後方向軸をほぼ平行に保ちつつ、合計回転角αMの扇状展開を伴って横方向にずれるという位置関係で移動している場合に、変移の分布を最適化することができないという問題がある。
本発明は、上記の問題を少なくとも部分的に解消することができる連絡用蛇腹の床を提供する。
本発明は、直線走行している間は前後方向に移動する2台の車両の間の連絡用蛇腹のための、変形能を有する床であって、両車両がカーブを曲がる際のそれらの相対的変位に対する床の追従を可能にすると共に乗客が床の上面を歩くことにより両車両間の移動を可能にするための横方向の起伏を有し、それら横方向の起伏が床の横方向に伸びる複数の金属製ブレードによって補強されており、かつ、それら金属製ブレードの各対の間にエラストマ補強部が介装されている床において、前記エラストマ補強部を、ほぼ同じ横方向寸法2L0を有し、かつ、各々が少なくとも1つのエラストマ片から成り、床の前記前後方向の端に隣接する少なくとも1対の金属製ブレードの間に介装されたエラストマ補強部が、前記前後方向に平行な面である床の前後方向対称面から離隔した少なくとも2つのエラストマ片から成るものとしたことを特徴とする。
本発明に係る床においては、前記少なくとも1対の金属製ブレードの間に介装されたエラストマ補強部を構成するエラストマ片の数が2とされ、それら2つのエラストマ片が同じ横方向寸法L0を有するものとされ、かつ、前後方向対称面に関して互いに対称に設けられることが望ましい。
また、床の横方向に伸びる中央面の各側にn個のエラストマ補強部が設けられ、ランク1が前記中央面に隣接するエラストマ補強部を示し、ランクnが床の前記前後方向端に隣接するエラストマ補強部を示す場合に、ランクiがn−pからnまでの範囲に属するエラストマ補強部は各々が少なくとも2つのエラストマ片から成り、ランクiがn−pからnまでの範囲に属するエラストマ補強部は、前後方向対称面(XX’)からの距離dがランクiの増加関数であるエラストマ片から成るものとされることが望ましい。
前記エラストマ補強部の各々が1対の金属部材の間に介装され、それら金属部材が金属製ブレードにそれぞれ取り付けられ、それら金属部材と前記エラストマ補強部とによって少なくとも1つの取り外し可能な構造体が形成されるようにすることができる。
また、床の横方向に伸びる中央面の各側にn個のエラストマ補強部が設けられ、ランク1が前記中央面に隣接するエラストマ補強部を示し、ランクnが床の前記前後方向端に隣接するエラストマ補強部を示す場合に、ランクiがn−pからnまでの範囲に属するエラストマ補強部は各々が少なくとも2つのエラストマ片から成り、ランクiがn−pからnまでの範囲に属するエラストマ補強部は、前後方向対称面(XX’)からの距離dがランクiの増加関数であるエラストマ片から成るものとされることが望ましい。
前記エラストマ補強部の各々が1対の金属部材の間に介装され、それら金属部材が金属製ブレードにそれぞれ取り付けられ、それら金属部材と前記エラストマ補強部とによって少なくとも1つの取り外し可能な構造体が形成されるようにすることができる。
本発明によれば、従来の床に比較して、横方向の剪断変形時における各金属製ブレードの回転角度と平行移動の大きさとの分布を均一化し、床の耐久性を向上させることが容易となる。
本発明の上記および他の特徴および利点は、本発明の実施例を示す添付の図面および以下の記載からより明確となる。
図1は、ヨーロッパ特許第860305号等によって開示された床を示している。この床は、成形(モールディング)により得られる固形のエラストマを含んでいる。この固形エラストマは、補強材としての金属製ブレード15により構成される横方向の複数の起伏(undulations)16を有する。起伏16は、床の中心部分において、エラストマ補強構造部10によって分断されている。エラストマ補強構造部10の幅Lは、中央部分11において最小であり、2台の車両のそれぞれの車体に固定される前後方向の両端12,14に接近するに従って徐々に増大する。
上記の床は2つのハーフ部分からなり、中央面20には中央リング22が設けられ、2つのハーフ部分のそれぞれの一方の端12,14が2台の車両のそれぞれの車体に固定されている。2つのハーフ部分は同じ構成を有し、それぞれの他方の端が中央リング22に固定されることにより、相互に直列に接続されている。
図2は、急なカーブとそれに続く逆向きの戻りのカーブに対応する位置関係において、2台の車両のそれぞれの車体の端、つまり、それらに固定された床の前後方向両端12,14がほぼ平行を保ちつつ横方向にずれることにより、合計回転角αMの扇状変形が生ずることを示している。この合計回転角αMを以下に説明する。
床を補強する補強構造部(エラストマ補強構造部10)は、エラストマ固体片から成る弾性変形可能部と金属製補強ブレード15との組み合わせからなる層構造である。
前後方向両端12、14の横方向のずれにより、水平面内に剪断現象が生ずる。 この剪断現象の効果は以下のものを含む。
− 金属製ブレード15を前後方向両端12,14に平行な床の横方向に平行移動させるようとする平行移動成分。
− 金属製ブレード15を、中央面20に関して対称に、互いに角度α1,α2,α3・・・だけ回転させようとする回転成分。
− 金属製ブレード15を前後方向両端12,14に平行な床の横方向に平行移動させるようとする平行移動成分。
− 金属製ブレード15を、中央面20に関して対称に、互いに角度α1,α2,α3・・・だけ回転させようとする回転成分。
金属製ブレード15に作用する回転成分は、前後方向両端12,14付近においてより大きく、床の横方向の対称軸を構成する中央面20付近においてほぼゼロである。
図1に示される従来の床には、上記横方向の平行移動の大きさが各金属製ブレード15について均一でないという問題がある。つまり、横方向の平行移動の大きさは中央部分1においてより大きく、その結果、より高レベルの剪断現象が中央部分11において発生し、そのため、床の耐久性が低下する。
図3aは、本発明の実施例としての床を示している。この床の横方向の両端部13は公知のように上方に向かって湾曲し、起伏130を有している。起伏130のピッチは、例えば、起伏16の整数倍である。横方向両端部13はそれぞれ、連絡通路の外周を規定する蛇腹部(図示せず)に固定されている。起伏16の中で、起伏130の谷部に対応する谷部を有する起伏161は、横方向に延長されて、起伏130に達している。
図3aに示すように、本発明においては補強部が連続的ではない。つまり、各補強部は、床の前後方向軸XX’に関して対称に配置されて同じ長さL0を有する少なくとも2つの補強ブロック30に分離されている。補強ブロック30はエラストマ製の固形ブロックであり、特許請求の範囲でいう「エラストマ片」の一例である。また、床の前後方向軸XX’は2台の車両が直進走行する際に移動する方向である。
図3bは図3aの実施例の変形例を示しており、床の中央部分に位置するいくつかの対の補強ブロックが一体化されて、長さ2L0の1つの補強ブロック31とされている。
回転応力が小さい中央面20から有意の距離だけ離れた位置から、回転応力が最大である前後方向両端12,14に接近するに従って徐々に、各対の補強ブロック30の前後方向軸XX’からの距離が増大し、その結果、ほぼX字状に配置される。
図3aの実施例においては、中央面20に隣接する2対のランク1の補強ブロック301,301’と、2対のランク2の補強ブロック302,302’とは、前後方向軸XX’から距離d0だけ離れており、3以上のランクの補強ブロック303,303’・・・307,307’は、前後方向軸XX’からそれぞれ距離d1,d2,d3,d4,d5だけ離れている。距離d1,d2,d3,d4,d5は何れも距離d0より大きく、ランク(dの添え字で示されている)が上がるに従って徐々に増大する。
補強ブロック30の合計幅および補強ブロック31の幅がすべて2L0で一定であることから、各金属製ブレード15に発生する平行移動成分が互いに等しくなる。従って、各金属製ブレード15の平行移動の大きさの分布は均一になる。
また、長さL0の補強ブロック30が、床の前後方向軸XX’を含む床の前後方向対称面から徐々にかつ互いに対称に離れていくことから、それら徐々に増大する間隔(d1,d2,d3,d4,d5)によって、各対の補強ブロック30が、2台の車両のそれぞれの車体の端に接近するに従って増大する回転成分を打ち消すためのトルクを徐々に増大させつつ発生させることが可能となり、その結果、各金属製ブレード15の回転角α1,α2,α3・・・の分布がより均一になる。また、回転角の分布が均一化される結果として、補強構造部ひいては床の耐久性が改善される。
このように、金属製ブレード15の回転角α1,α2,α3・・・が実質的に等しくなるように、補強ブロック30の間隔d1,d2,d3,d4,d5相互の関係を決定することができる。
実施例(直線的な腕を有するX形状)に対応する線形関係は一次的近似として適当である。
図4a,4b,4c,4dは、本発明の床の他の実施例を示している。この床の補強構造部は取り外し可能とされ、以下のような利点を有する。
補強ブロック30が、独立した構造体の一部とされているので、起伏16を分断する必要がなく、従って起伏16が連続性を有することができ、その結果、応力集中の源である起伏16と補強ブロック30の接続を避けることができるので、床の耐久性が向上する。
起伏16が補強ブロック30によって分断されることがないので、補強ブロック30を前後方向軸からより大きな距離だけ離隔させることが可能となり、その結果、各金属製ブレードの回転角を容易に最適化させることができる。
床を交換することなく、補強構造部のみを交換することができる。
床の製造がより簡易となり、特に鋳型がより簡易となる。
補強ブロック30が、独立した構造体の一部とされているので、起伏16を分断する必要がなく、従って起伏16が連続性を有することができ、その結果、応力集中の源である起伏16と補強ブロック30の接続を避けることができるので、床の耐久性が向上する。
起伏16が補強ブロック30によって分断されることがないので、補強ブロック30を前後方向軸からより大きな距離だけ離隔させることが可能となり、その結果、各金属製ブレードの回転角を容易に最適化させることができる。
床を交換することなく、補強構造部のみを交換することができる。
床の製造がより簡易となり、特に鋳型がより簡易となる。
図4bに詳細に示すように、取り外し可能な補強構造部ないし“梁(beam)”は、金属製の要素として例えば金属製ブレード40を含み、それらの間に長さL0の補強ブロック30が介装される。金属製ブレード40は、2つの部分401,402が横方向に並んで設けられてもよいし、中央部分に位置するいくつかの金属製ブレード40のように一体化されていてもよい。
図4cに示すように、各金属製ブレード40は、床の金属製ブレード15に取り付けられる。この取り付けは、一般的に、金属製ブレード15,40に形成された穴44,45にボルトを通しナットで締め付けることにより行う。そのために、金属製ブレード15は、床を構成するエラストマ体から突出する下部17を有しており、金属製ブレード15の残りの部分はそのエラストマ体に埋設される。
以上、本発明をその具体的態様について詳細に説明したが、本発明は当業者に自明な種々の変更を施した態様で実施するとができる。すなわち、上記実施例の記載は本発明の理解を容易にすることを目的とするものであって何ら限定的なものでないことが理解されるべきである。
10:エラストマ補強構造部 12,14:前後方向の両端 15:金属製ブレード 16:横方向の起伏 20:中央面 30:エラストマ片 40:金属製ブレード
Claims (7)
- 直線走行している間は前後方向に移動する2台の車両の間の連絡用蛇腹のための、変形能を有する床であって、両車両がカーブを曲がる際のそれらの相対的変位に対する床の追従を可能にすると共に乗客が床の上面を歩くことにより両車両間の移動を可能にするための横方向の起伏を有し、それら横方向の起伏が床の横方向に伸びる複数の金属製ブレードによって補強されており、かつ、それら金属製ブレードの各対の間にエラストマ補強部が介装されている床において、
前記エラストマ補強部がほぼ同じ横方向寸法2L0を有し、かつ、各々が少なくとも1つのエラストマ片(30)から成り、床の前記前後方向の端(12、14)に隣接する少なくとも1対の金属製ブレード(15)の間に介装されたエラストマ補強部が、前記前後方向に平行な面である床の前後方向対称面(XX’)から離隔した少なくとも2つのエラストマ片(307)から成ることを特徴とする床。 - 前記少なくとも1対の金属製ブレード(15)の間に介装されたエラストマ補強部を構成するエラストマ片(307)の数が2であり、それら2つのエラストマ片は同じ横方向寸法L0を有し、かつ、前記前後方向対称面に関して互いに対称に設けられている請求項1に記載の床。
- 床の横方向に伸びる中央面(20)の各側にn個のエラストマ補強部が設けられており、ランクiがn−pからnまでの範囲に属するエラストマ補強部は各々が少なくとも2つのエラストマ片(30n-p・・・30n-1,30n)から成り、ランク1は前記中央面(20)に隣接するエラストマ補強部を示し、ランクnは床の前記前後方向端(12,14)に隣接するエラストマ補強部を示し、ランクiがn−pからnまでの範囲に属する前記エラストマ補強部は、前記前後方向対称面(XX’)からの距離dがランクiの増加関数であるエラストマ片から成る請求項1または請求項2に記載の床。
- 前記増加関数が一次関数である請求項3に記載の床。
- ランクiが1からn−p−1までの範囲に属するエラストマ補強部は各々が1つの連続的エラストマ片、または、横方向に相互に離隔した1対のエラストマ片から成る請求項3または請求項4に記載の床。
- n=7かつp=4である請求項3または請求項5に記載の床。
- 前記エラストマ補強部の各々が1対の金属部材(40)の間に介装され、それら金属部材が前記金属製ブレード(15)にそれぞれ取り付けられ、それら金属部材と前記エラストマ補強部とによって少なくとも1つの取り外し可能な構造体が形成された請求項1から請求項6の何れかに記載の床。
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