JP2005238402A - 硬質皮膜被覆工具及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速・高能率切削が可能で、耐摩耗性に優れた硬質皮膜を被覆した、切削工具及びその製造方法を提供する。
【解決手段】超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、その上に、(Ti a ,Al b ,Mc )(C 1-d N d ) からなり、M は1種または2種以上の金属および半金属元素であり、Ti、Al、M それぞれの原子比a 、b 、c が、0.02≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b+c=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 となるようにした硬質皮膜Aを被覆した硬質皮膜被覆工具。
【選択図】なし
【解決手段】超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、その上に、(Ti a ,Al b ,Mc )(C 1-d N d ) からなり、M は1種または2種以上の金属および半金属元素であり、Ti、Al、M それぞれの原子比a 、b 、c が、0.02≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b+c=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 となるようにした硬質皮膜Aを被覆した硬質皮膜被覆工具。
【選択図】なし
Description
本発明は、切削工具の耐摩耗性を向上するための硬質皮膜工具及びその製造方法に関する。
従来、超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の耐摩耗性を向上させることを目的に、TiN やTiCN、TiAlN 等の硬質皮膜をコーティングすることが行われている。特に、TiとAlの複合窒化皮膜(以下、TiAlN と記す)が、優れた耐摩耗性を示すことから、前記チタンの窒化物や炭化物、炭窒化物等からなる皮膜に代わって高速切削や焼き入れ鋼等の高硬度材切削用の切削工具に適用されてきた。前記TiAlN 皮膜は、Alを添加することによって膜の硬度が上昇し、耐摩耗性が向上することが知られているが、特許文献1には、TiAlN を(Al x ,Ti1-x )N と表現した場合のAlの組成比x が0.7 以上で
ZnS 型の軟質AlN が析出していることが示されている。また特許文献1には「Al量(x) が0.75を越える場合は、硬質皮膜がAlN に近似してくる結果、皮膜の軟質化を招き、十分な硬度が得られなくなり、フランク摩耗を容易に引き起こす」ことが記述されている。更に同特許文献1の図3には、Al組成比と膜硬度の関係が示され、Al組成が 0.6を越えた付近から硬度が低下しているが、これはAl組成比x が 0.6〜0.7 の間で ZnS型の AlNが析出し始め、Alの組成比増加とともに ZnS型 AlNの析出が増加して、膜硬度が低下することを示唆している。更に特許文献1には、耐酸化性について、Al組成比x が0.56以上で酸化開始温度が800 ℃以上となり、前記x 値の増加に伴い酸化開始温度も上昇していく傾向が示されているが、硬度を考慮して規定しているAl組成比の上限:0.75においては 850℃程度である。また、特許文献2では TiAlNにCrを添加することで岩塩構造型 AlNの割合を増加させて硬度を高め、且つ耐酸化性も向上させることができると記載されているが、ここでのAl組成比の上限は 0.8にとどまっている。
ZnS 型の軟質AlN が析出していることが示されている。また特許文献1には「Al量(x) が0.75を越える場合は、硬質皮膜がAlN に近似してくる結果、皮膜の軟質化を招き、十分な硬度が得られなくなり、フランク摩耗を容易に引き起こす」ことが記述されている。更に同特許文献1の図3には、Al組成比と膜硬度の関係が示され、Al組成が 0.6を越えた付近から硬度が低下しているが、これはAl組成比x が 0.6〜0.7 の間で ZnS型の AlNが析出し始め、Alの組成比増加とともに ZnS型 AlNの析出が増加して、膜硬度が低下することを示唆している。更に特許文献1には、耐酸化性について、Al組成比x が0.56以上で酸化開始温度が800 ℃以上となり、前記x 値の増加に伴い酸化開始温度も上昇していく傾向が示されているが、硬度を考慮して規定しているAl組成比の上限:0.75においては 850℃程度である。また、特許文献2では TiAlNにCrを添加することで岩塩構造型 AlNの割合を増加させて硬度を高め、且つ耐酸化性も向上させることができると記載されているが、ここでのAl組成比の上限は 0.8にとどまっている。
即ち従来の方法では、Alの組成比を増加させて硬度を高めるにも限界があるため硬度と耐酸化性を同時に高めていくことができず、結果として耐摩耗性の向上にも限界があった。しかしながら、近年では、切削工具の使用条件としてより高速化・高能率化が要求されており、この様な切削工具を実現するため、更に優れた耐摩耗性を発揮する切削工具用複合硬質皮膜が求められている。
特許第 2644710号
特開2003-71610号公報
本発明の課題は、高速・高能率切削が可能で、耐摩耗性に優れた硬質皮膜を被覆した、切削工具及びその製造方法を提供することにある。
本発明の請求項1によると、超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、その上に、(Ti a ,Al b ,Mc )(C 1-d N d ) からなり、M は1種または2種以上の金属および半金属元素であり、Ti、Al、M それぞれの原子比a 、b 、c が、0.02≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b+c=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 となるようにした硬質皮膜Aを被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具によって上記した課題を解決した。
本発明の請求項2によると、超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、その上に、(Ti a ,Al b )(C 1-d N d ) からなり、Ti、Alのそれぞれの原子比a 、b が、0.05≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 の組成となるようにした硬質皮膜Cを被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具によって上記した課題を解決した。
本発明の請求項2によると、超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、その上に、(Ti a ,Al b )(C 1-d N d ) からなり、Ti、Alのそれぞれの原子比a 、b が、0.05≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 の組成となるようにした硬質皮膜Cを被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具によって上記した課題を解決した。
上記した本発明の請求項1又は請求項2の発明により、より高速・高能率切削が可能で耐摩耗性に優れ、特に超硬合金を基材としたホブ又はブローチによる高硬度材の薄切りに最適な硬質皮膜被覆工具を提供するものとなった。
好ましくは、前記硬質皮膜Aの元素M が B、Si、Cr又はNiであることが好ましい。
さらに好ましくは、前記硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が 0.2μm 以上2μm以下であるか、又は前記硬質皮膜Bの膜厚が0.05μm以上 1.0μm以下であることがより好ましい。硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が0.2 μm 未満、又は硬質皮膜Bの膜厚が0.05μm未満では切削における耐摩耗性の効果が期待できず、硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が2μmを越え、又は硬質皮膜Bの膜厚が 1.0μmを越えると、セラミック硬質膜層での微少チッピングが発生しやすくなるためこれら範囲に限定した。
さらに好ましくは、前記硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が 0.2μm 以上2μm以下であるか、又は前記硬質皮膜Bの膜厚が0.05μm以上 1.0μm以下であることがより好ましい。硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が0.2 μm 未満、又は硬質皮膜Bの膜厚が0.05μm未満では切削における耐摩耗性の効果が期待できず、硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が2μmを越え、又は硬質皮膜Bの膜厚が 1.0μmを越えると、セラミック硬質膜層での微少チッピングが発生しやすくなるためこれら範囲に限定した。
本発明者らは、従来の方法では、Alの組成比を増加させて硬度を高めるにも限界があるため硬度と耐酸化性を同時に高めていくことができず、結果として耐摩耗性の向上にも限界があったが、より高速化・高能率化が要求されてきた状況の下で、より優れた耐摩耗性をもつ硬質皮膜被覆工具の実現を目指して鋭意研究を進めた。その結果、Al比率0.8 〜0.95%のTiAlMN膜又は TiAlN膜が1μm 以下と比較的薄い膜厚でも十分に耐酸化保護膜として機能することを見出し、また超硬合金を基材としたホブ又はブローチによる高硬度材の薄切りにおいては、膜厚を 0.2μm 以上2μm以下にすることが最良であることを見出した。その結果、膜厚0.05μm以上 1.0μm以下のTiCN膜上に膜厚 0.2μm 以上2μm以下の TiAlMCN又はTiAlN を成膜することにより、耐摩耗性に優れた硬質皮膜被覆工具を得るに至った。
即ち、第1の本発明を実施するための最良の形態の硬質皮膜被覆工具は、超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、その上に、(Ti a ,Al b ,Mc )(C 1-d N d ) からなり、M は1種または2種以上の金属および半金属元素であり、Ti、Al、M それぞれの原子比a 、b 、c が、0.02≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b+c=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 となるようにした硬質皮膜Aを被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具である。
第2の本発明を実施するための最良の形態の硬質皮膜被覆工具は、超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、その上に、(Ti a ,Al b )(C 1-d N d ) からなり、Ti、Alのそれぞれの原子比a 、b が、0.05≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 の組成となるようにした硬質皮膜Cを被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具である。
第2の本発明を実施するための最良の形態の硬質皮膜被覆工具は、超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、その上に、(Ti a ,Al b )(C 1-d N d ) からなり、Ti、Alのそれぞれの原子比a 、b が、0.05≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 の組成となるようにした硬質皮膜Cを被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具である。
本発明を実施するための最良の形態の硬質皮膜被覆工具の硬質皮膜形成方法は、成膜ガス雰囲気中でTi、Al、B 、Si、Cr又はNiを含む金属を蒸発させイオン化して、前記金属とともに成膜ガスのプラズマ化を促進しつつ、ホローカソード放電による電子ビームを用いてターゲットを構成する前記金属を蒸発およびイオン化して被処理体上に本発明で規定する皮膜を形成する溶融蒸発型イオンプレーティング法( 以下溶解法と略記する) において成膜することを好ましい形態とする。
尚、この場合に前記被処理体に印加するバイアス電位は、アース電位に対して-50V〜-300V とすることが好ましい。又成膜時の被処理体温度(以下、基板温度という)は 300℃以上で 800℃以下の範囲内とするのが望ましく、成膜時の反応ガスの分圧または全圧を好ましくは0.05Pa以上1Pa以下とすることが好ましい。
本発明における上記反応ガスとは、窒素ガス、メタンガス、エチレン、アセチレン、アンモニア、水素、またはこれら2種以上を混合させた皮膜の成分組成に必要な元素を含むガスをいい、これら以外に用いられるArなどの様な希ガス等をアシストガスといい、これらをあわせて成膜ガスということとする。
硬質皮膜Bと硬質皮膜A、又は硬質皮膜Aと硬質皮膜Cは、真空状態を保ったまま連続的に処理することが、時間的及びエネルギー効率上に効果がよく、さらに硬質皮膜Bと硬質皮膜A、又は硬質皮膜Bと硬質皮膜C、との界面での密着性の観点からも好ましい。このため本発明の硬質皮膜被覆工具を作成するためには、るつぼ交換機能、即ち真空雰囲気中で少なくとも2個以上のるつぼの第1のるつぼを使用して第1の原料を蒸発させた後で真空状態を保持したまま第2のるつぼに自動的に切替えて第2の原料を蒸発させることが可能な機能、を有する溶融蒸発型イオンプレーティング装置を用いることが好ましい。
尚、この場合に前記被処理体に印加するバイアス電位は、アース電位に対して-50V〜-300V とすることが好ましい。又成膜時の被処理体温度(以下、基板温度という)は 300℃以上で 800℃以下の範囲内とするのが望ましく、成膜時の反応ガスの分圧または全圧を好ましくは0.05Pa以上1Pa以下とすることが好ましい。
本発明における上記反応ガスとは、窒素ガス、メタンガス、エチレン、アセチレン、アンモニア、水素、またはこれら2種以上を混合させた皮膜の成分組成に必要な元素を含むガスをいい、これら以外に用いられるArなどの様な希ガス等をアシストガスといい、これらをあわせて成膜ガスということとする。
硬質皮膜Bと硬質皮膜A、又は硬質皮膜Aと硬質皮膜Cは、真空状態を保ったまま連続的に処理することが、時間的及びエネルギー効率上に効果がよく、さらに硬質皮膜Bと硬質皮膜A、又は硬質皮膜Bと硬質皮膜C、との界面での密着性の観点からも好ましい。このため本発明の硬質皮膜被覆工具を作成するためには、るつぼ交換機能、即ち真空雰囲気中で少なくとも2個以上のるつぼの第1のるつぼを使用して第1の原料を蒸発させた後で真空状態を保持したまま第2のるつぼに自動的に切替えて第2の原料を蒸発させることが可能な機能、を有する溶融蒸発型イオンプレーティング装置を用いることが好ましい。
るつぼ交換機能を有する溶融蒸発型イオンプレーティング装置により、真空雰囲気中でTi原料を設置してあるるつぼを用いて、超硬チップ上にTiCN皮膜を被覆した。次にTi70Al30at% の混合粉末30gをφ40の円筒型金型を用いて2GPaに成形した圧粉成形体を設置してあるるつぼに切り換えて、約0.1 Paのアルゴン窒素混合雰囲気中で、圧粉成形体上面のプラズマビーム径が10mm程度となるよう収束させた HCDガンを用いて溶融蒸発させ、TiAlN 皮膜を超硬チップ上にに成膜した。この時のプラズマ出力は 3000Wから 8000Wまで毎分500Wずつ上昇させた。
同様にTi60Al30B10at%、Ti60Al30Si10at% 、Ti60Al30Ni10at% 、Ti60Al30Cr10at% の圧粉整形体を用いて超硬チップ基材上にTiN+TiAlBN、TiN+TiAlSiN 、TiN+TiAlNiN 、TiN+TiAlCrN 皮膜を成膜した。またアセチレンガスを窒素に対し30%の割合で導入し、TiN+TiAlN 皮膜を成膜した。得られた硬質皮膜被覆超硬チップを用いて旋盤による切削試験をなった。切削試験の結果を表1に示す。なおこの旋盤による切削試験は、ブローチ加工におけるブローチの1刃を想定した。表1に示すように、本発明の硬質皮膜被覆超硬チップは比較品硬質皮膜被覆超硬チップより極めて少ない逃げ面摩耗値を示した。
(旋盤による切削試験の切削条件)
工具:超硬チップ:逃げ面コーテイングあり、すくい面コーテイングなし、
逃げ角:1°、すくい角:−10°
切削方法:旋盤切削
被削材:SKD61(硬さ53HRC)
切り込み:0.015mm/rev
切削速度:60m/min
切削長:227m、潤滑:セミドライ
同様にTi60Al30B10at%、Ti60Al30Si10at% 、Ti60Al30Ni10at% 、Ti60Al30Cr10at% の圧粉整形体を用いて超硬チップ基材上にTiN+TiAlBN、TiN+TiAlSiN 、TiN+TiAlNiN 、TiN+TiAlCrN 皮膜を成膜した。またアセチレンガスを窒素に対し30%の割合で導入し、TiN+TiAlN 皮膜を成膜した。得られた硬質皮膜被覆超硬チップを用いて旋盤による切削試験をなった。切削試験の結果を表1に示す。なおこの旋盤による切削試験は、ブローチ加工におけるブローチの1刃を想定した。表1に示すように、本発明の硬質皮膜被覆超硬チップは比較品硬質皮膜被覆超硬チップより極めて少ない逃げ面摩耗値を示した。
(旋盤による切削試験の切削条件)
工具:超硬チップ:逃げ面コーテイングあり、すくい面コーテイングなし、
逃げ角:1°、すくい角:−10°
切削方法:旋盤切削
被削材:SKD61(硬さ53HRC)
切り込み:0.015mm/rev
切削速度:60m/min
切削長:227m、潤滑:セミドライ
上記した本発明の請求項1又は請求項2の発明の最良の実施形態により、より高速・高能率切削が可能で耐摩耗性に優れ、特に超硬合金を基材としたホブ又はブローチによる高硬度材の薄切りに最適な硬質皮膜被覆工具を提供するものとなった。
好ましくは、前記硬質皮膜Aの元素M が B、Si、Cr又はNiであることが好ましい。
さらに好ましくは、前記硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が 0.2μm 以上2μm以下であるか、又は前記硬質皮膜Bの膜厚が0.05μm以上 1.0μm以下であることがより好ましい。硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が0.2 μm 未満、又は硬質皮膜Bの膜厚が0.05μm未満では切削における耐摩耗性の効果が期待できず、硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が2μmを越え、又は硬質皮膜Bの膜厚が 1.0μmを越えると、セラミック硬質膜層での微少チッピングが発生しやすくなるためこれら範囲に限定した。
さらに好ましくは、前記硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が 0.2μm 以上2μm以下であるか、又は前記硬質皮膜Bの膜厚が0.05μm以上 1.0μm以下であることがより好ましい。硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が0.2 μm 未満、又は硬質皮膜Bの膜厚が0.05μm未満では切削における耐摩耗性の効果が期待できず、硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が2μmを越え、又は硬質皮膜Bの膜厚が 1.0μmを越えると、セラミック硬質膜層での微少チッピングが発生しやすくなるためこれら範囲に限定した。
Claims (8)
- 超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、
その上に、(Ti a ,Al b ,Mc )(C 1-d N d ) からなり、M は1種または2種以上の金属および半金属元素であり、Ti、Al、M それぞれの原子比a 、b 、c が、0.02≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b+c=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 となるようにした硬質皮膜Aを被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具。 - 超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを被覆し、
その上に、(Ti a ,Al b )(C 1-d N d ) からなり、Ti、Alのそれぞれの原子比a 、b が、0.05≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 の組成となるようにした硬質皮膜Cを被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具。 - 前記 dの値が1である請求項1又は請求項2記載の硬質皮膜被覆工具。
- 前記硬質皮膜Aの元素M が B、Si、Cr又はNiである請求項1又は請求項3記載の硬質皮膜被覆工具。
- 前記硬質皮膜A又は前記硬質皮膜Cの膜厚が 0.2μm 以上2μm以下である請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の硬質皮膜被覆工具。
- 前記 eの値が1である請求項1乃至請求項5のいずれか1に記載の硬質皮膜被覆工具。
- 前記硬質皮膜Bの膜厚が0.05μm以上 1.0μm以下である請求項1乃至請求項6のいずれか1に記載の硬質皮膜被覆工具。
- 超硬合金、サーメット又は高速度工具鋼を基材とする切削工具の基材上に、るつぼ交換機能、即ち真空雰囲気中で少なくとも2個以上のるつぼの第1のるつぼを使用して第1の原料を蒸発させた後で真空状態を保持したまま第2のるつぼに自動的に切替えて第2の原料を蒸発させることが可能な機能、を有する溶融蒸発型イオンプレーティング装置を用い、前記第1のるつぼを用いて金属チタンを蒸発原料とし、溶融蒸発型イオンプレーティング法により、TiC1-eN e からなり、N の原子比e が 0.5≦ e≦1 である硬質皮膜Bを成膜する第1工程と、
真空状態を保持したまま自動的に第2のるつぼに切替えてアルミニウムを含む焼結体あるいは圧粉成型体を蒸発源にして同様に溶融蒸発型イオンプレーティング法により、(Ti a ,Al b ,Mc )(C 1-d N d ) からなり、M は1種または2種以上の金属および半金属元素であり、Ti、Al、M それぞれの原子比a 、b 、c が、0.02≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b+c=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 となるようにした硬質皮膜A、又は(Ti a ,Al b )(C 1-d N d ) からなり、Ti、Alのそれぞれの原子比a 、b が、0.05≦a ≦0.2 、0.8 ≦b ≦0.95、a+b=1 を満たし、かつN の原子比d が0.5 ≦d ≦1 の組成となるようにした硬質皮膜Cを成膜する第2工程とを連続して行うことを特徴とする複合硬質皮膜被覆工具の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014083638A (ja) * | 2012-10-24 | 2014-05-12 | Mitsubishi Materials Corp | 高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014083638A (ja) * | 2012-10-24 | 2014-05-12 | Mitsubishi Materials Corp | 高速断続切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 |
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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