JP2005238319A - 鋼の連続鋳造方法および連続鋳造装置 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法および連続鋳造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005238319A
JP2005238319A JP2004055177A JP2004055177A JP2005238319A JP 2005238319 A JP2005238319 A JP 2005238319A JP 2004055177 A JP2004055177 A JP 2004055177A JP 2004055177 A JP2004055177 A JP 2004055177A JP 2005238319 A JP2005238319 A JP 2005238319A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
magnetic field
molten steel
electromagnetic
frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004055177A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4595351B2 (ja
Inventor
Noriko Kubo
典子 久保
Atsushi Kubota
淳 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2004055177A priority Critical patent/JP4595351B2/ja
Publication of JP2005238319A publication Critical patent/JP2005238319A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4595351B2 publication Critical patent/JP4595351B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】複雑な制御を行うことなく、鋳造時鋳型内の溶鋼流動を適正に制御可能である鋼の連続鋳造方法および連続鋳造装置を提供すること。
【解決手段】長辺2aと短辺2bとを有する矩形状の鋳型2内に、浸漬ノズル3から溶鋼を注入する際に、鋳型2内の溶鋼に磁場を印加しつつ長辺2aに沿う鋳型幅方向に磁場を移動させて溶鋼の流動を制御する電磁流動制御装置10aにより溶鋼流動を制御する。この電磁流動制御装置10aは、鋳型幅方向の両側に配列された複数の電磁コイル1と、これら複数の電磁コイル1に給電する交流電源11と、電磁コイル1に供給される電流値を制御する電流値制御部12と、電磁コイルに供給される電流の周波数を制御する周波数制御部13とを有し、鋳型2内における溶鋼流動分布に応じて、印加磁場強度を制御するとともに、印加磁場の周波数を制御する。
【選択図】図7

Description

本発明は、浸漬ノズルを用いて溶鋼を鋳型に供給する鋼の連続鋳造において、溶鋼に移動磁場を印加することによって、流動を制御し、高品質鋳片を製造する技術に関する。
鋼の連続鋳造において、鋳型内溶鋼流動状態、特に溶鋼表面近傍の流動がモールドパウダーの巻き込みやノロかみに関係して、鋳片品質に影響することが知られている。欠陥のない鋳片を製造するために鋳型内の溶鋼流動制御技術は重要である。
従来から、鋳型内溶鋼に磁場を印加し、流動を適正化する方法が行われている。磁場の印加方法としては、例えば、鋳型の両長辺背面にコイルを対向して設置し、直流静磁場を印加する方法がある。特許文献1では鋳型の幅全体にわたる直流静磁場を印加し、その印加強度を鋳造速度、ノズル吐出孔角度、吐出孔面積、ノズル浸漬深さ、鋳型幅によって規定する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1のような静磁場を印加する方法は、静磁場が常に溶鋼流れに対して制動力として働くので、流れの停滞領域を効率的に活性化することができないといった問題がある。
特許文献2には、鋳型の長辺方向に移動磁界発生コイルを配置して、水平方向に旋回攪拌流を形成し、介在物を凝固シェルに補足させない方法が提案されている。この方法は、積極的に鋳型内溶鋼を攪拌して溶鋼に混在する介在物をスラブ表層に凝固させない方法であるが、攪拌によりパウダーなどを新たに混入させる危険もある。
これに対し、特許文献3には、リニア移動磁場型の移動磁場発生装置が開示されており、この装置では磁場が短辺からモールド中心の浸漬ノズルに向かって移動するようにしており、そのときの周波数は、吐出孔からの溶鋼流が磁場作用域を通過する間に、少なくともリニア移動磁界の作用を1周期以上受けるように設定しており、周波数の上限は、磁場の減衰(表皮効果)を考慮し、鋳型内部の溶鋼にも充分磁界の影響が届くように設定するとしている。特許文献4は、上記特許文献3を発展させ、磁束密度と周波数の両方を増減させて、適正流動が得られるとしている。
特許文献3、4では、溶鋼が吐出孔から鋳型短辺に向かってほぼ一定に流れることを想定して移動磁場を制御しているが、近年の広幅材の鋳造時には、幅方向で溶鋼流れが分布を持ち、期待する効果が見られないといった問題がある。
さらに、近時、静磁場と移動磁場を組み合わせる方法が提案されている(例えば特許文献5)。このようにいろいろな種類の磁場を組み合わせることにより、状況に応じた制御が可能になる。しかしながら、この技術では、制御ロジックが複雑になるうえ、設備の大型化、電力消費の増大などが懸念される。
特開平7−314100号公報 特公昭58−49172号公報 特開平5−23804号公報 特開平10−5945号公報 特開2003−164948号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、複雑な制御を行うことなく、鋳型の幅が広い場合等、従来では溶鋼流動の適正化が困難な場合であっても、鋳造時鋳型内の溶鋼流動を適正に制御可能である鋼の連続鋳造方法および装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、鋳型幅方向中央に設けられた浸漬ノズルを介して長辺と短辺とを有する矩形状の鋳型内に溶鋼を供給しつつ、磁場の移動方向が前記長辺に沿う鋳型幅方向である移動磁場を前記鋳型内の溶鋼に印加する電磁流動制御装置により鋳型内の溶鋼の流動を制御して鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、前記鋳型内における溶鋼流動分布に応じて、前記電磁流動制御装置から印加される印加磁場強度と印加磁場の周波数の両方を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造方法を提供する。
また、本発明は、鋳型幅方向中央に設けられた浸漬ノズルを介して長辺と短辺とを有する矩形状の鋳型内に溶鋼を供給しつつ、磁場の移動方向が前記長辺に沿う鋳型幅方向である移動磁場を前記鋳型内の溶鋼に印加する電磁流動制御装置により鋳型内の溶鋼の流動を制御して鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、
前記鋳型内における前記鋳型幅方向の溶鋼流速がその平均速度よりも速い部分では減速するように、その平均速度よりも遅い部分では加速するように、前記電磁流動制御装置から印加される印加磁場強度と印加磁場の周波数の両方を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造方法を提供する。
さらに、本発明は、長辺と短辺とを有する矩形状の鋳型と、前記鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルと、前記鋳型内の溶鋼に磁場を印加しつつ前記長辺に沿う鋳型幅方向に磁場を移動させて溶鋼の流動を制御する電磁流動制御装置とを具備し、前記電磁流動制御装置は、前記鋳型幅方向の両側に配列された複数の電磁コイルと、これら複数の電磁コイルに給電する交流電源と、前記電磁コイルに供給される電流値を制御する電流値制御部と、前記電磁コイルに供給される電流の周波数を制御する周波数制御部とを有し、前記鋳型内における溶鋼流動分布に応じて、前記電流値制御部により電流値を制御して電磁流動制御装置から印加される印加磁場強度を制御するとともに、前記周波数制御部により前記電流の周波数を制御して前記電磁コイルから印加される印加磁場の周波数を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造装置を提供する。
さらにまた、本発明は、長辺と短辺とを有する矩形状の鋳型と、前記鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルと、前記鋳型内の溶鋼に磁場を印加しつつ前記長辺に沿う鋳型幅方向に磁場を移動させて溶鋼の流動を制御する電磁流動制御装置とを具備し、前記電磁流動制御装置は、前記鋳型幅方向の両側に配列された複数の電磁コイルと、これら複数の電磁コイルに給電する交流電源と、前記電磁コイルに供給される電流値を制御する電流値制御部と、前記電磁コイルに供給される電流の周波数を制御する周波数制御部とを有し、前記鋳型内における前記鋳型幅方向の溶鋼流速がその平均速度よりも速い部分では減速するように、その平均速度よりも遅い部分では加速するように、前記電流値制御部により電流値を制御して電磁流動制御装置から印加される印加磁場強度を制御するとともに、前記周波数制御部により前記電流の周波数を制御して前記電磁コイルから印加される印加磁場の周波数を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造装置を提供する。
本発明において、前記鋳型内における前記鋳型幅方向の溶鋼流速がその平均速度よりも速い部分の具体例として浸漬ノズル近傍を挙げることができ、その平均速度よりも遅い部分の具体例として鋳型短辺近傍を挙げることができる。
本発明によれば、鋳型内における溶鋼流動分布に応じて、具体的には、鋳型内における前記鋳型幅方向の溶鋼流速がその平均速度よりも速い部分、例えば浸漬ノズル近傍では減速するように、その平均速度よりも遅い部分、例えば鋳型短辺近傍では加速するように、電磁流動制御装置からの印加磁場の周波数と印加磁場強度の両方を制御するので、周波数により磁場の移動速度を調整して、流動を制御する領域や活性化させる領域を選択的に調整しつつ、印加磁場強度により溶鋼流動の抑制および活性化の強さを調整するので、鋳型内の溶鋼流動分布によらず溶鋼流動を適切に制御することが可能となる。したがって、鋳型の幅が広い場合等、従来では溶鋼流動の適正化が困難な場合であっても、鋳型内の溶鋼流動を適正に制御することが可能となり、高品質の鋳片を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、図1を参照して、鋼の連続鋳造において溶鋼流動制御に用いられる、溶鋼に印加される磁場が鋳型の長辺に沿う方向(鋳型幅方向)に移動するタイプの電磁流動制御装置およびその溶鋼流動制御メカニズムの概略について説明する。なお、以下の説明における各式において示す物理量の添え字X、Y、Zは、図1のX方向、Y方向、Z方向のものであることを示す。
図1に示すように、一般的にこのタイプの電磁流動制御装置10は、長辺2aおよび短辺2bを有する矩形状の鋳型2において、浸漬ノズル3から吐出流が吐出される位置に配置されており、複数の電磁コイル1が矩形状の鋳型2の長辺2aに沿って(幅方向に)並んで設置されており、隣り合うコイルに流す電流の位相をずらすことにより、いわゆるリニアタイプの移動磁場を発生させている。なお、浸漬ノズル3は、鋳型2の長辺2aに沿う鋳型幅方向中央に設けられている。
その磁場の移動速度は、コイル1のポールピッチ(S極からN極までの距離)τと電磁コイル1から発生する磁場の周波数fで以下の(1)式のように表現することができる。なお、以下の式において、各物理量の添え字X、Y、Zは、図1のX方向、Y方向、Z方向のものであることを示す。
=2τf (1)
また、図1に示すように印加磁場Bは、鋳型2を短辺方向に貫く方向に印加され、したがって、ローレンツの法則より、誘導電流は以下の(2)式のように表現することができる。
=σV (2)
さらに、電磁力は以下の(3)式で表現することができ、主に磁場の移動方向と同じ向きに電磁力が働くことが示される。
=J=2τσfB (3)
しかし実際には、鋳型内では溶鋼流速uがあるので,磁場の実効移動速度としては,溶鋼流速との相対速度を考えるべきであり、より正確には上記(3)式は、以下の(4)式に書き換えられる。
=J=σ(V−u)B =σ(2τf−u)B (4)
このような電磁流動制御装置10においては、鋳造速度が速く、鋳型2の中の溶鋼流動を抑制したい場合には、磁場を鋳型2の短辺2b側から浸漬ノズル3の方向に移動させ、吐出流を抑制(減速)するように作用させる。一方、鍋交換などの鋳造速度が遅い場合には、磁場を浸漬ノズル3側から短辺2bの方向に移動させ、浸漬ノズル3からの吐出流を加速し鋳型2内の溶鋼の流動を活性化し、熱供給の促進効果を発揮させることができる。あるいは、鋳型2の長辺2aの前面と後面で磁場移動方向を逆転させ、磁界が回転するように設定し、溶鋼の旋回による洗浄効果を得ることもできる。
従来から一般的に観察されている鋳型内の流動パターンの模式図を図2に示す。図2の(a)は鋳型の水平断面図であり、(b)は垂直断面図である。この場合には、溶鋼流速uはおおよそ幅方向に亘って一様で、上記(4)式は理解しやすく、吐出流4に対して、磁場を鋳型2の短辺2bから浸漬ノズル3に向かう方向に移動させることで所期の溶鋼流制動効果が得られる。なお、符号5はモールドパウダーであり、6は凝固シェルである。この場合の電磁流動制御装置の溶鋼流制動効果の作用イメージ図を図3に示す。この図に示すように位置によらず移動磁場により溶鋼流速が減速されている。
しかし、鋳造条件(鋳造幅、浸漬ノズルから溶鋼流に吹き込むアルゴンガス流量、鋳造速度)のバランスによっては、図4のような流動パターンも出現することがわかっている。図4の(a)は鋳型の水平断面図であり、(b)は垂直断面図である。特に、近年の生産性向上対策で実施される幅広の鋳型を用いて鋳造した場合にこのような流動パターンが観察されることが多い。このような場合には、浸漬ノズル3の近傍は溶鋼流速によるモールドパウダー5の削りこみや浮上ガスが湯面で弾けることによるモールドパウダー5の巻き込みを防止するために溶鋼の流動を抑制したいが、短辺2bの近傍は熱供給不足による未溶融パウダーの混入やノロかみなどを防止するために流動を活性化させたい。
この場合に、溶鋼の流動状態によって磁場の移動速度を適切に選ぶことができれば、すなわち溶鋼流速が速い部分では溶鋼流を抑制するように、遅い部分では溶鋼流を活性化させるようにできれば、鋳型内の溶鋼流動を適正に制御可能である。
このようなことを実現させるため、本実施形態では、電磁流動制御装置10から印加される印加磁場強度を制御することに加えて、印加磁場強度の周波数を制御する。すなわち、磁場による溶鋼流動の抑制の強さや、活性化させる強さを調整するには、印加磁場強度(すなわち磁束密度)Bの増減が必要であり、一方、上述の(1)式に示すように、磁場の移動速度Vは、印加磁場の周波数fに比例するから、この周波数fを変化させることにより磁場の移動速度を変えることができ、これにより溶鋼の流動状態によって磁場の移動速度を適切に選ぶことができる。
このような本実施形態の溶鋼流動制御を用いて図4の流動パターンを制御する制御イメージ図を図5に示す。印加磁場の周波数を制御して、磁場の移動速度を調整しつつ、印加磁場強度を制御して溶鋼流動の抑制の強さや、活性化させる強さを調整すれば、図5のように浸漬ノズル3の近傍での溶鋼の流動は減速し、鋳型2の短辺2b近傍での溶鋼の流動は加速させることが可能となる。制御後の流動パターンは図6のようになる。図6の(a)は鋳型の水平断面図であり、(b)は垂直断面図である。図6のように制御すれば、溶鋼流動4は全体に亘って一様の流動が形成され、湯面近傍に強い流動がないので、モールドパウダー5の巻き込みなどの危険がなく、かつ鋳型2の短辺2b近傍にも充分な溶鋼流動が生じて充分熱が供給されており、パウダーが未溶融のまま残っていたり、ノロかみなどが発生する危険性もない。
次に、このような制御を実現するための具体的な装置構成について説明する。図7は、電磁流動制御装置10aを含む連続鋳造装置を示す水平断面図である。上述したように、長辺2aおよび短辺2bを有する矩形状の鋳型2の中央に、浸漬ノズル3が配置されている。そして、図1において説明した電磁流動制御装置10と同様、電磁流動制御装置10aは、鋳型2の浸漬ノズル3から吐出流が吐出される位置に配置されており、複数の電磁コイル1が矩形状の鋳型2の2つの長辺2aに沿って(幅方向に)両側に並んで設置されており、隣り合うコイルに流す電流の位相をずらすことにより、いわゆるリニアタイプの移動磁場を発生させるようになっている。両側の複数の電磁コイル1は、それぞれヨーク7に取り付けられて一体化されている。一方側の電磁コイル1の数は12個であり、他方の側も同様に12個のコイルが配置されており、両側の各電磁コイルは対向して設けられている。なお、図中の矢印は、ある瞬間における磁場の向きを示している。
これら電磁コイル1には、3相交流電源11から隣り合う電磁コイル1の位相が120°ずれるように給電される。3相交流電源11から延びる配線の途中には、交流電流の電流値を制御する電流値制御部12と周波数を制御する周波数制御部13が設けられており、これらにより電磁コイル1に供給する交流電流の電流値および周波数が制御可能なようになっている。なお、電流値制御部12および周波数制御部13による電流値制御および周波数制御は操業条件に応じてオペレーターが操作するようにしてもよいし、操業条件を監視しながら自動的に行うようにしてもよい。また、電磁コイル1の配列数は12個に限らず、印加電流も隣接する電磁コイルで位相をずらすことができれば3相交流に限らず2相交流であってもよい。例えば、電磁コイルの配列数を10個にし、2相交流を用い、隣接する電磁コイルで90°位相をずらしたものを挙げることができる。
このように構成される連続鋳造装置においては、図示しない取鍋からタンディッシュに貯留された溶鋼が浸漬ノズル3から鋳型2内に注入される。その際の溶鋼流動を制御するに際し、電磁流動制御装置10aの電磁コイル1へ供給される電流の値を電流値制御部12により制御することにより、電磁コイル1により発生する印加磁場強度を制御することができる。また、周波数制御部13により電流の周波数を制御して電磁コイル1からの印加磁場の周波数を制御することにより磁場の移動速度を制御することができる。したがって、これらにより、上述したような適切な溶鋼流動制御を行うことができる。
[実施例1]
本発明の効果を確かめるために、スラブ連鋳機にてアルミキルド鋼の鋳造実験を行なった。鋳型厚み(短辺)は220mm、鋳型幅(長辺)は1900mm、スループット4ton/minである。浸漬ノズルとしては、底形状がプール型である2孔ノズルで吐出角度は下向き25度、ノズル内径Dは90mmφのものを用いた。ノズルからのアルゴンガスの吹き込み量は9NL/minであった。電磁コイルは、3相交流で給電されるリニア移動磁場型であり、長さは2100mmで鋳型長さを充分カバーするものであった。電磁コイルのポールピッチτは,0.28mとした。電磁コイルは、湯面から380mmの深さに中心が来るように設置した。
ここでは、まず周波数固定で磁場強度のみを変更して鋳造した。引き続き周波数と磁場強度の両方を変更して鋳造を行った。湯面の状態を検知するため、短辺から100mmとノズルから200mmの位置に熱電対を浸漬させ、温度を計測した。過去の知見により、熱電対の温度が高いほど溶鋼の流速値が高いことが知られている。
鋳型短辺側の熱電対温度と浸漬ノズル側の熱電対温度の推移を印加磁場の周波数と磁場強度とともに図8にプロットした。磁場を印加していない場合、鋳型短辺側の温度が低く、浸漬ノズル側の温度が高くなっており、図4に示されるように、吐出流が充分強く短辺に達していない状態と推定することができる。
このため、磁場がノズル側から短辺側に移動するモードに設定し、印加磁場の周波数を2Hzに設定し、電流値を制御して印加磁場強度を徐々に上げていった。これにより、図8に示すように、鋳型短辺側も浸漬ノズル側も温度が上昇し、溶鋼流が加速していると推定することができる。印加磁場強度が5×10−2T(500Gauss)程度で、鋳型短辺側および浸漬ノズル側の温度がほぼ同等になったが、その温度レベルは高く、流速の速い状態で均等したと推定することができる。
次に、印加磁場の周波数を1Hzに設定し、印加磁場強度を5×10−2T(500Gauss)程度から1×10−2T(100Gauss)程度まで徐々に下げていった。鋳型短辺側において、2Hzのときと同様に印加磁場強度が高いほど、温度が上昇(加速)したが、浸漬ノズル近傍では温度がほぼ一定で磁場印加の効果が見られなかった。
さらに印加磁場の周波数を0.5Hzにして、印加磁場強度を1×10−2T(100Gauss)程度から徐々に上昇させていった。鋳型短辺側では温度上昇(加速効果)となり、浸漬ノズル側では温度低下(減速効果)となり、印加磁場強度の上昇とともに両者の温度が近づき5×10−2T(500Gauss)程度でほぼ同等となった。このとき湯面温度は、中間レベルで安定しており、溶鋼流速は速すぎず、パウダー巻き込みの危険も小さいものと推定された。
手嶋ら:鉄と鋼,79(1993),p.576〜582によると、吐出流の軌跡およびその各位置での溶鋼の流速値を推定することができる。これを本鋳造実験に当てはめると、吐出流速の幅方向平均値は41cm/sとなる。吐出流は浸漬ノズル中心から300mm以内で平均流速より速いが、300mmより短辺側で平均流速より遅くなる。供給電流の周波数が2Hzのとき、磁場移動速度は1.12m/sであり、溶鋼吐出流より速いため鋳型全幅領域で加速効果があったと推定することができる。印加磁場の周波数1Hzのときには、磁場移動速度は0.56m/sであり、鋳型短辺側では加速効果が見られたが、浸漬ノズル近傍では磁場移動速度が浸漬ノズル近傍の溶鋼流速とほぼ同等で、これらの間の相対速度が小さく、発生電磁力が小さかったため、加速効果も減速効果も大きく働かなかったものと考えられる。周波数0.5Hzのときには、磁場移動速度は0.28m/sであり、磁場の移動速度が小さいため、図5のように浸漬ノズル近傍では相対速度が鋳型短辺から浸漬ノズルへ向かう方向になるため減速効果が得られたが、鋳型短辺近傍では加速効果が働いたものと考えられる。
鋳造後のスラブの欠陥発生率を調査した結果を図9に示す。ここで、スラブ欠陥発生率は、スラブ欠陥個数を連続鋳造装置の出側に設けられた光学的検査装置によりカウントし、スラブ単位面積当たりの不良率で評価した。この図から明らかなように、供給電流の周波数0.5Hzで印加磁場強度が4×10−2〜5×10−2T(400〜500Gauss)程度の時に欠陥発生率が低くなっていることが確認された。
以上より、印加磁場強度の変更だけでは制御できない溶鋼の流動が、印加磁場の周波数も同時に変更することによって適正化することができ、高品質スラブを製造することができることが確認された。
本発明によれば、鋳型内の溶鋼流動分布によらず溶鋼流動を適正化することが可能となるので、鋳型の幅が広い場合等、従来では溶鋼流動の適正化が困難な場合であっても、鋳型内の溶鋼流動を適正に制御可能となり、高品質の鋳片を製造することができる。
溶鋼に印加される磁場が鋳型の長辺に沿う方向(鋳型幅方向)に移動するタイプの電磁流動制御装置を示す概略構成図。 従来一般的に観測されている鋳型内の溶鋼流動パターンを示す水平断面図および垂直断面図。 図2で示す流動パターン時に従来の電磁流動制御を適用した場合の状態を示すイメージ図。 幅広の鋳型を用いて鋳造したときに観測されやすい鋳型内の溶鋼流動パターンを示す水平断面図および垂直断面図。 図4で示す流動パターン時に本発明の電磁流動制御を提供した場合の制御状態を示すイメージ図。 図4で示す流動パターン時に、図5に示す本発明の電磁流動制御を実施した後の流動パターンを示す水平断面図および垂直断面図。 本発明の一実施形態に係る連続鋳造装置を示す水平断面図。 電磁流動制御装置による印加磁場強度および印加磁場の周波数と、湯面近傍における鋳型短辺側温度および浸漬ノズル側温度との関係を示すグラフ。 電磁流動制御装置による印加磁場強度および印加磁場の周波数と、スラブの欠陥発生率との関係を示すグラフ。
符号の説明
1;電磁コイル
2;鋳型
2a;長辺
2b;短辺
3;浸漬ノズル
4;吐出流
5;モールドパウダー
6;凝固シェル
7;ヨーク
10,10a;電磁流動制御装置
11;3相交流電源
12;電流値制御部
13;周波数制御部

Claims (6)

  1. 鋳型幅方向中央に設けられた浸漬ノズルを介して長辺と短辺とを有する矩形状の鋳型内に溶鋼を供給しつつ、磁場の移動方向が前記長辺に沿う鋳型幅方向である移動磁場を前記鋳型内の溶鋼に印加する電磁流動制御装置により鋳型内の溶鋼の流動を制御して鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、
    前記鋳型内における溶鋼流動分布に応じて、前記電磁流動制御装置から印加される印加磁場強度と印加磁場の周波数の両方を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 鋳型幅方向中央に設けられた浸漬ノズルを介して長辺と短辺とを有する矩形状の鋳型内に溶鋼を供給しつつ、磁場の移動方向が前記長辺に沿う鋳型幅方向である移動磁場を前記鋳型内の溶鋼に印加する電磁流動制御装置により鋳型内の溶鋼の流動を制御して鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、
    前記鋳型内における前記鋳型幅方向の溶鋼流速がその平均速度よりも速い部分では減速するように、その平均速度よりも遅い部分では加速するように、前記電磁流動制御装置から印加される印加磁場強度と印加磁場の周波数の両方を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  3. 前記鋳型内における前記鋳型幅方向の溶鋼流速がその平均速度よりも速い部分が前記浸漬ノズル近傍であり、その平均速度よりも遅い部分が鋳型短辺近傍であることを特徴とする請求項2に記載の鋼の連続鋳造方法。
  4. 長辺と短辺とを有する矩形状の鋳型と、前記鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルと、前記鋳型内の溶鋼に磁場を印加しつつ前記長辺に沿う鋳型幅方向に磁場を移動させて溶鋼の流動を制御する電磁流動制御装置とを具備し、
    前記電磁流動制御装置は、前記鋳型幅方向の両側に配列された複数の電磁コイルと、これら複数の電磁コイルに給電する交流電源と、前記電磁コイルに供給される電流値を制御する電流値制御部と、前記電磁コイルに供給される電流の周波数を制御する周波数制御部とを有し、前記鋳型内における溶鋼流動分布に応じて、前記電流値制御部により電流値を制御して電磁流動制御装置から印加される印加磁場強度を制御するとともに、前記周波数制御部により前記電流の周波数を制御して前記電磁コイルから印加される印加磁場の周波数を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造装置。
  5. 長辺と短辺とを有する矩形状の鋳型と、前記鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルと、前記鋳型内の溶鋼に磁場を印加しつつ前記長辺に沿う鋳型幅方向に磁場を移動させて溶鋼の流動を制御する電磁流動制御装置とを具備し、
    前記電磁流動制御装置は、前記鋳型幅方向の両側に配列された複数の電磁コイルと、これら複数の電磁コイルに給電する交流電源と、前記電磁コイルに供給される電流値を制御する電流値制御部と、前記電磁コイルに供給される電流の周波数を制御する周波数制御部とを有し、前記鋳型内における前記鋳型幅方向の溶鋼流速がその平均速度よりも速い部分では減速するように、その平均速度よりも遅い部分では加速するように、前記電流値制御部により電流値を制御して電磁流動制御装置から印加される印加磁場強度を制御するとともに、前記周波数制御部により前記電流の周波数を制御して前記電磁コイルから印加される印加磁場の周波数を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造装置。
  6. 前記鋳型内における前記鋳型幅方向の溶鋼流速がその平均速度よりも速い部分が前記浸漬ノズル近傍であり、その平均速度よりも遅い部分が鋳型短辺近傍であることを特徴とする請求項5に記載の鋼の連続鋳造装置。
JP2004055177A 2004-02-27 2004-02-27 鋼の連続鋳造方法 Expired - Lifetime JP4595351B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004055177A JP4595351B2 (ja) 2004-02-27 2004-02-27 鋼の連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004055177A JP4595351B2 (ja) 2004-02-27 2004-02-27 鋼の連続鋳造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005238319A true JP2005238319A (ja) 2005-09-08
JP4595351B2 JP4595351B2 (ja) 2010-12-08

Family

ID=35020599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004055177A Expired - Lifetime JP4595351B2 (ja) 2004-02-27 2004-02-27 鋼の連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4595351B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH105945A (ja) * 1996-06-27 1998-01-13 Nkk Corp 連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法
JPH1177265A (ja) * 1997-09-12 1999-03-23 Nkk Corp 連続鋳造鋳型内における溶鋼流動制御方法
JP2003320440A (ja) * 2002-03-01 2003-11-11 Jfe Steel Kk 鋳型内溶鋼の流動制御方法及び流動制御装置並びに連続鋳造鋳片の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH105945A (ja) * 1996-06-27 1998-01-13 Nkk Corp 連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法
JPH1177265A (ja) * 1997-09-12 1999-03-23 Nkk Corp 連続鋳造鋳型内における溶鋼流動制御方法
JP2003320440A (ja) * 2002-03-01 2003-11-11 Jfe Steel Kk 鋳型内溶鋼の流動制御方法及び流動制御装置並びに連続鋳造鋳片の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4595351B2 (ja) 2010-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101396734B1 (ko) 몰드안의 용융 강의 유동 제어 방법 및 장치
EP2500121A1 (en) Method of continuous casting of steel
JP2011121114A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP4865944B2 (ja) 電磁界を利用した連続鋳造において金属の流動を制御する方法と装置
JP4591156B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP4595351B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP2008055431A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP3593328B2 (ja) 溶鋼の鋳型内流動制御方法並びにそのための電磁場形成装置
JP4254576B2 (ja) 鋼の連続鋳造装置および連続鋳造方法
JP7151247B2 (ja) 薄スラブ連続鋳造の流動制御装置及び薄スラブの連続鋳造方法
JP4553639B2 (ja) 連続鋳造方法
JP5369808B2 (ja) 連続鋳造装置及び連続鋳造方法
JP2005230849A (ja) ツイン鋳型を用いた連続鋳造方法、ツイン鋳型用の電磁制動装置及び連続鋳造用鋳型
JP4345521B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP2008254050A (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法
JP5375242B2 (ja) 連続鋳造装置及び連続鋳造方法
JP2005238318A (ja) 鋼の連続鋳造装置および連続鋳造方法
JP4910357B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP4492333B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP5710448B2 (ja) 鋳造末期における鋳型内電磁撹拌装置の制御方法
JPH05237621A (ja) 連続鋳造方法
JP2006255759A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP5018144B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
RU2464123C1 (ru) Способ регулирования режима электромагнитного перемешивания жидкой фазы слитка в машине непрерывного литья слябов и устройство для его осуществления
JP2003275849A (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091022

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100311

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100518

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100713

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100824

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100906

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4595351

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250