JP2005235596A - ボタン形アルカリ電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池内における水素ガスの発生を抑制して、貯蔵特性が優れ、かつ耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池を提供する。
【解決手段】負極活物質として無水銀の亜鉛または亜鉛合金を用い、正極缶、負極端子板および環状ガスケットで形成される密閉空間内に、正極合剤1および負極剤3を含む発電要素を収容したボタン形アルカリ電池において、上記負極端子板5の負極剤と接する面に、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜7を形成し、かつカーボンブラックを0.05〜1質量%含有した耐アルカリ性の合成樹脂製で結晶化度が30〜50%の環状ガスケット6を用いてボタン形アルカリ電池を構成する。上記環状ガスケットに用いる耐アルカリ性の合成樹脂としてはナイロン66が好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、負極活物質として無水銀の亜鉛または亜鉛合金を用いるボタン形アルカリ電池およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、電池内における水素ガスの発生を抑制し、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れ、かつ耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池およびその製造方法に関するものである。
ボタン形アルカリ電池の貯蔵中におけるガス発生は2種類ある。そのうちの一方は負極活物質の亜鉛の腐食反応による水素のガス発生であり、もう一方は負極活物質の亜鉛と、負極端子板の負極剤と接する面の銅との局部電池反応による水素ガスの発生である。そのため、従来のボタン形アルカリ電池は、負極活物質として水銀でアマルガム化した亜鉛を用いており、水銀によって亜鉛の腐食反応を抑制していた。さらに、亜鉛の溶解・析出反応によって負極端子板の銅面に亜鉛メッキが形成され、亜鉛中の水銀が固相拡散により銅面に移行し、その結果、銅面には亜鉛−水銀の合金メッキが形成されて、水銀の高い水素過電圧と耐食性とによって前述した局部電池反応を抑制していた。
しかしながら、最近は、環境汚染防止の観点から、亜鉛の無水銀化が強く要請され、無水銀でも自己腐食の少ない亜鉛が製造されていて、筒形のアルカリ乾電池では既に無水銀化が達成されている。これに対して、ボタン形アルカリ電池では、無水銀の亜鉛粉末を使用すると、貯蔵により電池のふくれや容量劣化を引き起こすという問題があった。
その原因は次のように考えられる。無水銀亜鉛粉末の腐食反応は、無水銀亜鉛粉末にアルミニウム、ビスマス、インジウムなどの金属を添加することにより、無水銀亜鉛粉末の耐食性を高めることにより抑制できている。しかしながら、無水銀亜鉛粉末の溶解・析出反応によって負極端子板の銅面にメッキされるのは亜鉛のみである。したがって、銅面には純亜鉛としてしかメッキされない。純亜鉛は、アルカリ電解液に対して腐食されやすく、純亜鉛メッキが腐食反応を起こしてしまい、その結果、無水銀の亜鉛を負極活物質として用いたボタン形アルカリ電池では、腕時計や電子露出計などに使用する場合に要求されるような長寿命が得られない。
そこで、ボタン形アルカリ電池において、無水銀の亜鉛粉末を用いるにあたり、負極缶をニッケル、ステンレス鋼、銅および亜鉛の4層クラッド材で構成したり、負極缶内面の銅面にあらかじめ亜鉛メッキを施すことにより、電池内でのガスの発生を抑制し、貯蔵による電池の膨れや容量劣化を抑制することが提案されている。
特開平5−266881号公報
しかしながら、前記のように負極缶に4層クラッド材を用いることはコストを上昇させることになり、また、負極缶にあらかじめ亜鉛メッキを施すことは電池の製造にあたって工程が増えることになり、この場合もコストアップにつながるという問題があった。
前記のように、ボタン型アルカリ電池において無水銀化を達成するためには、亜鉛粉末からの水素ガスの発生だけでなく、水銀を用いずに、負極端子板の銅面からの水素ガスの発生を抑制することが重要である。
したがって、本発明は、無水銀の亜鉛を負極活物質として用いるボタン形アルカリ電池において、前記のような手段によることなく、負極端子板の銅面からの水素ガスの発生を抑制することを含め、電池内における水素ガスの発生を抑制して、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れているとともに、耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池を提供することを目的とする。
本発明は、負極活物質として無水銀の亜鉛または亜鉛合金を用い、正極缶、負極端子板および環状ガスケットで形成される密閉空間内に、正極合剤および負極剤を含む発電要素を収容するボタン形アルカリ電池において、負極端子板の負極剤と接する面に、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜を形成し、かつ前記環状ガスケットとして、カーボンブラックを0.05〜1質量%含有した耐アルカリ性の合成樹脂製で結晶化度が30〜50%のものを用いることによって、無水銀の亜鉛または亜鉛合金を含有する負極剤と接する負極端子板からの水素ガスの発生を効果的に抑制して、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れ、かつ耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池が得られるようにして、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、電池内における水素ガスの発生を抑制し、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れ、かつ耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池を提供することができる。
すなわち、上記インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金は、銅より水素過電圧が高く、かつ自己腐食が少ないので、このインジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金で負極端子板の負極剤と接する面を被覆することによって、無水銀の亜鉛または亜鉛合金を含有する負極剤と接する負極端子板からの水素ガスの発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明は、環状ガスケットとして、カーボンブラックを0.05〜1質量%含有した耐アルカリ性の合成樹脂製で結晶化が30〜50%のものを用いることによって、耐漏液性を高め、耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池が得られるようにしたものである。すなわち、本発明では、環状ガスケットの結晶化度を30〜50%に増加させることによって、環状ガスケットの吸水性を低下させ、かつカーボンブラックを環状ガスケットに0.05〜1質量%含有させることによって、結晶化度の増加に伴う環状ガスケットの変形を防止して、耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池が得られるようにしたのである。
したがって、本発明によれば、電池内における水素ガスの発生を抑制し、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れ、かつ耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池を提供することができる。
本発明においては、負極端子板の負極剤と接する面に、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜3質量%含む亜鉛合金被膜が形成されていることを要するが、このインジウムとビスマスはそれぞれ単独で亜鉛合金中に含まれていてもよいし、また、インジウムとビスマスが併存した状態で亜鉛合金中に含まれていてもよい。そして、本発明においては、上記亜鉛合金被膜に関して、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含んでいることを要するが、これは、インジウムおよび/またはビスマスの含有量が0.1質量%より少なくても、また、30質量%より多くても、負極端子板からの水素ガスの発生を充分に抑制することができないからであり、このインジウムおよび/またはビスマスの亜鉛合金中の含有量としては、0.1質量%以上の範囲内で、20質量%以下が好ましく、特に10質量%以下が好ましい。そして、本発明において、この亜鉛合金被膜における亜鉛合金という概念には、通常にいう亜鉛合金(すなわち、亜鉛に合金元素としてのインジウムおよび/またはビスマスが溶解しているもの)だけではなく、亜鉛の表面や粒界にインジウムやビスマスの状態で存在しているものも含んでいる。
負極端子板は、通常、負極剤と接する面は銅または黄銅などの銅合金で構成され、その本体部分はステンレス鋼で構成され、外面側、すなわち、負極剤と接する面と反対側の面はニッケルで構成される。この負極端子板において、負極剤と接する面を銅または銅合金で構成するのは、亜鉛との局部電池の形成を抑制するためであるが、本体部分をステンレス鋼で構成することや外面側をニッケルで構成することは必ずしも必要でなく、他の材料で構成してもよいし、負極剤と接する面も亜鉛と局部電池を形成しないものであれば、銅または銅合金でなくてもよい。
負極剤は、基本的には、無水銀の亜鉛または亜鉛合金からなる負極活物質に必要に応じて添加されるポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなどのゲル化剤を含み、これにアルカリ電解液を加えることによって構成されるが、前記負極端子板の負極剤と接する面を被覆するインジウムおよび/またはビスマスを含む被膜は、この負極剤にインジウムおよび/またはビスマス化合物を添加しておくことによって、電池内で形成することができる。すなわち、負極剤中に添加したインジウム化合物および/またはビスマス化合物がアルカリ電解液中に溶解し、そのインジウム化合物および/またはビスマス化合物中のインジウムおよび/またはビスマスを含んだ状態で亜鉛合金被膜が負極端子板の負極剤と接する面に形成される。ただし、上記インジウムおよび/またはビスマスを含む亜鉛合金被膜は、あらかじめ電池外で負極端子板の負極剤と接する面となる部分に形成しておいてもよい。
上記インジウム化合物としては、例えば、水酸化インジウム〔In(OH)3 〕、酸化インジウム(In2 3 )、塩化インジウム(InCl3 )などが好ましく、ビスマス化合物としては、例えば、水酸化ビスマス〔Bi(OH)3 〕、酸化ビスマス(Bi2 3)、塩化ビスマス(BiCl3 )などが好ましい。そして、このインジウム化合物および/またはビスマス化合物の負極剤への添加量としては、負極活物質の亜鉛または亜鉛合金に対して0.1質量%(亜鉛または亜鉛合金100質量部に対してインジウム化合物および/またはビスマス化合物が0.1質量部)以上が好ましく、その0.1質量%以上の範囲内で、5質量%以下が好ましく、特に3質量%以下が好ましい。そして、この負極端子板の負極剤と接する面に形成されるインジウムおよび/またはビスマスを含む亜鉛合金被膜は、上記形成方法からも明らかなように、通常のアルカリ電池において亜鉛の溶解・析出反応によって負極端子板の銅面に形成される亜鉛メッキの厚みと同等の薄いものでよく、また、その形成は電池を組み立てた時点でほぼ完成している。
アルカリ電池におけるアルカリ電解液は、基本的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物を水に溶解し、さらに酸化亜鉛を添加したものが用いられるが、本発明においては、このアルカリ電解液にインジウム化合物および/またはビスマス化合物を添加しておくと、前記負極剤に添加したインジウム化合物および/またはビスマス化合物からの負極端子板の負極剤と接する面へのインジウムおよび/またはビスマスを含む亜鉛合金被膜が形成しやすくなるので好ましい。このアルカリ電解液へのインジウム化合物の添加量は0.5〜200ppmが好ましく、ビスマス化合物の添加量は0.5〜1000ppmが好ましい。
上記のように、無水銀の亜鉛または亜鉛合金からなる負極活物質を用いたボタン形アルカリ電池においても、負極端子板の負極剤と接する面に、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜を形成することによって、貯蔵特性を大きく向上させることができるものの、本発明者らがさらに詳細に検討したところ、このボタン形アルカリ電池は、耐漏液性が充分でないことが判明した。
そこで、本発明者らは、耐漏液性の向上について検討を重ねた結果、環状ガスケットを改良することで、耐漏液性を向上させることができることを見出したのである。
一般に、電池の封口においては、正極缶の開口部に合成樹脂製の環状ガスケットを配設し、正極缶の開口部を内方へ締め付けて環状ガスケットを負極端子板に押し付けて正極缶−環状ガスケット−負極缶の接面を相互に密着させることによって、これらの接面からの電解液の漏出を防止している。また、耐漏液性を高めるために、負極端子板の形状を改良したり、環状ガスケットと正極缶との接面や環状ガスケットと負極缶との接面に液状パッキング材を介在させたり、機械的性質に優れたナイロン66の結晶化度を高めたりすることが提案されている。しかしながら、結晶化度が高くなると弾性が増加し吸水性が低下するものの、変形が生じて耐漏液性が不充分になる場合がある。
そこで、本発明者らは、さらに詳細に検討を重ねた結果、環状ガスケットにカーボンブラックを含有させることにより、環状ガスケットの結晶化度を高めても、環状ガスケットが変形するのを抑制することができることを見出し、それによって、環状ガスケットを吸水が少なく、かつ変形が少ないものとして、ボタン形アルカリ電池の耐漏液性を向上させたのである。
環状ガスケットの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン610などの耐アルカリ性の合成樹脂を用い得るが、特に機械的性質に優れたナイロン66が好ましい。
環状ガスケットに含有させるカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどが用いられる。これらのカーボンブラックは、ナイロン66などの耐アルカリ性の合成樹脂を溶融させて混合し耐アルカリ性の合成樹脂中に均一に分散させておくことが好ましい。耐アルカリ性の合成樹脂中におけるカーボンブラックの含有量は0.05〜1質量%であり、0.05質量%より少ない場合は環状ガスケットの変形を抑制する効果が充分に発現せず、また、1質量%より多い場合は環状ガスケットが脆くなる。
環状ガスケットの結晶化度は30〜50%であることが必要であるが、これは、環状ガスケットの結晶化度が30%より低い場合は耐漏液性が充分でなく、また、50%を超えるものは実質上得られがたいからである。
なお、本発明において結晶化度はすべて密度法により測定した値で示している。すなわち、試料の結晶化度をx、結晶質の密度をdc、非晶質の密度をda、試料の密度をdとするとき、結晶化度xは
x(%)=〔dc(d−da)〕/〔d(dc−da)〕×100
で表され、結晶質の密度dcおよび非晶質の密度daがそれぞれ標準試料あるいは文献より求められることから、試料の密度dを測定すれば結晶化度が求められるという原理に基づいている。
結晶化度を上昇させる方法としては、例えば、環状ガスケットを真空中または窒素、アルゴン、ヘリウム、水蒸気などの不活性気体中で熱処理し、加熱処理後、放置冷却により常温まで冷却する方法が採用される。そのようにして、環状ガスケットの結晶化度を増加させると、環状ガスケットの圧縮応力が増加し、かつ吸水性が減少し、吸水による圧縮応力の低下が抑制され、その結果、吸水による変形が抑制されて漏液の抑制に寄与するようになる。処理温度としては、耐アルカリ性の合成樹脂のガラス転移温度以上、融点以下であれば可能であるが、低温では結晶化速度が遅いため100℃以上が好ましい。
本発明のボタン形アルカリ電池においては、環状ガスケットと正極缶との接面およびガスケットと負極端子板の接面に液状パッキング材を介在させてそれらの接面により液密にしておいてもよい。すなわち、アスファルトピッチ、脂肪ポリアミド、フッ素系オイルなどの液状パッキング材を電池組立前の環状ガスケットに塗布するかあるいは環状ガスケットを液状パッキング材中に浸漬して環状ガスケットの表面に液状パッキングを膜状に存在させておいてから、その環状ガスケットを正極缶と負極端子板との間に配置し、正極缶の開口端部の内方への締め付けにより液状パッキング材を環状ガスケットと正極缶との接面および環状ガスケットと負極端子板との接面に介在させてそれらの接面の液密性を高めることができる。
次に、本発明のボタン形アルカリ電池の一例を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこの例示のもののみに限定されることはない。
図1は本発明のボタン形アルカリ電池の一例を概略的に示す部分断面図であり、図2は図1中の要部拡大図である。
図1は酸化第一銀、二酸化マンガン、酸化第二銀、水酸化ニッケルなどの正極活物質と、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛のような導電助剤との混合粉末を円板状に加圧成形することによって作製され、これにアルカリ電解液の一部を含浸させてなる正極合剤であり、2はこの正極合剤1と負極剤3との間に介在するセパレータであって、このセパレータ2は、例えば親水処理された微孔性ポリプロピレンフィルムとセロファンフィルムとビニロン−レーヨン混抄紙のような吸液層とを積み重ねたものである。3は無水銀の亜鉛からなる負極活物質と必要に応じて添加するポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなどのゲル化剤を含み、これにアルカリ電解液の大半量を注入してなる負極剤である。
4は正極合剤1およびセパレータ2を内填させた鉄製で表面にニッケルメッキを施した正極缶で、その開口部に負極剤3が内填された負極端子板5をナイロン66などの耐アルカリ性の合成樹脂製で断面L字状の環状ガスケット6を介装して嵌合させ、正極缶4の開口端部を内方に締め付けて環状ガスケット6を負極端子板5に当接させることによって封口し、電池内部を密閉構造にしている。つまり、このボタン形アルカリ電池では、正極缶4、負極端子板5および環状ガスケット6で形成される密閉空間内に、正極合剤1、負極剤3などを含む発電要素が収容されている。上記環状ガスケット6はカーボンブラックを0.05〜1質量%含有し、かつその結晶化度が30〜50%に高められている。
負極端子板5は、図2に示すように、ステンレス鋼板5aの外面側に美観ないし耐腐食性を満足させるニッケル層5bを設け、内面側、すなわち負極剤3と接する面に銅層5cを設けたものである。そして、この負極端子板5は、通常、ステンレス鋼板5a、ニッケル層5bおよび銅層5cからなるクラッド板を絞り加工することによって周辺折り返し部5Zを有する形状に作製されたものである。そして、上記負極端子板5の銅層5cの負極剤3と接する面に、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜10質量%含む亜鉛合金被膜7が形成されている。なお、このインジウムおよび/またはビスマスを含む亜鉛合金被膜7は、図面上での視認を容易にするために、厚く図示されているが、実際には、負極端子板5の厚みに比べてもっと薄いものである。
上記負極端子板5は、その銅層5cに代えて黄銅などの銅合金層を設けたものでもよい。また、図示していないが、負極端子板5の周辺折り返し部5Zおよびその近傍の銅層5cの表面で前記のインジウムおよび/またはビスマスを含む亜鉛合金被膜7の形成面以外の面にはベンゾトリアゾールなどのトリアゾール系化合物を主成分とする防錆被膜を設けて、耐漏液性を高めるようにしてもよい。
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に例示のもののみに限定されることはない。
実施例1
ニッケル層/ステンレス鋼(SUS−304)板/銅層からなるクラッド板をプレス機で打ち抜き、図1に示すような周辺折り返し部を有する形状に加工して、負極端子板を作製した。
正極活物質としては酸化第一銀を用い、正極合剤はこの酸化第一銀の粉末に導電助剤として鱗片状黒鉛を酸化第一銀に対して1.2質量%添加して混合した後、円板状に加圧成形して作製し、これにアルカリ電解液の一部を含浸させた。負極活物質としては無水銀亜鉛を用い、アルカリ電解液としては酸化亜鉛を1質量%溶解した35質量%水酸化カリウム水溶液を用い、負極剤としては負極活物質としての無水銀亜鉛に水酸化インジウムを亜鉛に対して1質量%添加し、さらにアルカリ電解液を加えて調製したものを用いた。
環状ガスケットは以下のように作製した。溶融したナイロン66にカーボンブラックとして平均粒径20μmのファーネスブラックを添加して混合し、このカーボンブラックを含有させたナイロン66を射出成形して断面L字状の環状ガスケットを作製した。この環状ガスケットの作製時の結晶化度は25%であった。つぎに、この環状ガスケットを真空中(0.1mmHgに減圧)110℃で1時間熱処理して結晶化度を増加させた。このときの環状ガスケット中のファーネスブラックの含有量は0.25質量%であり、結晶化度は32%であった。
上記正極合剤、負極剤、アルカリ電解液、環状ガスケットなどと、前記の負極端子板を用いて、図1〜2に示す構造で、外径6mm、厚さ2.6mmのボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例2
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムを亜鉛に対して0.1質量%添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例3
負極剤の調製にあたり、負極活物質の無水銀亜鉛に、水酸化ビスマスを亜鉛に対して1質量%添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例4
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化ビスマスを亜鉛に対して0.1質量%添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例5
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例6
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ0.1質量%ずつ添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例7
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に水酸化インジウムを200ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例8
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に水酸化インジウムを0.5ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例9
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に酸化ビスマスを500ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例10
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に水酸化ビスマスを0.5ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例11
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に水酸化インジウムを200ppmおよび水酸化ビスマスを500ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例12
環状ガスケット中のファーネスブラックの含有量を0.8質量%にし、熱処理条件を200℃で2時間として結晶化度を45%に増加させた環状ガスケットを用いた以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
比較例1
負極活物質として水銀を3質量%含有する亜鉛を用い、負極剤の調製にあたり、水酸化インジウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
比較例2
負極剤の調製にあたり、水酸化インジウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。つまり、この比較例2のボタン形アルカリ電池では、負極活物質として無水銀亜鉛を用い、負極剤およびアルカリ電解液のいずれにも水酸化インジウムや水酸化ビスマスなどを添加していない。
比較例3
環状ガスケット中にファーネスブラックを含有させず(つまり、ファーネスブラックの含有量が0質量%)、結晶化度が25%の環状ガスケットを用いた以外は実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
比較例4
負極剤の調製にあたり、水酸化インジウムを添加せず、環状ガスケット中にファーネスブラックを含有させず、結晶化度が25%の環状ガスケットを用いた以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
得られた実施例1〜12および比較例1〜4の電池について、60℃で40日間貯蔵後の容量保持率および60℃、相対湿度90%で30日間貯蔵した時の漏液発生率を調べた。その結果を表1に示す。
上記容量保持率は、貯蔵前の各電池10個ずつを20℃、15kΩで終止電圧1.2Vまで放電させて放電容量を測定し、また上記とは別の電池10個ずつを60℃で40日間貯蔵した後、20℃、15kΩで終止電圧1.2Vまで放電させて放電容量を測定し、貯蔵前の放電容量に対する貯蔵後の放電容量の割合を次式により求めたものである。
貯蔵後の放電容量
容量保持率(%)=────────────×100
貯蔵前の放電容量
また、漏液発生率は、各電池100個ずつを60℃、相対湿度90%の環境で30日間貯蔵した後の漏液の発生率を調べたものである。ただし、上記容量保持率および漏液発生率の表1への表示にあたっては、両者とも、実施例1の電池の容量保持率および漏液発生率を100としたときの指数で示す。なお、容量保持率は数値が大きいほど、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れていることを示しており、漏液発生率は数値が小さいほど、漏液の発生が少なく、耐漏液性が優れていることを示している。
また、表2には、実施例1〜12および比較例1〜4の電池において、負極活物質として用いた亜鉛中の水銀量ならびに実施例1〜12および比較例1〜4の電池の負極端子板の負極剤と接する面に形成された亜鉛合金被膜中におけるインジウム量、ビスマス量について示す。なお、上記負極端子板の負極剤と接する面に形成された亜鉛合金被膜中のインジウム量やビスマス量は、シーケンシャル型ICPS IPIS 1000(日本ジャーレル・アッシュ製)によって測定したものである。
表3には、実施例1〜12および比較例1〜4の電池における負極剤への添加剤種ならびに負極剤中の添加剤の亜鉛に対する添加量を示す。
さらに、表4には、実施例1〜12および比較例1〜4の電池におけるアルカリ電解液中への添加剤種ならびにアルカリ電解液中の添加剤の添加量を示す。
そして、表5には、実施例1〜12および比較例1〜4の電池において、用いた環状ガスケットのファーネスブラック含有量と結晶化度を示す。
Figure 2005235596
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表1に示すように、実施例1〜12の電池は、60℃で40日間貯蔵後の容量保持率が高く、貯蔵特性が優れ、かつ60℃、相対湿度90%で30日間貯蔵後の漏液発生率が低く、耐漏液性が優れていた。
すなわち、実施例1〜12の電池は、負極活物質として無水銀の亜鉛を用いているにもかかわらず、60℃で40日間貯蔵後の容量保持率が高く、負極活物質として水銀でアマルガム化した亜鉛を用いた比較例1の電池とほぼ同等の貯蔵特性を有し、負極活物質として無水銀の亜鉛を用いた比較例2の電池に比べて、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れていた。
また、実施例1〜12の電池は、環状ガスケットにカーボンブラックを含有させ、結晶化度を増加させたことによって、比較例3〜4の電池に比べて、耐漏液性が優れていた。
本発明のボタン形アルカリ電池の一例を示す部分断面図である。 図1中の要部拡大図である。
符号の説明
1: 正極合剤
2: セパレータ
3: 負極剤
4: 正極缶
5: 負極端子板
5a:ステンレス鋼板
5b:ニッケル層
5c:銅層
5Z:周辺折り返し部
6: 環状ガスケット
7: 亜鉛合金被膜

Claims (6)

  1. 負極活物質として無水銀の亜鉛または亜鉛合金を用い、正極缶、負極端子板および環状ガスケットで形成される密閉空間内に、正極合剤および負極剤を含む発電要素を収容したボタン形アルカリ電池であって、上記負極端子板の負極剤と接する面に、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜が形成され、かつカーボンブラックを0.05〜1質量%含有した耐アルカリ性の合成樹脂製で結晶化度が30〜50%の環状ガスケットを用いたことを特徴とするボタン形アルカリ電池。
  2. 耐アルカリ性の合成樹脂がナイロン66であることを特徴とする請求項1記載のボタン形アルカリ電池。
  3. インジウム化合物および/またはビスマス化合物を負極剤中に亜鉛または亜鉛合金に対して0.1質量%以上添加し、電池内で負極端子板の負極剤と接する面にインジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜を形成することを特徴とする請求項1記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
  4. インジウム化合物を亜鉛または亜鉛合金に対して0.5〜200ppm含有するアルカリ電解液を用いたことを特徴とする請求項3記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
  5. ビスマス化合物を亜鉛または亜鉛合金に対して0.5〜1000ppm含有するアルカリ電解液を用いたことを特徴とする請求項3記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
  6. カーボンブラックを0.05〜1質量%含有した環状ガスケットを真空中または不活性気体中で加熱処理し、加熱処理後、放置冷却により常温まで冷却して該環状ガスケットの結晶化度を30〜50%に増加させた後、電池組立に供することを特徴とする請求項1記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
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JP2008027849A (ja) * 2006-07-25 2008-02-07 Denso Corp シール部材
JP2013527864A (ja) * 2010-04-13 2013-07-04 ロディア オペレーションズ アルカリ電池のためのポリアミドパッキングシール
US20190113668A1 (en) * 2016-06-27 2019-04-18 Boe Technology Group Co., Ltd. Substrate, display device and method for manufacturing the substrate

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