JP4618771B2 - ボタン形アルカリ電池 - Google Patents

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Description

本発明は、負極活物質として無水銀の亜鉛または亜鉛合金を用いるボタン形アルカリ電池およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、電池内における水素ガスの発生を抑制し、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れ、かつ耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池に関するものである。
ボタン形アルカリ電池の貯蔵中におけるガス発生は2種類ある。そのうちの一方は負極活物質の亜鉛の腐食反応による水素ガスの発生であり、もう一方は負極活物質の亜鉛と、負極端子板の負極剤と接する面の銅との局部電池反応による水素ガスの発生である。そのため、従来のボタン形アルカリ電池は、負極活物質として水銀でアマルガム化した亜鉛を用いており、水銀によって亜鉛の腐食反応を抑制していた。さらに、亜鉛の溶解・析出反応によって負極端子板の銅面に亜鉛メッキが形成され、亜鉛中の水銀が固相拡散により銅面に移行し、その結果、銅面には亜鉛−水銀の合金メッキが形成されて、水銀の高い水素過電圧と耐食性とによって前述した局部電池反応を抑制していた。
しかしながら、最近は、環境汚染防止の観点から、亜鉛の無水銀化が強く要請され、無水銀でも自己腐食の少ない亜鉛が製造されていて、筒形のアルカリ乾電池では既に無水銀化が達成されている。これに対して、ボタン形アルカリ電池では、無水銀の亜鉛粉末を使用すると、貯蔵により電池のふくれや容量劣化を引き起こすという問題があった。
その原因は次のように考えられる。無水銀亜鉛粉末の腐食反応は、無水銀の亜鉛粉末にアルミニウム、ビスマス、インジウムなどの金属を添加することにより、無水銀の亜鉛粉末の耐食性を高めることにより抑制できている。しかしながら、無水銀の亜鉛粉末の溶解・析出反応によって負極端子板の銅面にメッキされるのは亜鉛のみである。したがって、銅面には純亜鉛としてしかメッキされない。純亜鉛は、アルカリ電解液に対して腐食されやすく、純亜鉛メッキが腐食反応を起こしてしまい、その結果、無水銀の亜鉛を負極活物質として用いたボタン形アルカリ電池では、腕時計や電子露出計などに使用する場合に要求されるような長寿命が得られない。
そこで、ボタン形アルカリ電池において、無水銀の亜鉛粉末を用いるにあたり、負極缶をニッケル、ステンレス鋼、銅および亜鉛の4層クラッド材で構成したり、負極缶内面の銅面にあらかじめ亜鉛メッキを施すことにより、電池内でのガスの発生を抑制し、貯蔵による電池の膨れや容量劣化を抑制しようとすることが提案されている。
特開平5−266881号公報
しかしながら、前記のように負極缶に4層クラッド材を用いることはコストを上昇させることになり、また、負極缶にあらかじめ亜鉛メッキを施すことは電池の製造にあたって工程が増えることになり、この場合もコストアップにつながるという問題があった。
前記のように、ボタン型アルカリ電池において無水銀化を達成するためには、亜鉛粉末からの水素ガスの発生だけでなく、水銀を用いずに、負極端子板の銅面からの水素ガスの発生を抑制する必要がある。
したがって、本発明は、無水銀の亜鉛を負極活物質として用いるボタン形アルカリ電池において、前記のような手段によることなく、負極端子板の銅面からの水素ガスの発生を抑制することを含め、電池内における水素ガスの発生を抑制して、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れているとともに、耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池を提供することを目的とする。
本発明は、負極活物質として無水銀の亜鉛または亜鉛合金を用い、正極缶、負極端子板および環状ガスケットで形成される密閉空間内に、正極合剤、負極剤およびアルカリ電解液を含む発電要素を収容するボタン形アルカリ電池において、本体部分と、該本体部分の負極剤側の表面に配された銅または銅合金とを有する負極端子板の負極剤と接する面に、負極剤に添加されたインジウム化合物由来のインジウムおよび/または負極剤に添加されたビスマス化合物由来のビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜を形成し(負極端子板は、上記亜鉛合金被膜以外に亜鉛を含有する層を有していない)、かつ、負極端子板の銅または銅合金表面における少なくとも環状ガスケットを液状パッキング材を介して圧接させる面の表面歪を化学研磨により除去し、その除去後の面に一般式(I)
Figure 0004618771
(式中、Rは水素、ハロゲンまたはアルキル基、RおよびRは水素またはアルキル基であり、RとRとは同一でもよくまた異なっていてもよい)
で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜を形成し、上記被膜と環状ガスケットとの間に液状パッキング材を介在させることによって、無水銀の亜鉛または亜鉛合金を含有する負極剤と接する負極端子板からの水素ガスの発生を効果的に抑制して、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れ、かつ耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池が得られるようにして、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、電池内における水素ガスの発生を抑制し、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れ、かつ耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池を提供することができる。
すなわち、上記インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金は、銅より水素過電圧が高く、かつ自己腐食が少ないので、このインジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金で負極端子板の負極剤と接する面を被覆することによって、無水銀の亜鉛または亜鉛合金を含有する負極剤と接する負極端子板からの水素ガスの発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明は、負極端子板の銅または銅合金表面における少なくとも環状ガスケットを液状パッキング材を介して圧接させる面の表面歪を化学研磨により除去し、その除去した後、その表面に一般式(I)
Figure 0004618771
(式中、R1 は水素、ハロゲンまたはアルキル基、R2 およびR3 は水素またはアルキル基であり、R2 とR3 とは同一でもよくまた異なっていてもよい)
で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜を形成し、上記被膜と環状ガスケットとの間に液状パッキング材を介在させることによって、アルカリ電解液の負極端子板へのクリープ現象を主体とするアルカリ電解液の漏出を防止することによって、耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池が得られるようにしたのである。
したがって、本発明によれば、電池内における水素ガスの発生を抑制し、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れ、かつ耐漏液性が優れたボタン形アルカリ電池を提供することができる。
本発明においては、負極端子板の負極剤と接する面に、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜3質量%含む亜鉛合金被膜が形成されていることを要するが、このインジウムとビスマスはそれぞれ単独で亜鉛合金中に含まれていてもよいし、また、インジウムとビスマスが併存した状態で亜鉛合金中に含まれていてもよい。そして、本発明においては、上記亜鉛合金被膜に関して、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含んでいることを要するが、これは、インジウムおよび/またはビスマスの含有量が0.1質量%より少なくても、また、30質量%より多くても、負極端子板からの水素ガスの発生を充分に抑制することができないからであり、このインジウムおよび/またはビスマスの亜鉛合金中の含有量としては、0.1質量%以上の範囲内で、20質量%以下が好ましく、特に10質量%以下が好ましい。そして、本発明において、この亜鉛合金被膜における亜鉛合金という概念には、通常にいう亜鉛合金(すなわち、亜鉛に合金元素としてのインジウムおよび/またはビスマスが溶解しているもの)だけではなく、亜鉛の表面や粒界にインジウムやビスマスの状態で存在しているものも含んでいる。
負極端子板は、通常、負極剤と接する面は銅または黄銅などの銅合金で構成され、その本体部分はステンレス鋼で構成され、外面側、すなわち、負極剤と接する面と反対側の面はニッケルで構成される。この負極端子板において、負極剤と接する面を銅または銅合金で構成するのは、亜鉛との局部電池の形成を抑制するためであるが、本体部分をステンレス鋼で構成することや外面側をニッケルで構成することは必ずしも重要でなく、他の材料で構成してもよい。
負極剤は、基本的には、無水銀の亜鉛または亜鉛合金からなる負極活物質に必要に応じて添加されるポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなどのゲル化剤を含み、これにアルカリ電解液を加えることによって構成されるが、前記負極端子板の負極剤と接する面を被覆するインジウムおよび/またはビスマスを含む被膜は、この負極剤にインジウムおよび/またはビスマス化合物を添加しておくことによって、電池内で形成することができる。すなわち、負極剤中に添加したインジウム化合物および/またはビスマス化合物がアルカリ電解液中に溶解し、そのインジウム化合物および/またはビスマス化合物中のインジウムおよび/またはビスマスを含んだ状態で亜鉛合金被膜が負極端子板の負極剤と接する面に形成される。
上記インジウム化合物としては、例えば、水酸化インジウム〔In(OH)3 〕、酸化インジウム(In2 3 )、塩化インジウム(InCl3 )などが好ましく、ビスマス化合物としては、例えば、水酸化ビスマス〔Bi(OH)3 〕、酸化ビスマス(Bi2 3)、塩化ビスマス(BiCl3 )などが好ましい。そして、このインジウム化合物および/またはビスマス化合物の負極剤への添加量としては、負極活物質の亜鉛または亜鉛合金に対して0.1質量%(亜鉛または亜鉛合金100質量部に対してインジウム化合物および/またはビスマス化合物が0.1質量部)以上が好ましく、その0.1質量%以上の範囲内で、5質量%以下が好ましく、特に3質量%以下が好ましい。そして、この負極端子板の負極剤と接する面に形成されるインジウムおよび/またはビスマスを含む亜鉛合金被膜は、上記形成方法からも明らかなように、通常のアルカリ電池において亜鉛の溶解・析出反応によって負極端子板の銅面に形成される亜鉛メッキの厚みと同等の薄いものでよく、また、その形成は電池を組み立てた時点でほぼ完成している。
アルカリ電池におけるアルカリ電解液は、基本的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物を水に溶解し、さらに酸化亜鉛を添加したものが用いられるが、本発明においては、このアルカリ電解液にインジウム化合物および/またはビスマス化合物を添加しておくと、前記負極剤に添加したインジウム化合物および/またはビスマス化合物からの負極端子板の負極剤と接する面へのインジウムおよび/またはビスマスを含む亜鉛合金被膜が形成しやすくなるので好ましい。このアルカリ電解液へのインジウム化合物の添加量は0.5〜1500ppmが好ましく、ビスマス化合物の添加量は0.5〜1500ppmが好ましい。
上記のように、無水銀の亜鉛または亜鉛合金からなる負極活物質を用いたボタン形アルカリ電池においても、負極端子板の負極剤と接する面に、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜を形成することによって、貯蔵特性を大きく向上させることができるものの、本発明者らがさらに詳細に検討したところ、このボタン形アルカリ電池は、耐漏液性が充分でないことが判明した。
すなわち、本発明者らが、さらに詳細に検討したところ、無水銀の亜鉛または亜鉛合金を負極活物質として用いたボタン形アルカリ電池は、水銀でアマルガム化した亜鉛を負極活物質として用いた従来のボタン形アルカリ電池に比べて、ガスの発生量がわずかに多くなり、耐漏液性が低下することが判明した。
そこで、本発明者らは、耐漏液性を向上させるべく種々検討したところ、負極端子板の銅または銅合金表面における少なくとも環状ガスケットを液状パッキング材を介して当接させる面を化学研磨により研磨して平滑にし、この平滑面に前記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体の被膜を形成し、その被膜と環状ガスケットとの間に液状パッキング材を介在させることによって、前記問題を解消できることを見出した。
一般に、ボタン形電池の封口においては、正極缶の開口部にポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの合成樹脂またはゴム製の環状ガスケットを配設し、正極缶の開口端部を内方に締め付けることによって、該環状ガスケットを負極端子板に押し付けて、正極缶−環状ガスケット−負極端子板間の接面を相互に密着させることにより、これらの接面からの電解液の漏出を防止している。
しかしながら、アルカリ電解液を使用するボタン形アルカリ電池では、上述した封口手段にもかかわらず耐漏液性が低くなり、今日まで負極端子板の形状を改良したり、環状ガスケットと正極缶および負極端子板との接面にアスファルトピッチ、脂肪ポリアミド、フッ素系オイルなどの液状パッキング材を介在させるなどの提案がなされてきたが、高度の耐漏液性は必ずしも得られていない。
アルカリ電解液を用いたボタン形アルカリ電池の漏液は、主に、負極端子板へのアルカリ電解液特有のクリープ現象によるものと考えられている。すなわち、負極端子板における負極剤層からの立ち上がり部、つまり、負極端子板と負極剤との接触が解除される境界部でアルカリ電解液が電気化学的に還元されてOH- が生じると、アルカリ濃度が局部的に高くなり周辺のアルカリ電解液が濃度差によって上記の立ち上がり部に移行し、負極端子板の表面に沿って経時的に這い上がるクリープ現象として現れる。さらに、負極端子板が銅または銅合金で構成されている場合は、それらの金属と活物質である亜鉛との電位差が比較的大きいことから、このクリープ現象が顕著になる。
そこで、本発明者らは、負極端子板と環状ガスケットとの接面からのアルカリ電解液の漏出を可逆的に抑制して電池全体としての耐漏液性を向上させることを目的とし、まず、負極端子板を絞り加工によって形成する際に発生する銅または銅合金表面における少なくとも環状ガスケットを液状パッキング材を介して圧接させる面の表面歪を化学研磨により除去した後、その表面に一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜を形成し、上記被膜と環状ガスケットとの間に液状パッキング材を介在させることにより、耐漏液性を向上させたのである。
すなわち、上記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体は、銅に対して強い活性を有していて、その構造式中のN=N結合が切断して窒素(N)が銅と化学的に強固かつ緻密に結合した被膜を形成し、負極端子板の銅または銅合金表面のクリープ現象によるアルカリ電解液の漏出を防止することができるのである。さらに、上記被膜と環状ガスケットとの間には液状パッキング材を介在させるのは、負極端子板の表面のクリープ現象によるアルカリ電解液の漏出は一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜で防止することができるが、上記被膜と環状ガスケットとの間からも電解液の漏出が生じるおそれがあるため、本発明では、被膜と環状ガスケットとの間に液状パッキングを介在させ、その被膜と環状ガスケットとの間に生じる微細な隙間を液状パッキング材で埋めて、被膜と環状ガスケットとの間からのアルカリ電解液の漏出を防止しているのである。
上記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体としては、その一般式(I)において、R1 がアルキル基の場合、そのアルキル基は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、また、R2 およびR3 がアルキル基の場合、そのアルキル基は炭素数が1〜10のアルキル基が好ましい。そして、この一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体の具体例としては、例えば、N−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾール、N−ジオクチルアミノメチルベンゾトリアゾールなどが好ましい。このようなベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体はベンゾトリアゾール系化合物の銅に対する強い活性をほぼ維持しながら、ベンゾトリアゾール系化合物の石油エーテルなどの有機溶媒に対する溶解性を増加させ、被膜の形成に際しての取り扱いを容易にしている。
また、上記液状パッキング材としては、被膜と環状ガスケットとの微細な隙間を埋めることができ、かつ、耐アルカリ性、撥水性を有するものであればどのようなものでもよいが、具体的に例示する、例えば、アスファルトピッチ、フッ素系オイル、脂肪ポリアミドなどが挙げられる。
また、本発明において、負極端子板の銅または銅合金表面における少なくとも環状ガスケットを当接させる面を化学研磨して平滑にするのは、その面に強固かつ緻密に結合した一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体の被膜を形成させるためである。すなわち、負極端子板は銅−ステンレス鋼板−ニッケルからなるクラッド板を絞り加工によって周辺折り返し部を有する形状を加工することによって作られるが、この絞り加工の際に銅層は数μm前後の表面歪を受ける。この歪が生じた層は一般にベルビー層といわれ、銅原子が無秩序に配列した非晶質状態の層である。このベルビー層に一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体の被膜を形成すると、上記ベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体が銅に対して強い活性を有しているとはいえ、銅側が強力な結合力を生み出すのに充分な状態に調整されていないため、上記ベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体と銅との結合力が充分に満足すべきものにならない。そこで、このベルビー層を化学研磨により除去すると、銅表面は銅原子が秩序正しく配列しているため、一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体と銅との結合力が強固になる。したがって、負極端子板の銅または銅合金表面における少なくとも環状ガスケットを圧接させる面を化学研磨により除去した後に、その表面に一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体被膜を形成すると、クリープ現象に基づくアルカリ電解液の漏出を阻止することができる。
一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜の形成は、例えば、以下のように行われる。一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体を石油エーテルなどのパラフィン系溶媒に溶解させ、その溶液中に負極端子板を約1〜5分間浸漬し、乾燥することによって被膜を形成することができる。その際、上記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体を含む溶液の一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体の濃度としては、0.01〜1質量%が好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。この一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜は、負極端子板の銅または銅合金表面における少なくとも環状ガスケットを液状パッキング材を介して圧接させる面に形成されていればよいので、その形成にあたっては、負極端子板の周辺折り返し部のみを上記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体を含む溶液中に浸漬すればよいが、そのように負極端子板の周辺折り返し部のみを浸漬することが作業上困難であれば、上記のように負極端子板全体を上記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体を含む溶液中に浸漬し、負極端子板の負極剤と接する面にも上記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜が形成されたとしても、その被膜上にインジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜を形成することができ、かつ、その作用を発揮させることができるので、上記インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜は負極端子板の負極剤と接する面に直接形成されてもよいし、また、上記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜を介して負極端子板の負極剤と接する面に形成されていてもよい。
上記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜には、その一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体の作用を低下させない範囲で界面活性剤などの他のものを含んでいてもよい。
上記研磨処理した後の銅または銅合金表面の表面粗さは、JIS B 0601の中心線平均粗さで約3μm以下が好ましく、特に0.5〜3μmが好ましい。研磨の方法としては、機械的研磨、電解研磨、化学研磨などがあるが、負極端子板の周辺折り返し部のように複雑な曲がり面を有する場合は化学研磨が適している。すなわち、機械的研磨では研磨面の凹部に金属の酸化被膜が残り、上述したクリープ現象を促進することになるからであり、また、電解研磨では前記の酸化被膜は除去されるが、研磨面に電解研磨による化成膜が形成され、クリープ現象を促進することになるからである。
化学研磨の処理方法としては、成形加工後の負極端子板全体を研磨液中に浸漬するという方法で行ってもよいし、負極端子板の周辺折り返し部とその近傍のみを浸漬してもよい。研磨液としては、酸化能を有するエッチング剤であればよく、具体的には、過酸化水素−酸系のエッチング剤、硝酸を主体とするエッチング剤などを用いることができるが、特に過酸化水素−酸系のエッチング剤が好ましい。より具体的には、過酸化水素−硫酸系のエッチング剤が好ましい。負極端子板を研磨液に浸漬すると、研磨面における突部がまず酸化されて金属酸化物となりこれが研磨液中に次第に溶出してくる。この溶出を助けるために一般に研磨液中に浸漬した後、通常の化学研磨の場合と同様に硫酸などによる酸洗浄を行うのが好ましい。この酸化、溶出機構によれば研磨液中に浸漬した部分を一様にかつ再現性よく平滑処理できる。研磨液は充分に水洗し乾燥すると少なくとも周辺折り返し部の銅または銅合金層表面が約3μm以下の表面粗さに均一に調整され、かつ酸化被膜や化成膜などがない負極端子板が得られる。なお、この化学研磨の前にアルカリ洗浄を行うと、耐漏液性はさらに向上する。
次に、本発明のボタン形アルカリ電池の一例を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこの例示のもののみに限定されることはない。
図1は本発明のボタン形アルカリ電池の一例を概略的に示す部分断面図であり、図2は図1中の要部拡大図である。
図中、1は酸化第一銀、二酸化マンガン、酸化第二銀、水酸化ニッケルなどの正極活物質と、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛のような導電助剤との混合粉末を円板状に加圧成形することによって作製され、これにアルカリ電解液の一部を含浸させてなる正極合剤であり、2はこの正極合剤1と負極剤3との間に介在するセパレータであって、このセパレータ2は、例えば親水処理された微孔性ポリプロピレンフィルムとセロファンフィルムとビニロン−レーヨン混抄紙のような吸液層とを積み重ねたものである。3は無水銀の亜鉛からなる負極活物質と必要に応じて添加するポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなどのゲル化剤を含み、これにアルカリ電解液の大半量を注入してなる負極剤である。
4は正極合剤1およびセパレータ2を内填させた鉄製で表面にニッケルメッキを施した正極缶で、その開口部に負極剤3が内填された負極端子板5をポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種樹脂またはゴムからなる断面L字状の環状ガスケット6を介装して嵌合させ、正極缶4の開口端部を内方に締め付けて環状ガスケット6を負極端子板5に当接させることによって封口し、電池内部を密閉構造にしている。つまり、このボタン形アルカリ電池では、正極缶4、負極端子板5および環状ガスケット6で形成される密閉空間内に、正極合剤1、負極剤3、アルカリ電解液などを含む発電要素が収容されている。
負極端子板5は、図2に示すように、ステンレス鋼板5aの外面側に美観ないし耐腐食性を満足させるニッケル層5bを設け、内面側、すなわち負極剤3と接する面に銅層5cを設けたものである。そして、この負極端子板5は、通常、ステンレス鋼板5a、ニッケル層5bおよび銅層5cからなるクラッド板を絞り加工することによって周辺折り返し部5Zを有する形状に作製されたものである。そして、上記負極端子板5の銅層5cの負極剤3と接する面に、インジウムおよび/またはビスマスを0.1〜30質量%含む亜鉛合金被膜7が形成されている。なお、このインジウムおよび/またはビスマスを含む亜鉛合金被膜7は、図面上での視認を容易にするために、厚く図示されているが、実際には、負極端子板5の厚みに比べてもっと薄いものである。
また、図2に示すように、この負極端子板5の周辺折り返し部5Zにおける環状ガスケット6を液状パッキング材を介して圧接させる面8に、一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜9が形成され、該被膜9はベンゾトリアゾール系化合物の銅に対する強い活性により銅層5cの表面に化学的に強固かつ緻密に結合し、銅層5cの表面の電気化学的なクリープ現象に基づくアルカリ電解液の漏出を強力に防止する。そして、図示していないが、上記被膜9と環状ガスケット6との間には液状パッキング材が介在していて、該液状パッキング材が上記被膜9と環状ガスケット6との間からアルカリ電解液の漏出が生じるのを防止している。
なお、上記負極端子板5は、その銅層5cに代えて黄銅などの銅合金層を設けたものでもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に例示のもののみに限定されることはない。
実施例1
ニッケル層/ステンレス鋼(SUS−304)板/銅層からなるクラッド板をプレス機で打ち抜き、図1に示すような周辺折り返し部を有する形状に加工して、負極端子板を作製した。
次に研磨剤として4質量%の硫酸を含む過酸化水素水からなる過酸化水素−硫酸系エッチング剤を用い、この液中に成形加工後の負極端子板を約30秒間浸漬した後、硫酸による酸洗および水洗を行って化学研磨により平滑処理を行った。
次に、N−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールを石油エーテルに溶解し、0.1質量%の濃度に調製した。このN−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールを含む溶液中に平滑処理済みの負極端子板を3分間浸漬した後、乾燥して、負極端子板にN−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールの被膜を形成した。
正極活物質としては酸化第一銀を用い、正極合剤はこの酸化第一銀の粉末に導電助剤として鱗片状黒鉛を酸化第一銀に対して1.2質量%添加して混合した後、円板状に加圧成形して作製し、これにアルカリ電解液の一部を含浸させておいた。
負極活物質としては無水銀亜鉛を用い、アルカリ電解液としては酸化亜鉛を1質量%溶解した35質量%水酸化カリウム水溶液を用い、負極剤としては負極活物質としての無水銀亜鉛に水酸化インジウムを亜鉛に対して1質量%添加し、さらにアルカリ電解液を加えて調製したものを用いた。
上記正極合剤、負極剤、アルカリ電解液などと、ナイロン66製の環状ガスケットと、前記の化学研磨、N−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールからなる被膜形成処理をした負極端子板を用いて、図1〜2に示す構造で、外径6mm、厚さ2.6mmのボタン形アルカリ電池を作製した。さらに、上記負極端子板の周辺折り返し部には、そのN−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールからなる被膜形成後にアスファルトピッチからなる液状パッキング材を塗布しておいた。
実施例2
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムを亜鉛に対して0.1質量%添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例3
負極剤の調製にあたり、負極活物質の無水銀亜鉛に、水酸化ビスマスを亜鉛に対して1質量%添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例4
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化ビスマスを亜鉛に対して0.1質量%添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例5
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例6
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ0.1質量%ずつ添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例7
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に水酸化インジウムを500ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例8
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に水酸化インジウムを1ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例9
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に酸化ビスマスを500ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例10
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対して、それぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に水酸化ビスマスを1ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例11
負極剤の調製にあたり、負極活物質としての無水銀亜鉛に、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスを亜鉛に対してそれぞれ1質量%ずつ添加し、アルカリ電解液に水酸化インジウムを200ppmおよび水酸化ビスマスを500ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
比較例1
負極活物質として水銀を3質量%含有する亜鉛を用い、負極剤の調製にあたり、水酸化インジウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
比較例2
負極剤の調製にあたり、水酸化インジウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。つまり、この比較例2のボタン形アルカリ電池では、負極活物質として無水銀亜鉛を用い、負極剤およびアルカリ電解液のいずれにも水酸化インジウムや水酸化ビスマスなどを添加していない。
比較例3
負極端子板の化学研磨処理を行わず、かつ、N−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールからなる被膜を形成せず、液状パッキングの塗布を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
比較例4
負極端子板の化学研磨処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
比較例5
負極端子板の化学研磨処理を行わず、N−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールからなる被膜を形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
比較例6
液状パッキングを塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
得られた実施例1〜11および比較例1〜6の電池について、60℃で40日間貯蔵後の容量保持率および45℃、相対湿度90%で30日間貯蔵した時の漏液発生率を調べた。その結果を表1に示す。
上記容量保持率は、貯蔵前の各電池10個ずつを20℃、15kΩで終止電圧1.2Vまで放電させて放電容量を測定し、また上記とは別の電池10個ずつを60℃で40日間貯蔵した後、20℃、15kΩで終止電圧1.2Vまで放電させて放電容量を測定し、貯蔵前の放電容量に対する貯蔵後の放電容量の割合を次式により求めたものである。
貯蔵後の放電容量
容量保持率(%)=────────────×100
貯蔵前の放電容量
また、漏液発生率は、各電池100個ずつを45℃、相対湿度90%の環境で30日間貯蔵した後の漏液の発生率を調べたものである。ただし、上記容量保持率の表1への表示にあたっては、実施例1の電池の容量保持率を100としたときの指数で示す。また、漏液発生率の表1への表示にあたっては、分母に試験に供した全電池個数を示し、分子に漏液が発生した電池個数を示す態様で表示する。なお、容量保持率は数値が大きいほど、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れていることを示しており、漏液発生率は分子の数値が小さいほど、漏液の発生が少なく、耐漏液性が優れていることを示している。
また、表2には、実施例1〜11および比較例1〜6の電池において、負極活物質として用いた亜鉛中の水銀量ならびに実施例1〜11および比較例1〜6の電池の負極端子板の負極剤と接する面に形成された亜鉛合金被膜中におけるインジウム量、ビスマス量について示す。なお、上記負極端子板の負極剤と接する面に形成された亜鉛合金被膜中のインジウム量やビスマス量は、シーケンシャル型ICPS IPIS 1000(日本ジャーレル・アッシュ製)によって測定したものである。
表3には、実施例1〜11および比較例1〜6の電池における負極剤への添加剤種ならびに負極剤中の添加剤の亜鉛に対する添加量を示す。
さらに、表4には、実施例1〜11および比較例1〜6の電池におけるアルカリ電解液中への添加剤種ならびにアルカリ電解液中の添加剤の添加量を示す。
そして、表5には、実施例1〜11および比較例1〜6の電池における負極端子板への化学研磨の有無、N−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールからなる被膜の有無、液状パッキングの塗布の有無を示す。
Figure 0004618771
Figure 0004618771
Figure 0004618771
Figure 0004618771
Figure 0004618771
表1に示すように、実施例1〜11の電池は、60℃で40日間貯蔵後の容量保持率が高く、貯蔵特性が優れ、かつ45℃、相対湿度90%で30日間貯蔵後の漏液発生率が低く、耐漏液性が優れていた。
すなわち、実施例1〜11の電池は、負極活物質として無水銀の亜鉛を用いているにもかかわらず、60℃で40日間貯蔵後の容量保持率が高く、負極活物質として水銀でアマルガム化した亜鉛を用いた比較例1の電池とほぼ同等の貯蔵特性を有し、負極活物質として無水銀の亜鉛を用いた比較例2の電池に比べて、貯蔵中の容量劣化が少なく、貯蔵特性が優れていた。
また、実施例1〜11の電池は、負極活物質として無水銀の亜鉛を用いているにもかかわらず、負極端子板の銅表面における少なくとも環状ガスケットを圧接させる面の表面歪を化学研磨により除去し、その表面にN−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールからなる被膜を形成し、該被膜と環状ガスケットとの間に液状パッキング材を介在させたことによって、負極活物質として水銀でアマルガム化した亜鉛を用いた比較例1の電池とほぼ同等の耐漏液性を有し、前記のような化学研磨、N−ジメチルアミノメチルベンゾトリアゾールからなる被膜の形成、液状パッキング材の介在のいずれか一つまたはそれ以上を実施していない比較例3〜6の電池に比べて、耐漏液性が優れていた。
本発明のボタン形アルカリ電池の一例を示す部分断面図である。 図1中の要部拡大図である。
符号の説明
1: 正極合剤
2: セパレータ
3: 負極剤
4: 正極缶
5: 負極端子板
5a:ステンレス鋼板
5b:ニッケル層
5c:銅層
5Z:周辺折り返し部
6: 環状ガスケット
7: 亜鉛合金被膜
8: 負極端子板の環状ガスケットを液状パッキング材を介して圧接させる面
9: 一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体 からなる被膜

Claims (6)

  1. 負極活物質として無水銀の亜鉛または亜鉛合金を用い、正極缶、負極端子板および環状ガスケットで形成される密閉空間内に、正極合剤、負極剤およびアルカリ電解液を含む発電要素を収容したボタン形アルカリ電池であって、
    上記負極端子板は、本体部分と、該本体部分の負極剤側の表面に配された銅または銅合金とを有し、かつ負極剤と接する面に、負極剤に添加されたインジウム化合物由来のインジウムおよび/または負極剤に添加されたビスマス化合物由来のビスマスを0.1〜30質量%含む、電池内部で形成された亜鉛合金被膜を有していて上記亜合金被膜以外に亜鉛を含有する層を有しておらず
    上記負極端子板の銅または銅合金表面における少なくとも環状ガスケットを液状パッキング材を介して圧接させる面の表面歪を化学研磨により除去した面に、一般式(I)
    Figure 0004618771
    (式中、Rは水素、ハロゲンまたはアルキル基、RおよびRは水素またはアルキル基であり、RとRとは同一でもよくまた異なっていてもよい)
    で示されるベンゾトリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜を形成し、上記被膜と環状ガスケットとの間に液状パッキング材を介在させたことを特徴とするボタン形アルカリ電池。
  2. インジウム化合物を0.5〜1500ppm含有するアルカリ電解液を用いたことを特徴とする請求項1記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
  3. ビスマス化合物を0.5〜1500ppm含有するアルカリ電解液を用いたことを特徴とする請求項1記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
  4. 負極端子板の銅または銅合金表面における少なくとも環状ガスケットを液状パッキング材を介して圧接させる面を化学研磨した面の表面粗さが3μm以下であることを特徴とする請求項1記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
  5. 酸化能を有する研磨液で化学研磨したことを特徴とする請求項1記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
  6. 酸化能を有する研磨液として過酸化水素−酸系のエッチング剤を用いたことを特徴とする請求項5記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
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