JP2005233899A - 試料分析装置及びその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡単な装置で反跳イオンのエネルギーとその反跳イオンの検出手段への衝突位置の対応関係を予め確認する校正装置及び校正のための方法を提供すること。
【解決手段】 イオン照射手段によりイオンビームが上記試料に照射されることによって,該試料を構成する原子がイオン化されて所定の角度へ反跳された反跳イオンの進行方向を,該反跳イオンが有するエネルギーに応じて偏向させるエネルギー分離手段と,
上記エネルギー分離手段により偏向された上記反跳イオンの所定の検出方向に対する飛翔位置を検出するイオン検出手段とを備えた試料分析装置に,更に
上記エネルギー分離手段により偏向された上記反跳イオンに,上記所定の検出方向と同一方向に該反跳イオンを偏向させる電場を作用させる電場発生手段を上記エネルギー分離手段と上記イオン検出手段との間に備えさせた試料分析装置。
【選択図】図1

Description

本発明は,加速されたイオンを試料に照射することにより試料中の成分元素がイオン化され,所定方向に反跳されたイオン(反跳イオン)の持つエネルギーを測定することにより試料の組成分析を行う試料分析装置に関し,特に,上記反跳イオンの検出位置に基づいてエネルギーを測定する試料分析装置に関するものである。
従来,半導体技術や結晶性薄膜技術の分野では,イオンビームを用いて試料の組成を分析する試料分析装置が広く利用されている。近年,半導体がより一層集積化,多層化するに従い,半導体デバイス材料の極薄膜の高精度な膜厚計測の要求が高まってきた。かかる要求に応えるべく,高分解能で分析可能な試料分析装置の開発,研究が競って行われている。
このように開発された高分解能の試料分析装置の一つに,高分解能試料分析装置Yがある(非特許文献1及び2に記載)。この高分解能試料分析装置Yの外観を図4に示す。上記高分解能試料分析装置Yは,イオンビームを生成して試料に出射するイオン発生器51,該イオン発生器51から出射されたイオンビーム内の不純物を除去するウィンフィルタ52,上記イオンビームを収束させる四重極磁気レンズ53,試料を保持する試料チェンバ54,試料から所定角度に放出されたイオンのみ通過させる不図示のスリット,イオンの進行方向を該イオンの持つエネルギーに応じて偏向させるエネルギー分離電磁石55,偏向されたイオンの飛翔位置を検出して,その飛翔位置に基づき該イオンのエネルギーを測定するイオン検出器56,試料へのイオンビームの入射方向を変化させるゴニオメータ57,上記試料チェンバ54内に試料を出し入れする試料交換装置58等により構成されている。この高分解能試料分析装置Yは,単一エネルギーのイオン(He+等)を試料に照射させ,試料中の成分元素と衝突して弾性散乱された上記イオン(ヘリウムイオン)をエネルギー分離電磁石55により磁場偏向させ,この磁場偏向された上記イオンが上記イオン検出器56に入射(到達)した位置(飛翔位置)を検出することにより上記イオンの持つエネルギーを測定するものである。即ち,上記高分解能試料分析装置Yは,ラザフォード後方散乱分析法(RBS分析法,RBS:Rutherford Backscattering Spectroscopy)を用いて試料で弾性散乱された上記イオンのエネルギーを測定するものである。これによれば,高い分解能で試料の組成分析を行うことが可能となる。
また,上記高分解能試料分析装置Yは,ERD法(Elastic Recoil Detection)を用いて試料中の成分元素がイオン(N+等)によってイオン化されて反跳されたイオン(H+等)のエネルギーを測定することにより試料の組成分析を行うERD分析装置としても用いることができる。即ち,図5の模式図に示すように,窒素イオン1のイオンビームとの衝突によって試料4を構成する水素原子3がイオン化されて所定の角度へ反跳された水素イオン2(以下,「反跳イオン」という。)のエネルギーを測定することにより,試料4の組成を分析することにも適用することが可能である。尚,この場合,上記窒素イオン1の質量をM1,上記水素イオン2の質量をM2,上記窒素イオン1の入射エネルギーをE0,反跳角度(上記窒素イオン1の試料表面5に対する入射角αと上記水素イオン2の試料表面5に対する反跳方向の角度βとの和)をθとすると,上記水素イオン2のエネルギーは次式(1)により与えられる。
Figure 2005233899
ところで,上記ERD法により上記反跳イオンを検出して試料の組成分析を行う場合,試料から放出されるイオン粒子には,上記反跳イオンだけでなく,試料で弾性散乱された一部のイオン(以下,「散乱イオン」という。)も含まれることがあるが,上記イオン検出器により検出されると,ノイズとして測定されるため好ましくない。従って,ERD法を用いた試料分析装置では,このようなノイズの原因である上記散乱イオンを除去する必要がある。この散乱イオンを除去する手法として,一般にデフレクタにより除去する方法と,極薄膜フィルタにより除去する方法とが知られている。
前者のデフレクタにより除去する方法は,図6に示すように,エネルギー分離電磁石55により偏向されたイオン粒子(窒素イオン1及び水素イオン2を含む)がイオン検出器56に到達するまでの間に,電場(電界)を発生させるデフレクタ71を設け,該デフレクタ71により発生された電場による上記窒素イオン1及び上記水素イオン2の偏向量の差に基づいて上記窒素イオン1を除去する方法である。この電場により,エネルギーの大きい水素イオン2はほとんど偏向されないが,エネルギーの小さい窒素イオン1は大きく偏向され,イオン検出器56から逸れるため検出されない。かかる方法を用いた試料分析装置は特許文献1に開示されている。尚,上記イオン検出器56により検出される検出方向(矢印A1)のイオン飛翔位置がずれないようにするため,上記デフレクタ71は,検出方向(矢印A1)と垂直な方向に電場を生じさせるものである。
また,後者の極薄膜フィルタにより除去する方法は,図7に示すように,エネルギー分離電磁石55により偏向された上記イオン粒子がイオン検出器56に到達するまでの間に,アルミニウム薄膜やマイラ膜等の極薄膜フィルタ81を設け,上記水素イオン2のみをこの極薄膜フィルタを透過させ,この水素イオン2より阻止能が大きい上記窒素イオン1の通過を上記極薄膜フィルタで阻止することにより上記窒素イオン1を除去する方法である。かかる方法を用いた表面分析装置が特許文献2に開示されている。
特開平08−136481号公報 特開平08−220030号公報 K.Kimura,et al(Development of a Compact High-Resolution RBS System for Monolayer Analysis[(Applications of Accelerators in Research and Industry(1999)],p.500−503 森芳一,外3名,「R&D 神戸製鋼技報」第52巻 第52号No.2(通巻第201号),特集:薄膜技術,p.53−56 高分解能RBS分析装置,[online],2002年9月1日,株式会社神戸製鋼所 コミュニケーションセンター,[平成15年10月27日検索],インターネット<http://www.kobelco.co.jp/technology-review/vol52#2>又は<http://www.kobelco.co.jp/technology-review/pdf/52#2/053-056.pdf>
ところで上記したERD分析法を用いる従来技術では,イオン検出器に到達する水素イオンのうち試料表面に存在する水素がイオン化した水素イオンがもっともエネルギーが大きいため,イオン検出器に到達した水素イオンのスペクトルを見ると,当然ながら試料表面から出た水素イオンがスペクトルの高エネルギー側の端部(立ち上がり部)にくることになり,そのスペクトル端部を基準にして試料のどの深さに水素が存在するかを判定している。このように,上記ERD分析法を用いる従来技術では,表面に水素が存在する試料を用いることを前提としている。
しかしながら,試料の表面に水素が存在せず,試料中のどの深さから水素の存在がはじまっているかわからない試料についての測定を行う場合が往々にしてあり,そのような試料中の水素の深さ方向の起点が予め分かっていない試料の測定を行う場合,上記イオン検出器に入射する反跳イオンのエネルギーと,イオン検出器で検出される位置とを対応付ける有効な手段がなかった。
また,従来,散乱イオンを検出器で検出させないために組成分析装置に上記極薄膜フィルタを設けることがある。この場合,窒素イオン1等のイオンを除去することは可能であるが,上記水素イオン等の反跳イオンが上記極薄膜フィルタを通過することにより,該反跳イオンの持つエネルギーに広がり或いはバラツキが生じ,更に,多少なりとも該反跳イオンの持つエネルギーが減衰される。この場合もイオンの持つエネルギーを正確に測定することができず,試料分析装置の分析能力(エネルギー分解能)及び信頼性が低下するという問題がある。
更に,イオン検出器の検出方向と直角の方向へ反跳イオン及び散乱イオンを偏向させるデフレクタを設けて,散乱イオンを検出器に入らないようにする試みがなされている。
しかしながら,上記のようなデフレクタを設ける技術では,デフレクタの電場を形成するための電極や,高圧電源が必要となり,装置構成が複雑となる問題があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その第1の目的とするところは,反跳イオンのエネルギー測定に際して,上記極薄膜フィルタ等を設けることなく,事前に反跳イオンの最大エネルギーを直接測定することで,測定装置の校正を可能とし,もって実測される反跳イオンの検出手段における衝突位置からその反跳イオンのエネルギーを求め,水素の深さを測定することのできる試料分析装置及び試料分析方法を提供することである。
また第2の目的は,入射イオンが散乱した散乱イオンを検出することにおける測定誤差を避けるために,エネルギー敏感型の検出素子を用いて反跳イオンと散乱イオンを峻別することのできる試料測定装置を提供することである。
上記目的を達成するために本発明は,イオン発生器から出射されたイオンビームを所定の真空容器に保持された試料に照射するイオン照射手段と,上記イオン照射手段によりイオンビームが上記試料に照射されることによって,該試料を構成する原子がイオン化されて所定の角度へ反跳された反跳イオンの進行方向を,該反跳イオンが有するエネルギーに応じて偏向させるエネルギー分離手段と,上記エネルギー分離手段により偏向された上記反跳イオンの所定の検出方向に対する飛翔位置を検出するイオン検出手段と,を備えた試料分析装置において,上記エネルギー分離手段により偏向された上記反跳イオンに,上記所定の検出方向と同一方向に該反跳イオンを偏向させる電場を作用させる電場発生手段を上記エネルギー分離手段と上記イオン検出手段との間に備えてなることを特徴とする試料分析装置として構成されている。
試料の測定に際して,まず上記電場発生手段によって異なる電場を段階的に発生させた状態で試料にイオンを照射し,その反跳イオンを上記電場発生手段を経て上記イオン検出手段に照射し,上記異なる電場に対応するイオンの衝突位置の差を検出する。上記衝突位置の差と上記電場発生手段に与えた段階的な電場とから,後に詳述するように上記反跳イオン自身のエネルギーが測定される。
またイオン検出手段に衝突した反跳イオンのエネルギーとその衝突位置が分かると,非特許文献1における図2に記載の方法により任意のエネルギーをもつ反跳イオンのイオン検出手段上における衝突位置が演算される。従って,上の電場発生手段によって複数の電場をかける方法でイオン検出手段に衝突する反跳イオンのエネルギーが分かると,任意のエネルギーをもつ反跳イオンのイオン検出手段上における衝突位置が分かるので,実際の測定の場においても,試料からの反跳イオンのイオン検出手段上における衝突位置から,そのイオンが反跳した試料の深さが検出される。
同じ軌道に沿って進む散乱窒素イオンと反跳水素イオンが存在するため,検出器上の同一位置に衝突し,これらは峻別できないので,スペクトルの取得に誤差が生じる。
そこで本発明では,反跳水素イオンと散乱窒素イオンのエネルギーの違いに着目し,イオン検出手段としてエネルギー敏感型の検出手段を用いることで,上記窒素と水素を峻別しうるようにした。
以上説明したように,本発明は,イオンビームを用いた試料分析装置に備えられたエネルギー分離手段とイオン検出手段との間に,上記エネルギー分離手段により偏向された上記反跳イオンに,上記所定の検出方向と同一方向に該反跳イオンを偏向させる電場を作用させる電場発生手段が設けられ,上記電場発生手段により与えられる電場を段階的に調整することで変化するイオン検出手段上のイオンの衝突位置の変化からそのイオンのエネルギーを演算すると共に,この情報を用いて周知の方法によってえられるイオンのエネルギーとイオン検出手段上におけるイオンの衝突位置との対応関係から,実際のイオンの反跳深さを計算することが可能である。
また本発明では,上記イオン検出手段として,エネルギー分解能の高い半導体検出器等の位置敏感型検出器を用いているため,エネルギーの異なる入射イオンの散乱イオンと水素イオンが同時に検出される環境下でも,水素イオンのみを検出することが可能である。またこれによって,装置のエネルギー分解能及び信頼性が高められる結果となる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の一実施形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るERD分析装置Xの概略構成及びイオン粒子の運動軌跡を示す模式図,図2は本発明の実施の形態に係るERD分析装置Xに用いられる半導体検出器の概略構成を示すブロック図,図3は電場発生装置により与えられる電界強度に応じたイオンの検出チャネル及びその時のスペクトルとの関係を示す図,図4は従来の高分解能試料分析装置Yの構成を示す全体図,図5は試料から散乱或いは反跳されたイオンの運動軌跡を示す模式図,図6はデフレクタを用いて散乱イオンを除去する従来の方法を説明するための模式図,図7は極薄膜フィルタを用いて散乱イオンを除去する従来の方法を説明するための模式図である。
まず,図1の模式図及び図4の全体図を用いて,本発明の実施形態に係るERD分析装置Xの概略構成について説明する。尚,言うまでもないが,本ERD分析装置Xは試料中の成分元素が入射イオンのによってイオン化されて所定の角度へ反跳されたイオンのエネルギーを測定することにより試料の組成分析を行う試料分析装置の単なる一例に過ぎない。
本ERD分析装置Xは,窒素ガスから窒素イオン1を生成し,この窒素イオン1を数百keV〜数MeVに加速させ,加速された窒素イオン1(イオンビームに相当)を図4に示す試料チェンバ54により保持された試料4に照射するイオン発生器51(イオン照射手段の一例),該イオン発生器51から出射された窒素イオン1内の不純物を除去するウィンフィルタ52,上記窒素イオン1を収束させる四重極磁気レンズ53,試料4を保持する試料チェンバ54(真空容器に相当),試料4から所定角度に放出されたイオン粒子(散乱イオン及び反跳イオンを含む)のみ通過させるスリット17,イオン粒子の進行方向を該イオン粒子の持つエネルギーに応じて偏向させるエネルギー分離電磁石55(エネルギー分離手段の一例),試料4への窒素イオン1の入射方向を変化させるゴニオメータ57,上記試料チェンバ54内に試料を出し入れする試料交換装置58等を備えている点において前記した高分解能試料分析装置Y(図4参照)と略同様に構成されている。しかし,本ERD分析装置Xは,図1に示すように,上記エネルギー分離電磁石55により偏向された上記反跳イオン2の所定の検出方向(図1の矢印A1)に対する飛翔位置(検出位置)を検出するイオン検出器としてエネルギー敏感型検出器の一例である半導体検出器16(イオン検出手段の一例)を用いている点,及び,上記エネルギー分離電磁石55により偏向された上記反跳イオン2に,上記検出方向(矢印A1)と同一方向(矢印A2)に該反跳イオン2を偏向させる電場(電界)を作用させる電場発生装置11(電場発生手段の一例)を上記エネルギー分離電磁石55と上記半導体検出器16との間に設けている点において前記した高分解能試料分析装置Yとは異なる。
ここで,図2のブロック図を用いて上記半導体検出器16について簡単に説明する。尚,上記半導体検出器16は,シリコン或いはゲルマニウム等の半導体を利用した従来周知のエネルギー敏感型のイオン検出器である。このようなエネルギー敏感型のイオン検出器16は,図1中X方向に複数のチャンネルに分かれているので,反跳イオンの上記エネルギー分離電磁石55及び電場発生装置11(電場発生手段の一例)による偏向の程度をイオンが衝突したチャンネルの位置によって検出することができると共に,エネルギー敏感型の検出器であるため,入射するイオン粒子のエネルギーに応じて出力パルスの波高が異なる。このため,エネルギー分解能20keV程度(通常の半導体検出器のエネルギー分解能)以上の検出器を採用して出力パルスの波高分析を行うことにより,反跳粒子(例えば水素イオン)と散乱粒子(例えば窒素イオン)のシグナルを区別して測定することができる。なお,このようなエネルギー敏感型のイオン検出器は周知のため,ここでは詳しい説明を省略する。
上記半導体検出器16は,上記のように該半導体検出器16に入射(到達)した反跳イオン2の位置を検出する複数のチャネルと,該チャネルにより検出された反跳イオン2の検出信号を増幅するアンプ21と,上記アンプ21により増幅された検出信号をデジタル化するA/D変換器22と,デジタル化された上記検出信号と後述する数式(2)〜(4)に基づき演算処理を実行する演算制御部23とにより構成されている。また,上記演算処理部23にはキーボード等の入力装置25が接続されており,この入力装置25の操作により,上記演算処理部23における演算処理に用いられるデータ(情報)が入力(設定)される。尚,上記演算処理部23による演算結果は,外部接続されたプリンタやCRT等の外部出力機器(不図示)に出力される。
上記演算処理部23は,CPU31(中央処理装置)やRAM32,メモリ33等を備えて構成されている。このメモリ33には上記入力装置25から入力された演算処理に用いられる種々のデータ,演算結果,或いは後述する数式に基づく演算プログラム等が記憶されており,上記CPU31はこれらのデータや演算プログラムを読み出し,上記RAM32において上記演算プログラムに基づく演算処理を実行する。
続いて,図1の模式図を用いて,本ERD分析装置Aの動作について説明する。
上記イオン発生器51から出射された窒素イオンビームが試料4に照射され,上記試料4を構成する水素原子に衝突すると,水素原子の一部がイオン化され,試料表面からの深さに応じたエネルギーをもって所定の角度へ跳ね返されて反跳イオン2(水素イオン)となる。同時に,上記窒素イオンビームの一部も,上記試料4を構成する組成元素に衝突すると,あるエネルギーをもって所定の角度へ弾性散乱されて散乱イオン1(窒素イオン)となる。
これら両イオンのうち,試料4と上記エネルギー電磁石55との間に設けられたスリット17を通過したイオンだけが,上記エネルギー電磁石55により各イオンが持つエネルギーに応じてその運動方向(進行方向)が偏向される。本実施形態例では,上記エネルギー電磁石55において,図1において紙面に垂直な方向であって,紙面を表から裏に貫く方向(矢印A3)に磁界(磁束密度B[T])が与えられているため,上記エネルギー分離電磁石55中を通過する上記各イオンは進行方向(飛翔方向)及び上記磁界(磁束)の方向(矢印A3)に垂直な方向(矢印A4)に働く力によって偏向される。
上記エネルギー電磁石55により偏向された上記散乱イオン1及び上記反跳イオン2は,その後,上記電場発生装置11によって上記矢印A2の方向に与えられた電界中を通過することにより,上記矢印A2の方向,即ち上記エネルギー電磁石55のマイナス電極側に向けて更に偏向される。
本発明によれば,以下のようにしてスペクトルの表面立ち上がりエネルギーを求めることができる。図1を用いて説明する。
エネルギー分離磁石を通過してきた反跳粒子について考える。一様静電場によるイオンビームの偏向量yは,次式で表される。
y=lLV/(DE) …(2)
ただし,2lは静電場が発生している距離(図1のL1),Vは電極間電圧,Lは一様静電場中心から位置検出器までの距離(図1のL2),Eはイオンのエネルギー,Dは,電極間距離である。すなわち,一様静電場によるイオンビームの偏向量yは,電界強度に比例することがわかる。ここで電極間電圧を2段階V1,V2に変化させ,それぞれの条件下でエネルギー分離磁石を通過してきた反跳粒子が,イオン検出器16に衝突した場合を考える。即ち,(2)式に基づき電場発生手段により電極間電圧V1を発生させてスペクトルを取得し,スペクトルの表面立ち上がりのチャンネル番号ch1を求める。同様にV2を発生させてスペクトルを取得し,スペクトルの表面立ち上がりのチャンネル番号ch2を求める。両者の差dch=ch2-ch1と,位置検出器の全長をWを用いて,電場発生手段による位置検出器上の距離差dyは
dy = W×dch / 総チャンネル数 …(3)
で表される。こうして各条件V1,V2におけるスペクトル立ち上がりのチャンネル番号ch1とch2を測定すると,ch1とch2の差dchは,位置検出器上の距離の差に対応することから,偏向距離の差dyがわかる。
いま電極間にV1とV2の電圧を掛けたときの偏向量をy1,y2とするると,y1とy2の差Δyは,上記dyである。上記V1,V2それぞれの時の(2)式のyの差Δy=y1−y2=lLV1/(DE)−lLV2/(DE)
=lL(V1−V2)/(DE)
したがって,
E=lL(V1−V2)/(ΔyD) …(4)
となり,上記Δyを測定することで,試料から反跳された反跳イオンのスペクトルの立ち上がりを示すエネルギーEを求めることができる。
また,エネルギーが既知である反跳イオンのイオン検出器16上における衝突位置が分かれば,周知の方法で任意のイオンのエネルギーとそのイオン検出器16上への衝突位置の対応が決まる。こうして該静電場は,エネルギーとチャンネルの対応づけを行うのが上記電場発生装置11の役目であるから,このような対応付け(校正)終了後は,電場を発生させる必要はない。すなわち,測定中は該静電場は切っておく。
また,上述したように,ある磁場強度を通過するのは反跳粒子だけではなく,反跳粒子分析にはノイズとなる散乱粒子もある。ただし,両者は質量に応じてエネルギーが違う(反比例)。たとえば反跳粒子が水素イオンで,散乱粒子が窒素イオンの場合,磁場強度0.26Tのエネルギー分離磁石(中心半径150mm)を通過するエネルギーはそれぞれ,73keV,5keVである。エネルギー敏感型のたとえばシリコン半導体検出器16は,入射する粒子のエネルギーに応じて出力パルスの波高が異なるため,エネルギー分解能20keV程度(通常の半導体検出器のエネルギー分解能)以上の検出器を用いて出力パルスの波高分析を行うことにより,反跳粒子と散乱粒子のシグナルを区別して測定する。これにより,反跳粒子と散乱粒子のスペクトルを同時に取得できる。もちろん,エネルギー弁別機構(または回路)を付加し,ある閾値以上のパルスのみ通過するようにすれば,反跳粒子のみのスペクトルを容易に取得できる。
いま,Achからのパルス波高値をVa,Bchからのパルス波高値をVbとする。両信号は,コインシデンス(同時性)判断機構(または回路)で,同時性を判断される。すなわち,両信号が同時に入力された場合のみ,ノイズでない真の信号と見なされ次の機構(または回路)に出力される。次に位置演算機構(または回路)では,入射した位置検出器上の位置を演算する。すなわち,位置検出器上での位置xは,x=Va/(Va+Vb)で計算される。
上記したような電場発生手段を用いることと,検出器としてエネルギー敏感型検出器を用いることは,特に関連はない,従って,それぞれ別に実施しても,或いは同時に実施してもかまわない
また,エネルギー決定用電場発生手段は,エネルギー分離磁石と散乱粒子除去用電場発生手段(or散乱粒子除去膜)の間に設置しても,散乱粒子除去用電場発生手段(or散乱粒子除去膜)と位置検出器の間に設置しても,散乱粒子除去用電場発生手段(or散乱粒子除去膜)と同段で90°回転させた位置に設置してもよい。
本発明の実施の形態に係るERD分析装置Xの概略構成及びイオン粒子の運動軌跡を示す模式図。 図2は本発明の実施の形態に係るERD分析装置Xに用いられる半導体検出器の概略構成を示すブロック図。 電場発生装置により与えられる電界強度に応じたイオンの検出チャネル及びその時のスペクトルとの関係を示す図。 従来の高分解能試料分析装置Yの構成を示す全体図。 試料から散乱或いは反跳されたイオンの運動軌跡を示す模式図。 デフレクタを用いて散乱イオンを除去する従来の方法を説明するための模式図。 極薄膜フィルタを用いて散乱イオンを除去する従来の方法を説明するための模式図。
符号の説明
1…窒素イオン(散乱イオンの一例)
2…水素イオン(反跳イオンの一例)
3…水素原子
4…試料
5…試料表面
11…電場発生装置(電場発生手段の一例)
16…半導体検出器(イオン検出手段の一例)
17…スリット
21…アンプ
22…A/D変換回路
23…演算制御部
25…入力装置
31…CPU
32…RAM
33…メモリ
51…イオン発生器
52…ウィンフィルタ
53…四重極磁気レンズ
54…試料チェンバ(真空容器)
55…エネルギー分離電磁石(エネルギー分離手段の一例)
56…イオン検出器
57…ゴニオメータ
58…試料交換装置
71…デフレクタ
81…極薄膜フィルタ

Claims (4)

  1. イオン発生器から出射されたイオンビームを所定の真空容器に保持された試料に照射するイオン照射手段と,
    上記イオン照射手段によりイオンビームが上記試料に照射されることによって,該試料を構成する原子がイオン化されて所定の角度へ反跳された反跳イオンの進行方向を,該反跳イオンが有するエネルギーに応じて偏向させるエネルギー分離手段と,
    上記エネルギー分離手段により偏向された上記反跳イオンの所定の検出方向に対する飛翔位置を検出するイオン検出手段と,
    を備えた試料分析装置において,
    上記エネルギー分離手段により偏向された上記反跳イオンに,上記所定の検出方向と同一方向に該反跳イオンを偏向させる電場を作用させる電場発生手段を上記エネルギー分離手段と上記イオン検出手段との間に備えてなることを特徴とする試料分析装置。
  2. イオン発生器から出射されたイオンビームを所定の真空容器に保持された試料に照射するイオン照射手段と,
    上記イオン照射手段によりイオンビームが上記試料に照射されることによって,該試料を構成する原子がイオン化されて所定の角度へ反跳された反跳イオンの進行方向を,該反跳イオンが有するエネルギーに応じて偏向させるエネルギー分離手段と,
    上記エネルギー分離手段により偏向された上記反跳イオンの所定の検出方向に対する飛翔位置を検出するイオン検出手段と,
    を備えた試料分析装置において,
    上記イオン検出手段が,エネルギー敏感型検出器である試料分析装置。
  3. 上記イオン検出手段が,半導体を利用した半導体検出器である請求項1或いは2のいずれかに記載の試料分析装置。
  4. イオン発生器から出射されたイオンビームを所定の真空容器に保持された試料に照射するイオン照射工程と,
    上記イオン照射工程によりイオンビームが上記試料に照射されることによって,該試料を構成する原子がイオン化されて所定の角度へ反跳された反跳イオンの進行方向を,該反跳イオンが有するエネルギーに応じて偏向させるエネルギー分離工程と,
    上記エネルギー分離工程により偏向された上記反跳イオンの所定の検出方向に対する飛翔位置を検出するイオン検出工程と,
    を備えた試料分析方法において,
    実際の試料へのイオンの照射による反跳イオンの飛翔位置の検出に先立って,
    模擬的試料についてイオンを照射し,上記イオン照射工程と上記エネルギー分離工程とを経て偏向された上記反跳イオンを,上記所定の検出方向と同一方向に該反跳イオンを偏向させる電場を,電解強度を多段に変化させて作用させる電場作用工程を経た後,上記イオン検出工程を経由させて上記異なる電界強度のもとにおける反跳イオンの飛翔位置を検出し,これによって反跳イオンのエネルギーと飛翔位置との関係を予め取得することを特徴とする試料分析方法。
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JP2010071873A (ja) * 2008-09-19 2010-04-02 Kobe Steel Ltd イオンエネルギーの分光方法および分光装置
JP2017003442A (ja) * 2015-06-11 2017-01-05 国立大学法人 筑波大学 分析装置及び分析システム

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