JP3140557B2 - レーザイオン化中性粒子質量分析装置及びこれを用いる分析法 - Google Patents
レーザイオン化中性粒子質量分析装置及びこれを用いる分析法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被分析物である固体試
料にイオンビームを照射することにより発生する中性粒
子に紫外パルスレーザを照射し、発生した光励起イオン
の質量スペクトルを測定するレーザイオン化中性粒子質
量分析装置及びそれを用いた分析法に係り、特に、高い
精度で定量分析を行うことの可能なレーザイオン化中性
粒子質量分析装置及びそれを用いる分析法に関する。
料にイオンビームを照射することにより発生する中性粒
子に紫外パルスレーザを照射し、発生した光励起イオン
の質量スペクトルを測定するレーザイオン化中性粒子質
量分析装置及びそれを用いた分析法に係り、特に、高い
精度で定量分析を行うことの可能なレーザイオン化中性
粒子質量分析装置及びそれを用いる分析法に関する。
【0002】
【従来の技術】固体試料の代表的微量分析法としては、
イオンビームにより表面からスパッタされる二次イオン
を検出する二次イオン質量分析法がある。しかし、二次
イオンは発生効率が低くかつ元素依存性が大きいため、
二次イオン強度が試料中の元素濃度に比例せず、定量性
に問題がある。これに対して、二次イオンと同時にスパ
ッタされる中性粒子量は元素濃度に比例するため、それ
を検出する中性粒子質量分析法は定量性の良い分析法で
ある。特に、中性粒子を高輝度レーザによりイオン化し
て質量分析するレーザイオン化中性粒子質量分析法はイ
オン化効率の良い方法として知られている。深さ方向の
分析の可能なレーザイオン化中性粒子質量分析装置に関
する公知例として、レーザイオン化中性粒子質量分析装
置(特開平3‐291559号)を挙げることができる。以下、
その原理構成について説明する。
イオンビームにより表面からスパッタされる二次イオン
を検出する二次イオン質量分析法がある。しかし、二次
イオンは発生効率が低くかつ元素依存性が大きいため、
二次イオン強度が試料中の元素濃度に比例せず、定量性
に問題がある。これに対して、二次イオンと同時にスパ
ッタされる中性粒子量は元素濃度に比例するため、それ
を検出する中性粒子質量分析法は定量性の良い分析法で
ある。特に、中性粒子を高輝度レーザによりイオン化し
て質量分析するレーザイオン化中性粒子質量分析法はイ
オン化効率の良い方法として知られている。深さ方向の
分析の可能なレーザイオン化中性粒子質量分析装置に関
する公知例として、レーザイオン化中性粒子質量分析装
置(特開平3‐291559号)を挙げることができる。以下、
その原理構成について説明する。
【0003】図4に従来のレーザイオン化中性粒子質量
分析装置の概略構成を示す。図において、まずイオンビ
ーム発生装置1から連続一次イオンビーム2を発生させ
る。次いで、連続イオンビーム2を静電レンズ3を用い
て集束した後、走査電極4によって振動させ、固体試料
5の表面を走査しながら衝撃を与えると、固体試料5の
表面から中性粒子6がスパッタリングされる。該中性粒
子6は紫外レーザ発生器7から発生させた紫外パルスレ
ーザ8によってイオン化され、光励起イオン9となる。
この光励起イオン9は引出し電極10により引出され、磁
場や電場を利用した質量分析器11によって質量分離され
た後、イオン検出器12によって電気パルス化され、パル
ス計数器13によって計数される。
分析装置の概略構成を示す。図において、まずイオンビ
ーム発生装置1から連続一次イオンビーム2を発生させ
る。次いで、連続イオンビーム2を静電レンズ3を用い
て集束した後、走査電極4によって振動させ、固体試料
5の表面を走査しながら衝撃を与えると、固体試料5の
表面から中性粒子6がスパッタリングされる。該中性粒
子6は紫外レーザ発生器7から発生させた紫外パルスレ
ーザ8によってイオン化され、光励起イオン9となる。
この光励起イオン9は引出し電極10により引出され、磁
場や電場を利用した質量分析器11によって質量分離され
た後、イオン検出器12によって電気パルス化され、パル
ス計数器13によって計数される。
【0004】このような装置においては、紫外パルスレ
ーザ8の空間形状は一定の形状に固定されている。
ーザ8の空間形状は一定の形状に固定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、紫外パルスレーザの空間形状は一定であるものの、
元素種ごとに中性粒子のイオン化レートが異なるため、
中性粒子がイオン化されて光励起イオンとなる割合は異
なる。また、元素種ごとに中性粒子の平均速度が異なる
ため、紫外パルスレーザの中に取り込まれる中性粒子の
割合も異なる。以上の理由から、同じ濃度の元素を分析
する場合にも、中性粒子のイオン化レートや平均速度の
違いにより光励起イオンの強度に差が生じる。
は、紫外パルスレーザの空間形状は一定であるものの、
元素種ごとに中性粒子のイオン化レートが異なるため、
中性粒子がイオン化されて光励起イオンとなる割合は異
なる。また、元素種ごとに中性粒子の平均速度が異なる
ため、紫外パルスレーザの中に取り込まれる中性粒子の
割合も異なる。以上の理由から、同じ濃度の元素を分析
する場合にも、中性粒子のイオン化レートや平均速度の
違いにより光励起イオンの強度に差が生じる。
【0006】上記の説明からわかるように、従来技術に
おいては、同じ濃度の被分析物を分析する場合でも光励
起イオンの強度に差が生じるために、被分析物の濃度と
光励起イオンの強度との間に比例関係が成り立たず、分
析を高い精度で行うことが困難であった。
おいては、同じ濃度の被分析物を分析する場合でも光励
起イオンの強度に差が生じるために、被分析物の濃度と
光励起イオンの強度との間に比例関係が成り立たず、分
析を高い精度で行うことが困難であった。
【0007】本発明の目的は、上記従来技術の有してい
た課題を解決して、高い精度で定量分析をすることが可
能なレーザイオン化中性粒子質量分析装置及びそれを用
いる分析法を提供することにある。
た課題を解決して、高い精度で定量分析をすることが可
能なレーザイオン化中性粒子質量分析装置及びそれを用
いる分析法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、真空中で被
分析物の固体試料表面にイオンビームを照射して該固体
試料表面から中性粒子をスパッタリングさせる手段と、
上記中性粒子をイオン化して光励起イオンを発生する紫
外パルスレーザと、上記光励起イオンを質量分離する質
量分析器と、該質量分析器により質量分離されたイオン
を検出するイオン検出器とからなるレーザイオン化中性
粒子質量分析装置において、開口幅が可変であるスリッ
トを用いて上記紫外パルスレーザの空間形状を変化させ
る手段を有することを特徴とするレーザイオン化中性粒
子質量分析装置とすること、及び、真空中で被分析物の
固体試料表面にイオンビームを照射して該固体試料表面
から中性粒子をスパッタリングさせる手段と、上記中性
粒子をイオン化して光励起イオンを発生する紫外パルス
レーザと、上記光励起イオンを質量分離する質量分析器
と、該質量分析器により質量分離されたイオンを検出す
る検出器とからなるレーザイオン化中性粒子質量分析装
置を用いる分析において、開口幅が可変であるスリット
を用いて上記紫外パルスレーザの空間形状を変化させた
ときの光励起イオンの強度の変化を測定することにより
上記中性粒子のイオン化レートの値と平均速度の値とを
求め、これらの値を用いて補正係数を求め、該補正係数
によって補正された上記光励起イオンの強度から被分析
物の濃度を求めることを特徴とするレーザイオン化中性
粒子質量分析装置を用いる分析法とすることによって達
成することができる。
分析物の固体試料表面にイオンビームを照射して該固体
試料表面から中性粒子をスパッタリングさせる手段と、
上記中性粒子をイオン化して光励起イオンを発生する紫
外パルスレーザと、上記光励起イオンを質量分離する質
量分析器と、該質量分析器により質量分離されたイオン
を検出するイオン検出器とからなるレーザイオン化中性
粒子質量分析装置において、開口幅が可変であるスリッ
トを用いて上記紫外パルスレーザの空間形状を変化させ
る手段を有することを特徴とするレーザイオン化中性粒
子質量分析装置とすること、及び、真空中で被分析物の
固体試料表面にイオンビームを照射して該固体試料表面
から中性粒子をスパッタリングさせる手段と、上記中性
粒子をイオン化して光励起イオンを発生する紫外パルス
レーザと、上記光励起イオンを質量分離する質量分析器
と、該質量分析器により質量分離されたイオンを検出す
る検出器とからなるレーザイオン化中性粒子質量分析装
置を用いる分析において、開口幅が可変であるスリット
を用いて上記紫外パルスレーザの空間形状を変化させた
ときの光励起イオンの強度の変化を測定することにより
上記中性粒子のイオン化レートの値と平均速度の値とを
求め、これらの値を用いて補正係数を求め、該補正係数
によって補正された上記光励起イオンの強度から被分析
物の濃度を求めることを特徴とするレーザイオン化中性
粒子質量分析装置を用いる分析法とすることによって達
成することができる。
【0009】
【作用】従来法においては、図5(a)に示すように、一
定の紫外パルスレーザの空間形状であっても、中性粒子
のイオン化レート W や平均速度 v の差によって光励起
イオンの強度に差が生じるために、被分析物の濃度 c
と光励起イオンの強度 Yとの間に比例関係が成立せず、
高精度の定量分析ができなかった。しかし、上記で説明
したような開口幅が可変であるスリットを用いることに
よって、紫外パルスレーザの空間形状を変化させたとき
の光励起イオンの強度の変化を測定することができ、こ
の結果から元素 i の中性粒子のイオン化レート Wi と
平均速度 viとが求められ、求めた中性粒子のイオン化
レート Wi と平均速度 vi とを用いて予め補正係数 fi
を求めておき、この補正係数 fi によって光励起イオン
の強度Y を補正すれば、補正された光励起イオンの強度
fi・Yと被分析物の濃度 c との間に比例関係が成立す
るようになる。従って、本発明によって、補正された光
励起イオンの強度 fi・Y から被分析物の濃度 c を高い
精度で定量分析することが可能となる。
定の紫外パルスレーザの空間形状であっても、中性粒子
のイオン化レート W や平均速度 v の差によって光励起
イオンの強度に差が生じるために、被分析物の濃度 c
と光励起イオンの強度 Yとの間に比例関係が成立せず、
高精度の定量分析ができなかった。しかし、上記で説明
したような開口幅が可変であるスリットを用いることに
よって、紫外パルスレーザの空間形状を変化させたとき
の光励起イオンの強度の変化を測定することができ、こ
の結果から元素 i の中性粒子のイオン化レート Wi と
平均速度 viとが求められ、求めた中性粒子のイオン化
レート Wi と平均速度 vi とを用いて予め補正係数 fi
を求めておき、この補正係数 fi によって光励起イオン
の強度Y を補正すれば、補正された光励起イオンの強度
fi・Yと被分析物の濃度 c との間に比例関係が成立す
るようになる。従って、本発明によって、補正された光
励起イオンの強度 fi・Y から被分析物の濃度 c を高い
精度で定量分析することが可能となる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の装置及びこれを用いた分析法
について実施例によって具体的に説明する。
について実施例によって具体的に説明する。
【0011】
【実施例1】図1に、本発明のレーザイオン化中性粒子
質量分析装置の一実施例の概略構成を示す。図1におい
て、まず、イオンビーム発生装置14から一次イオンビー
ム15を発生させる。次いで、イオンビーム15を静電レン
ズ16を用いて集束した後、走査電極17により振動させ、
固体試料18の表面を走査しながら衝撃させる。この走査
により固体試料18の表面から中性粒子19が放出される。
一方、紫外レーザ発生器から発生した紫外パルスレーザ
21の一部は開口幅22が可変であるスリット23を通過して
固体試料18の直上に達する。中性粒子19は紫外パルスレ
ーザ21の一部によりイオン化されて光励起イオン24とな
る。光励起イオン24は負の電圧が印加された引出し電極
25により引き出され、磁場や電場を利用した質量分析器
26によって質量分離される。質量分析器26によって質量
分離された光励起イオン24はイオン検出器27で電気パル
ス化され、パルス計数器27 で電気パルス化され、パル
ス計数器28によって計数される。
質量分析装置の一実施例の概略構成を示す。図1におい
て、まず、イオンビーム発生装置14から一次イオンビー
ム15を発生させる。次いで、イオンビーム15を静電レン
ズ16を用いて集束した後、走査電極17により振動させ、
固体試料18の表面を走査しながら衝撃させる。この走査
により固体試料18の表面から中性粒子19が放出される。
一方、紫外レーザ発生器から発生した紫外パルスレーザ
21の一部は開口幅22が可変であるスリット23を通過して
固体試料18の直上に達する。中性粒子19は紫外パルスレ
ーザ21の一部によりイオン化されて光励起イオン24とな
る。光励起イオン24は負の電圧が印加された引出し電極
25により引き出され、磁場や電場を利用した質量分析器
26によって質量分離される。質量分析器26によって質量
分離された光励起イオン24はイオン検出器27で電気パル
ス化され、パルス計数器27 で電気パルス化され、パル
ス計数器28によって計数される。
【0012】本発明では、スリット23の開口幅22を変化
させることによって固体試料18の直上に達する紫外パル
スレーザ21の空間形状を変化させることができ、光励起
イオン24の強度のスリット23の開口幅22に対する依存性
を測定することができる
させることによって固体試料18の直上に達する紫外パル
スレーザ21の空間形状を変化させることができ、光励起
イオン24の強度のスリット23の開口幅22に対する依存性
を測定することができる
【0013】
【実施例2】図2は本発明レーザイオン化中性粒子質量
分析装置の他の実施例の概略構成を示す図で、図におい
て、スリット38の可動部44がパルスモータ45に取り付け
られており、コンピュータ46によりパルスモータ45を動
作させるための電気信号47をパルスコントローラ48に送
り、パルスコントローラ48によりパルスモータ45を動作
させることによってスリット38の可動部44を移動させて
開口幅37を変化させることができるようにしたものであ
る。
分析装置の他の実施例の概略構成を示す図で、図におい
て、スリット38の可動部44がパルスモータ45に取り付け
られており、コンピュータ46によりパルスモータ45を動
作させるための電気信号47をパルスコントローラ48に送
り、パルスコントローラ48によりパルスモータ45を動作
させることによってスリット38の可動部44を移動させて
開口幅37を変化させることができるようにしたものであ
る。
【0014】装置の動作は次の通りである。すなわち、
まず、一次イオンビーム30の衝撃により固体試料33の表
面から中性粒子34が放出される。一方、紫外レーザ発生
器35から発生した紫外パルスレーザ36の一部は開口幅37
が可変であるスリット38を通過して固体試料33の直上に
達する。中性粒子34は紫外パルスレーザ36の一部により
イオン化されて光励起イオン39となる。この後、所定の
時間内にパルス計数器43で計数された光励起イオン39は
電気信号49としてコンピュータ46に取り込まれる。開口
幅37を順次変化させた時の電気信号49を順次取り込むこ
とにより、光励起イオン39の強度の開口幅37に対する依
存性を自動的に測定することができる。
まず、一次イオンビーム30の衝撃により固体試料33の表
面から中性粒子34が放出される。一方、紫外レーザ発生
器35から発生した紫外パルスレーザ36の一部は開口幅37
が可変であるスリット38を通過して固体試料33の直上に
達する。中性粒子34は紫外パルスレーザ36の一部により
イオン化されて光励起イオン39となる。この後、所定の
時間内にパルス計数器43で計数された光励起イオン39は
電気信号49としてコンピュータ46に取り込まれる。開口
幅37を順次変化させた時の電気信号49を順次取り込むこ
とにより、光励起イオン39の強度の開口幅37に対する依
存性を自動的に測定することができる。
【0015】
【実施例3】次に、上記本発明レーザイオン化中性粒子
質量分析装置を用いる分析法の分析手法について説明す
る。
質量分析装置を用いる分析法の分析手法について説明す
る。
【0016】図3はスリットの開口幅 X を変化させた
ときの光励起イオン強度 Y の変化を示した図である。
開口幅 X が小さいとき直線関係1として Y = A・X が
成り立ち、開口幅 X が大きいとき直線関係2として Y
= B・X+ C が成り立つ。ここで、A、B はそれぞれの直
線の傾きであり、C は直線関係2における Y 切片であ
る。レーザの発光時間をτとすると、二つの直線の傾き
の比 B/A は B/A ={ 1−exp(−Wτ)}/ Wτ で与えられ、これからイオン化レート W を求めること
ができる。中性粒子の平均速度を v とすると、二つの
直線の交点の開口幅の値 X'から中性粒子の平均速度 v
は v = X'・[ Wτ−{1−exp(−Wτ)}] ÷[2・τ−(τ+2/W)・{1−exp(−Wτ)}] によって求めることができる。この方法によって求めら
れる元素iのイオン化レートと平均速度の値をそれぞれ
Wiと viとする。実際の被分析物中の未知濃度の元素i
のイオン強度を測定する場合の開口幅を X'より大きく
とり、その開口幅の値を X''とすると元素iの補正係数
fiは {1−exp(−Wi・τ)}・ X''/vi+ 2・τ−(τ+2/Wi)・{1−exp(−Wi・τ)} の逆数として求められる。この方法で予め求めた補正係
数 fiによって、測定で得られた未知濃度の元素iの光
励起イオンの強度 Yiを補正すると、補正された光励起
イオンの強度 yi= fi・Yi と被分析物の濃度 ciとの間
に比例関係 ci=K・yiが成立するようになる。濃度の単
位を%とした場合、比例係数 K は K =100/Σyiであ
る。以上のように補正した光励起イオンの強度 yiから
被分析物の濃度ciを正確に求めることができる。
ときの光励起イオン強度 Y の変化を示した図である。
開口幅 X が小さいとき直線関係1として Y = A・X が
成り立ち、開口幅 X が大きいとき直線関係2として Y
= B・X+ C が成り立つ。ここで、A、B はそれぞれの直
線の傾きであり、C は直線関係2における Y 切片であ
る。レーザの発光時間をτとすると、二つの直線の傾き
の比 B/A は B/A ={ 1−exp(−Wτ)}/ Wτ で与えられ、これからイオン化レート W を求めること
ができる。中性粒子の平均速度を v とすると、二つの
直線の交点の開口幅の値 X'から中性粒子の平均速度 v
は v = X'・[ Wτ−{1−exp(−Wτ)}] ÷[2・τ−(τ+2/W)・{1−exp(−Wτ)}] によって求めることができる。この方法によって求めら
れる元素iのイオン化レートと平均速度の値をそれぞれ
Wiと viとする。実際の被分析物中の未知濃度の元素i
のイオン強度を測定する場合の開口幅を X'より大きく
とり、その開口幅の値を X''とすると元素iの補正係数
fiは {1−exp(−Wi・τ)}・ X''/vi+ 2・τ−(τ+2/Wi)・{1−exp(−Wi・τ)} の逆数として求められる。この方法で予め求めた補正係
数 fiによって、測定で得られた未知濃度の元素iの光
励起イオンの強度 Yiを補正すると、補正された光励起
イオンの強度 yi= fi・Yi と被分析物の濃度 ciとの間
に比例関係 ci=K・yiが成立するようになる。濃度の単
位を%とした場合、比例係数 K は K =100/Σyiであ
る。以上のように補正した光励起イオンの強度 yiから
被分析物の濃度ciを正確に求めることができる。
【0017】
【発明の効果】以上述べてきたように、レーザイオン化
中性粒子質量分析装置を本発明構成の装置及び方法とす
ることによって、従来技術の有していた課題を解決し
て、高い精度で定量分析をすることが可能なレーザイオ
ン化中性粒子質量分析装置及びそれを用いる分析法を提
供することができた。
中性粒子質量分析装置を本発明構成の装置及び方法とす
ることによって、従来技術の有していた課題を解決し
て、高い精度で定量分析をすることが可能なレーザイオ
ン化中性粒子質量分析装置及びそれを用いる分析法を提
供することができた。
【0018】すなわち、本発明によるレーザイオン化中
性粒子質量分析装置は、真空中で被分析物の固体試料表
面にイオンビームを照射し、上記固体試料表面から中性
粒子をスパッタリングする手段と、上記中性粒子をイオ
ン化して光励起イオンを発生する紫外パルスレーザと、
上記光励起イオンを質量分離する質量分析器と、該質量
分析器により質量分離されたイオンを検出するイオン検
出器とからなるレーザイオン化中性粒子質量分析装置に
おいて、開口幅が可変であるスリットを用いることによ
って、上記紫外パルスレーザの空間形状を変化させたと
きの光励起イオンの強度の変化を測定することができ、
この結果から中性粒子のイオン化レートと平均速度とが
求められ、求めた中性粒子のイオン化レートと平均速度
を用いて予め補正係数を求めておき、この補正係数によ
って光励起イオンの強度を補正すれば、補正された光励
起イオンの強度と被分析物の濃度との間に比例関係が成
立するようになる。従って、本発明では、補正された光
励起イオンの強度から被分析物の濃度を高い精度で定量
分析することが可能となる。
性粒子質量分析装置は、真空中で被分析物の固体試料表
面にイオンビームを照射し、上記固体試料表面から中性
粒子をスパッタリングする手段と、上記中性粒子をイオ
ン化して光励起イオンを発生する紫外パルスレーザと、
上記光励起イオンを質量分離する質量分析器と、該質量
分析器により質量分離されたイオンを検出するイオン検
出器とからなるレーザイオン化中性粒子質量分析装置に
おいて、開口幅が可変であるスリットを用いることによ
って、上記紫外パルスレーザの空間形状を変化させたと
きの光励起イオンの強度の変化を測定することができ、
この結果から中性粒子のイオン化レートと平均速度とが
求められ、求めた中性粒子のイオン化レートと平均速度
を用いて予め補正係数を求めておき、この補正係数によ
って光励起イオンの強度を補正すれば、補正された光励
起イオンの強度と被分析物の濃度との間に比例関係が成
立するようになる。従って、本発明では、補正された光
励起イオンの強度から被分析物の濃度を高い精度で定量
分析することが可能となる。
【図1】本発明レーザイオン化中性粒子質量分析装置の
一実施例の構成を示す図。
一実施例の構成を示す図。
【図2】本発明レーザイオン化中性粒子質量分析装置の
他の実施例の構成を示す図。
他の実施例の構成を示す図。
【図3】スリットの開口幅を変化させたときの光励起イ
オンの強度の変化を示す図。
オンの強度の変化を示す図。
【図4】従来のレーザイオン化中性粒子質量分析装置の
構成を示す図。
構成を示す図。
【図5】被分析物の光励起イオンの強度と元素濃度との
関係を示す図で、(a) は従来方法による場合、(b) は本
発明方法による場合を示す。
関係を示す図で、(a) は従来方法による場合、(b) は本
発明方法による場合を示す。
1…イオンビーム発生装置、2…連続一次イオンビー
ム、3…静電レンズ、4…走査電極、5…固体試料、6
…中性粒子、7…紫外レーザ発生器、8…紫外パルスレ
ーザ、9…光励起イオン、10…引出し電極、11…質量分
析器、12…イオン検出器、13…パルス計数器、14…イオ
ンビーム発生装置、15…一次イオンビーム、16…静電レ
ンズ、17…走査電極、18…固体試料、19…中性粒子、20
…紫外レーザ発生器、21…紫外パルスレーザ、22…開口
幅、23…スリット、24…光励起イオン、25…引出し電
極、26…質量分析器、27…イオン検出器、28…パルス計
数器、29…イオンビーム発生装置、30…一次イオンビー
ム、31…静電レンズ、32…走査電極、33…固体試料、34
…中性粒子、35…紫外レーザ発生器、34…中性粒子、35
…紫外レーザ発生器、36…紫外パルスレーザ、37…開口
幅、38…スリット、39…光励起イオン、40…引出し電
極、41…質量分析器、42…イオン検出器、43…パルス計
数器、44…スリットの可動部、45…パルスモータ、46…
コンピュータ、47…電気信号、48…パルスコントロー
ラ、49…電気信号。
ム、3…静電レンズ、4…走査電極、5…固体試料、6
…中性粒子、7…紫外レーザ発生器、8…紫外パルスレ
ーザ、9…光励起イオン、10…引出し電極、11…質量分
析器、12…イオン検出器、13…パルス計数器、14…イオ
ンビーム発生装置、15…一次イオンビーム、16…静電レ
ンズ、17…走査電極、18…固体試料、19…中性粒子、20
…紫外レーザ発生器、21…紫外パルスレーザ、22…開口
幅、23…スリット、24…光励起イオン、25…引出し電
極、26…質量分析器、27…イオン検出器、28…パルス計
数器、29…イオンビーム発生装置、30…一次イオンビー
ム、31…静電レンズ、32…走査電極、33…固体試料、34
…中性粒子、35…紫外レーザ発生器、34…中性粒子、35
…紫外レーザ発生器、36…紫外パルスレーザ、37…開口
幅、38…スリット、39…光励起イオン、40…引出し電
極、41…質量分析器、42…イオン検出器、43…パルス計
数器、44…スリットの可動部、45…パルスモータ、46…
コンピュータ、47…電気信号、48…パルスコントロー
ラ、49…電気信号。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−56057(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 49/00 - 49/42 H01J 37/252
Claims (3)
- 【請求項1】真空中で被分析物の固体試料表面にイオン
ビームを照射して該固体試料表面から中性粒子をスパッ
タリングさせる手段と、上記中性粒子をイオン化して光
励起イオンを発生する紫外パルスレーザと、上記光励起
イオンを質量分離する質量分析器と、該質量分析器によ
り質量分離されたイオンを検出するイオン検出器とから
なるレーザイオン化中性粒子質量分析装置において、開
口幅が可変であるスリットを用いて上記紫外パルスレー
ザの空間形状を変化させる手段を有することを特徴とす
るレーザイオン化中性粒子質量分析装置。 - 【請求項2】上記紫外パルスレーザの空間形状を自動的
に変化させ、該変化後の所定の時間内に検出されるイオ
ン強度を自動的に測定する手段を有することを特徴とす
る請求項1記載のレーザイオン化中性粒子質量分析装
置。 - 【請求項3】真空中で被分析物の固体試料表面にイオン
ビームを照射して該固体試料表面から中性粒子をスパッ
タリングさせる手段と、上記中性粒子をイオン化して光
励起イオンを発生する紫外パルスレーザと、上記光励起
イオンを質量分離する質量分析器と、該質量分析器によ
り質量分離されたイオンを検出する検出器とからなるレ
ーザイオン化中性粒子質量分析装置を用いる分析におい
て、開口幅が可変であるスリットを用いて上記紫外パル
スレーザの空間形状を変化させたときの光励起イオンの
強度の変化を測定することにより上記中性粒子のイオン
化レートの値と平均速度の値とを求め、これらの値を用
いて補正係数を求め、該補正係数によって補正された上
記光励起イオンの強度から被分析物の濃度を求めること
を特徴とするレーザイオン化中性粒子質量分析装置を用
いる分析法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04133558A JP3140557B2 (ja) | 1992-05-26 | 1992-05-26 | レーザイオン化中性粒子質量分析装置及びこれを用いる分析法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04133558A JP3140557B2 (ja) | 1992-05-26 | 1992-05-26 | レーザイオン化中性粒子質量分析装置及びこれを用いる分析法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05325884A JPH05325884A (ja) | 1993-12-10 |
JP3140557B2 true JP3140557B2 (ja) | 2001-03-05 |
Family
ID=15107619
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04133558A Expired - Fee Related JP3140557B2 (ja) | 1992-05-26 | 1992-05-26 | レーザイオン化中性粒子質量分析装置及びこれを用いる分析法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3140557B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106981412B (zh) * | 2016-01-19 | 2019-02-12 | 中国科学院化学研究所 | 检测颗粒质量的质谱装置、用途及测量方法 |
-
1992
- 1992-05-26 JP JP04133558A patent/JP3140557B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05325884A (ja) | 1993-12-10 |
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