JP2005233803A - 分光光度計 - Google Patents

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Abstract

【課題】 繰り返し測定の際に、試料の急激な変化を確実に捉えるとともに変化が緩慢な時間帯でのデータ取得を減らして総データ量を抑制する。
【解決手段】 測定開始前に測定値の変動等を評価するための評価関数を定め(S1)、測定開始後は、1回の測定を行う毎に評価関数を用いて評価値を算出し(S9、S10)、その評価値に基づいて次の測定までの測定時間間隔Δtを求め(S11)、次回測定予定時間taを更新する(S12)。例えば測定値の時間変化率を導出する式を評価関数とし、その評価値が大きいほど測定時間間隔Δtが短くなるように定めておくと、試料の変化が緩慢である期間中には疎らな測定が実行され、試料が急激に変化すると測定間隔が密になってその急激な変化の状態を確実に捉えることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、紫外可視分光光度計、赤外分光光度計、蛍光分光光度計などの各種の分光光度計に関し、更に詳しくは、吸光度や透過率等の時間的な変化を観察するために繰り返し測定を行う分光光度計に関する。
紫外可視分光光度計などを用いれば、試料溶液による吸光度スペクトルや透過率スペクトルを測定し、そのスペクトルから試料溶液に含まれる成分を特定したり、その成分の含有量を推定したりすることができる。こうした分光光度計においては、試料中の成分の化学反応等による時間的な変化をみるために、比較的長時間に亘って所定時間間隔毎に繰り返し測定を行なうことがよくある。従来の一般的な分光光度計では、こうした繰り返し測定にあたって、測定者が測定前に測定時間間隔と測定終了時間(又は測定繰り返し回数)を入力設定しておくと、その測定終了時間まで測定時間間隔毎に繰り返し測定が実行されるようになっている(例えば特許文献1など参照)。
多くの場合、こうした試料溶液中の物質の化学反応等の反応速度は時間依存性を有している。例えば、測定開始から或る時間が経過するまでは殆ど変化が生じず、その時間が経過すると急激に反応が進んで短時間で反応が終了してしまうような場合もある。また、こうした反応速度の急激な変化は、試料に含まれる各成分の濃度や周囲温度などの微妙な差異などによってその起き方が大きく相違する場合がある。このような一部の時間帯で試料の急激な変化がある場合、測定時間間隔が長いと急激な変化を充分に記録できない可能性がある。また、試料の変化に応じて他の機器を制御したい場合などには、制御のタイミングが遅れてしまう可能性がある。したがって、こうした急激な変化が予測される場合には、測定時間間隔を短くしておく必要がある。
一方、試料の急激な変化を捉えるために測定時間間隔を短くしようとすれば単位時間当たりに発生する測定データ量は増加するから、繰り返し測定の全測定時間を長く確保したい場合には測定データの総量が膨大になってしまい、これを保存するために大きな記憶容量が必要となる。逆に装置の記憶容量に制約を設けるとすれば、測定時間間隔を短くするためには繰り返し測定の全測定時間を短くせざるを得ないという問題がある。
また、上述したように試料の変化が殆ど無い時間帯と変化が急激である時間帯とが明確であるような場合、実際に測定データとして収集したいのは後者、つまり変化が急激である時間帯の部分だけであることが多い。しかしながら、従来の分光光度計では、試料が殆ど変化しない時間帯においても多くの測定データを取得するため、記憶容量を無駄に使用することになる。また、こうして収集した測定データを解析したりデータベースに保存したりする際には、無駄な測定データが多いと着目する部分を探して切り出す作業がそれだけ面倒になり、作業効率が悪い。
さらにまた、分光光度計を用いた測定では、測定者が測光値の時間変化曲線などを観察しながら反応の終了点を判断し、反応が終了したと判断した時点でキー操作を行って測定の終了を指示するといった測定を行う場合がある。こうした場合、着目すべき物理量が或る波長における吸光度のように単純なものである場合には問題ないが、測光値に基づいて複雑なデータ処理を行って取得される値が着目すべき物理量であるようなときには、測定者が測光値の時間変化曲線を見ながら、反応が終了し着目すべき物理量の変化が収束したか否かを判断することは困難である。そのため、完全に反応が終了しない前に測定を打ち切ってしまったり、逆に反応が終了して有意なデータを収集できないにも拘わらず無駄に測定を継続したりすることがあった。
特開平10−221168号公報([0012]段)
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その第1の目的は、収集する測定値データの総量を抑制しつつ、試料の変化が急激である場合にでもその変化の状態を確実に捉えることができる分光光度計を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、測定者が着目すべき試料の変化のみを確実に捉えてデータを収集したり記録したりすることができる分光光度計を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明に係る分光光度計は、試料に対して複数回の繰り返し測定を行う分光光度計において、
a)時間経過に対する測定値の特定の変動状態を判断するために予め定められた評価関数を記憶しておく記憶手段と、
b)繰り返し測定の実行中、各測定毎に、前記評価関数を用いて測定値から評価値を算出する評価値算出手段と、
c)前記算出された評価値に応じて次の測定までの測定時間間隔を決定する測定制御手段と、
を備えることを特徴としている。
また、上記課題を解決するために成された第2発明に係る分光光度計は、試料に対して複数回の繰り返し測定を行う分光光度計において、
a)時間経過に対する測定値の特定の変動状態を判断するために予め定められた評価関数を記憶しておく記憶手段と、
b)繰り返し測定の実行中、各測定毎に、前記評価関数を用いて測定値から評価値を算出する評価値算出手段と、
c)前記算出された評価値に応じて測定値データの保存又は出力の開始及び/又は終了を指示する測定制御手段と、
を備えることを特徴としている。
また、上記課題を解決するために成された第3発明に係る分光光度計は、試料に対して複数回の繰り返し測定を行う分光光度計において、
a)時間経過に対する測定値の特定の変動状態を判断するために予め定められた評価関数を記憶しておく記憶手段と、
b)繰り返し測定の実行中、各測定毎に、前記評価関数を用いて測定値から評価値を算出する評価値算出手段と、
c)前記算出された評価値を、その時間的な変動状態が測定者に認識可能である形態で以て提示する情報提示手段と、
を備えることを特徴としている。
第1〜第3発明に係る分光光度計ではいずれも、測定値に対して所定の演算を行って評価値を算出するための評価関数を予め定めておく。評価関数としては、1次式、2次式、又はそれ以上の高次の多項式、時間変化率算出式、微分式、積分式など、時間経過に対する測定値の特定の変動状態を判断するための適宜の関数とすることができる。ここでいう「時間経過に対する測定値の特定の変動状態」とは測定者が着目している変動状態のことであり、その測定の目的に応じて、例えば急激な変動が生じた場合、或る一定状態が所定時間だけ継続した場合、或る特殊なパターンでの変動が生じた場合など、様々な場合が考え得る。また、こうした関数の係数等も予め設定しておく。繰り返し測定が開始されると各測定毎に測定値(例えば或る波長に対する測光値、多波長に対する各測光値など)が得られるが、評価値算出手段は、1回の測定毎に上記評価関数を用いて測定値から評価値を算出する。
第1発明に係る分光光度計において測定制御手段は、この評価値に応じて次の測定までの測定時間間隔を決定する。具体的には、例えば評価値により、試料に急激な変化が生じる兆候がある場合、緩急には関係なく着目すべき変化が生じる兆候がある場合などには、測定時間間隔を相対的に短くし、逆に試料の変化が緩慢になりつつある場合や着目すべき変化が収まりつつある場合などには、測定時間間隔を相対的に長くする。すなわち、評価値に応じて適応的に測定時間間隔を変化させることで、試料の急激な変化の態様や着目すべき変化を漏らすことなく確実に捉えることができる。なお、こうした目的のために、評価値と測定時間間隔との関係を表す情報、例えば換算表や換算式などを予め入力設定できるようにしてもよい。
また、第2発明に係る分光光度計において測定制御手段は、上記評価値に応じて測定値データの保存や出力の開始及び/又は終了動作を制御する。例えば繰り返し測定を殆ど無制限に連続的に行う場合であって、試料に急激な変化があるときや着目すべき変化があるときにのみ測定値データを収集したい場合には、上記評価値に応じた所定期間だけ測定値データを記憶装置に保存したり、或いはプリンタで印刷するために出力したりすればよい。なお、このとき、測定日時などの付加情報を測定値データ(測定値から計算した結果などのデータも含む)に対応付けて保存又は出力するとよい。
また、第3発明に係る分光光度計において情報提示手段は、上記評価値をその時間的な変動状態が測定者に認識可能である形態で以て提示する。具体的には、情報提示手段はモニタなどの表示手段を含み、例えば評価値の時間変化曲線をその表示手段の画面上に時々刻々と表示させる。測定者が着目する反応等の状態を反映し得るような評価関数を予め定めておきさえすれば、測定者はこの評価値の時間変化曲線を見ながら着目する反応等の開始点や終了点を的確に判断することができ、測定終了の指示を当該装置に与えたり測定値データの転送の開始・終了の指示を当該装置に与えたりすることができる。
第1発明に係る分光光度計によれば、試料の急激な変化や測定者が着目すべき変化などを漏らすことなく確実に捉えることができ、且つ緩慢な変化しか生じない時間帯や不要な時間帯に必要以上に多くのデータを取得することを防止することができる。それによって、測定値データを格納する記憶容量を節約しながら所望の測定値データを確実に収集できる。また、不要なデータが少なくなるので、後でこうしたデータに基づいて解析処理などを行う際にも作業が容易になり作業効率が向上する。また、記憶容量が限られた装置においても、繰り返し測定の全測定時間を不所望に短くする必要がなく、繰り返し測定の測定回数も増やすことができる。
また、第2発明に係る分光光度計によれば、試料の急激な変化や測定者が着目すべき変化などに対応した測定値データを確実に収集したり、そうした変化の状態を記録したりすることができる。それによって、不要なデータを収集したり記録したりすることがなくなるので、無駄なデータの保存や印刷などが不要になる。
さらにまた、第3発明に係る分光光度計によれば、測定者が着目すべき試料の変化などに応じて適切に必要な測定値データの収集を行うことができる。それによって、無駄な測定データを収集してしまったり、逆に本来収集すべきであるデータを取得し損なったりすることを防止することができる。
[第1実施例]
第1発明に係る分光光度計の一実施例(第1実施例)であるフォトダイオードアレイ分光光度計について図面を参照して説明する。図1は第1実施例による分光光度計の要部の構成図、図2は第1実施例の分光光度計の特徴的な制御動作を説明するためのフローチャート、図3はその制御動作の一例を説明するための概略波形図、図4は評価値と測定時間間隔との関係の一例を示す図である。
図1において、試料に対して吸光測定を実行する分析部1は、光源2と、試料溶液が貯留された試料セル3と、回折格子等の分光器4と、フォトダイオードアレイ検出器(以下PDA検出器と称す)5とを含む。光源2は例えば近紫外光から可視光までの幅広い波長を含む光を発するものであり、例えば重水素ランプやハロゲンランプ等を用いる。すなわち、光源2から発せられた測定光は試料セル3に照射され、試料セル3に収容されている試料溶液を測定光が通過する際にその含有成分に特有な吸収を受ける。この透過光は分光器4で波長分散され、各波長毎の光強度はPDA検出器5により同時に検出される。
PDA検出器5による検出信号はA/D変換部6によりデジタル化されてデータ処理部7へと送られる。データ処理部7では、収集した検出データに基づいて例えば各波長毎の吸光度を計算し、吸光度スペクトルを作成したり、定性分析或いは定量分析を実行したりする。制御部10には入力部8や表示部9が接続されており、分析部1やデータ処理部7の動作を制御する機能を有する。この制御部10は、評価関数記憶部11、評価値計算部12、測定間隔決定部13などを機能ブロックとして含む。
なお、測定対象の変化速度や用途などに応じて、データ処理部7及び制御部10は異なる形態により構成することができる。例えば、測定時間間隔がPDA検出器5の最小測定繰り返し周期である電荷蓄積時間と同程度であり、測定データの伝送・処理動作及び測定制御動作に応答の遅れが殆ど許容されない場合(具体的には高速反応の観察用途など)には、分光光度計本体に内蔵されたMPUとROMなどに書き込まれたMPU制御プログラムとによってデータ処理部7及び制御部10を構成するとよい。また、測定時間間隔がPDA検出器5の電荷蓄積時間と比較して十分に大きく、測定データの伝送・処理動作及び測定制御動作に或る程度の応答の遅れが許容される場合(具体的には製造ラインの廃液モニタなど)には、パーソナルコンピュータとパーソナルコンピュータ用の所定の制御プログラムとによってデータ処理部7及び制御部10を構成することができる。さらにまた、測定者の操作性を重視する場合には、パーソナルコンピュータとパーソナルコンピュータ用の所定の制御プログラムとによって入力部8及び表示部9を構成するとよい。
第1実施例の分光光度計における分析部1は、制御部10による制御の下で、試料による吸光スペクトルの測定を適宜の時間経過毎に繰り返し行い、各測定毎の吸光スペクトルデータを収集するが、その繰り返し測定の際の測定時間間隔の制御動作に特徴を有している。次に、その制御動作について、図2及び図3を参照して説明する。
この分光光度計では、測定時間間隔を決定する際に用いる各種の評価関数を評価関数記憶部11に格納しておく。評価関数としては、測定値を変数とする一次式、二次式、三次以上の高次式、時間変化率を導出する式、微分式、積分式など各種の関数を用いることができる。一般的には、評価関数はこの制御動作を達成するためのアプリケーションソフトウエアの中に標準的な関数として組み込んでおけばよいが、場合によってはこうした標準的な関数以外の関数・計算式を利用したいこともあるから、後から測定者が適宜不足している評価関数を追加して入力設定できるようにしておくとよい。
繰り返し測定開始前に、測定者は入力部8より、使用する評価関数とその関数を確定するのに必要な係数等のパラメータ、さらには1回目の測定時間t0などの各種測定条件パラメータを入力する(ステップS1)。評価関数については、予め評価関数記憶部11に格納されている複数の評価関数の中から適当なものを選択できるようにしておけばよく、その中に適切な評価関数が無い場合には上述したように測定者自らが関数を入力設定するようにすればよい。また、上記評価関数に基づいて算出された評価値から測定時間間隔Δtを導出するための情報として、例えば図4に示すようなグラフに対応した換算表或いは換算式なども入力しておく。
次に、測定者は入力部8より繰り返し測定の開始を指示する(ステップS2)。この指示を受けて、制御部10は繰り返し測定を開始する。繰り返し測定が開始されると、まず、測定間隔決定部13において初期設定として、先に入力された1回目の測定時間t0を次回測定予定時間taに設定し(ステップS3)、内部のタイマをリセットして経過時間tの計時を開始する(ステップS4)。その後に、測定中止を指示する旨の操作が入力部8より有ったか否かを判定し(ステップS5)、そうした操作が無いと判定されると、タイマによるその時点での経過時間tを取得する(ステップS6)。そして、その経過時間tが予め指定されている繰り返し測定の全測定時間Tを経過しているか否かを判定し(ステップS7)、全測定時間Tを未だ経過していなければ、次いでその経過時間tが次回測定予定時間taを経過しているか否かを判定する(ステップS8)。
上記ステップS5で測定中止指示が有ったと判定された場合、及び、ステップS7で経過時間tが繰り返し測定の全測定時間Tを経過していると判定された場合には、その時点で繰り返し測定を終了する(ステップS13)。また上記ステップS8で経過時間tが次回測定予定時間taを経過していないと判定されたときにはステップS5へと戻る。したがって、通常、繰り返し測定の開始当初は、経過時間tが1回目の測定時間t0になるまでステップS5〜S8の処理を繰り返す。
経過時間tが次回測定予定時間taを経過していると判定されると、制御部10は分析部1等に測定実行指令を出す。これによって分析部1は試料溶液に対する測定を実行し、データ処理部7はA/D変換部6によりデジタル化された検出データを読み込む(ステップS9)。データ処理部7は取得した検出データに基づいて各波長毎の吸光度を計算し、吸光度スペクトルを求める。また、その過程で評価値の計算に必要な測定値データを評価値計算部12へと入力する。評価値計算部12は評価関数記憶部11に格納されている多数の評価関数の中で予め指定されている評価関数を用いて、測定値データから評価値を計算する(ステップS10)。測定間隔決定部13はこの評価値に基づき、初めに設定された評価値/測定時間間隔の換算表等を参照して次回の測定までの測定時間間隔Δtを決める(ステップS11)。
さらに、現時点での測定予定時間(このときには実際には予定ではなく測定は実行されている)taに上記演算によって得られた測定時間間隔Δtを加算したものを次回測定予定時間taとして更新し(ステップS12)、ステップS5に戻る。したがって、ステップS5〜S12の処理の繰り返しにより、途中で測定中止指示が無い限り、全測定時間Tが経過するまでの期間、測定実行毎にその測定値データに基づいて評価値が計算され、その評価値から次の測定時間間隔Δtが決定され、次回測定予定時間taがta+Δtに更新される。測定時間間隔Δtが短くなれば測定が時間的に密に行われ、測定時間間隔Δtが長くなれば測定が時間的に疎らに行われることになる。
いま、具体的に、例えば或る波長における吸光度を反映した測定値が図3(a)に示す曲線のように時間経過に伴って変化する例について考えてみる。評価関数としては測定値の時間変化率を評価値として導出する計算式を用いるものとし、評価値から測定時間間隔Δtへの換算表は図4に示すグラフに基づくものとする。この場合、測定値の変化が無いときには評価値は小さく測定時間間隔Δtは長くなり、測定値の変化が急激になるほど評価値は増加して測定時間間隔Δtは短くなる。その結果、図3(a)及び(b)に示すように、測定開始から暫くの期間Taは測定値が殆ど変化しないために測定時間間隔Δtは最長時間Δt1に保たれ、その後、期間Tbにおいて試料の反応が始まって急激に測定値が上昇し始めると測定時間間隔Δtは次第に短くなる。そして、測定値が最も急激に変化する期間Tcでは測定時間間隔Δtは最短時間Δt2となり、その後、測定値の上昇度合が緩やかになり始めると(期間Td)測定時間間隔Δtは次第に長くなる。そして、反応がほぼ終了して測定値がほぼ一定に落ち着くと(期間Te)、測定時間間隔Δtは再び最長時間Δt1に保たれる。
図3(a)の変化曲線上で黒丸点で示した位置が実際の測定実行タイミングであり、上記のような処理によって急激に測定値が変化する部分では測定の頻度が増加し、その急激な変化の状態を確実に捉えていることが分かる。一方、測定値の変化が殆ど無いときには測定間隔が開き、データの収集量が少なくて済むことも分かる。このようにして、試料の変化が急激である時間帯や特に変化に着目したい時間帯などについて、測定時間間隔を短くして測定値データを細かく収集することができ、それ以外の時間帯では測定時間間隔を相対的に長くして単位時間当たりに収集する測定値データの量を減らすことができる。
なお、上記第1実施例は第1発明の趣旨の範囲で、種々の形態に変形することができる。例えば、上記第1実施例では全測定時間Tを経過したか否かで以て測定終了を決めるようにしていたが、時間ではなく測定回数で以て測定終了を決めるようにしてもよい。すなわち、最初に繰り返し測定の繰り返し総回数を設定しておき、時間とは無関係にその総回数に達したときに測定を終了するようにしてもよい。
また、上記評価関数は次の測定までの測定時間間隔を直接的に導出できる式であってもよく、その場合には、評価値から測定時間間隔を導出する換算情報は不要になる。
また、評価関数や評価値から測定時間間隔を導く換算情報の記憶形態も様々なものが考え得る。例えば、評価関数は単純に式として記憶しておく以外に、測定値の範囲を複数に区分し、各区分を代表する測定値とそれに対応する評価値とを求めて対照表にまとめておき、実際の測定値が得られるといずれの区分に入るのかを調べて対照表から評価値を求めるようにしてもよい。また、そうした測定値の代表値について隣接する2つの値の間を補間する関数を定めておき、それによって評価値を修正するようにしてもよい。
また、測定値や評価値の時間的変化が或る理論曲線(指数関数など)によって与えられる場合には、その時点までに得られた測定値を最小二乗法などを用いて理論曲線に当てはめ、理論式に含まれるパラメータを推定して、次回測定の予測値が測定者が予め決めた所定の範囲内となるように自動的に測定時間間隔を決めるようにしてもよい。
また、過去に実行した同種の測定によって得られた測定データに基づいて適切な評価関数を選択したり、その評価関数のパラメータを決定したり、或いは、評価値から測定時間間隔を導く換算情報を決定したりするようにしてもよい。
また、評価関数や測定時間間隔の初期値などを他の測定条件パラメータと合わせてデータファイル化して保存しておき、測定開始前に、測定で使用するパラメータファイル名や番号などを指定することで評価関数等を選択できるようにしてもよい。
また、こうして取得した測定値データに基づいてグラフを作成したり後でデータを解析したりする際には、測定を実施した時刻(又は測定開始からの経過時間)が重要である。そこで、こうして取得した測定値データ及び必要に応じて評価値データをデータファイル化してハードディスクなどの記憶装置に保存する際には、測定時刻や測定開始からの経過時間等を特定できる情報と測定値データとを組にして保存すると都合がよい。但し、各測定の測定値から測定時間間隔を一意的に逆算できる場合には、測定時間間隔の初期値や評価関数の種類、或いは評価関数に含まれる係数等のパラメータなどを測定データファイルのヘッダに記録するようにしてもよい。
また、測定データの総データ量のみが専ら問題になる場合や測定途中に実際の測定時間間隔を変更することが困難である構成を採る場合には、試料の測定を短い測定時間間隔で以て実行し、モニタの表示画面に表示される反応曲線などは殆どリアルタイムで更新するようにしながら、一方で、記録媒体に保存する測定値データは評価値に基づいて算出された測定時間間隔に合わせて適宜、間引き、平均化、又は補間などの処理を行って調整したデータとするようにしてもよい。これによっても、実質的に評価値に応じて測定時間間隔を変更した繰り返し測定を行うことができる。
[第2実施例]
次に、第2発明に係る分光光度計の一実施例(第2実施例)であるPDA分光光度計について図5、図6を参照して説明する。図5は第2実施例による分光光度計の要部の構成図、図6は第2実施例の分光光度計に特徴的な制御動作の一例を説明するための概略波形図である。
第2実施例の分光光度計において、分析部21に含まれる光源22、分光器24、PDA検出器25は上記第1実施例の分光光度計における光源2、分光器4、PDA検出器5と同一であるので説明を略す。試料セル23は試料溶液を貯留するものではなく、一定の流速で管内に試料溶液を流すフローセルである。また、A/D変換部26、入力部34、表示部35は上記実施例1の分光光度計におけるA/D変換部6、入力部8、表示部9と、さらに制御部30において、評価関数記憶部31、評価値計算部32も評価関数記憶部11、評価値計算部12と同一であるので説明を略す。
この第2実施例の分光光度計では、分析部21は、制御部30の制御の下に、試料セル23に流れる試料溶液に対する測定を一定時間間隔で以て、測定中止の指示がない限り無制限に繰り返し実行する(図6(a)中の黒丸点を参照)。但し、実際に収集したい測定値データは試料溶液に何らかの変化が生じたときであり、試料溶液が無変化であるときには測定値データを収集しない。そこで、この第2実施例の分光光度計では、評価関数を用いて計算した評価値を利用して、次のようにデータ収集の制御を実行する。
すなわち、データ処理部27はA/D変換部26から入力された検出データやこれに基づいて計算された測定値データを一時的に記憶しておくバッファメモリ28を備え、測定が実行される毎に、後述のようなデータ収集の実行か否かの結果が出るまでの間、バッファメモリ28に測定値データを記憶しておく。測定の実行によって測定値が得られると、上記第1実施例と同様に、評価値計算部32は予め決められている評価関数を用いて評価値を計算する。いま、測定値の時間変化が図6(a)に示す曲線のようになっているものとすると、測定値の時間変化率を評価値とした場合にその評価値は図6(b)のようになる。データ収集タイミング決定部33は各測定毎に評価値計算部32から評価値を受け取り、所定の基準値THと比較する。そして、評価値が基準値TH以上である場合にデータ収集を実行し、評価値が基準値TH未満になるとデータ収集を中断するような制御信号をデータ収集メモリ29に送る。なお、こうした評価値とデータ収集の開始及び終了との関連付けや基準値は測定開始前に予め設定しておくものとする。
上記制御により、図6(b)に示すように評価値が変化したとき、時刻t1で評価値が基準値TH以上となると、データ収集メモリ29はバッファメモリ28に一時記憶されている測定値データを読み込み始める。そして、時刻t2において評価値が基準値TH未満になると、データ収集メモリ29はバッファメモリ28からの測定値データの読み込みを中止する。バッファメモリ28の記憶内容は次の測定が実行されて新しい測定値データが得られる毎に更新されるから、データ収集メモリ29に読み込まれなかったデータはそのまま廃棄されることとなり、データ収集メモリ29には時刻t1〜t2の期間中の測定によって得られた測定値データが格納される。また、時刻t3〜t4の期間中にも同様にしてデータ収集メモリ29に測定値データが格納される。
このようにして、分析部1で連続的に繰り返し測定を行っている期間中、試料セル23に導入された試料溶液に何らかの変化が生じたときに測定した測定値データのみをデータ収集メモリ29に収集し、そうした変化のないときの測定値データは収集しないようにすることができる。これによって、測定者が着目すべき期間、すなわち後で解析処理を行ったり検証を行ったりする必要のある期間に発生した測定値データのみを選択的に収集することができ、不要なデータを収集せずに済む。
なお、第2実施例においても第1実施例について上述したような各種の変形が考え得ることは当然である。また、第2実施例では所定期間中のみに発生した測定値データをデータ収集メモリ29に保存するようにしていたが、所定期間中のみに発生した測定値データをプリンタなどの印刷装置に出力したり、或いはネットワーク等を介して他の装置に転送したりしてもよい。
また、第2実施例の分光光度計において、図6(b)に示したような評価値の変動を示すグラフなどの評価値算出結果を表示部35の画面上に表示するとよい。測定者はこうした評価値の変動曲線をリアルタイムで監視しながら、例えば必要なデータの収集が終了したことを自ら判断して測定の中止を指示したり、或いは上記のような自動制御によっては収集されないデータの収集を指示したりすることができる。第1実施例の分光光度計においても同様に評価値の変動曲線などをリアルタイムで表示することにより、自動制御によっては測定時間間隔が長くなる期間中に強制的に測定時間間隔を短くする等の指示を測定者が行って、本当に必要とするデータをより漏れなく収集することが可能となる。
本発明に係る分光光度計の一実施例(第1実施例)の要部の構成図。 第1実施例における分光光度計の特徴的な制御動作を説明するためのフローチャート。 第1実施例における分光光度計の制御動作の一例を説明するための概略波形図。 評価値と測定時間間隔との関係の一例を示す図。 本発明に係る分光光度計の他の実施例(第2実施例)の要部の構成図。 第2実施例における分光光度計の制御動作の一例を説明するための概略波形図。
符号の説明
1、21…分析部
2、22…光源
3、23…試料セル
4、24…分光器
5、25…PDA検出器
6、26…A/D変換部
7、27…データ処理部
8、34…入力部
9、35…表示部
10、30…制御部
11、31…評価関数記憶部
12、32…評価値計算部
13…測定間隔決定部
28…バッファメモリ
29…データ収集メモリ
33…データ収集タイミング決定部

Claims (3)

  1. 試料に対して複数回の繰り返し測定を行う分光光度計において、
    a)時間経過に対する測定値の特定の変動状態を判断するために予め定められた評価関数を記憶しておく記憶手段と、
    b)繰り返し測定の実行中、各測定毎に、前記評価関数を用いて測定値から評価値を算出する評価値算出手段と、
    c)前記算出された評価値に応じて次の測定までの測定時間間隔を決定する測定制御手段と、
    を備えることを特徴とする分光光度計。
  2. 試料に対して複数回の繰り返し測定を行う分光光度計において、
    a)時間経過に対する測定値の特定の変動状態を判断するために予め定められた評価関数を記憶しておく記憶手段と、
    b)繰り返し測定の実行中、各測定毎に、前記評価関数を用いて測定値から評価値を算出する評価値算出手段と、
    c)前記算出された評価値に応じて測定値データの保存又は出力の開始及び/又は終了を指示する測定制御手段と、
    を備えることを特徴とする分光光度計。
  3. 試料に対して複数回の繰り返し測定を行う分光光度計において、
    a)時間経過に対する測定値の特定の変動状態を判断するために予め定められた評価関数を記憶しておく記憶手段と、
    b)繰り返し測定の実行中、各測定毎に、前記評価関数を用いて測定値から評価値を算出する評価値算出手段と、
    c)前記算出された評価値を、その時間的な変動状態が測定者に認識可能である形態で以て提示する情報提示手段と、
    を備えることを特徴とする分光光度計。
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