以下に、図1〜18に示した本発明の実施形態に係る2枚ずれシート判定方法及びシート枚数計数装置について詳細に説明する。この装置は、2枚ずれシート判定方法に使用される選挙投票用紙用のシート枚数計数装置である。
まず、図1〜16を参照しながら、基本実施形態に係るシート枚数計数装置について説明する。なお、図17,18は、変形例を示す。
図1は本実施形態の装置の斜視図、図2は正面図、図3は平面図、図4は左側面図、図5は要部拡大平面図、図6は要部拡大正面図、図7はブロック図、図8はさばき動作の模式図、図9は全体フローチャート、図10〜14は詳細フローチャート、図15,16はシート検出の説明図である。
このシート枚数計数装置10は、図1において、右上部にシート供給部12を備え、左下部にシート回収部18を備え、シート供給部12とシート回収部18との間にシート通過部14を備える。シート供給部12に、揃えて重ねたシートすなわち投票用紙が置かれると、シートは下から1枚ずつ一定間隔でシート通過部14に送り出される。シート通過部14を通過するとき、シートはその枚数が計数される。そして、計数されたシートは、シート回収部18に、揃えて積み重ねられる。装置10は、シート回収部18のシートが所定シート枚数、たとえば100枚に達すると、自動的に停止するようになっている。作業者は、この所定枚数のシートすなわち投票用紙を装置10のシート回収部18から取り出して、必要に応じて束を作る等の作業を行なう。
図1に示すように、シート供給部12、シート通過部14、シート回収部18は、いずれも、その一方側すなわち手前側に、開口部13,14,17を備え、この開口部13,16,17を介して、装置内にアクセスできるようになっている。一方、シート供給部12、シート通過部14、シート回収部18の他方側すなわち奥側は、いずれも、装置中央フレームによって形成される壁で行き止まりになっている。
この装置10は開口部13,14,17を有するので、シートの幅(シート通過方向に直角方向の長さ)がシート通過経路の幅よりも広くても、使用可能である。すなわち、装置10のシート通過経路の片側すなわち開口部13,14,17からシートの一部分が幅方向にはみ出した状態で、シート通過経路内にあるシートの他の部分が装置10のシート送り作用を受け、シートはシート通過経路に沿って移動する。つまり、シートのはみ出し部分は、装置10と干渉することはない。
シート供給部12は、図1〜3に示すように、底面12aと、この底面12aから立設されたシート通過方向に延在する縦ガイド面12cと、シート通過方向と直交方向に延在する横ガイド面12bとを備え、図2に示すように、シート20を位置決めして置くことができるように構成されている。図2に示すように、底面12aからは、シート供給ローラ22と補助ローラ24とが突出している。シート供給ローラ22は、その外周面に接触するシートを、シート通過部14に一定間隔で送りだす。また、底面12aにはシート供給部12のシート20の有無を検出するシート供給検出センサ28を備える。
シート通過部14は、図2に示すように、シート供給部12の底面12aから連続する傾斜したシート通過面15と、このシート通過面15付近にシート供給部12側から順に設けられた、さばきローラ対30と、重なりずらしローラ対40と、送りローラ対50とを備え、また、さばきローラ対30と重なりずらしローラ対40との間には重なりシート検出センサ38が設けられ、重なりずらしローラ対40と送りローラ対50との間には2枚ずれシート検出センサ48,49が設けられる。
回収部18は、図1〜4に示すように、シート通過面15の下端側に設けられた左右一対の羽根車60を備え、その間にストッパ64が配置されている。羽根車60の下方には、図1において右上がりに傾斜した底面18aと、この底面18aから立設されたシート通過方向に延在する縦ガイド面18bと、これに直交する横ガイド面18cとを備える。さらに、回収部18は、底面18aの上下に、シート21の有無を検出するシート回収検出センサ68を備える。
次に、本装置10について、シート20の動きとともに、さらに詳しく説明する。
図5,6に示すように、シート供給部12のシート供給ローラ22は、その外周面の一部が切欠かれた形状であり、この切欠き部にはシート20との摩擦力が大きくなるゴム製の摩擦部材23を備える。シート供給ローラ22が回転して、シート供給部12に積み重ねられたシート20の一番下のシート20aに摩擦部材23が接触すると、シート20aは、摩擦部材28との大きな摩擦力によって、シート通過部14に送り出される。このようにして、シート20は一定間隔で周期的に送り出されるようになっている。
シート通過部14のさばきローラ対30はフリクションローラであり、図5,6に示すように、シート通過面15から外周面の一部が突出した駆動ローラ32と、この駆動ローラ32に対向してシート通過面15の上方に設けられた固定ローラ36および従動ローラ34を備える。
駆動ローラ32は、図5に示すように、右左の駆動ローラ部32a,32bと、その間にある中央ローラ部36cとを備える。駆動ローラ部32a,32bの外周面の一部に摩擦部材33を備えるが、シート供給部12のシート供給ローラ22とは異なり、切欠きは形成されていない。駆動ローラ32は、シート供給部12のシート供給ローラ22とともに、駆動ベルト(図示せず)を介して第1駆動モータ(図示せず)により同期して回転し、シート20を一定間隔で送り出すことができるようになっている。
図5に示すように、固定ローラ36は、右ローラ部36aと左ローラ部36bとを備える。固定ローラ36の両ローラ部36a,36bと、駆動ローラ32の駆動ローラ部32a,32bとには、互いにはまり合う溝が形成されている。固定ローラ36の取り付け軸(図示せず)には、固定ローラ36がシート通過方向とは逆方向にのみ回転可能となるようにするワンウェイクラッチ(図示せず)を備える。
また、図5に示すように、駆動ローラ32の中央ローラ部32cの上方には前後に設けられた一対の従動ローラ34a,34bからなる従動ローラ34が、自重によって駆動ローラ32の中央ローラ部32cに接触するようになっている。
シートは、図5,6に示すように、駆動ローラ32と、従動ローラ34および固定ローラ36との間を、各ローラ32,34,36の外周面に接触しかつシート通過方向直角方向に波打ちながら通過し、これによってさばき作用を受ける。このさばき作用によって、さばきローラ対30を通過した後に、シートが、重なった状態や通過方向に対して傾いた状態のままであることは、ほとんどなくなる。
すなわち、図8に示すように、2枚のシート7,8が、駆動ローラ32と固定ローラ36との間を通過するとき、駆動ローラ32の外周面に接触する下側のシート8は、摩擦力によって、送り出される。一方、上側のシート7はシート通過方向には回転しない静止状態の固定ローラ36の外周面に接触して、進行が阻止される。したがって、上下のシート7,8の境界面で滑りを生じて、下側のシート8だけが送り出される。また、図5に示すように、駆動ローラ32と固定ローラ36とがはまり合う溝に沿って、シートは通過方向とは直角方向に波打つので、さばき効果は一層高まる。なお、このようなさばき機構自体は公知である。
シート通過部14の重なりずらしローラ対40はフリクションローラであり、図2,6に示すように、シート通過面15から外周面の一部が突出した駆動ローラ42と、この駆動ローラ42に接近対向してシート通過面15の上方に設けられた従動ローラ44とを備える。
駆動ローラ42と従動ローラ44とは、外周面全体に摩擦部材を備える。駆動ローラ42は、後述するシート通過部14の送りローラ対50の駆動ローラ52と、回収部18の羽根車60ととともに、駆動ベルト(図示せず)を介して、第2駆動モータ(図示せず)により、同期しながら常時回転するように構成されている。シートは、この駆動ローラ42の外周面と接触して送り出される。
重なりずらしローラ対40は、図2,5,6に示すように、ブレーキ機構70をさらに備える。ブレーキ機構70は、シート通過面15の上方に設けられ、ベース板72と、ブレーキ板76と、電磁ソレノイド74とを備えている。
ベース板72は、シート通過方向上流側の一端72aがさばきローラ対30付近に片持ち固定され、シート通過面15と略平行にシート通過方向下流側方向に延在する。
ベース板72の上面には、その固定端部72aに対向する自由端72b側に、電磁ソレノイド74が設けられる。電磁ソレノイド74は、ベース板72を貫通する軸75を有する。電磁ソレノイド74は、通電時に、この軸75が下方に突出する。
一方、ベース板72の下面は、従動ローラ44を枢支するように構成されている。また、ベース板72の下面の自由端72b側には、ステンレス製のブレーキ板76が片方持ち固定される。ブレーキ板76は、シート通過方向下流側が固定端76aとなり、シート通過面15と略平行にシート通過方向上流側方向に延在し、上記電磁ソレノイド74の軸85が突出すると、押されて下方にたわむようになっている。たわんだブレーキ板76は、従動ローラ44の外周面に接触し、従動ローラ44の回転を強制的に停止することができるようになっている。
ブレーキ機構70が作動すると、重なりずらしローラ対40を通過するシートの重なりを、通過方向前後にずらす。
すなわち、電磁ソレノイド74に通電されると、従動ローラ44は回転が停止するが、対向する駆動ローラ42は強制回転している。このとき、重なりずらしローラ対40に達した重なったシートは、上側のシートが静止状態の従動ローラ44の外周面に接触する一方、下側のシートが強制回転する駆動ローラ42の外周面に接触する。したがって、上側シートは進行が阻止される一方、下側のシートは送り出される。そのため、上下のシートの間ですべりが生じ、下側のシートのみが重なりずらしローラ対40の間を通過する。
ある程度、上下のシートがずれた時点で、電磁ソレノイド74の通電を解除すると、従動ローラ74は自由に回転できるようになる。そのため、シートは、それ以上重なりがずれることなく、重なりがずれた状態のままで、重なりずらしローラ対40の間を通過する。
重なったシートがこのようにシート通過方向前後にずれていると、上側のシートの後端が、後続のシートの前端と、接触または重なってしまうおそれがある。そこで、このような接触・重なりを生じないように、電磁ソレノイド74に通電するのと同期して、所定のタイミングで第1駆動モータを停止し、シート供給部12のシート供給ローラ22およびさばきローラ対30の駆動ローラ32の回転を停止して、後続のシートを重なりさばきローラ対40へ送り込まないようにする。一方、所定時間が経過して電磁ソレノイド74の通電を解除(停止)するのと同期して、所定のタイミングで第1駆動モータを再起動し、シートの送り込みを再開する。
重なりずらしローラ対40の間を通過したシートは、送りローラ対50に達する。送りローラ対50はフリクションローラであり、図2に示すように、シート通過面15から外周面の一部が突出した駆動ローラ52と、この駆動ローラ52に接近対向してシート通過面15の上方に設けられた従動ローラ54とを備える。駆動ローラ52は、外周面全体に摩擦部材を備え、前述したように、第2駆動モータによって回転する。シート20は、この駆動ローラ52の外周面に接触して、送り出される。
送りローラ対50を通過したシート21aは、図2に示すように、羽根車60の挿入空間62内に挿入される。羽根車60は、前述のように、シートの送りと同期して、図において時計方向に回転する。羽根車60の湾曲した各羽根61の間に形成された挿入空間62に、シート通過部14を通過したシート21aが1枚ずつ同期して挿入される。挿入空間62に保持されたシート21aは、羽根車60の回転に伴ない、ストッパ64に当接して、回収部18の底面18a方向に導かれ、落下する。回収部18の底面18aは、横ガイド面18bに対して反対側が高くなっているので、回収部18に落下したシート21は、横ガイド面18bに沿って揃えられる。
上記の重なりずらしローラ対40において、ブレーキ機構70が作動してシート通過方向前後に重なりがずらされた2枚のシートは、羽根車60のひとつの挿入空間62に、2枚まとめて挿入され、湾曲した状態でストッパ64に当接して、回収部18の底面18aに落下する。このとき、重なっていた、すなわち密着していたシートは、互いに分離されることが多い。当初密着していたシートが一旦分離されると、その後に重なっても、以前のように強力に密着することは少ないからである。そのため、重なっていたシートであっても、回収部18の横ガイド18bに沿って揃えられることが多い。
上記の重なりずらしローラ対40の前後にはセンサ38,48,49を設け、2枚のシートが重なってシート通過したときだけ、ブレーキ機構70を作動させるとともに、その作動結果を確認するように構成している。
すなわち、シートの重なりを検出する重なりシート検出センサ38を、さばきローラ対30と重なりずらしローラ対40との間に設けている。一方、シート通過方向前後にずれた2枚ずれシートを判別するため、2枚ずれシート検出センサ48を、重なりずらしローラ対40と送りローラ対50との間に設けている。
上記センサ38,48,49は、どちらも、受光部38a,48a,49aと発光部38b,48b,49bとからなる透過式光センサであり、シート通過経路をはさんで対向して設ける。好ましくは、上部を受光部38a,48a,49aとし、下部を発光部38b,48b,49bとする。これらのセンサ38,48,49は、発光部38a,48a,49aと受光部38b,48b,49bとの間を通る光がシートによってさえぎられると、受光部38b,48b,48bが受ける受光量が変化する。これによって、通過するシートの重なり状態を判別することができる。
すなわち、光の透過率が100%でないシートが通過すると、センサ受光量Tが低下する。シートが重なっていれば、光の透過率はシートが1枚のときより小さくなり、センサ受光量Tも低下する。
したがって、シートが通過していないときのセンサ受光量L0と、1枚のシートが通過したときのセンサ受光量L1との間に第1しきい値(上限値)R1を設定し、センサ受光量Tをこの第1しきい値R1と比較すれば、シートがセンサ位置にあることを判別できる。すなわち、センサ受光量Tが第1しきい値R1より小さければ、シートがセンサ位置にあると判別できる。
また、シートが1枚のときのセンサ受光量L1と、2枚のときのセンサ受光量L2との間に第2しきい値(下限値)R2を設定し、センサ受光量Tをこの第2しきい値R2と比較することによって、シートが重なっているかどうかを判別できる。すなわち、センサ受光量Tが第2しきい値R2より小さければ、シートは重なっていると判別できる。
また、上記センサ受光量Tと、第1駆動モータおよび第2駆動モータに設けたパルスエンコードからのパスル信号とによって、シートの長さも検出できる。すなわち、センサ受光量Tによってシートの通過を検出したときに上記パルス信号をカウントすれば、そのカウント値は長さに対応する。
図7は、本装置10のブロック構成図である。図示したように、入出力ポートとA/DコンバータとRAMとを含むCPU91には、電源90とROM92とウォッチドッグタイマ93と発振回路94とが接続されている。さらに、CPU91には、ドライバを介して第1駆動モータ95および第2駆動モータ96が接続され、各モータ95,96のエンコーダと接続されている。さらに、CPU91は、スタートスイッチ19aと速度切替スイッチ19bとモード切替スイッチ19cとを有するパネル表示部19が接続されている。さらに、CPU91には、シート供給検出センサ(センサA)28、重なりシート検出センサ(センサB)38、2枚ずれシート検出センサ(センサC-1,C-2)48,49、およびシート回収検出センサ(センサD)68が接続され、また、ブレーキ機構70の電磁ソレノイド72が接続されている。
次に、本装置の動きについて、図9〜14のフローチャートを参照しながら、説明する。
図9の全体フローチャートに示すように、この装置10は、ステップ#10において、第1駆動モータおよび第2駆動モータが起動して、シート供給部12のシート供給ローラ22と、さばきローラ対30の駆動ローラ32と、重なりずらしローラ対40の駆動ローラ42と、送りローラ対50の駆動ローラ52と、シート回収部18の羽根車60とが回転し、シートの供給が開始される。これによって、シート20は、シート供給部12からシート通過部14を経てシート回収部18へ、1枚ずつ一定間隔で送り出される。ステップ#11において、重なりシート検出センサ38(以下、“センサB"という)を通過したシートの厚さを検出し、それに基づき、CPU91は、重なって通過したシートか否かを判別する。そして、CPU91は、シートが重なっていると判別した場合には、ステップ#12において、この判定されたシートが重なりずらしローラ対40をシートが通過するときに、上記のようにブレーキ機構70を作動させて、シートの重なりをずらす。
つぎに、CPU91は、ステップ#13,#14において、2枚ずれシート検出センサ48,49(以下、“センサC"、または“センサC-1"および“センサC-2"という)からの検出信号と第2駆動モータ95のパルスエンコーダからのパルス信号とに基づき、重なりずらしローラ対40を通過したシートの重なり状態を判定する。CPU91は、ステップ#13において、シートが1枚であると判定した場合には、ステップ#15において、カウンタを1枚分増す。そうでない場合には、ステップ#14において、2枚のシートがシート通過方向前後にずれているか否かを判定する。2枚のシートがシート通過方向前後にずれていると判定した場合には、ステップ#16においてカウンタを2枚分増す。そうでない場合には、ステップ#17においてエラー処理(装置の運転停止・警報発生等)を実行させる。センサCを通過したシートは、送りローラ対50を通過してシート回収部18に達すると、羽根車60の挿入空間61に挿入された後、ストッパ64に当接してシート回収部18の底面18a上に順に重ねられる。
上記ステップ#11におけるセンサBによる判別(チェック)は、具体的には、図10に示すフローチャートに従って実行する。
すなわち、CPU91は、センサBからの信号に基づき、ステップ#20においてシート先端を検出すると、ステップ#21において、シート先端から所定長さの範囲内で(本実施形態では先端から20mmまでにおいて)シートが重なっているかどうかを判別する。なお、シート先端からの所定長さの値(20mm)は、シートの通過方向の長さの計測値(パスル数)のばらつき等を考慮して、決定する。
そして、CPU91は、シートが重なっていると判別したときには、ステップ#22において、重なり検出フラグをセットする。このフラグに基づいて、シートの重なりをずらす図9の上記ステップ#12を、所定のタイミングで実行させる。
次に、センサCによる図9の上記ステップ#13〜#17について、さらに詳しく説明する。
CPU91は、センサCからの信号に基づき、シートのシート通過方向長さを求める。すなわち、図15(I)に示すように、シートが1枚であるときは、長さaのみを求める。また、図15(II)に示すように、2枚のシートがシート通過方向前後にずれて重なっているときには、1枚の部分の前後の長さa,cと、2枚が重なっている部分の長さbとを求める。
CPU91は、これらの長さa,b,cに基づき、図11,12に示すフローチャートに従って、シートの重なり状態を判別する。
すなわち、ステップ#30において、シートの先端が検出されると、ステップ#31において、長さaを求め、ステップ#32において、シートが重なっていないかを判別する。
シートが重なっていなければ、ステップ#33において、シートの後端を検出するまで、上記ステップ#31,#32を繰り返す。ステップ#33においてシートの後端を検出すると、ステップ#34において、長さaをシートの基準長さs0と比較する。
長さaと基準長さs0との差が所定値△s 以下であれば、ステップ#39においてチェク完了フラグをセットする。長さaと基準長さs0との差が所定値△sを越えていれば、ステップ#38において、エラー処理フラグをセットした後、ステップ#39において、チェック完了フラグをセットする。
たとえば、シートの後端に、そのシートに後続するシートの前端がつながって、間隔を置かずに送られると、センサCは両シートを1枚のシートとして検出するので、センサCが検出する長さaはシートの基準長さの2倍となり、ステップ#38において、エラー処理フラグがセットされることとなる。
一方、ステップ#32においてシートが重なっていると判別されると、ステップ#37において、長さaと基準長さa0(本実施形態では20mm)とを比較する。
長さaが基準長さa0より小さければ、ステップ#38においてエラー処理フラグをセットした後、ステップ#39においてチェック完了フラグをセットする。たとえば、重なりずらしローラ対40をシートが通過するときに、重なったシートが十分に前後にずれなかったとき等には、ステップ#38において、エラー処理フラグがセットされることとなる。
ステップ#37において、長さaが基準長さa0以上であると判別すると、ステップ#40において、長さbを計測する。長さbは、ステップ#41において重なったシートが1枚になったと判別するまで、または、ステップ#42においてシートの後端を検出するまで、計測を繰り返す。
ステップ#42において、シートの後端を検出したときには、上記と同様に、ステップ#38においてエラー処理フラグをセットした後、ステップ#39において、チェック完了フラグをセットする。たとえば、図15(III)に示すように、1枚のシートの後端側から他のシートが折り重なっている状態のシートがセンサCをシート通過したとき等には、ステップ#38において、エラー処理フラグがセットされることとなる。
ステップ#41において、シートが1枚になったと判別されると、ステップ#43,44において、シートの後端を検出するまで、長さcを計測する。
ステップ#44においてシートの後端を検出すると、CPU91は、ステップ#44〜47において、計測した長さa,b,cに基づき、2枚のシートがシート通過方向前後にずれた2枚ずれシートであるか否かを判定する。
すなわち、ステップ#45において、シートが1枚である前後の部分の長さa,cを比較する。
等しくないと判断すると(長さa,cの差が所定値を越えると)、ステップ#38,#39のエラー処理フラグセット等を行なう。たとえば、図15(IV)に示すように、3枚のシートが重なっているとき等に、ステップ#38において、エラー処理フラグがセットされることとなる。
一方、長さa,cが等しいと判断すると(長さa,cの差が所定値以下であれば)、ステップ#46において、シートが重なった部分の長さbを、シートの基準長さs0と比較する。
長さbが基準長さs0以上と判断すると、ステップ#38,39のエラー処理フラグセット等を実行する。たとえば、図15(V)に示すように、3枚のシートが順にずれて重なった場合等に、エラー処理フラグがセットされることとなる。
一方、長さbが基準長さs0より小さいと判断すると、ステップ#47において、センサCが検出したシートの全長a+b+cを基準長さs0と比較する。
シートの全長a+b+cが基準長さs0より大きいと判断すると、ステップ#48において、2枚ずれ判定フラグをセットする。
シートの全長a+b+cが基準長さs0以下であると判断すると、ステップ#38,#39のエラー処理フラグセット等を実行する。たとえば、図15(VI)に示すように、1枚のシートの上に折れ曲がったシートが重なっている場合等に、エラー処理フラグがセットされることとなる。
上記のように、センサCによってシートの重なり状態が判定された後、シート枚数計数すなわちカウント処理が実行される。なお、エラー処理フラグがセットされている場合には、装置の運転停止・警報発生等のエラー処理が実行され、カウント処理は実行されない。
カウント処理は、基本的には、図13のフローチャートに従って実行される。
すなわち、ステップ#50において、センサCによるチェックが完了したか否かを判断する。すなわち、図11のステップ#39でセットされるチェック完了フラグについて、セットの有無を判断する。チェックが完了(チェック完了フラグがセット)されていれば、ステップ#51において、カウンタを1だけカウントアップする。
次に、ステップ#52において、カウント補正すべきか否かを判断する。すなわち、図12のステップ#48でセットされる2枚ずれ判定フラグのセットの有無を判断する。
カウントを補正すべきとき(2枚ずれ判定フラグがセットされているとき)には、ステップ#53において、さらに、カウンタをカウントアップする。
上記したカウント処理は、センサCが1つの場合であるが、本実施形態では、図4,6に示すように、シート通過方向に直交する同一線上に2つの2枚ずれ検出センサ48,49、すなわちセンサC-1,C-2を備えている。そのため、2つのセンサC-1、C-2について、それぞれ別個独立に、図9,10に示したフローチャートに従って、2枚ずれシートの判定を実行した後、各センサC-1、C-2のチェック完了フラグおよび2枚ずれ判定フラグに基づいて、図14に示すフローチャートに従って、カウント処理が実行される。
すなわち、ステップ#60,61において、2つのセンサC-1,C-2について、チェック完了フラグのセットを判別すると、すなわち、センサC-1,C-2がともにシートの検知を終了すると、ステップ#62において、カウンタを1だけカウントアップする。
次に、ステップ#63においてセンサC-1の2枚ずれ判定フラグがセットされているか否かを判別する。センサC-1の2枚ずれ判定フラグがセットされていれば、さらに、ステップ#63において、センサC−2についての2枚ずれ判定フラグのセットの有無を判断する。センサC-2の2枚ずれ判定フラグがセットされていれば、さらに、カウントを1だけカウントして終了する。
ステップ#63においてセンサC-1の2枚ずれ判定フラグがセットされていないと判断した場合には、ステップ#65において、センサC-2の2枚ずれ判定フラグのセットの有無を判断する。センサC-2の2枚ずれ判定フラグがセットされていなければ、終了する。センサC-2の2枚ずれ判定フラグがセットされていれば、ステップ#67において、エラー処理フラグをセットした後、終了する。
上記ステップ#67におけるエラー処理フラグのセットは、たとえば、図16に示すように、1対のセンサC-1,C-2の位置(図において、P−P線,Q−Q線に対応する位置)のうち片側(Q−Q線側)にのみ、折れたシートが重なっているとき等に、実行される。
以上のように、上記実施形態においては、重なったシートの通過をセンサBによって検出すると、このシートが重なりずらしローラ対40を通過するときにブレーキ機構70を作動させ、シートの重なりをシート通過方向前後にずらす。そして、重なりずらしローラ対40を通過したシートの厚さをセンサCによって検出し、2枚ずれシートであると判定できたときには、その重なったシートについては、枚数を2枚と計数する。
上記実施形態においては、処理速度を低下させるブレーキ機構70の作動、すなわちさばき動作の実行は、シートの重なりを検出したときに限られており、通常、シートは、重なりずらしローラ対40を高速で通過する。また、ブレーキ機構70が作動しても、2枚のシートを完全に分離するのではなく、シートを前後に所定長さ分ずらすだけであるので、ブレーキ機構70の作動時間そのものも短くてすむ。そして、センサCの検出結果に基づき、重なりが前後にずれた2枚のシートであると判定できたときには、シート枚数を2枚と計数することによって、従来の装置のようにエラーとして計数作業を初めからやり直すことを、不要とする。
したがって、本実施形態のシート枚数計数装置は、シートが重なった状態で装置内を通過しても、それが2枚のシートであるかと判定できたときには、その判定結果に基づきシート枚数計数を行なうことによって、シート枚数を連続して計数できる。
また、上記実施形態において、図11,12のフローチャートは、2枚ずれシート判定方法を示している。
上記実施形態において、ブレーキ機構70は選択的に動作するので、重なりずれしローラ対40の駆動ローラ42を強制回転する第2駆動モータへの負荷は小さい。したがって、上記実施形態は、駆動モータを小型化できるとともに、装置のエネルギ効率が優れている。
また、他の実施形態として、上記実施形態のシート枚数計数装置10が備えている重なりシート検出センサ38および重なりずらしローラ対40を備えない構成とすることも、可能である。この実施形態は、たとえば、シートの性状やシート供給手段の特性等によって、2枚または3枚以上のシートが位置ずれせずに完全に上下に重なった状態で装置内を通過することがほとんどない場合のように、装置内を通過するシート重なりをずらす必要が無い場合、または、そのような必要が少ない場合には、簡略化された構成で、十分、実用的である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
たとえば、シート枚数の計数を行なう時期は任意であり、要は、2枚のシートが前後にずれていると判定したときに、それに応じたシート枚数が、最終的に計数されればよい。したがって、図13のフローチャートに示した実施形態のように、まずシート枚数を計数し、次に、シート枚数計数の補正をすべきか判定して、必要な場合にはシート枚数を補正する代わりに、補正の要否を判定した後に、その判定結果に基づき、各シートについて1回だけ枚数を計数するようにしてもよい。
また、シートが1枚のときの通常のシート枚数計数は、図17のフローチャートに示すように、重なりずらしローラ対40による重なりずらし動作(ステップ#72)の後に実行する(ステップ7#73)ようにしても、また、図18のフローチャートに示すように、重なりずらし動作(ステップ#82)とは独立して実行する(ステップ#84)ようにしてもよい。後者の場合には、センサBによって、シート長さの良否判定も行なうことが好ましい。
さらに、センサB、Cは光透過センサの代わりに、厚みセンサやギャップセンサ等の他の種類のセンサを用いてもよい。