JP2005230799A - 塗布装置及び塗布方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スジムラや塗布故障が低減され、塗布均一性に優れた塗布液を液滴として噴霧して塗布する塗布装置及び塗布方法を提供する。
【解決手段】 被塗布体9を搬送し、被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液Eを供給する塗布液ノズルCと、該塗布液ノズルの開口端に近接してガスを噴出するガスノズルDとを有するスロットノズルスプレー装置を用い、ガスを塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、被塗布体上に塗布液を塗布する塗布装置において、被塗布体と対向するスロットノズルスプレー装置の塗布液ノズルまたはガスノズルの吐出口に隣接する面が表面撥水化処理されている塗布装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、塗布液を液滴として噴霧することにより塗布する塗布装置および塗布方法に関するものである。
従来から、薄膜を、塗布膜厚の精度高く、乾燥負荷が少なく、生産性高く設ける塗布方法が望まれている。
高精度に均一な塗布膜厚の薄膜を、構成上に設けることが必要となる塗布製造物としては色々とあるが、例えば、下記に述べるインクジェット用の空隙型インクジェット記録媒体等が挙げられる。
空隙型インクジェット記録媒体は、インクジェット記録方法において、光沢感、つや感、深み等銀塩写真の様な高品位の質感が求められる出力に好ましく用いられ、樹脂被覆紙やポリエステルフィルムの様な非吸水性基材上に、インク吸収層として主に親水性バインダーと微粒子とで微細な空隙構造を形成する多孔質インク吸収層を形成し、この空隙部にインクを吸収させるものである。微粒子としては、無機または有機の微粒子が知られているが、一般的には、より微粒子で高い光沢が得られる無機微粒子が用いられる。
上記多孔質インク吸収層に対しては、1)高い発色性や光沢を達成するための多孔質層を形成する約0.1μm程度以下の安定な微粒子、2)微粒子の保持力が高く、かつインク吸収速度を低下させないための低膨潤性親水性バインダー、3)インク吸収速度や皮膜の耐水性を改良するための親水性バインダーの架橋剤、4)最適なドット径を達成するため、表面に分布した界面活性剤や親水性ポリマー、5)色素画像の滲みや耐水性を改良するためのカチオン性の定着剤、多価金属化合物、6)色素画像の光や酸化性ガスなどによる退色性を改良するための退色防止剤、7)白地を改良するための蛍光増白剤や色調調整剤(赤み剤や青み剤など)、8)表面の滑り性を改良するためのマット剤や滑り剤、9)多孔質インク吸収層に柔軟性を持たせるための各種のオイル成分やラテックス粒子あるいは水溶性可塑剤、10)色素画像の滲みや耐水性あるいは耐候性を改良するための種々の無機塩類(多価金属塩)、11)多孔質インク吸収層の膜面pHを調整するための酸やアルカリ類等の各種添加剤の使用が提案されている。
しかしながら、上記の各添加剤を多孔質インク吸収層を形成する塗布液に添加した場合、微粒子の凝集を避ける等の製造工程の安定性の観点から、多くの添加剤において、素材の選択や使用量など種々の制約を受けるケースが多い。
そこで、多孔質インク吸収層を形成する塗布液には前記制約を受ける添加剤を含有させず、基材上に当該塗布液を構成層としてまず塗布し、減率乾燥前に前記添加剤を含有する塗布液を前記構成層上部にオーバーコートする方法や、構成層塗膜の含水量が乾燥後の多孔質層の空隙容量以下になった後、オンラインで添加剤含有溶液をオーバーコートする方法が提案されている。オーバーコート層の塗布液に含有される前記添加剤は、予め設けられた構成層に適度に浸透し、好ましい機能を付与する機能性化合物として作用することが期待される。元来、機能性化合物を多孔質インク吸収層に含浸させる目的であるから、このオーバーコート層自身はごく薄いものでもよい。また、ごく薄い層であることが好ましい。
この様なオーバーコート層を均一な薄膜で塗布する方法として、本件出願人は、スロットノズルスプレー装置を用い、塗布液を液滴として被塗布体上に噴霧する方法及びインクジェット記録用紙の製造条件の詳細について提案した(例えば、特許文献1〜4参照。)。
しかしながら、引き続き検討を行った結果、塗布液を液滴として被塗布体上に噴霧することは、塗布膜厚を極めて薄くすることに有効ではなるが、特に、高速で塗布を行う場合、搬送方向に沿ってのスジの発生、点状の故障欠陥、段状の塗布ムラの発生が生じることが判明した。
特開2004−906号公報 特開2004−90330号公報 特開2004−106378号公報 特開2004−106379号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、スジムラや塗布故障が低減され、塗布均一性に優れた塗布液を液滴として噴霧して塗布する塗布装置及び塗布方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
被塗布体を搬送し、該被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口端に近接してガスを噴出するガスノズルとを有するスロットノズルスプレー装置を用い、該ガスを該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布する塗布装置において、該被塗布体と対向する該スロットノズルスプレー装置の該塗布液ノズルまたは該ガスノズルの吐出口に隣接する面が表面撥水化処理されていることを特徴とする塗布装置。
(請求項2)
前記スロットノズルスプレー装置の前記ガスノズルのガス流路壁が表面撥水化処理されていることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
(請求項3)
前記スロットノズルスプレー装置の前記塗布液ノズルの液流路壁が表面撥水化処理されていることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
(請求項4)
前記表面撥水化処理が、含フッ素重合体のコーティングによりなされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布装置。
(請求項5)
前記被塗布体が基材上に多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙であって、前記塗布液が、該インク吸収層に対する機能付与化合物を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置。
(請求項6)
前記機能付与化合物が、界面活性剤、親水性バインダーの架橋剤、画像安定剤、水溶性多価金属化合物から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項5記載の塗布装置。
(請求項7)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗布装置を用いて、被塗布体上に塗布を行うことを特徴とする塗布方法。
本発明によれば、スジムラや塗布故障が低減され、塗布均一性に優れた塗布液を液滴として噴霧して塗布する塗布装置及び塗布方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、スジ状、点状の故障欠陥、段状の塗布ムラは、塗布液がスロットノズルスプレー部に付着することによる着弾率の変化や微粒子化の状態に左右されると考え、この方法において安定な塗布を実現するため、スロットノズルスプレー装置を構成するコーターについて詳細な検討を行った結果、スロットノズルスプレー装置の形状だけではなく、スロットノズルスプレー装置を構成する部材の表面特性が大きな影響を与えていることが判明した。
すなわち、本発明者は、被塗布体と対向する該スロットノズルスプレー装置の該塗布液ノズルまたは該ガスノズルの吐出口に隣接する面が表面撥水化処理されていること、更に好ましくは、加えてガスノズルのガス流路壁または塗布液ノズルの液流路壁に表面撥水化処理を施すことにより、連続して安定な塗布液滴の噴霧を可能とし、塗布欠陥や塗布ムラが低減されることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明の塗布装置であるスロットノズルスプレー装置について、図を交えてその詳細を説明する。ただし、本発明の塗布装置は、ここで例示する図で示す構成のみに限定されるものではない。
本発明の塗布方法は、被塗布体を搬送し、該被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口端に近接してガスを噴出するガスノズルとを有するスロットノズルスプレー装置を用い、該ガスを該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布する。
ここで、本発明でいう被塗布体とは、本発明の塗布方法を用いて塗布液を液滴状にし、噴霧することで、塗布を行う被塗布対象物のことであり、その形態は問わないが、長尺の帯状支持体や、該帯状支持体上にすでに構成層、例えば、インク吸収層等を有するインクジェット記録用紙であることが本発明の効果を十分に奏することができ好ましいが、これに限られるものではない。被塗布体は、板状の支持体であっても、立体形状を有するものであっても構わず、被塗布部が面積を有していればよい。
また、本発明において、被塗布体は、塗布装置の塗布液ノズルに対して相対的に移動させ(搬送させ)、連続的に塗布製造を行う。塗布装置の塗布液ノズルは、少なくとも被塗布体の塗布幅(被塗布体の搬送方向と交差する方向における前記被塗布体の被塗布部の長さのことを指す)に対応する長さを有し、被塗布体の搬送方向と交差するように配置させることにより、塗布装置に対して被塗布体を搬送させるだけで、被塗布体上に塗布液を塗布する。被塗布体が長尺の帯状支持体である場合、帯状支持体の長手方向に帯状支持体自身を搬送させ、塗布装置の塗布液ノズルを、帯状支持体の幅手方向に(長手方向と直行する方向に)位置させることが好ましい。塗布装置に対し、被塗布体を一方向に搬送し、塗布液を塗布幅にわたって液滴として噴霧することにより、ごく薄い塗布膜を、乾燥負荷なく、膜厚均一性高く塗布できる。
また、塗布装置の塗布液ノズルから噴霧される液滴は、塗布幅方向において、
1:液滴径分布が均一であること、
2:液滴が被塗布体上に落ちる面積範囲が、搬送方向落下長さ(図3のL7)が均一であること、
3:被塗布体上に落ちる広がり角度が均一であること、
4:被塗布体上に落ちる衝突速度が均一であること、
によって、より塗布膜厚の均一性を確保することが可能となる。
塗布幅方向において液滴径分布が均一であるとは、具体的には、塗布幅方向で、平均液滴径の変動が、±20%以下であることを言う。より好ましくは±10%以下である。
平均液滴径の変動は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定し、計算することが可能である。具体的には以下の測定法により行う。
まず、塗布液を液滴として噴霧するスロットノズルスプレー装置等のスプレー装置から、塗布液を噴霧させ、その噴霧状態を安定させる。噴霧開始直後では、塗布液の吐出量やガス圧が一定せず噴霧状態が安定しないので、所定の時間噴霧を続けることで安定させることができる。
次に、噴霧状態が安定した液滴群に対し、レーザー回折式粒度分布測定装置としてスプレーテックRTS5123(マルバーン社製)を用い、塗布幅方向において等間隔で5ヶ所、平均液滴径を測定する。被塗布体に落ちる液滴群の塗布幅方向の両端(塗布端)は、通常、噴霧濃度が極端に低くなるため有効塗布幅にはカウントしない。よって、有効塗布幅の両端を測定点の両端2点とする。具体的には、塗布端から1cm内側に入った所を測定点の両端2点とし、その内側の等間隔3点を加えて計5点とし、これを測定点とする。この5ヶ所で測定された平均液滴径から、変動率を計算する。
尚、平均液滴径は、スプレーテックRTS5123を用いれば簡単に測定できるが、前記測定箇所における液滴群の各液滴径を測定し、液滴径を横軸にとって積算プロットしたときに、体積パーセントで50%の位置にくる液滴径のことをさす。
また、液滴が被塗布体上に落ちる面積範囲の搬送方向の長さが均一であるとは、塗布幅方向で、前記長さの変動が、±10%以下であることを言う。より好ましくは±5%以下である。
また、被塗布体上に落ちる液滴の広がり角度が均一であるとは、塗布幅方向で、塗布装置の塗布液ノズルを基点として、被塗布体上に落ちる液滴の落下角度の変動が、±10%以下であることをいう。より好ましくは±5%以下である。
また、被塗布体上に落ちる衝突速度が均一であるためには、微粒化した塗布液の噴霧速度が均一であればよい。
上述のような均一な噴霧を達成するため、本発明では、スロットノズルスプレー装置を用いることが特徴である。スロットノズルスプレー装置とは、塗布液を吐出する塗布液ノズル孔を塗布幅方向に複数有する。各塗布液ノズル孔は、塗布幅方向に一列に並んでいても、千鳥に並んでいてもよい。そして、前記塗布液ノズル孔に近接してガスを噴出するガスノズル孔を有し、ここから噴出されるガスを前記塗布液ノズル孔から吐出された塗布液に衝突させて液滴を形成する機構を有する。
本発明に好ましく用いることのできるスロットノズルスプレー装置としては、例えば、特開平6−170308号公報に記載されているものを適用することが可能である。特開平6−170308号公報では、このスロットノズルスプレー装置を用いて、使い捨ておむつの接着剤を繊維上に塗布する例が開示されているが、極めて高粘度の塗布液(接着剤)をスロットノズルスプレー装置の塗布液ノズル(塗布液吐出部)からファイバー状に落下させるものであり、塗布装置と被塗布体(繊維)とが、前記ファイバー状の塗布液でつながっている。つまり、本発明の塗布方法のように不連続な液滴として被塗布体上に付与するものではない。塗布幅にわたって設けられた複数の塗布液ノズルおのおのから平行に落下するファイバー状塗布液が、前記塗布液ノズルに近接して設けられたガスノズルから噴出されるガスにより攪乱され、垂直落下することが妨げられ、被塗布体上のある面積範囲内でランダムに着地するのみである。ガスノズルなしでは、ファイバー状の塗布液がそのまま垂直落下することになるが、ガスノズルからガスを噴出することで、より広範囲に塗布液を分散して着地させることが可能となっているが、ラーメンを広げて載せただけのような塗布層となり、インクジェット記録用紙の例で述べたような被塗布体全面にわたり、厳密に塗布膜厚の均一性が求められる塗布ではない。また、接着剤を塗布するものであるから、形成される塗布膜も極めて厚いものである。
また、特開平5−309310号公報に開示されるスロットノズルスプレー塗布装置も、本発明に好ましく用いることができる。特開平5−309310号公報で開示されている例は、上述の特開平6−170308号公報と同様に、ホットメルトタイプの接着剤を被塗布体上に塗布するものである。これも極めて高粘度の塗布液(接着剤)であるために、同様に塗布液を被塗布体表面にファイバー状に、連続的に吐出する方法であり、厳密な膜厚均一性はなく、かつ形成する塗布膜も極めて厚膜なものである。
このようなスロットノズルスプレー装置を用いて、上述のごとく塗布幅にわたって噴霧状態の均一性を高める方法としては、塗布液の粘度を比較的低くすること、ガスノズルから噴出するガス圧を高くすることにより可能である。また、スロットノズルスプレー装置の塗布液ノズル開口端の面積を小さくすること、該開口端のピッチを狭くすることなどにより、噴霧の均一性を高めることができる。
塗布液の粘度としては、好ましくは0.1〜250mPa・s、より好ましくは0.1〜50mPa・s、更に好ましくは0.1〜20mPa・sであり、このような低粘度の塗布液をスロットノズルスプレー装置に適用することで、塗布幅にわたって均一な液滴の噴霧が可能である。
また、塗布幅にわたって均一な液滴の噴霧を行うには、塗布液の表面張力を20〜70mN/mに調整すること、好ましくは20〜50mN/m、更に好ましくは20〜30mN/mとすることである。
また、スロットノズルスプレー装置等を用いて、ガスを塗布液に衝突させて液滴を形成するときのガス内圧は、10kPa以上、好ましくは20kPa以上、更に好ましくは50kPa以上とすると均一な噴霧が行い易い。ガスの流量としては、3.5CMM/m以上、好ましくは7CMM/m以上、更に好ましくは10CMM/m以上である。
上記手段を用いて、塗布幅にわたり、連続ファイバー状ではなく、不連続な液滴状に飛散させることにより、塗布液が少量であっても、均一に、塗布液を被塗布体上に供給できる。結果として、塗布膜厚を均一にすることができる。また、不連続な液滴の被塗布体上への供給であって、塗布液量が少なくなるので、乾燥負荷もかからない。
次いで、本発明の塗布装置に用いるスロットノズルスプレー塗布装置の具体的な形態について、説明する。
図1は、本発明の塗布方法を説明するための概略図である。図中、参照符号1は、スロットノズルスプレー装置(全容は不図示)のスロットノズルスプレー部、9は長尺の帯状支持体タイプの被塗布体である。
被塗布体9は、被塗布体9の長手方向である図中の矢印の搬送方向に、図示しない搬送手段により一定の速度で搬送される。スロットノズルスプレー部1の塗布液ノズルCは、搬送方向と直交する方向である被塗布体9の幅手方向に長さを有し、被塗布体9の塗布面に対向するように配置されている。塗布液ノズルCからは、塗布液が液滴状に噴霧され、搬送される被塗布体9上に液滴が着地することにより塗布が行われる。このとき被塗布体9の幅手方向の塗布液が付着する長さが図中矢印で示した塗布幅に相当する。図1では、塗布幅は、被塗布体9の幅手方向の長さよりも短くなっているが、同じでももちろん構わない。
図2は、図1で説明したスロットノズルスプレー部を含むスロットノズルスプレー装置の一例を示す概略断面図である。
スロットノズルスプレー部1は、一対の内部ダイブロック3a、3bと、該一対の内部ダイブロック3a、3bの各々の外側に外部ダイブロック2a、2bを有し、一対の内部ダイブロック3a、3b間に塗布液ノズルCが形成され、内部ダイブロック3aと外部ダイブロック2a間、及び内部ダイブロック3bと外部ダイブロック2b間にそれぞれガスノズルDが構成されている。
図2において、スロットノズルスプレー部1には、ガスポケットAを有する1対のガスノズルDと塗布液ポケットBを有する塗布液ノズルCを有している。塗布液は、ファイバー状にならず液滴を形成できる粘度(0.1〜250mPa・sが好ましい)を有する例えば機能賦与化合物含有溶液などの塗布液を調製釜4に入れ、ポンプ5、流量計6を経て、塗布液ポケットBに供給されて塗布液ノズル3に導かれる。一方、ガスノズル2へは、加圧空気源7より、弁8を介して、ガスポケットAに加圧空気が供給される。塗布に際しては、塗布液ノズルCより規定の塗布量となるように調製釜4より塗布液を供給すると同時に、一対のガスノズルDより加圧空気を吹き付け、塗布液を液滴状にして、被塗布体9上に噴霧、吐着させるものである。本発明の塗布方法においては、塗布液を、ファイバー状ではなく、微細な液滴として噴霧することができることが大きな特徴である。塗布液を微細な液滴として、被塗布体9表面に供給することにより、極めて均一性の高い薄膜を、乾燥負荷なく、高速で形成することができる。
次に、図3を用いて、スロットノズルスプレー部とそこで形成される液滴の形成及び飛翔状態を説明する。
図3において、塗布液ノズルCより吐出された塗布液Eは、塗布液ノズルCの両サイドに近接して設けられたガスノズルDより供給される圧縮空気Gにより、細分化、液滴化され球形に近い液滴粒子12となり、飛翔し、ギャップL5を隔てた被塗布体9表面に均一に着弾する。図3では、被塗布体9は、基材10上にインク吸収層11を構成層として塗布したモデルで示してある。被塗布体9上に着地する塗布液の液滴粒子12の面積範囲は、常に均一であることが好ましいが、特に、搬送方向における落下長さ(図中、落下長さL7と記載)が塗布幅にわたって均一であることが好ましい。また、塗布液ノズルCの開口端を基点として被塗布体に対し、噴霧される液滴群の広がり角度θは、塗布幅にわたって均一であることが好ましい。
図4は、本発明で用いるスロットノズルスプレー部の構成の特徴を示す概略断面図である。
図4において、内部ダイブロック3a、3b間に構成される塗布液ノズルCと、内部ダイブロック3aと外部ダイブロック2a間、及び内部ダイブロック3bと外部ダイブロック2b間で構成されるガスノズルDとがなす角度βが、15度以上、60度以下であることが好ましい。具体的には、多くの場合、塗布液ノズルCは、被塗布体面に対し垂直に配置されるケースが多く、その場合、ガスノズルDは、垂直方向に対し15度以上、60度以下の傾斜角を設けて配置されることになる。この様に、塗布液ノズルCとガスノズルDとを、特定の角度を設けて配置させることにより、安定した塗布液の液滴形成が可能となり、スジムラや塗布故障が低減され、高い塗布均一性を有する塗布を実現することができる。
また、本発明の塗布装置においては、被塗布体と対向する位置にある一対の外部ダイブロックの底面のなす角αが、170度以上、240度以下であることが好ましい。
上述の図4において、外部ダイブロック2a、2bの被塗布体9と対向する位置にあるそれぞれの底面を2c、2dとしたとき、底面2cと底面2dとのなす角αが170度以上、240度以下であることが好ましい。図4においては、ぞれぞれの底面2c、2dが被塗布体9に対し水平に位置し、角度αが180度である状態を例示してあるが、それぞれの底面2c、2dが被塗布体9に対し傾きを有する状態で形成されていても良い。
また、本発明の塗布装置においては、被塗布体と対向する位置にある一対の内部ダイブロックの底面のぞれぞれの幅L1、L2が1mm以下であり、かつ被塗布体と対向する位置にある一対の外部ダイブロックの底面のそれぞれの幅L3、L4が0.1〜50mmであることが好ましい。すなわち、図4において、内部ダイブロック3a、3bの被塗布体9と対向する位置にあるそれぞれの底面を3c、3dとしたとき、底面3c、3dのそれぞれの幅L1、L2が1mm以下であることが好ましく、より好ましく0.2〜1.0mmである。
また、外部ダイブロック2a、2bの被塗布体9と対向する位置にあるそれぞれの底面を2c、2dとしたとき、底面2c、2dのそれぞれの幅L3、L4が0.1〜50mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜30mmである。
以上の構成からなるスロットノズルスプレー装置からなる本発明の塗布装置においては、主に上記構成からなるスロットノズルスプレー装置の被塗布体と対向する塗布液ノズルまたはガスノズルの吐出口に隣接する面が表面撥水化処理されていることを特徴とする。
本発明でいうスロットノズルスプレー装置の塗布液ノズルまたはガスノズルの吐出口に隣接する面とは、図2に示すスロットノズルスプレー装置において、被塗布体9に対向する位置にあるスロットノズルスプレー部1の底面部2c、2d、3c、3dであり、以降、本発明に係る塗布液ノズルまたはガスノズルの吐出口に隣接する面を底面または底面部ともいう。
また、本発明の塗布装置においては、更に、ガスノズルのガス流路壁及び/または塗布液ノズルの液流路壁にも表面撥水化処理を施すことが、本発明の目的効果をより一層発揮させる観点から好ましい。
本発明でいうガスノズルのガス流路壁とは、加圧空気源7より、弁8を介して、加圧空気が供給されるガスポケットAからガスノズルDまでの流路を形成する壁面をいう。また、塗布液ノズルの液流路壁とは、ポンプ5、流量計6を経て、塗布液を供給する塗布液ポケットBから塗布液ノズルCまでの流路を形成する壁面をいう。
本発明の塗布装置においては、本発明に係るスロットノズルスプレー装置の上記で説明した特定部位の表面が撥水化処理されていれば本発明の目的効果を得ることができ、上記各特定部位を撥水性を有する素材で構成すること、あるいは撥水性フィルム等で被覆すること、あるいは撥水化剤によるコーティングや蒸着等の手段で表面加工を施すことで、所望の表面撥水能を付与することができる。
本発明でいう表面撥水化処理とは、部材表面の純水に対する接触角が105°以上となるように処理を施すことを意味する。本発明に係るスロットノズルスプレー装置においては、スロットノズルスプレー部本体に使用する材質としては、加工精度や耐久性等の観点から金属材質、特にステンレスで構成することが極めて好ましいため、本発明に係る表面撥水化処理としては、含フッ素重合体を部材表面にコーティングして、表面撥水化処理することが好ましい。
本発明に係る表面撥水化処理に用いる含フッ素重合体としては、含フッ素シランカップリング剤、アモルファス(非晶質)含フッ素重合体であることが好ましい。
含フッ素シランカップリング剤としては、例えば、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)、信越化学工業(株)、ダイキン工業(株)(例えば、オプツールDSX)、また、Gelest Inc.、ソルベイ ソレクシス(株)等により上市されており、容易に入手することができる他、例えば、J.Fluorine Chem.,79(1).87(1996)、材料技術,16(5),209(1998)、Collect.Czech.Chem.Commun.,44巻,750〜755頁、J.Amer.Chem.Soc.1990年,112巻,2341〜2348頁、Inorg.Chem.,10巻,889〜892頁,1971年、米国特許第3,668,233号明細書等、また、特開昭58−122979号、特開平7−242675号、特開平9−61605号、同11−29585号、特開2000−64348号、同2000−144097号公報等に記載の合成方法、あるいはこれに準じた合成方法により製造することができる。
また、アモルファス含フッ素重合体としては、サイトップ(旭硝子(株)製)、ポリジパーフルオロアルキルフマレート、テフロン(登録商標)AF(以上、DuPont社製)のようなフッ素系重合体、あるいはジパーフルオロアルキルフマレートとスチレンの交互重合体、三フッ化塩化エチレンとビニルエステルとの交互重合体、4フッ化塩化エチレンとビニルエステルとの交互重合体などの含フッ素エチレンと炭化水素系エチレンとの交互重合体もしくはその類似体ないし誘導体、フマライト(日本油脂(株)製)が好ましく用いられる。
これらの含フッ素重合体は、選択的にフッ素系有機溶剤に溶解することから、溶媒に任意の濃度で溶解してコーティングすることにより、粉体または分散媒の形態でしか塗布できないポリテトラフルオロエチレンやポリクロロトリフルオロエチレンなどに比べ、形成されたコーティング層がスロットノズルスプレー部本体の各部材に対する密着性が高く、かつ均一なコーティング層の形成が可能となる。コーティング液の含フッ素重合体濃度としては0.01%〜7質量%の範囲である。
上記含フッ素シランカップリング剤に用いられるフッ素系有機溶剤としては、ノベックHFEなどが好ましく用いることができ、アモルファス含フッ素樹脂用に用いられるフッ素系有機溶剤としてはシランフロリナート、ノベックHFE(以上、3M社製)、ガルデン(モンテフルオス社製)、トリフルオロメチルベンゼン、ハイドロフルオロカーボンなどが好ましく用いられる。
含フッ素重合体のスロットノズルスプレー部本体に対するコーティング方法としては、公知の塗布方法を適用することができ、例えば、ディピング法、スプレーコート法、スピンコート法、転写法、蒸着法を適宜選択して用いることができる。
スロットノズルスプレー部本体に対する含フッ素重合体の塗設量としては、所望の水に対する接触角を実現できる範囲であれば特に制限はないが、含フッ素シランカップリング剤を用いる場合には、概ね0.001〜0.1g/m2であり、好ましくは0.001〜0.01g/m2であり、またアモルファス含フッ素樹脂を用いる場合には、概ね0.01〜10.0g/m2であり、好ましくは0.01〜1.0g/m2である。
更に、本発明の塗布装置の詳細について説明する。
図5および図6は、図2のスロットノズルスプレー部を塗布液ノズルC側から見た概略図である。塗布幅方向に配置された複数の塗布液ノズルCの開口端とガスノズルDの開口端とを示している。
図5に示す塗布液ノズルは、円形の開口端を有する塗布液ノズルCが、塗布幅方向に21個並んでいる。そして、各塗布液ノズルCの開口端の両サイドに近接して、ガスノズルDが設けられている態様である。各塗布液ノズルCは、それぞれ等間隔に配列されており、同様に各ガスノズルDも等間隔に配列されている。ここでは、一つの塗布液ノズルCと対応する2つのガスノズルDが塗布幅方向と直行する方向に一直線上に配置されているが、塗布液ノズルCとガスノズルDとが、互い違いに、千鳥状に配置されていても構わない。塗布液ノズルCの開口端またはガスノズルDの開口端の間隔(ピッチ)は一定であることが好ましい。
図6に示す塗布液ノズルは、図5に記載の形態とは別のものである。矩形の開口端を有する塗布液ノズルCが塗布幅方向に11個並んでいる。そして、塗布幅にわたって、全部の塗布液ノズルCに対し、その開口端の両サイドに近接して、スリット状のガスノズルDが一つずつ設けられている。この形態においても、複数の矩形の塗布液ノズルの開口は等間隔に配列されている。
図7は、図5のタイプの塗布液ノズルを有するスロットノズルスプレー部の分解斜視図である。図中、参照符号の3aおよび3bは、所定の距離を有する塗布液用スリットを形成し、このスリットに塗布液を流下させるための内部ダイブロックである。片方のダイブロック3aは、図示しない塗布液供給源から供給される塗布液を受け入れ、塗布液ポケットBまで連通する塗布液供給管61を有している。塗布液ポケットBに滞留した塗布液は、内部ダイブロック3aおよび3bの間に形成された塗布液用スリットを流下することになる。1dは、内部ブロック3aおよび3bに挟まれたシム(詰め金)であり、2つの内部ダイブロック3aおよび3bの間隙に形成された塗布液用スリットを垂直方向に分断して塗布幅方向に複数の塗布液ノズルを形成する。
また、2aおよび2bは、ガス供給用の外部ダイブロックで、外部ダイブロック2aおよび2bのそれぞれとの間隙に圧縮ガスが流通するガスノズルD(不図示)を形成する。この場合のガスノズルDは塗布幅方向に延びるスリットである。図示しないエア供給源から圧縮エアがそれぞれの外部ダイブロック2a、2bのそれぞれのエア供給管81に供給され、一端ガスポケットAに滞留した後、内部ダイブロックと外部ダイブロックとの間隙に形成されたガスノズルD(不図示)を圧力をもって流下する。
上記シム1dの間を流下してきた塗布液および2つのガスノズルを流下してきた圧縮エアは、スロットノズルスプレー部1の底部である塗布液ノズルにおいて衝突し、液滴を形成して、被塗布対象物である被塗布体上に飛翔する。
本発明に用いられるスロットノズルスプレー装置において、塗布液ノズルの開口端の形状としては、円形でも矩形でも良く、そのサイズとしては50〜300μmの範囲で用いることができ、それらのピッチ(間隔)は、100〜3000μmとすることが好ましい。一方、ガスノズルの開口端の形状としては、円形でも塗布幅に延びるスリット状でもよく、このときの円形での直径(図5に示すd)、あるいはスリット間隔(図6に示すw)としては、概ね50〜500μmの範囲で用いることができる。塗布液ノズルに対するガスノズルの角度としては、15〜60度の範囲であることが特徴であるが、好ましくは15〜45度である。また、スロットノズルスプレー部の塗布液ノズルと被塗布体間の距離(図2に示すL5)は、概ね0.2〜10cmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜6.0cmであり、更に好ましくは1.0〜3.5cmである。
塗布液ノズルからの塗布液の供給量は、所望の塗布膜厚、塗布液の濃度、塗布速度等により一概には規定できないが、概ね被塗布体上の塗設量として、1〜50g/m2の範囲が好ましい。1g/m2未満では、安定で均一な塗布膜を形成するのが難しく、逆に50g/m2を越えると乾燥負荷等に影響が表れ、本発明の効果を有効に発揮させることが難しくなる。塗布液の湿潤膜厚としては、1〜50μmであることが特徴であり、好ましくは5〜30μmである。
一方、ガスノズルから噴出されるガスは、塗布に適した気体であればよく、一般にはエア(空気)を用いるが、ガスの供給条件としては、概ね1〜50CMM/m(塗布幅あたりの流量)の範囲が好ましく、その時のガスノズルでの内圧としては、塗布の均一性の観点から、10kPa以上であることが好ましい。
エアー線速度vは、100〜400m/sであることが本発明の目的を顕著に達成できるという観点において好ましい。特に、vが100m/s以上であれば塗布乾燥性の観点で好ましく、また400m/s以下であれば塗布収率の観点で好ましい。
本発明でいうエアー線速度とは、ガスノズル出口直後におけるエアー線速度であり、レーザードップラ風速計、例えば、KANOMAX社製の1D FLV system8851により測定して求めることができる。また、塗布収率とは、被塗布体上に塗布された塗布液量/供給した全塗布液量×100(%)であり、質量法により算出する。すなわち、被塗布体上に塗布された塗布液量は、被塗布体上への塗布前後の質量変化から算出し、供給した全塗布液量は塗布液ノズルへ送液、供給した質量、すなわち、送液流量×塗布時間より求めることができる。
また、このときの塗布液の液滴の平均粒径は、10〜70μmであることが本発明の目的を顕著に達成できるという観点において好ましい。本発明でいう液滴の平均粒径とは、塗布ギャップ(塗布液ノズルと被塗布体間の距離L5)位置における平均粒径であり、レーザ回折方式粒径測定機、例えば、MALVAN社製のRTS114により測定して、求めることができる。
図8は、上記説明したようなスロットノズルスプレー装置を配置した塗布製造ラインの一例を示している。ここでは、被塗布体としては支持体上に構成層を塗布したものを用いている。該構成層を塗布後、乾燥する工程内に、複数(多段で)スロットノズルスプレー装置を配置した。このように同一ライン上で、構成層の形成と本発明によるオーバーコート層(最表層)の塗布とを行うことをオンライン塗布と呼んでいる。
図示しない搬送手段によって支持体の元巻きから、支持体が搬送ローラ21を通過し、更にバックアップロール22の位置にて反転搬送される過程で流量規制型のスライドビード塗布装置20より供給される多孔質インク吸収層(構成層)用の塗布液が塗布される。この多孔質インク吸収層用の塗布液は、親水性バインダを含有しているので、冷却ゾーン30で一端冷却して固定する。この支持体上に構成層を有する被塗布体9は、乾燥工程に搬送される。乾燥工程では、エアを吹き出して塗布膜表面と非接触で反転搬送させるリバーサ23と被塗布体9の裏面に接触して反転搬送させる通常の搬送ローラ24とを交互に設けて、被塗布体9を蛇行搬送させている。この乾燥工程においては、温風を吹き付けられて乾燥される(温風吹きつけ手段は不図示)。この乾燥工程の途中、好ましくは減率乾燥以降の位置に、2つのスロットノズルスプレー装置1によって本発明の上記説明したような液滴噴霧による塗布が行われる。2つのスロットノズルスプレーのうち、少なくとも1つは、乾燥終点以降の位置に載置されることが乾燥性の観点で好ましい。ここでは2つのスロットノズルスプレー装置を使用したが、1つでももちろんよく、3つ以上でもかまわない。多段に分けて液滴噴霧による塗布を行うことにより、乾燥負荷がより少なくなると同時に、膜厚均一性も高まることがわかった。
本発明の塗布方法を用いて、被塗布体上に薄膜を形成する際の塗布速度としては、用いる塗布液の種類、濃度、溶媒含有量、乾燥能力等により変化し、一概に規定することはできないが、塗布速度として、50〜500m/minであることが好ましく、より好ましくは100〜300m/minである。
本発明の塗布方法を用いて、少なくとも1層の構成層を支持体上に有する被塗布体上に、塗布を行う場合の塗布時期としては、支持体上に形成した構成層の減率乾燥以降、好ましくは乾燥終点以降である。また、前記構成層をスライドビード塗布等を用いて行う塗布工程と本発明のスロットノズルスプレー装置を用いる等により行う塗布工程は、同じ製造ライン上で、連続して行うことが好ましい(オンライン塗布と言う)。本発明にかかる塗布方法は、少量の塗布液であっても塗布が可能であるため、該構成層が完全に乾燥していない状態で行っても乾燥負荷が少なく、該構成層への悪影響も少ない。また、該構成層が完全に乾燥する前に本発明にかかる塗布を行う方が、かえって構成層のひび割れ等のデメリットを防ぐことも出来ることがわかった。
本発明の塗布方法は、乾燥負荷が少ないので、該構成層の乾燥工程内において実施することができる。乾燥工程は、通常は、湿潤状態の塗布膜を連続的に搬送しながら、その表面あるいは裏面より、特定の温度及び湿度条件に制御された乾燥風を吹き付けて乾燥させることが好ましい。
湿潤状態の塗布膜の乾燥過程は、主に以下のように分類することができる。乾燥の初期は、恒率乾燥部と呼ばれ、塗布液の溶媒である水や溶剤が蒸発潜熱を奪いながら蒸発していくため、構成層の表面温度はほぼ一定である。この一定温度の期間を恒率乾燥部という。恒率乾燥部以降では、塗布液の溶質とインターラクションのある水や溶剤を蒸発させるため、蒸発潜熱の他にそのインターラクションを解くためのエネルギーも必要となるので表面温度は上昇する。この期間を減率乾燥部という。減率乾燥とは、表面からの溶媒の蒸発が層内の塗膜中の水分移動が勝るときに起きる現象である。次いで、減率乾燥が終了すると、乾燥風の温度とインクジェット記録用紙の表面温度が一致する領域に入る。この時点が、乾燥終点と呼ばれている。
以上説明した恒率乾燥部、減率乾燥部及び乾燥終点の確認方法としては、特に制限はないが、例えば、表面温度をモニターして、表面温度が一定である領域を恒率乾燥部、表面温度が上昇する領域を減率乾燥部及び乾燥温度と同一となった時点を、乾燥終点として求めることができる。
また、他の方法としては、各領域に含水量計を設置し、塗膜の含水量をモニターし、含水量の減少曲線がフラットになった領域を乾燥終点として規定することができる。
本発明の塗布方法における塗布液の粘度は、0.1〜250mPa・sであることが好ましい。より好ましくは0.1〜50mPa・sである。更に好ましくは0.1〜20mPa・sである。
本発明の塗布方法は、薄層を均一に形成することができ、幅広い分野に適用することができ、例えば、一般銀塩感光材料の最表面に機能層を賦与する、反射防止膜の形成、電子写真で用いる感光体の電荷発生層、電荷輸送層の塗布、インクジェット記録用紙上への塗布等に用いることができるが、特に好ましくはインクジェット記録用紙上へのオーバーコート層の塗布に適用することである。
本発明の塗布方法が好ましく適用できるインクジェット記録用紙は、支持体上に親水性バインダーと微粒子を含有する多孔質インク吸収層を構成層として有し、その上に本発明の塗布方法でオーバーコート層を設けたものである。
多孔質インク吸収層は、主に微粒子と親水性バインダーから形成される。微粒子としては、気相法で合成された微粒子シリカを、親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコールなどが好ましく用いられる。
このようなインクジェット記録用紙に用いられる支持体としては、吸水性支持体(例えば、紙など)や非吸水性支持体を用いることができるが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体が好ましい。このような支持体としては、紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体がある。
上記ポリビニルアルコールと微粒子シリカを含有する多孔質インク吸収層用(構成層用)の塗布液は、高温で低粘度、低温で高粘度になりやすい。それ故に、上記水溶性塗布液を支持体上に塗布した後は、塗布液を冷却して著しく増粘させることが好ましい。
多孔質インク吸収層の塗布温度は、一般的には、30〜60℃であり、塗布後の冷却温度は塗膜温度が概ね20℃以下になるようにすれば良く、特に、15℃以下にすることが好ましい。
冷却工程は、塗布後、例えば15℃以下に冷却されたゾーンを一定時間(好ましくは5秒間以上)通過させることで行うことができる。この冷却時点では、あまり強い風を吹き付けないことが、液ヨリを起こさず均一でムラのない塗膜を得る観点から好ましい。
一旦冷却した以降は、強い風を吹き付けても、塗布液自体の増粘のため、液ヨリを起こしにくくなり、強い風を吹き付けても液ヨリの発生を抑制することができる。また、吹き付ける強い風の温度は、20℃以上の風を吹き付けることができるが、徐々に風の温度を上げるのが好ましい。
多孔質インク吸収層用の塗布液を支持体上に塗布した後の乾燥工程は、風を吹き付けたり高温状態のゾーンを通過させる、もしくは両者を併用することで行われる。
高温ゾーンを通過させて乾燥させる場合、50〜150℃の乾燥ゾーンを通過させる。この際、乾燥温度は、支持体の耐熱性や塗膜への悪影響などを考慮して適切な乾燥温度を選択することが好ましい。乾燥する風は、通常、相対湿度が10〜50%、好ましくは15〜40%の風で行われる。乾燥時間は、湿潤膜厚にもよるが、概ね10分以内が好ましく、5分以内にするのが特に好ましい。
塗布速度は、湿潤膜厚や設備の乾燥能力に依存するが、概ね1分当たり10〜1000m、好ましくは20〜500mである。
上記多孔質インク吸収層用の塗布液の塗布方法としては、公知の方法から適宜選択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号公報に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
次に、本発明のスロットノズルスプレー装置を用いて、インクジェット記録用紙の多孔質インク吸収層上にオーバーコート層を設ける場合の、該オーバーコート層用の塗布液について、以下に説明する。
オーバーコート層用の塗布液は、インクジェット記録用紙の構成層表面に対する機能賦与化合物を含有していることが好ましい。
その機能賦与化合物の使用により、pHが変化する有機または無機の酸、もしくは各種のアルカリ性の添加剤、水溶性多価金属イオンの水溶性塩、アニオン、カチオン、両性、もしくはノニオン系の各種界面活性剤、退色防止剤、カチオン性定着剤、親水性バインダーの架橋剤等が挙げられる。
多孔質インク吸収層の膜面pHを低下させる目的で使用できる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸などの無機酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、フタル酸、こはく酸、蓚酸、ポリアクリル酸などの有機酸を挙げることができる。
多孔質インク吸収層の膜面pHを増大させる目的で使用されるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ほう砂、燐酸ナトリウム、水酸化カルシウム、有機アミンなどが挙げられる。
上記pH調整剤は、多孔質形成する塗布液中のpHが記録媒体の好ましい膜面pHと異なる場合に、特に好ましい。
記録媒体の多孔質インク吸収層の膜面pHは、インクの種類によっても異なるが、一般には、より酸性側で染料の耐水性や滲みが改善されるが、耐光性はより高pH側で改良される傾向が大きいため、使用するインクとの組み合わせで最適なpHは選定される。好ましい多孔質表面の膜面pHは、3〜7であり、特に3.5〜6.5が好ましい。ここでいう膜面pHとは、J.TAPPI 49に規定される紙の表面pH測定方法にしたがって測定した値であり、具体的には、記録媒体表面に50μlの純水(pH=6.2〜7.3)を滴下し、市販の平面電極を用いて測定した値を言う。
前記機能賦与化合物としては、界面活性剤であってもよい。
界面活性剤は、インクジェット記録時にドット径をコントロールすることが可能であり、そのような界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性、もしくはノニオン系界面活性剤を挙げることができる。また、界面活性剤は、2種以上を併用することもできる。界面活性剤の添加量は、記録媒体1m2当たり概ね0.01〜50mgである。50mgを越えると、インクジェット記録時にマダラ状のムラになりやすい。
前記機能賦与化合物としては、親水性バインダーの架橋剤であってもよい。
このような架橋剤としては、公知のものを使用でき、好ましいものとしては、前述のホウ酸類、ジルコニウム塩、アルミニウム塩もしくはエポキシ系架橋剤である。
前記機能賦与化合物としては、画像安定剤(以下、退色防止剤ともいう)であってもよい。退色防止剤は、光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NOx、SOxなどの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。
前記機能賦与化合物としては、カチオン性ポリマーを使用することができる。
一般に、カチオン性ポリマーは、染料の定着剤として作用し、耐水性や滲みを防止するため、予め多孔質受容層を形成する塗布液に添加しておくことが好ましいが、塗布液中に添加した際に問題が発生する場合には、オーバーコート法で供給することもできる。例えば、カチオン性ポリマーの添加により、塗布液が経時で増粘したり、あるいは、多孔質層内でカチオン性ポリマーの分布を持たせて発色性を改善する場合などでは、オーバーコート法で供給することが好ましい。カチオン性ポリマーをオーバーコート法で供給する場合、記録媒体1m2当たり概ね0.1〜5gの範囲である。
前記機能性付与化合物としては、水溶性多価金属化合物であってもよい。
水溶性多価金属化合物は、一般に、無機微粒子含有の塗布液中に存在すると凝集を起こしやすく、これにより微少な塗布故障や光沢性の低下を引き起こしやすいため、特にオーバーコート法が供給するのが好ましい。
そのような多価金属化合物としては、例えば、Mg2 +、Ca2 +、Zn2 +、Zr2 +、Ni2 +、Al3 +などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等が用いられる。
上記の各機能性付与化合物は、単独で使用しても、あるいは2種以上を併用することもできる。具体的には、退色防止剤を2種以上含む水溶液を用いることも、また、退色防止剤と架橋剤を含有する溶液、退色防止剤と界面活性剤を含有する溶液、更には架橋剤、水溶性の多価金属化合物、および退色防止剤を併用することもできる。
上記機能性付与化合物の溶媒としては、水または水混和性の有機溶媒と水との混合溶液であることができ、水を用いることが特に好ましい。また、水と水混和性を有する低沸点有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等)との混合溶媒も好ましい溶媒である。水と水混和性の有機溶媒とを併せて使用する場合、水の含有率としては質量比で50質量%以上であることが好ましい。
ここで水混和性を有する低沸点有機溶媒とは、室温で水に対して10質量%以上の溶解性を有し、沸点が約120℃以下の有機溶媒を言う。
また、本発明の塗布方法に用いる塗布液の表面張力は、室温で20〜60mN/mであることが、均一な塗布性を得る観点から好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《インクジェット記録用紙の作製》
〔支持体の作製〕
木材パルプ(LBKP/NBSP=50/50)100質量部に対して、ポリアクリルアミドを1質量部、灰分(タルク)を4質量、カチオン化澱粉を2質量部、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を0.5質量部、及び種々の添加量のアルキルケテンダイマー(サイズ剤)を含有するスラリー液を調製し、長網抄紙機で坪量が170g/m2になるように基紙を抄造した。これにカレンダー処理した後、7質量%のアナターゼ型酸化チタンおよび少量の色調調整剤を含有する密度0.92の低密度ポリエチレン樹脂を320℃で厚さ28μmになるように溶融押し出しコーティング法で基紙の片面を被覆し、鏡面クーリングローラーで直後に冷却した。次いで、反対側の面を密度0.96の高密度ポリエチレン/密度0.92の低密度ポリエチレン=70/30の混合した溶融物を同様に溶融押し出し法で、厚さが32μmになるように被覆した。
この支持体の酸化チタン含有層側に、コロナ放電した後、ゼラチン0.05g/m2を下引き層として塗布した。
一方反対側には、平均粒径約1.0μmのシリカ微粒子(マット剤)と少量のカチオン性ポリマー(導電剤)を含有するスチレン/アクリル系エマルジョンを、乾燥膜厚が約0.5μmになるように塗布して、インク吸収層を塗布するための支持体を作製した。
バック面側は、光沢度が約18%、中心線平均粗さRaが約4.5μm、ベック平滑度は160〜200秒であった。
このようにして得られた支持体の基紙の含水率は7.0〜7.2%であった。
〔インク吸収層塗布液の調製〕
下記の手順に従って、下記の組成からなるインク吸収層用塗布液を調製した。
(酸化チタン分散液1の調製)
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)を、pH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製:PVA235)を500g、カチオンポリマー(P−1)を150g及びサンノブコ株式会社の消泡剤SN381を10g含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液1を得た。
Figure 2005230799
(シリカ分散液1の調製)
水 71L
ホウ酸 0.27kg
ほう砂 0.24kg
エタノール 2.2L
カチオン性ポリマー(P−1)25%水溶液 17L
退色防止剤(AF1 *1)10%水溶液 8.5L
蛍光増白剤水溶液(*2) 0.1L
全量を純水で100Lに仕上げた。
無機微粒子として、気相法シリカ(平均一次粒子径 約12nm)を50kg用意し、これに上記添加剤を添加した後、特開2002−47454号公報の実施例5に記載された分散方法により分散してシリカ分散液1を得た。
*1:退色防止剤(AF−1) HO−N(C24SO3Na)2
*2:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、UVITEX NFW LIQUID
(シリカ分散液2の調製)
上記シリカ分散液1の調製において、カチオン性ポリマー(P−1)を、カチオン性ポリマー(P−2)に変更した以外は同様にして、シリカ分散液2を調製した。
Figure 2005230799
(インク吸収層塗布液の調製)
第1層、第2層、第3層及び第4層の各インク吸収層用塗布液を、以下の手順で調製した。
〈第1層用塗布液〉
シリカ分散液1の610mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
220ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
酸化チタン分散液 30ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
界面活性剤(SF1)5%水溶液 1.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
〈第2層用塗布液〉
シリカ分散液1の630mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約0.5μm、固形分濃度40%) 15ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
〈第3層用塗布液〉
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
〈第4層用塗布液〉
シリカ分散液2の650mlに、40℃で攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
180ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
80ml
サポニン50%水溶液 4ml
界面活性剤(SF1)5%水溶液 6ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。
Figure 2005230799
上記のようにして調製した各塗布液を、20μmの捕集可能なフィルターで2段ろ過した。
上記各塗布液は、いずれも40℃において30〜80mPa・s、15℃において30000〜100000mPa.sの粘度特性を示した。
(塗布)
次に、上記の各塗布液を下記の湿潤膜厚となるよう、40℃で上記支持体上に、図12に記載の工程からなる塗布ラインを用いて、4層式カーテンコーターを用い、塗布幅:約1.5m、塗布速度:100m/分で同時塗布を行った。
〈湿潤膜厚〉
第1層:35μm
第2層:45μm
第3層:45μm
第4層:40μm
インク吸収層用塗布液の塗布直後に8℃に保持した冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃、相対湿度20%以下で30秒間、60℃、相対湿度20%以下で120秒間、55℃、相対湿度20%以下で60秒間、各々の乾燥風を吹き付けて乾燥した。恒率乾燥域における皮膜温度は8〜30℃であり、減率乾燥域で皮膜温度が徐々に上昇した後、23℃、相対湿度40〜60%の調湿ゾーンで調湿してインクジェット記録用紙を得た。
《試料101の作製》
〔オーバーコート液の調製〕
下記水溶性染料を0.2質量%含む水溶液を調製し、これをオーバーコート液1とした。このオーバーコート液1の粘度は室温で1.5mPa・s、表面張力は60〜70mN/mであった。
Figure 2005230799
(オーバーコート)
図8に記載の塗布ラインの後半のオーバーコートゾーンを使用し、コーター1としては図2、図5に記載の構成からなるスロットノズルスプレー装置を1台使用して、上記調製したオーバーコート液1を、前記作製したインクジェット記録用紙のインク吸収層上に、塗布速度100m/min、湿潤膜厚20.0μmとなるように塗布、乾燥を行い、これを試料101とした。なお、試料101の作製に用いたスロットノズルスプレー装置は、図4で記載の外部ダイブロック2a、2bのそれぞれの底面2c、2dのなす角度αは180度、塗布液ノズルの塗布液吐出口とガスノズルのガス吐出口のなす角度βを30度、内部ダイブロックの底面のそれぞれの幅L1、L2を0.5mm、外部ダイブロックの底面のそれぞれの幅L3、L4を40mmとし、外部ダイブロックの底面と被塗布体表面との距離を20mmとした。また、ガスノズルより供給するガスは、空気を使用し、ガスノズルより200m/secの風量で供給した。なお、スロットノズルスプレー装置の底面部2c、2d、3c、3d及びガスノズルのガス流路壁及び塗布液ノズルの液流路壁の表面は、表面撥水化処理加工は施さず、部材であるステンレスそのものが露出した状態とした。
また、用いた各ノズル形状は図6の形状とし、塗布液ノズルの開口端は120μm角の矩形、ピッチは1000μmピッチで、ガスノズルは150μm幅のスリット状とした。
《試料102、103の作製》
上記試料101の作製において、塗布速度及び湿潤膜厚を表1に記載の条件に変更した以外は同様にして、試料102、103を作製した。
《試料104〜106の作製》
表面撥水化処理剤として、オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製:20質量%溶液)をHFE7100(3M社製)で希釈し、オプツールDSXの0.1質量%溶液を調製した。
次いで、図2に記載の構成からなるスロットノズルスプレー装置を用い、外部ダイブロック2a、2bのそれぞれの底面2c、2d、及び内部ダイブロック3a、3bのそれぞれの底面3d、3cに、上記調製したオプツールDSXの0.1質量%溶液を、含フッ素重合体の固形分付着量を0.015g/m2とし、未塗布部分が生じない条件で均一に塗布し、室温で24時間乾燥させ、スロットノズルスプレーの底面部に表面撥水化処理を施した。次いで、この表面撥水化処理を施したスロットノズルスプレー装置を用いた以外は試料101〜103の作製と同様にして、試料104〜106を作製した。
《試料107〜109の作製》
表面撥水化処理剤として、サイトップ105P(旭硝子株式会社製)を20質量部、CT−SOLV100(旭硝子株式会社製)を80質量部、それぞれ混合、溶解して、サイトップ105Pの20質量%溶液を調製した。
次いで、図2に記載の構成からなるスロットノズルスプレー装置を用い、外部ダイブロック2a、2bのそれぞれの底面2c、2d、及び内部ダイブロック3a、3bのそれぞれの底面3d、3cに、上記調製したサイトップ105Pの20質量%溶液を、含フッ素重合体の固形分付着量を1.0g/m2とし、未塗布部分が生じない条件で均一に塗布し、150℃の条件で2時間乾燥させ、スロットノズルスプレーの底面部に表面撥水化処理を施した。次いで、この表面撥水化処理を施したスロットノズルスプレー装置を用いた以外は試料101〜103の作製と同様にして、試料107〜109を作製した。
《各試料の特性評価》
上記の方法に従って作製した各インクジェット記録用紙について、下記の各評価を行った。
〔筋状故障耐性の評価〕
上記作製した各インクジェット記録用紙のオーバーコート面における筋状故障の発生状態を目視観察し、下記の基準に従って筋状故障耐性を評価した。
A:オーバーコート面に筋状故障の発生が全く認められない
B:オーバーコート面にやや軽微の筋状故障が認められるが、実用上許容範囲内である
C:オーバーコート面にやや強い筋状故障が認められ、実用上問題がある
D:オーバーコート面に極めて強い筋状故障が認められ、実用に耐えない品質である
なお、ここでいう筋状故障とは、塗布面の塗布巾手方向に濃淡の濃度変動が生じる筋状の濃度ムラのことをいう。
〔段ムラ故障耐性の評価〕
上記作製した各インクジェット記録用紙のオーバーコート面における段ムラ故障の発生状態を目視観察し、下記の基準に従って段ムラ故障耐性を評価した。
A:オーバーコート面に段ムラ故障の発生が全く認められない
B:オーバーコート面にやや軽微の段ムラ故障が認められるが、実用上許容範囲内である
C:オーバーコート面にやや強い段ムラ故障が認められ、実用上問題がある
D:オーバーコート面に極めて強い段ムラ故障が認められ、実用に耐えない品質である
なお、ここでいう段ムラ故障とは、塗布面の塗布長手方向(塗布方向)に1〜3cmのピッチで段々状に濃淡が生じる濃度ムラのことをいう。
以上により得られた各評価結果を、表1に示す。
Figure 2005230799
表1に記載の結果より明らかなように、塗布速度100m/min、湿潤膜厚20μmの条件で塗布した試料101では筋故障、段ムラ故障ともに実用上問題ない品質にあるが、高速塗布、あるいは薄膜条件で塗布した試料102、103では明らかに筋故障及び段ムラ故障の発生が認められた。これに対し、スロットノズルスプレー装置の底面部に表面撥水化処理を施して塗布を行った本発明の塗布方法で作製した試料104〜108は、塗布速度や塗布時の湿潤膜厚の条件にかかわらず、良好な塗布均一性が得られていることが分かる。すなわち、本発明の塗布方法を適用することにより、薄膜、高速塗布が可能となることが分かる。
実施例2
《試料201〜203の作製》
実施例1に記載の試料104〜106の作製において、下記の表面撥水化処理を施したスロットノズルスプレー装置を用いた以外は同様にして、試料201〜203を作製した。
使用したスロットノズルスプレー装置は、図2に記載の構成からなり、外部ダイブロック2a、2bのそれぞれの底面2c、2d、内部ダイブロック3a、3bのそれぞれの底面3d、3c、及びガスポケットAとガスノズルDの流路壁面部に、実施例1で調製したオプツールDSXの0.1質量%溶液を含フッ素重合体の固形分付着量を0.015g/m2とし、未塗布部分が生じない条件で均一に塗布し、室温で24時間乾燥させて、各底面部及びガスノズルのガス流路壁に表面撥水化処理を施した。
《各試料の特性評価》
上記の方法に従って作製した各インクジェット記録用紙について、実施例1に記載の方法と同様にして、筋故障耐性及び段ムラ故障耐性の各評価を行い、得られた結果を表2に示す。
Figure 2005230799
表2に記載の結果より明らかなように、底面部及びガス流路壁面に表面撥水化処理を施したスロットノズルスプレー装置を用いて作製した本発明のインクジェット記録用紙は、塗布速度や塗布時の湿潤膜厚の条件にかかわらず、更に良好な塗布均一性が得られていることが分かる。
実施例3
《試料301の作製》
実施例1に記載の試料105の作製において、下記の表面撥水化処理を施したスロットノズルスプレー装置を用いた以外は同様にして、試料301を作製した。
使用したスロットノズルスプレー装置は、図2に記載の構成からなり、外部ダイブロック2a、2bのそれぞれの底面2c、2d、内部ダイブロック3a、3bのそれぞれの底面3d、3c、ガスポケットAとガスノズルDの流路壁面部及び、塗布液ポケットBと塗布液ノズルCの流路壁に、実施例1で調製したオプツールDSXの0.1質量%溶液を含フッ素重合体の固形分付着量を0.015g/m2とし、未塗布部分が生じない条件で均一に塗布し、室温で24時間乾燥させて、各底面部、ガスノズルのガス流路壁及び塗布液の液流路壁に表面撥水化処理を施した。
《各試料の特性評価》
上記の方法に従って作製した試料301と実施例2で作製した試料202について、実施例1に記載の方法と同様にして、筋故障耐性及び段ムラ故障耐性の各評価を行い、得られた結果を表3に示す。
Figure 2005230799
表3に記載の結果より明らかなように、底面部、ガス流路壁面及び塗布液流路壁のそれぞれに表面撥水化処理を施したスロットノズルスプレー装置を用いて作製した本発明のインクジェット記録用紙は、塗布速度や塗布時の湿潤膜厚の条件にかかわらず、極めて良好な塗布均一性が得られていることが分かる。
実施例4
上記実施例1〜3に記載の塗布方法に準じて、染料水溶液に代えて、機能性付与化合物として界面活性剤、親水性バインダーの架橋剤、画像安定剤、水溶性多価金属化合物をそれぞれ含む各オーバーコート液を用いて、同様の塗布及び塗布均一性の評価を行った結果、実施例1〜3に記載の結果と同様に、本発明で規定するする表面撥水化処理を施したスロットノズルスプレー装置を用いた本発明の塗布方法は、比較例に対し、筋故障や段ムラ故障といった塗布故障が低減し、優れた塗布均一性が得られることを確認することができた。
本発明の塗布方法を説明するための概略図である。 スロットノズルスプレー部を含むスロットノズルスプレー装置の一例を示す概略断面図である。 スロットノズルスプレー部とそこで形成される液滴の形成及び飛翔状態を説明する模式図である。 本発明で用いるスロットノズルスプレー部の構成の一例を示す概略断面図である。 図2のスロットノズルスプレー部を塗布液ノズルC側から見た一例を示す概略図である。 図2のスロットノズルスプレー部を塗布液ノズルC側から見た他の一例を示す概略図である。 スロットノズルスプレー部の一例を示す分解斜視図である。 スロットノズルスプレー装置を配置した塗布製造ラインの一例を示す図である。
符号の説明
1 スロットノズルスプレー部
1d シム
2a、2b 外部ダイブロック
2c、2d 外部ダイブロックの底面
3a、3b 内部ダイブロック
3c、3d 内部ダイブロックの底面
4 調整釜
5 ポンプ
6 流量計
7 加圧空気源
8 弁
9 被塗布体
10 基材
11 インク吸収層
12 液滴粒子
20 スライドビード塗布装置
30 冷却ゾーン
A ガスポケット
B 塗布液ポケット
C 塗布液ノズル
D ガスノズル
E 塗布液
G 圧縮空気
L1、L2 内部ダイブロックの底面の幅
L3、L4 外部ダイブロックの底面の幅

Claims (7)

  1. 被塗布体を搬送し、該被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口端に近接してガスを噴出するガスノズルとを有するスロットノズルスプレー装置を用い、該ガスを該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布する塗布装置において、該被塗布体と対向する該スロットノズルスプレー装置の該塗布液ノズルまたは該ガスノズルの吐出口に隣接する面が表面撥水化処理されていることを特徴とする塗布装置。
  2. 前記スロットノズルスプレー装置の前記ガスノズルのガス流路壁が表面撥水化処理されていることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
  3. 前記スロットノズルスプレー装置の前記塗布液ノズルの液流路壁が表面撥水化処理されていることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
  4. 前記表面撥水化処理が、含フッ素重合体のコーティングによりなされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布装置。
  5. 前記被塗布体が基材上に多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙であって、前記塗布液が、該インク吸収層に対する機能付与化合物を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置。
  6. 前記機能付与化合物が、界面活性剤、親水性バインダーの架橋剤、画像安定剤、水溶性多価金属化合物から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項5記載の塗布装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗布装置を用いて、被塗布体上に塗布を行うことを特徴とする塗布方法。
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