明 細 書
塗布方法及びそれに用いるスロットノズルスプレー装置
技術分野
[0001] 本発明は、新規の塗布液を液滴として噴霧することにより塗布する塗布方法及びそ れに用いるスロットノズルスプレー装置に関する。
背景技術
[0002] 従来から、基材上に塗布液を塗布する方法は種々知られている。例えば、搬送さ れる長尺の帯状基材 (以下、単に基材ともいう)上に塗布液を高精度に塗布する方法 としては、 Edward Cohen, Edgar Gutoff著「MODERN COATING AND DRYING TECHNOLOGY]に述べられている如ぐ各種の方法が提案されてお り、例えば、ディップ塗布法、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、ワイヤーバー塗 布法、グラビア塗布法、リバース塗布法、リバースロール塗布法、エタストルージョン 塗布法、スライドビード塗布法、カーテン塗布法等が知られている。そして、これらの 塗布方法において、基材の幅方向に高精度に均一な乾燥膜厚を得るために、塗布 時の(塗布後、乾燥前の)塗布膜厚精度、均一性等に注意を払い、塗布を行ってい る。
[0003] これらの塗布法の中で特に、流量規制型のダイスを有する塗布装置は、高速、薄 膜、多層同時塗布が可能であり、その特徴により写真感光材料、インクジェット記録 材料、磁気記録材料等の塗布装置として広く用レ、られている。
[0004] その好ましい一例としては、 Russell等により米国特許第 2, 761, 791号に提案さ れたスライドビード塗布装置、あるいはエタストルージョン塗布装置等が広く用いられ ている。またカーテン塗布装置もダイスを有する流量規制型の塗布装置であるが、同 様に広く用いられている。
[0005] 例えば、このスライドビード塗布装置の場合、塗布装置先端と搬送される基材との 間に、ビードと称する塗布液溜まりを形成し、このビードを介して塗布が行われる。ま た、カーテン塗布装置の場合、塗布装置からカーテン状の塗布液膜を自由落下させ 、落下先に基材を位置させることにより塗布が行われる。これらは、高精度に均一な
乾燥膜厚を得るのに大変有用である。
[0006] しかし、これらダイスを有する塗布装置による塗布は、その原理上、ビードゃカーテ ン膜等、塗布装置と基材との間を連続的に塗布液でつなぐことになる。基材上に均 一な厚さの塗布膜を形成するためには、塗布装置からの塗布液流量は、常に一定で 、途切れがあってはならない。すなわち、塗布膜を連続的に形成するため、また、塗 布膜厚を精度高く一定にするために、所定量以上の塗布液を要することになる。よつ て、これらの方式において、塗布装置から吐出される塗布液量を極端に少なくするこ とは、均一な膜厚を得る目的からすると、困難を伴う。
[0007] そのため、塗布層あたりの溶質量が少ない、つまり、塗布液を塗布し乾燥する前の 湿潤膜厚がごく薄い膜 (例えば、:!〜 50 μ η程度)を形成する場合には、塗布液の溶 媒量を増やし、塗布液全体を増量することが必要となる。特に塗布液の粘度が低い 場合には、基材上で流れてしまうため、安定な塗布膜を形成することが難しぐ塗布 液量をますます増やさねばならなレ、。
[0008] しかし、溶媒量を増やすと、塗布後、溶媒を飛ばして乾燥させる負荷 (乾燥負荷)が 大きくなり、生産効率上好ましくない。また、溶媒量が多かったり、乾燥に時間がかか ると、当該塗布層の下に別の構成層が存在する場合には、該構成層に当該塗布層 の塗布液が過度に浸透、拡散し、悪影響を及ぼす場合がある。
[0009] よって、薄膜を、塗布膜厚の精度高ぐ乾燥負荷が少なぐ生産性高く設ける塗布 方法が望まれている。
[0010] このような高精度に均一な塗布膜厚の薄膜を、構成層上に設けることが必要となる 塗布製造物としては色々ある力 例えば、下記に述べるインクジェット用の空隙型記 録用紙等が挙げられる。
[0011] インクジェット記録方法に用いられる記録用紙は、インク吸収層が、例えば、普通紙 のように紙そのものであるものや、コート紙のように吸収体を兼ねる基材の上にインク 吸収層を塗設したもの、あるいは樹脂被覆紙やポリエステルフィルムのような非吸収 性の基材の上にインク吸収層を塗設したもの等がある。
[0012] 中でも、非吸収性基材の上にインク吸収層を塗設したタイプの記録用紙は、基材の 表面平滑性が高ぐうねりが少ない等の理由から、光沢感、つや感、深み等銀塩写
真のような高品位の質感を求められる出力に好ましく用いられる。更に、高い光沢感 やつゃ感がある光沢型記録用紙としては、非吸収性基材の上に、インク吸収層とし てポリビュルピロリドンやポリビュルアルコール等の水溶性バインダーを塗設した膨潤 型記録用紙や、インク吸収層として顔料あるいは顔料とバインダーで微細な空隙構 造を形成し、この空隙にインクを吸収させる、いわゆる空隙型記録用紙が用いられる
[0013] 空隙型記録用紙において、この空隙構造を有する多孔質インク吸収層は、主に親 水性バインダーと微粒子とで形成されており、微粒子としては無機または有機の微粒 子が知られている力 一般的には、より微粒子で光沢性が高い無機微粒子が用いら れる。そして、該微粒子に対して比較的少量の親水性バインダーを使用することによ り、微粒子間に空隙が形成されて多孔質インク吸収層が得られる。
[0014] 一般に、上記の多孔質インク吸収層に対しては、さまざまな特性が要求され、これら 種々の特性を改良するために、以下に記載の各添加剤の使用が提案されている。
[0015] 1 :高い発色性や光沢を達成するために、約 0. Ι μ η程度以下の多孔質を形成す る安定な微粒子
2 :微粒子の保持力が高ぐかつインク吸収速度を低下させないための低膨潤性親 水性バインダー
3 :インク吸収速度や被膜の耐水性を改良するための親水性バインダーの架橋剤 4:最適なドット径を達成するため、表面に分布した界面活性剤や親水性ポリマー
5:色素の滲みや耐水性を改良するためのカチオン性の定着剤、多価金属化合物
6:色素画像の光や酸化性ガスなどによる退色性を改良するための退色防止剤
7:白地を改良するための蛍光増白剤や色調調整剤 (赤み剤や青み剤など)
8 :表面の滑り性を改良するためのマット剤や滑り剤
9:多孔質インク吸収層に柔軟性を持たせるための各種のオイル成分やラテックス 粒子あるいは水溶性可塑剤
10:色素の滲みや耐水性あるいは耐候性を改良するための種々の無機塩類(多価 金属塩)
11:多孔質インク吸収層の膜面 ρΗを調整するための酸やアルカリ類等が挙げられ
る。
[0016] し力 ながら、上記の種々の目的で使用する各添加剤を多孔質インク吸収層を形 成する塗布液に添加した場合、多くの添加剤において、製造工程の安定性の観点 から、種々の制約を受けるケースが多い。
[0017] 上記課題の解決方法の一つとして、多孔質インク吸収層の塗布液には前記添加剤 を含有させず、基材上に構成層としてまず塗布し、減率乾燥前に前記添加剤を含有 する塗布液を前記構成層上部に塗布する、いわゆるオーバーコート層を設ける方法 が提案されている (例えば、特許文献 1、特許文献 2参照。)。オーバーコート層の塗 布液に含有される前記添加剤は、予め設けられた構成層(例えば、多孔質インク吸 収層)に適度に浸透し、上記問題を起こすことなく好ましい機能を付与することが期 待される。つまり、機能賦与化合物として働くことが期待される。もともと機能賦与化合 物を多孔質インク吸収層に含浸させる目的であるから、オーバーコート層自体はごく 薄レ、ものでよい。また、ごく薄い方が好ましい。更に、親水性バインダーと微粒子を含 有する多孔質層を形成する水溶性塗布液を塗布し、塗膜の含水量が乾燥後の多孔 質層の空隙容量以下になった後、オンラインで添加剤含有溶液をオーバーコートす るインクジェット記録用紙が提案されている(例えば、特許文献 3参照。)。
[0018] しかし、構成層とオーバーコート層の 2層を設ける場合、まず前記構成層を塗布乾 燥してから、一旦ロールに卷き取り、再度ロール力 繰り出してオーバーコート層を塗 布乾燥する 2工程 (ツーライン)で行うと、製造コストが大幅に増大する問題がある。ま た、構成層を形成した後、しばらく経時すると、温度履歴や時間のばらつきにより、品 質安定性に問題が生じるだけでなぐオーバーコート層を設ける際、塗布ムラが生じ やすい等の問題が生じやすい。
[0019] この結果、オーバーコート層の塗布により、更にインク吸収層表面に多量の溶媒( 水や有機溶媒)が付与される結果となり、乾燥時間や乾燥ゾーンの延長によるコスト アップ、乾燥能力が規定されている場合には塗布速度の低下が必然となる。更に、 厚膜のオーバーコート層を塗設することにより、乾燥までの間にインク吸収層への拡 散、浸透の度合いが大き また、完全に乾燥するまでに時間力かかるため、多孔質 インク層の塗布液に直接添加剤を含有させたような影響があり、オーバーコート層の
利点を十分に発揮できない。
[0020] 上記課題に対し、被塗布体を搬送し、該被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗 布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、塗布液ノズルの開口端に近接 してガスを噴出するガスノズノレとを有するスロットノズルスプレー装置を用レ、、ガスを塗 布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、被塗布体上に塗布液を塗布 する塗布方法が開示されている(例えば、特許文献 4参照。)。
[0021] 本発明者は、特許文献 4に記載の方法について更に詳細に検討を行った結果、特 許文献 4で開示されている方法では、塗布液スリットにクシ歯状のシムを挟み込み、 液出口として矩形や円形のノズノレを幅手に並べた形の多孔構造からなるノズノレ型コ 一ターが示されているが、更に塗布精度を高め、また生産安定性を向上させる観点 からは、この様な多孔方式の塗布液供給用のノズルを用いた形態では、限界が見ら れることが判明した。
[0022] また、供給する塗布液に、界面活性剤、親水性バインダーの架橋剤、画像安定剤、 pH調整剤、水溶性多価金属化合物等の水溶液のような低粘度の塗布液に適用す る場合、シムとダイスブロックの間への液の染み込みによるコンタミも問題とり、また、 多孔構造のノズノレである場合、一つでも穴が詰まると、複数のブロック体から構成さ れているダイスを、その都度、分解及び清掃する必要があり、生産効率の低下を招く 要因となっている。
特許文献 1:特開平 11 - 115308号公報 (特許請求の範囲)
特許文献 2:特開平 11一 192777号公報 (特許請求の範囲)
特許文献 3 :特開 2002— 331745号公報 (特許請求の範囲)
特許文献 4 :特開 2004— 906号公報 (特許請求の範囲)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0023] 本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高速塗布適性を有し 、塗布時のスジムラや塗布故障の発生が低減され、塗布均一性に優れた塗布方法 及びそれに用いるスロットノズルスプレー装置を提供する。
課題を解決するための手段
[0024] 本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
[0025] (項 1)
被塗布体を搬送し、該被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗 布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口端に近接してガスを噴出す るガスノズルとを有するスロットノズルスプレー装置を用レ、、該ガスを該塗布液に衝突 させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布する塗布 方法において、
該塗布液を供給する塗布液ノズルが塗布幅方向に連続したスリット状であり、該塗 布液の出口線速度が 40cm/sec以上であることを特徴とする塗布方法。
[0026] (項 2)
前記被塗布体と対向する前記塗布液ノズルの吐出口に隣接する面、前記ガスノズノレ の吐出口に隣接する面、前記ガスノズルのガス流路壁及び前記塗布液ノズルの液流 路壁のうち少なくとも一つが、表面撥水化処理されていることを特徴とする前項 1に記 載の塗布方法。
[0027] (項 3)
前記被塗布体が、基材上に多孔質のインク吸収層を有するインクジェット記録用紙で あって、前記塗布液が該インク吸収層に対する機能付与化合物を含有していること を特徴とする前項 1または 2に記載の塗布方法。
[0028] (項 4)
前記塗布液の粘度が、 0. 7mP ' s以上、 2. OmP ' s以下であることを特徴とする前項
:!〜 3のいずれか 1項に記載の塗布方法。
[0029] (項 5)
被塗布体を搬送し、該被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗 布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口端に近接してガスを噴出す るガスノズルとを有し、該ガスを該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うこと により、該被塗布体上に塗布液を塗布するのに用いるスロットノズルスプレー装置に おいて、
前記被塗布体と対向する前記塗布液ノズルの吐出口に隣接する面、前記ガスノズノレ
の吐出口に隣接する面、前記ガスノズルのガス流路壁及び前記塗布液ノズルの液流 路壁のうち少なくとも一つ力 表面撥水化処理されていることを特徴とするスロットノズ ルスプレー装置。
[0030] (項 6)
該塗布液を供給する塗布液ノズノレが横方向に連続したスリット状であることを特徴と する前項 5に記載のスロットノズルスプレー装置。
発明の効果
[0031] 本発明によれば、高速塗布適性を有し、塗布時のスジムラや塗布故障の発生が低 減され、塗布均一性に優れた塗布方法及びそれに用いるスロットノズルスプレー装置 を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0032] [図 1]本発明の塗布方法を説明するための概略図である。
[図 2]スロットノズノレスプレー部を含むスロットノズノレスプレー装置の一例を示す概略 断面図である。
[図 3]スロットノズルスプレー部とそこで形成される液滴の形成及び飛翔状態を説明す る模式図である。
[図 4]本発明で用いるスロットノズルスプレー部の構成の特徴の一例を示す概略断面 図である。
[図 5]本発明で用いるスロットノズルスプレー部の他の構成の特徴の一例を示す概略 断面図である。
[図 6]従来の塗布液ノズノレの矩形や円形のノズノレを構成するのに用いられているクシ 歯状シムの一例を示す概略図である。
[図 7]図 2に示すスロットノズルスプレー部を塗布液ノズノレ C側から見た概略図である。
[図 8]スロットノズルスプレー装置の塗布液ノズルを有するスロットノズルスプレー部の 一例を示す分解斜視図である。
[図 9]スロットノズルスプレー装置を配置した塗布製造ラインの一例を示す模式図であ る。
符号の説明
[0033] 1 スロットノズルスプレー部
Id クシ歯状シム
2a、 2b 外部ダイブロック
2c、 2d 外部ダイブロックの底面
3a、 3b 内部ダイブロック
3c、 3d 内部ダイブロックの底面
4 調整釜
5 ポンプ
6 流量計
7 加圧空気源
8 弁
9 被塗布体
10 基材
11 インク吸収層
12 液滴粒子
20 スライドビード塗布装置
30 冷却ゾーン
A ガスポケット
B 塗布液ポケット
C 塗布液ノズル
D ガスノズル
E 塗布液
G 圧縮空気
T 封止材
L1、 L2 内部ダイブロックの底面の幅
L3、 L4 外部ダイブロックの底面の幅
発明を実施するための最良の形態
[0034] 以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する ,
[0035] 本発明者は、被塗布体を搬送し、該被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布 幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、塗布液ノズルの開口端に近接し てガスを噴出するガスノズルとを有するスロットノズルスプレー装置を用レ、、該ガスを 該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布 液を塗布する塗布方法において、塗布安定性について鋭意検討を行った結果、塗 布液を供給する塗布液ノズノレの構造を横方向に連続したスリット状とし、更に塗布液 の出口線速度を 40cm/sec以上とする塗布方法により、塗布時のスジムラ耐性や塗 布故障耐性が向上し、かつ塗布均一性に優れた塗布方法を実現できることを見出し 、本発明に至った次第である。 尚、出口線速度は、塗布液流量/塗布液ノズル出 口の開口部断面積で求められる。
[0036] 更に、上記で規定する本発明の塗布方法に加えて、塗布装置表面、特に被塗布 体と対向する塗布液ノズノレまたはガスノズルの吐出口に隣接する面、ガスノズルのガ ス流路壁または塗布液ノズルの液流路壁に撥水化処理を施すことにより、気液固界 面の動的安定性を高めると共に、霧化した塗布液滴の付着による点状故障がさらに 改善される。この機構については、撥水化処理を施すことにより、塗布装置の表面が 塗布液に対し疎水化され、濡れにくい状態となっているため、塗布時に、塗布液によ る塗布装置表面への付着が低減されたためと推察される。
[0037] 以下、本発明の詳細について説明する。
[0038] 始めに、本発明の塗布方法で用いる塗布装置であるスロットノズルスプレー装置の 詳細について、図を交えてその詳細を説明する。ただし、本発明のスロットノズルスプ レー塗布装置は、ここで例示する図で示す構成のみに限定されるものではない。
[0039] 本発明の塗布方法では、塗布体を搬送し、該被塗布体の搬送方向と交差する方向 の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口端 に近接してガスを噴出するガスノズルとを有するスロットノズルスプレー装置を用い、 該ガスを該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上 に塗布液を塗布することを特徴とする。
[0040] ここで、本発明でいう被塗布体とは、本発明の塗布方法を用いて塗布液を液滴状 にし、噴霧することで、塗布を行う被塗布対象物のことであり、その形態は問わないが
、長尺の帯状支持体や、該帯状支持体上にすでに多孔質のインク吸収層を有するィ ンクジェット記録用紙であることが好ましレ、。
[0041] また、本発明におレ、て、被塗布体は、塗布装置の塗布液ノズルに対して相対的に 移動させ (搬送させ)、連続的に塗布を行う。塗布装置の塗布液ノズルは、少なくとも 被塗布体の塗布幅 (被塗布体の搬送方向と交差する方向における前記被塗布体の 被塗布部の長さのことを指す)に対応する長さを有し、被塗布体の搬送方向と交差す るように配置させることにより、塗布装置に対して被塗布体を搬送させるだけで、被塗 布体上に塗布液を塗布する。被塗布体が長尺の帯状支持体である場合、帯状支持 体の長手方向に帯状支持体自身を搬送させ、塗布装置の塗布液ノズルを、帯状支 持体の幅手方向に(長手方向と直行する方向に)位置させることが好ましい。塗布装 置に対し、被塗布体を一方向に搬送し、塗布液を塗布幅にわたって液滴として噴霧 することにより、ごく薄い塗布膜を、乾燥負荷なぐ膜厚均一性高く塗布できる。
[0042] また、塗布装置の塗布液ノズルから噴霧される液滴は、塗布幅方向において、
1:液滴径分布が均一であること、
2 :液滴が被塗布体上に落ちる面積範囲が、搬送方向に対し、その落下長さが均一 であること、
3:被塗布体上に落ちる角度が均一であること、
4 :被塗布体上に落ちる衝突速度が均一であること、によって、より塗布膜厚の均一 性を確保することが可能となる。
[0043] 塗布幅方向において液滴径分布が均一であるとは、具体的には、塗布幅方向で、 平均液滴径の変動が、 ± 20%以下であることを言う。より好ましくは ± 10%以下であ る。
[0044] 平均液滴径の変動は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定し、計算 することが可能である。具体的には以下の測定法により行う。
[0045] まず、塗布液を液滴として噴霧するスロットノズルスプレー装置等のスプレー装置か ら、塗布液を噴霧させ、その噴霧状態を安定させる。噴霧開始直後では、塗布液の 吐出量やガス圧が一定せず噴霧状態が安定しなレ、ので、所定の時間噴霧を続ける ことで安定させること力できる。
[0046] 次に、噴霧状態が安定した液滴群に対し、レーザー回折式粒度分布測定装置とし てスプレーテック RTS5123 (マルバーン社製)を用レ、、塗布幅方向において等間隔 で 5ケ所、平均液滴径を測定する。被塗布体に落ちる液滴群の塗布幅方向の両端( 塗布端)は、通常、噴霧濃度が極端に低くなるため有効塗布幅にはカウントしない。 よって、有効塗布幅の両端を測定点の両端 2点とする。具体的には、塗布端から lc m内側に入った所を測定点の両端 2点とし、その内側の等間隔 3点を加えて計 5点と し、これを測定点とする。この 5ケ所で測定された平均液滴径から、変動率を計算する
[0047] 尚、平均液滴径は、スプレーテック RTS5123を用いれば簡単に測定できる力 前 記測定箇所における液滴群の各液滴径を測定し、液滴径を横軸にとって積算プロッ トしたときに、体積パーセントで 50%の位置にくる液滴径のことをさす。
[0048] また、液滴が被塗布体上に落ちる面積範囲の搬送方向の長さが均一であるとは、 塗布幅方向で、前記長さの変動が、 ± 10%以下であることを言う。より好ましくは ± 5 %以下である。
[0049] また、被塗布体上に落ちる液滴の広がり角度が均一であるとは、塗布幅方向で、塗 布装置の塗布液ノズノレを基点として、被塗布体上に落ちる液滴の落下角度の変動が 、 ± 10%以下であることをいう。より好ましくは ± 5%以下である。
[0050] また、被塗布体上に落ちる液滴群の空間密度が均一であるとは、塗布幅方向で、 被塗布体上に落ちる液滴群の空間密度の変動が、 ± 10%以下であることを言う。よ り好ましくは ± 5%以下である。
[0051] 上述のような均一な噴霧を達成するため、本発明では、塗布液を供給する塗布液ノ ズルが横方向に連続したスリット状であるスロットノズルスプレー装置を用いることが特 徴である。スロットノズルスプレー装置とは、塗布液を吐出するスリット状の塗布液ノズ ル孔を塗布幅方向に有する。そして、このスリット状の塗布液ノズノレ孔に近接してガス を噴出するガスノズノレ孔を有し、ここから噴出されるガスを前記塗布液ノズノレ孔から吐 出された塗布液に衝突させて液滴を形成する機構を有する。
[0052] 本発明においては、特に、塗布均一性、塗布容易性等の観点から、特開 2004— 9 06号公報に記載のスロットノズルスプレー塗布装置で、塗布液を供給する塗布液ノ
ズルを横方向に連続したスリット状とした塗布装置を好ましく用いることができる。
[0053] このようなスロットノズルスプレー装置を用いて、上述のごとぐ塗布幅にわたって噴霧 状態の均一性を高める方法としては、塗布液の粘度を比較的低くすること、ガスノズ ルから噴出するガス圧を高くすることにより可能である。また、スロットノズルスプレー 装置の塗布液ノズノレ開口端の面積を小さくすることにより、噴霧の均一性を高めるこ とがでさる。
[0054] 一般に、塗布液の粘度としては 0. :!〜 250mPa' sであり、好ましくは 0.:!〜 50mP a' sである力 S、スリット状の塗布液ノズノレ孔を有する本発明の塗布装置においては、 塗布液の粘度としては、 0. 7〜2. OmPa' sであることが特に好ましぐこのような低粘 度の塗布液を本発明のスロットノズルスプレー装置に適用することで、塗布幅にわた つて均一な液滴の噴霧が可能となる。
[0055] また、塗布幅にわたって均一な液滴の噴霧を行うには、塗布液の表面張力を 20〜
70mN/mに調整することが好ましぐより好ましくは 20〜50mN/m、更に好ましく は 20〜30mN/mとすることである。
[0056] また、スリット状の塗布液ノズル孔を有する本発明の塗布装置においては、スリット 状の塗布液ノズル孔に供給する塗布液の出口線速度を 40cm/sec以上とすること を特徴とし、好ましくは 50〜500cm/secであり、更に好ましくは 100〜200cm/se cである。塗布液の出口線速度が遅いと、ガスにより微粒化される段階で液寄りが生 じで縦筋状のムラが生じ易くなる。上記で規定する塗布液の出口線速度を得るには、 後述の図 7で示す塗布速度と塗布膜厚によって決まる塗布液流量により変化するスリ ット状の塗布液ノズノレ孔のスリット間隙 tを、一般的には 20 μ π!〜 120 μ mとすること 力 S好ましく、ょり好ましくは20〃111〜100 111、更に好ましくは 40 μ πι〜80 μとする。 このスリット間隙 tを狭くしすぎると圧力損失が大きくなり、送液設備に対する負荷が大 きくなるとともに、わずかな作製時の精度変動が幅手の塗布液の付着量ばらつきとな るため、加工が困難となる。また、スリット間隙 tが広すぎると、出口での線速度が低下 し、スジムラおよび端部での液寄りが発生しやすくなる。従って、上記で規定する塗 布液の出口線速度とすることにより、塗布幅にわたって均一な液滴の噴霧が可能とな る。
[0057] また、スロットノズルスプレー装置等を用いて、ガスを塗布液に衝突させて液滴を形 成するときのガス内圧は、 lOkPa以上、好ましくは 20kPa以上、更に好ましくは 50kP a以上とすると均一な噴霧が行い易レ、。ガスの流量としては、 3. 5CMMZm以上、 好ましくは 7CMM/m以上、更に好ましくは lOCMMZm以上、 lOOCMMZm以 下である。
[0058] 上記手段を用いて、塗布幅にわたり、連続ファイバー状ではな 不連続な液滴状 に飛散させることにより、塗布液が少量であっても、均一に、塗布液を被塗布体上に 供給できる。結果として、塗布膜厚を均一にすることができる。また、不連続な液滴の 被塗布体上への供給であって、塗布液量が少なくなるので、乾燥負荷も力からなレ、。
[0059] 次いで、本発明の塗布装置に用いるスロットノズルスプレー塗布装置の具体的な形 態について、説明する。
[0060] 図 1は、本発明の塗布方法を説明するための概略図である。図中、参照符号 1は、 スロットノズノレスプレー装置(全容は不図示)のスロットノズノレスプレー部、 9は長尺の 帯状支持体タイプの被塗布体である。
[0061] 被塗布体 9は、被塗布体 9の長手方向である図中の矢印の搬送方向に、図示しな い搬送手段により一定の速度で搬送される。スロットノズルスプレー部 1のスリット状の 塗布液ノズル Cは、搬送方向と直交する方向である被塗布体 9の幅手方向に長さを 有し、被塗布体 9の塗布面に対向するように配置されている。塗布液ノズル Cからは、 塗布液が液滴状に噴霧され、搬送される被塗布体 9上に液滴が着地することにより 塗布が行われる。このとき被塗布体 9の幅手方向の塗布液が付着する長さが図中矢 印で示した塗布幅に相当する。図 1では、塗布幅は、被塗布体 9の幅手方向の長さよ りも短くなつているが、同じでももちろん構わない。
[0062] 図 2は、図 1で説明したスロットノズノレスプレー部を含むスロットノズノレスプレー装置 の一例を示す概略断面図である。
[0063] スロットノズノレスプレー部 1は、一対の内部ダイブロック 3a、 3bと、該一対の内部ダイ ブロック 3a、 3bの各々の外側に外部ダイブロック 2a、 2bを有し、一対の内部ダイブロ ック 3a、 3b間に塗布液ノズル Cが形成され、内部ダイブロック 3aと外部ダイブロック 2a 間、及び内部ダイブロック 3bと外部ダイブロック 2b間にそれぞれガスノズノレ Dが構成
されている。
[0064] 図 2において、スロットノズノレスプレー部 1には、ガスポケット Aを有する 1対のガスノ ズル Dと塗布液ポケット Bを有する塗布液ノズル Cを有している。塗布液は、ファイバ 一状にならず液滴を形成できる粘度(0. 7〜2. OmPa' sが好ましい)を有する、例え ば、機能賦与化合物含有溶液などの塗布液を調製釜 4に入れ、ポンプ 5、流量計 6を 経て、塗布液ポケット Bに供給されて塗布液ノズル 3に導かれる。一方、ガスノズノレ 2 へは、加圧空気源 7より、弁 8を介して、ガスポケット Aに加圧空気が供給される。
[0065] 本発明の塗布方法においては、塗布液ノズル Cより規定の塗布量となるように調製 釜 4より塗布液を供給する前に、ガスノズノレ Dより加圧空気を供給した後、塗布液を供 給して、一対のガスノズル Dより加圧空気を吹き付け、塗布液を液滴状にして、被塗 布体 9上に噴霧、吐着させる方法が好ましい。本発明の塗布方法においては、塗布 液を、ファイバー状ではなぐ微細な液滴として噴霧することができることが大きな特 徴である。塗布液を微細な液滴として、被塗布体 9表面に供給することにより、極めて 均一性の高い薄膜を、乾燥負荷なぐ高速で形成することができる。
[0066] 次に、図 3を用いて、スロットノズルスプレー部とそこで形成される液滴の形成及び 飛翔状態を説明する。
[0067] 図 3において、塗布液ノズル Cより吐出された塗布液 Eは、塗布液ノズル Cの両サイ ドに近接して設けられたガスノズノレ Dより供給される圧縮空気 Gにより、細分化、液滴 化され球形に近い液滴粒子 12となり、飛翔し、ギャップ L5を隔てた被塗布体 9表面 に均一に着弾する。図 3では、被塗布体 9は、基材 10上にインク吸収層 11を構成層 として塗布したモデルで示してある。被塗布体 9上に着地する塗布液の液滴粒子 12 の面積範囲は、常に均一であることが好ましいが、特に、搬送方向における長さ(図 中、落下長さ L7と記載)が塗布幅にわたって均一であることが好ましい。また、塗布 液ノズル Cの開口端を基点として被塗布体に対し、噴霧される液滴群の広がり角度 Θは、塗布幅にわたって均一であることが好ましい。
[0068] 図 4は、本発明で用いるスロットノズルスプレー部の構成の特徴を示す概略断面図 である。
[0069] 図 4において、内部ダイブロック 3a、 3b間に構成される塗布液ノズル Cと、内部ダイ
ブロック 3aと外部ダイブロック 2a間、及び内部ダイブロック 3bと外部ダイブロック 2b間 で構成されるガスノズノレ Dとがなす角度 j3力 15度以上、 60度以下であることが好ま しい。具体的には、多くの場合、塗布液ノズル Cは、被塗布体面に対し垂直に配置さ れるケースが多 その場合、ガスノズノレ Dは、垂直方向に対し 15度以上、 60度以下 の傾斜角を設けて配置されることが好ましい。この様に、塗布液ノズル Cとガスノズル Dとを、特定の角度を設けて配置させることにより、安定した塗布液の液滴形成が可 能となり、スジムラや塗布故障が低減され、高い塗布均一性を有する塗布を実現する こと力 Sできる。
[0070] また、本発明に係る塗布装置においては、被塗布体と対向する位置にある一対の 外部ダイブロックの底面のなす角 α力 170度以上、 240度以下であることが好まし い。
[0071] 上述の図 4において、外部ダイブロック 2a、 2bの被塗布体 9と対向する位置にある それぞれの底面を 2c、 2dとしたとき、底面 2cと底面 2dとのなす角 α力 S170度以上、 2 40度以下であることが好ましい。図 4においては、ぞれぞれの底面 2c、 2dが被塗布 体 9に対し水平に位置し、角度 αが 180度である状態を例示してある力 それぞれの 底面 2c、 2dが被塗布体 9に対し傾きを有する状態で形成されていても良い。
[0072] また、本発明に係る塗布装置においては、被塗布体と対向する位置にある一対の 内部ダイブロックの底面のぞれぞれの幅 Ll、 L2が lmm以下であり、かつ被塗布体 と対向する位置にある一対の外部ダイブロックの底面のそれぞれの幅 L3、 L4力 1 〜50mmであることが好ましレ、。すなわち、図 4において、内部ダイブロック 3a、 3bの 被塗布体 9と対向する位置にあるそれぞれの底面を 3c、 3dとしたとき、底面 3c、 3dの それぞれの幅 Ll、 L2が lmm以下であることが好ましぐより好ましく 0. 2〜: 1. Omm である。
[0073] また、外部ダイブロック 2a、 2bの被塗布体 9と対向する位置にあるそれぞれの底面 を 2c、 2dとしたとき、底面 2c、 2dのそれぞれの幅 L3、 L4力 ^0. :!〜 50mmであること が好ましぐより好ましくは 0. :!〜 30mmである。
[0074] また、図 5は、本発明で用いるスロットノズノレスプレー部の他の構成の特徴を示す概 略断面図である。図 5に示すスロットノズルスプレー部は、上記図 4に対し、一対の内
部ダイブロックに底部 3c、 3dを設けずに、先端を鋭角に形成した構成からなるもので ある。
[0075] 以上の構成からなるスロットノズルスプレー装置からなる本発明に係る塗布装置に おいては、安定した塗布と、噴霧した液滴の付着等を防止する観点から、スロットノズ ルスプレー装置の開口面、前記ガスノズノレのガス流路壁または前記塗布液ノズノレの 液流路壁が、表面撥水化処理されていることが好ましい。
[0076] スロットノズルスプレー装置の開口面とは、図 2に示すスロットノズルスプレー装置に おいて、被塗布体 9に対向する位置にあるスロットノズノレスプレー部 1の底面部 2c、 2 d、 3c、 3dであり、以降、本発明に係る塗布液ノズルまたはガスノズルの吐出口に隣 接する面を底面または底面部ともレ、う。
[0077] また、本発明に係る塗布装置にぉレ、ては、ガスノズルのガス流路壁または塗布液ノ ズルの液流路壁にも表面撥水化処理を施すことが、本発明の目的効果をより一層発 揮させる観点から好ましい。
[0078] 本発明でいうガスノズルのガス流路壁とは、図 2に示す加圧空気源 7より、弁 8を介 して、加圧空気が供給されるガスポケット Aからガスノズノレ Dまでの流路を形成する壁 面をいう。また、塗布液ノズルの液流路壁とは、ポンプ 5、流量計 6を経て、塗布液を 供給する塗布液ポケット Bから塗布液ノズル Cまでの流路を形成する壁面をいう。
[0079] 本発明に係る塗布装置においては、本発明に係るスロットノズルスプレー装置の上 記で説明した特定部位の表面が撥水化処理されていれば本発明の目的効果を得る ことができ、上記各特定部位を撥水性を有する素材で構成すること、あるいは撥水性 フィルム等で被覆すること、あるいは撥水化剤によるコーティングや蒸着等の手段で 表面加工を施すことで、所望の表面撥水能を付与することができる。
[0080] 本発明でレ、う表面撥水化処理とは、部材表面の純水に対する接触角が 90° 以上 となるように処理を施すことを意味し、純水に対する接触角が 100° 以上であることが 好ましぐ 105° 以上となることがより好ましい。本発明においては、スロットノズルスプ レー部本体に使用する材質としては、加工精度や耐久性等の観点から金属材質、特 にステンレスで構成することが極めて好ましいため、本発明に係る表面撥水化処理と しては、含フッ素シランカップリング剤、アモルファス含フッ素重合体、フッ素樹脂、撥
水メツキ皮膜などのコーティングで表面撥水化処理することが好ましい。また、耐久性 という点から、フッ素樹脂、撥水メツキ加工がより好ましい。
[0081] 本発明で適用しうる表面撥水化処理として、含フッ素重合体を表面部材にコ一ティ ングすることを適用することができる。含フッ素シランカップリング剤としては、例えば、 東レ.ダウコーニングシリコーン (株)、信越化学工業 (株)、ダイキン工業 (株)(例えば
、ォプツール DSX)、また、 Gelest In 、ソルべィ ソレクシス(株)等により上巿さ れており、容易に入手することができる他、例えば、 J. Fluorine Chem. , 79 (1) . 87 (1996)、材料技術, 16 (5) , 209 (1998)、 Collect. Czech. Chem. Commu n. , 44卷, 750〜755頁、 J. Amer. Chem. Soc. 1990年, 112卷, 2341〜234 8頁、 Inorg. Chem. , 10卷, 889〜892頁, 1971年、米国特許第 3, 668, 233号 明細書等、また、特開昭 58— 122979号、特開平 7— 242675号、特開平 9 6160 5号、同 11— 29585号、特開 2000— 64348号、同 2000— 144097号公報等に記 載の合成方法、あるいはこれに準じた合成方法により製造することができる。
[0082] また、アモルファス含フッ素重合体としては、サイトップ (旭硝子 (株)製)、ポリジパー フルォロアルキルフマレート、テフロン(登録商標) AF (以上、 DuPont社製)のような フッ素系重合体、あるいはジパーフルォロアルキルフマレートとスチレンの交互重合 体、三フッ化塩化エチレンとビニルエステルとの交互重合体、 4フッ化塩化エチレンと ビュルエステルとの交互重合体などの含フッ素エチレンと炭化水素系エチレンとの交 互重合体もしくはその類似体なレ、し誘導体、フマライト(日本油脂 (株)製)が好ましく 用いられる。
[0083] これらの含フッ素重合体は、選択的にフッ素系有機溶剤に溶解することから、溶媒 に任意の濃度で溶解してコーティングすることにより、粉体または分散媒の形態でし か塗布できないポリテトラフルォロエチレンやポリクロ口トリフルォロエチレンなどに比 ベ、形成されたコーティング層がスロットノズルスプレー部本体の各部材に対する密 着性が高ぐかつ均一なコーティング層の形成が可能となる。コーティング液の含フッ 素重合体濃度としては 0. 01 %〜7質量%の範囲である。
[0084] 上記含フッ素シランカップリング剤に用いられるフッ素系有機溶剤としては、ノベック HFEなどが好ましく用いることができ、アモルファス含フッ素樹脂用に用いられるフッ
素系有機溶剤としてはシランフロリナート、ノベック HFE (以上、 3M社製)、ガルデン (モンテフルォス社製)、トリフルォロメチルベンゼン、ハイド口フルォロカーボンなどが 好ましく用いられる。
[0085] 含フッ素重合体のスロットノズルスプレー部本体に対するコーティング方法としては 、公知の塗布方法を適用することができ、例えば、ディピング法、スプレーコート法、 スピンコート法、転写法、蒸着法を適宜選択して用いることができる。
[0086] スロットノズルスプレー部本体に対する含フッ素重合体の塗設量としては、特に制 限はなレ、が、含フッ素シランカップリング剤を用いる場合には、概ね 0. 001-0. lg /m2であり、好ましくは 0. 001〜0. 01g/m2であり、またアモルファス含フッ素樹脂 を用レ、る場合に ίま、概ね 0· 01〜: 10. Og/m2であり、好ましく ίま 0· 01〜: ! · Og/m2 である。
[0087] また、フッ素含有樹脂によるコーティングは、フッ素樹脂を、基材に塗布し熱で焼成 する方法で、基材に対する高レ、密着性が得られる。
[0088] 本発明に係るフッ素含有樹脂によるコーティングに用いられるフッ素含有樹脂とし ては、公知のフッ素含有樹脂が広く利用できる。具体的には、テフロン (登録商標)( Du Pont社)の名で知られる、 PTFE (ポリテトラフルォロエチレン)、 FEP (パーフル ォロエチレンプロペンコポリマー)、 PFA (パーフルォロアルコキシアルカン)、 ETFE (エチレン一テトラフルォロエチレンコポリマー)、また、 ECTFE (エチレン一クロ口トリ フルォロエチレンコポリマー)、 FVDF (ポリフッ化ビュデリン)、 PCTFE (ポリクロ口トリ フルォロェチン)、 TFEZPDD (テトラフルォロエチレン一パーフルォロジィォキソー ルコポリマー)などが挙げられる。
[0089] フッ素含有樹脂のコーティング方法としては、デイツビング法、スプレーコート法、ス ピンコート法などを用いることができる。また、電着塗装法も用いることができる。
[0090] フッ素樹脂の密着性を上げるために、コーティング前に、前処理を行うことが好まし レ、。ここでいう前処理とは、フッ素樹脂の基材への密着性を上げるために行われる処 理全般をさし、基材の溶剤洗浄、空焼きなどの脱脂作業、ブラストにより表面の荒さを 増す作業、金属やセラミックの溶射を行う作業が含まれる。これらの前処理はひとつ のみを行っても良いし、複数の作業を組み合わせて行っても良い。脱脂の後、ブラス
ト処理を行うことが好ましい。コーティングは一層であっても良いし、複数層あっても良 レ、。
[0091] フッ素樹脂は単独でコーティングに用いても良いし、複数のフッ素樹脂を組み合わ せて用いてもよい。また、フッ素樹脂以外の樹脂と組み合わせてもよい。この場合の フッ素樹脂以外の樹脂は、エポキシ樹脂、ポリアミノイミド樹脂、ポリエーテルサルフォ ン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などの樹脂を用いることが出来る。
[0092] フッ素樹脂はコーティング後に熱処理により焼成を行う。熱処理の温度は用いる樹 脂により異なるが、一般に 250°C〜400°Cが好ましい。また、この際の熱処理によるス テンレスの歪みを低減するため、フッ素含有樹脂のコーティング前にステンレスの母 材に熱処理を行ってから、塗布装置の形状に加工することが好ましい。
[0093] また、フッ素樹脂コーティングの後、平滑性、真直度を出すために研削加工を行うこ とが好ましレ、。研削後の膜厚としては、 10〜: ΙΟΟ μ ΐη力 S好ましく、 20〜70 /i mがより 好ましい。
[0094] また、本発明で適用しうる表面撥水化処理として、フッ素樹脂を共祈させるメツキ法 を適用することができ、メツキ液中にフッ素樹脂を分散させておいて、メツキ皮覆を基 材に付与する方法で、高い密着性と、硬度を得ることが出来る。
[0095] フッ素樹脂を共析させるメツキ皮膜は、公知のメツキ皮膜が広く利用できるが、硬度 、耐食性、母材との密着性等の点からニッケル、クロムなどが好ましい。さらに、メツキ 膜厚の均一性、真直性、平滑性などを高度に要求されるため特に化学反応を利用し た無電解ニッケルメツキが好ましレ、。
[0096] 共析するフッ素樹脂は、公知のフッ素樹脂が広く利用できる。具体的には、テフロン
(登録商標) (Du Pont社)の名で知られる、 PTFE (ポリテトラフルォロエチレン)、 F EP (パーフルォロエチレンプロペンコポリマー)、 PFA (パーフルォロアルコキシアル カン)、 ETFE (エチレン一テトラフルォロエチレンコポリマー)、また、 ECTFE (ェチレ ン一クロ口トリフルォロエチレンコポリマー)、 FVDF (ポリフッ化ビュデリン)、 PCTFE (ポリクロ口トリフルォロェチン)、 TFE/PDD (テトラフルォロエチレン一パーフルォロ ジィォキソールコポリマー)などがあげられる。撥水性と言う点で、 PTFEを用レ、ること が好ましい。
[0097] 共析するフッ素樹脂の大きさとしては、均一に被覆されるという点から直径 0. l ^ m 〜: 1 m力好ましく、さらに 0. 3〜0. 6 z mが好ましい。
[0098] また、メツキ液中のフッ素樹脂の量としては、撥水性また、均一に被覆されるという 点から、 5〜35%力好ましく、さらには 20〜30%が好ましい。
[0099] 本発明でいうメツキ処理は、具体的には、例えば、テフロン (登録商標)微粒子を分 散共析した無電解メツキとしては、上村工業株式会社で販売されている、ニムフロン F RS、ニムフロン、ニムフロン— T、奥野製薬工業株式会社より販売されている、トップ ニコジット TF、トップニコジット FL、トップニコジット AL、 日本力ニゼン株式会社より販 売されてレ、るカニフロン等が挙げられる。
[0100] メツキ皮膜の形成前には、基材の前処理を行うことが出来る。ここでいう前処理とは 、熱、溶剤、電解に等による脱脂、酸などによる洗浄、下地のメツキ皮膜の付与などが 含まれる。通常はこれらの処理が組み合わされて行われる。メツキ皮膜の密着性を上 げるために、脱脂、酸による洗浄後、下地として Niメツキを施すことが好ましい。
[0101] メツキ皮膜に、高い硬度が要求される場合には、フッ素樹脂を共析させるメツキ皮膜 の形成後に 200°C〜300°C程度、 1時間程度の熱処理を施すことも可能である。また 、その場合は熱処理によるステンレスの歪みを低減するため、メツキ処理前にステン レスの母材に熱処理を行ってから、塗布装置の形状に加工することが好ましい。
[0102] また、メツキ皮膜の形成後、平滑性、真直度を出すために研削処理を行うことも可 能である。メツキ皮膜の膜厚は均一性という点から 2〜20 z mが好ましぐさらに、 3〜 10 x mが好ましい。研削を行う場合のメツキ被覆の膜厚は、研削後 2〜20 x mが好 ましぐ更には、 3〜10 z mが好ましい。
[0103] 更に、本発明に係る塗布装置の詳細について説明する。
[0104] 図 6は、従来の塗布液ノズルの矩形や円形のノズルを構成するのに用いられている クシ歯状シムの一例を示す概略図である。
[0105] 図 6は、板状のシム基材に、厚み方向に貫通した溝を複数設けて塗布液流路を形 成したクシ歯状シム Idで、図 6の a)はその斜視図であり、図 6の b)はその断面図であ る。図 6の形状からなるクシ歯状シム Idでは、クシ歯状の塗布液流路壁の先端部を 含めた大部分は固定されていないため、スリット形成時の加工精度や内部ブロック 3a
および 3b間にシムを狭持する際の取り付け精度を維持することが困難となり、更に塗 布精度を高め、また生産安定性を向上させる観点からは問題を抱えている。
[0106] このため図 6に示す構成からなるクシ歯状シムを用いた塗布装置に対し、本発明の 塗布方法においては、塗布液を吐出するスリット状の塗布液ノズル孔を塗布幅方向 に有することを特徴とする。しかしここで、スリット状の塗布液ノズル孔を使用した場合 、塗布液の吐出速度が遅いと、ガスにより微粒化される段階で液寄りが生じで縦筋状 のムラが生じ易くなる。よって、塗布液の吐出速度を最適化する必要があり、本発明 では、先に述べたように、吐出速度を出口線速度で規定し、最適出口線速度を求め た。
[0107] 図 7は、図 2に示すスロットノズノレスプレー部を塗布液ノズノレ C側から見た概略図で ある。塗布幅方向に配置された複数の塗布液ノズル Cの開口端とガスノズル Dの開口 端とを示している。図 7において、スリット間隙力^の塗布液ノズル Cの両端部には、そ れぞれ封止体 Tが設けられており、これによりスリット状の塗布液ノズル Cを形成して レ、る。図 7においては、封止体 Tを用いてスリット状の塗布液ノズノレ Cを形成している 力 例えば、内部ダイブロック 3a、 3bのいずれか一方に溝状の加工を施して、スリット 状の塗布液ノズノレ Cを形成してもよい。この塗布液ノズル Cの両サイドには、平行して 1対のガスノズノレ Dが設けられてレ、る。
[0108] 図 8は、図 2示す構成からなるスロットノズルスプレー部の分解斜視図である。図中、 参照符号の 3aおよび 3bは、所定の距離 (スリット間隙 t)をもって組み立てられ、その 間隙の両端部には封止材 (不図示)を設けて塗布液用スリットを形成し、このスリット に塗布液を流下させるための内部ダイブロックである。片方のダイブロック 3aは、図 示しなレ、塗布液供給源から供給される塗布液を受け入れ、塗布液ポケット Bまで連通 する塗布液供給管 61を有している。塗布液ポケット Bに滞留した塗布液は、内部ダイ ブロック 3aおよび 3bの間に形成された塗布液用スリットを流下することになる。
[0109] また、 2aおよび 2bは、ガス供給用の外部ダイブロックで、外部ダイブロック 2aおよび
2bのそれぞれとの間隙に圧縮ガスが流通するガスノズル D (不図示)を形成する。こ の場合のガスノズル Dは塗布幅方向に延びるスリットである。図示しないエア供給源 力も圧縮エアがそれぞれの外部ダイブロック 2a、 2bのそれぞれのエア供給管 81に
供給され、一端ガスポケット Aに滞留した後、内部ダイブロックと外部ダイブロックとの 間隙に形成されたガスノズル D (不図示)を圧力をもって流下する。
[0110] 上記シム Idの間を流下してきた塗布液および 2つのガスノズルを流下してきた圧縮 エアは、スロットノズノレスプレー部 1の底部である塗布液ノズノレにおいて衝突し、液滴 を形成して、被塗布対象物である被塗布体上に飛翔する。
[0111] また、スロットノズルスプレー部の塗布液ノズノレと被塗布体間の距離(図 2に示す L5 )は、概ね 0. 2〜10cmの範囲が好まし より好ましくは 0. 5〜6. Ocmであり、更に 好ましくは 1. 0〜3· 5cmである。
[0112] 塗布液ノズルからの塗布液の供給量は、所望の塗布膜厚、塗布液の濃度、塗布速 度等により一概には規定できないが、概ね被塗布体上の塗設量として、 0. 5〜50g /m2の範囲が好ましい。 0. 5g/m2未満では、安定で均一な塗布膜を形成するのが 難しぐ逆に 50g/m2を越えると乾燥負荷等に影響が表れ、本発明の効果を有効に 発揮させることが難しくなる。塗布液の湿潤膜厚としては、:!〜 50 / mであることが好 ましぐより好ましくは 5〜30 /i mである。
[0113] 図 9は、上記説明したようなスロットノズルスプレー装置を配置した塗布製造ラインの 一例を示している。ここでは、被塗布体としては支持体上に構成層を塗布したものを 用いている。該構成層を塗布後、乾燥する工程内に、複数(多段で)スロットノズルス プレー装置を配置した。このように同一ライン上で、構成層の形成と本発明によるォ 一バーコート層(最表層)の塗布とを行うことをオンライン塗布と呼んでいる。
[0114] 図示しない搬送手段によって支持体の元卷きから、支持体が搬送ローラ 21を通過 し、更にバックアップロール 22の位置にて反転搬送される過程で流量規制型のスラ イドビード塗布装置 20より供給される多孔質インク吸収層(構成層)用の塗布液が塗 布される。この多孔質インク吸収層用の塗布液は、親水性バインダを含有しているの で、冷却ゾーン 30で一端冷却して固定する。この支持体上に構成層を有する被塗布 体 9は、乾燥工程に搬送される。乾燥工程では、エアを吹き出して塗布膜表面と非接 触で反転搬送させるリバーサ 23と被塗布体 9の裏面に接触して反転搬送させる通常 の搬送ローラ 24とを交互に設けて、被塗布体 9を蛇行搬送させている。この乾燥ェ 程においては、温風を吹き付けられて乾燥される(温風吹きつけ手段は不図示)。こ
の乾燥工程の途中、好ましくは減率乾燥以降の位置に、 2つのスロットノズルスプレ 一装置 1によって本発明の上記説明したような液滴噴霧による塗布が行われる。 2つ のスロットノズルスプレーのうち、少なくとも 1つは、乾燥終点以降の位置に載置される ことが乾燥性の観点で好ましい。ここでは 2つのスロットノズルスプレー装置を使用し たが、 1つでももちろんよぐ 3つ以上でもかまわなレ、。多段に分けて液滴噴霧による 塗布を行うことにより、乾燥負荷がより少なくなると同時に、膜厚均一性も高まることが わかった。
[0115] 本発明の塗布方法を用いて、被塗布体上に薄膜を形成する際の塗布速度としては 、用いる塗布液の種類、濃度、溶媒含有量、乾燥能力等により変化し、一概に規定 することはできないが、塗布速度として、 50〜500m/minであることが好ましぐより 好ましくは 100〜300m/minである。
[0116] 本発明の塗布方法を用いて、少なくとも 1層の構成層を支持体上に有する被塗布 体上に、塗布を行う場合の塗布時期としては、支持体上に形成した構成層の減率乾 燥以降、好ましくは乾燥終点以降である。また、前記構成層をスライドビード塗布等を 用いて行う塗布工程と本発明のスロットノズルスプレー装置を用いる等により行う塗布 工程は、同じ製造ライン上で、連続して行うことが好ましい(オンライン塗布と言う)。本 発明にかかる塗布方法は、少量の塗布液であっても塗布が可能であるため、該構成 層が完全に乾燥していない状態で行っても乾燥負荷が少なぐ該構成層への悪影響 も少ない。また、該構成層が完全に乾燥する前に本発明にかかる塗布を行う方が、 力えって構成層のひび割れ等のデメリットを防ぐことも出来ることがわかった。
[0117] 本発明の塗布方法は、乾燥負荷が少ないので、該構成層の乾燥工程内において 実施することができる。乾燥工程は、通常は、湿潤状態の塗布膜を連続的に搬送し ながら、その表面あるいは裏面より、特定の温度及び湿度条件に制御された乾燥風 を吹き付けて乾燥させることが好ましレ、。
[0118] 湿潤状態の塗布膜の乾燥過程は、主に以下のように分類することができる。乾燥の 初期は、恒率乾燥部と呼ばれ、塗布液の溶媒である水や溶剤が蒸発潜熱を奪いな 力 蒸発してレ、くため、構成層の表面温度はほぼ一定である。この一定温度の期間 を恒率乾燥部という。恒率乾燥部以降では、塗布液の溶質とインターラタシヨンのある
水や溶剤を蒸発させるため、蒸発潜熱の他にそのインターラタシヨンを解くためのェ ネルギーも必要となるので表面温度は上昇する。この期間を減率乾燥部という。減率 乾燥とは、表面からの溶媒の蒸発が層内の塗膜中の水分移動が勝るときに起きる現 象である。次いで、減率乾燥が終了すると、乾燥風の温度とインクジェット記録用紙 の表面温度が一致する領域に入る。この時点が、乾燥終点と呼ばれている。
[0119] 以上説明した恒率乾燥部、減率乾燥部及び乾燥終点の確認方法としては、特に制 限はないが、例えば、表面温度をモニターして、表面温度が一定である領域を恒率 乾燥部、表面温度が上昇する領域を減率乾燥部及び乾燥温度と同一となった時点 を、乾燥終点として求めることができる。
[0120] また、他の方法としては、各領域に含水量計を設置し、塗膜の含水量をモニターし 、含水量の減少曲線がフラットになった領域を乾燥終点として規定することができる。
[0121] 次いで、本発明の塗布方法に用いる塗布液及びインクジェット記録用紙について 説明する。
[0122] 本発明の塗布方法においては、本発明に係るスロットノズルスプレー装置を用いて 、被塗布体に付与する塗布液としては、特に制限はないが、後述するインクジェット 記録用紙の多孔質インク吸収層に対する機能付与化合物を含有していることが好ま しい。
[0123] 多孔質インク吸収層に対する機能付与化合物として、特に制限はないが、親水性 バインダーの架橋剤、画像安定剤、水溶性多価金属化合物、媒染剤及び pH調整剤 力も選ばれる少なくとも 1つであることが好ましい。
[0124] 多孔質インク吸収層の膜面 pHを低下させる目的で使用できる酸としては、例えば、 硫酸、塩酸、硝酸、燐酸などの無機酸、クェン酸、ギ酸、酢酸、フタル酸、こはく酸、 蓚酸、ポリアクリル酸などの有機酸を挙げることができる。
[0125] 多孔質インク吸収層の膜面 pHを増大させる目的で使用されるアルカリとしては、例 えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ほう砂、燐酸 ナトリウム、水酸化カルシウム、有機ァミンなどが挙げられる。
[0126] 上記 pH調整剤は、多孔質形成する塗布液中の pHが記録用紙の好ましい膜面 pH と異なる場合に、特に好ましい。
[0127] 記録用紙の多孔質インク吸収層の膜面 pHは、インクの種類によっても異なる力 一 般には、より酸性側で染料の耐水性や滲みが改善されるが、耐光性はより高 pH側で 改良される傾向が大きいため、使用するインクとの組み合わせで最適な pHは選定さ れる。好ましい多孔質表面の膜面 pHは、 3〜7であり、特に 3. 5〜6. 5が好ましい。 ここでいう膜面 pHとは、 J. TAPPI 49に規定される紙の表面 pH測定方法にしたが つて測定した値であり、具体的には、記録用紙表面に 50 μ 1の純水(pH = 6. 2〜7. 3)を滴下し、市販の平面電極を用いて測定した値を言う。
[0128] 前記機能賦与化合物としては、親水性バインダーの架橋剤であってもよい。
[0129] このような架橋剤としては、公知のものを使用でき、好ましいものとしては、前述のホ ゥ酸類、ジルコニウム塩、アルミニウム塩もしくはエポキシ系架橋剤である。
[0130] 前記機能賦与化合物としては、画像安定剤(以下、退色防止剤ともいう)であっても よい。退色防止剤は、光照射による退色およびオゾン、活性酸素、 NO、 SOなどの 各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。
[0131] 前記機能賦与化合物としては、カチオン性ポリマーを使用することができる。
[0132] 一般に、カチオン性ポリマーは、染料の定着剤として作用し、耐水性や滲みを防止 するため、予め多孔質受容層を形成する塗布液に添加しておくことが好ましいが、塗 布液中に添加した際に問題が発生する場合には、オーバーコート法で供給すること もできる。例えば、カチオン性ポリマーの添カ卩により、塗布液が経時で増粘したり、あ るいは、多孔質層内でカチオン性ポリマーの分布を持たせて発色性を改善する場合 などでは、オーバーコート法で供給することが好ましい。カチオン性ポリマーをオーバ 一コート法で供給する場合、記録用紙 lm2当たり概ね 0.:!〜 5gの範囲である。
[0133] 前記機能性付与化合物としては、水溶性多価金属化合物であってもよい。
[0134] 水溶性多価金属化合物は、一般に、無機微粒子含有の塗布液中に存在すると凝 集を起こしやすく、これにより微少な塗布故障や光沢性の低下を引き起こしやすレ、た め、特にオーバーコート法が供給するのに好ましい。
[0135] そのような多価金属化合物としては、例えば、 Mg +、 Ca +、 Zn +、 Zr +、 Ni +、 A1 +な どの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等が用いられる。
[0136] 上記の各機能性付与化合物は、単独で使用しても、あるいは 2種以上を併用するこ
ともできる。具体的には、退色防止剤を 2種以上含む水溶液を用いることも、また、退 色防止剤と架橋剤を含有する溶液、退色防止剤と界面活性剤を含有する溶液、更 には架橋剤、水溶性の多価金属化合物、および退色防止剤を併用することもできる
[0137] 上記機能性付与化合物の溶媒としては、水または水混和性の有機溶媒と水との混 合溶液であることができ、水を用いることが特に好ましい。また、水と水混和性を有す る低沸点有機溶媒(例えば、メタノーノレ、エタノール、 i—プロパノール、 n—プロパノ ール、アセトン、メチルェチルケトン等)との混合溶媒も好ましい溶媒である。水と水混 和性の有機溶媒とを併せて使用する場合、水の含有率としては質量比で 50質量% 以上であることが好ましい。
[0138] ここで水混和性を有する低沸点有機溶媒とは、室温で水に対して 10質量%以上の 溶解性を有し、沸点が約 120°C以下の有機溶媒を言う。
[0139] 前記機能性付与化合物としては、媒染剤であってもよい。
[0140] 本発明では、媒染剤として、アルミニウム原子を含有する化合物を好適に用いるこ とができる。アルミニウム原子を含有する化合物は、無機酸や有機酸の単塩および複 塩、有機金属化合物、金属錯体などのいずれであっても良いが、ポリ塩化アルミニゥ ム化合物、ポリ硫酸アルミニウム化合物、ポリ硫酸珪酸アルミニウム化合物であること が特に好ましい。
[0141] ポリ塩化アルミニウム化合物は、一般式〔A1 (OH) CI 〕m、 [Al (OH) ] n-AlCl
2 n 6-n 3 3 で示されるものであり、例えば、〔A1 (OH) 〕3+、〔A1 (〇H) 〕4+、〔A1 (OH) 〕5+な
6 15 8 20 13 34 どのような塩基性で、かつ高い正荷電の多核縮合イオン (高分子性)を有効成分とし て、安定に含んでいるポリ塩化アルミニウムである。
[0142] ポリ塩化アルミニウム化合物の市販品としては、例えば、浅田化学 (株)製のポリ水 酸化アルミニウム (Paho)、多木化学 (株)製のポリ塩化アルミニウム (PAC)、(株)理 研グリーン製のピュケラム WTが挙げられる。また、ポリ硫酸アルミニウム化合物は、一 般式 〔Al (OH) (S〇) 〕m (但し、 0<n< 6)で表されるものであり、市販品とし
2 n 4 6-n/2
ては浅田化学 (株)製の塩基性硫酸アルミニウム (AHS)力挙げられる。ポリ硫酸ケィ 酸アルミニウム化合物の市販品としては、 日本軽金属(株)製の PASSが挙げられる。
[0143] 本発明の塗布方法においては、被塗布体が基材上に多孔質インク吸収層を有す るインクジェット記録用紙であることが好ましい。
[0144] 本発明に係る多孔質インク吸収層は、主に無機微粒子と親水性バインダーとから 構成されている。
[0145] 本発明で用いることのできる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重 質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫 酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタ ルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソゥ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非 晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化ァ ルミ二ゥム、リトボン、ゼォライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げるこ とができる。また、各々単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。
[0146] 本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無 機微粒子として、アルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により合成 された微粒子シリカが好ましぐ気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。こ の気相法で合成されたシリカは、表面が A1で修飾されたものであっても良い。表面が A1で修飾された気相法シリカの A1含有率は、シリカに対して質量比で 0. 05〜5%の ものが好ましい。
[0147] 上記無機微粒子の粒径は、空隙率の大きな構造を得る上で、平均一次粒径として 30nm以下であることが好ましぐ被膜の透明性を高める上で特には 3〜: ! Onmが好 ましい。
[0148] 上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質物質層の断面や表面を電子顕微鏡で観 察し、 100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値 (個数平均)として求め られる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表し たものである。
[0149] また、本発明に係る多孔質インク吸収層で用いることのできる親水性バインダーとし ては、特に制限はなぐ例えば、ポリビュルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンォキサ イド、ポリビニノレピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリノレアミド、ポリウレタン、デキストラ ン、デキストリン、カラーギーナン(κ、 え等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニル
プチラール、ヒドロキシェチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げるこ とがでさる。
[0150] 親水性バインダーとして特にポリビュルアルコールが好ましい。本発明で好ましく用 レ、られるポリビュルアルコールには、ポリ酢酸ビュルを加水分解して得られる通常の ポリビュルアルコールの他に、末端を力チオン変性したポリビュルアルコ一ルゃァ二 オン性基を有するァニオン変性ポリビュルアルコール等の変性ポリビュルアルコール も含まれる。
[0151] 酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビュルアルコールは平均重合度が 1000以 上のものが好ましく用いられ、平均重合度が 1500〜5000のものが特に好ましく用い られる。
[0152] ケン化度は 70〜100%のものが好ましぐ 80〜99 · 5%のものが特に好ましい。
[0153] カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭 61— 10483号に記載 されているような、第 1〜3級アミノ基ゃ第 4級アンモニゥム基を上記ポリビニルアルコ 一ルの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有す るエチレン性不飽和単量体と酢酸ビュルとの共重合体をケン化することにより得られ る。
[0154] カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチルー(2— アタリノレアミドー 2, 2—ジメチルェチル)アンモニゥムクロライド、トリメチル一(3—ァク リノレアミド一 3, 3—ジメチルプロピル)アンモニゥムクロライド、 Ν—ビュルイミダゾーノレ 、 Ν—ビュル一 2—メチルイミダゾール、 Ν— (3—ジメチルァミノプロピル)メタクリルァ ミド、ヒドロキシノレェチルトリメチルアンモニゥムクロライド、トリメチル _ (2—メタクリルァ ミドプロピル)アンモニゥムクロライド、 Ν— ( 1 , 1—ジメチル _ 3—ジメチルァミノプロピ ル)アクリルアミド等が挙げられる。
[0155] カチオン変性ポリビュルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸 ビュルに対して通常 0.:!〜 10モノレ0 /0、好ましくは 0. 2〜5モル0 /0である。
[0156] ァニオン変性ポリビュルアルコールは例えば、特開平 1— 206088号公報に記載さ れているようなァニオン性基を有するポリビュルアルコール、特開昭 61— 237681号 、および同 63— 307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性
基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平 7— 285265号公報に記載され ているような水溶性基を有する変性ポリビュルアルコールが挙げられる。
[0157] インク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空 隙層の空隙率、無機微粒子の種類、親水性バインダーの種類に大きく依存するが、 一般には記録用紙 lm2当たり、通常 5〜30g、好ましくは 10〜25gである。
[0158] また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と親水性バインダーの比率は質量比 で通常 2 ::!〜 20 : 1であり、特に 3: 1〜: 10 : 1であることが好ましい。
[0159] 本発明で用いることのできる基材は、吸水性支持体であっても、非吸収性支持体で あってもよいが、より高品位なプリントが得られる観点から、非吸水性支持体を用いる ことが好ましい。
[0160] 本発明で好ましく用いられる非吸収性支持体としては、透明ポリエステルフィルム、 不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフイン樹脂フィルムおよび紙の両面をポ リオレフイン樹脂でラミネートした紙支持体である。
[0161] そのようなポリオレフイン樹脂でラミネートした紙支持体について以下に説明する。
[0162] 紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプ に加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成 繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては LBKP、 LBSP、 NBKP、 NBSP、 LD P、 NDP、 LUKP、 NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多レ、 LBKP、 NBSP、 LBSP、 NDP、 LDPをより多く用いることが好ましレヽ。但し、 LBSP及びまた は LDPの比率は 10質量%〜70質量%が好ましい。
[0163] 上記パルプは不純物の少なレ、化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が 好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である
[0164] 原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム 、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリノレアミド、ポリビュルアルコ ール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分 散剤、 4級アンモニゥム等の柔軟ィ匕剤などを適宜添加することができる。
[0165] 抄紙に使用するパルプの濾水度は CSFの規定で 200〜500mlが好ましぐまた、
叩解後の繊維長力 SJIS— P— 8207に規定される 24メッシュ残分の質量%と 42メッシ ュ残分の質量%との和が 30〜70%が好ましレ、。尚、 4メッシュ残分の質量%は 20質 量%以下であることが好ましレ、。
[0166] 原紙の坪量は 30〜250gが好ましぐ特に 50〜200g力 S好ましレ、。原紙の厚さは 40 〜250 x mが好ましい。
[0167] 原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる 。原紙密度は 0. 7〜: 1. 2g/cm3 (JIS _P_8118)が一般的である。更に原紙剛度 は JIS— P— 8143に規定される条件で 20〜200gが好ましい。
[0168] 原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもぐ表面サイズ剤としては前記原紙中添カロ できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
[0169] 原紙の pHは JIS— P— 8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、 5〜 9であることが好ましい。
[0170] 原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン (LD PE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他の LLDPEやポリプロピ レン等も一部使用することができる。
[0171] 特にインク吸収層側のポリエチレン層は写真用印画紙で広く行われているようにル チルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白 色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常 3質 量%〜 20質量%、好ましくは 4質量%〜 13質量%である。
[0172] ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上 に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印 画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。
[0173] 上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を 3質量%〜: 10質量%に保持 するのが特に好ましい。
[0174] 本発明に係る多孔質インク吸収層には、各種の添加剤を添加することができる。例 えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアタリ ノレアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビュル、ポリ塩化ビニリデン、また はこれらの共重合体、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、カチオンまたは
ノニオンの各種界面活性剤、特開昭 57— 74193号、同 57— 87988号及び同 62— 261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭 57— 74192号、同 57— 87989号、同 6 0— 72785号、同 61— 146591号、特開平 1— 95091号及び同 3— 13376号等に 記載されてレヽる福色防止斉' J、特開昭 59— 42993号、同 59— 52689号、同 62— 28 0069号、同 61— 242871号及び特開平 4— 219266号等に記載されている蛍光増 白剤、硫酸、リン酸、クェン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の p H調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤 を含有させることもできる。
[0175] 上記の多孔質インク吸収層を、非吸収性支持体上に塗布する際の温度は、一般的 には、 30〜60°Cであり、塗布後の冷却温度は塗膜温度が概ね 20°C以下になるよう にすれば良ぐ特に、 15°C以下にすることが好ましい。
[0176] 冷却工程は、塗布後、例えば 15°C以下に冷却されたゾーンを一定時間(好ましく は 5秒間以上)通過させることで行うことができる。この冷却時点では、あまり強い風を 吹き付けないことが、液ヨリを起こさず均一でムラのない塗膜を得る観点から好ましい
[0177] 一旦冷却した以降は、強い風を吹き付けても、塗布液自体の増粘のため、液ヨリを 起こしに《なり、強い風を吹き付けても液ヨリの発生を抑制することができる。また、 吹き付ける強い風の温度は、 20°C以上の風を吹き付けることができる力 徐々に風 の温度を上げるのが好ましい。
[0178] 多孔質インク吸収層用の塗布液を支持体上に塗布した後の乾燥工程は、風を吹き 付けたり高温状態のゾーンを通過させる、もしくは両者を併用することで行われる。
[0179] 高温ゾーンを通過させて乾燥させる場合、 50〜: 150°Cの乾燥ゾーンを通過させる。
この際、乾燥温度は、支持体の耐熱性や塗膜への悪影響などを考慮して適切な乾 燥温度を選択することが好ましい。乾燥する風は、通常、相対湿度が 10〜50%、好 ましくは 15〜40%の風で行われる。乾燥時間は、湿潤膜厚にもよるが、概ね 10分以 内が好ましぐ 5分以内にするのが特に好ましい。
[0180] 塗布速度は、湿潤膜厚や設備の乾燥能力に依存するが、概ね 1分当たり 10〜: 100 0m、好ましくは 20〜500mである。
[0181] 上記多孔質インク吸収層用の塗布液の塗布方法としては、公知の方法から適宜選 択して行うことができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッド バーコーティング法、エアナイフコーティング法、押し出し塗布方法、カーテン塗布方 法あるいは米国特許第 2, 681, 294号公報に記載のホッパーを使用するェクストル 一ジョンコート法が好ましく用いられる。
実施例
[0182] 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定され るものではない。
[0183] [実施例 1]
《記録用紙の作製》
〔被塗布体の作製〕
(支持体の作製)
木材パルプ(LBKP/NBSP = 50/50) 100質量部に対して、ポリアクリルアミドを 1質量部、灰分 (タルク)を 4質量、カチオンィ匕澱粉を 2質量部、ポリアミドェピクロロヒド リン樹脂を 0. 5質量部、及び種々の添カ卩量のアルキルケテンダイマー(サイズ剤)を 含有するスラリー液を調製し、長網抄紙機で坪量が 170g/m2になるように基紙を抄 造した。これにカレンダー処理した後、 7質量%のアナターゼ型酸化チタンおよび少 量の色調調整剤を含有する密度 0. 92の低密度ポリエチレン樹脂を 320°Cで厚さ 28 μ mになるように溶融押し出しコーティング法で基紙の片面を被覆し、鏡面クーリング ローラーで直後に冷却した。次いで、反対側の面を密度 0. 96の高密度ポリエチレン /密度 0. 92の低密度ポリエチレン = 70/30の混合した溶融物を同様に溶融押し 出し法で、厚さが 32 μ ΐηになるように被覆した。
[0184] インク吸収層を設ける側の面の 60度光沢度は 56%、中心線平均粗さ Raは 0. 12 μ mであった。
[0185] この支持体の酸化チタン含有層側に、コロナ放電した後、ゼラチン 0. 05g/m2を 下引き層として塗布した。
[0186] 一方反対側には、平均粒径約 1. 0 μ mのシリカ微粒子(マット剤)と少量のカチオン 性ポリマー(導電剤)を含有するスチレン/アクリル系ェマルジヨンを、乾燥膜厚が約
0. 5 x mになるように塗布して、インク吸収層を塗布するための支持体を作製した。
[0187] バック面側は、光沢度が約 18%、中心線平均粗さ Raが約 4. 5 μ m、ベック平滑度 は 160〜200秒であった。
[0188] このようにして得られた支持体の基紙の含水率は 7. 0〜7. 2%であった。
[0189] また、この支持体の不透明度は 96. 5%、白さは、 L* = 95. 2、 a* = 0. 56、 b*= _4
. 35であった。
[0190] (インク吸収層塗布液の調製)
下記の手順に従って、下記の組成からなるインク吸収層用塗布液を調製した。
[0191] 〈酸化チタン分散液 1の調製〉
平均粒径が約 0. 25 μ ΐηの酸化チタン 20kg (石原産業製: W— 10)を、 pH = 7. 5 のトリポリリン酸ナトリウムを 150g、ポリビエルアルコール(クラレ株式会社製: PVA23 5)を 500g、カチオンポリマー(P— 1)を 150g及びサンノブコ株式会社の消泡剤 SN 381を 10g含有する水溶液 90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社 製)で分散した後、全量を 100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液 1を得た。
[0192] [化 1] カチオン性ポリマー (P— 1)
〈シリカ分散液 1の調製〉
水 71L
ホウ酸 0. 27kg
ほう砂 0. 24kg
エタノール 2. 2L
カチオン性ポリマー(P_ 1) 25。/。水溶液 17L
退色防止剤( AF 1 * 1 ) 10 %水溶液 8. 5L
蛍光増白剤水溶液(* 2)
全量を純水で 100Lに仕上げた。
[0194] 無機微粒子として、気相法シリカ(平均一次粒子径 約 12nm)を 50kg用意し、これ に上記添加剤を添加した後、特開 2002— 47454号公報の実施例 5に記載された分 散方法により分散してシリカ分散液 1を得た。
[0195] * 1 :退色防止剤(AF_ 1) HO-N (C H SO Na)
* 2 :チバ 'スぺシャリティーケミカルズ社製、 UVITEX NFW LIQUID
〈シリカ分散液 2の調製〉
上記シリカ分散液 1の調製において、カチオン性ポリマー(P—1)を、カチオン性ポ リマー(P— 2)に変更した以外は同様にして、シリカ分散液 2を調製した。
[0196] [化 2] カチオン性ポリマー (P— 2)
[0197] 〈インク吸収層塗布液の調製〉
第 1層、第 2層、第 3層及び第 4層の各インク吸収層用塗布液を、以下の手順で調 製した。
[0198] 〈第 1層用塗布液〉
シリカ分散液 1の 610mlに、 40°Cで攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
[0199] ポリビュルアルコール(クラレエ業株式会社製: PVA235)の 5%水溶液
220ml
ポリビュルアルコール(クラレエ業株式会社製: PVA245)の 5%水溶液
80ml
酸化チタン分散液 30ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約 0. 5 μ m、固形分濃度 40%) 15ml
界面活性剤(SF1) 5%水溶液 1. 5ml 純水で全量を 1000mlに仕上げた。
[0200] 〈第 2層用塗布液〉
シリカ分散液 1の 630mlに、 40°Cで攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
[0201] ポリビュルアルコール(クラレエ業株式会社製: PVA235)の 5%水溶液
180ml
ポリビュルアルコール(クラレエ業株式会社製: PVA245)の 5%水溶液
80ml
ポリブタジエン分散液(平均粒径約 0. 5 μ m、固形分濃度 40%) 15ml 純水で全量を 1000mlに仕上げた。
[0202] 〈第 3層用塗布液〉
シリカ分散液 2の 650mlに、 40°Cで攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。ポ リビュルアルコール(クラレエ業株式会社製: PVA235)の 5%水溶液
180ml
ポリビュルアルコール(クラレエ業株式会社製: PVA245)の 5%水溶液
80ml
純水で全量を 1000mlに仕上げた。
[0203] 〈第 4層用塗布液〉
シリカ分散液 2の 650mlに、 40°Cで攪拌しながら以下の添加剤を順次混合した。
[0204] ポリビュルアルコール(クラレエ業株式会社製: PVA235)の 5%水溶液
180ml
ポリビュルアルコール(クラレエ業株式会社製: PVA245)の 5%水溶液
80ml
サポニン 50。/。水溶液 4ml
界面活性剤(SF1) 5%水溶液 6ml
純水で全量を 1000mlに仕上げた。
[0206] 上記のようにして調製した各塗布液を、 20 μ mの捕集可能なフィルターで 2段ろ過 した。
[0207] 上記各塗布液は、レ、ずれも 40。Cにおレ、て 30〜80mPa. s、 15°Cにおレ、て 30000 〜100000mPa. sの粘度特性を示した。
[0208] (インク吸収層の形成)
このようにして得られた各塗布液を、上記作製したポリオレフインで両面を被覆した 支持体の表側に、第 1層(35 μ m)、第 2層(45 μ m)、第 3層(45 μ m)、第 4層(40 x m)の順になるように各層を同時塗布した。なお、各層のかっこ内の数値は、それ ぞれの湿潤膜厚を示す。塗布は、各塗布液を 40°Cで 4層式カーテンコーターを用い 、塗布幅:約 1. 5m、塗布速度: 200mZ分で同時塗布を行った。
[0209] 塗布直後に 8°Cに保持した冷却ゾーンで 10秒間冷却した後、 20〜30°C、相対湿 度 20%以下で 15秒間、 60°C、相対湿度 20%以下で 60秒間、 55°C、相対湿度 20 %以下で 30秒間、各々の乾燥風を吹き付けて乾燥した。恒率乾燥域における皮膜 温度は 8〜30°Cであり、減率乾燥域で皮膜温度が徐々に上昇した後、 23°C、相対 湿度 40〜60%の調湿ゾーンで調湿してロール状に卷き取って被塗布体を得た。
[0210] 〔試料 101の作製〕
〈オーバーコート液 1の調製〉
下記水溶性染料を 0. 20質量%含む水溶液を調製し、これをオーバーコート液 1と した。このオーバーコート液 1の粘度は室温で 1. 0mPa' s、静的表面張力(SST)は 65mN/mであった。
[0211] なお、静的表面張力(SST)は、表面張力計 (協和界面科学製: CBVP— Z)を使用 し、塗布液温度 25°Cの時の白金プレート法による表面張力値を測定した。
[0212] [化 4]
水溶性染料
[0213] 〈オーバーコート液 2の調製〉
オーバーコート液 1の調製において、水溶性染料に代えて、蛍光增白剤(UVITE X
NFW LIQUID,チバスべシャリティーケミカル社製)に変更した以外は同様にし て、オーバーコート液 2を調製した。このオーバーコート液 2の粘度は室温で 1. 5mP a' s、静的表面張力(SST)は 69mN/mであった。
[0214] 〈オーバーコート〉
図 9に記載の塗布ライン(図 9に記載の後半のオーバーコートゾーンを使用し、イン ク吸収層の乾燥終点にコーターを設置とした)で、図 2及び図 7に記載の構成からな るスロットノズノレスプレー装置を用いて、上記調製したオーバーコート液 1及びオーバ 一コート液 2を、前記作製した被塗布体上に、塗布速度 200m/min、湿潤膜厚 (hw ) 6. 0 x m、図 7に示すスリット間隙 tを 40 x m、オーバーコート液 1及びオーバーコー ト液 2の液出口線速度を 50. OcmZsecの条件で塗布を行レ、、各オーバーコート液 による試料 101を作製した。
[0215] なお、試料 101の作製に用いたスロットノズルスプレー装置は、外部ダイブロックの 底面のなす角度ひは 180度、塗布液ノズルの塗布液吐出口とガスノズルのガス吐出 口のなす角度 /3を 30度、内部ダイブロックの底面のそれぞれの幅 Ll、 L2を 0. 5m m、外部ダイブロックの底面のそれぞれの幅 L3、 L4を 40mmとし、外部ダイブロック の底面と被塗布体表面との距離を 20mmとした。また、ガスノズルより供給するガスは 、空気を使用し、ガスノズルより 200m/secの風量で供給した。
[0216] なお、スロットノズルスプレー装置の底面部 2c、 2d、 3c、 3d及びガスノズノレのガス 流路壁及び塗布液ノズルの液流路壁の表面は、表面撥水化処理加工は施さず、部
材であるステンレスそのものが露出した状態とした。
[0217] 〔試料 102〜104の作製〕
上記試料 101の作製において、オーバーコート液の湿潤膜厚、スリット間隙 t及び 液出口線速度を、表 1に記載のように変更した以外は同様にして、試料 102〜: 104を 作製した。
[0218] 〔試料 105、 106の作製〕
上記試料 101の作製において、塗布液を吐出する塗布液ノズルの形状を、図 6に 示すクシ歯状シムを用い、クシ歯状シムの長手方向における塗布液吐出部の長さ L5 、塗布液吐出部間の距離 L6、オーバーコート液の湿潤膜厚及び液出口線速度を、 表 1に記載のように変更した以外は同様にして、試料 105、 106を作製した。
[0219] 《記録用紙の評価》
上記作製した各試料について、下記の方法に従って各評価を行った。
[0220] 〔スジムラ故障耐性の評価〕
上記作製した各試料について、スジムラ故障 (塗布方向に平行して発生するスジ状 の故障)の発生の有無を目視観察し、下記の基準に従ってスジムラ故障耐性の評価 を行った。
[0221] 1:オーバーコート液 1、 2共に、スジムラ故障の発生が全く認められない
2 :オーバーコート液 1 (水溶性染料)では弱いスジムラ故障が認められる力 オーバ 一コート液 2 (蛍光増白剤)ではスジムラ故障の発生が認められない
3 :オーバーコート液 1、 2共に、 目視で確認できるスジムラ故障の発生が認められる 4 :オーバーコート液 1、 2共に、 目視で確認できるスジムラ故障の多数の発生が認 められる
〔幅手濃度分布の評価〕
上記オーバーコート液 1 (水溶性染料)を用いて作製した各試料について、塗布の 幅手方向で lcm間隔毎、 100点について、反射濃度計を用いて濃度を測定し、 100 点の平均濃度 Dx、最大濃度 Dmax、最小濃度 Dminを求め、下式(1)に従って濃度 変動率を求め、これを幅手濃度分布の尺度とした。
[0222] 式(1)
濃度変動率(%) = (最大濃度 Dmax—最小濃度 Dmin) /平均濃度 Dx X 100 〔濃度ムラ耐性の評価: RMSの測定〕
上記オーバーコート液 1 (水溶性染料)を用いて作製した各試料について、縦 3cm 、横 3cmの大きさの試料全面濃度を、スキャナー(Epson社製 ES— 8000)で読み 取り、測定した濃度測定値を下式 (2)に従って塗布ムラを評価する指標として RMS を算出した。これは、平均濃度に対する各ポイントでの濃度差の二乗平均から塗布ム ラを定量ィ匕したものであり、塗布ムラが小さいほど RMS値は小さい値となる。本発明 においては、 RMS算出値と目視評価の相関から、 RMS値力 以下の場合には実技 上問題ないと判断した。
[0223] [数 1] 式(1 )
RMS =^ ((Xi-X)2) n l χ 50/Χ
[0224] 式中、 Xi :濃度測定値、 X:濃度測定平均値、 n :測定点数を表す。
[0225] 以上により得られた結果を、表 1に示す。
[0226] [表 1]
度度塗布 s幅手《液速度液出線隙布速度歯状ズラ塗(ムジラ間湿潤膜厚ク)口リトシシムノルムスス ·ッMm
耐性布性/形態分故障耐/ () ()) ( ) t hcm sec、μm a nU m w m ;
本発明構造リ卜スツ
to 本発明構造リ卜スツ
本発明構造リ卜スツ
比較例構造リ卜スツ
比較例複数構造ズノル
卜 較比例複数構造ズノル
o to
o eo o o o O
to 1 1 o o o o o ο
o o o o o ο
o o ο
(O ο
1 1 1 1 o ο
1 1 1 1 m m
m to
o o ο o o o
雜 表 1に記載の結果より明らかなように、本発明に係る塗布液を供給する塗布液ノズ ルが横方向に連続したスリット状で、かつ塗布液の出口線速度が 40cm/sec以上の
条件で作製した本発明の試料は、比較例に対し、スジムラ故障耐性、濃度ムラ耐性 に優れ、幅手における濃度均一性に優れていることが分かる。
[0228] [実施例 2]
実施例 1に記載の試料 101の作製において、オーバーコート液の湿潤膜厚、塗布 速度 CS (m/min)、スリット間隙 t及び液出口線速度を、表 2に記載のように変更し た以外は同様にして、試料 201〜209を作製し、実施例 1に記載の方法と同様にし て、スジムラ故障耐性及び濃度ムラ耐性の評価を行い、得られた結果を表 2に示す。
[0229] [表 2]
[0230] 表 2に記載の結果より明らかなように、実施例 1と同様に、液出口線速度が 40cm/ m以上とすることにより、スジムラ故障耐性及び濃度ムラ耐性が向上することを確認す ることができた。
[0231] [実施例 3]
《記録用紙の作製》
〔試料 301、 302の作製〕
実施例 1に記載の試料 101の作製において、オーバーコート液の湿潤膜厚、塗布 速度 CS (m/min)、スリット間隙 t及び液出口線速度を、表 3に記載のように変更し た以外は同様にして、試料 301、 302を作製した。
[0232] 〔試料 303、 304の作製〕
上記 301、 302の作製にぉレ、て、スロットノズノレスプレー装置として、下記の方法に 従って表面撥水化処理を施したスロットノズルスプレー装置を用いた以外は同様にし
て、試料 303、 304を作製した。
[0233] (スロットノズルスプレー装置の表面撥水化処理)
表面撥水化処理剤としてォプツール DSX (ダイキン工業株式会社製: 20%溶液) を HFE7100 (3M社製)で希釈し、ォプツール DSXの 0. 1%溶液を調製した。
[0234] 次いで、図 2に記載のスロットノズノレスプレー装置の外部ダイブロックの底面 2c、 2d
、内部ダイブロックの底面 3d、 3c、ガスノズル Dの壁面、および塗布液ノズル Cの壁 面のをォプツール DSXの 0. 1%溶液を均一に塗布し、室温で 24h乾燥させ、スロッ トノズルスプレーのリップ部分に撥水化処理を施した。
[0235] 《記録用紙の評価》
実施例 1に記載の方法と同様にして、スジムラ故障耐性及び濃度ムラ耐性の評価を 行い、得られた結果を表 3に示す。
[0236] [表 3]
表 3に記載の結果より明らかなように、スロットノズルスプレー装置に表面撥水化処 理を施すことにより、スジムラ故障耐性及び濃度ムラ耐性がより一層向上することを確
認することができた。
[0238] [実施例 4]
《記録用紙の作製》
〔試料 401〜405の作製〕
実施例 3に記載の試料 301の作製において、オーバーコート液 1及びオーバーコ ート液 2の粘度を、ポリビュルアルコール水溶液(クラレエ業株式会社製: PVA235) を適宜添加して、表 1に記載の粘度に適宜変更した以外は同様にして、試料 401〜 405を作製した。
[0239] 《記録用紙の評価》
実施例 1に記載の方法と同様にして、スジムラ故障耐性及び濃度ムラ耐性の評価と 、下記の方法に従って横段ムラ耐性の評価を行い、得られた結果を表 4に示す。
[0240] 〔横段ムラ耐性の評価〕
上記作製した各試料の塗布開始から 500mの試料にっレ、て、横段ムラ故障(幅手 方向に平行して濃度ムラが発生する故障)の発生の有無を目視観察し、下記の基準 に従って横段ムラ故障耐性の評価を行った。
[0241] 1:オーバーコート液 1、 2共に、横段ムラ故障の発生が全く認められない
2 :オーバーコート液 1 (水溶性染料)では弱い横段ムラ故障が認められるが、ォー バーコート液 2 (蛍光増白剤)では横段ムラ故障の発生が認められない
3 :オーバーコート液 1、 2共に、 目視で確認できる弱い横段ムラ故障の発生が認め られる力 実用上許容範囲にある
4 :オーバーコート液 1、 2共に、 目視で確認できる明らかな横段ムラ故障の発生が 多数認められる
[0242] [表 4] オーバーコー卜液 スジムラ ;廣度ムラ 横段ムラ 料番"^
粘度(mPa · S) 故障耐性 耐性 耐性
401 0 .8 2 2 .5 1
402 1 .0 2 2.6 1
403 1 .5 2 2. 7 2
404 2 .0 1 2.9 2
405 2 .5 1 3. 1 3
[0243] 表 4に記載の結果より明らかなように、オーバーコート液の粘度が高くなるに従って 、スジムラ故障耐性は良化するが、濃度ムラ耐性が劣化し、同時に横段ムラ耐性が劣 化する傾向にあり、スジムラ故障耐性、濃度ムラ耐性及び横段ムラ耐性のいずれも満 たす粘度条件は、 0. 8〜2. OmPa ' sの範囲であることが分力る。
[0244] [実施例 5]
実施例 1〜4に記載の塗布方法において、オーバーコート液に添加した染料水溶 液あるいは蛍光増白剤に代えて、機能性付与化合物として、親水性バインダーの架 橋剤、画像安定剤、水溶性多価金属化合物をそれぞれ含む各オーバーコート液を 用いて、同様の塗布を行って、各評価を行った結果、実施例:!〜 4に記載の結果と同 様に、本発明で規定する条件を満たすスロットノズルスプレー装置を用いて、塗布液 の出口線速度として 40cm/sec以上の条件で塗布した本発明の塗布方法は、比較 例に対し、スジムラ故障耐性、幅手濃度分布及び濃度ムラ耐性に優れ、安定して良 質な画像性能を付与できることが確認できた。