JP2005229871A - 足場材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 力学的強度が高く、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能などに優れ、in−vitroにおいて細胞の増殖・分化を効率よく行なえる足場材料を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる足場材料は、in−vitroで行なう細胞培養に用いる足場材料であって、コラーゲンからなるスポンジ中に非生体分解吸収性合成高分子が繊維状の形態で存在してなる、ことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、in−vitroで行なう細胞培養に用いる足場材料に関する。
in−vitroでの細胞培養は、主として、i)in−vivoでの組織再生に移行・応用するため、in−vitroの生体内を模倣した環境下で、細胞の挙動、細胞間の相互作用、細胞と細胞外マトリックスの挙動などを研究する、ii)in−vitroで各種細胞(例えば、骨髄由来間葉系幹細胞や脂肪組織由来間葉系幹細胞などの組織(成体)幹細胞、前駆細胞、芽細胞;軟骨細胞、シュワン細胞などの成熟分化細胞;胚性幹(Embryonic stem,ES)細胞;等)を増殖・分化させたのち、細胞のみを回収し、回収した細胞をin−vivoで用いる、などの目的で行なわれる。とりわけ、近年in−vivoでの組織再生が実際に行なわれるようになるまでは、in−vitroでの細胞培養は前記i)の目的で行なうのが主流であった。また、前記ii)の目的で培養された細胞は、前記i)の目的でも用いられる。
前記i)の目的でin−vitroでの細胞培養を行なう場合、in−vitroにおける結果をin−vivoで忠実に再現させるには、同じ足場材料を用いるようにして異なる結果を招きうる要因を排除しておく方がよい。このため、従来、in−vitroでの細胞培養では、一般に、in−vivoで用いることのできる材料が用いられており、通常、天然高分子であるコラーゲンからなるスポンジ状成形体が汎用されている。また、近年、これを改良したin−vivo用の足場材料として、コラーゲンスポンジ中に生体分解吸収性合成高分子の繊維を組み込んだ複合材料が提案されており(特許文献1、2参照)、これらの複合材料をin−vitroでの細胞培養に利用することも考えられている。
国際公開第03/028782号パンフレット 特許第2805086号公報
しかしながら、近年、前記ii)の目的でin−vitroにおける細胞培養を行なうことが増えてくるようになり、in−vitroにおいてより効率よく細胞の増殖・分化を行なえることが求められている。
ところが、前記コラーゲンからなるスポンジ状成形体は、力学的強度が低いという欠点があり、これを用いてin−vitroでの細胞培養を行なった場合、培地に浸漬した際や細胞を接着させた際に収縮が生じ、その結果、静置下では栄養や老廃物の交換量が減少して細胞接着性や細胞増殖性や細胞分化誘導能が低下し、所望の細胞培養(細胞の増殖・分化)が充分に行なえない。
また、前記特許文献1、2の材料は、in−vivoでの生体組織の再生に用いることを前提にしたものであり、組織再生(細胞の増殖・分化)の進行に応じて速やかに分解・消失するように設計されたものであるが、in−vitroにおいては、分解・消失の必要性はなく、むしろ分解・消失することは長期間にわたる培養ができないという欠点になる。しかも、本発明者が前記特許文献1、2の材料を用いてin−vitroでの細胞培養を行なったところ、例えば生体分解吸収性合成高分子としてポリエステルを用いた場合など生体分解吸収性合成高分子の種類によっては、材料の分解・消失が進行するにつれて、細胞接着性や細胞増殖性や細胞分化誘導能が、材料の容積減少から予測される以上に著しく低下してしまうという現象が生じることがあった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、力学的強度が高く、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能などに優れ、in−vitroにおいて細胞の増殖・分化を効率よく行なえる足場材料を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するべく、まず、前記特許文献1、2の材料において生体分解吸収性合成高分子の種類により細胞接着性や細胞増殖性や細胞分化誘導能が著しく低下することがある原因について、鋭意検討を行った。その結果、生体分解吸収性合成高分子が例えばポリエステル等であると、生体分解吸収性合成高分子の繊維が分解される際に、該分解によって生じる高分子オリゴマーあるいは単量体等がpHを低下させることとなり、このpHの低下が細胞培養に悪影響を及ぼすことをつきとめた。本発明者は、これら知見に基づき、力学的強度を向上させるためにコラーゲンスポンジ中に繊維を組み込むことは有効であるが、該繊維として、材料の分解・消失を可能にする一方で細胞接着性や細胞増殖性や細胞分化誘導能を妨げる要因を生むことがある生体分解吸収性合成高分子繊維を選択することは、in−vitro用の足場材料においては不利になると考えた。そして、コラーゲンスポンジ中に生体分解吸収性を有さない合成高分子繊維を組み込むことによって、前述した分解時のpH低下を回避するとともに高い力学的強度を維持させることが可能になることを確認して、本発明を完成した。
本発明にかかる足場材料は、in−vitroで行なう細胞培養に用いる足場材料であって、コラーゲンからなるスポンジ中に非生体分解吸収性合成高分子が繊維状の形態で存在してなる、ことを特徴とする。
本発明によれば、力学的強度が高く、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能などに優れ、in−vitroにおいて細胞の増殖・分化を効率よく行なえる足場材料を提供することができる。
以下、本発明にかかる足場材料について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明の足場材料は、コラーゲンからなるスポンジ中に非生体分解吸収性合成高分子が繊維状の形態で存在してなるものである。詳しくは、本発明の足場材料は、コラーゲンからなるミクロポーラスなスポンジの中に、繊維状の非生体分解吸収性合成高分子がランダムに埋入された構造を有している。
本発明における前記コラーゲンとしては、特に制限はなく、例えば骨や皮や腱等の動物組織を原料として得られる従来公知のあらゆるコラーゲン、例えば、酸不溶化コラーゲン、中性塩不溶化コラーゲンのような不溶化コラーゲン;酸可溶化コラーゲン、中性塩可溶化コラーゲン、酵素可溶化コラーゲン、アルカリ可溶化コラーゲンのような可溶化コラーゲン;これら不溶化もしくは可溶化コラーゲンを化学修飾(例えば、アセチル化、コハク化、マレイル化、フタル化、ベンゾイル化、エステル化、アミド化、グアニジノ化等)したコラーゲン;可溶化コラーゲンからコラーゲン繊維を再生させた再生コラーゲン;等が挙げられる。前記コラーゲンの分子種は、特に制限されないが、具体的には、例えば、豚皮由来I型コラーゲン、豚腱由来I型コラーゲン、牛鼻軟骨由来II型コラーゲン、魚から抽出したI型コラーゲン等が好ましく挙げられる。また、本発明における前記コラーゲンとしては、前述した動物由来のコラーゲン以外に、遺伝子組み替え技術によって得られたコラーゲン、例えば遺伝子組み替え型ヒト型コラーゲンも挙げられる。なお、前記コラーゲンは、テロペプチドを分解・除去したアテロコラーゲンであってもよいし、テロペプチドを含むコラーゲンであってもよい。前記コラーゲンは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明における前記非生体分解吸収性合成高分子としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド(ポリカプロラクタム、アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体、セバシン酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体等)、セルロース等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド(ポリカプロラクタム、アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体、セバシン酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体等)は、種々の繊維径や繊維断面形状をもった繊維もしくは該繊維を用いた不織布が実用化されており、繊維状の形態での入手が容易であるとともにコスト的にも有利であるため、特に好ましい。なお、非生体分解吸収性合成高分子は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記非生体分解吸収性合成高分子は、前記スポンジ中において繊維状の形態で存在してなることが重要である。このように、力学的強度の弱いコラーゲンスポンジに繊維状の非生体分解吸収性合成高分子を存在させることにより、長期にわたって高い力学的強度を保持させることができ、その結果、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能を向上させることができるのである。詳しくは、前記繊維長(繊維の長さ)は、長繊維であっても短繊維であってもよいが、例えば不織布をほぐした状態のように、充分に絡まりあって存在することが好ましい。前記繊維径(繊維の直径)は、特に限定されるものではないが、例えば1〜100μmであることが好ましい。繊維の断面形状は、特に制限されるものではない。なお、前記スポンジ中には、繊維長、繊維径、断面形状などが異なる複数の繊維が存在していてもよい。
前記コラーゲン(前記スポンジ)と前記非生体分解吸収性合成高分子(前記繊維)との割合は、重量比で、非生体分解吸収性合成高分子(繊維)/コラーゲン(スポンジ)=0.01〜10であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5であるのがよい。非生体分解吸収性合成高分子(繊維)がコラーゲン(スポンジ)に対して前記範囲よりも多すぎると、繊維がスポンジの外へと露出しやすくなったり、細胞が増殖するための空間が小さくなったりして、コラーゲンへの細胞の接着や増殖が損なわれる恐れがある。一方、非生体分解吸収性合成高分子(繊維)がコラーゲン(スポンジ)に対して前記範囲よりも少なすぎると、充分な力学的強度が得られず、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能の向上効果を発現させることができないことがある。
本発明の足場材料の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、次のような方法で容易に得ることができる。すなわち、1)まず、繊維状の非生体分解吸収性合成高分子を所望の鋳型に入れ、必要に応じて、後述するように該繊維状の非生体分解吸収性合成高分子の隣接する繊維間に結合点を形成するための処理を施して、所望の形状に成形する。2)その後、成形した繊維状の非生体分解吸収性合成高分子をコラーゲン溶液中に含浸させる。3)次いで、繊維状の非生体分解吸収性合成高分子をコラーゲン溶液中に含浸させた状態で、凍結乾燥を行うなどしてスポンジを形成する。
前記1)において、繊維状の非生体分解吸収性合成高分子は、油脂分を除去するため、例えば、アセトン、エタノール水溶液(好ましくは70%程度のエタノール水溶液)等の溶剤であらかじめ洗浄しておくことが好ましい。
前記2)において、コラーゲン溶液の濃度は、特に制限はないが、0.1〜10重量%とすることが好ましい。また、前記コラーゲン溶液は、例えば通常のホモジナイザー等を用いるなどして充分に発泡させておくことが、得られるコラーゲンスポンジのポアーサイズを最適な範囲にしうる点で好ましい。そのため、前記コラーゲン溶液としては通常は水もしくは水と混合可能な有機溶媒の溶液を用いるが、効果的に発泡させる目的で、該コラーゲン溶液に水と混合しない性質をもつ有機溶媒を添加するようにしてもよい。このような有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;等の1種または2種以上が挙げられる。なお、これら有機溶媒を添加する場合、その効果を充分に発揮させるためには、添加した後の有機溶媒濃度が2重量%以上となるようにすることが好ましい。
前記3)において、凍結乾燥の方法については、常法に従って行なえばよく、例えば、凍結の際の温度は−4〜−196℃とすればよい。
本発明の足場材料において、前記繊維状の非生体分解吸収性合成高分子は、その隣接する繊維間に結合点を有していることが好ましい。これにより、非生体分解吸収性合成高分子繊維の強度を補強することができ、得られる足場材料により高い力学的強度を付与し、その結果、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能をより向上させることができるのである。
前記繊維状の非生体分解吸収性合成高分子の隣接する繊維間に結合点を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、i)前記繊維状の非生体分解吸収性合成高分子に、該繊維状で用いる非生体分解吸収性合成高分子よりも融点が低い非生体分解吸収性合成高分子(以下「低融点高分子」と称す。)をコーティングした後、コーティングされた低融点高分子のみが融解するような条件で熱処理する方法、ii)前記繊維状の非生体分解吸収性合成高分子の繊維表面のみが僅かに融解するような条件で熱処理する方法、などを採用すればよい。前記i)の方法では融解した低融点高分子が、前記ii)の方法では繊維表面で融解した非生体分解吸収性合成高分子が、熱処理後、常温に戻る際に繊維の交点にて凝固し、隣接する繊維間に結合点が形成されることとなる。
前記i)の方法における低融点高分子の具体例としては、例えば、前記繊維状の非生体分解吸収性合成高分子がポリエでチレンテレフタレートである場合にはポリスチレンが好ましく用いられる。前記i)の方法において低融点高分子をコーティングするには、例えば、該低融点高分子を例えばクロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン等の溶媒に溶解させた溶液とし、該溶液を噴霧器等を用いて繊維の表面にスプレーした後、凍結乾燥するなどして前記溶媒を除去するようにすればよい。前記i)の方法における低融点高分子のコーティング量は、繊維状の非生体分解吸収性合成高分子に対して0.1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。また、前記i)の方法において熱処理する際の条件は、前記低融点高分子の融点と繊維状の非生体分解吸収性合成高分子の融点に応じて適宜設定すればよく、特に制限はされないが、例えば、0.1〜0.5トール未満の真空下、160〜250℃で5〜60分間とすればよい。
前記ii)の方法において熱処理する際の条件は、繊維状の非生体分解吸収性合成高分子の融点よりもやや低い温度で短時間加熱するようにすればよく、繊維状の非生体分解吸収性合成高分子の種類に応じて適宜設定すればよい。具体的には、例えば、前記繊維状の非生体分解吸収性合成高分子がポリエでチレンテレフタレートである場合には150〜250℃で30分間程度とすればよい。
本発明の足場材料において、前記コラーゲンからなるスポンジは、架橋が施されていることが好ましい。これにより、さらに高い力学的強度を得ることができ、その結果、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能をより向上させることができるのである。
前記コラーゲンからなるスポンジに架橋を施す方法としては、特に制限されないが、例えば、前記3)における凍結乾燥で得られたスポンジに、続いて、化学架橋法、真空下での熱脱水架橋法、紫外線照射による架橋法、X線、γ線、α線、電子線などの放射線照射による架橋法など従来公知の架橋方法の1つもしくは2つ以上を施せばよい。具体的には、化学架橋を行なう場合には、グルタルアルデヒド等の架橋剤を用いればよく、真空下で熱脱水架橋させる場合には、100〜150℃で2〜120時間程度の条件で行なえばよく、紫外線照射による場合には、例えば254nmの紫外線を1分〜24時間程度照射すればよく、電子線照射による場合には、例えば10〜500kGy、好ましくは50〜200kGyの照射線量とすればよい。
本発明の足場材料を細胞培養に用いる際には、例えば、細胞および培地からなる細胞懸濁液を足場材料に滴下する方法、細胞および培地からなる細胞懸濁液と足場材料とを遠沈管に入れて振とうする方法など公知の方法によって、本発明の足場材料に細胞を播種する必要があるが、このとき、できるだけ効率良く細胞を播種することが、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能などの向上に繋がる。この点を考慮すると、本発明の足場材料は、ウェル底面にメンブレンフィルターを備えたインサート(市販品では、例えば、ベクトン・ディツキンソン・アンド・カンパニー社製「セルカルチャーインサート」等)と組み合わせて用いることが好ましい。例えば、従来のコラーゲンスポンジをこれと組み合わせても、スポンジに収縮が生じ易いために細胞懸濁液がスポンジの内部にまで届きにくく、その結果、細胞が播種されにくくなり、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能などの向上効果はそれほど期待できないが、本発明の足場材料と組み合わせると、細胞接着性、細胞増殖性および細胞分化誘導能などが著しく向上することになる。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
繊維径12μmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布3mg分を切り出し、ピンセットで均一にほぐして繊維状にし、ポリスチレン製鋳型(15.5mmφ、17.3mmH、24穴マイクロプレート、旭テクノグラス社製)の中に入れた。次いで、該鋳型に豚腱由来可溶化コラーゲン2.25mgを含む0.3重量%コラーゲン溶液0.75mLを添加した。次いで、該鋳型の内容物を−80℃で12時間凍結した後、0.1トール未満の真空下で24時間凍結乾燥を行い、スポンジを形成させた。次いで、得られたスポンジに140℃、0.1トール未満の真空下で12時間熱脱水架橋を施し、その後、さらに、紫外線照射装置(「SPECTROLINKER XL−1500」TOMY SEIKO製、254nm、15W×6)を用いてスポンジの上下両面から10分間ずつ紫外線を照射(片面につき3000×100μJ/cm)し、ポリエチレンテレフタレート/コラーゲン=1.3(重量比)である本発明の足場材料を得た。
〔実施例2〕
繊維径22μmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布3mg分を用いるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート/コラーゲン=1.3(重量比)である本発明の足場材料を得た。
〔実施例3〕
繊維径42μmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布3mg分を用いるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート/コラーゲン=1.3(重量比)である本発明の足場材料を得た。
〔実施例4〕
繊維径22μmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布1.5mg分を用いるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート/コラーゲン=2.6(重量比)である本発明の足場材料を得た。
〔実施例5〕
繊維径22μmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布6mg分を用いるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート/コラーゲン=0.65(重量比)である本発明の足場材料を得た。
〔比較例1〕
実施例1と同様のポリスチレン製鋳型に、豚腱由来可溶化コラーゲン2.25mgを含む0.3重量%コラーゲン溶液0.75mLを添加した。次いで、該鋳型の内容物を−80℃で12時間凍結した後、0.1トール未満の真空下で24時間凍結乾燥を行い、スポンジを形成させた。次いで、得られたスポンジに140℃、0.1トール未満の真空下で12時間熱脱水架橋を施し、その後、さらに、紫外線照射装置(「SPECTROLINKER XL−1500」TOMY SEIKO製、254nm、15W×6)を用いてスポンジの上下両面から10分間ずつ紫外線を照射(片面につき3000×100μJ/cm)し、ポリエチレンテレフタレート/コラーゲン=0(重量比)である可溶化コラーゲンのみからなる足場材料を得た。
以上の実施例および比較例で得られた足場材料を用いて下記の評価を行なった。
<走査型電子顕微鏡による観察>
実施例2、実施例4、実施例5、および比較例1で得られた各足場材料の断面を走査型電子顕微鏡(「S−2380N」日立社製)を用いて観察した。各断面写真を図1にそれぞれ示す。
図1から、本発明の足場材料(実施例2、実施例4、実施例5)には、ポリエチレンテレフタレート繊維が認められ、しかも、ポリエチレンテレフタレート繊維の有無に関わらずポアサイズに差はないことが判る。
<収縮試験>
実施例1〜5および比較例1で得られた各足場材料をα−MEM培地(10%FCS含む)に7日間浸漬させ、浸漬後の各足場材料の直径を測定した。なお、浸漬前の各足場材料の直径はいずれも15.5mmであった。結果を図2に示す。
図2の結果から、ポリエチレンテレフタレート繊維を組み込むことで、収縮が抑制されることが判る。また、ポリエチレンテレフタレート繊維の繊維径が細いほど、ポリエチレンテレフタレート繊維の繊維の量が多いほど、収縮抑制効果が大きいことが判る。
<圧縮試験>
実施例1〜5、および比較例1で得られた各足場材料について、圧縮試験機(「オートグラフAGS−10kND」島津製作所製)を用い、ロードセルの速さは1mm/分とし、高さの50%を圧縮したときの応力−ひずみ曲線を得、該曲線から初期圧縮弾性率(kPa)を求めた。結果を図3に示す。
図3の結果から、ポリエチレンテレフタレート繊維を組み込むことで、圧縮に対する抵抗性が増大することが判る。
<細胞接着性試験>
実施例2、実施例4、実施例5、および比較例1で得られた各足場材料を直径15mm×高さ3mmの円柱状にし、これを70%エタノール水溶液中に3分間浸漬したのち、α−MEM培地(10%FBS含む)に3回浸漬させた。該培地を除去したのち、各足場材料を培養プレートに入れ、その中にMC3T3−E1骨芽細胞(2×10cells/mL)を含むα−MEM培地(10%FBS含む)0.5mLを加えて37℃でインキュベートした。そして、6時間後に細胞のDNAを定量することにより、初期接着細胞数を測定した。結果を図4に示す。
図4の結果から、ポリエチレンテレフタレート繊維を組み込んでも、細胞接着性は阻害されることなく、むしろ細胞接着性は格段に向上することが判る。これは、ポリエチレンテレフタレート繊維を組み込むことによりスポンジの力学的強度が改良された結果、細胞培養においてもスポンジ内部のポーラス構造が維持されることとなり、細胞がより材料内部に侵入しやすくなったためであると考えられる。
〔参考例〕
繊維径12μmのポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(面密度0.08g/cm)と、繊維径12μmのポリグリコール酸繊維からなる不織布(面密度0.08g/cm)とを用いて、ラット骨髄から単離した未分化間葉系幹細胞を増殖させた。すなわち、各不織布へそれぞれ1×10個の細胞を播種し、スピナーフラスコで旋回培養を行ない、3週間後の細胞数を調べた。なお、細胞数は、各不織布を細切したのち、lysis溶液にて細胞を溶解させ、DNAを定量することにより行なった。
上記の結果、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布では細胞数は4×10個となっていたのに対して、ポリグリコール酸繊維からなる不織布では細胞数は2.5×10個であった。また、培養後の培養液の色調を目視で観察したところ、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布を用いた培養液は無色に近いのに対して、ポリグリコール酸繊維からなる不織布を用いた培養液は強い黄色の着色が認められた。この黄色の着色は、生体分解吸収性合成高分子であるポリグリコール酸繊維が培養中に分解してグリコール酸を産出し、培養液のpHが低下したためであると推測される。これらのことから、生体分解吸収性合成高分子であるポリグリコール酸繊維がもたらす培養液のpH低下が細胞の増殖に悪影響を及ぼすことが明らかであると言える。
本発明にかかる足場材料は、例えば、未分化間葉系幹細胞、前駆細胞、芽細胞、成熟分化細胞等の各種細胞を増殖したり、これら各種細胞を例えば、骨、軟骨、筋肉、心筋、脂肪、神経等へ分化させる能力を高めたり、これらの評価・分析を行なうなど、in−vitroで行なうあらゆる細胞培養の用途において好適に使用することができる。
実施例2、実施例4、実施例5および比較例1で得られた各足場材料の断面を走査型電子顕微鏡で観察したときの各断面写真である。 実施例1〜5および比較例1で得られた各足場材料についての収縮試験の結果を示すグラフである。 実施例1〜5、および比較例1で得られた各足場材料についての圧縮試験の結果を示すグラフである。 実施例2、実施例4、実施例5および比較例1で得られた各足場材料についての細胞接着性試験の結果を示すグラフである。

Claims (1)

  1. in−vitroで行なう細胞培養に用いる足場材料であって、コラーゲンからなるスポンジ中に非生体分解吸収性合成高分子が繊維状の形態で存在してなる、ことを特徴とする足場材料。
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