JP2008245844A - 組織再生材料およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】イヌ等の比較的大きな哺乳動物の生体内において、細胞レベルからの組織再生を誘導すること。
【解決手段】生分解性ポリマーからなる基材、該基材上に担持された細胞、ならびに該基材および該細胞を被覆する生体組織接着剤を含んでいる組織再生材料を、生体内での組織再建に用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、組織再生材料およびその利用に関するものであり、より詳細には、哺乳動物の生体内での組織再生を可能にする組織再生材料およびその利用に関するものである。
欠損/損傷した組織を補うために、古くから組織移植が行われている。しかし、自己修復能が低い軟骨組織は一旦損傷すると治癒しにくい上に、損傷した軟骨組織を補うために必要な天然の軟骨組織を確保することは困難である。そこで、従来の組織移植に置き換わり、細胞工学を駆使して生体内で移植組織を生成する新技術として、組織再生が期待されている。
生分解性ポリマーと細胞を複合体化して得たポリマー/細胞複合体から新生組織を再生誘導するという新しい概念は、1988年、Vacantiらによりtissue engineeringとして提唱された(非特許文献1参照)。このtissue engineering法は、組織再建時において、ドナーの犠牲を生ずることなく再建材料を確保できる点で画期的であり、種々の機能不全および組織欠損に対する革新的外科的治療として、現在、再建外科領域において広く注目されている。
すでに種々の再生組織(皮膚、血管壁、角膜、関節軟骨など)がtissue engineeringの技術を用いて臨床応用されている。これらの再生組織の共通点は、播種細胞に十分な酸素および栄養を供給し得る薄い二次元の組織構造を有していることである。ヒト耳介形状軟骨の再生誘導では、同様の薄い組織の再生技術のみではなく、さらに三次元形状を有する軟骨組織の再生技術が要求される。
三次元形状を有する再生誘導法として、これまで、種々の足場(細胞外マトリックス、生分解性ポリマーなど)上にて軟骨細胞を培養し、得られたマトリクス/細胞複合体を体内に移植して軟骨組織を再生する方法が試みられてきた。再生した軟骨は元々の軟骨組織と比較して、形態学的、生化学的、力学的にも、十分であった。しかし、体内で立体的に存在している軟骨組織を培養によって再生するには、三次元培養が必要である。
薄くて複雑な三次元形態を特徴とする耳介軟骨の再生誘導が進み、近年、ヌードマウスなどの小動物を用いた実験的研究を中心とした報告がなされてきた。例えば、Caoらはヒト耳介の三次元形態を有する生分解性ポリマーに培養関節軟骨細胞を播種した後、細胞/ポリマー複合体をヌードマウス皮下に移植して、in vivo環境下において軟骨再生に成功した(非特許文献2)。また、Kamilらは、in vitroの三次元培養にて、培養関節軟骨細胞と生分解性ポリマーからヒト耳介形状軟骨を再生した(非特許文献3)。さらに、Isogaiらは細胞接着性、伸縮性、物理的強度を考慮した新しい吸収性足場を試用して、これまで困難とされてきたヒト耳介形状軟骨の長期的形態維持を可能とする技術を報告した(非特許文献4)。これらの実験結果から、マウスのような小動物を用いた場合、臨床的に必要な大きさと複雑な三次元形態を有するヒト耳介形状軟骨の再生誘導は十分可能となった。
Vacanti JP et al., J Pediatr Surg 23: 3-9 (1988) Cao Y et al., Plast Reconstr Surge 100: 297-302 (1997) Kamil SH et al., Laryngoscope 113: 90-94 (2003) Isogai N et al., Tissue Eng. 10(5-6):673-87 (2004) Jen AC et al., Human Press Inc: 133-140 (1988) Bosch PおよびBrawn F, Arch Orthop Unfall Chir 90: 63-75 (1977)
組織再生の研究において、マウス、ラットのような比較的小さな動物、犬、ウサギ、モルモットのような比較的大きな動物、ブタ、ヤギ、馬、羊のような大動物が実験動物として使用されている。
上述したように、組織再生では、(1)播種細胞に十分な酸素および栄養を供給し得ること、および(2)ポリマーに対する炎症反応や異物反応がないことが、重要である。ヌードマウスなどの小動物を用いたヒト耳介形状軟骨の再現性は極めて高い理由は、播種細胞から新生組織を再生誘導する際、ヌードマウスの皮下で供給される組織環境(組織液の量および組成、温度、pH)が、豊富な皮下血管網を有する至適なバイオリアクターであり、種々の至適条件を満たしているからであると考えられる。
しかしながら、立体組織環境は、年齢、部位、個体差、種などにより異なっている。特に、大動物または比較的大きな動物では、小動物とは異なる免疫系を有していることが知られている。大動物または比較的大きな動物へポリマー/細胞複合体を移植して生体内での組織再生を誘導するためには、大動物または比較的大きな動物の免疫系を至適に調節することが必須となる。しかし、大動物または比較的大きな動物の免疫系を調節して生体内での新生組織再生を誘導するための具体的な方法は未だ開発されていない。
このように、特定の形状を有する軟骨組織を細胞レベルから再生誘導することに成功したという報告は、上述したマウスのような小さな動物に限られており、イヌ等の比較的大きな動物、大動物またはヒトの生体内において成功した報告は、未だ認められない。このため、今後、組織再生技術をヒト〜大動物レベルへ臨床応用するためには、組織環境についての詳細な検討および再生誘導法における基本技術の開発が不可欠であると考えられる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、イヌ等の比較的大きな哺乳動物の生体内において、細胞レベルから組織再生を誘導する技術を提供することにある。
新生軟骨組織の再生誘導では、細胞増殖の足場となるタンパク質(細胞外マトリクス)が必須となる。これまでの細胞外マトリクスの基盤研究から、細胞外マトリクスの種類および濃度が、細胞周期全体に影響し、細胞の増殖および/または分化の過程を変化させることが報告されている。また、細胞外マトリクスは、細胞接着が良好で、接着後、細胞本来の特異的機能が維持され得る生体適合物質により代用が可能であることが知られており(非特許文献5参照)、近年、コラーゲン等の細胞外マトリクスが活用されている。
本発明者らは、組織再生材料を構成する際に、細胞増殖の足場として生分解性ポリマーを選択した。これに特定の細胞を播種させて作製した複合体に、組織環境を調節するタンパク質を組み合わせることにより、イヌ等の比較的大きな哺乳動物の生体内において新生組織の再生誘導を可能とし得る組織再生材料を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る組織再生材料は、生分解性ポリマーからなる基材、該基材上に担持された細胞、ならびに該基材および該細胞を被覆する生体組織接着剤を含んでいることを特徴としている。
本発明に係る組織再生材料において、上記生体組織接着剤はフィブリンのりであることが好ましい。
本発明に係る組織再生材料において、上記生分解性ポリマーはPGA、PCLおよびPLLAならびにこれらの共重合体からなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る組織再生材料は、骨、軟骨および腱組織からなる群より選択される組織の再生に用いられることが好ましい。
本発明に係る組織再生材料は、軟骨組織の再生に用いられることがより好ましく、その場合、上記細胞は軟骨組織由来または間葉系幹細胞由来であることが好ましい。
本発明に係る組織再生材料は、比較的大きな動物の生体内において細胞からの組織再生を誘導するために用いられることが好ましい。
本発明に係る組織再生材料を製造するためのキットは、生分解性ポリマーおよび生体組織接着剤を備えていることを特徴としている。なお、本キットは、組織再建用キットとして用いられてもよい。
本発明に係る組織再生材料の製造方法は、生分解性ポリマーからなる基材上に特定細胞を播種する工程、および基材上に播種された細胞および基材の複合体の全体を生体組織接着剤で被覆する工程を包含することを特徴としている。
本発明に係る組織再生材料の製造方法において、上記生体組織接着剤はフィブリンのりであることが好ましい。
本発明に係る組織再生材料の製造方法において、上記生分解性ポリマーはPGA、PCLおよびPLLAならびにこれらの共重合体からなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る組織再生材料の製造方法は、骨、軟骨および腱組織からなる群より選択される組織の再生に用いられることが好ましく、軟骨組織の再建用の組織再生材料を製造するために用いられることがより好ましい。その場合、上記細胞は軟骨組織由来または間葉系幹細胞由来であることが好ましい。
本発明に係る組織再建用キットは、上記の組織再生材料を備えていてもよい。
本発明に係る組織再建用キットは、比較的大きな動物の生体内において細胞からの組織再生を誘導するために用いられることが好ましい。
本発明に係る再建用組織の製造方法は、上記の組織再生材料を哺乳動物に移植する工程を包含することを特徴としている。
本発明に係る再建用組織の製造方法において、上記哺乳動物はマウス、ラット、イヌ、ウサギ、モルモット、ブタ、ヤギ、ウマ、ヒツジおよびヒトからなる群より選択されることが好ましく、イヌまたはヒトであることがより好ましい。
本発明に係る再建用組織の製造方法において、上記移植する工程における移植部位は、特に限定されないが、上記哺乳動物の皮下、筋膜間または筋膜下であってもよい。
本発明を用いれば、イヌ等の比較的大きな哺乳動物であっても、その生体内で組織を再生させることができ、再建用の組織を生体内で生成させることができる。
本発明者らは、これまでにヌードマウスで成功した技術がイヌ等の比較的大きな動物において再現可能であるかを検証した。しかし、大動物〜比較的大きな動物では、生分解性ポリマー/細胞複合体を移植しても再生組織が誘導されないばかりか、移植片自体も消失していた。さらに、移植部位には多数の炎症性細胞(主にマクロファージ)が出現していた。これらのことは、上記動物の生体内では、組織再生に重要な組織環境が整っていないこと、特に、移植片に対する強い免疫拒絶反応が生じるということを強く示唆している。
このように、大動物または比較的大きな動物の生体内での組織再生、特に、細胞レベルからの新生組織を再生誘導することは、これまで極めて困難であった。しかし、本発明者らは、このような動物の生体内での組織再生を円滑に誘導し得る技術を見出し、本発明を完成するに至った。
〔1.組織再生材料〕
本発明は、生分解性ポリマーからなる基材、基材上に担持された細胞、ならびに該基材および該細胞を被覆する生体組織接着剤を含んでなる組織再生材料を提供する。このような構成を有することにより、本発明に係る組織再生材料は、ヌードマウスのような小動物だけでなくイヌ等の比較的大きな動物においても、生体内で細胞レベルからの組織再生を誘導し得る。
本明細書において用いられる場合、「(生体組織接着剤が)基材および細胞を被覆する」は、細胞が生体組織接着剤によって被覆されかつ該細胞を担持している部分の基材もまた生体組織接着剤によって被覆されている態様が意図される。なお、本発明に係る組織再生材料において、生体組織接着剤は、基材上に担持された全細胞や基材全体を被覆していることが必要である。すなわち、本発明に係る組織再生材料は、基材上に担持された全細胞が生体組織接着剤によって被覆されており、基材全体もまた生体組織接着剤によって被覆されている態様であればよい。
なお、実施例において示すように、生分解性ポリマーからなる基材、または当該基材上に細胞を担持させたが生体組織接着剤での被覆を行わなかった複合体をイヌに移植した場合は、いずれの移植片も消失した。一方、生分解性ポリマーからなる基材および基材上に担持された細胞の全てを生体組織接着剤が被覆している組織再生材料をイヌに移植した場合は、生体内で細胞レベルからの組織再生を誘導し得た。このことより、本発明に係る組織再生材料は、基材および細胞の全てが生体組織接着剤によって被覆されている態様であれば、調製した基材、細胞の全てを効率よく移植/再生に供することができるというさらなる利点を有する。
本明細書中において使用される場合、生体組織接着剤は、止血の補助や、各種手術における組織同士の接着に用いられる物質として意図される。フィブリノゲンとトロンビンとを混合してのり状にした「フィブリンのり」は、上記機能以外に、抗がん剤の担体として利用されており、いずれ場合においても良好な結果を示すことが知られている(非特許文献6等参照)。
上述したように、本発明に係る組織再生材料は、イヌ等の比較的大きな動物またはヒトの生体内において軟骨組織を細胞レベルから再生誘導する技術を用いる。従来なし得なかった組織の再生誘導が本技術によって可能となった。本発明に係る組織再生材料においては、生体組織接着剤が免疫系細胞の組織再生材料への浸潤を抑制する機序が推察される。しかし、これまでに、生体組織接着剤が「接着剤、止血補助剤」としての用途以外に利用可能であることは全く知られておらず、免疫系細胞の浸潤を抑制し得ることは予測し得なかった。
このように、本発明に係る組織再生材料は、(イヌ等の)比較的大きな動物の生体内において細胞レベルからの組織再生を誘導するという用途を有し得る。
本発明に適用可能な生体組織接着剤としては、コスト面および安全面から、市販のヒト由来フィブリンのり(ボルヒール(化血研、熊本)、フィブラスト(ヘキスト、ドイツ)など)が挙げられるが、これらに限定されない。また、フィブリンのりは、必要に応じて、自家フィブリノゲンとトロンビンとを混合して調製してもよい。
本発明に係る組織再生材料に用いられる基材は、生分解性ポリマーからなることを特徴としているが、生分解性ポリマー以外に、生体適合性を有しかつ生分解性である物質が含まれていてもよい。特に、三次元構造を有する基材を用いる場合、基材を作製する際に用いる物質が残存していてもよい。
本明細書中で用いられる場合、「生体適合性」は、生体に対して炎症反応や異物反応を生じず、無害であることが意図され、「生分解性」は、生理学的条件下で体内に吸収されることが意図され、好ましくは加水分解により分解し得ることが意図される。
本明細書中で用いられる場合、「生分解性ポリマー」は、生分解性を有する高分子が意図され、天然物であっても合成物であってもよい。本発明に適用可能な生分解性ポリマーとしては、当該分野において公知の種々の生分解性ポリマー(例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)、ポリ−L−乳酸(PLLA)およびこれらの共重合体(例えば、ポリ乳酸−ポリカプロラクトン共重合体(P(LA/CL))、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体など)、ポリリンゴ酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートなどの生分解性脂肪族ポリエステル、ポリブチレンカーボネート、ポリエチレンカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネート、セルロース、ポリアルギンなどの多糖類)が挙げられるがこれらに限定されない。なお、本発明に用いる生分解性ポリマーとしては、軟骨再生の観点からはPGA、P(LA/CL)共重合体が好ましく、骨再生の観点からはP(LA/CL)共重合体が好ましい。
なお、PCLとPLLAとの共重合体(コポリマー)を用いる場合、PCLとPLLAとの重量比は、99:1〜1:99が好ましく、75:25〜25:75がより好ましく、50:50がさらに好ましい。
なお、生分解性ポリマーからなる基材は、市販品であっても適宜作製されてもよい。当業者は、当該分野の周知技術に従えば、上述したような生分解性ポリマーを用いて所望の形態の基材を容易に作製することができる。
上述したような構成を有する本発明に係る組織再生材料を用いる再生に好ましい組織としては、組織移植を選択するには供給源が乏しい組織や、公知のtissue engineeringでは構築が困難な三次元構造を必要とする組織が挙げられ、具体的には、軟骨、骨および腱組織が挙げられるが、これらに限定されない。
軟骨組織は、自己修復能が低く、一旦損傷すると治癒しにくい。さらに、損傷した軟骨組織を補うために必要な天然の軟骨組織を確保するには限界がある。このような観点から、本発明を適用する対象として選択される組織として、軟骨組織は非常に好ましいと考えられる。
本発明に係る組織再生材料を軟骨組織の再生に適用する場合、形成・再建外科領域における外科治療であっても美容外科領域における治療であってもよい。治療の視点から本発明を用いる場合、本発明の適用可能な疾患としては、小耳症、外鼻欠損、眼瞼欠損、関節リウマチ、変形性関節症、軟骨損傷、離断性骨軟骨炎などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、本発明が軟骨欠損に起因する疾患全般に適用可能であることを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。美容の観点で本発明を用いる場合、本発明の適用対象としては、隆鼻術、顔面変形に対する矯正などが挙げられるが、これらに限定されない。
軟骨組織を再生するために用いられる軟骨細胞としては、軟骨組織から単離した軟骨細胞、または間葉系幹細胞から分化させた軟骨細胞が挙げられ、本明細書中で用いられる場合、前者を軟骨組織由来の細胞、後者を間葉系幹細胞由来の細胞と称する。間葉系幹細胞は、骨、軟骨、脂肪、筋肉細胞などの間葉系組織を再生し得る細胞であり、骨髄、血液、脂肪、筋肉および骨膜に見出される。当業者は、これらの細胞を周知の技術を用いて生体から調製することができる。例えば、軟骨細胞を生体組織から調製する場合は、生体の軟骨組織中の細胞外マトリックスを分解するために、組織を酵素(例えば、コラゲナーゼ、プロテイナーゼ、トリプシン等)で処理し、次いで、血清培地中に懸濁し、遠心分離によって軟骨細胞を単離すればよい。単離した軟骨細胞は、本発明に係る組織再生材料を製造するために使用されるまで、公知の手順に従って培養されればよい。軟骨細胞に分化し得る間葉系幹細胞は、例えば、骨髄抽出液を密度勾配遠心分離によって単離され得る。なお、軟骨細胞は、初代培養細胞であっても、予め増殖させた継代細胞であってもよい。
なお、基材上に担持させるための細胞の播種は、当該分野における種々の公知技術に従って行われればよく、本発明に係る組織再生材料において、基材上に担持されている細胞数は、基材の表面積1cmあたり約1×10〜1×10個であることが好ましく、約5×10個であることが最も好ましい。
このように、軟骨組織への適用を例に挙げて本発明を説明したが、本発明の適用はこれに限定されず、当業者は、本発明が適用可能な組織、ならびに該組織を再生するに必要な細胞およびその調製方法を容易に理解し得る。
〔2.組織再生材料の製造方法および製造キット〕
本発明は、上述した組織再生材料を製造する方法を提供する。本発明に係る製造方法は、生分解性ポリマーからなる基材上に細胞を播種する工程、および基材上に播種された細胞と基材とを生体組織接着剤で被覆する工程を包含することを特徴としている。このような構成を有する製造方法によって製造された組織再生材料は、ヌードマウスのような小動物だけでなくイヌ等の比較的大きな動物においても、生体内で細胞レベルからの組織再生を誘導し得る。
本発明に係る製造方法において、基材上に細胞を播種する工程は、当該分野における種々の公知技術に従って行われればよく、好ましくは、担持させる細胞を懸濁した細胞懸濁液を基材上にピペッティングすることによってなされる。また、本発明に係る製造方法において、基材上に播種された細胞と基材とを生体組織接着剤で被覆する工程は、当該分野における種々の公知技術に従って行われればよく、好ましくは、生体組織接着剤の噴霧によってなされる。なお、生体組織接着剤の噴霧には、当該分野において公知の低圧スプレー装置が用いられればよく、噴霧(塗布)する溶液の濃度は、0.01〜1.0ml/cmであることが好ましく、0.1〜0.5ml/cmであることがより好ましく、約0.3ml/cmであることがさらに好ましい。
本発明に係る製造方法において、生分解性ポリマーからなる基材は、市販品であっても適宜作製されてもよい。当業者は、当該分野の周知技術に従えば、上述したような生分解性ポリマーを用いて所望の形態の基材を容易に作製することができる。また、本明細書を読めば、本発明に係る製造方法においてどのような生分解性ポリマー、生体組織接着剤または細胞が用いられるべきであるのかを、当業者は容易に理解する。
本発明はまた、上述した組織再生材料の製造に用いるキットを提供する。本明細書中で使用される場合、「キット」は各成分が別物質中(例えば、異なる複数の容器中)に含有されている形態であることが意図される。
本発明に係る製造キットは、生分解性ポリマーおよび生体組織接着剤を備えていることを特徴としている。このような構成を有する製造キットを、目的の組織再生に必要な細胞とともに用いて製造された組織再生材料は、ヌードマウスのような小動物だけでなくイヌ等の比較的大きな動物においても、生体内で細胞レベルからの組織再生を誘導し得る。なお、本発明に係る製造キットは、目的の組織再生に必要な細胞をさらに備えていることが好ましい。
本発明に係る製造キットは、前述した生分解性ポリマー、生体組織接着剤および細胞が備えられていればよく、組織再生材料を製造するための手順は、前述した製造方法に従えばよい。
〔3.再建用組織を製造する方法〕
本発明はまた、再建用組織を製造する方法を提供する。本発明に係る再建用組織の製造方法は、上述した組織再生材料を哺乳動物に移植する工程を包含することを特徴としている。本明細書中で使用される場合、「哺乳動物」は特に限定されないが、本発明を実施するにあたり、マウス、ラット、イヌ、ウサギ、モルモット、ブタ、ヤギ、ウマ、ヒツジおよびヒトからなる群より選択されることが好ましく、イヌまたはヒトであることがより好ましい。
本発明に係る再建用組織の製造方法において、上記移植する工程における移植部位は、哺乳動物の皮下、筋膜間および筋膜下のいずれであってもよい。従来の移植片を用いた技術では、移植部位が限定されていたが、本発明に係る再建用組織の製造方法は、組織再生材料を移植する部位が限定されないという利点を有している。すなわち、組織再生材料の移植が容易な部位で組織を再建させた後に、製造された再建用組織自体を目的の部位に移植してもよく、製造された再建用組織自体を移植することが困難な箇所には、目的の部位に組織再生材料を移植して、その部位で組織を再建させればよい。
〔4.組織再建用キット〕
本発明はさらに、組織再生用キットを提供する。一実施形態において、本発明に係る組織再生用キットは、上述した製造キットであり得る。具体的には、本実施形態に係る組織再生用キットは、生分解性ポリマーおよび生体組織接着剤を備えていることを特徴としており、目的の組織再生に必要な細胞をさらに備えていることが好ましい。また、別の実施形態において、上述した組織再生材料を備えているキットであり得る。
本発明に係る組織再生用キットを用いれば、上述した再建用組織の製造方法を効率よく行うことができる。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、請求項および上記実施形態に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
〔1.手順〕
〔動物〕
イヌ(ビーグル、4週齢、雌、浜口動物、兵庫、12頭)を実験に用いた。この動物を、個別ゲージ内で室温23℃、湿度50%、12時間明暗サイクルの条件下で飼育した。飼育繁殖固形飼料CD55α(日本クレア株式会社、東京)を1日1回約300g給餌し、飲料用水を制限することなく与えた。
〔軟骨細胞の採取〕
塩酸ケタミン(ケタラール(登録商標)、15mg/kg、三共株式会社、東京)およびキシラジン塩酸塩(セラクタール、0.1mg/kg、バイエルメディカル株式会社、東京)を1:1で混和したものを大腿部に筋肉注射して、睡眠導入した。次に、剃毛後、ポピドンヨードで消毒し、イヌ耳介を基部で切断した。耳介から皮膚、皮下組織、筋肉、軟骨膜を除去し、耳介軟骨を無菌的に採取した。切断部は、4−0ナイロン糸で閉創した。Klagsburn M, Meth Enzymol 58: 560-564 (1979)に記載の方法に従って、採取軟骨を、5×5mmの大きさに細切し、0.3%コラゲネース(collagenase type II, Worthington, Lakewood, NJ)にて酵素処理(37℃、12時間)した。ナイロンメッシュ(ポアサイズ300μm)にてろ過した後、10%FBSを含むF−12培養液(Ham’s F-12, Gibco, Grand Island, NY)を加えて酵素反応を停止させた。細胞浮遊液は、Ca2+、Mg2+不含リン酸緩衝液(10×PBS(−)、Dulbecco’s phosphate-buffered saline, Gibco, Grand Island, NY)を用いて3回洗浄/遠心(4℃、2,000rpm、10分)した。細胞数は、色素排除法に順じて、0.4%トリパンブルー液(Gibco, Grand Island, NY)を用いて染色した後、倒立顕微鏡(Model TMS, Nikon, 東京)を用いて血球計算盤上の細胞数を算定した。
〔生分解性ポリマーの作製〕
シート形状を有する生分解性ポリマーとして、PGA(Neoveil, Gunze, Kyoto, Japan)を用いた。ヒト耳介形状を有する三次元生分解性ポリマーを、以下の手順に従って作製した。
予め作製したヒト耳介の鋳型(1歳女児より採型、32×20mm)に、ポリマー溶液(5 % (w/w) 1,4-diaxaneおよびpoly L-lactide (PLLA)/poly ε-caprolactone (PCL), P(LA/CL 50:50))を泡立てないように駒込ピペットにて注入した。溶液を注入した鋳型を−40℃の冷凍庫へ移し、1時間静置した。ポリマーを鋳型より取り出し、40Pa、−40℃、12時間の条件下にて凍結乾燥(TF10−80ATA、宝製作所、東京)処理した。最後に、真空乾燥(60℃、12時間)にてモノマーおよび溶媒の除去を行い、ヒト耳介形状を有する三次元生分解性ポリマー(P(LA/CL50:50)を作製した。生分解性ポリマーの分子量は367,000、内部はスポンジ構造で、気孔径は50〜100μm、空隙率は95%、生体内での分解速度が4〜6ヶ月となるように調整した。
〔生分解性ポリマーへの軟骨細胞播種〕
生分解性ポリマーに、イヌ耳介軟骨細胞を播種し、生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体を作製した。播種濃度を50×10個/mlに調節した軟骨細胞を、ピペットにて生分解性ポリマーに播種した。生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体を、インキュベーター内(37℃、5%CO)に4時間静置して、軟骨細胞をポリマー表面に接着させた。その後、調製培地(F−12、10%FBS、アスコルビン酸50μg/ml、ペニシリン100単位/ml)を添加した。
〔生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体へのフィブリン付加〕
フィブリン(ボルヒール、化学及血清療法研究所、熊本)は、ヒト血液凝固第VIII因子(75単位)を含んだヒトのフィブリノゲン(80mg)および、ウシのトロンビン(250単位)、アブロチニン溶液(1000 KIE/ml)ならびに塩化カルシウム溶液(40mM/ml)から構成されている。
まず、フィブリノゲンをアブロチニン溶液で溶解して、フィブリノゲン溶液を作製した。次に、トロンビンを塩化カルシウム溶液で溶解し、さらに、PBS(−)液を加えて希釈した低濃度トロンビン溶液(12.5単位)を作製した。低圧スプレー装置を用いて、生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体の表面全体に0.3ml/cmの濃度にて噴霧した。
〔生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体の移植〕
軟骨採取時と同様の静脈麻酔を行った。頭部を剃毛後、ポピドンヨード(イソジン(登録商標)、明治製薬株式会社、東京)にて消毒し、後頭部に設定した切開線に沿って10万倍希釈エピネフリン添加塩酸リドカイン(エピレナミン含有キシロカイン(登録商標)1%、アストラゼネカ株式会社、大阪)にて局所麻酔を行った。後頭部皮膚切開より頭皮を剥離して、浅側頭筋膜を露出させて生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体を移植した。生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体の移植部位として、(1)皮下(浅側頭筋膜上)への移植群(グループ1)、(2)筋膜間(浅側頭筋膜および深側頭筋膜の間)への移植群(グループ2)、(3)筋膜下(深側頭筋膜の下)への移植群(グループ3)からなる3つの実験群を設定した。生分解性ポリマーに細胞播種を行わない群をコントロールとした。それぞれの複合体を移植した後、4−0ナイロン糸で閉創した。術後10週目に標本採取を行い、移植操作時と同様の方法にて睡眠導入後、1M塩化カリウム液(KCl、20mEq、清水製薬株式会社、静岡)を静脈内注射して屠殺した。
〔組織学的検討〕
組織学的検討を行うため、採取組織を10%中性ホルマリンにて浸漬固定(8時間)し、エタノール系列により脱水した後、パラフィン切片(厚さ4μm)を作製した。切片にはToluidine blue染色を施し、一般的な組織構成および異調染色性(メタクロマジー)について検討した。
移植後10週目の組織学的検討を行うために、移植後10週目に、ポリマー/細胞複合体を摘出し、採取組織を10%中性ホルマリンにて浸漬固定(8時間)し、エタノール系列により脱水した後、パラフィン切片(厚さ4μm)を作製した。切片を、プロテオグリカンを調べるためにsafranin O染色し、弾性線維の有無を確認するためにVerhoeff染色した。また、軟骨膜および軟骨を評価するために、I型コラーゲンおよびII型コラーゲンの免疫染色を行った。
〔RT−PCR〕
1mlのISOGEN(登録商標)(和光純薬、大阪)および採取した組織を入れた培養皿に0.2mlのchloroformを添加し、15秒間攪拌した後室温で3分間静置し、次いで12,000rpm、4℃で15分間遠心分離した。抽出した上層に0.5mlのisopropanolを添加した後室温で10分間静置し、12,000rpm、4℃で15分間遠心分離した。得られた沈殿を1mlの70%エタノールで洗浄し、エタノールを除去した後風乾し、蒸留水(deionaized sterile 0.5M EDTA(pH8.0)、和光純薬、大阪)に溶解した。吸光度計(U−300 Spectrophotomerter、日立、東京)を用い、260nmでの吸光度に基づいて、得られた溶液のRNA濃度を測定した。
RT−PCRには、RT−PCR kit(タカラバイオ株式会社、滋賀)を用いた。抽出したRNA(500ng/μl)1μlに、MgCl(2μl)、10×RT buffer(1μl)、RNase Free dH2O(3.75μl)、dNTP Mixture(1μl)、RNase Inhibitor(0.25μl)、Reverse Transcriptase(0.5μl)、Oligo dT−Adaptor Primer(0.5μl)を添加して、総量10μlに調製した。サーマルサイクラー(T3 thermocycler,Biometra,Goettingen,Germany)の条件を、30℃で10分間、50℃で30分間、95℃で2分間、5℃で5分間を1サイクルに設定して、逆転者反応を行った。次いで、反応液に、5×PCR Buffer(10μl)、滅菌水(28.75μl)、TaKaRa Ex Taq HSTM(0.25μl)、ならびにセンスプライマーおよびアンチセンスプライマー(各20μMを0.5μl)を添加して、総量40μlに調製した。サーマルサイクラーの条件を、PCR初期活性化ステップとして94℃で2分間、さらなる3ステップのサイクリング(変性反応は94℃で30秒間、アニーリング反応は52℃(II型コラーゲンの場合)または62℃(アグリカンまたはGAPDHの場合)で30秒間、伸長反応は72℃で40秒間)を32サイクル、最終伸長反応を72℃で5分間に設定した。使用したプライマーは、北海道システム・サイエンス株式会社(北海道)にて作製した。なお、設計したプライマーの配列は、アグリカンが、センスプライマー:5’−AGGCAACCTCCTAGGCGTGC−3’(配列番号1)、アンチセンスプライマー:5’−CTTCTCGGGCTCCGGGACAA−3’(配列番号2)であり、II型コラーゲンが、センスプライマー:5’−GACATAATCTGTGAAGACATG−3’(配列番号3)、アンチセンスプライマー:5’−GCGCCTTTTTCACCTTTGT−3’(配列番号4)であり、GAPDHが、センスプライマー:5’−CCTGGTCACCAGGGCTGCTT−3’(配列番号5)、アンチセンスプライマー:5’−GGAGCAGAGATGATGACCCTC−3’(配列番号6)である。
PCR産物を、エチジウムブロマイド含有アガロースゲルのウェルに挿入し、100Vにて20分間電気泳動し(Mupidミニゲル泳動槽、アドバンス、東京)、得られたバンドを検出した(Gel Doc 2,000、日本バイオラッド、東京)。
〔2.結果〕
グループ1(生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体の皮下移植群)、グループ2(生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体の筋膜間移植群)、およびグループ3(生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体の筋膜下移植群)について、肉眼所見、組織学的所見およびRT−PCRを用いた遺伝子発現を検討した。
〔肉眼所見〕
グループ1の移植後10週目では、生分解性ポリマーの形状は失われ、わずかな弾性を有する軟骨様組織が再生誘導された。グループ2の移植後10週目では、生分解性ポリマーの形状に沿って、均一な弾性を有する軟骨様組織が再生誘導された。しかし、生分解性ポリマーの辺縁部では、再生組織形状の変形が認められた。一方、グループ3の移植後10週目では、生分解性ポリマーの本来の形状を維持し、弾性に富む軟骨様組織が再生誘導された(図1(a)〜(c))。細胞播種を行わなかったコントロールでは、生分解性ポリマーは完全に吸収された(結果は示さず)。
〔組織学的所見〕
移植後10週目における組織学的所見を検討した。グループ1では、散在する軟骨組織が認められた(図2(a))。一方、グループ2(図2(b))およびグループ3(図2(c))では、再生軟骨は豊富な軟骨基質を有し、軟骨基質内に大小の空隙と空隙内に核を有する細胞を認めた。このことから、再生軟骨は、正常の成熟した軟骨の組織構造に近似する構造を有することが判明した。さらに、再生軟骨の標本の断面中央部分には2核を有する細胞が多く認められる、空隙内に未核のものが存在する、などの所見が認められた。このことから、グループ2および3の再生軟骨は、生分解性ポリマー内部における軟骨細胞の分裂が進行中であり、軟骨組織再生過程の初期段階であることが推察された。また、グループ2に比較して、グループ3の再生軟骨組織の周囲には、より多くの生分解性ポリマーの残存が認められた。
一般に軟骨組織は、軟骨細胞、軟骨基質、およびこれを取り巻く軟骨膜(軟骨膜細胞を含む)から構成される。軟骨細胞は軟骨基質を分泌し、その基質成分は、主にII型コラーゲンおよびアグリカンであることが知られている。また、軟骨膜(軟骨膜細胞)はI型コラーゲンを分泌することが報告されている。そこで、I型コラーゲンおよびII型コラーゲンを用いて免疫染色を行った。結果を図5に示す。図5に示すように、全てのグループにおいて、再生軟骨部位に一致してII型コラーゲンが陽性反応を示した。一方、再生軟骨の軟骨膜部位に一致してI型コラーゲンが陽性反応を示した。
〔RT−PCRを用いた遺伝子発現〕
II型コラーゲンおよびアグリカンのプライマーを用いて、PCRを用いた遺伝子発現を検討した。結果を図6に示す。図6に示すように、II型コラーゲンは、筋膜間に移植したグループ(グループ2)において強い陽性発現を認めた。一方、アグリカンは、筋膜間に移植したグループ(グループ2)および筋膜下に移植したグループ(グループ3)において強い陽性発現を認めた。この結果、移植部位としては、筋膜間が最も再生軟骨の再生に適していることが示唆された。
本発明を用いれば、イヌ等の比較的大きな哺乳動物であっても、その生体内で組織を再生させることができ、再建用の組織を生体内の所望の部位にて生成させることができるので、本発明は、形成・再建外科領域における外科治療であっても美容外科領域における治療に大いに貢献し得る。
本発明の一実施形態に係る組織再生材料(生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体)を、皮下(a)、筋膜間(b)または筋膜下(c)に移植し、組織再生材料を移植10週間後に観察した肉眼所見を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組織再生材料(生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体)を皮下移植し、移植部位を移植10週間後に観察した組織学的所見を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組織再生材料(生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体)を筋膜間移植し、移植部位を移植10週間後に観察した組織学的所見を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組織再生材料(生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体)を筋膜下に移植し、移植部位を移植10週間後に観察した組織学的所見を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組織再生材料(生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体)を皮下、筋膜間または筋膜下に移植し、移植部位を移植10週間目に観察した組織学的所見を示す図である。 本発明の一実施形態に係る組織再生材料(生分解性ポリマー/軟骨細胞の複合体)を皮下、筋膜間または筋膜下に移植し、移植10週間目に回収した移植部位を用いて、II型コラーゲンおよびアグリカンについてRT−PCRを行った結果を示す図である。

Claims (10)

  1. 生分解性ポリマーからなる基材、該基材上に担持された細胞、ならびに該基材および該細胞を被覆する生体組織接着剤を含んでいることを特徴とする組織再生材料。
  2. 前記生体組織接着剤がフィブリンのりであることを特徴とする請求項1に記載の組織再生材料。
  3. 生分解性ポリマーがPGA、PCLおよびPLLAならびにこれらの共重合体からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の組織再生材料。
  4. 骨、軟骨および腱組織からなる群より選択される組織の再生に用いられることを特徴とする請求項1に記載の組織再生材料。
  5. 軟骨組織の再生に用いられることを特徴とする請求項4に記載の組織再生材料。
  6. 前記細胞が、軟骨組織由来または間葉系幹細胞由来であることを特徴とする請求項5に記載の組織再生材料。
  7. 生分解性ポリマーからなる基材上に細胞を播種する工程、および基材上に播種された細胞と基材とを生体組織接着剤で被覆する工程を包含することを特徴とする組織再生材料の製造方法。
  8. 請求項1に記載の組織再生材料を哺乳動物に移植する工程を包含することを特徴とする再建用組織を製造する方法。
  9. 前記哺乳動物がマウス、ラット、イヌ、ウサギ、モルモット、ブタ、ヤギ、ウマ、ヒツジおよびヒトからなる群より選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記移植する工程における移植部位が、前記哺乳動物の皮下、筋膜間または筋膜下であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
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