JP2005226200A - 抄紙方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリオレフィン水性ディスパージョンをパルプ懸濁液に添加して、より高い紙質(紙力強度、サイズ性)向上を可能にする。
【解決手段】 パルプ懸濁液中に(a)ポリオレフィン水性ディスパージョン及び(b)水溶性カチオン系重合体を添加して抄紙する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抄紙方法に関するものである。
近年の製紙業界においては、資源保護及び資源再利用の観点より古紙使用率の増大が、また環境保全の面より環境への工場排水量の削減即ち用水のクローズド化率向上が社会的要請になっており各種取り組みが行われている状況である。一方、紙の抄紙技術の面から見ると、古紙パルプ製造工程で発生する各種夾雑物の抄紙系への流入、用水のクローズド化率向上によるそれら夾雑物の抄紙系内への蓄積が進み、各種薬品の効果が阻害され、低下している。特に、古紙利用率の向上により、抄紙pHが中性化しており、サイズ度の発現が阻害されている。従って、所期のサイズ度を得るために、サイズ剤の添加量を増量する必要があり、結果として紙力強度の低下及び未定着サイズ剤による汚染が顕在化している。即ち、紙に要求される各種紙質特に紙力強度およびサイズ性の維持が困難になってきている。これは印刷用紙等に使用される洋紙及び包装材料に利用される板紙においても起こっており、製紙技術全体の課題となっている。
一方、ポリオレフィン水性ディスパージョンは紙、フィルムの離型剤、フィルムの密着防止剤、紙の滑り向上剤、水性インキ、水性塗料の耐磨耗性向上剤等に使用されており、専ら紙又はフィルムの表面に塗工されてきた。しかし、比較的簡便に実施できる紙の抄紙工程においてポリオレフィン水性ディスパージョンを添加することは実用化されていない。
本発明の課題は古紙利用率向上、用水クローズド化による夾雑物濃度の上昇等、紙力増強剤、サイズ剤等の効果発現が低下する状況下においても、所望の紙力強度、サイズ性の賦与された紙質を有する紙の抄紙方法を提供することである。
前記課題を解決するため、鋭意研究した結果、パルプ懸濁液中に(a)ポリオレフィン水性ディスパージョン及び(b)水溶性カチオン系重合体を添加して抄紙することにより、高い紙質(紙力強度、サイズ性)向上が達成されることを見出した。
すなわち、本発明は、パルプ懸濁液中に(a)ポリオレフィン水性ディスパージョン及び(b)水溶性カチオン系重合体を添加して抄紙することを特徴とする抄紙方法、並びにそれらを添加して抄紙された紙である。
ポリオレフィン水性ディスパージョンと水溶性カチオン系重合体を添加して抄紙することにより、夾雑物が高い濃度で共存する抄紙系においても、高い紙質(紙力強度、サイズ性)の紙を抄造できる。更には、紙に塗工して発現しているポリオレフィン水性ディスパージョンの機能を抄紙時に添加することにより、紙に機能賦与できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、原紙の紙質(紙力強度、サイズ度)を向上するため、パルプ懸濁液中に(a)ポリオレフィン水性ディスパージョン、(b)水溶性カチオン系重合体を添加して抄紙することを特徴とする。
(パルプ懸濁液)
本発明でいうパルプとは、木材、わらなどセルロース成分を含有する材料より分離されるもので、木材パルプが主たるものである。木材より製造されるパルプとして、リグニンを化学的に取り除いた化学パルプ、セミケミカルパルプ、物理的に細分した機械パルプがある。また、回収された古紙を離解した古紙パルプも含まれ、パルプに占める比率が年々上昇している。実際のパルプ懸濁液には上記したパルプ以外に各種の夾雑物が含まれている。それらの内容はパルプの製造工程より同伴混入するもの、古紙の離解工程で発生混入するもの、抄造工程で添加される薬品がパルプに定着されずに懸濁液中に残存するものと多種多様である。更には、それらの夾雑物濃度は用水の循環使用により蓄積高濃度化してゆく。
パルプ懸濁液中のパルプ濃度は0.1〜5.0重量%であり、抄造工程の各工程に応じて変化して行く。
一方、夾雑物は従来無機性のものに注目されていたが、有機性夾雑物のほうが薬品との結合力が強く、大きな影響を及ぼす。その濃度はイオン性夾雑物濃度と全有機性夾雑物濃度に分離して測定することができる。イオン性夾雑物濃度はパルプ懸濁液を濾別後、濾液のコロイド滴定により測定できる。具体的には、パルプ懸濁液中のイオン性夾雑物は負に帯電しているので、一般に正に帯電しているカチオン性ポリマー例えばポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDADMAC)を滴定液に使用し、コロイド滴定により、その濃度を測定する。全有機性夾雑物濃度も同様にパルプ懸濁液を濾別後、COD(化学的酸素要求量)またはTOC(全有機性炭素)により測定できる。それらの一般的測定値は紙種、操業条件等各種の因子で変化して一概には述べられないが、概ねイオン性夾雑物濃度は10〜1000μeq/l(パルプ懸濁液の濾液1リットル当り)、全有機性夾雑物濃度はTOC換算で50〜5000ppmである。近年、古紙パルプの利用率増大、用水特に白水の循環率向上により、夾雑物濃度は増加しており、イオン性夾雑物濃度は20μeq/l以上、全有機性夾雑物濃度はTOC換算で100ppm以上になっており、薬品の添加効果が低減している。
また、一般に洋紙と言われる白色度の高い紙の抄造においては填料と呼ばれる水不溶性の光散乱性の高い粒子がパルプ懸濁液中に添加される。本発明に使用する填量としては、従来の製紙工程で使用されている公知の各種填量を使用可能であり、例えば重質あるいは軽質の炭酸カルシウム、タルク、カオリン、ホワイトカーボン、二酸化チタン、白土、焼成クレー、合成シリカおよび尿素ホルムアミド樹脂填量等である。これら填量は、古紙パルプから抄造工程内に混入されるものもあるが、必要に応じ対パルプ0〜40重量%添加される。
ポリオレフィン水性ディスパージョン(A)とはポリオレフィンを水に分散したものであり、ポリオレフィンとポリビニルアルコール等の水溶性高分子とからなる混錬物を水中に分散される方法、ポリオレフィンとカルボキシル基含有ポリオレフィンとを溶融混錬後、塩基性物質を含有する熱水中に供給し、剪断力を加えて分散液を得る方法等により製造できる。
ここで使用されるポリオレフィンとは結晶性ないし非晶性のオレフィン系重合体であり、X線回折法により測定される結晶化度は、特に制限されるものではない。また、所望によりジエンを含有していてもよい。
該重合体を構成するオレフィンとしては、エチレンのほかプロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等のα-オレフィンをあげることができる。これらは単独でも、複数組み合わせて使用しても良い。
ジエンとしては、イソプレン、ブタジエン、ジシクロペンタジエン、ペンタジエン-1,4、2-メチル-ペンタジエン-1,4、ヘキサジエン-1,4、ジビニルベンゼン、メチリデンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等があり、これらは単独でも、複数組み合わせて使用しても良い。更にはスチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル等も使用できる。
ポリオレフィンとして具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン-1,4共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・ブテン-1・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・ブテン-1・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・ブタジエン共重合体などを例示できる。
ポリオレフィンの極限粘度[η](135℃デカリン溶液における極限粘度)は、0.03〜2.0 dl / gが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5 dl / gである。
上記ポリオレフィンと混合する水溶性高分子とはケン化ポリビニルアルコール等であり、特に限定はない。また、カルボキシル基含有ポリオレフィンとは上記ポリオレフィンに無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を反応させたもの或いはアクリル酸、メタクリル酸等を共重合したものである。
また、それらの混合物を水に分散して分散体を製造する際、該混合物中にアニオン系界面活性剤および/またはノニオン系界面活性剤を含有させてもよい。
そのようにして製造されるポリオレフィン水性ディスパージョンの固形分濃度は通常10〜70%であり、固形分粒子の平均粒径は0.01〜20μmである。
また、ポリオレフィン水性ディスパージョンのパルプ懸濁液への添加方法は原液をそのまま添加しても良いが、予め希釈して添加しても良い。後者のほうがパルプ懸濁液への分散が十分でき好ましい。パルプ懸濁液に対するポリオレフィン水性ディスパージョンの添加量は、パルプ乾燥固形分重量に対して通常0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜4重量%である。
本発明で用いられる水溶性カチオン系重合体として、カチオン化澱粉及び両性澱粉(B−1)及び分岐架橋構造を有するカチオン性アクリルアミド系重合体(B−2)がある
(カチオン化澱粉及び両性澱粉)(B−1)
カチオン澱粉とは、例えばトウモロコシ、小麦、馬鈴薯、タピオカ等の生澱粉に、1級、2級、3級の各アミノ基および4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素を含有させた澱粉のことである。また両性澱粉とは、例えば上記と同じ生澱粉に3級アミノ基および4級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種、さらにリン酸、スルホン酸等から選ばれる少なくとも1種を用いて、澱粉にカチオン性とアニオン性を含有させた澱粉のことである。その澱粉のパルプ懸濁液に対する添加量は、パルプの乾燥固形分重量に対して通常0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%である。
(分岐架橋構造を有するカチオン性アクリルアミド系重合体)(B−2)
分岐架橋構造を有するカチオン性アクリルアミド系重合体とはカチオン性モノマーとアクリルアミドを主成分とする重合性のモノマーを共重合して、その重合過程で分岐架橋構造を形成させたもの(b1)と分岐架橋構造を有するアクリルアミド系重合体のホフマン分解反応によりカチオン性を付与したもの(b2)の2種類の構造を指す。また、上記したカチオン性アクリルアミド系重合体の製造にあたっては、水溶媒中で重合させポリマーを作成する方法、あるいは有機溶媒中で重合したポリマーを水溶媒中に分散させる方法、さらにO/Wエマルション状態即ち有機溶媒中にモノマー水溶液を分散し重合する方法を適用できる。これらの中で、ポリマー水溶液あるいは分散液状態での安定性の面から、水溶媒中で重合させポリマーを作成する方法が好ましい。
カチオン性モノマーとアクリルアミドを主成分とする重合性のモノマーを共重合して、その重合過程で分岐架橋構造を形成させたもの(b1)とはカチオン性モノマー及びアクリルアミドを主成分とするモノマーと分岐架橋構造を付与できる特定のモノマーを共重合したものであり、カチオン性モノマー及びアクリルアミドを代表とするアミド基を有するモノマー以外に、その他モノマーとして、例えば、疎水性モノマー、親水性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。これらは単独で使用しても複数組み合わせて使用してもよい。
(カチオン性モノマー)
カチオン性モノマーとしては、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミンおよびそれらの塩、およびそれらの4級化物等が挙げられる。
(アミド基を有するモノマー)
アミド基を有するモノマーとしては、経済性と重合性から具体的にはアクリルアミドが挙げられるが、メタアクリルアミドも使用できる。
(分岐架橋構造を付与できる特定のモノマー)
分岐構造を付与できるモノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミドのような特定なN−置換アクリルアミド誘導体、あるいは、(メタ)アリルスルホン酸およびその塩類等をあげることができる。この中でも、メタリルスルホン酸塩を用いることが好ましい。
(架橋構造を付与できるモノマー)
架橋構造を付与できるモノマーとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルアクリルアミドなどの2官能型架橋性モノマー、あるいは、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンアクリレート、トリアクリルホルマール、ジアクリロイルイミド等の多官能型架橋性モノマー等が挙げられる。
(親水性モノマー)
親水性モノマーとしては、具体的には(メタ)アクリルアミドの他に、例えばダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、各種のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等をあげることができる。
(疎水性モノマー)
疎水性モノマーとしては、例えばアクリロニトリル、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−n−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−n−ドデシルメタクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N−ジグリシジル(メタ)アクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミド等のN−(ω−グリシドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド誘導体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。
(アニオン性モノマー)
イオン性モノマーのうちアニオン性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸およびそれらの塩、またビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸類およびそれらの塩等が挙げられる。
(重合開始剤)
重合において使用する重合開始剤は、特に制限はないが水溶性のものが好ましい。重合開始剤として、過硫酸塩系、過酸化物系では、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。この場合、単独で使用する方が好ましいが、還元剤と組合せてレドックス系重合開始剤としても使用できる。還元剤としては、例えば亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、鉄、銅、コバルトなどの低次イオン価の塩、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の有機アミン、更にはアルドース、ケトース等の還元糖などを挙げることができる。
また、アゾ化合物も本発明に使用可能な開始剤であり、その具体例としては、例えば2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン塩酸塩、2,2’−アゾビス−2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド、2,2’−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)−プロパン及びその塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸及びその塩等を使用することができる。更に、上記した重合開始剤を2種以上併用することも可能である。
(重合方法)
これらのモノマーを用いた重合方法としてはラジカル重合が良く、全モノマーを反応容器に一括で仕込み、重合する回分(バッチ)重合法、モノマーの一部もしくは全部を反応容器中に滴下しながら重合する半回分(セミバッチ)重合法、モノマーの組成を変えて、多段に滴下しながら重合する多段滴下重合法、モノマー等を連続的に供給し、得られたポリマーを連続的に抜き出す連続法でもよい。
重合開始剤は、重合器に予め又は重合時に一括添加しても、重合中に連続的又は間欠的に供給してもよい。重合時に供給する場合は必要に応じて添加速度を変更することができる。
本発明におけるポリマーの重合温度は単一重合開始剤の場合には、一般に30〜100℃であり、レドックス系重合開始剤の場合はより低く、一般に5〜90℃である。重合温度は重合中一定に保っても変動させてもよく、必要に応じて冷却、加熱を実施することができる。
重合容器内の雰囲気は特に制限はないが、重合を速やかに行わせるには窒素ガスのような不活性ガスで置換した方が好ましい。
ポリマーの製造において、重合pHも特に制限はなく、所定のpHに調整して重合することができ、必要に応じて重合中pHを変動させることもできる。その場合使用可能なpH調整剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリ化剤、リン酸、硫酸、塩酸等の鉱酸、蟻酸、酢酸等の有機酸等が挙げられる。
(分岐架橋構造)
上記したポリマーの重量平均分子量は通常、100,000〜10,000,000であり、好ましくは重量平均分子量が200,000〜10,000,000である。さらに好ましくは、重量平均分子量が500,000〜10,000,000である。
本発明のポリマーは分岐架橋構造であり、従来の線状ポリマーに比べてイオン基の空間密度を高めることができるので、水分散性合成樹脂エマルションのパルプへの高い定着を可能にできる。これにより水分散性合成樹脂エマルションの有する機能を十分発揮できるようになった。
分岐架橋構造は一般的には上記した分岐構造を付与できるモノマーと架橋構造を付与できるモノマーとを組合わせて上記したアクリルアミドおよび/またはカチオンモノマーを主成分とするモノマーを重合することにより構築できる。具体的にはそれらモノマー混合液を回分重合法、半回分重合法若しくは連続重合法により、分岐架橋構造を形成できる。また、分子量をコントロールするにあたり、重合開始剤、公知の連鎖移動剤を適宜用いてもよく、また重合温度、重合時間等の重合条件で適宜調節することでもよい。但し、上記の方法以外にも分岐架橋構造を形成することは可能である。
分岐架橋構造の特性値として、分子量、慣性半径及びそれらより導かれる分子鎖密度(分子量を慣性半径の3乗で除した値)を挙げられる。分子鎖密度が大きくなれば、分子構造が密になり、逆に小さくなれば、疎になる。また、その値そのものは慣性半径と連動しており、慣性半径が大きくなれば、分子鎖密度は小さくなる。分子量が大きくなれば、慣性半径は増大するが、分子鎖密度を大きくすることにより、慣性半径の増大を抑制できる。慣性半径は概ね溶液粘度と相関しているので、分岐架橋構造の利点として、溶液粘度上昇を抑えて、分子量を増大できることである。即ち従来の線状構造では、分子量と慣性半径(溶液粘度)は一義的に決まってしまうが、分岐架橋構造では分子鎖密度をパラメーターとして分子量と慣性半径(溶液粘度)の関係が決まる。
本発明においては、合成樹脂エマルションをパルプに定着する必要があるので、分子量及び慣性半径が大きい構造が好ましい。即ち、前記した分子量範囲で、慣性半径と分子鎖密度との関連は以下の通りである。慣性半径30nmでは分子鎖密度15〜50、60nmでは3.5〜15、100nmでは1.0〜8.0、好ましくは慣性半径30nmでは分子鎖密度15〜30、60nmでは3.5〜10.0、100nmでは1.0〜6.0である。
上記した分子量(重量平均)及び慣性半径はGPC(ゲル透過クロマトグラフ)−MALS(多角度光散乱分子量測定装置)装置により測定できる。
分岐架橋構造を有するアクリルアミド系重合体のホフマン分解反応によりカチオン性を付与したもの(b2)とは前記したモノマーの主成分をアミド基含有するモノマーとして分岐架橋構造を付与できる特定のモノマーと共重合して得た分岐架橋構造を有するアクリルアミド系重合体をホフマン分解反応したものである。
分岐架橋構造を有するアクリルアミド系重合体(以下ベースPAMと呼称する)の製造は前記の方法をまったく同様に適用できる。
(ベースPAMの分岐架橋構造)
ベースPAMの重量平均分子量は、100,000〜10,000,000であることが好ましく、重量平均分子量が200,000〜10,000,000であることがより好ましい。さらに好ましくは、重量平均分子量が500,000〜10,000,000である。また、慣性半径と分子鎖密度との関連は前記と同様であり、慣性半径30nmでは分子鎖密度15〜50、60nmでは3.5〜15、100nmでは1.0〜8.0、好ましくは慣性半径30nmでは分子鎖密度15〜30、60nmでは3.5〜10.0、100nmでは1.0〜6.0である。
(ホフマン分解反応)
アクリルアミド系重合体のホフマン分解反応について説明する。アクリルアミド系重合体は、その製造を水溶液で行った場合にはそのまま、もしくは必要に応じ希釈してホフマン分解反応に供することができる。重合を他の溶媒で行った場合は溶媒置換を実施する。この場合ホフマン分解よって得られる製品の性能又は作業性に影響を与えない範囲で以前の溶媒が残留していてもよい。更に、アクリルアミド系重合体が粉末状である場合には、水に溶解して水溶液としてホフマン分解反応に供する。その時の濃度は通常1〜10%であるが、必要に応じてさらに希釈して使用できる。
ホフマン分解反応は、ポリマーのアミド基に、次亜ハロゲン酸をアルカリ性物質の共存下に作用させて行うものであり、次亜ハロゲン酸としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸が挙げられる。
次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属が挙げられ、具体的には、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸バリウム等が挙げられる。同様に次亜臭素酸塩、次亜ヨウ素酸塩のアルカリ金属またはアルカリ土類金属が挙げられる。また、アルカリ溶液中にハロゲンガスを吹き込んで、次亜ハロゲン酸塩を生成してもよい。
一方、アルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等が挙げられ、それらの中でもアルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
上記した物質のポリマーに対する添加量は、次亜ハロゲン酸塩では、アミド基に対して通常0.05〜2モル、好ましくは0.1〜1.5モルであり、アルカリ性物質では、アミド基に対して0.05〜4モル、好ましくは0.1〜3.0モルである。またホフマン分解反応はアルカリ領域下即ちpH範囲が通常11〜14の範囲で行なう。 そのときのポリマー濃度は、概ね0.1〜17.5wt%であるが、反応濃度が高くなると撹拌が困難になることやゲル化を起こし易くなることから、通常は0.1〜10wt%であることが好ましい。また、ホフマン分解反応を高温、短時間で行う場合は、反応濃度が1wt%未満では反応速度が遅くなる等のことがあることから、1〜10wt%であることがさらに好ましい。
ホフマン分解反応の反応温度は、0〜110℃の範囲の中から選択可能であるが、低温側より50〜110℃の高温領域である方が、紙力増強剤としての効果がより高く好ましい。反応時間は、反応温度、および反応溶液中のポリマー濃度に依存するため一概には言えないが、例えばポリマー濃度が1wt%の場合、0℃では30〜40時間以内、20℃では3〜4時間以内、50℃では数十分以内、65℃では数分以内、80℃では数十秒以内で十分である。さらにポリマー濃度が高くなれば、反応時間はより短くてすむ。
そのようにホフマン分解されたポリマーは次亜ハロゲン酸塩とアルカリ金属水酸化物のアミド基に対する添加量を調節することにより、一級アミノ基の導入量をを制御できる。一級アミノ基の含有量は通常10〜90モル%、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは25〜75モル%である。
次に上記した条件でホフマン分解反応を行った後、副反応の進行を抑制するために反応を停止することが望ましい。ただし、反応後直ちに使用する場合には反応停止を行わなくともよい場合がある。
反応停止の方法としては、(A)還元剤を添加する、(B)冷却する、(C)溶液のpHを酸添加により低下させる、等の方法を単独あるいは組み合わせて用いることができる。
(A)は残存する次亜ハロゲン酸塩等を還元剤との反応により失活させる方法である。使用する還元剤の具体例として、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、マロン酸エチル、チオグリセロール、トリエチルアミン等が挙げられる。その還元剤の使用量は、通常反応に使用された次亜ハロゲン酸塩に対して、0.005〜0.15倍モル、好ましくは0.01〜0.10倍モルである。
(B)は冷却により反応進行を抑える方法であり、その方法としては、熱交換器を用いて冷却する、または冷水で希釈する等の方法が挙げられる。そのときの温度は、通常50℃以下、好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。
(C)は、通常pH12〜13のアルカリ性を示す反応終了液を、酸を用いてpHを下げることによりホフマン分解反応を停止させ、同時に加水分解の進行を抑制する方法である。そのときのpHは中性以下であればよく、好ましくはpH4〜6の範囲である。pH調整で使用する酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の鉱酸、あるいはギ酸、酢酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。
次に上記した反応で停止した反応液はそのまま使用できるし、該水溶液をメタノール等のポリマーを溶解しない溶媒中に投入して、ポリマーを析出させてその後乾燥して粉末状にすることもできる。また、ホフマン分解したポリマーをタンク中に保存しておき、必要に応じ使用することもできる。そのときの保存温度は、水溶液の凍結しない程度の低温であればよく、好ましくは0〜15℃である。
本発明に用いられるカチオン性アクリルアミド系重合体は単独で使用することもできるが、アニオン性アクリルアミド系ポリマーなどのアニオン性樹脂と併用して使用することもできる。また、該ポリマーとアニオン性樹脂の添加比率は任意に選ぶことができ、好ましくは固形分重量比で100:0〜10:90の範囲にある。そのときのパルプ懸濁液に対する固形分添加量は、パルプの乾燥固形分重量に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%である。
また、その作用機構は、合成樹脂エマルションをパルプに定着させるとともに、それ自身の紙力強度及びサイズ度発現機能を発揮させて、それらの相乗効果により、紙質(紙力強度、サイズ性)を向上する。
本発明でいう紙とは、木材、わらなどセルロース成分を含有するパルプおよび/または古紙パルプを主原料とし、必要として填量を含み、水を媒介として製造される全てのものを指す。具体的には、紙力強度を要求されるライナー、中芯原紙等の段ボール原紙、印刷特性を要求される各種印刷・情報用紙、コート原紙、新聞用紙等の填料の添加された紙などが挙げられる。
(抄紙)
上記したパルプ原料に各種薬品を添加して、紙を抄造する。その際、各薬品の抄造工程での添加場所は、湿潤シートが形成される以前であればどこでもよく、薬品の添加する順序も任意の順序で行なうことができる。ただし、湿潤シートが形成された後でも、スプレー塗布、サイズプレス塗布、ロールコーター塗布により添加することも可能である。
カチオン化澱粉または両性澱粉をパルプ懸濁液中に添加するに際し、まずそれらをクッキングという工程で温度をかけて水に溶解する。次いでその水溶液をパルプ懸濁液中に添加する。その時の濃度は溶解濃度そのままでもよいが、パルプ懸濁液への分散をよくするため希釈して添加してもよい。概ね、0.1〜10重量%である。
分岐架橋構造を有するカチオン性アクリルアミド系重合体をパルプ懸濁液中に添加する際の濃度は、概ね0.1〜10重量%であるが好ましくは0.5〜5重量%である。
ポリオレフィン水性ディスパージョンをパルプ懸濁液中に添加する際の濃度は製品濃度そのままでもよいが、パルプ懸濁液への分散をよくするため希釈して添加してもよい。
また、サイズ性の発現に合成樹脂エマルション単独でも可能であるが、既存のサイズ剤を同時に使用することもできる。既存サイズ剤として、ロジンを主原料としたロジン系サイズ剤例えば強化ロジン、エマルションロジン、ロジンを一部エステル化した中性ロジンエマルション、中性領域でサイズ効果の高いアルケニル無水コハク酸、アルキレンケテンダイマー等を使用できる。パルプ懸濁液中に添加する際の濃度は製品濃度そのままでもよいが、パルプ懸濁液への分散をよくするため希釈して添加してもよい。
抄造する時のパルプ懸濁液pHは特に限定はないが、填料の有無により限定される場合がある。填料を添加しない段ボール原紙ではpHは5.5〜7.5である。一方、填料を使用する場合には、pH6.5以上が好ましい。pHを制御する薬剤として、硫酸、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等が使用される。
また、その他の薬品例えば、消泡剤、蛍光剤、染料等を紙質特性向上のため必要に応じて添加し抄造できる。
紙として製品とするには、上記のパルプ懸濁液をワイヤー上に噴出し、脱水し、プレス工程で搾水し、ドライヤー工程で乾燥し、リールに巻き取る。
(紙)
上記した方法で抄造される紙は、填料の添加されている洋紙及び板紙の両方が含まれる。ポリオレフィン水性ディスパージョンが添加された紙は紙力強度とサイズ度が向上するが、更には耐磨耗性、離型性、滑り性向上の機能を賦与できる。
[実施例]
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。また、%で示したものは、特に断りのない限り重量%を意味するものである。
(ポリオレフィン水性ディスパージョンの製造例:サンプルa)
ポリエチレン系オリゴマー(三井化学:ハイワックス 100P)100重量部に対して、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス(三井化学:ハイワックス2203A)9重量部及びオレイン酸ナトリウム3重量部を130℃で混合混練し、0.25%NaOH水溶液 200mlの予め封入されている耐圧ホモミキサーに上記混合物を100g圧入に、150℃に保ち、3000rpmで1時間攪拌した。その後、徐々に温度を下げてゆき、水を添加して、濃度30%のポリオレフィン水性ディスパージョンを得た。平均粒子径は2.4μmであり、pHは10.6であった。
(分岐架橋構造を有するカチオン性アクリルアミド系重合体の製造例B−1)
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管、滴下口を備えた5つ口フラスコに純水262.8gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート60.7g、メタリルスルホン酸ナトリウム3.5gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。また純分84%の4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.5gを溶解した水溶液60gを調整し、それぞれ、反応容器中に、120分かけて均等滴下した。この間、内温を80℃に保った。滴下終了後、80℃で、6時間重合を続けた。
続いて、50%アクリルアミド435.3g、メチレンビスアクリルアミド0.5g、メタリルスルホン酸ナトリウム12.3gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。また、純分84%の4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸2.7gを溶解した水溶液60gを調整し、それぞれ、反応容器中に180分かけて均等滴下した。この間、内温を80℃に保った。滴下終了後、80℃で、4時間重合を続け、冷却するとともに、水を加え、不揮発分を調整することにより、不揮発分30%、25℃におけるブルックフィールド粘度6000cpsのカチオン性アクリルアミド系重合体水溶液(b−1)を得た。(b−1)の重量平均分子量をGPC−MALLS法で測定したところ、2,050,000であり、慣性半径は71nmであった。分子鎖密度は5.7であった。
(分岐架橋構造を有するカチオン性アクリルアミド系重合体の製造例B−2)
(ポリアクリルアミドの製造)
撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管、滴下口を備えた5つ口フラスコ(以下、反応容器と呼ぶ)に純水376.2gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリアルアミド270.0g、メタリルスルホン酸ナトリウム1.7g、メチレンビスアクリルアミド0.2g、純水237.8g混合溶解し35%HClでpHを4.2に調整した。また過硫酸アンモニウム0.46gを純水48.0gで溶解した溶液を調整し、それぞれ反応容器中に3時間かけて均等滴下した。この間内温を80℃に保った。
滴下終了後、さらに80℃で2時間かけて重合を続け、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度7,000cpsの重合体を得た。GPC−MALLS法測定により、重量平均分子量は2,200,000、慣性半径は76.1nm、それらより算出される分子鎖密度は5.0であった。
(ホフマン分解ポリアクリルアミドの製造)
次に、上記で得られたポリアクリルアミドを以下方法によりホフマン分解しカチオン性アクリルアミド系重合体(b−2)とした。
ポリマーを固形分で2.0g取り、これを純水でトータル40.0gに希釈溶解した。この溶液を70℃に加熱し、撹拌下12.5%次亜塩素酸ナトリウムと20%水酸化ナトリウムの混合溶液(モル比1:2)を11.20g添加し30秒間保持した。その後、予め冷却しておいた純水152.60gを加え、さらにこれを氷水中で冷却しホフマン分解反応物を得た。その後、指示薬にトルイジンブルーを用い1/400N−ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にてコロイド滴定を行った。得られたカチオン化度は3.9meq/gであった。このものは経時的にカチオン化度が消失するので、調製後、氷水中で冷却保存し24時間以内に使用した。
(抄紙評価−1)
ダンボール古紙を主体とするCSF365mlの濃度1.0%のパルプ懸濁液(イオン性夾雑物濃度:55μeq/l、TOC:120ppm)を撹拌しながら、ポリオレフィン水性ディスパージョン(サンプルA−1)→硫酸バンド→カチオン性アクリルアミド系重合体(サンプルB−1)で薬品を添加していき抄紙用サンプルとした。抄紙pHは6.0に維持した。各薬品の添加間隔は1分間隔で行った。表1に添加薬品とその添加量を示す。
然る後、得られたパルプスラリーを用いて、濾水度(JIS−P8121)の測定、及びTAPPI角型シートマシーンによる抄紙を行った。抄紙したウエットシートは、ドラムドライヤーにて、110℃、3分間乾燥し、坪量130g/mの手抄き紙を得た。
得られた乾紙を23℃、RH50%の恒温恒湿室にて、24時間以上調湿した後、坪量(JIS P8124)、密度(JIS P8118)、Z軸強度(インターナルボンドテスター、熊谷理機工業株式会社製)、比圧縮強度(JIS−P8126)、ステキストサイズ度(JIS−P8122)、耐磨耗強さ(JIS−P8136)を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2005226200
Figure 2005226200
(抄紙評価−2)
330mlCSFであるLBKP/NBKP/DIP(古紙脱墨パルプ)比が2/1/7の濃度1.0%のパルプ懸濁液(イオン性共雑物濃度:70μeq/l、TOC:530ppm)を撹拌しながら、中性ロジンサイズ剤またはポリオレフィン水性ディスパージョン(サンプルA)→硫酸バンド→カチオン性アクリルアミド系重合体(サンプルB−2)→軽質炭酸カルシウムの順序で薬品を添加していき抄紙用サンプルとした。各薬品の添加間隔は、1分間隔で行った。表3に添加薬品とその添加量を示す。抄紙pHは7.0に維持した。
パルプ懸濁液の1部を取り、JIS P8121に準じてCSFを測定した。残りはTAPPI角形シートマシーンで抄紙を行った。抄紙したウエットシートは、110℃のドラムドライヤーにて約3分間乾燥し、坪量80gの手抄き紙を得た。得られた乾紙を23℃、RH50%の恒温恒湿室にて24時間以上調湿した後、坪量(JIS P8124)、密度(JIS P8118)、裂断長(JIS P8113)、Z軸強度(インターナルボンドテスター、熊谷理機工業株式会社製)、ステキストサイズ度(JIS−P8122),灰分(JIS P8128)の測定を行った。結果を表4に示す。表中の裂断長とZ軸強度は灰分16.0%とした場合の推算値である。
Figure 2005226200
Figure 2005226200
古紙リサイクル率の向上、工場排水量の削減による用水のクローズド化率の上昇により
原料パルプの低品質化、抄紙系内夾雑物の蓄積が進み、目標紙質(紙力強度、サイズ性)
を達成するには、従来以上に紙力増強剤およびサイズ剤の添加量を増やさなければならない状況になっている。
一方、それら内添薬品は添加量を増大させると、その増量に比例して効果が増加する訳ではなく、増量に対して効果の伸びは小さくなり、最終的にはいくら増量しても、効果の発現が頭打ちになる。そのような場合、目標紙質を達成するために、内添薬品以外に澱粉、ポリアクリルアミド等紙力強度向上効果を有する薬品をスプレー、或いは塗工して、紙力強度の向上を図っている。その様な状況下では、添加した内添薬品はパルプに定着せず、抄紙系内に滞留してマシン汚れを引き起こし、操業を阻害することがある。一方、スプレー、塗工を行うと乾燥工程に負荷がかかり、生産性が低下してしまう。
本発明により従来より紙の表面塗工に使用されているポリオレフィン水性ディスパージョンを水溶性カチオン系重合体とともに抄紙系に添加することにより、その相乗効果により非常に優れた紙質(紙力強度、サイズ性)向上がもたらされることが見出された。更に付帯効果として、耐磨耗性、離型性、滑り性向上の機能を賦与できた。
従って、ポリオレフィン水性ディスパージョンの使用効果により、紙力増強剤、サイズ剤等の内添薬品の添加量を削減でき、更にはスプレー、塗工の操作を行わなくても済むので、高品位の紙質を維持して安定的に高い生産性で紙の製造を行える。
即ち、本発明は製紙業界の要請されている古紙リサイクル率の向上、工場排水量の削減による環境保護を達成するに必要な技術である。

Claims (7)

  1. パルプ懸濁液中に(a)ポリオレフィン水性ディスパージョン及び(b)水溶性カチオン系重合体を添加して抄紙することを特徴とする抄紙方法。
  2. ポリオレフィン水性ディスパージョンの平均粒子径が0.01〜20μmであることを特徴とする請求項1記載の抄紙方法。
  3. 水溶性カチオン系重合体がカチオン化澱粉である請求項1記載の抄紙方法。
  4. 水溶性カチオン系重合体が両性澱粉である請求項1記載の抄紙方法。
  5. 水溶性カチオン系重合体が分岐架橋構造を有するカチオン性アクリルアミド系重合体である請求項1記載の抄紙方法。
  6. 水溶性カチオン系重合体がカチオン化澱粉、両性澱粉及び分岐架橋構造を有するカチオン性アクリルアミド系重合体から選ばれる2種以上よりなる請求項1記載の抄紙方法。
  7. パルプ懸濁液中に(a)ポリオレフィン水性ディスパージョン及び(b)水溶性カチオン系重合体を添加して抄紙された紙。
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