JP2005226120A - 包装容器エンド用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明に係る包装容器エンド用アルミニウム合金板は、Mgを1.60〜3.00質量%、Mnを0.10〜0.50質量%、Feを0.15〜0.35質量%、Siを0.05〜0.15質量%、Tiを0.05質量%以下含有するとともに、FeとSiの含有量は、0<(Feの含有量(質量%)−Siの含有量(質量%)×2)<0.1の関係式を満たし、かつ、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金の板材であって、板材の板厚中央部におけるAl−Fe−Mn系晶出物およびMg−Si系晶出物の最大サイズを10〜20μm、Al−Fe−Mn系晶出物とMg−Si系晶出物の面積率の総和を0.4〜1.2%、かつ、耐力を220〜270MPaとした。
【選択図】 なし
Description
そして、ステイオンタブ式エンドは、(1)エンド作製用に圧延された包装容器エンド用アルミニウム合金板に耐食性を確保するためのクロメート処理を施した後、これにシート塗装やコイル塗装を行い、塗装焼付けを行う塗装焼付け工程、(2)前記塗装焼付けされた包装容器エンド用アルミニウム合金板からの打ち抜き加工工程、(3)打ち抜かれたエンドの縁をカールさせるカーリング工程、(4)エンドにリベットを取着するためのリベット部やその他の凹凸を設けるためのバブル加工工程およびディンプル加工工程、(5)ディンプル加工工程が終了したエンド表面にスコアを形成するためのスコア加工工程、(6)別途作製してあるステイオンタブをリベット部に取着するリベット加工工程、の各工程を経て製造されている。
なお、最終製品としての飲料缶は、缶本体に飲料等の内容物を充填し、前記(6)のリベット加工工程にてステイオンタブを取着したエンドを前記缶本体に被せ、前記エンドを巻締めするか、また、3ピース缶では前記エンドを巻き締めした後に内容物を充填し、底蓋を巻き締めて密封される。
本発明者らは、前記課題を解決するため、鋭意研究を行ったところ、用いるアルミニウム合金の組成を適切な範囲に制御するほか、含まれる組成元素の比率や、アルミニウム合金板に生じる各種晶出物の最大サイズおよび面積率の総和を規定することにより、または、熱間圧延されたアルミニウム合金板の熱間圧延時の圧延温度(終了温度)、および冷間圧延終了後のアルミニウム合金板の巻取り温度を適正な範囲に規定することにより、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
そこでまず、本発明に係る包装容器エンド用アルミニウム合金板において、各種組成成分の含有量、FeとSiの含有量の関係式、板材の板厚中央部における、Al−Fe−Mn系晶出物およびMg−Si系晶出物の最大サイズと面積率の総和を規定した理由を以下に述べる。
Mgは固溶硬化によって耐力の向上に寄与する元素である。また、合金板の加工硬化性能を向上する効果もある。Mgの含有量が1.60質量%未満では、特に負圧缶用エンドの特性に必要となる耐力を得ることができず、また、加工硬化性能も不十分となるので、エンドのリベット成形加工を行うにあたり、均一変形性能を確保することができない。一方、Mgの含有量が3.00質量%を超えると耐力が過剰となり、割れ易くなるため不適である。したがって、本発明ではMgの含有量を1.60質量%以上3.00質量%以下とする。
Mnは晶出物の構成元素の一つであり、また耐力向上に寄与する元素である。Mnの含有量が0.10%未満では、開缶性に寄与するだけの十分な量の晶出物を得ることができず、また0.50質量%を超えると晶出物が粗大化して割れ感受性を助長させるため不適である。したがって、本発明ではMnの含有量を0.10質量%以上0.50質量%以下とする。
FeはAl−Fe−Mn系晶出物を形成し、スコア引き裂きの起点あるいは伝播経路となるものである。また、その晶出物は熱間圧延時に再結晶の核となり、結晶粒微細化に効果がある。Feの含有量が0.15質量%未満では、十分な晶出物面積率が得られなくなるため開缶性が低下するとともに、再結晶の核が不足するので不適である。また、0.35質量%を超えると、Mn量との複合作用により晶出物が粗大化し、成形性の低下を招くおそれがあるため不適である。したがって、本発明ではFeの含有量を0.15質量%以上0.35質量%以下とする。
SiはMg−Si系晶出物を形成し、スコア引き裂きの起点あるいは伝播経路となるものである。また、熱間圧延時の冷却時に微細析出物の形成を促進し、再結晶挙動に影響を与える。Siの含有量が0.05質量%未満では、工業的に高純度の地金が必要となり、高価となるため経済的に問題がある。また、0.15質量%を超えると、Mg−Si系晶出物の晶出量が多くなり、割れ感受性を過剰に高くするとともに、再結晶を抑制し、結晶粒の粗大化および混粒化を招いてしまう。したがって、本発明ではSiの含有量を0.05質量%以上0.15質量%以下とする。
Tiは鋳造組織の微細化に寄与する元素であるが、0.05質量%を超えて多量に添加し過ぎると粗大晶出物を形成し、リベット成形時に割れの起点になる。したがって、本発明ではTiを0.05質量%以下含有することとする。なお、鋳造時の微細化効果を考慮すると、0.01〜0.03質量%が好ましい。
FeとSiは、ともに晶出物の形成に影響する一方、Feの添加は熱間圧延後の冷却過程で再結晶を促進し、他方、Siの添加は再結晶を抑制する。したがって、両元素の含有量の関係を適切なものとすれば、成形性、表面形状およびエンドとしての性能を満たすことが分かった。すなわち、(Feの含有量(質量%)−Siの含有量(質量%)×2)が0以下(0または負)であると、熱間圧延後、完全再結晶が得られず、混粒或いは結晶粒粗大化となり、成形性および表面性状を低下させる。また、同式が0.1以上になると45度方向耳(+耳)が大きくなり、エンドとしての性能を満足させることができない。したがって、FeとSiは各々の含有量の他に、0<(Feの含有量(質量%)−Siの含有量(質量%)×2)<0.1の関係式を満足することを必要とする。
すなわち、包装容器エンド用アルミニウム合金板としての強度確保のためにMg、Mnの適正な添加が必要であり、加工硬化性能向上のためにMgはなるべく多量に添加することが望まれるが、Mgに偏った添加では開缶性が劣化し、Mnに偏った添加では成形性が劣化する。このような比率を維持した中でも、Feの添加量によって晶出物の形成が促進される。他方、大きな晶出物は割れの起点となるため、晶出物の形成を抑制するSiの添加量とのバランスを考慮することが求められる。このように、全てのバランスを適切に調整することで所望の特性が初めて得られることとなる。
本発明においては、不可避的不純物として例えばCr、Zn、Zr、Bなどを含有することが考えられるが、本発明の効果を妨げない範囲においてこれらを含有することは許容される。
Al−Fe−Mn系晶出物およびMg−Si系晶出物をアルミニウム合金板中に、適度に分散させることで成形性を維持したまま開缶性を向上することができるが、これら晶出物に粗大なものが一つでもあるとリベット部の割れや、スコア割れ等の重大欠陥に繋がるおそれがある。そのため、これら晶出物の最大サイズ(晶出物の長径)を規定することは包装容器エンドの品質管理上重要である。サイズの分布は、ほぼ正規分布を示すため、最大サイズを規制すれば、最適状態を管理できる。晶出物の最大サイズが10μm未満では微細な晶出物が多くなりすぎ、開缶時のスコア亀裂の伝播に作用するには小さすぎる。一方、晶出物の最大サイズが20μmを超えると、大きいサイズの晶出物が増加し、リベット部の割れ、スコア割れ等の重大欠陥を生じるおそれがある。したがって、本発明では、板材の板厚中央部における、Al−Fe−Mn系晶出物およびMg−Si系晶出物の最大サイズを10μm以上20μm以下とする。
なお、これら晶出物の最大サイズの測定は、板材の圧延方向における最大サイズを測定する。ただし、通常、包装容器エンドは焼付塗装処理が施されており、板材の表面状態について評価することが困難であるため、板材表面をバフ研磨することにより、板材の表面をある程度切削し、研磨された板材表面の晶出物について、最大サイズを測定するのが好ましい。すなわち、板材の板厚中央部の晶出物の最大サイズを測定するのが好ましい。
なお、焼付塗装処理した場合、さらには、板材表面をバフ研磨した場合であってもアルミニウム合金板の晶出物の分布が変化しないことはいうまでもない。
Al−Fe−Mn系晶出物およびMg−Si系晶出物の面積率の総和は、前記晶出物の最大サイズ同様、成形性、開缶性の両方に影響する。これら晶出物の面積率の総和が0.4%未満であると十分な開缶性を得ることができず、これら晶出物の面積率の総和が1.2%を超えると割れ感受性を助長し、耐衝撃性が低くなる等の弊害が生じるため不適である。したがって、本発明では、板材の板厚中央部における圧延方向のAl−Fe−Mn系晶出物およびMg−Si系晶出物の面積率の総和を0.4%以上1.2%以下とする。
なお、板材の板厚中央部におけるこれら晶出物の面積率としたのは、前記と同様の理由による。
耐力は、包装容器エンドとしての強度を示すものであり、耐力が220MPa未満であると包装容器エンドとして必要な強度が得られず不適なものとなる。また、耐力が270MPaを超えると耐力が高すぎるために成形性や開缶性が劣り、不適なものとなる。したがって、本発明では耐力を220MPa以上270MPa以下とする。
本発明に係る包装容器エンド用アルミニウム合金板の製造方法は、前記所定の成分と、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金のスラブの面削を行い、温度条件480℃以上540℃以下で前記スラブの均質化熱処理を行う(第一工程)。そして、面削したスラブを板厚3.5mm以下に熱間圧延し、かつ、温度条件300℃以上で当該熱間圧延を終了させ、熱間圧延板を得る(第二工程)。次いで、この熱間圧延板を冷却して完全再結晶化させ(第三工程)、冷却した熱間圧延板を冷間圧延することにより総冷間圧延率85%以上93%以下としたアルミニウム合金板を作製する(第四工程)。そして、冷間圧延を行ったアルミニウム合金板を巻取り温度100℃以上170℃以下で巻き取る(第五工程)。
このような製造方法とすることで、本発明において所望するところの包装容器エンド用アルミニウム合金板を得ることができる。
〔面削〕
まず、鋳造したスラブの表面には、添加した各種金属の分布が不均一になっている(偏析)部分がある。したがって、この部分を取り除き、圧延した際に均一な金属組織の圧延板となるよう、スラブ表面を面削する。
均質化熱処理は、所定成分のアルミニウム合金のスラブの面削を施した後に、スラブの内部組織を均一化するため、および、熱間圧延を行い易いように柔らかくするために行う。480℃未満では、鋳造時に生じる晶出物(Mg−Si系)を適度に固溶できず、晶出物の最適分布(最大サイズ或いは面積率)が得られない。また、熱間圧延時の変形抵抗が高くなり、圧延表面の焼付き(外観不良)を招く。一方、540℃を超えるとスラブの表層部でバーニング(再溶融)が生じ、晶出物の最適分布が得られなくなるとともに、外観不良を招く。したがって、均質化熱処理温度は480℃以上540℃以下とする。なお、保持時間は1時間以上あれば特に問題はない。
続いて行う熱間圧延は、例えば、粗圧延(リバース圧延)と仕上圧延(タンデム圧延)の組合せで行うことにより、薄肉のホットコイルを得ることができる。板厚が3.5mmを超えると、その後の製品までの総冷間圧延率が高くなり、圧延板の耐力上昇によって成形性が低下する。また、絞り加工(エンド加工)にて生じる耳が大きくなり、エンドとしての要求特性を満足しない。したがって、本発明における熱間圧延後の熱間圧延板の板厚は3.5mm以下とする。
また、熱間圧延の終了温度が300℃未満では、ホットコイルで放冷した場合であっても完全再結晶が得られず、混粒あるいは粗大粒によって耐力が高くなり、成形性の低下を招く。したがって、本発明における熱間圧延の終了時の熱間圧延板の温度は300℃以上とする。
熱間圧延板を完全に再結晶化させないで冷間圧延を行うと、得られるアルミニウム合金板の表面が均一とならず、外観不良となる。したがって、熱間圧延後に放冷することで熱間圧延材を完全に再結晶化する。
さらに、熱間圧延後に行う冷間圧延は、耐力の最適化および絞り耳の適正化に重要である。総冷間圧延率が85%未満ではエンドとしての耐力が不足する。また、0−90度耳の耳率が高くなると、エンドの形状がいびつになり搬送が不安定となる。また、総冷間圧延率が93%を超えると、耐力が高くなり過ぎて成形性の低下を招くとともに、45度耳の耳率が高くなると、蓋締め時にボディとのラップが不安定となる。したがって、本発明における総冷間圧延率は85%以上93%以下とする。
冷間圧延後の巻取り温度は、耐力とエンドとしての性能(巻締め性)に影響する。100℃未満では、耐力が高くなり、成形性の低下を招き、エンドとしての性能を満足しない。一方、170℃を超えると耐力が弱くなり、ベーク後耐力も低下し、エンドとしての耐圧強度を満足しない。したがって、冷間圧延後の巻取り温度は100℃以上170℃以下とする。
次に、本発明の必要条件を満たす実施合金と本発明の必要条件を満たさない比較合金とを対比させて具体的に説明する。
表1は、実施合金1および実施合金2、比較合金1から比較合金14における組成成分、晶出物最大サイズ、晶出物の面積率の総和および耐力を示す。
表1に示されている各アルミニウム合金からなるスラブを面削した後、500℃、3時間の均質化熱処理を行い、熱間圧延にて熱間圧延板厚を2.3mmとし、熱間圧延終了時の温度320℃で熱間圧延板を巻き取った。その後、放冷することで十分に冷却し、完全再結晶化を行った。その後、中間焼鈍をせずに冷間圧延にて板厚を0.23mm、すなわち、総冷間圧延率を90%とした。冷間圧延終了温度(冷間圧延巻取り温度)は120℃であり、その後、仕上焼鈍は行わず、包装容器エンド用アルミニウム合金板とした。なお、表1中、FeとSiの関係式におけるFeの含有量(質量%)を「%Fe」で表し、Siの含有量(質量%)を「%Si」で表している。また、表1中、下線で示すものは本発明の必要条件から外れているものを示す。
塗装エンド材から引張り方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号による引張り試験片を作製した。JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)に準じて引張り試験を行い、0.2%耐力を求めた。なお、負圧缶用に用いられる包装容器エンドの耐力は220MPaから270MPaであるので、この範囲にあるか否かを目安として評価を行った。
耳率は、直径φ66.7mmのブランクを作製し、直径φ40mmのポンチで絞り、この際の絞りカップの耳高さから算出した。すなわち、通常生じる8つの山谷の平均差をカップの平均高さで除算したものである(下記数1参照)。90度耳(山)はマイナス表示、45度耳はプラス表示であり、本発明では耳率が0%以上+6%未満のものを包装容器エンドに用いるのに好適であると評価した。
塗装エンド材表面を板厚が1/2(板厚中央部)になるまでバフ研磨し、その研磨表面を対象として走査電子顕微鏡(SEM)(JSM−T330、日本電子(株)製)を用いて反射電子像を撮像し、晶出物を観察した。観察視野面積の総和が1mm2以上となるよう500倍の倍率で20視野分の画像を画像処理システム(東芝(株)製)により順次画像解析し、Al−Fe−Mn系、Mg−Si系晶出物(Mg2Si)の面積を分析しておのおの積算し、1mm2当たりの面積率として算出する。さらにこれらを加算することで晶出物の面積率の総和を求めた。
また、同時に晶出物のサイズを計測し、観察した視野の中で確認された最も大きな晶出物のサイズを晶出物の最大サイズとした。また、サイズの決め方は最大長として演算する方法を使用した。
なお、晶出物のサイズは、前述したように最大サイズが10μm以上20μm以下であって、その面積率は0.4%以上1.2%以下であることを必要とする。
塗装エンド材をシェル、コンバージョン成形し、開缶評価を行った。スコア残厚は市販されている非炭酸飲料用缶よりもやや厚めの110μmとなるよう成形し、タブは0.35mmのステイオンタブを用いた。
開缶動作は、図2(a)に示す開缶試験機6(LEAD測器製)を用いて行った。開缶試験機6にステイオンタブ2を取り付けた包装容器エンド(エンド1)を取着し、同図(b)に示すように、このステイオンタブ2の掛止部4に開缶試験機6の掛止具61を掛止し、エンド1を矢印X方向に90度回転させることによりスコア亀裂を発生させた。
同図(c)に示すタブ長手方向延長Eを越えてスコア亀裂が伝播したものを、問題なく開缶したとして「○」とし、タブ長手方向延長Eまでスコア亀裂が伝播しなかったもの(半開缶)、および、スコア5以外の部分に亀裂が伝播して正常に開缶しなかったもの(スコア脱線)を問題ありとして「×」とした。
包装容器エンドのリベット成形における、割れ発生の代替の評価として微小部分の球頭張り出し成形による限界張り出し高さを評価した。すなわち、この評価によれば、1.5mmの張り出し量で割れやクビレの発生が無く成形できれば、量産ラインでもリベット部に割れが発生することはない。
塗装エンド材を長さ100mm、幅20mmの試験片7を作製し、図3に示すように、この試験片7を球頭ポンチ8により張り出し成形加工を施して張り出し成形加工性を確認する球頭張出試験(球頭直径:6mmφ、張出量:1.5mm)を実施し、以下の規準にて性能を評価した。張出部9に、割れや肌荒れが見られないものを、問題なしとして「○」、張出部9に肌荒れが見られたものを「△」、張出部9に割れが見られたものを「×」とした。なお、前記球頭張出試験にあたっては、球頭ポンチ8が被加工材であるアルミニウム合金板の試験片7に接する前に、当該試験片7を工具10で押さえながら行った。
表2に前記各評価の結果を示す。
一方、本発明の必要条件を満たさない比較合金1から比較合金14では、前記各評価項目のいずれかにおいて好ましくない結果を得ることとなった。
次に、良好な評価を得ることができた実施合金1および実施合金2の組成(それぞれ、本発明例Aおよび本発明例Bに該当)と、この実施合金1と同様の組成を有する比較例Aから比較例Cと、実施合金1と組成は異なるものの、請求項2の範囲を全て満足する比較例Dから比較例Gを用いて、表3の比較例Aから比較例Gに挙げる各製造条件に従って包装容器エンド用アルミニウム合金板の製造を試みた。なお、表3中の下線は、本発明の必要条件から外れているものを示す。
一方、比較例Bは、均質化熱処理の温度が高かったために、スラブに一部溶融部分が発生し、同じく圧延を断念した。
表4に、本発明例Aおよび本発明例Bと、比較例Cから比較例Gの包装容器エンド用アルミニウム合金板の評価結果を示す。
一方、本発明の必要条件を満たさない比較例Cから比較例Gでは、前記各評価項目のいずれかにおいて好ましくない結果を得ることとなった。
2 ステイオンタブ(包装容器タブ)
3 リベット部
5 スコア
Claims (2)
- Mgを1.60質量%以上3.00質量%以下、Mnを0.10質量%以上0.50質量%以下、Feを0.15質量%以上0.35質量%以下、Siを0.05質量%以上0.15質量%以下、Tiを0.05質量%以下含有するとともに、
前記Feと前記Siの含有量は、
0<(Feの含有量(質量%)−Siの含有量(質量%)×2)<0.1
の関係式を満たし、かつ、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金の板材であって、
前記板材の板厚中央部におけるAl−Fe−Mn系晶出物およびMg−Si系晶出物の最大サイズを10μm以上20μm以下、Al−Fe−Mn系晶出物とMg−Si系晶出物の面積率の総和を0.4%以上1.2%以下、かつ、耐力を220MPa以上270MPa以下としたことを特徴とする包装容器エンド用アルミニウム合金板。 - Mgを1.60質量%以上3.00質量%以下、Mnを0.10質量%以上0.50質量%以下、Feを0.15質量%以上0.35質量%以下、Siを0.05質量%以上0.15質量%以下、Tiを0.05質量%以下含有し、
前記Feと前記Siの含有量は、
0<(Feの含有量(質量%)−Siの含有量(質量%)×2)<0.1
の関係式を満たし、かつ、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を用いた包装容器エンド用アルミニウム合金板の製造方法であって、
(イ)前記アルミニウム合金からなるスラブの面削を行い、温度条件480℃以上540℃以下で前記スラブの均質化熱処理を行う第一工程と、
(ロ)前記第一工程を行った前記スラブを板厚3.5mm以下に熱間圧延し、かつ、温度条件300℃以上で当該熱間圧延を終了させ、熱間圧延板を得る第二工程と、
(ハ)前記第二工程を行った熱間圧延板を冷却し、完全再結晶化する第三工程と、
(ニ)前記第三工程を行い、冷却した熱間圧延板を冷間圧延することにより総冷間圧延率85%以上93%以下としたアルミニウム合金板を作製する第四工程と、
(ホ)前記第四工程を行った前記アルミニウム合金板を巻取り温度100℃以上170℃以下で巻き取る第五工程と、
を含むことを特徴とする包装容器エンド用アルミニウム合金板の製造方法。
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