JP2007254874A - 包装容器用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

包装容器用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ネック・ネジ成形部からカール成形部にかけての肉厚が厚いボトル缶等においても、しごき成形後にポンチを抜く際に縦割れが生じにくく、加工性に優れる包装容器用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.70質量%、Mnを0.60〜1.00質量%、Feを0.30〜0.60質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されるアルミニウム合金板であって、引張強さが270N/mm以上330N/mm以下であり、かつ、TEMにより観察される最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が100μmあたり3個以上存在することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、キャンボディ材等に使用される包装容器用アルミニウム合金板およびその製造方法に係り、特に、しごき成形後のポンチ引き抜きの際に、開口端に縦割れが生じにくく、成形性に優れる包装容器用アルミニウム合金板およびその製造方法に関する。
従来より、包装容器の1つであるボトル缶としては、図1に示すように、缶胴部2と底部6とが連続して構成される2ピースボトル缶1が使用されている。この2ピースボトル缶1は、その缶胴部2の所定部分にネック部3が形成され、このネック部3のエンド部には、口部4が形成されている。さらに、この2ピースボトル缶1は、口部4の近傍の外周に、キャップ取り付け用のネジ部5、カール部7が形成されている。そして、このような2ピースボトル缶1に使用されるアルミニウム合金板の材料として、Fe、Si、Mn、Mg等の各含有量を調整したJISH4000に規定される3004合金、または3104合金等が用いられ、これを鋳造、均質化熱処理、熱間圧延処理、冷間圧延処理、必要に応じて焼鈍を行った後に冷間圧延を行うことによって、所定のアルミニウム合金板を製造することが提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照。特許文献1では、1ピースボトル缶と記載されている)。
特開2002−256366号公報(段落0021〜0026、0030) 特開2004−010941号公報(段落0011〜0014、0016) 特開2004−124250号公報(段落0035〜0041)
しかしながら、従来のアルミニウム合金板を用いたボトル缶においては、以下に示すような問題があった。
ボトル缶は、キャップ巻締め時に軸方向に打栓荷重がかかるのみならず、横方向からの荷重も加わるため、この複合力に対しても座屈を生じないだけの強度が必要となる。そのため、通常のDI缶に比べ、ネック・ネジ成形部からカール成形部にかけての肉厚を厚くする必要がある。
しかし、その結果、当該部位と缶胴中央部付近の最薄肉部との肉厚差が大きくなり、このことが、しごき成形時におけるポンチの抜け性を悪化させるという問題があった。
即ち、しごき成形後にポンチを抜く際に、開口端部の耳の谷部を起点に縦方向に割れが発生しやすく、不良缶の増加、生産性の低下といった問題を生ずることになる。具体的には、この縦割れがトリミング後も残存すると、カール成形後の最終缶にもこの割れが残り、内容物充填、キャッピング後の密封性を損なうという問題が生ずる。また、この縦割れが原因で製缶工程中において、割れた缶が、ボディーメーカー内やネッカー等で詰まって、次工程に流れなくなる等の現象であるジャムが発生すれば、生産性を大きく阻害することになる。
なお、この開口端部における縦割れは、ボトル缶に限らず従来のDI缶においても、成形条件等によっては起こりうる現象である。
また、従来技術においては、ボトル缶製造に係るネック成形性、トリミング性、カール成形性、表面品質、内面塗膜品質、密封性等に着目した技術が提案されているものの、しごき成形の際の縦割れに関しては容易に解決することはできておらず、不良缶をその都度リジェクトしながらの生産を余儀なくされていた。そのため、やむを得ず缶胴最薄肉部を厚めにして縦割れを回避する方法等が採用されているが、缶胴最薄肉部を厚めにすると、使用メタル量の増加によるコストアップが避けられないという問題があった。
なお、2ピースボトル缶においては、缶胴最薄肉部が約130μm以下になれば、薄いと言える。
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、ネック・ネジ成形部からカール成形部にかけての肉厚が厚いボトル缶等においても、しごき成形後にポンチを抜く際に縦割れが生じにくく、加工性に優れた包装容器用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供するものである。
前記課題を解決するため、請求項1に係る包装容器用アルミニウム合金板は、Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.70質量%、Mnを0.60〜1.00質量%、Feを0.30〜0.60質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されるアルミニウム合金板であって、引張強さが270N/mm以上330N/mm以下であり、かつ、TEMにより観察される最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が100μmあたり3個以上存在することを特徴とする。
このような構成によれば、Cu、Mg、Mn、Fe、およびSiの各含有量を規制し、引張強さを規制したため、強度および加工性が向上する。
また、最大長さ0.3〜1.0μmの析出物の個数を規制したため、熱間圧延時の集合組織のばらつきが生じにくく、しごき成形後の縦割れが生じにくい。
前記課題を解決するため、請求項2に係る包装容器用アルミニウム合金板の製造方法は、Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.70質量%、Mnを0.60〜1.00質量%、Feを0.30〜0.60質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されるアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する第1工程と、前記鋳塊を均質化熱処理する第2工程と、前記均質化熱処理された鋳塊を熱間圧延して圧延板を作製する第3工程と、前記圧延板を冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する第4工程とを含み、前記第2工程の均質化熱処理を、590〜620℃の温度で2時間以上保持したのち550℃まで20℃/h以下の冷却速度で行い、かつ前記第3工程の熱間圧延を、圧延開始温度470〜540℃で行い、かつ、前記第4工程の冷間圧延を、冷間加工率82〜90%で行うことを特徴とする。
このような構成によれば、Cu、Mg、Mn、Fe、およびSiの各含有量を規制したため、強度および加工性が向上する。
また、均質化熱処理の条件を規制することで、未再結晶組織の残存や結晶粒粗大化が起こりにくく、板巾方向において析出物分布が不均一となりにくい。
また、熱間圧延開始温度を所定範囲に規制することで、圧延時の温度低下に伴う板巾方向の温度分布が不均一となりにくく、未再結晶組織の残存や結晶粒粗大化が起こりにくい。
さらに、冷間圧延時の冷間加工率を所定範囲に規制することで、座屈強度や成形性が向上する。
本発明によれば、ネック・ネジ成形部からカール成形部にかけての肉厚が厚いボトル缶等においても、缶胴最薄肉部を厚肉化させることがないため、使用メタル量を増加させることなく、また、しごき成形後にポンチを抜く際に縦割れが生じにくく、加工性に優れる包装容器用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することができる。
本発明は、包装容器用アルミニウム合金板(以下、アルミニウム合金板と称す)の成分、引張強さおよびTEMにより観察される析出物の最大長さ、量を所定範囲に規制することを特徴とするアルミニウム合金板およびその製造方法である。
以下、アルミニウム合金板の成分の限定理由およびアルミニウム合金板の特性について、包装容器の1つであるボトル缶を例にとって説明する。
≪アルミニウム合金板の成分≫
<Cu>
Cuは、アルミニウム合金板の強度に寄与する元素である。Cuの含有量が0.10質量%未満では、缶の強度、特に、軸方向荷重に対するネジ部の強度および缶胴部の座屈強度が不足し、0.35質量%を超えると、しごき成形時の加工力が過大となり、その結果、縦割れの発生により不良缶の発生率が高くなる。
したがって、Cuの含有量は、0.10〜0.35質量%とする。
<Mg>
Mgは、アルミニウム合金板の強度に寄与する元素である。Mgの含有量が0.80質量%未満では、缶の強度、特に、軸方向荷重に対するネジ部の強度および缶胴部の座屈強度が不足し、1.70質量%を超えると、しごき成形時の加工力が過大となり、その結果、縦割れの発生により不良缶の発生率が高くなる。
したがって、Mgの含有量は、0.80〜1.70質量%とする。
<Mn>
Mnは、アルミニウム合金板の強度に寄与する元素である。Mnの含有量が0.60質量%未満では、缶の強度、特に、軸方向荷重に対するネジ部の強度および缶胴部の座屈強度が不足し、1.00質量%を超えると、印刷、焼付け後のネック部の延性が不足するため、ネック成形時のシワの発生、ひいてはカール割れによる不良缶の発生率が高くなり、実用に適さない。
したがって、Mnの含有量は、0.60〜1.00質量%とする。
<Fe>
Feは、アルミニウム合金板の耳率を適正範囲にコントロールするとともに、金属間化合物を適正に分散させて、成形性を向上させるのに効果的な元素である。
Feの含有量が0.30質量%未満では、0−180°耳の増大により、しごき成形後にポンチを抜く際に、耳の谷部を起点に縦割れを誘発して不良缶の発生率が高くなる。0.60質量%を超えると、金属間化合物の最大長さおよび密度が増大し、カール成形時の割れの発生による不良缶の発生率が高くなり、実用に適さない。
したがって、Feの含有量は、0.30〜0.60質量%とする。
<Si>
Siは、アルミニウム合金板の耳率を適正範囲にコントロールして、成形性を向上させるのに効果的な元素である。
Siの含有量が0.10質量%未満では、45°耳が増大する。0.40質量%を超えると、熱間圧延時の集合組織のばらつきを招き、局部的な45°耳の耳高が発生する。いずれの場合も、しごき成形後にポンチを抜く際に、耳の谷部を起点に縦割れを誘発して、不良缶の発生率が高くなる。
したがって、Siの含有量は、0.10〜0.40質量%とする。
<不可避的不純物>
不可避的不純物として、Cr:0.10質量%以下、Zn:0.50質量%以下、Ti:0.10質量%以下、Zr:0.10質量%以下、B:0.05質量%以下の含有は本発明の効果を妨げるものではなく、このような不可避的不純物の含有は許容される。
≪アルミニウム合金板の特性≫
<引張強さが270N/mm以上330N/mm以下>
引張強さが270N/mm未満では、缶の強度、特に、軸方向荷重に対するネジ部の強度および缶胴部の座屈強度が不足し、330N/mmを超えると、しごき成形時の加工力が過大となり、縦割れを誘発して不良缶の発生率が高くなる。
なお、前記の特性は、Cu、Mg、Mnの含有量や熱間圧延、冷間圧延の条件により制御する。
<TEMにより観察される最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が100μmあたり3個以上>
TEMにより観察される最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が、100μmあたり3個未満の場合は、熱間圧延時の集合組織のばらつきにより、局部的な45°耳が増大する。その結果、しごき成形後にポンチを抜く際に、耳の谷部を起点に縦割れを誘発するため、不良缶の発生率が高くなる。
ここで、析出物とは、Al−Mn−Fe系金属間化合物のことである。
なお、前記の特性は、均質化熱処理、熱間圧延の条件により制御する。
以上説明したように構成されるアルミニウム合金板は、各種のアルミニウム缶に適用することが可能であり、例えば、図1に示すような2ピースボトル缶の他、3ピースボトル缶等にも適用することができる。
次に、本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法について説明する。
アルミニウム合金板の製造方法は、第1工程、第2工程、第3工程および第4工程を含むものである。
以下、各工程について説明する。
<第1工程>
第1工程は、アルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する工程である。
ここで、アルミニウム合金の成分は、Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.70質量%、Mnを0.60〜1.00質量%、Feを0.30〜0.60質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。各成分の説明は、前記したとおりであるため、ここでは省略する。
<第2工程>
第2工程は、第1工程で作製された鋳塊を均質化熱処理する工程である。
ここで、均質化熱処理は、590〜620℃の温度で2時間以上保持したのち550℃まで20℃/h以下の冷却速度で冷却する。
均質化熱処理の温度が590℃未満では、未再結晶組織の残存もしくは結晶粒の粗大化により、アルミニウム合金板の加工性が低下する。また、最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が不足し、しごき成形時の縦割れを誘発するため不良缶の発生率が高くなるとともに、カール成形性も劣る。620℃を超えると、スラブ表面がバーニングを起こし、アルミニウム合金板の製造そのものができなくなる。
550℃までの冷却速度が20℃/hを超えると、冷却過程におけるスラブ内の温度の均一性が損なわれ、板巾方向において析出物の分布が不均一となる。この結果、とくに板巾方向端部で最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が不足し、しごき成形時の縦割れを誘発するため不良缶の発生率が高くなる。
<第3工程>
第3工程は、第2工程で均質化熱処理された鋳塊を熱間圧延して圧延板を作製する工程である。
ここで、熱間圧延は、圧延開始温度を470〜540℃の条件下で行う。
圧延開始温度が470℃未満では、未再結晶組織の残存により強度の増大や結晶粒粗大化を招き、しごき成形時の縦割れを誘発するため不良缶の発生率が高くなるとともに、カール成形性も劣る。
540℃を超えると、圧延時の温度低下に伴う板巾方向の温度分布が不均一となり、板巾方向において析出物の分布が不均一となる。この結果、とくに板巾方向端部で最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が不足し、しごき成形時の縦割れを誘発するため不良缶の発生率が高くなる。
<第4工程>
第4工程は、第3工程で作製された圧延板を冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する工程である。
ここで、冷間圧延は、冷間圧延時の冷間加工率を82〜90%の条件下で行う。
冷間圧延時の冷間加工率が82%未満では、アルミニウム合金板の強度不足により缶胴部の座屈強度が不足する。
90%を超えると、アルミニウム合金板の強度増大により、しごき成形時の縦割れを誘発するため不良缶の発生率が高くなる。
次に、前記のアルミニウム合金板を用いた包装容器用ボトル缶の製造方法について説明する。
本発明に係るアルミニウム合金板を、図1に示すような2ピースボトル缶1に適用する場合には、図2に示すように、本発明に係るアルミニウム合金板からなるアルミニウム合金板Aに対してカッピングとDI成形(しごき成形)とを施して、缶胴部2と底部6とを備えるしごき成形缶を製造する。次に、しごき成形缶(缶胴部2)の缶胴部端部2aをトリミングにより整え、図示しない洗浄、印刷・焼付け(210℃で10分間の熱処理)を施した後に、しごき成形缶(缶胴部2)にダイネック加工等によりネッキングを施してネック部3を形成し、その開口部を口部4とする。その後、この口部4の近傍の外周にネジ成形を施してスクリューキャップ取り付け用のネジ部5を形成し、カール成形を施してカール部7を形成することで、2ピースボトル缶1を製造する。
次に、本発明に係る包装容器用アルミニウム合金板について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
<アルミニウム合金板の作製>
表1に示すような合金組成を備えたアルミニウム合金を溶解、鋳造し、次に均質化熱処理(4時間処理)、続いて熱間粗圧延、熱間仕上げ圧延を順次行い、ホットコイルを製造した。さらに、このホットコイルに冷間圧延を施し、製缶用の元板(板厚0.360mm)とした。
なお、均質化熱処理、熱間粗圧延および冷間圧延における各条件については、表1に示すとおりである。
また、表1において、請求項の発明の構成を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 2007254874
<アルミニウム合金板の特性>
次に、このようにして製造されたアルミニウム合金板について、以下の特性を調べた。
(引張強さ)
前記の方法により作製されたアルミニウム合金板より、JIS5号試験片を作製して引張試験を行い、引張強さを測定した。
(TEM観察による最大長さ0.3〜1.0μmの析出物個数)
最大長さ0.3〜1.0μmの析出物観察は、以下の要領で行った。
(1)アルミニウム合金板に機械研磨と化学研磨を施すことによりTEM観察用の薄膜を作製し、薄膜の組織を5000〜10000倍のTEMにより観察した。
(2)この際、観察は約10μm×約15μmの大きさで4視野について行いそれぞれの視野から100μmあたりの個数を求め、最大長さ0.3〜1.0μmの析出物の個数の平均値で評価した。
(3)なお、上記手順にて、板巾方向のセンターと両エッジの3箇所を観察した。
<ボトル缶作製法>
次に、実施例1〜6および比較例1〜16の冷延板に、図2に示すようにカッピングを施してブランク径160mm、カップ径94mmのカップを作製した。次いで缶胴部の内径66mm、缶胴最薄肉部125μm、ネック部厚215μmになるようにDI成形(しごき成形)を施し、210℃、10分のベーキング処理を行った後、更に口部の内径が40mmになるまでダイネック方式でネッキングを施してネッキング品を作製した。このネッキング品のネック部に、ネジ成形およびカール成形を行うことで、ネジ部、カール部を形成して2ピースボトル缶とした。
≪評価方法≫
前記のDI成形品、2ピースボトル缶を使用して、縦割れの発生率、カール成形性、および座屈強度の評価を以下の方法で行った。
<縦割れ評価>
DI成形を1000缶行った際の縦割れの発生数で評価を行った。割れの発生数が4缶以下であったものを「○(良好)」、5缶以上発生したものを「×(不良)」とした。
(カール成形性)
前記の2ピースボトル缶(サンプル数=50)において、カール部の割れの有無を確認することにより、カール成形性を評価した。割れの発生が見られなかったものを「○(良好)」、1缶でも割れの発生が見られたものを「×(不良)」とした。
<座屈強度>
前記の2ピースボトル缶(サンプル数=10)に軸方向の圧縮荷重を負荷し、ネック部または缶胴部が座屈したときの荷重を測定して、その平均値を座屈強度とした。この座屈強度は、1500N以上であるものを「○(良好)」、1500N未満であるものを「×(不良)」とした。
前記の各試験結果を表2に示す。
Figure 2007254874
表1、表2に示すように、実施例1〜6は、いずれも、本発明で規制した条件を満足しているので、縦割れ評価、カール成形性および座屈強度のいずれにおいても良好であった。
一方、比較例1〜16は、本発明の要件のうちのいずれかを満たしていないので、縦割れ評価、カール成形性および座屈強度のいずれか1つか2つについて好ましくない結果が得られた。
以下に、比較例の試験結果について説明する。
比較例1は、Cuが本発明の下限値未満、かつ引張強さが本発明の下限値未満のもの、比較例2は、Cuが本発明の上限値を超え、かつ引張強さが本発明の上限値を超えるもの、比較例3は、Mgが本発明の下限値未満、かつ引張強さが本発明の下限値未満のもの、比較例4は、Mgが本発明の上限値を超え、かつ引張強さが本発明の上限値を超えるもの、比較例5は、Mnが本発明の下限値未満、かつ引張強さが本発明の下限値未満のものである。
比較例6は、Mnが本発明の上限値を超えるもの、比較例7は、Feが本発明の下限値未満のもの、比較例8は、Feが本発明の上限値を超えるもの、比較例9は、Siが本発明の下限値未満のもの、比較例10は、Siが本発明の上限値を超えるもの、比較例11は、均質化熱処理温度が本発明の下限値未満、かつ最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が本発明の下限値未満のもの、比較例12は、均質化熱処理後、550℃までの冷却速度が本発明の上限値を超え、かつ最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が本発明の下限値未満のものである。
比較例13は、熱間圧延開始温度が本発明の上限値を超え、かつ最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が本発明の下限値未満のもの、比較例14は、熱間圧延開始温度が本発明の下限値未満、かつ引張強さが本発明の上限値を超えるもの、比較例15は、冷間圧延時の冷間加工率が本発明の下限値未満、かつ引張強さが本発明の下限値未満のもの、比較例16は、冷間圧延時の冷間加工率が本発明の上限値を超え、かつ引張強さが本発明の上限値を超えるものである。
比較例1は、Cuの濃度、引張強さの値が低いため、缶強度が不足し、座屈強度が不良であった。
比較例2は、Cuの濃度、引張強さの値が高いため、しごき成形時の加工力が過大となり、縦割れの発生により不良缶の発生率が高かった。
比較例3は、Mgの濃度、引張強さの値が低いため、缶強度が不足し、座屈強度が不良であった。
比較例4は、Mgの濃度、引張強さの値が高いため、しごき成形時の加工力が過大となり、縦割れの発生により不良缶の発生率が高かった。
比較例5は、Mnの濃度、引張強さの値が低いため、缶強度が不足し、座屈強度が不良であった。
比較例6は、Mnの濃度が高いため、ネック部の延性が不足し、カール割れによる不良缶の発生率が高かった。
比較例7は、Feの濃度が低いため、0−180°耳の増大により、しごき成形後にポンチを抜く際に耳の谷部を起点に縦割れを誘発したため、不良缶の発生率が高かった。
比較例8は、Feの濃度が高いため、金属間化合物の最大長さ、密度が増大し、カール成形時の割れの発生により、不良缶の発生率が高かった。
比較例9は、Siの濃度が低いため、45°耳の増大により、しごき成形後にポンチを抜く際に耳の谷部を起点に縦割れを誘発したため、不良缶の発生率が高かった。
比較例10は、Siの濃度が高いため、局部的な45°耳の耳高が発生し、しごき成形後にポンチを抜く際に、耳の谷部を起点に縦割れを誘発したため、不良缶の発生率が高かった。
比較例11は、均質化熱処理温度が低いため、未再結晶組織の残存もしくは結晶粒の粗大化により、しごき成形時の縦割れを誘発したため、不良缶の発生率が高く、カール成形性も劣っていた。また、最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が少ないため、熱間圧延時の集合組織のばらつきにより局部的な45°耳が増大し、しごき成形後にポンチを抜く際に、耳の谷部を起点に縦割れを誘発したため、不良缶の発生率が高かった。
比較例12は、均質化熱処理後、550℃までの冷却速度が早いため、冷却過程におけるスラブ内の温度均一性が損なわれ、板巾方向において析出物分布が不均一となった。そのため、特に、板巾方向端部で最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が不足し、しごき成形時の縦割れを誘発したため不良缶の発生率が高かった。また、最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が少ないため、熱間圧延時の集合組織のばらつきにより局部的な45°耳が増大し、しごき成形後にポンチを抜く際に、耳の谷部を起点に縦割れを誘発したため、不良缶の発生率が高かった。
比較例13は、熱間圧延開始温度が高いため、圧延時の温度低下に伴う板巾方向の温度分布が不均一となり、板巾方向において析出物分布が不均一となった。そのため、特に、板巾方向端部で最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が不足し、しごき成形時の縦割れを誘発したため不良缶の発生率が高かった。また、最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が少ないため、熱間圧延時の集合組織のばらつきにより局部的な45°耳が増大し、しごき成形後にポンチを抜く際に、耳の谷部を起点に縦割れを誘発したため、不良缶の発生率が高かった。
比較例14は、熱間圧延開始温度が低いため、未再結晶組織の残存により強度の増大、結晶粒粗大化を招き、しごき成形時の縦割れを誘発したため、不良缶の発生率が高く、カール成形性も劣っていた。また、引張強さが高いため、しごき成形時の加工力が過大となり、縦割れを誘発したため、不良缶の発生率が高かった。
比較例15は、冷間圧延時の冷間加工率が低く、また、引張強さが低いため、缶強度が不足し、座屈強度が不良であった。
比較例16は、冷間圧延時の冷間加工率が高いため、強度増大によりしごき成形時の縦割れを誘発し、また、カール成形性も劣っていたため、不良缶の発生率が高かった。また、引張強さが高いため、しごき成形時の加工力が過大となり、縦割れを誘発したため不良缶の発生率が高かった。
ボトル缶の構成を示す模式図である。 ボトル缶の製造方法を示す模式図である。
符号の説明
1 2ピースボトル缶
2 缶胴部
2a 缶胴部端部
3 ネック部
4 口部
5 ねじ部
6 底部
7 カール部

Claims (2)

  1. Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.70質量%、Mnを0.60〜1.00質量%、Feを0.30〜0.60質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されるアルミニウム合金板であって、
    引張強さが270N/mm以上330N/mm以下であり、かつ、
    TEMにより観察される最大長さ0.3〜1.0μmの析出物が100μmあたり3個以上存在することを特徴とする包装容器用アルミニウム合金板。
  2. Cuを0.10〜0.35質量%、Mgを0.80〜1.70質量%、Mnを0.60〜1.00質量%、Feを0.30〜0.60質量%、Siを0.10〜0.40質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されるアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する第1工程と、
    前記鋳塊を均質化熱処理する第2工程と、
    前記均質化熱処理された鋳塊を熱間圧延して圧延板を作製する第3工程と、
    前記圧延板を冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する第4工程とを含み、
    前記第2工程の均質化熱処理を、590〜620℃の温度で2時間以上保持したのち550℃まで20℃/h以下の冷却速度で行い、かつ
    前記第3工程の熱間圧延を、圧延開始温度470〜540℃で行い、かつ、
    前記第4工程の冷間圧延を、冷間加工率82〜90%で行うことを特徴とする包装容器用アルミニウム合金板の製造方法。
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