JP6468405B1 - 鋼板およびその製造方法と王冠およびdrd缶 - Google Patents

鋼板およびその製造方法と王冠およびdrd缶 Download PDF

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Abstract

質量%で、C:0.0060%超0.0100%以下、Si:0.05%以下Mn:0.05%以上0.60%以下、P:0.050%以下、S:0.050%以下、Al:0.020%以上0.050%以下、N:0.0140%超0.0180%以下およびCr:0.040%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成と、圧延方向の時効指数が25〜55MPaおよび降伏強度が620〜700MPaである機械的性質とをそなえるものとすることによって、薄肉化しても十分な強度と優れた成形性を備える鋼板を提供する。

Description

本発明は、鋼板、特に成形性に優れる高強度薄鋼板およびその製造方法に関するものである。このような鋼板の典型例としては、絞り加工と再絞り加工とを組み合わせて成形されるDRD(Drawing and Redrawing)缶の他、ガラス瓶などの栓として用いられる王冠の素材として供する、薄鋼板がある。さらに、本発明は、前記鋼板を成形して得られる王冠およびDRD缶に関するものである。
さて、清涼飲料水や酒類などの飲料用の容器には、従来ガラス瓶が多く用いられている。特に、細口のガラス瓶には、王冠と呼ばれる金属製の栓が広く用いられている。一般的に、王冠は、薄鋼板を素材としてプレス成形によって製造され、瓶の口を塞ぐ円盤状の部分と、その周囲に設けられた襞状の部分からなり、襞状の部分を瓶の口にかしめることによって瓶を密封する。
王冠が用いられる瓶には、ビールや炭酸飲料など、高い内圧を生じる内容物が充填されることが多い。このため、温度の変化などで内圧が高まった場合にも、王冠が変形して瓶の密封が破られることがないように、王冠には、高い耐圧強度が必要である。また、素材の強度が十分であっても、王冠に用いられる鋼板の材質均一性が低い場合は、王冠の形状が不揃いになって製品規格から外れるものが含まれることになる。このような不良形状の王冠を瓶の口にかしめても十分な密封性が得られない場合が生じるため、王冠の素材となる鋼板は材質均一性に優れていることも必要である。
王冠の素材に供する薄鋼板には、主にSR(Single Reduced)鋼板が用いられている。これは、冷間圧延により鋼板を薄くした後に、焼鈍を施し、調質圧延を行うものである。従来の王冠用鋼板の板厚は、一般的に0.22mm以上であり、食品や飲料の缶などに用いる軟鋼を素材としたSR材を適用することで十分な耐圧強度と成形性を確保することが可能であった。
近年、缶用鋼板と同様に、王冠用鋼板についてもコストダウンを目的とした薄肉化の要求が高まっている。王冠用鋼板の板厚が、0.22mm未満とりわけ0.20mm以下になると、従来のSR材で製造した王冠では耐圧強度が不足することになる。王冠用鋼板として耐圧強度を確保するためには、薄肉化に伴う強度の低下を補う必要があり、焼鈍後に再度冷間圧延を施して加工硬化させる、DR(Double Reduced)鋼板が適用されている。
ところで、王冠は、成形初期に中央部がある程度絞られ、その後、外縁部が襞形状に成形される。ここで、王冠の素材が材質均一性の低い鋼板であると、該鋼板から製造される、王冠は外径および高さが不揃いになって製品規格から外れることがある。王冠の外径および高さが不揃いになって製品規格から外れるものがあると、大量に王冠を製造した際の歩留りが低下するといった問題がある。さらに、外径および高さが規格を外れた王冠は、瓶に打栓された後の輸送中に内容物の漏洩が生じ易く、蓋としての役割を果たさないといった問題もある。また、王冠の外径および高さが製品規格内であっても、鋼板強度が低い場合には、耐圧強度不足により王冠が外れる可能性がある。特に、板厚が例えば0.17mm以下と薄い場合には、従来の耐圧強度基準では王冠が外れることが多く、従来に比べて、より高い耐圧強度が要求されている。
また、DRD缶の素材として、材質均一性の低い鋼板を適用すると、DRD缶の成形時に缶のフランジ部に発生する皺に代表される、形状不良をまねく可能性がある。このDRD缶についても、形状不良により製品規格から外れるものがあると、大量に王冠を製造した際の歩留りが低下するという、上記した王冠の場合と同様の問題となる。
以上の点を踏まえた、王冠用の高強度薄鋼板について、例えば特許文献1には、質量%で、C:0.0010%以上0.0060%以下、Si:0.005%以上0.050%以下、Mn:0.10%以上0.50%以下、P:0.040%以下、S:0.040%以下、Al:0.1000%以下、N:0.0100%以下を含有し、圧延方向に対して25〜65°の方向のr値の最小値と全方向のr値の平均値、および降伏強度を適切に制御することにより薄厚でも十分な王冠耐圧を満たす王冠用鋼板およびその製造方法が開示されている。
特許第6057023号公報
特許文献1に記載の鋼板は、0.0060%以下のCを含有した鋼を用い、二次冷間圧延におけるスタンド間張力と焼鈍温度を所定の関係とすることにより、王冠加工に適したr値(方向・大きさ)を得ている。この方法は、金属組織形成に影響を及ぼす熱間圧延工程を制御していないために、得られる鋼板は材質のばらつきが大きくなり、実用に供するのは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、薄肉化しても十分な強度と優れた成形性を備える鋼板およびその製造方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、所定の寸法および形状に整えられる、形状安定性に優れた王冠およびDRD缶を提供することにある。
発明者らは、上記した課題を解決するための方途について鋭意究明したところ、所定の成分組成の下に機械的性質を特定することによって、高強度かつ優れた成形性を付与できることを見出した。本発明はこの知見に由来するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で、
C:0.0060%超0.0100%以下、
Si:0.05%以下、
Mn:0.05%以上0.60%以下、
P:0.050%以下、
S:0.050%以下、
Al:0.020%以上0.050%以下、
N:0.0140%超0.0180%以下および
Cr:0.040%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、
圧延方向の時効指数が25〜55MPaであり、
降伏強度が620〜700MPaである鋼板。
(2)板厚が0.20mm以下である前記(1)に記載の鋼板。
(3)前記(1)または(2)に記載の鋼板からなる王冠。
(4)前記(1)または(2)に記載の鋼板からなるDRD缶。
(5)前記(1)または(2)に記載の鋼板の製造方法であり、
鋼素材を1200℃以上で加熱し、仕上げ圧延温度:870℃以上および最終スタンドの圧下率:10%以上の条件にて圧延を施して550〜750℃の温度範囲内で巻取る熱間圧延工程と、
前記熱間圧延後の熱延板に酸洗を行う酸洗工程と、
前記酸洗後の熱延板に、圧下率:88%以上の冷間圧延を行う一次冷間圧延工程と、
前記一次冷間圧延後の冷延板を、660〜760℃の温度域に60秒以下で保持したのち、10℃/s以上の平均冷却速度で450℃以下の温度域まで冷却し、次いで5℃/s以上の平均冷却速度で140℃以下の温度域まで冷却する焼鈍工程と、
前記焼鈍板に、10%以上40%以下の圧下率で冷間圧延を行う二次冷間圧延工程と、を有する鋼板の製造方法。
本発明によれば、薄肉化しても十分な強度を有しかつ成形性に優れる鋼板を、その有利な製造方法と共に提供することができる。さらに、本発明の鋼板を例えば王冠用あるいはDRD缶用に供した場合に、高い耐圧強度を安定して有する王冠あるいは形状安定性に優れたDRD缶を成形することができる。
本発明に係る鋼板は、質量%で、C:0.0060%超0.0100%以下、Si:0.05%以下、Mn:0.05%以上0.60%以下、P:0.050%以下、S:0.050%以下、Al:0.020%以上0.050%以下、N:0.0140%超0.0180%以下およびCr:0.040%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、圧延方向の時効指数が25〜55MPaである。
まず、鋼板の成分組成における各成分量の限定理由から順に説明する。なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を示す。
C:0.0060%超0.0100%以下
Cの含有量を0.0060%以下とすると、後述の二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、例えば王冠用に供した場合に、耐圧強度が低下する。同様に、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生し形状不良の缶となる。一方、C含有量が0.0100%超となると、二次冷間圧延後の鋼板のフェライトが微細となりすぎて鋼板強度が過剰に上昇して成形性が劣化し、例えば王冠用に供した場合に、成形した王冠の形状が劣化することに起因して、耐圧強度が低下する。同様に、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生し形状不良の缶となる。よって、Cの含有量は0.0060%超0.0100%以下とする。好ましくは、Cの含有量は0.0065%以上0.0090%以下とする。
Si:0.05%以下
Siを多く含むと鋼板強度が過剰に上昇して成形性が劣化し、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。よって、Siの含有量は0.05%以下とする。また、過剰にSiを低下させることは製鋼コストの増大を招くため、Siの含有量は0.004%以上とすることが好ましい。より好ましくは、0.01%以上0.03%以下である。
Mn:0.05%以上0.60%以下
Mnの含有量が0.05%を下回ると、Sの含有量を低下させても熱間脆化を回避することが困難になり、連続鋳造時に表面割れなどの問題が生じる。よって、Mnの含有量は0.05%以上とする。一方、Mnを多く含むと、Cと同様の理由により、例えば王冠用に供した場合に、成形した王冠の形状が劣化して耐圧強度が低下する。同様に、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。よって、Mnの含有量は0.60%以下とする。好ましくは、Mnの含有量は0.10%以上0.50%以下である。
P:0.050%以下
Pの含有量が0.050%を超えると、鋼板が過剰に硬質化し、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、例えば王冠用に供した場合に、成形した王冠の形状が劣化するとともに、耐圧強度が低下する。同様に、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。よって、Pの含有量の上限値は0.050%とする。また、Pを0.001%未満とするには脱Pコストが過大となるため、Pの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
S:0.050%以下
Sは、鋼板中でMnと結合してMnSを形成し、多量に析出することで鋼板の熱間延性を低下させる。Sの含有量が0.050%を超えるとこの影響が顕著となる。よって、Sの含有量の上限値は0.050%とする。また、Sを0.005%未満とするには脱Sコストが過大となるため、Sの含有量は0.004%以上とすることが好ましい。
Al:0.020%以上0.050%以下
Alは、脱酸剤として含有させる元素であり、また鋼中のNとAlNを形成し、鋼中の固溶Nを減少させる。Al含有量が0.020%未満であると脱酸剤としての効果が不十分になり、凝固欠陥の発生を招くとともに製鋼コストが増大する。さらに、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、例えば王冠用に供した場合に耐圧強度が低下する。同様に、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。一方、Alの含有量が0.050%超となると、AlNの形成が増加して、後述する固溶Nとして鋼板強度に寄与するN量が低減し、鋼板強度が低下するため、Al含有量は0.050%以下とする。好ましくは、Al含有量は0.030%以下0.045%以下である。
N:0.0140%超0.0180%以下
Nの含有量を0.0140%以下とすると、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、例えば王冠用に供した場合に耐圧強度が低下するとともに、後述する固溶Nとして鋼板強度に寄与するN量が低減し、鋼板強度が低下する。あるいは、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生し形状不良の缶となる。一方、N含有量が0.0180%超となると、上記の時効指数が55MPa超となり、二次冷間圧延後の鋼板が過剰に硬質化し、例えば王冠用に供した場合に、成形した王冠の形状が劣化して耐圧強度が低下する。あるいは、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。好ましくは、Nの含有量は0.0150%超0.0170%以下とする。
Cr:0.040%以下
Crの含有量が0.040%を超えると、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、例えば王冠用に供した場合に耐圧強度が低下するとともに、固溶Cとして鋼板強度に寄与するC量が低減し、鋼板強度が低下する。あるいは、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。よって、Crの含有量の上限値は0.040%とする。また、Crを0.001%未満とするためには製鋼コストが過大となるため、Crの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
以上の成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物とする。
次に、本発明に係る鋼板の機械的性質として、圧延方向の時効指数が25〜55MPaであることが肝要である。
すなわち、鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となると、該鋼板を例えば王冠用に供して多数の王冠を成形して耐圧試験に供した場合に、耐圧強度の低い王冠が散見されることになり、王冠を製造する際の歩留りが低下する。あるいは、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。一方、時効指数が55MPaを超えると、鋼板強度が過剰に上昇するために、例えば王冠用に供した際に王冠の形状が不均一となり、多数の王冠を成形して耐圧試験に供した場合に、耐圧強度の低い王冠が散見されることになり、王冠を製造する際の歩留りが低下する。あるいは、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。
ここで、鋼板の圧延方向の時効指数は、鋼板の圧延方向に平行にJIS5号サイズの引張試験片を採取して、「JIS G3135」を参考に試験を行って得られる。すなわち、試験片に予ひずみ8%を与えて、そのときの荷重(8%予ひずみ荷重;P1)を読み取り、その後荷重を除去した。次いで、予ひずみを与えた試験片に100℃で1時間の熱処理を施した。熱処理後に引張試験を実施して降伏荷重(熱処理後荷重;P2)を読み取り、次式で時効指数を求めた。
時効指数=(P2−P1)/A (A;予ひずみ前の試験片平行部断面積)
上記を満足する時効指数は、成分組成を調整し、熱間圧延工程での加熱温度、仕上げ圧延温度、最終スタンドの圧下率、巻取り温度を調整し、一次冷間圧延率の圧下率を調整し、連続焼鈍工程での冷却速度を調整し、二次冷間圧延工程における圧下率を調整することで得ることができる。なお、製造条件の詳細については、後述する。
以上の成分組成および機械的性質を有する鋼板では、例えば0.20mm以下の板厚であっても、高い強度、具体的には620MPa以上の降伏強度を確保することができる。
すなわち、本発明の鋼板には、例えば王冠に供する場合に、瓶の口にかしめた王冠が内圧によって外れないための、耐圧強度が求められる。従来用いられてきた王冠用鋼板の板厚は0.22mm以上であったが、板厚を0.20mm以下、特に0.18mm以下とする薄肉化にあたっては、従来よりも高い強度が必要となる。鋼板の降伏強度が620MPa未満であると、上記のような薄肉化した王冠に十分な耐圧強度を付与することが不可能である。そのためには、降伏強度は620MPa以上である必要がある。降伏強度が高すぎると王冠成形時に王冠高さが低くなり王冠形状が不均一となるため、圧延方向の降伏強度は700MPa以下である必要がある。
なお、降伏強度は「JIS Z 2241」に示される金属材料引張試験方法により測定できる。
次に、本発明に係る鋼板の製造方法について説明する。
本発明の鋼板は、上記成分組成からなる鋼素材(鋼スラブ)を、1200℃以上で加熱し、仕上げ圧延温度が870℃以上で、最終スタンドの圧下率が10%以上とし、550〜750℃の温度範囲内で巻取る熱間圧延工程と、前記熱間圧延後に酸洗する酸洗工程と、前記酸洗工程後に、圧下率が88%以上で冷間圧延する一次冷間圧延工程と、前記一次冷間圧延後に、均熱温度が660〜760℃の温度域にある保持時間が60秒以下とし、10℃/s以上の平均冷却速度で450℃以下の温度域まで冷却し、5℃/s以上の平均冷却速度で140℃以下の温度域まで冷却する連続焼鈍工程と、10%以上40%以下の圧下率で二次冷間圧延を行うことで製造される。
なお、以下の説明において、温度の規定は鋼板の表面温度を基準とする。また、平均冷却速度は表面温度を基に計算して得られた値とする。例えば、均熱温度から450℃以下の温度域までの平均冷却速度は((均熱温度−(450℃以下の温度域))/均熱温度から(450℃以下の温度域)までの冷却時間)で表される。なお、上式における「450℃以下の温度域」とは該温度域にある冷却停止温度を意味している。
本発明に係る鋼板を製造する際は、転炉などを用いた公知の方法により、溶鋼を上記の化学成分に調整し、その後、例えば連続鋳造法によるスラブとして、鋼素材とする。
(鋼素材加熱温度:1200℃以上)
熱間圧延工程の鋼素材の加熱温度は1200℃以上とする。該加熱温度が1200℃未満であると、本発明において強度を確保するために必要な固溶N量が低減し、強度が低下するため、1200℃以上とする。なお、本発明の鋼組成では鋼中Nは主にAlNとして存在すると考えられるため、Nの総量(Ntotal)からAlNとして存在するN量(NasAlN)を差し引いた(Ntotal−(NasAlN))を固溶N量とみなした。鋼板の圧延方向の降伏強度を600MPa以上とするためには、固溶N量は0.0141%以上であることが好ましく、鋼素材加熱温度を1200℃以上とすることで確保することができる。より好ましい固溶N量は、0.0150%以上であり、そのためには鋼素材加熱温度を1220℃以上とするとよい。鋼素材加熱温度は1300℃超としても効果が飽和するため1300℃以下が好ましい。
(仕上げ圧延温度:870℃以上)
熱間圧延工程の仕上げ温度が870℃未満となると、鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、例えば王冠用に供した場合に耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。従って、仕上げ温度は、例えばDRD缶用に供した場合、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良を生じる。従って、仕上げ温度は、870℃以上とする。一方、必要以上に仕上げ圧延温度を高くすることは薄鋼板の製造を困難にする場合がある。具体的には、仕上げ圧延温度は870℃以上950℃以下の温度範囲内とすることが好ましい。
(最終スタンドの圧下率:10%以上)
熱間圧延工程の最終スタンドの圧下率は10%以上とする。最終スタンドの圧下率が10%未満となると、鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、例えば王冠用に供した場合に耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。従って、最終スタンドの圧下率は10%以上とする。フェライト粒径の標準偏差を小さくするには最終スタンドの圧下率は12%以上とすることが好ましい。最終スタンドの圧下率の上限は、圧延荷重の観点で15%以下とすることが好ましい。
(巻取温度:550〜750℃)
熱間圧延工程の巻取温度が550℃未満となると、鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、例えば王冠用に供した場合に耐圧強度が低下するため、あるいは、例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。従って、巻取温度は550℃以上とする。一方、巻取温度が750℃より高くなると、鋼板のフェライトの一部が粗大化し、鋼板の強度が低下し、例えば王冠用に供した場合に耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。従って、巻取温度は750℃以下が好ましい。好ましくは600℃以上700℃以下である。
(酸洗)
その後、酸洗を行うことが好ましい。酸洗は、表層スケールが除去できればよく、特に条件を限定する必要はない。
次に、冷間圧延は、焼鈍を挟む2回に分けて行う。
(一次冷間圧延圧下率:88%以上)
まず、一次冷間圧延工程の圧下率は88%以上とする。一次冷間圧延工程の圧下率は88%未満となると冷間圧延で鋼板に付与されるひずみが低下するため、連続焼鈍工程における再結晶が不均一となり、再結晶後のフェライト粒径のサイズのばらつきが大きくなり、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となって耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。従って、一次冷間圧延工程の圧下率は88%以上とする。より好ましくは89〜94%とする。
一次冷間圧延後の焼鈍工程では、660〜760℃の温度域に60秒以下で保持したのち、10℃/s以上の平均冷却速度で450℃以下の温度域まで冷却する前段冷却と、次いで5℃/s以上の平均冷却速度で140℃以下の温度域まで冷却する後段冷却と、を行う。
(均熱温度:660〜760℃)
すなわち、連続焼鈍工程における均熱温度は、660〜760℃の温度で行う。均熱温度を760℃超とすると、連続焼鈍においてヒートバックルなどの通板トラブルが発生しやすくなり、好ましくない。また、鋼板のフェライト粒径が一部粗大化し、鋼板の強度が低下するとともに、鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、例えば王冠用に供した場合に耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。一方、焼鈍温度が660℃未満であると、再結晶が不完全となり、鋼板のフェライト粒径が一部細かくなり、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となって耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。従って、均熱温度は、660〜760℃の温度で行うこととする。好ましくは、680〜730℃の温度で行う。
均熱温度が660〜760℃の温度域にある保持時間は60秒以下とする。保持時間が60秒を超えると、鋼板に含有するCがフェライト粒界へ偏析して、連続焼鈍工程での冷却過程で炭化物として析出し、鋼板強度に寄与する固溶C量が低減し、降伏強度が低下するとともに、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となって耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。従って、均熱温度が660〜760℃の温度域にある保持時間は60秒以下とする。なお、保持時間が5秒未満となると、均熱帯のロールを鋼板が通板する際の安定性が損なわれるため、好ましくは保持時間を5秒以上とする。
(前段冷却:10℃/s以上の平均冷却速度で450℃以下まで冷却)
前記均熱後、10℃/s以上の平均冷却速度で450℃以下の温度域まで冷却する。平均冷却速度が10℃/s未満となると、冷却中に炭化物析出が促進されて、鋼板強度に寄与する固溶C量が低減し、降伏強度が低下するとともに、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となって耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合に、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。なお、平均冷却速度が50℃/s超となると上記の効果が飽和するため、平均冷却速度は50℃/s以下とすることが好ましい。
また、均熱後の前段冷却における冷却停止温度が450℃超となると、前段冷却後に炭化物析出が促進されて、鋼板強度に寄与する固溶C量が低減し、降伏強度が低下するとともに、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となって耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。なお、均熱後の前段冷却における冷却停止温度が300℃未満となると、炭化物析出抑制効果が飽和するばかりか、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が55MPa超となり、鋼板強度が過剰に上昇するため、例えば王冠用に供した場合に王冠の形状が不均一となり、多数の王冠を成形して耐圧試験に供すると耐圧強度の低い王冠が散見されることになり、王冠を製造する際の歩留りが低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。さらにまた、通板する際の鋼板形状が劣化してトラブルが発生する、虞れがあるため、均熱後の冷却停止温度は300℃以上とすることが好ましい。
(後段冷却:5℃/s以上の平均冷却速度で140℃以下まで)
前段冷却後の後段冷却では、5℃/s以上の平均冷却速度で前段冷却時の冷却停止温度から140℃以下の温度域まで冷却する。平均冷却速度が5℃/s未満となると、鋼板強度に寄与する固溶C量が低減し降伏強度が低下するとともに、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となって耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。なお、平均冷却速度が30℃/s超となると、効果が飽和するばかりか、冷却設備に過剰なコストが発生するため後段冷却での平均冷却速度は30℃/s以下が好ましい。より好ましくは25℃/s以下である。
後段冷却では140℃以下まで冷却する。140℃超となると、鋼板強度に寄与する固溶C量が低減し、降伏強度が低下するとともに、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となって耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。なお、冷却停止温度が100℃未満となると効果が飽和するばかりか、冷却設備に過剰なコストが発生するため100℃以上が好ましい。より好ましくは120℃以上である。
(二次冷間圧延圧下率:10%以上40%以下)
本発明の鋼板は、焼鈍後の二回目の冷間圧延により高い降伏強度を得ることができる。すなわち、二次冷間圧延の圧下率が10%未満であると、十分な降伏強度が得られず、例えば王冠用に供した場合の耐圧強度が低下する。また、二次冷間圧延の圧下率が40%を超えると、異方性が過大となり、例えば王冠用に供した場合の耐圧強度が低下する。さらに、鋼板を例えばDRD缶用に供した場合、DRD缶成形時にフランジ部にしわが発生する形状不良をまねく。よって、二次冷間圧延の圧下率は10%以上40%以下とすることが好ましい。より好ましくは、二次冷間圧延の圧下率は15%超35%以下である。
上記のようにして得た冷延鋼板は、その後、必要に応じて、鋼板表面に、例えば電気めっきにより、錫めっき、クロムめっき、ニッケルめっき等のめっき処理を施してめっき層を形成し、めっき鋼板として使用に供してもよい。なお、めっき等の表面処理の膜厚は、板厚に対して十分に小さいので、鋼板の機械特性への影響は無視できるレベルである。
以上、説明したように、本発明の鋼板は、薄肉化しても十分な強度および優れた材質均一性を備えることができる。従って、本発明の鋼板は特に王冠あるいはDRD缶の素材としては最適である。
また、本発明の王冠は、上述した鋼板を用いて成形されるものである。王冠は、主に瓶の口を塞ぐ円盤状の部分と、その周囲に設けられた襞状の部分とから構成される。本発明の王冠は、本発明の鋼板を円形のブランクに打ち抜いた後、プレス成形により成形することができる。本発明の王冠は、十分な降伏強度を有し、かつ、材質均一性に優れた鋼板から製造されるので、薄肉化しても王冠としての耐圧強度に優れており、かつ王冠の外径および高さの均一が優れているため、王冠製造工程での歩留りが向上し、王冠製造に伴う廃棄物の排出量を減らす効果を有する。
同様に、本発明のDRD缶は、上述した鋼板を用いて成形されるものである。DRD缶は、本発明の鋼板を円形のブランクに打ち抜いた後、絞り加工および再絞り加工を施すことにより成形することができる。本発明の鋼板を素材とするDRD缶は、形状が均一で製品規格から外れることがないため、DRD缶製造工程での歩留まりが向上し、DRD缶製造に伴う廃棄物の排出量を減らす効果も有する。
表1に示す成分組成を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼を転炉で溶製し、連続鋳造することにより鋼スラブを得た。ここで得られた鋼スラブに対して、表2に示すスラブ加熱温度、仕上圧延温度、巻取り温度での熱間圧延を施した。この熱間圧延後には酸洗を行った。次いで、表2に示す圧下率で一次冷間圧延を行い、表2に示す連続焼鈍条件にて連続焼鈍し、引き続き、表2に示す圧下率で二次冷間圧延を施した。得られた鋼板に電解クロム酸処理を連続的に施して、ティンフリースチールを得た。
Figure 0006468405
以上にしたがって得られた鋼板に対して、210℃および15分の塗装焼付け相当の熱処理を行った後、引張試験を行った。引張試験は、JIS5号サイズの引張試験片を用いて、「JIS Z 2241」に従って行い、圧延方向の降伏強度を測定した。また、上記した測定方法に従って、鋼板の圧延方向の時効指数を求めた。
なお、この塗装焼付け相当の熱処理は、該熱処理前の鋼板材質に何ら影響を与えるものではない。
得られた鋼板を用いて王冠に成形し、王冠成形性を評価した。すなわち、直径37mmの円形ブランクを使用し、プレス加工により各鋼板について各50個(N=50)の王冠を成形した。次いで、王冠の高さ(王冠天面からスカート下端までの距離)をマイクロメータにて測定した。なお、N=20の王冠高さの標準偏差が0.09mm以下は王冠形状に優れ、同0.09mm超は王冠形状に劣ると判定した。得られた測定結果を表2に示す。
また、得られた王冠について、耐圧試験も行った。
ここで、耐圧試験は、王冠の内側に塩化ビニル製ライナーを成形し、市販ビール瓶に打栓してSecure Pak社製Secure Seal Testerを用いて王冠が外れる内圧を測定し、王冠が外れた内圧を耐圧強度とした。各50個の王冠に耐圧試験を実施して、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が47個以上の場合を◎、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45個または46個の場合を○、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満の場合を×と評価した。得られた結果を表2に示す。
得られた鋼板を用いて、210℃、15分の塗装焼付け相当の熱処理を行った後、DRD缶に成形し、DRD缶成形性を評価した。すなわち、直径158mmの円形ブランクを使用し、絞り加工および再絞り加工を施し、内径82.8mm、フランジ径102mmのDRD缶を成形し、DRD缶成形性を評価した。評価は、目視でフランジ部に微細なしわが3箇所以上見られるサンプルを×、フランジ部の微細なしわが2箇所であるサンプルを○、フランジ部の微細なしわが1箇所以下であるサンプルを◎とした。この評価結果を表2に示す。
Figure 0006468405
表2より、本発明例であるNo.1〜22の鋼板は、圧延方向の降伏強度が600MPa以上、かつ耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45個以上であり、安定した耐圧強度を有していた。また、圧延方向の降伏強度が560MPa以上、かつ王冠高さの標準偏差が0.09mm以下であり、王冠成形性が良好であり、DRD缶成形性が良好であった。
一方、比較例であるNo.23〜25の鋼板は、Cの含有量が多すぎるため、二次冷間圧延後の鋼板のフェライト粒径が微細となることならびに時効指数が55MPa超となり鋼板が過剰に硬質化するため、成形した王冠の形状が不均一となることに起因して、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり王冠相互で耐圧強度がばらつき高い耐圧強度を安定して得られなかった。さらに、王冠高さの標準偏差が0.09mm超となり王冠成形性が劣化し、DRD缶成形性も劣化することが分かった。
No.26〜28の鋼板は、Cの含有量が少なすぎるため、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり王冠相互で耐圧強度がばらつくことが分かった。また、DRD缶成形性も劣化することが分かった。
No.29の鋼板は、Mnの含有量が多すぎるため、鋼板が過剰に硬質化するため王冠の形状が劣化することに起因して、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり高い耐圧強度を安定して得られなかった。また、DRD缶成形性も劣化することが分かった。
No.30の鋼板は、Alの含有量が多すぎるため、AlNの形成が増加して、固溶Nとして鋼板強度に寄与するN量が低減し、鋼板強度が低下するためならびに二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり高い耐圧強度を安定して得られなかった。また、DRD缶成形性も劣化することが分かった。
No.31の鋼板は、Alの含有量が少なすぎるため、脱酸剤としての効果が不十分であり、凝固欠陥の発生を招くとともに製鋼コストが増大する。また、時効指数が55MPa超となり、二次冷間圧延後の鋼板が過剰に硬質化し、成形した王冠の形状が不均一となることに起因して、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり高い耐圧強度を安定して得られなかった。また、DRD缶成形性も劣化することが分かった。
No.32〜34の鋼板は、Nの含有量が多すぎるため、時効指数が55MPa超となり、二次冷間圧延後の鋼板が過剰に硬質化し、成形した王冠の形状が不均一となることに起因して、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり高い耐圧強度を安定して得られなかった。また、DRD缶成形性も劣化することが分かった。
No.35〜37の鋼板は、Nの含有量が少なすぎるため、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり安定した耐圧強度を有しないとともに固溶Nとして鋼板強度に寄与するN量が低減し、鋼板強度が低下することが分かった。また、DRD缶成形性も劣化することが分かった。
No.38の鋼板は、Pの含有量が多すぎるため、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、成形した王冠の形状が不均一となることに起因して、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり高い耐圧強度を安定して得られなかった。またDRD缶成形性も劣化することが分かった。
No.39の鋼板は、Crの含有量が多すぎるため、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり安定した耐圧強度を有しないとともに固溶Cとして鋼板強度に寄与するC量が低減し、鋼板強度が低下することが分かった。またDRD缶成形性も劣化することが分かった。
また、No.40の鋼板は、Siの含有量が多すぎるため、鋼板が過剰に硬質化し、成形した王冠の形状が不均一となることに起因して、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり高い耐圧強度を安定して得られなかった。またDRD缶成形性も劣化することが分かった。
表1に示した鋼No.4、10および17の成分組成を有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼を転炉で溶製し、連続鋳造することにより鋼スラブを得た。ここで得られた鋼スラブに対して、表3に示すスラブ加熱温度、仕上圧延温度、巻取温度での熱間圧延を施した。熱間圧延後には酸洗を施した。次いで、表3に示す圧下率で一次冷間圧延を行い、表3に示す均熱保持温度、均熱保持時間、前段冷却平均速度、前段冷却停止温度、後段冷却平均速度、後段冷却停止温度で連続焼鈍し、引き続き、表3に示す圧下率で二次冷間圧延を施した。得られた鋼板に電解クロム酸処理を連続的に施して、ティンフリースチールを得た。
以上により得られた鋼板に対して、前述と同様の方法で引張試験を行うとともに、同様に鋼板の圧延方向の時効指数を求めた。さらに、前述と同様の方法で王冠成形性および王冠の耐圧強度とDRD缶成形性を評価した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0006468405
表3より、本発明例である鋼板No.41、44、46、48、49、53〜56、59、60、64の鋼板は、圧延方向の降伏強度が600MPa以上、かつ耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45個以上であり、安定した耐圧強度を有していた。また、圧延方向の降伏強度が560MPa以上、かつ王冠高さの標準偏差が0.09mm以下であり、王冠成形性は良好であり、DRD缶成形性も良好であった。
一方、比較例である鋼板No.42、43、45、47、50、51、52、57、58、61、62、65、67の鋼板は、スラブ加熱温度、仕上圧延温度、熱間圧延工程の最終スタンドの圧下率、巻取温度、一次冷間圧延圧下率、均熱温度、均熱保持時間、前段冷却平均速度、二次冷間圧下率、後段冷却平均速度の何れかが本発明範囲を外れるため、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が25MPa未満となり、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり安定した耐圧強度を有しないあるいは/または圧延方向の降伏強度が低下することが分かった。あるいは/またはDRD缶成形性が劣化することが分かった。
比較例である鋼板No.63の鋼板は、二次冷間圧下率が高すぎるため、異方性が過大となり、王冠形状の均一性を損なうことに起因して、耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり安定した耐圧強度を有しないことが分かった。またDRD缶成形性が劣化することが分かった。
比較例である鋼板No.66の鋼板は、前段冷却停止温度が低すぎるため、二次冷間圧延後の鋼板の圧延方向の時効指数が55MPa超となり、鋼板強度が過剰に上昇して耐圧強度が165psi以上である王冠の数が45未満となり、安定した耐圧強度を有しないことが分かった。また、DRD缶成形性が劣化することが分かった。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.0060%超0.0100%以下、
    Si:0.05%以下、
    Mn:0.05%以上0.60%以下、
    P:0.050%以下、
    S:0.050%以下、
    Al:0.020%以上0.050%以下、
    N:0.0140%超0.0180%以下および
    Cr:0.040%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、
    圧延方向の時効指数が25〜55MPaであり、
    降伏強度が620〜700MPaであり、
    板厚が0.20mm以下である鋼板。
  2. 質量%で、
    C:0.0060%超0.0100%以下、
    Si:0.05%以下、
    Mn:0.05%以上0.60%以下、
    P:0.050%以下、
    S:0.050%以下、
    Al:0.020%以上0.050%以下、
    N:0.0140%超0.0180%以下および
    Cr:0.040%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、
    圧延方向の時効指数が25〜55MPaであり、
    降伏強度が620〜700MPaである鋼板からなる王冠。
  3. 質量%で、
    C:0.0060%超0.0100%以下、
    Si:0.05%以下、
    Mn:0.05%以上0.60%以下、
    P:0.050%以下、
    S:0.050%以下、
    Al:0.020%以上0.050%以下、
    N:0.0140%超0.0180%以下および
    Cr:0.040%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、
    圧延方向の時効指数が25〜55MPaであり、
    降伏強度が620〜700MPaである鋼板からなるDRD缶。
  4. 請求項1に記載の鋼板の製造方法であり、
    鋼素材を1200℃以上で加熱し、仕上げ圧延温度:870℃以上および最終スタンドの圧下率:10%以上の条件にて圧延を施して550〜750℃の温度範囲内で巻取る熱間圧延工程と、
    前記熱間圧延後の熱延板に酸洗を行う酸洗工程と、
    前記酸洗後の熱延板に、圧下率:88%以上の冷間圧延を行う一次冷間圧延工程と、
    記一次冷間圧延後の冷延板を、660〜760℃の温度域に60秒以下で保持したのち、10℃/s以上の平均冷却速度で450℃以下300℃以上の温度域まで冷却し、次いで5℃/s以上30℃/s以下の平均冷却速度で140℃以下の温度域まで冷却する焼鈍工程と、
    前記焼鈍板に、10%以上40%以下の圧下率で冷間圧延を行う二次冷間圧延工程と、を有する鋼板の製造方法。
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