JP2005225718A - 黒鉛ルツボ及び黒鉛ルツボの管理方法 - Google Patents

黒鉛ルツボ及び黒鉛ルツボの管理方法 Download PDF

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志信 竹安
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Abstract

【課題】急激な温度変化に起因して生じるルツボの破損を防止するとともに、黒鉛ルツボ内表面のSiC化及び黒鉛ルツボの分割面湾曲部の減肉を抑制して、長時間の使用にも耐え得る耐久性の非常に優れた黒鉛ルツボを提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に用いられる黒鉛ルツボであって、引っ張り強さをP[MPa]、熱伝導率をη[W/m・K]、弾性係数をG[GPa]、熱膨張係数をρ [×10−6/K]としたとき、W=P×η/(G×ρ)で表される耐熱衝撃係数Wが80[kW/m]以上であり、かつ嵩密度が1.8[g/cm]以上である黒鉛からなるものであることを特徴とする黒鉛ルツボ。
【選択図】図1

Description

本発明は、チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に用いられる黒鉛ルツボ、及びその黒鉛ルツボを用いて単結晶を製造する際に黒鉛ルツボを管理する方法に関する。
従来、半導体デバイスの基板材料として用いられるシリコン単結晶等の半導体単結晶は、主にチョクラルスキー法(CZ法)等により製造されており、例えば図3に示すような単結晶製造装置10を用いて単結晶の製造が行われる。
この単結晶製造装置10は、チャンバ11内に、原料融液12を収容する石英ルツボ14と、この石英ルツボ14を保護する黒鉛ルツボ16とが支持軸24で支持されており、ルツボ駆動機構(不図示)により上下動及び回転動が自在に行えるようになっている。
黒鉛ルツボ16の外側には抵抗加熱式のヒーター18が配設され、ヒーター18の外側には保温筒22が配設されており、これらはそれぞれ黒鉛ルツボ16と同心円状に配設されている。また、石英ルツボ14の中心軸上にはワイヤ19の下端部にシードチャック17を介して種結晶15が取り付けられている。
このような単結晶製造装置10を用いて、CZ法により半導体単結晶を製造する場合、先ずシードチャック17に固定された種結晶15を石英ルツボ14中の原料融液12に浸漬した後、回転させながら上方に所定の引上げ速度で引き上げることにより半導体単結晶13を成長させることができる。
このようにして半導体単結晶の製造を行う際、石英ルツボ14はヒーター18が発する輻射熱により軟化するが、黒鉛ルツボ16が石英ルツボ14を外側から保護して石英ルツボ14の形状を保持している。一方、石英ルツボの熱膨張係数は黒鉛ルツボの熱膨張係数よりも小さいため、単結晶13を引上げた後に装置を冷却する際に、黒鉛ルツボの収縮が石英ルツボ14により妨げられ、黒鉛ルツボ16を押し広げようとする応力が発生する。このような黒鉛ルツボに発生する応力は、装置の冷却が進むにつれて増大し、黒鉛ルツボの破壊を招く原因となる。したがって、一般的にこのような黒鉛ルツボの破壊を防ぐために、黒鉛ルツボ16は、例えば図4(a)に示すように、縦に2つ(または3つ)に分割可能な分割面21を有するルツボ本体部16aと、そのルツボ本体部16aを嵌合部分28で嵌合して一体的に保持する本体保持部16bとから構成されており、装置冷却時にルツボ本体部間に隙間を形成することにより、石英ルツボを拘束せず、黒鉛ルツボに発生する応力を逃がすようにしている。
さらに、特許文献1では、ルツボの破壊を抑制するために、ルツボ本体部と本体保持部との嵌合面に所定の寸法の隙間を形成した単結晶引き上げ用ルツボを開示しており、また特許文献2では、分割面底部の少なくとも下部に空隙部が形成されている黒鉛ルツボを開示している。これらのルツボは装置冷却時に黒鉛ルツボの分割面での開口が容易になり、黒鉛ルツボが石英ルツボを拘束せずに、黒鉛ルツボに発生する応力を容易に開放できるようにしている。
しかしながら、上記のように黒鉛ルツボを2つ以上に分割したり、また特許文献1や特許文献2のように装置冷却時に黒鉛ルツボの分割面を開き易くする工夫をしたとしても、半導体単結晶を製造する際に1つの黒鉛ルツボを繰り返して使用することにより、次の(1)〜(4)のような反応が発生するため、最終的には黒鉛ルツボの割れが発生する。
(1)石英ルツボと黒鉛ルツボとの反応
SiO+C→SiO↑+CO↑
(2)原料融液(シリコン融液)と石英ルツボとの反応
SiO+Si→2SiO↑
(3)上記(1)及び(2)の反応で発生したSiOガスによる黒鉛ルツボの珪化反応
2C+SiO→SiC+CO↑
(4)石英ルツボと黒鉛ルツボの珪化部分での消耗反応
SiC+2SiO→3SiO↑+CO↑
そして、上記のような反応は、温度が特に高く、かつCOガスが排気されやすくCOガス濃度が上昇しにくくなる黒鉛ルツボのルツボ本体部の分割面、特に図3に示すようなルツボ本体部16aの分割面の湾曲部26で促進される。したがって、このような分割面湾曲部26では、上記(3)の反応により黒鉛ルツボ表面のSiC化が進行し易く、黒鉛とSiCの熱膨張率の差に起因して発生する内部応力によって黒鉛ルツボの割れが発生し易いという問題があった。さらに、上記(4)の反応により石英ルツボ及び黒鉛ルツボの減肉が進行して黒鉛ルツボの減肉が顕著になると、その黒鉛ルツボの窪んだ部分に軟化した石英ルツボが入り込んで変形したり、さらには石英ルツボ及び黒鉛ルツボの肉厚が薄くなることによって、ルツボの割れや湯漏れが生じるという問題があった。
これらの問題を解決するために、減肉の生じやすい黒鉛ルツボの湾曲部内周部に交換可能な炭素材料(特許文献3)や断熱材(特許文献4)を嵌め込む構造の黒鉛ルツボが提案されている。また、特許文献5では、黒鉛ルツボの分割面を凹部と凸部で組み合うようにすることによって、黒鉛ルツボ内部にある石英ルツボに熱が届き難くなり、その結果、上記(1)〜(4)の反応を抑制、防止することができるとしている。
しかしながら、これらの特許文献3〜5は、いずれも黒鉛ルツボに肉厚の薄い部分が形成されてしまうため、黒鉛ルツボがその肉厚の薄い部分で破損しやすいという欠点があった。
また一方、例えば、半導体単結晶を製造する際に、単結晶中に取り込まれる酸素濃度を抑制するために、黒鉛ルツボのルツボ本体部の底面と本体保持部の上面との間に空間部(隙間)を設けた黒鉛ルツボが用いられることがある。しかしながら、このような黒鉛ルツボを用いて半導体単結晶の製造を行った場合、単結晶の製造後にルツボ内に残留した原料融液が固化する際に、黒鉛ルツボのルツボ本体部の底部中央に曲げ応力が掛かってルツボの破損を招くという問題があった。そこで、特許文献6では、このような問題を解決するために、黒鉛ルツボのルツボ本体部の中央に突起部を設け、ルツボ本体部中央が装置冷却時に本体保持部と接触させることにより底部中央に曲げ応力が集中するのを緩和する構造の黒鉛ルツボが提案されている。
しかし、この特許文献6の黒鉛ルツボは、単結晶の製造によりルツボ本体部の内表面で上記で説明したSiC化が進行し、黒鉛とSiCとの熱膨張率の違いによって発生する引っ張り応力により黒鉛ルツボが破損しやすいという欠点があった。
さらに、特許文献7では、曲げ強度をS、ポアソン比をν、弾性率をE、熱膨張係数をα、熱伝導率をk、密度をρ、比熱をcとしたときに、R=S・k・(1−ν)/(E・α・ρ・c)で表される熱衝撃破壊抵抗係数Rが0.08以上のカーボン材料よりなる黒鉛ルツボが開示されており、このような黒鉛ルツボは、急激な加熱を行ったとしても、石英ルツボと黒鉛ルツボの熱膨張係数の違いによる、黒鉛ルツボに割れや亀裂等の破壊を生じることが防止できるため、耐熱衝撃性に優れているとしている。
しかしながら、このような耐熱衝撃性の優れたカーボン材料を使用した黒鉛ルツボは、例えば使用バッチ数が少ないにも関わらず、急激な加熱により突然破損するという問題については効果があるものの、黒鉛ルツボの内表面のSiC化が前述と同様に進行していく。そのため、特許文献7に開示されているような耐熱衝撃性の優れたカーボン材料であっても、黒鉛ルツボの使用時間が長くなるに従い、前記(3)の反応により黒鉛ルツボ内表面のSiC層の厚さが厚くなる。そして、黒鉛ルツボ内表面のSiC層が厚くなるにつれて、カーボン材とSiCの熱膨張率の違いに起因して黒鉛ルツボに発生する内側から押し広げられる方向の引っ張り応力が大きくなるため、黒鉛ルツボの割れが生じ易くなる。
一方、図3に示した単結晶製造装置10で単結晶の製造を行う際には、原料融液の蒸発により生じるSi蒸気や、原料融液と石英ルツボとの反応により発生したSiOガスが、黒鉛ルツボの側壁を通って流れて不図示の排出口から排出される。しかしながら、このようにSi蒸気やSiOガスが黒鉛ルツボ側壁を流れる際に、原料融液からのSi蒸気やSiOガスの分解で生成するSi蒸気によって黒鉛ルツボの外周面に液滴状の溶融Siが付着する。
このようにして黒鉛ルツボの外周面に付着した液滴状のSiは、外周面を伝わって下方に流れ、例えば図4(a)に示すような黒鉛ルツボのルツボ本体部16aと本体保持部16bを嵌合している嵌合部分28に侵入しやすい。そして、単結晶の引き上げ終了後の装置冷却時にこの嵌合部分28に侵入した溶融Siが凝固すると、ルツボ本体部と本体保持部との間で固着が生じるため、黒鉛ルツボと石英ルツボとの熱膨張率の違いにより黒鉛ルツボに発生する応力を逃がすことができず、黒鉛ルツボの破損を招く恐れがあるという問題があった。
このような液滴状Siの嵌合部分への侵入に起因して生じる黒鉛ルツボの破損を防止するため、特許文献8では、ルツボ側壁外周部の下端に延長部が形成された黒鉛ルツボが開示されている。しかしながら、特許文献8のような黒鉛ルツボを用いた場合、単結晶引き上げ後の冷却時に黒鉛ルツボが石英ルツボからの圧力を受けて分割面で開いた際に、下端延長部がルツボの本体保持部に接触して破損する恐れがあるという問題があった。また、黒鉛ルツボの本体保持部が小さい場合には、ルツボ本体部及び本体保持部間の嵌合部分と下端延長部との間隔が広がってしまうため、Si蒸気及び液滴状のSiの嵌合部分への侵入を十分に防止することができないという問題があった。
また、液滴状Siが嵌合部分へ侵入するのを防止するために、特許文献9では、ルツボの側壁外周面に突起及び/又は窪みが形成された黒鉛ルツボを開示しており、一方特許文献10では、ルツボ本体部の嵌合部分近傍に少なくとも1個以上の突起が形成された黒鉛ルツボを開示している。
このような特許文献9や特許文献10の黒鉛ルツボを用いることにより、黒鉛ルツボの坩堝本体部と本体保持部との嵌合部分に液滴状Siが侵入することを防止することが可能となる。しかしながら、これらのルツボは、前記のような黒鉛ルツボの急激な温度変化に起因して生じる黒鉛ルツボの破損や、黒鉛ルツボ内表面のSiC化の進行に起因する黒鉛ルツボの破損が問題となっていた。
このように、CZ法による半導体単結晶の製造では、現在まで黒鉛ルツボの破損に対して様々な角度から対策が検討されているが、いずれも十分と言えるものではなく、単結晶製造における低コスト化を図るために、破損が生じにくく、耐久性の一層優れている黒鉛ルツボを開発することが求められている。
また一方で、単結晶の製造中に黒鉛ルツボの破損が発生してしまうと、原料融液の漏れ等の被害が生じることがある。そのため、ルツボの破損が生じる前に黒鉛ルツボの交換が行えるように、黒鉛ルツボの破損が生じる時期を正確に把握できるような黒鉛ルツボの管理方法を開発することも望まれていた。
特開平6−183875号公報 実開平7−31855号公報 特開平10−158089号公報 特開2000−1390号公報 特開2002−154892号公報 特開平8−59387号公報 特開2002−29885号公報 特開昭58−95693号公報 特開平5−279169号公報 特開平9−77589号公報
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、急激な温度変化に起因して生じる黒鉛ルツボの破損を防止するとともに、黒鉛ルツボ内表面のSiC化及び黒鉛ルツボの分割面湾曲部の減肉を抑制して、長時間の使用にも耐え得る耐久性の非常に優れた黒鉛ルツボを提供することにある。さらに、本発明は、黒鉛ルツボの破損により生じる被害を未然に防止できるように、黒鉛ルツボの破損が生じる時期を正確に把握して、黒鉛ルツボが破損する危険性が高まる前に黒鉛ルツボの交換を行うことができる黒鉛ルツボの管理方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明によれば、チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に用いられる黒鉛ルツボであって、引っ張り強さをP[MPa]、熱伝導率をη[GPa]、弾性係数をG[GPa]、熱膨張係数をρ [×10−6/K]としたとき、W=P×η/(G×ρ)で表される耐熱衝撃係数Wが80[kW/m]以上であり、かつ嵩密度が1.8[g/cm]以上である黒鉛からなるものであることを特徴とする黒鉛ルツボが提供される(請求項1)。
このように、耐熱衝撃係数Wが80[kW/m]以上であり、かつ嵩密度が1.8[g/cm]以上である黒鉛からなる黒鉛ルツボであれば、黒鉛ルツボの急激な温度変化に対する耐力が大幅に向上するため、使用バッチが少ないにも関わらずルツボに突然割れや亀裂などの破損が生じることがなく、また、単結晶製造中に黒鉛ルツボの内表面で生じるSiC化の進行を抑制することが可能となるので、長時間の使用にも耐え得る耐久性の非常に優れた黒鉛ルツボとすることができる。
また、前記黒鉛ルツボは、2つ以上に分割可能なルツボ本体部と、該ルツボ本体部を嵌合して一体的に保持する本体保持部からなり、該ルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分がテーパー形状を有するものであることが好ましい(請求項2)。
このように、ルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分がテーパー形状を有するものであれば、単結晶の製造中は黒鉛ルツボの自重によりルツボ本体部の分割面が相互に密接するようになる。それにより、従来では破損が生じ易かったルツボ本体部の分割面湾曲部において、前記で示した(1)〜(4)の反応を抑制することができるため、SiC化の進行や減肉の進行を効果的に抑制でき、耐久性が一層向上した黒鉛ルツボとすることができる。
このとき、前記テーパー形状のテーパー角度が20°以上70°以下であることが好ましい(請求項3)。
テーパー形状のテーパー角度を20°以上にすることにより、単結晶の製造中にルツボ本体部の分割面を黒鉛ルツボの自重により安定して密接させることができる。また、テーパー形状のテーパー角度を70°以下にすることにより、単結晶製造後の冷却中に、黒鉛ルツボと石英ルツボの熱膨張係数の違いにより黒鉛ルツボで発生する引っ張り応力を逃がすために、ルツボ本体部を上方向に持ち上げてルツボ本体部間に隙間を容易に形成することができるので、引っ張り応力に起因する黒鉛ルツボの破損を確実に防止することができる。
また、前記ルツボ本体部が、該ルツボ本体部の底面と前記本体保持部の上部表面が非接触の状態で本体保持部に保持されるものであることが好ましい(請求項4)。
このようにルツボ本体部が、該ルツボ本体部の底面と前記本体保持部の上部表面が非接触の状態で本体保持部に保持されるものであれば、ルツボ本体部と本体保持部とを常にテーパー形状の嵌合部分のみで嵌合させることができる。
さらに、前記ルツボ本体部の側壁外面の下部にフランジが設けられていることが好ましい(請求項5)。
このようにルツボ本体部の側壁外面の下部にフランジが設けられていれば、単結晶の製造中に黒鉛ルツボの外周面に付着した液滴状の溶融Siが黒鉛ルツボのルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分に進入するのを防止することができる。したがって、従来問題とされていたSiの凝固によるルツボ本体部と本体保持部の固着を確実に防止できるため、冷却時に黒鉛ルツボと石英ルツボとの熱膨張係数の違いにより黒鉛ルツボに発生する引っ張り応力を円滑に開放することが可能となる。
このとき、前記ルツボ本体部に設けられているフランジの高さが5〜10mmであり、かつ、該フランジの内径と前記本体保持部の外径との間隔が5〜10mmであることが好ましい(請求項6)。
このように、ルツボ本体部に設けられているフランジの高さが5〜10mmであり、かつ、フランジの内径と本体保持部の外径との間隔が5〜10mmであれば、ルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分への液滴状Siの侵入を確実に防止することができるし、また、単結晶製造後の冷却時に黒鉛ルツボが石英ルツボの引っ張り応力を受けて分割面で開いた際に、フランジがルツボの本体保持部に接触することもない。
さらに、本発明では、前記本発明の黒鉛ルツボを用いて単結晶を製造する際に、該黒鉛ルツボの管理を行う方法において、前記黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さ及び/または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を観察することによって黒鉛ルツボの管理を行うことを特徴とする黒鉛ルツボの管理方法を提供することができる(請求項7)。
本発明の黒鉛ルツボは、前記のように黒鉛ルツボの急激な温度変化に起因してルツボの破損が生じることもないし、またフランジを設けることにより液滴状の溶融Siがルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分に進入するのを防止することができるものであるので、本発明の黒鉛ルツボを用いて単結晶を製造する際に、黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さ及び/または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を観察することによって黒鉛ルツボの管理を行えば、黒鉛ルツボの破損が生じる時期を正確に把握することが可能となり、それによって、黒鉛ルツボの使用限界を設定したり、また黒鉛ルツボの破損が生じる前にルツボの交換を行うことができるようになる。
このとき、前記黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さが3000μm以上、または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量が6mm以上になった場合に、黒鉛ルツボの交換を行うことが好ましい(請求項8)。
このような条件のときに黒鉛ルツボの交換を行うことにより、黒鉛ルツボが破損する前に黒鉛ルツボの交換を行うことができるようになるので、黒鉛ルツボの破損により生じる被害を確実に防止することが可能となる。
本発明の黒鉛ルツボは、急激な温度変化が生じても破損が生じず、かつ長時間の使用にも耐え得る耐久性の非常に優れた黒鉛ルツボとすることができる。また、このような本発明の黒鉛ルツボを用いて単結晶を製造する際に、黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さ及び/または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を観察することによって黒鉛ルツボの管理を行えば、黒鉛ルツボの破損が生じる時期を正確に把握することが可能となるので、黒鉛ルツボの使用限界を設定したり、また黒鉛ルツボが破損する前に黒鉛ルツボの交換を行うことが確実にできるようになる。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、急激な温度変化に対する耐力が高く、また長期の使用に耐え得るような非常に優れた耐久性を有する黒鉛ルツボを開発すべく鋭意研究及び検討を重ねた結果、ルツボの材質である黒鉛の耐熱衝撃係数W及び嵩密度の大きさに注目した。
ここで、耐熱衝撃係数Wは、引っ張り強さをP、熱伝導率をη、弾性係数をG、熱膨張係数をρとしたときにW=P×η/(G×ρ)[kW/m]で表される物性であり、この耐熱衝撃係数Wの値が大きい黒鉛は、急激な温度変化が生じても割れや亀裂等の破損が発生するのを防止することができる。また、本発明者等は、嵩密度の大きい緻密な黒鉛からなるルツボを用いることにより、単結晶の製造中に生じる黒鉛ルツボのSiC化の進行を抑制できることを見出し、さらに研究及び検討を重ねて、黒鉛の耐熱衝撃係数及び嵩密度について精査することによって、本発明を完成させた。
従来、嵩密度を高くした黒鉛は弾性係数Gと熱膨張係数ρが高くなってしまい、高い耐熱衝撃係数Wを得ることが難しかった。本発明では、緻密化し易く、かつ緻密化しても弾性係数Gと熱膨張係数ρが高くなりにくい黒鉛原料を選定することを特徴としている。そして、原料粉砕工程において気孔径が従来より20〜30%縮小するように前記黒鉛原料の粒径を細かく粉砕し、次に捏混工程でバインダー(コールタールピッチ)の量を従来より2〜5%多くして、CIP(冷間静水圧プレス)成形し一次焼成を行う。その後、ピッチ含浸を繰り返し行なうことにより、黒鉛素材の気孔が埋められ、嵩密度が高くかつ耐熱衝撃係数Wの優れた黒鉛を提供することができる。
すなわち、本発明の黒鉛ルツボは、CZ法により単結晶を製造する際に用いられる黒鉛ルツボであって、耐熱衝撃係数Wが80kW/m以上であり、かつ嵩密度が1.8g/cm以上である黒鉛からなるものであることに特徴を有するものである。
以下、本発明に係る黒鉛ルツボについて、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1は、本発明の黒鉛ルツボを概略的に説明する概略説明図である。
本発明に係る黒鉛ルツボは、チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に用いられる黒鉛ルツボであって、例えば図1に示すような、分割面4で2つに分割可能なルツボ本体部2と、このルツボ本体部2を嵌合して一体的に保持する本体保持部3からなる黒鉛ルツボ1であり、ルツボ本体部2に囲まれた内部に石英ルツボを保持することができるようになっている。尚、図1は、ルツボ本体部2が2つに分割可能な黒鉛ルツボを示しているが、本発明はこれに限定されず、例えばルツボ本体部が3つ以上に分割可能な黒鉛ルツボであっても、またルツボ本体部が分割されていないものであっても良い。
そして、本発明の黒鉛ルツボは、上記のような構造を有する黒鉛ルツボであって、引っ張り強さをP[MPa]、熱伝導率をη[GPa]、弾性係数をG[GPa]、熱膨張係数をρ [×10−6/K]としたとき、W=P×η/(G×ρ)で表される耐熱衝撃係数Wが80kW/m以上であり、かつ嵩密度が1.8g/cm以上である黒鉛からなるものである。
すなわち、本発明の黒鉛ルツボは、耐熱衝撃係数Wが80kW/m以上であることにより、急激な温度変化に対する耐力が向上した耐熱衝撃性に非常に優れている黒鉛ルツボとすることができる。したがって、例えば単結晶の製造を行う際に黒鉛ルツボに急激な加熱または冷却を行ったとしても、熱応力に起因してルツボの割れや欠け等の破損が生じるのを確実に防止することができる。
また、本発明の黒鉛ルツボは、嵩密度が1.8g/cm以上、好ましくは1.8g/cm以上1.9g/cm以下である緻密な黒鉛からなるものであるので、単結晶の製造を行う際に石英ルツボと黒鉛ルツボとの反応によってSiOガスが発生したり、またシリコン融液と石英ルツボとの反応によってSiOガスが発生しても、黒鉛ルツボの珪化反応によるSiC化の進行を効果的に抑制することができる。その結果、黒鉛とSiCの熱膨張率の差に起因して発生するルツボの破損を抑制したり、また石英ルツボと黒鉛ルツボの珪化部分での消耗反応によって生じる黒鉛ルツボの減肉を抑制することが可能となるので、黒鉛ルツボの耐久性を大幅に向上させることができ、長期の使用にも耐え得る黒鉛ルツボとすることができる。
尚、黒鉛ルツボの成形の容易さやルツボ自体の品質等を考慮した場合、本発明の黒鉛ルツボは、耐熱衝撃係数Wは150kW/m以下、また、嵩密度が2.1g/cm以下である黒鉛からなるものであることが好ましい。
また、このような本発明の黒鉛ルツボにおいて、例えば図1に示したように、ルツボ本体部2と本体保持部3との嵌合部分5がテーパー形状を有するものであることが好ましい。このように黒鉛ルツボにおけるルツボ本体部2と本体保持部3との嵌合部分5がテーパー形状を有するものであれば、単結晶の製造中にルツボ本体部の分割面を黒鉛ルツボの自重により相互に密接させることができるので、従来では破損が生じ易かったルツボ本体部の分割面湾曲部において、前記で示した(1)〜(4)の反応を抑制することが可能となり、SiC化の進行及び減肉の進行を一層効果的に抑制することができる。
このとき、図1に示したように、ルツボ本体部2が、ルツボ本体部2の底面と本体保持部3の上部表面が非接触の状態で本体保持部3に保持されるものであれば、ルツボ本体部2と本体保持部3とを常にテーパー形状の嵌合部分のみで嵌合させることができる。この場合、例えばルツボ本体部2及び本体保持部3が同じ熱膨張係数を有するものであれば、ルツボ本体部2の底面と本体保持部3の上部表面との間に形成される間隔Sの大きさが1.0mm程度以上となるようにすれば良く、また一方、ルツボ本体部2と本体保持部3とが異なる熱膨張係数を有するものであれば、黒鉛ルツボの温度をT(K)、本体保持部3の上部表面における内径をD、本体保持部3の熱膨張係数をρ、ルツボ保持本体の熱膨張係数をρ、嵌合部分5におけるテーパー形状のテーパー角度をθをしたときに、
S≧(T×D×(ρ−ρ))/2×tanθ
の関係を満たすようにすることにより、ルツボ本体部2の底面と本体保持部3の上部表面とを常に非接触の状態にしてルツボ本体部2と本体保持部3とをテーパー形状を有する嵌合部分5のみで嵌合させることができる。
このように、ルツボ本体部2と本体保持部3との嵌合部分5がテーパー形状を有するものであり、またルツボ本体部2がルツボ本体部2の底面と本体保持部3の上部表面が非接触の状態で本体保持部3に保持されるものであることにより、例えば図2に示すように、黒鉛ルツボの自重をW[N]、黒鉛ルツボを閉じる力をF1[N]としたとき、F1=W×sinθの力が働くため、分割面4でルツボ本体部2同士を容易に密接させることができる。
このとき、嵌合部分5が有するテーパー形状のテーパー角度θは、20°以上70°以下にすることが好ましい。テーパー角度θが20°以上であれば、上記F1の力により黒鉛ルツボのルツボ本体部同士を分割面で安定して密接させることができる。また、テーパー角度θを70°以下にすることにより、単結晶製造後の冷却中に、黒鉛ルツボと石英ルツボとの熱膨張係数の違いにより黒鉛ルツボで発生する引っ張り応力を開放するように、ルツボ本体部をテーパー形状の嵌合部分で滑らせるようにして上方向に容易に持ち上げることができるようになる。それによって、ルツボ本体部間に隙間を容易に形成することができるため、引っ張り応力に起因する黒鉛ルツボの破損を確実に防止することができる。
さらに、本発明の黒鉛ルツボは、図1に示すように、ルツボ本体部2の側壁外面の下部にフランジ6が設けられていることが好ましい。
上記のように、本発明の黒鉛ルツボは、熱応力等に起因するルツボの突然の破損を防止でき、またルツボ表面でのSiC化の進行を抑制することができるため、黒鉛ルツボの使用時間を従来よりも延長させることができる。それに伴い、黒鉛ルツボの外壁には液滴状Siが顕著に付着するようになることが考えられる。しかしながら、黒鉛ルツボのルツボ本体部2の側壁外面の下部にフランジ6が設けられていれば、黒鉛ルツボの外壁に付着した液滴状Siがルツボ本体部2と本体保持部3との嵌合部分5に侵入するのを防止することができる。したがって、従来問題とされていたSiの凝固によるルツボ本体部と本体保持部の固着を防止できるため、ルツボ本体部の可動が阻害されず、冷却時に黒鉛ルツボと石英ルツボとの熱膨張係数の違いにより発生する引っ張り応力を円滑に開放することができる。
この場合、ルツボ本体部2に設けられているフランジ6の高さH1が5〜10mmであり、かつ、フランジ6の内径と本体保持部3の外径との間隔W1が5〜10mmであることが好ましい。
このように、ルツボ本体部2に設けられているフランジ6の高さH1が5〜10mmであり、かつ、フランジ6の内径と本体保持部3の外径との間隔W1が5〜10mmであれば、ルツボ本体部2と本体保持部3との嵌合部分5へ液滴状Siが侵入するのを確実に防止することができるし、また、冷却時に黒鉛ルツボが石英ルツボの引っ張り応力を受けて分割面4で開く際に、フランジ6が本体保持部3に接触することもない。
以上のように、本発明の黒鉛ルツボは、使用バッチ数が少ないにも関わらず急激な温度変化等に起因して破損が生じるのを確実に防止することができ、かつ、単結晶の製造を行う際にSiC化の進行を効果的に抑制することができるので、長時間の使用にも耐え得る耐久性の非常に優れた黒鉛ルツボとなる。また同時に、ルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分がテーパー形状を有するものとすることにより、SiC化の進行や減肉の進行を一層抑制することが可能となり、さらに、黒鉛ルツボ側壁の下部にフランジを設けることにより、液滴状Siの嵌合部分への進入を防止し、黒鉛ルツボの耐久性をより一層向上させることが可能となる。
次に、本発明の黒鉛ルツボの管理方法について説明する。
本発明の黒鉛ルツボの管理方法は、上記本発明の黒鉛ルツボを用いて単結晶を製造する際に黒鉛ルツボの管理を行う方法であって、黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さ及び/または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を観察することによって黒鉛ルツボの管理を行うことに特徴を有するものである。
本発明の黒鉛ルツボは、上述のように、急激な温度変化に起因して生じるルツボの破損を確実に防止でき、またルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分に液滴状Siが進入するのを防止することが可能となるものである。したがって、このような本発明の黒鉛ルツボを用いて単結晶を製造する際に、黒鉛ルツボの下部内表面に形成されるSiC層の厚さ及び/または黒鉛ルツボの下部分割面湾曲部における減肉量のみに着目して黒鉛ルツボの管理を行うことにより、単結晶の製造を繰り返して行う際の黒鉛ルツボの破損が生じる時期を正確に把握することが可能となり、それによって、黒鉛ルツボの使用限界を設定したり、また黒鉛ルツボの破損が生じる前にルツボの交換を行うことが容易にできるようになる。
具体的に説明すると、例えば図3に示した単結晶製造装置10において、従来の黒鉛ルツボ16の代わりに図1に示したような本発明の黒鉛ルツボ1を使用して単結晶の製造を複数バッチ繰り返して行う場合に、1製造バッチ終了毎に黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さ及び/または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を観察して予め設定した交換基準と照合することにより、その黒鉛ルツボの使用状態や黒鉛ルツボの破損が生じる時期を正確に把握することが可能となる。
このようにして単結晶の製造における黒鉛ルツボの管理を行うことによって、黒鉛ルツボの使用限界を設定したり、また、黒鉛ルツボが破損する危険が近づいてきた場合に、黒鉛ルツボの破損が生じる前に確実にルツボの交換を行うことができるようになるので、単結晶製造中に黒鉛ルツボが破損することによって生じる湯漏れ等の被害を防止することができる。
この場合、例えば、黒鉛ルツボの内表面におけるSiC層の厚さが3000μm以上となるとSiC層による引張り応力が増大し、黒鉛ルツボが破損する危険性が高くなり、また、黒鉛ルツボの分割面湾曲部(例えば、図1の湾曲部26に対応する部分)の減肉量が6mm以上となる場合も黒鉛ルツボが破損する危険性が高くなる。したがって、単結晶の製造バッチ間で例えば黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さを観察した際にSiC層の厚さが3000μmまたはそれ以上に達した場合や、黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を観察した際に減肉量が6mmまたはそれ以上に到達した場合に黒鉛ルツボを交換するようにすれば、単結晶製造中に黒鉛ルツボが破損するのを確実に防止することができる。
特に、単結晶を同じ条件で繰り返して製造する場合等では、黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さ及び黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量は、ルツボを使用した使用回数(使用バッチ数)や使用累計時間に比例する。そのため、SiC層の厚さが3000μmに到達する時期及び/または減肉量が6mmに到達する時期を使用回数や使用累計時間で予測することが可能となり、ルツボの使用バッチ数や使用累計時間を管理することにより黒鉛ルツボの管理を容易に行うことができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜5)
口径550mmの石英ルツボに130kgの多結晶シリコンをチャージして直径200mmのシリコン単結晶を製造する場合において、耐熱衝撃係数及び嵩密度が以下の表1に示すような黒鉛から作製された、図1に示した黒鉛ルツボと同様の形状を有する黒鉛ルツボを用いて、シリコン単結晶の製造を28バッチ繰り返して行った。その際、シリコン単結晶を1バッチ製造する毎に黒鉛ルツボの破損を検査し、ルツボの破損が確認された時点で単結晶の製造を中止して黒鉛ルツボの内表面に形成されているSiC層の厚さを観察した。以下の表1に、黒鉛の各物性とともに、黒鉛ルツボが使用された使用バッチ数及びルツボの破損が確認された時点で測定されたSiC層の厚さの最大値を示す。
Figure 2005225718
表1に示したように、耐熱衝撃係数が80kW/m以上で、かつ嵩密度が1.8g/cm以上である黒鉛からなる実施例1〜3の黒鉛ルツボを用いてシリコン単結晶の製造を行った場合、黒鉛ルツボに破損が生じることなく、予定された28バッチのシリコン単結晶を製造することができた。また28バッチの単結晶製造が終了した後、黒鉛ルツボの内表面に形成されているSiC層の厚さを観察した結果、SiC層の厚さの最大値は1500〜1800μmであり、何れも3000μm未満の値であることがわかった。
一方、耐熱衝撃係数も嵩密度も本発明の条件未満となる黒鉛から作製された比較例1〜3の黒鉛ルツボは、28バッチの単結晶の製造が終了するまでにルツボに破損が生じた。また、ルツボの破損が確認された時点で黒鉛ルツボの内表面に形成されているSiC層の厚さを観察した結果、SiC層の厚さの最大値はどの黒鉛ルツボも3000μmを超えていることがわかった。
また、嵩密度が1.8g/cm以上であるが耐熱衝撃係数が80kW/m未満となる黒鉛から作製された比較例4の黒鉛ルツボは、18バッチ目でルツボに破損が生じた。このとき、黒鉛ルツボの内表面に形成されているSiC層の厚さを観察した結果、SiC層の厚さの最大値は1200μmであり、黒鉛ルツボ表面のSiC化はそれ程進行していなかった。したがって、上記実施例1〜3及び比較例4の結果から、嵩密度を1.8g/cm以上と高くすることにより、SiC化の進行を抑制できることがわかる。
さらに、耐熱衝撃係数が80kW/m以上であるが嵩密度が1.8g/cm未満となる黒鉛から作製された比較例5の黒鉛ルツボは、20バッチ目でルツボに破損が生じており、黒鉛ルツボ内表面に形成されたSiC層の厚さを観察した結果、その最大値は3500μmであることがわかった。
以上の結果から、本発明の黒鉛ルツボは、単結晶の製造を行う際にSiC化の進行を効果的に抑制することができ、また熱応力等に起因するルツボの破損も防止できる耐久性の優れた黒鉛ルツボであることがわかった。
(実施例4、5)
上記実施例1と同様の黒鉛ルツボを用いて、直径200mmのシリコン単結晶を28バッチ繰り返し製造した。その際、シリコン単結晶を1バッチ製造する毎に黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を測定することによって、黒鉛ルツボの管理を行いながら単結晶の製造を行った(実施例4)。このとき測定された黒鉛ルツボの減肉量の測定結果を図5に示す。
図5に示したように、28バッチのシリコン単結晶の製造が終了するまで、黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量は6mmに到達しなかったため、ルツボの交換を行うことなく予定されていた28バッチのシリコン単結晶の製造を行うことができた。
次に、上記実施例1と同様の耐熱衝撃係数及び嵩密度を有する黒鉛から図4(a)に示すような形状を有する黒鉛ルツボを作製した。尚、このとき作製した黒鉛ルツボは、図4(b)に示すように、黒鉛ルツボのルツボ本体部16aと本体保持部16bとの嵌合部分28aにテーパー形状が形成されてないものである。
このような黒鉛ルツボを用いて実施例4と同様に直径200mmのシリコン単結晶を28バッチ繰り返し製造した。その際、シリコン単結晶を1バッチ製造する毎に黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を測定することによって、黒鉛ルツボの管理を行いながら単結晶の製造を行った(実施例5)。このとき測定された黒鉛ルツボの減肉量の測定結果も図5に示す。
図5に示したように、24バッチ目のシリコン単結晶を製造した後に黒鉛ルツボの面湾曲部における減肉量を測定したところ、その減肉量が6mmに到達していたので、黒鉛ルツボの交換を行って残りの25バッチ以降のシリコン単結晶の製造を行った。このようにして黒鉛ルツボの管理を行いながら単結晶の製造を行うことにより、黒鉛ルツボが単結晶製造中に破損するのを確実に防止でき、安定してシリコン単結晶の製造を行うことができる。
また、図5に示したように、実施例4及び実施例5の黒鉛ルツボで測定された減肉量を比較してみると、実施例4のように黒鉛ルツボにおけるルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分がテーパー形状を有するものであれば、黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉の進行を抑制できることがわかる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の黒鉛ルツボの構成を概略的に示す概略構成図である。 黒鉛ルツボの自重がルツボ本体部の分割面及び本体保持部に作用する力を模式的に示す模式図である。 従来の単結晶製造装置の構成を概略的に示す概略構成図である。 (a)は、従来の黒鉛ルツボの構成を概略的に示す概略構成図であり、(b)は、嵌合部分を拡大して示した拡大図である。 実施例4及び実施例5の黒鉛ルツボにおける使用回数と減肉量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…黒鉛ルツボ、 2…ルツボ本体部、
3…本体保持部、 4…分割面、 5…嵌合部分、 6…フランジ、
10…単結晶製造装置、 11…チャンバ、 12…原料融液、
13…半導体単結晶、 14…石英ルツボ、 15…種結晶、
16…黒鉛ルツボ、 16a…ルツボ本体部、 16b…本体保持部、
17…シードチャック、 18…ヒーター、 19…ワイヤ、 21…分割面、
22…保温筒、 24…支持軸、 26…湾曲部、 28、28a…嵌合部分、
S…ルツボ本体部底面と本体保持部上部表面との間に形成される間隔、
D…本体保持部の上部表面における内径、
H1…フランジの高さ、 W1…フランジの内径と本体保持部の外径との間隔。

Claims (8)

  1. チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に用いられる黒鉛ルツボであって、引っ張り強さをP[MPa]、熱伝導率をη[GPa]、弾性係数をG[GPa]、熱膨張係数をρ [×10−6/K]としたとき、W=P×η/(G×ρ)で表される耐熱衝撃係数Wが80[kW/m]以上であり、かつ嵩密度が1.8[g/cm]以上である黒鉛からなるものであることを特徴とする黒鉛ルツボ。
  2. 前記黒鉛ルツボは、2つ以上に分割可能なルツボ本体部と、該ルツボ本体部を嵌合して一体的に保持する本体保持部からなり、該ルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分がテーパー形状を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛ルツボ。
  3. 前記テーパー形状のテーパー角度が20°以上70°以下であることを特徴とする請求項2に記載の黒鉛ルツボ。
  4. 前記ルツボ本体部が、該ルツボ本体部の底面と前記本体保持部の上部表面が非接触の状態で本体保持部に保持されるものであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の黒鉛ルツボ。
  5. 前記ルツボ本体部の側壁外面の下部にフランジが設けられていることを特徴とする請求項2ないし請求項4の何れか一項に記載の黒鉛ルツボ。
  6. 前記ルツボ本体部に設けられているフランジの高さが5〜10mmであり、かつ、該フランジの内径と前記本体保持部の外径との間隔が5〜10mmであることを特徴とする請求項5に記載の黒鉛ルツボ。
  7. 請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の黒鉛ルツボを用いて単結晶を製造する際に、該黒鉛ルツボの管理を行う方法において、前記黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さ及び/または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を観察することによって黒鉛ルツボの管理を行うことを特徴とする黒鉛ルツボの管理方法。
  8. 前記黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さが3000μm以上、または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量が6mm以上になった場合に、黒鉛ルツボの交換を行うことを特徴とする請求項7に記載の黒鉛ルツボの管理方法。
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