JP2005225718A - 黒鉛ルツボ及び黒鉛ルツボの管理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に用いられる黒鉛ルツボであって、引っ張り強さをP[MPa]、熱伝導率をη[W/m・K]、弾性係数をG[GPa]、熱膨張係数をρ [×10−6/K]としたとき、W=P×η/(G×ρ)で表される耐熱衝撃係数Wが80[kW/m]以上であり、かつ嵩密度が1.8[g/cm3]以上である黒鉛からなるものであることを特徴とする黒鉛ルツボ。
【選択図】図1
Description
黒鉛ルツボ16の外側には抵抗加熱式のヒーター18が配設され、ヒーター18の外側には保温筒22が配設されており、これらはそれぞれ黒鉛ルツボ16と同心円状に配設されている。また、石英ルツボ14の中心軸上にはワイヤ19の下端部にシードチャック17を介して種結晶15が取り付けられている。
(1)石英ルツボと黒鉛ルツボとの反応
SiO2+C→SiO↑+CO↑
(2)原料融液(シリコン融液)と石英ルツボとの反応
SiO2+Si→2SiO↑
(3)上記(1)及び(2)の反応で発生したSiOガスによる黒鉛ルツボの珪化反応
2C+SiO→SiC+CO↑
(4)石英ルツボと黒鉛ルツボの珪化部分での消耗反応
SiC+2SiO2→3SiO↑+CO↑
しかしながら、これらの特許文献3〜5は、いずれも黒鉛ルツボに肉厚の薄い部分が形成されてしまうため、黒鉛ルツボがその肉厚の薄い部分で破損しやすいという欠点があった。
このように、ルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分がテーパー形状を有するものであれば、単結晶の製造中は黒鉛ルツボの自重によりルツボ本体部の分割面が相互に密接するようになる。それにより、従来では破損が生じ易かったルツボ本体部の分割面湾曲部において、前記で示した(1)〜(4)の反応を抑制することができるため、SiC化の進行や減肉の進行を効果的に抑制でき、耐久性が一層向上した黒鉛ルツボとすることができる。
テーパー形状のテーパー角度を20°以上にすることにより、単結晶の製造中にルツボ本体部の分割面を黒鉛ルツボの自重により安定して密接させることができる。また、テーパー形状のテーパー角度を70°以下にすることにより、単結晶製造後の冷却中に、黒鉛ルツボと石英ルツボの熱膨張係数の違いにより黒鉛ルツボで発生する引っ張り応力を逃がすために、ルツボ本体部を上方向に持ち上げてルツボ本体部間に隙間を容易に形成することができるので、引っ張り応力に起因する黒鉛ルツボの破損を確実に防止することができる。
このようにルツボ本体部が、該ルツボ本体部の底面と前記本体保持部の上部表面が非接触の状態で本体保持部に保持されるものであれば、ルツボ本体部と本体保持部とを常にテーパー形状の嵌合部分のみで嵌合させることができる。
このようにルツボ本体部の側壁外面の下部にフランジが設けられていれば、単結晶の製造中に黒鉛ルツボの外周面に付着した液滴状の溶融Siが黒鉛ルツボのルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分に進入するのを防止することができる。したがって、従来問題とされていたSiの凝固によるルツボ本体部と本体保持部の固着を確実に防止できるため、冷却時に黒鉛ルツボと石英ルツボとの熱膨張係数の違いにより黒鉛ルツボに発生する引っ張り応力を円滑に開放することが可能となる。
このように、ルツボ本体部に設けられているフランジの高さが5〜10mmであり、かつ、フランジの内径と本体保持部の外径との間隔が5〜10mmであれば、ルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分への液滴状Siの侵入を確実に防止することができるし、また、単結晶製造後の冷却時に黒鉛ルツボが石英ルツボの引っ張り応力を受けて分割面で開いた際に、フランジがルツボの本体保持部に接触することもない。
このような条件のときに黒鉛ルツボの交換を行うことにより、黒鉛ルツボが破損する前に黒鉛ルツボの交換を行うことができるようになるので、黒鉛ルツボの破損により生じる被害を確実に防止することが可能となる。
本発明者等は、急激な温度変化に対する耐力が高く、また長期の使用に耐え得るような非常に優れた耐久性を有する黒鉛ルツボを開発すべく鋭意研究及び検討を重ねた結果、ルツボの材質である黒鉛の耐熱衝撃係数W及び嵩密度の大きさに注目した。
S≧(T×D×(ρ1−ρ2))/2×tanθ
の関係を満たすようにすることにより、ルツボ本体部2の底面と本体保持部3の上部表面とを常に非接触の状態にしてルツボ本体部2と本体保持部3とをテーパー形状を有する嵌合部分5のみで嵌合させることができる。
上記のように、本発明の黒鉛ルツボは、熱応力等に起因するルツボの突然の破損を防止でき、またルツボ表面でのSiC化の進行を抑制することができるため、黒鉛ルツボの使用時間を従来よりも延長させることができる。それに伴い、黒鉛ルツボの外壁には液滴状Siが顕著に付着するようになることが考えられる。しかしながら、黒鉛ルツボのルツボ本体部2の側壁外面の下部にフランジ6が設けられていれば、黒鉛ルツボの外壁に付着した液滴状Siがルツボ本体部2と本体保持部3との嵌合部分5に侵入するのを防止することができる。したがって、従来問題とされていたSiの凝固によるルツボ本体部と本体保持部の固着を防止できるため、ルツボ本体部の可動が阻害されず、冷却時に黒鉛ルツボと石英ルツボとの熱膨張係数の違いにより発生する引っ張り応力を円滑に開放することができる。
このように、ルツボ本体部2に設けられているフランジ6の高さH1が5〜10mmであり、かつ、フランジ6の内径と本体保持部3の外径との間隔W1が5〜10mmであれば、ルツボ本体部2と本体保持部3との嵌合部分5へ液滴状Siが侵入するのを確実に防止することができるし、また、冷却時に黒鉛ルツボが石英ルツボの引っ張り応力を受けて分割面4で開く際に、フランジ6が本体保持部3に接触することもない。
本発明の黒鉛ルツボの管理方法は、上記本発明の黒鉛ルツボを用いて単結晶を製造する際に黒鉛ルツボの管理を行う方法であって、黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さ及び/または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を観察することによって黒鉛ルツボの管理を行うことに特徴を有するものである。
(実施例1〜3、比較例1〜5)
口径550mmの石英ルツボに130kgの多結晶シリコンをチャージして直径200mmのシリコン単結晶を製造する場合において、耐熱衝撃係数及び嵩密度が以下の表1に示すような黒鉛から作製された、図1に示した黒鉛ルツボと同様の形状を有する黒鉛ルツボを用いて、シリコン単結晶の製造を28バッチ繰り返して行った。その際、シリコン単結晶を1バッチ製造する毎に黒鉛ルツボの破損を検査し、ルツボの破損が確認された時点で単結晶の製造を中止して黒鉛ルツボの内表面に形成されているSiC層の厚さを観察した。以下の表1に、黒鉛の各物性とともに、黒鉛ルツボが使用された使用バッチ数及びルツボの破損が確認された時点で測定されたSiC層の厚さの最大値を示す。
上記実施例1と同様の黒鉛ルツボを用いて、直径200mmのシリコン単結晶を28バッチ繰り返し製造した。その際、シリコン単結晶を1バッチ製造する毎に黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を測定することによって、黒鉛ルツボの管理を行いながら単結晶の製造を行った(実施例4)。このとき測定された黒鉛ルツボの減肉量の測定結果を図5に示す。
3…本体保持部、 4…分割面、 5…嵌合部分、 6…フランジ、
10…単結晶製造装置、 11…チャンバ、 12…原料融液、
13…半導体単結晶、 14…石英ルツボ、 15…種結晶、
16…黒鉛ルツボ、 16a…ルツボ本体部、 16b…本体保持部、
17…シードチャック、 18…ヒーター、 19…ワイヤ、 21…分割面、
22…保温筒、 24…支持軸、 26…湾曲部、 28、28a…嵌合部分、
S…ルツボ本体部底面と本体保持部上部表面との間に形成される間隔、
D…本体保持部の上部表面における内径、
H1…フランジの高さ、 W1…フランジの内径と本体保持部の外径との間隔。
Claims (8)
- チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に用いられる黒鉛ルツボであって、引っ張り強さをP[MPa]、熱伝導率をη[GPa]、弾性係数をG[GPa]、熱膨張係数をρ [×10−6/K]としたとき、W=P×η/(G×ρ)で表される耐熱衝撃係数Wが80[kW/m]以上であり、かつ嵩密度が1.8[g/cm3]以上である黒鉛からなるものであることを特徴とする黒鉛ルツボ。
- 前記黒鉛ルツボは、2つ以上に分割可能なルツボ本体部と、該ルツボ本体部を嵌合して一体的に保持する本体保持部からなり、該ルツボ本体部と本体保持部との嵌合部分がテーパー形状を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛ルツボ。
- 前記テーパー形状のテーパー角度が20°以上70°以下であることを特徴とする請求項2に記載の黒鉛ルツボ。
- 前記ルツボ本体部が、該ルツボ本体部の底面と前記本体保持部の上部表面が非接触の状態で本体保持部に保持されるものであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の黒鉛ルツボ。
- 前記ルツボ本体部の側壁外面の下部にフランジが設けられていることを特徴とする請求項2ないし請求項4の何れか一項に記載の黒鉛ルツボ。
- 前記ルツボ本体部に設けられているフランジの高さが5〜10mmであり、かつ、該フランジの内径と前記本体保持部の外径との間隔が5〜10mmであることを特徴とする請求項5に記載の黒鉛ルツボ。
- 請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の黒鉛ルツボを用いて単結晶を製造する際に、該黒鉛ルツボの管理を行う方法において、前記黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さ及び/または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量を観察することによって黒鉛ルツボの管理を行うことを特徴とする黒鉛ルツボの管理方法。
- 前記黒鉛ルツボの内表面に形成されるSiC層の厚さが3000μm以上、または黒鉛ルツボの分割面湾曲部における減肉量が6mm以上になった場合に、黒鉛ルツボの交換を行うことを特徴とする請求項7に記載の黒鉛ルツボの管理方法。
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