JP2005222945A - 電子源の製造方法と使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】走査型又は透過型電子顕微鏡、オージェ電子分光装置等の表面分析装置、電子線露光機、特に、電子ビームの加速電圧が1kV以下の低加速で用いられる走査型電子顕微鏡、CD SEM、DRSEM等の半導体ウェハ検査装置に用いられる電子源を提供する。
【解決手段】タングステンまたはモリブデンの単結晶ニードルの一部に、バリウム酸化物とバリウム以外の金属の酸化物の複酸化物からなるバリウムの供給源を設けたニードルに正電位を印加して1000K以上1700K以下、好ましくは1350以上1650K以下で加熱することを特徴とする電子源の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、オージェ電子分光装置を始めとする表面分析装置、半導体ウェハ検査装置、又は電子線露光機用の電子源、特に、電子ビームの加速電圧が1kV以下の低加速で用いられる走査型電子顕微鏡、CD(critical dimension) SEM、DR(defect review) SEMのような半導体ウェハ検査装置に用いられる電子源の製造方法と使用方法に関する。
近年、より高輝度の電子ビームを得るために、タングステン単結晶の針状電極を用いたショットキー電子放射源(以下、電子源という)が使用されている。この電子源は、軸方位が<100>方位からなるタングステン単結晶ニードルに、ジルコニウム及び酸素からなる被覆層(以下、ZrO被覆層という)を設け、該ZrO被覆層によってタングステン単結晶の(100)面の仕事関数を4.5eVから約2.8eVに低下させたものである。この電子源のニードルの先端部に形成された(100)面に相当する微小な結晶面のみが電子放出領域となるので、従来の熱陰極よりも高輝度の電子ビームが得られる。この(100)面はタングステン単結晶ニードルに負の高電圧を印加することにより、すなわち、高電界による静電応力とニードル先端の表面張力が釣り合うことにより発達させることが出来ることが知られている。また、この電子源は長寿命であり、また冷電界放射陰極よりも安定で、低い真空度でも動作し、使い易いという特徴を有している。
電子源は、図1に示すように、絶縁碍子5に固定された導電端子4に設けられたタングステン製のフィラメント3の所定の位置に電子ビームを放射するタングステンの<100>方位のニードル1が溶接等により固着されている。ニードル1の一部には、ジルコニウムと酸素の供給源2が設けられている。図示していないがニードル1の表面はZrO被覆層で覆われている。
ニードル1はフィラメント3により通電加熱されて一般に1800K程度の温度下で使用されるので、ニードル1表面のZrO被覆層は蒸発により消耗する。しかし、供給源2よりジルコニウム及び酸素が拡散することにより、ニードル1の表面に連続的に供給されるので、結果的にZrO被覆層が維持される。
走査型電子顕微鏡やCD SEMあるいはDR SEMといった半導体検査装置などでは、タングステンの<100>方位の単結晶ニードル1にジルコニウムと酸素の被覆層を設けた電子源、いわゆるZrO/Wショットキー電子源、が高輝度で長寿命を有することから広く使用されている。また、これらの装置は被検体をそのままで観察、測定するため1kV以下の低加速電子ビームを用いることが一般的に行われている。
低加速電子ビームを用いる場合はレンズにより絞った電子ビームの径は、色収差により支配される。(例えば、非特許文献1参照)この色収差を低減するには電子源から放射される電子のエネルギー幅を小さくする必要がある。ショットキー電子放射源のエネルギー幅は最小でも2.45kBTを下回ることはない。ここでkBはボルツマン定数、Tは電子放射領域の絶対温度である(非特許文献2)。したがって、色収差の低減には電子源の動作温度を下げることが有効なのであるが、一方、ショットキー電子放射や熱電子放射では動作温度を下げると放射電流が激減する。このため、電子源の動作温度を下げるには仕事関数の低い電子源を用いなければならない。以上のような観点からZrO吸着層にかわる低仕事関数を有するタングステン単結晶上への吸着種とその供給源の探索が近年精力的に行われている(例えば、非特許文献3、4、5参照)。
J.Pawley,Journal of Microscopy,136,Pt1,45(1984)。 R.D.Young,Phys.Rev.113(1959)p110。 西山 英利・大嶋 卓・品田 博之 応用物理 第71巻第4号(2002)p438。 H.Nishiyama,T.Ohshima,H.Shinada,Applied Surface Science,146(1999),p382。 斉藤 泰、矢田 慶治、安達 洋「信学技報」ED2001−175(2001−12)p15。
一方、ブラウン管用の電子源として、タングステンに酸化バリウム、または炭酸バリウムあるいは酸化バリウムと酸化カルシウム、酸化アルミニウムなどを加えて焼結し、タングステン焼結体の表面にBaまたはBaOの吸着層を設けて仕事関数を低下させるディスペンサー・カソード、L型カソードあるいは含浸カソードが古くから知られている(例えば、非特許文献6)。にまとめられている。
A.H.W.Beck、The Institution of Electrical Engineers Paper No.2750R Nov.1958、p372 、p378‐381。
含浸カソードは1000‐1300K程度の温度で動作することから同様な手法を用いてBaO吸着層をタングステン単結晶上に設けることにより低仕事関数化が進む。従って、1000‐1300K程度の温度で動作して低いエネルギー幅の電子放射が行えることが容易に予想できる。
低加速電圧動作時のエネルギー幅とは別に、スループット(through put)が重視される用途では動作角電流密度が注目される。電子線露光装置やDR SEMといった用途では、高いスループットが求められ、このような用途においてZrO/Wショットキー電子源は0.4mA/sr程度の高い角電流密度で動作されており、更に高い角電流密度動作に対応するためHfO/Wショットキー電子源が提案されている(特許文献1)。
特開2001‐319559公報。
タングステン単結晶の一部に酸化バリウムや(Ba、Sr、Ca)酸化物からなるバリウムの供給源を設け、バリウムをタングステン単結晶表面に拡散させて仕事関数を1.2eV程度までに下げ、1000K程度の低温で動作する電子源が知られている。この電子源は、直接検証されていないが、タングステン単結晶上にBaO吸着層を有していると考えられている(非特許文献7又は特許文献2参照)。この研究例によると、(Ba、Sr、Ca)酸化物を用いてタングステン単結晶の<100>方位のニードルにBaO吸着層を設けた場合には1500K以上での熱処理の後に1000Kで動作してその電子放射は放射軸に沿って狭い角度に閉じこめられ、電子源として好ましい放射特性を示すことが報告されている。しかし、一方で安定して動作する時間は数時間と極めて短く、繰り返し1500K以上の熱処理を行う必要があることが述べられており、工業的な実用に耐えないと考えられる。また、酸化バリウムを供給源とした場合についても報告されているが、この場合には電子放射が4回対称となり放射軸に沿って均一に閉じこめられないことと、再現性の乏しさが指摘されている。
西山 英利、大嶋 卓、品田 博之「応用物理」第71巻第4号(2002)p438。 特開平10‐154477号公報。
また、特許文献3には1.0mA/srの動作角電流密度で全放射電流が350μA以下のHfO/Wショットキー電子源が記載されているが、近年更に高い角電流密度動作(3〜5mA/sr)が要求されている。このような極めて高い角電流密度動作時には全放射電流も高くなるため、引き出し電極や電子ビーム放射軸上の金属製絞りに電子が照射され、ガス放出が著しくなり、電子線の気体への衝突により生成したイオンが電子源を衝撃して損傷を与えたり、アーク放電を生じて電子源を破壊することがしばしばある。
特開2001‐319559公報。
本発明者は、上記の事情に鑑みて種々検討した結果、タングステン又はモリブデンの単結晶上にBaO含有吸着層を設けるのに適した供給源を見いだし、前記課題を解決して本発明に至ったものである。
本発明は、以下の特徴とする要旨とするものである。
(1)タングステンまたはモリブデンの単結晶ニードルの一部に、バリウム酸化物とバリウム以外の金属の酸化物の複酸化物からなるバリウムの供給源を設けたニードルに正電位を印加して1000K以上1700K以下、好ましくは1350以上1650K以下で加熱することを特徴とする、電子源の製造方法。
(2)タングステンまたはモリブデンの単結晶ニードルの一部に、バリウム酸化物とバリウム以外の金属の酸化物の複酸化物からなるバリウムの供給源を設けた電子源を、ニードルの温度が950K以上1400K以下、好ましくは1000K以上1300K以下で使用することを特徴とする電子源の使用方法。
本発明は、BaO吸着層を有して長時間の安定動作が可能なBaO/Wショットキー電子源の製造方法と使用方法に関するものであり、当該製造方法で得られる電子源は、従来技術のように数時間に一度の複数回にわたる1500K以上の高温熱処理を必要とせず、低エネルギー幅動作が可能な900〜1450K、好ましくは1000〜1300Kでの動作が可能である。また、角電流密度が4.0mA/srの動作条件において、全放射電流が350μA以下に抑えられているので、従来問題となっていた高角電流密度動作時の、引き出し電極や金属製絞りからのガス放出に起因する電子放射特性の劣化、或いはニードル先端をアークにより損傷するといった信頼性の低下が抑制でき、更に電子線露光機、DR‐SEMといった電子ビーム応用機器のスループットを向上させることができるという特徴を有している。
そして、本発明による製造方法、使用方法によれば、製造時のアーク放電によるニードルの破壊確率を低減し、ノイズの少ない電子放射を行う電子源を得ることができる効果が得られる。
本発明で得られる電子源は、例えば、タングステンまたはモリブデン単結晶の<100>方位、又は<210>方位のニードルにバリウムと酸素の被覆層を設けた電子源(BaO/Wエミッター)であって、バリウム酸化物とバリウム以外の金属の酸化物の複酸化物をバリウムの供給源として単結晶ニードルの一部に設けている特徴がある。
バリウム以外の金属の酸化物の複酸化物における、バリウム以外の金属元素としては、周期律表(短周期型)のIIIA族(ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム)、IVB族(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)、IIIB族(スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素、アクチノイド元素)からなる群から選ばれる1つ以上の金属元素が好ましい。上記の複酸化物としては、特に、BaAl、BaAl1219、BaSc、BaSc、BaTiO、BaZrO、BaHfOからなる群から選ばれる1つ以上の複酸化物が好ましい。
なお、バリウム酸化物のバリウムの一部がバリウム以外のIIA族元素(マグネシム、カルシウム、ストロンチウムなど)で置き換えられていることができる。また、供給源中には、複酸化物のほかに遊離の酸化バリウムや炭酸塩、他の金属酸化物が含有していても構わない。
本発明の電子源は、900〜1450K、好ましくは1000〜1300Kの温度範囲で用いることができる。
また、本発明の電子源は、ZrO/Wショットキー電子源の動作温度である1800Kよりも極めて低い温度で動作するためエネルギー幅小さく低加速電子ビームで用いられる走査型電子顕微鏡や半導体ウェハ検査装置の分解能向上に寄与できる。
更に、本発明の電子源は4.0mA/sr以上の高い角電流密度動作でも全放射電流が350μA以下と少ないため、イオン損傷やアークによる電子源の破壊の可能性が低く、高い信頼性が達成できる。
BaO吸着層は仕事関数を下げる効果が大きく、また、バリウムを含む酸化物は酸化物陰極としても知られているとおり、高温で熱電子を多量に放射する。このためバリウム酸化物を供給源として有する陰極は、真空中で加熱して陰極に負の高圧を印加するとタングステン単結晶ニードルの表面ばかりでなく、バリウム酸化物からなる供給源から熱電子を多量に放射する。この熱電子は陽極をたたきガス放出を誘起し、更に電子線によりイオン化してアーク放電を発生し単結晶ニードルを破壊する確率が極めて高くなる。このため、単結晶ニードルに十分な電界を印加することが出来ず、単結晶ニードルの先端に十分に結晶面を発達させることが出来ないことがしばしば起こりうる。
しかし、本発明の製造方法によれば、正電位を単結晶ニードルに印加するため電子放射を伴わず、そのため、残留ガスのイオン化も起こらずアーク放電を発生することはない。よって、単結晶ニードルの先端に十分な結晶面を発達させるのに必要な高電圧を印加することができ、十分な結晶面の発達は放射電流のノイズ低減に寄与する。なお、印加する電圧は電界強度に換算すると、4×10V/cmから最大で、2×10V/cmである。更に、結晶面が発達するには単結晶ニードル先端の物質移動を伴うために温度は高い方が好ましいのであるが、供給源が急速に蒸発して消失するので1700K以下が好ましい。一方、温度が低いと物質移動が抑制され結晶面が発達しないので1000K以上が好ましい。なかでも、1350〜1650Kが特に好ましい。
このようにして、タングステンまたはモリブデンの単結晶ニードルの一部に、バリウム酸化物とバリウム以外の金属の酸化物からなるバリウムの供給源を設けた単結晶ニードルに正電位を印加して1000K以上1700K以下、好ましくは1350以上1650K以下で加熱することにより、アーク放電の頻度を大きく抑制し、歩留まりが高く、安定した電子源を効率よく作製することができる。
以下に、本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定して解釈されるべきでないことはもちろんである。
絶縁碍子にロウ付けされた導電端子にタングステン製のフィラメントをスポット溶接により固定した後、<100>方位の単結晶タングステン細線を寸断したニードルを前記フィラメントにスポット溶接により取り付け、更に、ニードルの先端を曲率半径が約1μmなるように電解研磨して、電子源中間体を得た。
また、供給源を構成する材料として
・市販のバリウム・アルミネート(BaAl)粉末、
・酸化バリウム粉末、
・酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム粉末の混合物(モル比5:3:2)、
・酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム粉末の混合物(モル比5:4:1)の各々を用いて比較を行った。各粉末を用いて酢酸イソアミルを分散媒として、乳鉢上で粉砕してスラリーを得た。前記スラリーを前記電子源中間体のニードル(フィラメントへの固定位置とニードルの先端との中央の位置)に塗布して、供給源を予備形成した。
スラリー中の酢酸イソアミルが蒸発した後、図2に示す装置に導入した。
ニードル1の先端はサプレッサー電極6と引き出し電極7との間に配置される。尚、ニードル1の先端とサプレッサー電極6の距離は0.25mm、サプレッサー電極6と引き出し電極7の距離は0.6mm、引き出し電極7の孔径は0.6mm、サプレッサー電極6の孔径は0.4mmである。
フィラメント3はフィラメント加熱電源14に接続され、更に必要に応じて極性を変えられる高圧電源13に接続され、引き出し電極7に対して負の高電圧、即ち引き出し電圧Vexが印加される。また、サプレッサー電極6はバイアス電源12に接続され、ニードル1とフィラメント3に対して更に負の電圧、バイアス電圧Vb、が印加される。これによりフィラメント3からの放射熱電子を遮る。電子源からの全放射電流Itは高圧電源13とアース間に置かれた電流計15により測定される。ニードル1の先端から放射した電子ビーム16は引き出し電極7の孔を通過して、蛍光板8に到達する。蛍光板8の中央にはアパーチャー9(小孔)が有り、通過してカップ状電極10に到達したプローブ電流Ipは微小電流計11により測定される。なおアパーチャー9とニードル1の先端との距離とアパーチャー9の内径から算出される立体角をωとすると角電流密度はIp/ωとなる。
(実施例1〜4)バリウム・アルミネートを供給源とした電子源を真空装置内に導入して装置内を3×10‐10Torr(4×10‐8Pa)の超高真空中としてフィラメント3に通電してニードル1を1500Kに加熱し、供給源を焼成する。
以降、手順1と手順2を行ったもの(実施例1、2)と、手順1’と手順2を行なったもの(実施例3、4)との2通りを比較した。
(手順1)
ニードルを1000〜1600Kに維持したままサプレッサーのバイアス電圧Vb=0Vとして、ニードルに正の高電圧を印加して数十時間維持した。
(手順1’)
ニードルを1000〜1600Kに維持したままサプレッサーのバイアス電圧を数百V印加して、ニードルに負の高電圧を印加して数十時間維持した。
(手順2)
ニードルを1000〜1300Kの動作温度に設定して、サプレッサーにバイアス電圧を印加し、続いてニードル1に負の高電圧を印加した。
手順1ではニードル1に最大で6kVの正の高電圧を印加した。手順1と手順2の順で処理したものは手順2でバイアス電圧を50Vとしてニードル1にVex=3kVの引き出し電圧を印加したところ全ての電子源で徐々に放射電流が増した。
実施例3においては、蛍光板8上に観察された電子放射ビームは図3(a)に示すように電子放射軸上に4回対称で軸上のプローブ電流は微弱であったが、放射電流の増加と共に軸上のプローブ電流も徐々に増加してきた。(図3(b))その後、更に1100Kまで動作温度を下げて更に引き出し電圧を1kVまで下げ12hr電子放射を継続したところ、蛍光板8上の電子放射ビームのパターンは図3(c)に示すように軸対称且つ軸上を照射するものであった。また1mA/srの角電流密度に相当するプローブ電流が観察され、その後1500hrにわたり安定した電子放射が確認できた。また、この間に1500K以上の熱処理は最初の一回のみで、繰り返し行う必要はなかった。加えて、その引き出し電圧‐角電流密度、全放射電流の関係から4mA/sr動作時の全放射電流は約120μAであり、10mA/srの動作角電流密度まで確認することができた。(第4図)
但し、手順1’と手順2を行ったもの(実施例3、4)では、高圧印加の初期に急激に放射電流が増加して頻繁にアーク放電が生じてニードル1が破壊するか、放射電流の増加を防ぐために低い負の高電圧しか印加できなかった。希に、図3(c)の電子放射ビームパターンに至るものもあったが、結晶面が十分発達せずプローブ電流のノイズが大きかった。
その後、装置から電子源を取り出してタングステンニードルの先端を走査型電子顕微鏡で観察したところニードル先端に平坦な(100)結晶面が形成されていることが確認できた。特に、手順1と手順2で順に処理したもの(実施例1、2)は、ニードル1の先端に形成される結晶面の直径が手順1’と手順2を行ったもの(実施例3、4)より大きかった。
(比較例1〜12)次に、バリウム・アルミネートとそれ以外の材料により供給源が構成された電子源の結果を表1にまとめた。他の材料は蒸気圧が高いため枯渇しやすく、高温で長時間の処理を行うのに不向きである。一方、バリウム・アルミネートは高温で長時間の処理により枯渇することなく、好ましい特性の電子源を得やすい。
以上の実施例1〜4及び比較例1〜12の結果を表1にまとめて示す。かかる表1から明らかなように、本発明の電子源は安定して長時間動作する特徴を有し、特に、本発明によれば、ブロープ電流のノイズが極めて小さな電子源を得ることができる。
Figure 2005222945
本発明で得られる電子源は、BaO吸着層を有して長時間の安定動作が可能なBaO/Wショットキー電子源であり、従来技術のように数時間に一度の複数回にわたる1500K以上の高温熱処理を必要とせず、低エネルギー幅動作が可能な900〜1450K、好ましくは1000〜1300Kでの動作が可能である。角電流密度が4.0mA/srの動作条件において、全放射電流が350μA以下に抑えられているので、従来問題となっていた高角電流密度動作時の、引き出し電極や金属製絞りからのガス放出に起因する電子放射特性の劣化、或いはニードル先端をアークにより損傷するといった信頼性の低下が抑制でき、更に電子線露光機、DR‐SEMといった電子ビーム応用機器のスループットを向上させることができる。
また、本発明による使用方法によれば、製造時のアーク放電によるニードルの破壊確率を低減し、ノイズの少ない電子放射を行うことができる。
電子源の概略構造図。 電子放射特性の評価装置の概略構成図。 蛍光板上で観察された電子放射ビームの角度分布パターン 引き出し電圧−角電流密度、及び引き出し電圧−全放射電流の測定例
符号の説明
1: ニードル
2: 供給源
3: フィラメント
4: 導電端子
5: 絶縁碍子
6: サプレッサー電極
7: 引き出し電極
8: 蛍光板
9: アパーチャー
10: カップ状電極
11: プローブ電流測定用微小電流計
12: バイアス電源
13: 高圧電源
14: フィラメント加熱電源
15: 全放射電流測定用電流計
16: 放射電子線

Claims (4)

  1. タングステンまたはモリブデンの単結晶ニードルの一部に、バリウム酸化物とバリウム以外の金属の酸化物の複酸化物からなるバリウムの供給源を設けたニードルに正電位を印加して1000K以上1700K以下で加熱することを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 前記加熱する温度が1350以上1650K以下であることを特徴とする請求項1記載の電子源の製造方法。
  3. タングステンまたはモリブデンの単結晶ニードルの一部に、バリウム酸化物とバリウム以外の金属の酸化物の複酸化物からなるバリウムの供給源を設けた電子源を、ニードルの温度が900以上1450K以下で使用することを特徴とする電子源の使用方法。
  4. ニードルの温度が1000K以上1300K以下で使用することを特徴とする請求項3記載の電子源の使用方法。
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