JP2005221757A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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淳平 天野
Yasuhiro Uehara
康博 上原
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秀夫 斉藤
Atsumi Kurita
篤実 栗田
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Abstract

【課題】 画像形成装置の高速化に対応して、定着装置における温度ドループ現象の発生を抑制すると同時に、紙しわの発生を抑える。
【解決手段】 用紙Pに担持されたトナー像を定着する定着装置60は、フレアー形状に形成された定着ロール610と、定着ロール610に張架される定着ベルト614と、定着ベルト614を張架するクラウン形状に形成された張架ロール615と、定着ロール610の定着ベルト614が巻き付けられた領域内で定着ベルト614の外周面に当接して、定着ベルト614との間にニップ部Nを形成する加圧ベルト620とを備えている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、定着装置等に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体を一様に帯電し、この感光体を画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、さらにこのトナー像を記録紙に転写し、これを定着装置によって定着して画像形成している。
かかる画像形成装置に用いられる定着装置においては、図6に示したように、円筒状の芯金111の内部に加熱源113を備え、その芯金111の外周面に離型層112が形成された定着ロール110と、この定着ロール110に対して圧接配置され、芯金121の外周面に耐熱性弾性層122、および耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層123が形成された加圧ロール120とで構成されている。そして、定着ロール110と加圧ロール120との間に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させて、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、記録紙にトナー像を定着している。このような定着装置は、加熱ロール方式と呼ばれて、一般に広く利用されている。
ところで、加熱ロール方式の定着装置において高速化を図ろうとする場合には、トナーと記録紙に充分な熱量を供給するために、ニップ幅を定着速度に比例して広くすることが必要となる。ニップ幅を広くする方法として、定着ロールと加圧ロールとの間の荷重を大きくする方法や、弾性体の厚さを厚くする方法、さらにはロール径を大きくする方法がある。
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが発生する等といった画像品質上の問題が生じる。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
そこで、これらの問題を解消して、画像形成装置の高速化に対応した定着装置を実現するべく、本出願人は、表面に弾性体が被覆された定着ロールと、複数の支持ロールによって張架されたエンドレスベルトとを設け、エンドレスベルトと定着ロールとの間にニップ領域を形成するようにエンドレスベルトを定着ロールの周りに所定角度だけ巻き付けるとともに、ニップ領域の出口にニップ領域の他の部分よりも大きな圧力を局部的に加えて定着ロール表面の弾性体にひずみを生じさせるように構成した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
さらに、本出願人は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させ、エンドレスベルトと定着ロールとの間にシートを通過させるベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献2参照)。
かかる特許文献1に記載された技術では、複数個のロールで張架されたエンドレスベルトを接触させてベルトニップを形成している。また、特許文献2に記載された技術では、圧力パッドを用いてエンドレスベルトを定着ロールに圧接させてベルトニップを形成している。このような構成を採用することにより、定着ロールとエンドレスベルトとによって形成されるベルトニップの幅が従来の定着ロールと加圧ロールとのロールニップの幅よりも容易に大きくすることができるので、高速化対応が可能となり、しかも装置の小型化を図ることも容易である。
特に、定着ロールに圧接させるエンドレスベルトの熱容量が小さいために定着ロールから伝達される熱も発散され難い。そのため、定着ロールの回転が開始されても、定着ロールからエンドレスベルト側に奪われる熱量は比較的少なく、熱をトナーの溶融に利用する効率が高まることから、トナーの定着性の向上を図ることができるという利点を有している。
特許第3084692号公報(第5-8頁) 特許第3298354号公報(第4-7頁)
しかしながら、上記した特許文献1および特許文献2に記載した定着装置(これらを総称して「ベルトニップ方式」という。)においては、ワイドニップを形成することができるが、画像形成装置のさらなる高速化が進み、短時間に連続して送られてくる多数枚の記録紙に対して定着処理を行うこととなると、定着ロールの表面温度が一時的に低下する所謂「温度ドループ」現象の発生が不可避となる。特に、熱容量の大きい厚紙においては温度ドループが大きくなる。このような温度ドループ現象が発生すると、定着ロールの表面温度が回復するまでのある程度の枚数の記録紙において定着不良が発生する場合がある。
ところで、この温度ドループ現象は、定着ロールの芯金に被覆されたシリコーンゴム等からなる弾性層が熱的抵抗体として作用することにより、定着ロールの内部から充分な熱量を供給しても、その熱が定着ロール表面に素早く伝達されないことに起因するものである。したがって、ベルトニップ方式の定着装置ではワイドニップを形成することはできるが、さらなる高速化を図ろうとする場合には、一時的に充分な熱量を記録紙に供給することができない状態が生じて、ベルトニップ方式のメリットを充分に活かすことができない場合があった。
一方、画像形成装置のさらなる高速化を図る際にも、記録紙における紙しわの発生を防止する必要もある。記録紙における紙しわの発生を抑えるには、一般に、ニップ部を通過する記録紙に対し、記録紙の送り速度が進行方向に対して中央部よりも両端部側で若干速くなるように構成して、記録紙において中央部から両側部へ引張力が生じるようにしている。したがって、画像形成装置のさらなる高速化に対応させて、紙しわの発生を抑制できるように、記録紙に充分な引張力が作用するような構成も必要となる。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、画像形成装置の高速化に対応して、温度ドループ現象の発生を抑制することができる定着装置を提供することにある。
また他の目的は、記録紙における紙しわの発生を抑制することにある。
かかる目的のもと、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、フレアー形状に形成された定着ロールと、定着ロールに張架される定着ベルトと、定着ベルトを張架するクラウン形状に形成された張架ロールと、定着ロールの定着ベルトが巻き付けられた領域内で定着ベルトの外周面に当接して、定着ベルトとの間にニップ部を形成する加圧ベルトとを備えたことを特徴としている。
ここで、定着ロールは内部に加熱部材が配設され、張架ロールは内部に加熱部材が配設された構成とすることができる。さらに、張架ロールは、複数配設された構成とすることもできる。
また、定着ベルトと加圧ベルトとの間で形成されるニップ部に、加圧ベルトを定着ロール側に押圧する押圧部材をさらに備えたことを特徴とすることもできる。
また、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、回動自在な第1のベルト部材と、第1のベルト部材に当接する第2のベルト部材とを備えており、第1のベルト部材は、フレアー形状に形成された第1のロール部材と、クラウン形状に形成された第2のロール部材とを含む複数のロール部材で張架されたことを特徴としている。
ここで、第1のベルト部材と第2のベルト部材との当接部を押圧する押圧部材をさらに備えたことを特徴とすることができる。また、第2のベルト部材は、第1のロール部材の第1のベルト部材が巻き付けられた領域内で第1のベルト部材の外周面に当接して、第1のベルト部材との間にニップ部を形成する構成を採ることができる。さらに、第1のベルト部材は、内部に加熱部材が配設され、さらに第1のベルト部材以外の少なくとも1のロール部材の内部に加熱部材が配設された構成とすることができる。
また、複数のロール部材は、複数のロール部材における張り渡し長が軸方向のすべての位置で略等しいように構成することを特徴とすることができる。なお、ここでの「張り渡し長」とは、並列して配置される複数のロールの間に、軸に対して直角方向に張り渡された線(張り渡し線)を仮定した場合における、この張り渡し線の長さをいう。
さらに、本発明の定着装置は、加熱源を内部に有し、フレアー形状に形成された定着ロールと、1または複数の張架ロールと、定着ロールと張架ロールとに張架された回動自在な定着ベルトと、定着ベルトを加熱する加熱部材とを備え、張架ロールの少なくとも1は、クラウン形状に形成されたことを特徴としている。
ここで、定着ロールの定着ベルトが巻き付けられた領域内で定着ベルトの外周面に当接して定着ベルトとの間にニップ部を形成する加圧ベルトと、定着ベルトと加圧ベルトとの間で形成されるニップ部に、加圧ベルトを定着ロール側に押圧する押圧部材とをさらに備えた構成とすることができる。また、定着ロールと張架ロールとは、定着ロールと張架ロールとの間の張り渡し長が軸方向のすべての位置で略等しいように構成することもできる。
また、加熱部材は、1または複数の張架ロールの内部に配設された構成とすることもできる。
また、本発明を画像形成装置として捉え、本発明の画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、フレアー形状に形成された定着ロールと、定着ロールに張架される定着ベルトと、定着ベルトを張架するクラウン形状に形成された張架ロールと、定着ロールの定着ベルトが巻き付けられた領域内で定着ベルトの外周面に当接して、定着ベルトとの間にニップ部を形成する加圧ベルトとを備えたことを特徴としている。
本発明の効果として、画像形成装置の高速化に対応して、定着装置における温度ドループ現象の発生を抑制することが可能となった。また、同時に、紙しわの発生を抑えることも可能となった。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは例えば0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。バックアップロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC:高分子計器(株)製、以下同様。)に設定される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。
図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。この定着装置60は、定着ベルトモジュール61と加圧ベルトモジュール62とで主要部が構成されている。
定着ベルトモジュール61は、矢印A方向に回転する定着ロール(第1のロール部材)610、内部に加熱部材としてのハロゲンヒータ616が配設された張架ロール(第2のロール部材)615、定着ロール610および張架ロール615に張架されて矢印D方向に従動回転する定着ベルト(第1のベルト部材)614により構成されている。
定着ロール610は、厚さ5mmのアルミニウムで形成された芯金611の表面に、厚さ1.5mmの弾性層612が被覆されて形成された、外径65mmφ、長さ350mmのソフトロールである。弾性層612には、硬度が25〜45°(JIS−A)のLSR(Liquid Silicone Rubber)が用いられている。さらに、定着ロール610は、外径を中央部よりも両端部の方を100μmだけ大きくした所謂フレアー形状で形成されている。そして、定着ロール610は、400mm/sの表面速度で矢印A方向に回転する。
また、定着ロール610の内部には加熱部材として定格1000Wのハロゲンヒータ613が配設され、定着ロール610の表面に接触するように配置された温度センサ617aの計測値に基づき、画像形成装置の制御部40(図1参照)が定着ロール610の表面温度を160℃に制御している。
なお、弾性層612の材質としては、シリコーンゴムに限定されず、例えばフッ素ゴムのような従来公知の各種材質を用いることができ、また、シリコーンゴムとフッ素ゴムからなる複数層積層された弾性層612を用いてもよい。さらに、定着ロール610としては、弾性層612のない、所謂ハードロールを用いることができ、この場合には、定着ロール610から定着ベルト614への熱供給がさらに効率化され、より温度ドループの小さな高速適性にすぐれた定着装置60が得られる。
定着ベルト614は、定着ロール610および張架ロール615により張力10kgfで張架されている。定着ベルト614は周長330mm、幅340mmのフレキシブルなエンドレスベルトで形成されている。
定着ベルト614は、厚さ75μmのポリイミド樹脂で形成されたベース層と、ベース層に積層された厚さ200μmの弾性中間層と、さらに表面側(外周面側)に、離型層として厚さ30μmのPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)で形成された表面層とからなる多層構造のエンドレスベルトである。ここでは、弾性中間層は、特にカラー画像に対する画質向上のために設けられたものであり、本実施の形態では硬度が20°(JIS−A)のシリコーンゴムを使用している。なお、本実施の形態における定着ベルト614の引張弾性率は2MPa程度に構成されている。
張架ロール615は、外径23mmφ、肉厚2mm、長さ350mmのステンレスロールを基材として、その外表面に、厚さ20μmのPFAが離型層として被覆されている。この離型層は、定着ベルト614表面からの僅かなオフセットトナーや紙粉が堆積するのを防止する機能を有している。
張架ロール615の内部には加熱部材として定格800Wのハロゲンヒータ616が配設されており、温度センサ617bと制御部40(図1参照)とによって、張架ロール615の表面温度は200℃に制御されている。したがって、張架ロール615は、定着ベルト614を張架する機能とともに、定着ベルト614を加熱する機能をも併せ持っている。
また、張架ロール615は、定着ロール610とは逆に、外径を端部よりも中央部の方を100μmだけ大きくした所謂クラウン形状で形成している。
一方、加圧ベルトモジュール62は、インレットロール621、加圧ロール622および張架ロール623の3本のロールにより張架された加圧ベルト(第2のベルト部材)620、加圧ベルト620の内側において、加圧ベルト620を介して定着ロール610に付勢される状態で配置される圧力パッド(押圧部材)63により主要部が構成されている。そして、加圧ベルト620は、定着ベルトモジュール61の定着ロール610が矢印A方向へ回転するのに伴い、定着ロール610に従動して矢印B方向に回動する。その進行速度は、定着ロール610の表面速度と同じ400mm/sである。
加圧ベルト620は、定着ベルト614が定着ロール610に巻き付けられた(ラッピングされた)領域(ラップ部)内において、定着ベルト614の外周面に当接してニップ部Nを形成している。また、このニップ部Nには、加圧ベルト620の内側に圧力パッド63が加圧ベルト620を介して定着ロール610に向けて付勢された状態で配置されている。したがって、トナー像を担持した用紙Pは、このニップ部Nを通過する際に、ニップ部Nにおいて加熱および加圧され、トナー像が用紙Pに定着される。
なお、本実施の形態の定着装置60では、ニップ部Nは、定着ロール610の回転軸に関する中心角として45°に亘る帯状領域(以下、この中心角を「巻き付き角」という。)として形成されている。なお、この場合のニップ幅は26mmである。
また、加圧ベルト620は、ベース層とその表面(定着ロール610側の面、または両面)に被覆された離型層とから構成されているのが好ましい。そして、ベース層としては、耐熱強度の高い樹脂で形成され、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等が適している。ベース層の厚さは、例えば50〜125μm程度に形成される。ベース層の表面に形成される離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA等が5〜20μmの厚さでコーティングされたものが好ましい。さらには、必要であればベース層と離型層との間に厚さ100〜200μmの弾性層を積層させた構成を採ることもできる。弾性層の材料としては、シリコーンゴム等を使用することができる。
本実施の形態の定着装置60においては、加圧ベルト620として、厚さ75μm、幅340mm、周長288mmのポイリミドフィルムのベース層のみにより構成している。
さらに、加圧ベルト620を張架する3個のロールは、ステンレス製のインレットロール621、スチールコアに弾性体層としてシリコーンゴムが1.0mmの厚さで被覆された加圧ロール622、およびステンレス製の張架ロール623であり、10kgの張力で加圧ベルト620を張架している。それぞれのロールの直径は、22mm、25mmおよび20mmである。また、インレットロール621の内部には、加熱源としてハロゲンヒータ625が配設されている。そして、図示しない温度センサおよび制御部40(図1参照)によりその表面温度は120℃に制御され、加圧ベルト620に予熱を与えている。
なお、インレットロール621、加圧ロール622および張架ロール623のいずれかのロールには、加圧ベルト620のベルトエッジ位置検知機構と、ベルトエッジ位置検知機構の検知結果に応じて加圧ベルト620の軸方向における当接位置を変位させる軸変位機構とを配設し、加圧ベルト620の蛇行を制御するように構成することも可能である。
次に、押圧部材としての圧力パッド63は、幅の広いニップ部Nを確保するための弾性体部材と、弾性体部材が加圧ベルト620の内周面と接触する面に設けられた低摩擦層とで構成され、金属等からなるホルダに保持されている。低摩擦層を表面に有する弾性体部材は、定着ロール610側がほぼ定着ロール610の外周面に倣う凹形状に形成され、定着ロール610に対して押圧されて配置され、ニップ部Nの入口側領域を形成している。弾性体部材としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性の高い弾性体や、板バネ等を用いることができる。弾性体部材上に形成された低摩擦層は、加圧ベルト620内周面と圧力パッド63との摺動抵抗を小さくするために設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性のある材質であることが望ましい。具体的には、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、フッ素樹脂シート、フッ素樹脂塗膜等を用いることができる。
なお、圧力パッド63としては、本実施の形態のようにパッド状に成型されたものの他に、例えば、ロール状に成型されたものを用いることもでき、加圧ベルト620を介して定着ロール610表面に付勢させて従動回転させてもよい。ただし、本実施の形態のようにパッド状に成型された圧力パッド63の方が、当接するニップ部N全域に亘って、広く均一にニップ圧を付与することができる。
また、圧力パッド63に対し用紙P搬送方向(矢印C方向)の下流側に配置された加圧ロール622は、加圧手段としての圧縮コイルスプリング(不図示)によって、加圧ベルト620および定着ベルト614を介して定着ロール610の中心軸に向けて付勢されており、定着ロール610および定着ベルト614の当接部に局所的な高圧を生じさせている。それによって、定着ロール610の表面の弾性層612および定着ベルト614は弾性変形してひずみが生じ、ニップ部Nの出口では、この定着ロール610および定着ベルト614のひずみにより、用紙Pが定着ロール610および定着ベルト614側から剥離される。
なお、この定着ロール610および定着ベルト614に対する局所的な高圧を低荷重で効率良く与えるために、加圧ロール622は定着ロール610より小径で、その表面は硬質に形成されていることが望ましい。
次に、本実施の形態の定着装置60における定着動作について説明する。
画像形成装置の二次転写部20(図1参照)において未定着トナー像が静電転写された用紙Pは、搬送ベルト55および定着入口ガイド56により、定着装置60のニップ部Nに向けて(矢印C方向)搬送されてくる。ニップ部Nを通過する用紙P表面の未定着トナー像は、ニップ部Nに作用する圧力と熱とにより用紙Pに定着される。本実施の形態の定着装置60では、上述したように、定着ベルト614がラッピングされた定着ロール610と加圧ベルト620とを当接させた構成により、ニップ部Nを広く設定することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
このとき、ニップ部Nに作用する熱は、主として定着ベルト614によって供給される。定着ベルト614は、定着ロール610の内部に配置されたハロゲンヒータ613から定着ロール610を通じて供給される熱と、張架ロール615の内部に配置されたハロゲンヒータ616から張架ロール615を通じて供給される熱とによって加熱されるように構成されている。そのため、定着ロール610のみでは熱エネルギーが不充分である場合においても、張架ロール615から適切かつ速やかに熱エネルギーを補給することができるので、ニップ部Nにおいては、プロセススピードが400mm/sという高速であっても充分な熱量を確保することができる。
ここで、定着ベルト614を介した用紙Pへの熱の伝達について述べる。
本実施の形態の画像形成装置のようにプロセススピードが400mm/sと高速である場合には、用紙Pが次々に定着装置60のニップ部Nに搬送される連続定着が行われた際に、用紙Pおよび未定着トナー像に熱が奪われるとともに、加圧ベルトモジュール62からの放熱量も増加するので、加圧ベルト620が単に定着ロール610に巻き付いただけの構成であれば、定着ロール610の表面温度は低下し易い。また、ハロゲンヒータ613による定着ロール610内部からの熱エネルギーの供給のみでは、定着ロール610自身が厚みを有することから、その表面にまで熱を到達させるまでのタイムラグも生じる。
これに対し、定着ロール610の構成のみによって定着ロール610の表面温度を必要な温度に維持するとすれば、極めて多くの熱量を定着ロール610の内部から供給する必要が生じる。このような方法では、エネルギー損失が大きく、また装置自体の負荷も大きい。さらに、連続定着の終了後に必要以上に表面温度が高温となるため、定着ロール610の表面が損傷を受け、次の画像形成サイクルにおいて定着不良が発生するという懸念もある。
その対応策として、定着ロール610の表面に直接接触するように外部加熱ロールのような外部加熱装置を配置し、定着ロール610の表面を外部から補助加熱する方法も考えられるが、外部加熱ロールと定着ロール610の表面との接触幅を大きく設定することが難しいので、結局充分な熱量を定着ロール610の表面に供給することは困難である。
これに対して、本実施の形態の定着装置60では、一般的なベルトニップ方式の定着装置に対し、定着ロール610と並行して内部にハロゲンヒータ616が配設された張架ロール615を配置し、張架ロール615と定着ロール610とによって無端状の定着ベルト614が張架される構成を採用している。かかる構成では、定着ベルト614は用紙Pを加熱する直接的な加熱部材として機能し、定着ロール610と張架ロール615の双方は定着ベルト614に対し熱を供給する熱供給部材として機能する。ただし、定着ロール610は、定着ベルト614を介して用紙Pに接触していることから、用紙Pを直接加熱する機能をも兼ね備えている。
かかる構成においては、直接的な加熱部材として機能する定着ベルト614は、極めて小熱容量である。これまでの一般的なベルトニップ方式の定着装置のように、加熱部材として定着ロール610のみで構成される場合には、定着ロール610の表面層が用紙Pと当接する領域を通過した後、再度用紙Pと当接する領域に戻るまでの1回転の間に、大きな熱容量の定着ロール610を所定の定着温度に復帰させる必要があったため、画像形成装置の高速化が進む際には、この所定の定着温度への復帰が定着ロール610の1回転では間に合わないといった状況が生じる場合があった。ところが、定着ベルト614は極めて小熱容量であり、加えて、熱供給部材である定着ロール610と張架ロール615の双方とは広いラップ面積(大きな巻き付き角)で接触できるので、定着ベルト614が1回転する間に、定着ベルト614を必要な定着温度に復帰させることが可能である。
このように、本実施の形態の定着装置60では、極めて小熱容量である定着ベルト614が、熱供給部材である定着ロール610と張架ロール615の双方と広いラップ面積(大きな巻き付き角)で接触することができるので、定着ロール610や張架ロール615から定着ベルト614への熱の伝達が迅速かつ充分に行われ、定着ベルト614を定着ベルト614が1回転する間という短時間で必要な定着温度に復帰させることが可能となる。したがって、ニップ部Nにおいては、定着装置60が高速化されても、所定の定着温度を常に維持することができる。
その結果、高速定着時における大きな課題であった温度ドループ(定着ロールの表面温度が一時的に低下する現象)の発生を抑制することが可能となる。特に、熱容量の大きな厚紙の定着においても、温度ドループの発生を抑制することができる。また、紙種に対応させて定着温度を途中で切り替える(定着温度のアップおよびダウンの双方を含む。)必要がある場合にも、定着ベルト614は熱容量が小さく、定着ベルト614の厚さ方向の熱伝導性が高いので、ハロゲンヒータ613およびハロゲンヒータ616の出力調整により、所望の温度への切り替えは容易であり、かつ速やかに行うこともできる。
また、本実施の形態の定着装置60は、加圧ベルトモジュール62の加圧ベルト620が、定着ロール610表面に対し定着ベルト614が巻き付けられた領域(ラップ部)内でのみ、定着ベルト614の外周面に当接するように構成されて、ニップ部Nが形成されている。すなわち、ニップ部Nにおいては、定着ベルト614の内周面側には定着ロール610が全域に亘って位置している。したがって、定着ベルト614と加圧ベルト620との当接は、定着ロール610表面によって安定的に支持された状態が形成されるので、ニップ部Nの全域において均一に密着させることができる。かかる定着ベルト614と加圧ベルト620との良好な密着性により、定着ベルト614から用紙Pへの熱の伝導を効率的に行うことができるので、温度ドループの発生をより効果的に抑制することができる。
さらに、かかるニップ部Nの構成により、定着ベルト614のニップ部N入口側上流においては、定着ベルト614が定着ロール610とのみ接触する領域が形成されている。そのため、定着ベルト614がこの領域を通過する際に、回動の間に定着ベルト614に生じたしわが矯正される。したがって、ニップ部Nにおいては、用紙P上の未定着トナー像と平滑な状態で接触することができるので、良質な定着画像を得ることができる。
なお、このようにしてニップ部Nでトナー像が定着された用紙Pは、ニップ部Nの出口において加圧ロール622が定着ロール610に押圧されることで形成された定着ロール610および定着ベルト614のひずみにより、定着ベルト614から剥離される。そして、ニップ部Nの定着ロール610の回転方向A下流側であって、定着ロール610表面近傍に配置された剥離案内板626、627により分離される。分離された用紙Pは排出ガイド628により案内されて、排出ロール629により画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部(不図示)に搬送され、載置される。
ところで、かかる本実施の形態の定着装置60においては、上述した構成に加えて、定着ロール610は、外径が中央部よりも端部の方を大きくした所謂フレアー形状で形成するとともに、張架ロール615は、定着ロール610とは逆に、外径が端部よりも中央部の方を大きくした所謂クラウン形状で形成している。
このように、定着ロール610をフレアー形状に形成することで、ニップ部Nを通過する用紙Pに対して、用紙Pの搬送速度が進行方向に対して中央部よりも両端部側で若干速くすることができる。これによって、定着ロール610に密着しながら搬送される用紙Pには幅方向における中央部から両側部に向かう引張力が生じることから、用紙Pでの紙しわの発生を抑制することが可能となる。
一方、本実施の形態の定着装置60は、ニップ部Nにおいて定着ロール610には定着ベルト614がラッピングされている。したがって、用紙Pに対し中央部から両側部に向かう引張力を生じさせるためには、定着ベルト614も定着ロール610のフレアー形状に精度良く倣って回動する必要がある。
ところが、定着ロール610でのフレアー形状による両端部と中央部との周速差によって、定着ベルト614にも両端部と中央部とで周速差が発生するが、定着ベルト614はエンドレスベルトで構成されているために、その周速差によって定着ベルト614の中央部から両端部に向かってせん断的なひずみが生じることとなる。このような定着ベルト614のひずみは、ニップ部Nにおける定着ベルト614を介した定着ロール610と用紙Pとの密着性を妨げることから、ニップ部Nを通過する用紙Pに対する幅方向における中央部から両側部に向かう引張力が低減し、紙しわの抑制効果を弱めることとなる。特に、高速で搬送される用紙Pにおいては、定着ロール610のフレアー形状への密着性が充分でなければ、紙しわの発生頻度が高くなり易い。
そこで、本実施の形態の定着装置60では、定着ベルト614を張架するもう一方のロールである張架ロール615を、定着ロール610とは逆に、外径が端部よりも中央部の方を大きくした所謂クラウン形状で形成することによって、張架ロール615において、定着ベルト614を両端部よりも中央部が早く回動するように構成している。
このように構成することによって、図3に示したように、張架ロール615とのラップ部では、定着ベルト614は中央部が両端部よりも速く搬送されることとなり、この中央部と両端部との周速差によって、定着ベルト614の両端部よりも中央部を張架ロール615側により速く引っ張ることができる。それによって、定着ロール610とのラップ部では、定着ベルト614における中央部が遅く両端部が速いという速度差によって定着ベルト614の中央部に向かって生じたひずみが是正され、定着ベルト614を定着ロール610に密着させることができる。そのため、定着ベルト614は定着ロール610のフレアー形状に精度良く倣って回動することができるので、定着ベルト614を介した定着ロール610と用紙Pとの密着性を良好に保つことができる。その結果として、ニップ部Nを通過する用紙Pに対して中央部から両側部に向かう引張力が効果的に作用して、紙しわの発生を充分に抑制することが可能となる。
ここで、定着ベルト614の引張弾性率について述べる。上述したように、本実施の形態の定着装置60では、定着ロール610のフレアー形状によって生じる定着ベルト614のひずみを、張架ロール615のクラウン形状による両端部と中央部との周速差で是正している。その際に、張架ロール615のクラウン形状による両端部と中央部との周速差を、定着ロール610におけるラップ部に効率良く伝達する必要がある。すなわち、定着ベルト614の引張弾性率が低くて、定着ベルト614が伸び易い特性を有する場合には、張架ロール615のクラウン形状によって生じた両端部と中央部との周速差が、定着ベルト614自体の伸びによって吸収されてしまうために定着ロール610とのラップ部まで伝わらず、ニップ部Nでの定着ベルト614のひずみを是正することができないこととなる。したがって、定着ベルト614には、所定値以上の引張弾性率を有することが要求される。本実施の形態の定着ベルト614では、張架ロール615での周速差を定着ロール610のラップ部に効率良く伝達するのに充分小さな伸び率を実現することに加え、定着ロール610と張架ロール615とに張架されながら長期に亘り安定した強度を保つとともに、熱容量が小さくなるような薄層化に耐え得ることをも考慮して、定着ベルト614の引張弾性率としては、実験により、0.1MPa以上が必要であるという知見を得た。
他方、定着ベルト614においても、定着ロール610のフレアー形状や張架ロール615のクラウン形状に対応した幅方向の伸びや、各種ロールに張架された状態で加わる力の吸収のための伸び等が生じるように、所定量の伸びが可能なように構成する必要がある。かかる観点から、定着ベルト614には長さ100mm当たり50μm程度の伸び(ひずみ率0.0005)が必要となると想定される。
いま、定着ベルト614に付加される最大引張応力として、厚さ50μmであって、幅340mmの定着ベルト614に対し、50kgfの張力で張架した場合を想定する。この場合に、定着ベルト614におけるひずみ率0.0005を確保するためには、引張弾性率=応力/ひずみ率の定義から、引張弾性率は60GPa程度である必要がある。したがって、定着ベルト614に想定される引張応力の範囲においては、引張弾性率を60GPa以下とすることが好ましい。すなわち、60GPaより大きな引張弾性率を有する定着ベルト614を用いると、ひずみ率0.0005を確保するために過度な引張応力を定着ベルト614に付加する必要が生じ、構成上の負荷が大きいからである。
したがって、張架ロール615での周速差を定着ロール610のラップ部に効率良く伝達するとともに、定着ロール610のフレアー形状や張架ロール615のクラウン形状に対応した幅方向の伸び等が生じるように設定するためには、定着ベルト614の引張弾性率は0.1MPa〜60GPaの範囲で構成し、この範囲内において、ひずみ率0.0005を確保することができるような定着ベルト614の寸法設定、張力の設定を行なうのが好ましい。
続いて、定着ロール610の両端部と中央部との外径差(フレアー量)と、張架ロール615の両端部と中央部との外径差(クラウン量)との関係について述べる。上述したように、本実施の形態の定着装置60では、定着ロール610のフレアー形状によって生じる定着ベルト614のひずみを、張架ロール615のクラウン形状による両端部と中央部との周速差で是正している。すなわち、定着ロール610とのラップ部で生じた中央部での相対的な搬送遅れを、張架ロール615とのラップ部において両端部よりも中央部で相対的に速く搬送することで、搬送速度の調整を図っている。したがって、並列して配置される定着ロール610と張架ロール615との間に、両ロールの軸に対して直角方向に張り渡された線(張り渡し線)を仮定した場合に、原則として、軸方向のすべての位置において張り渡し線の長さ(「張り渡し長」とする。)が等しくなるように、定着ロール610のフレアー量と張架ロール615のクラウン量を設定する必要がある。具体的に図3を用いて説明すると、両端部a、cでの張り渡し長と、中央部bでの張り渡し長とが略等しくなるように、定着ロール610のフレアー量と張架ロール615のクラウン量とを設定する。
その際、定着ロール610における両端部の外径をR、中央部の外径をR、ラップ部の巻き付き角をΘ、フレアー量をpとし、張架ロール615における両端部の外径をr、中央部の外径をr、ラップ部の巻き付き角をθ、クラウン量をqとする。両端部a、cでの張り渡し長と、中央部bでの張り渡し長とが略等しくなる条件は、RΘ+rθ≒RΘ+rθである。したがって、(R−R)Θ≒(r−r)θ、すなわちpΘ≒qθを満たすように、定着ロール610におけるラップ部の巻き付き角とフレアー量、張架ロール615におけるラップ部の巻き付き角とクラウン量を設定すればよい。
次に、本実施の形態の定着装置60を用いて、用紙Pにおける紙しわの発生に関する実験を行なった。本実験では、用紙Pとして富士ゼロックス(株)製のA3サイズのP紙(商品名)を用い、定着ロール610の表面温度を160℃に制御しながら、用紙Pにはトナー像を担持させない「白紙」状態での通紙を行なった。その結果、1000枚の連続通紙においても、用紙Pに紙しわが発生することは無かった。
その比較例として、定着ロール610をフレアー形状に形成しない所謂ストレートロールとし、張架ロール615もクラウン形状に形成しないストレートロールに設定した状態で、同様の実験を行なったところ、略10枚に1枚の割合で、用紙Pに紙しわが発生した。さらに、定着ロール610をフレアー形状に形成し、張架ロール615はストレートロールに設定した場合には、250枚程度通紙させた時点で、定着ベルト614に破断が生じた。
このように、本実施の形態の定着装置60の優位性を確認することができた。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60では、定着ロール610と並行して内部に加熱部材であるハロゲンヒータ616が配設された張架ロール615を配置し、張架ロール615と定着ロール610とを無端状の定着ベルト614で張架する構成を採用している。そして、用紙Pを加熱する主要な加熱部材として定着ベルト614を機能させ、定着ロール610と張架ロール615の双方は定着ベルト614に対し熱を供給する熱供給部材として機能させている。そのため、ニップ部Nにおいては、定着装置60が高速化されても、所定の定着温度を常に維持することができるので、温度ドループの発生を抑制することができる。
また、定着ロール610を外径が中央部よりも端部の方を大きくしたフレアー形状で形成するとともに、張架ロール615を、定着ロール610とは逆に、外径が端部よりも中央部の方を大きくしたクラウン形状で形成している。このように構成することにより、定着ベルト614は定着ロール610のフレアー形状に精度良く倣って回動することができるので、定着ベルト614を介した定着ロール610と用紙Pとの密着性を良好に保つことができる結果、ニップ部Nを通過する用紙Pに対して中央部から両側部に向かう引張力が効果的に作用して、紙しわの発生を充分に抑制することが可能となる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、定着ロール610と並行して内部に加熱部材であるハロゲンヒータ616が配設された張架ロール615を配置し、張架ロール615と定着ロール610とを無端状の定着ベルト614で張架する構成の定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、張架ロール615を2本配置し、新たに配置した1本の張架ロールが定着ベルト614に外表面から当接する定着装置70について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図4は、本実施の形態に係る定着装置70の構成を示す側断面図である。本実施の形態の定着装置70では、定着ベルトモジュール61において、張架ロール615に加えて、張架ロール618を配置した点が異なることを除いては、実施の形態1の定着装置60と同様である。
本実施の形態の定着装置70において、定着ベルトモジュール61は、矢印A方向に回転する定着ロール610、内部に加熱部材としてのハロゲンヒータ616が配設された張架ロール615、同様に内部に加熱部材としてのハロゲンヒータ619が配設された張架ロール618、定着ロール610と張架ロール615と張架ロール618とに張架されて矢印D方向に従動回転する定着ベルト614によって構成されている。
定着ベルト614は、定着ロール610、張架ロール615および張架ロール618に張力10kgfで張架されている。より詳しくは、実施の形態1における定着ベルト614が定着ロール610および張架ロール615によって張架されているのに対して、本実施の形態の定着装置70では、そこに張架ロール618が定着ベルト614の外周面から付勢されて配置され、所定の巻き付けられた領域(本実施の形態においては、巻き付き角80°、巻き付き幅16mm。)が形成されている。したがって、定着ロール610および張架ロール615は定着ベルト614の内周面に当接し、張架ロール618はその外周面に当接して、定着ベルト614を張架している。なお、本実施の形態では、張架ロール615における定着ベルト614の巻き付き角も、張架ロール618の付勢により、実施の形態1よりも大きくなっている(本実施の形態においては、具体的には、巻き付き角230°、巻き付け幅46mm。)。
張架ロール618は、外径23mm、肉厚2mm、長さ350mmのステンレスパイプロールを基体として、その表面に厚さ20μmのPFAが被覆されて離型層が形成されている。この離型層は、定着ベルト614の外周面からの僅かなオフセットトナーや紙粉が張架ロール618に堆積するのを防止するために形成されるものである。
張架ロール618の内部には、加熱部材としての定格800Wのハロゲンヒータ619が配設されており、温度センサ617cと制御部40(図1参照)とによって表面温度が200℃に制御されている。したがって、張架ロール618は、定着ベルト614を張架する機能とともに、定着ベルト614を加熱する機能をも併せ持っている。したがって、張架ロール615の内部にも加熱部材としてのハロゲンヒータ616が配設されているので、本実施の形態では、張架ロール615と張架ロール618との双方によって定着ベルト614を補助加熱する構成となっている。
なお、張架ロール618は、定着ベルト614全体が張力10kgfとなるように荷重を印加する押圧ロールとしての機能をも有している。
本実施の形態の定着装置70では、内周面に当接している張架ロール615が定着ベルト614の内周面側から定着ベルト614を加熱するとともに、外周面に当接している張架ロール618が定着ベルト614の外周面側から定着ベルト614を加熱している。このように、本実施の形態によれば、定着ベルト614は、外周面と内周面の双方から加熱されるので、一段と多くの熱量を安定的に供給することが可能となる。
このように、本実施の形態の定着装置70でも、定着ロール610と並行して内部に加熱部材であるハロゲンヒータ616が配設された張架ロール615と、内部に加熱部材であるハロゲンヒータ619が配設された張架ロール618との2本を配置し、張架ロール615と張架ロール618と定着ロール610とが無端状の定着ベルト614を張架する構成を採用している。そして、用紙Pを加熱する主要な加熱部材として定着ベルト614を機能させ、定着ロール610と張架ロール615と張架ロール618とは定着ベルト614に対し熱を供給する熱供給部材として機能させている。それによって、定着ベルト614は極めて小熱容量に構成でき、また、熱供給部材である定着ロール610と張架ロール615と張架ロール618とに対しては広いラップ面積で接触できる。そのため、ニップ部Nにおいては、定着装置70が高速化されても、所定の定着温度を常に維持することができるので、温度ドループの発生を抑制することができる。
さらには、定着ロール610を外径が中央部よりも端部の方を大きくしたフレアー形状で形成するとともに、張架ロール615と張架ロール618とを、定着ロール610とは逆に、外径が端部よりも中央部の方を大きくしたクラウン形状で形成している。このように張架ロール615と張架ロール618の双方をクラウン形状で形成することによっても、定着ロール610とのラップ部で生じた定着ベルト614のひずみは、張架ロール615と張架ロール618のラップ部における両端部と中央部との周速差によって是正することができる。したがって、定着ベルト614は定着ロール610のフレアー形状に精度良く倣って回動することができるので、定着ベルト614を介した定着ロール610と用紙Pとの密着性を良好に保つことができる結果、ニップ部Nを通過する用紙Pに対して中央部から両側部に向かう引張力が効果的に作用して、紙しわの発生を充分に抑制することができる。
なお、本実施の形態では張架ロール615と張架ロール618の双方をクラウン形状で形成する場合を述べたが、張架ロール615または張架ロール618のいずれか一方のみをクラウン形状で形成してもよい。
[実施の形態3]
実施の形態1では、加圧ベルトモジュール62として、インレットロール621、加圧ロール622および張架ロール623の3本のロールにより張架された加圧ベルト620を用いた構成の定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態3では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加圧ベルトモジュール62として、エンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させた定着装置80について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図5は、本実施の形態に係る定着装置80の構成を示す側断面図である。本実施の形態の定着装置80は、加圧ベルトモジュール62において、エンドレスベルト82がロールに張架されずにフリーな状態で回転する構成(特に、フリーベルトニップ方式と呼ぶ。)となっていることを除いては、実施の形態1の定着装置60と同様である。
加圧ベルトモジュール62は、エンドレスベルト82、エンドレスベルト82を介して定着ロール610から押圧される圧力パッド84により主要部が構成されている。
エンドレスベルト82は、圧力パッド84とベルト走行ガイド83とによって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール610に対して圧接されて配置されている。
圧力パッド84は、エンドレスベルト82の内側において、エンドレスベルト82を介して定着ロール610に押圧される状態で配置され、定着ロール610との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド84は、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材84aをニップ部Nの入口側に配置し、定着ロール610にひずみを与えるための剥離ニップ部材84bをニップ部Nの出口側に配置している。さらに、エンドレスベルト82の内周面と圧力パッド84との摺動抵抗を小さくするために、プレニップ部材84aおよび剥離ニップ部材84bのエンドレスベルト82と接する面に低摩擦シート88が設けられている。そして、圧力パッド84と低摩擦シート88とは、金属製のホルダ85に保持されている。
さらに、ホルダ85には、ベルト走行ガイド83が取り付けられ、エンドレスベルト82がスムーズに回動することができるように構成されている。すなわち、ベルト走行ガイド83は、エンドレスベルト82内周面と摺擦するため、静止摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、ベルト走行ガイド83は、エンドレスベルト82から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
定着ロール610は、図示しない駆動モータにより矢印A方向に回転し、この回転によりエンドレスベルト82も従動回転する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ベルト614から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置80では、ほぼ定着ロール610の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材84aによりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
加えて、本実施の形態の定着装置80では、定着ロール610の外周面に対し突出させて剥離ニップ部材84bを配置することにより、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ロール610および定着ベルト614のひずみが局所的に大きくなるように構成することもできる。このように剥離ニップ部材84bを配置すれば、定着後の用紙Pは、剥離ニップ部を通過する際に、局所的に大きく形成されたひずみを通過することになるので、定着ロール610および定着ベルト614に巻き付くことのない用紙Pの剥離を効果的に行うことができる。
次に、加圧ベルトモジュール62を構成する各部材について詳細に述べる。エンドレスベルト82は、ベース層とその表面(定着ロール610側の面、または両面)に被覆された離型層とから構成されているが、ベース層としては、耐熱強度の高い樹脂で形成され、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等が適している。ベース層の厚さは例えば50〜125μmに形成されるが、使用条件等に対応させるとともに、充分に低い熱伝導性が得られるように、材質・厚さ等の条件が選択されればよい。ベース層の表面に形成される離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA等が5〜20μmの厚さでコーティングされたものが好ましい。さらには、ベース層に弾性層を積層させ、断熱層を形成した構成を採ることもできる。
本実施の形態の定着装置80においては、加圧ベルト620として、厚み75μm、幅300mm、周長78mmのポイリミドフィルムのベース層に、厚さ30μmのPFAの表面層が被覆された多層構造に構成している。
圧力パッド84は、上述したように、プレニップ部材84a、剥離ニップ部材84bで構成され、ホルダ85に支持されている。プレニップ部材84aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール610側の面は、ほぼ定着ロール610の外周面に倣う凹形状で形成されている。
剥離ニップ部材84bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材84bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸曲面状に形成される。
低摩擦シート88は、エンドレスベルト82内周面と圧力パッド84との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減するために設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた材質が適している。具体的には、シンタード成型したPTFE樹脂シート、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート等を用いることができる。なお、低摩擦シート88は、プレニップ部材84aや剥離ニップ部材84bと別体に構成しても、プレニップ部材84aや剥離ニップ部材84bと一体的に構成しても、いずれでもよい。
また、ベルト走行ガイド83は、上述したように、エンドレスベルト82の内周面と摺擦するため、摩擦係数が低く、かつ、エンドレスベルト82から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質が適しており、PFAやPPS等の耐熱性樹脂が用いられる。
ベルト走行ガイド83には、定着装置80の長手方向に亘って、潤滑剤塗布部材87が配設されている。潤滑剤塗布部材87は、エンドレスベルト82内周面に対して接触するように配置され、アミン変性シリコーンオイル等の潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト82と低摩擦シート88との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート88を介したエンドレスベルト82と圧力パッド84との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト82の円滑な回動を図っている。
また、ベルト走行ガイド83の両端部において、エンドレスベルト82の安定した走行を確保すべく、エンドレスベルト82の回転軸の軸方向への変位を規制するベルトエッジガイドを備えることが好ましい。
かかる構成に加えて、本実施の形態の定着装置80でも、定着ロール610と並行して内部に加熱部材であるハロゲンヒータ616が配設された張架ロール615を配置し、張架ロール615と定着ロール610とが無端状の定着ベルト614を張架する構成を採用している。そして、用紙Pを加熱する主要な加熱部材として定着ベルト614を機能させ、定着ロール610と張架ロール615とは定着ベルト614に対し熱を供給する熱供給部材として機能させている。そのため、定着ベルト614は極めて小熱容量に構成でき、また、熱供給部材である定着ロール610と張架ロール615とに対しては広いラップ面積で接触できる。そのため、ニップ部Nにおいては、定着装置70が高速化されても、所定の定着温度を常に維持することができるので、温度ドループの発生を抑制することができる。
特に、フリーベルトニップ方式の構成を採用することによって、エンドレスベルト82は張架ロールを必要としないため、張架ロールがエンドレスベルト82から熱を奪うことがないので、温度ドループの発生をより効果的に抑制することができる。
また、定着ロール610を外径が中央部よりも端部の方を大きくしたフレアー形状で形成するとともに、張架ロール615を、定着ロール610とは逆に、外径が端部よりも中央部の方を大きくしたクラウン形状で形成している。このように構成することにより、定着ロール610とのラップ部で生じた定着ベルト614のひずみは、張架ロール615のラップ部における両端部と中央部との周速差によって是正することができる。そのため、定着ベルト614は定着ロール610のフレアー形状に精度良く倣って回動することができるので、定着ベルト614を介した定着ロール610と用紙Pとの密着性を良好に保つことができる。それによって、ニップ部Nを通過する用紙Pに対して中央部から両側部に向かう引張力が効果的に作用して、紙しわの発生を充分に抑制することが可能となる。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用がある。また、インクジェト方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。
本発明の画像形成装置を示した概略構成図である。 実施の形態1に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 定着ベルトにおける搬送速度の分布状態を説明する図である。 実施の形態2に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 実施の形態3に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 従来の定着装置の構成を示す側断面図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60,70,80…定着装置、61…定着ベルトモジュール、62…加圧ベルトモジュール、63,84…圧力パッド、82…エンドレスベルト、83…ベルト走行ガイド、87…潤滑剤塗布部材、88…低摩擦シート、614…定着ベルト、613,616,619,625…ハロゲンヒータ、615,618,623…張架ロール、620…加圧ベルト、621…インレットロール、622…加圧ロール

Claims (14)

  1. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    フレアー形状に形成された定着ロールと、
    前記定着ロールに張架される定着ベルトと、
    前記定着ベルトを張架するクラウン形状に形成された張架ロールと、
    前記定着ロールの前記定着ベルトが巻き付けられた領域内で当該定着ベルトの外周面に当接して、当該定着ベルトとの間にニップ部を形成する加圧ベルトと
    を備えたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記定着ロールは内部に加熱部材が配設され、前記張架ロールは内部に加熱部材が配設されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記張架ロールは、複数配設されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記定着ベルトと前記加圧ベルトとの間で形成されるニップ部に、当該加圧ベルトを前記定着ロール側に押圧する押圧部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    回動自在な第1のベルト部材と、
    前記第1のベルト部材に当接する第2のベルト部材とを備え、
    前記第1のベルト部材は、フレアー形状に形成された第1のロール部材と、クラウン形状に形成された第2のロール部材とを含む複数のロール部材で張架されたことを特徴とする定着装置。
  6. 前記第1のベルト部材と前記第2のベルト部材との当接部を押圧する押圧部材をさらに備えたことを特徴とする請求項5記載の定着装置。
  7. 前記第2のベルト部材は、前記第1のロール部材の前記第1のベルト部材が巻き付けられた領域内で当該第1のベルト部材の外周面に当接して、当該第1のベルト部材との間にニップ部を形成することを特徴とする請求項5記載の定着装置。
  8. 前記第1のベルト部材は、内部に加熱部材が配設され、さらに前記第1のベルト部材以外の少なくとも1の前記ロール部材の内部に加熱部材が配設されたことを特徴とする請求項5記載の定着装置。
  9. 前記複数のロール部材は、前記複数のロール部材における張り渡し長が軸方向のすべての位置で略等しいように構成されたことを特徴とする請求項5記載の定着装置。
  10. 加熱源を内部に有し、フレアー形状に形成された定着ロールと、
    1または複数の張架ロールと、
    前記定着ロールと前記張架ロールとに張架された回動自在な定着ベルトと、
    前記定着ベルトを加熱する加熱部材とを備え、
    前記張架ロールの少なくとも1は、クラウン形状に形成されたことを特徴とする定着装置。
  11. 前記定着ロールの前記定着ベルトが巻き付けられた領域内で当該定着ベルトの外周面に当接して当該定着ベルトとの間にニップ部を形成する加圧ベルトと、当該定着ベルトと当該加圧ベルトとの間で形成されるニップ部に、当該加圧ベルトを当該定着ロール側に押圧する押圧部材とをさらに備えたことを特徴とする請求項10記載の定着装置。
  12. 前記定着ロールと前記張架ロールとは、当該定着ロールと当該張架ロールとの間の張り渡し長が軸方向のすべての位置で略等しいように構成されたことを特徴とする請求項10記載の定着装置。
  13. 前記加熱部材は、1または複数の前記張架ロールの内部に配設されたことを特徴とする請求項10記載の定着装置。
  14. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
    前記定着手段は、
    フレアー形状に形成された定着ロールと、
    前記定着ロールに張架される定着ベルトと、
    前記定着ベルトを張架するクラウン形状に形成された張架ロールと、
    前記定着ロールの前記定着ベルトが巻き付けられた領域内で当該定着ベルトの外周面に当接して、当該定着ベルトとの間にニップ部を形成する加圧ベルトと
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN1920695B (zh) * 2005-08-23 2010-07-28 富士施乐株式会社 定影装置和图像形成装置
JP2015200875A (ja) * 2014-04-02 2015-11-12 キヤノン株式会社 画像形成装置

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