JP2005220842A - 車線逸脱防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車線逸脱を検知したとき、目標駆動力に相当する擬似アクセル開度Asを低減させると共に、目標ヨーモーメントMsを増大させて、この目標ヨーモーメントMsを発生させるための制動力と駆動力との干渉を回避し、ヨーモーメントによる逸脱回避を図る(ステップS5、S6)。このとき、車線逸脱が検出された時点のアクセル開度Accを初期値A0とし、この時点からのアクセル開度の増加量が増分しきい値ΔA以上となったとき、車線変更であると判断し(ステップS4)、擬似アクセル開度Asを回復させると共に、目標ヨーモーメントMs成分を低減させて(ステップS5、S6)、駆動力を確保すると共にヨーモーメントによる引っ掛かり感等の違和感の発生を回避する。
【選択図】 図2
Description
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題点に着目してなされたものであり、車線逸脱防止制御により制動力と駆動力とが干渉することなく車線逸脱回避のための十分な制御効果を得ることができ、且つ意図的な車線変更等の場合であっても、ドライバに違和感を与えることのない車線逸脱防止装置を提供することを目的としている。
発生手段で発生される駆動力とが干渉することを回避し、逸脱回避制御手段による制御効果を十分得ることができる。また、駆動力要求量に基づいて車線変更の意図があると予測されるときには、駆動力の抑制を中止し、駆動力発生手段で発生される駆動力を回復させるようにしたから、車線変更時の駆動力を確保することができる。
図1は、第1の実施の形態における車線逸脱防止装置の一例を示す車両概略構成図である。なお、この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
また、この車両には、自車両の走行車線からの逸脱判断用に走行車線内の自車両の位置を検出するための前方外界認識センサとして、CCDカメラ等で構成される単眼カメラ13及びカメラコントローラ14を備えている。このカメラコントローラ14では、単眼カメラ13で捉えた自車両前方の撮像画像から、例えば白線等のレーンマーカを検出して走行車線を検出すると共に、その走行車線に対する自車両のヨー角θ、すなわち走行車線に対する自車両の向き、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率β等を算出することができるように構成されている。
具体的には、自車両が走行している走行車線の両側の白線等のレーンマーカを検出し、そのレーンマーカを用いて自車両が走行している走行車線を検出する。ここで、撮像され
た画像全域で白線等のレーンマーカを検出する(走査する)と、演算負荷も大きいし、時間もかかる。そこで、レーンマーカが存在しそうな領域に、更に小さな検出領域(いわゆるウィンドウ)を設定し、その検出領域内でレーンマーカを検出する。一般に、車線に対する自車両の向きが変わると、画像内に映し出されるレーンマーカの位置も変わるので、例えば前記特開平11−296660号公報では、操舵角δから車線に対する自車両の向きを推定し、画像内のレーンマーカが映し出されているであろう領域に検出領域を設定する。
次に、前記車両状態コントロールユニット8で行われる演算処理の処理手順を図2のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
体的には、前記ステップS1で読込んだ自車両の走行車線に対するヨー角θ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率β及び自車両の走行速度Vを用い、下記(1)に従って将来の推定横変位Xsを算出する。
Xs=Tt×V×(θ+Tt×V×β)+X ……(1)
なお、式(1)において、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、車頭時間Ttに自車両の走行速度Vを乗じると前方注視距離になる。つまり、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。後述するように、本実施形態では、この将来の推定横変位Xsが所定の横変位限界値以上となるときに自車両は走行車線を逸脱する可能性がある、或いは逸脱傾向にあると判断する。
なお、ここでは、前左右輪速度VwFL、VwFRに基づいて走行速度Vを算出するようにした場合について説明したが、例えば、車両に公知のアンチスキッド制御を行うABS制御手段が搭載されており、このABS制御手段によりアンチスキッド制御が行われている場合には、このアンチスキッド制御での処理過程で推定される推定車体速を用いるようにすればよい。
そして、推定横変位Xsと逸脱判断しきい値XsとがXs≧Xcである場合には左に逸脱すると判断し、逸脱判断フラグをFLD=ONに設定する。また、Xs≦−Xcである場合には右に逸脱すると判断し、同様に逸脱判断フラグをFLD=ONに設定する。また、Xs≧Xc及びXs≦−Xcのいずれも満足しない場合には、逸脱していないと判断し逸脱判断フラグをFLD=OFFに設定する。
そして、車線変更と判断した場合には車線変更フラグFLCを“ON”に設定し、車線変更の終了又は中断と判断されたときには車線変更フラグFLCを“OFF”に設定する。なお、前記逸脱判断フラグFLDが“OFF”である時には車線変更フラグFLCは“OFF”とする。また、この逸脱判断フラグFLDが“OFF”である場合には、逐次アクセル開度Accを前記初期値A0として更新するようになっている。
また、前記アクセル開度の増分しきい値ΔAは、固定値としてもよく、また、例えば、図4(a)に示すように、アクセル開度Accに応じて増分しきい値ΔAを変化させるようにしてもよく、同様に、図4(b)に示すように、自車両の車速Vに応じて変化させるようにしてもよい。
つまり、通常、ドライバがアクセルペダルの踏込み量を一定に維持しようとした場合であってもふらつきが生じるため、アクセル開度Accはアクセルペダル踏込み時のふらつきに応じた範囲で変動することになる。このとき、アクセルペダルの踏込み量に対するアクセル開度Accの特性から、アクセル開度Accが大きいときほどアクセルペダル踏込み時のふらつきに伴うアクセル開度Accの変動が大きくなる。
次いで、ステップS5に移行し、目標駆動力を算出する。具体的には、目標駆動力に相当するアクセル開度である擬似アクセル開度Asを算出する。この擬似アクセル開度As
は、逸脱判断フラグFLDと、車線変更フラグFLCとに応じて、ステップS1で読み込んだアクセル開度センサ18からのアクセル開度Accに基づいて算出する。
また、逸脱判断フラグFLDが“ON”であり且つ車線変更フラグFLCが“ON”である場合には、逸脱判断フラグFLD及び車線変更フラグFLCが共に“ON”となった時点における擬似アクセル開度Asから、逐次読み込まれるアクセル開度Accと一致するまで徐々に増加する値を擬似アクセル開度Asとして設定し、擬似アクセル開度Asが逐次読み込まれるアクセル開度Accと一致したならば、以後逐次読み込まれるアクセル開度Accを擬似アクセル開度Asとして設定する。
このようにして、擬似アクセル開度Asを算出したならばステップS6に移行し、車線逸脱を抑制するために車両に発生させる目標ヨーモーメントMsを算出する。ここでは、前記逸脱判断フラグFLDが“OFF”である場合には目標ヨーモーメントをMs=0とし、前記逸脱判断フラグFLDが“ON”であるときにのみ、ステップS2で算出した推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとの偏差(つまり逸脱量)に基づき目標ヨーモーメントMsを算出し、Xs≧Xcの場合には次式(2)を参照し、Xs≦−Xcの場合には次式(3)を参照して目標ヨーモーメントMsを算出する。なお、ここでは、反時計周り方向のヨーモーメントを正とする。
Ms=−K1×K2×Kas×(Xs−Xc) ……(2)
Ms=−K1×K2×Kas×(Xs+Xc) ……(3)
なお、図6において、横軸はステップS5で算出された擬似アクセル開度As、縦軸は補正ゲインKasであって、この補正ゲインKasは、擬似アクセル開度Asに相当する駆動力と目標ヨーモーメントMsを発生させるための制動力との干渉を回避するように設定される。つまり、図6に示すように、補正ゲインKasは、擬似アクセル開度Asが第1のしきい値As1以下である領域では100〔%〕に設定され、擬似アクセル開度Asが増加するにつれてこれに反比例して補正ゲインKasは減少し、擬似アクセル開度Asが第1のしきい値As1よりも大きい第2のしきい値As2よりも大きい領域では補正ゲインKasは0〔%〕に設定される。
まず、前記ステップS1で読み込んだマスタシリンダ圧Pmに対し、前後制動力配分に基づく後輪用マスタシリンダ圧をPmRとしたとき、前記逸脱判断フラグがFLD=OFFである場合には、前左右輪5FL、5FRのホイールシリンダ6FL、6FRへの目標制動流体圧PsFL、PsFRは共に、マスタシリンダ圧Pmとなり、後左右輪5RL、5RRのホイールシリンダ6RL、6RRへの目標制動流体圧PsRL、PsRRは共に後輪用マス
タシリンダ圧PmRとなる。
同様に、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が所定値Ms0以上であるときの前左右輪目標制動流体圧差ΔPsFは次式(5)で、また後左右輪目標制動流体圧差ΔPsRは次式(6)で与えられる。
ΔPsF=2×KbF×(|Ms|−Ms0)/T ……(5)
ΔPsR=2×KbR×Ms0/T ……(6)
なお、ここでは、前後輪をそれぞれ制御するようにした場合について説明したが、例えば前輪のみで制御するようにしてもよく、この場合には、ΔPsF=2×KbF×|Ms|/Tとするようにしてもよい。
PsFL=Pm
PsFR=Pm+ΔPsF
PsRL=PmR
PsRR=PmR+ΔPsR ……(7)
これに対し、前記目標ヨーモーメントMsが正値であるとき、すなわち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときの各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiは下記(8)式で与えられる。
PsFR=Pm
PsRL=PmR+ΔPsR
PsRR=PmR ……(8)
このようにして目標制動力を算出したならば、ステップS8に移行し、前記ステップS5で算出した擬似アクセル開度Asに応じた駆動力を発生するよう、前記駆動トルクコントロールユニット12に向けて制御信号を出力する。
圧を前記制動流体圧制御回路7に向けて出力する。また、前記車線逸脱フラグFLDが“ON”であり且つ車線変更フラグFLCが“OFF”である場合には、警告用のモニタ23を作動させる等の処理を行って、車線逸脱傾向にあることを通知する。そして、メインプログラムに復帰する。
今、自車両が走行車線中央を走行している場合には、前記ステップS2で算出される推定横変位Xsが、Xs≧Xc及びXs≦−Xcのいずれも満足しないから、逸脱判断フラグはFLD=OFFに設定される(ステップS3)。したがって、逸脱判断フラグがFLD=OFFであるから目標ヨーモーメントはMs=0に設定され、逸脱防止のためのヨーモーメントは発生されない。つまり、自車両が車線逸脱傾向にない場合には、逸脱防止のためのヨーモーメントが作用することはない。
の操作量に応じた駆動力が発生されるようになる。
そして、アクセル開度Accの変動量がΔA以上となると、この時点で、ドライバに車線変更の意思があると判断され車線変更フラグFLCが“ON”に設定される。
したがって、車線変更フラグFLCが“ON”となると駆動力が増加し逆に目標ヨーモーメントMsは抑制されるから、アクセルペダルの操作量に応じた駆動力が発生されると共にヨーモーメントの発生が抑制されやがて零となることになって、車線変更中に、車線逸脱を回避するためのヨーモーメントが作用することはないから、このヨーモーメントの発生に起因して引っ掛かり感等といった違和感をドライバに与えることなく、ドライバの車線変更意思に即した走行状態を実現することができる。
このため、目標ヨーモーメントMsは零となり、また、擬似アクセル開度Asはアクセル開度Accに設定されることから、以後、ドライバのアクセルペダル操作に応じた走行状態に復帰する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、車両状態コントロールユニット8で実行される演算処理の処理手順が異なること以外は上記第1の実施の形態と同様であるので同一部の詳細な説明は省略する。
この第2の実施の形態では、図7のフローチャートに示す手順で演算処理を行う。ステップS11からステップS13の処理は上記第1の実施の形態の図2のステップS1からステップS3の処理と同様であって、まず各種データを読み込み(ステップS11)、これらデータに基づき推定横変位Xsを算出し(ステップS12)、車線逸脱判断を行う(ステップS13)。
As2=Ka1×Acc ……(9)
なお、式(9)中のKa1は補正ゲインであって、逸脱判断フラグFLDが“ON”となった時点でのアクセル開度を初期値A0としたときの初期値A0からのアクセル開度の増加量ΔAccに基づいて設定され、例えば、図8に示すように設定される。この図8において、横軸はアクセル開度増加量ΔAcc、縦軸は補正ゲインKac1である。
方向に変化する場合には、アクセル開度増加量ΔAccが比較的小さい第1のしきい値ΔAcc1以下の領域では補正ゲインKac1は0〔%〕に設定され、アクセル開度増加量ΔAccが増加するに応じてこれに比例して補正ゲインKac1は増加し、アクセル開度増加量ΔAccが前記第1のしきい値ΔAcc1よりも大きな第2のしきい値ΔAcc2以上の領域では、補正ゲインKac1は100〔%〕に設定される。また、アクセルペダルを戻す方向にアクセル開度が変化した場合には、補正ゲインKac1は0〔%〕に設定される。
そして、このようにして擬似アクセル開度As2を算出したならば、ステップS15に移行し、車線逸脱を回避するために車両に発生させる目標ヨーモーメントMs2を算出する。すなわち、逸脱判断フラグFLDが“OFF”である場合には、目標ヨーモーメントMs2は零とし、逸脱判断フラグFLDが“ON”であるときのみ、ステップS12で算出した推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとの偏差(つまり逸脱量)に基づき目標ヨーモーメントMs2を算出する。具体的には、推定横変位Xsが逸脱判定しきい値Xc以上の場合には次式(10)に基づいて算出し、推定横変位Xsが逸脱判定しきい値−Xc以下の場合には次式(11)に基づいて算出する。なお、ここでは、反時計周り方向のヨーモーメントを正とする。
Ms2=−K1×K2×Kac2×(Xs+Xc) ……(11)
なお、図9において、横軸はアクセル開度の増加量ΔAcc、縦軸は補正ゲインKac2であって、補正ゲインKac2は、図9に示すように、アクセル開度増加量ΔAccが踏み増し方向、つまり増加方向に変化する場合には、アクセル開度増加量ΔAccが比較的小さい第1のしきい値ΔAcc11以下の領域では補正ゲインKac2は100〔%〕に設定され、アクセル開度増加量ΔAccが増加するに応じてこれに反比例して補正ゲインKac2は減少し、アクセル開度増加量ΔAccが第1のしきい値ΔAcc11よりも大きい第2のしきい値ΔAcc12以上の領域では補正ゲインKac2は0〔%〕に設定される。また、アクセルペダルを戻す方向にアクセル開度が変化した場合には、補正ゲインKac2は100〔%〕に設定される。
一方、車線逸脱傾向にあり且つアクセル開度の増加量ΔAccが比較的小さく、車線変更の可能性が小さく鎖線逸脱の可能性が高いと予測されるときには、補正ゲインKac2を0〔%〕よりも大きな値に設定し、目標ヨーモーメントMs2を抑制せず、ヨーモーメントを発生させることにより自車両の車線からの逸脱回避を速やかに図る。
次いで、ステップS17に移行し、上記第1の実施におけるステップS8の処理と同様にして前記ステップS14で算出した擬似アクセル開度Ac2に応じた駆動力を発生するよう、前記駆動トルクコントロールユニット12に制御信号を出力する。
次に、上記第2の実施の形態の動作を説明する。
このとき、ドライバに車線変更の意思がなく、意図せず車線逸脱傾向になっている場合には、アクセル開度Accの変動は比較的小さいから、アクセル開度Accの増加量ΔAccは小さい。したがって、擬似アクセル開度As2の算出に用いる補正ゲインKac1は図8に示すように0〔%〕近傍の値に設定されることから、アクセル開度Accが零近傍の値に抑制されてこれが擬似アクセル開度As2として設定される(ステップS14)。また、アクセル開度Accの増加量ΔAccが小さいことから、目標ヨーモーメントMsの算出に用いる補正ゲインKac2は、図9に示すように、100〔%〕近傍の値に設定されることから、自車両の逸脱量に応じて算出される目標ヨーモーメントMsはそれほど抑制されない(ステップS15)。
生が終了し、擬似アクセル開度As2の増加に伴ってアクセル開度Accに対して実際に発生する駆動力が徐々に回復してやがてアクセル開度Accに応じた駆動力が発生されるようになる。
また、この場合も、図8、図9に示すように、補正ゲインKac1、Kac2の変化量を制限するようにしているから、これらに基づいて算出される擬似アクセル開度As、目標ヨーモーメントMsの変化量を制限することができ、車線逸脱検出時や、車線変更時における駆動力やヨーモーメントの急変を回避することができる。
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、車両状態コントロールユニ
ット8で実行される演算処理が異なること以外は同様であるので、同一部の詳細な説明は省略する。
図10は、第3の実施の形態における演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、前記第1の実施の形態と同一部の詳細な説明は省略する。
具体的には、逸脱判断フラグFLDが“ON”となった時点における要求駆動力τmを初期値τdとし、逐次読み込まれる要求駆動力τmと初期値τdとの差が所定値Δτ以上となったときに車線変更と判断し、車線変更フラグFLCをFLC=ONに設定する。そして、車線変更と判断された後、要求駆動力τmがその初期値τd以下となったときに、車線変更の中断又は終了と判断し、車線変更フラグFLCをFLC=OFFに設定する。なお、この車線変更フラグFLCは逸脱判断フラグFLDがFLD=OFFとなったとき、FLC=OFFに設定するようにしてもよい。
τc=K21×K22×|Xs+Xc| ……(13)
なお、車線変更フラグFLCや逸脱判断フラグFLDの切り替わりに伴って制駆動力反発力τcの値を変更する場合には、その変化量に制限を設け、徐々に変化するよう制駆動力反発力τcを設定する。なお、式(12)及び(13)中のK21は車両諸元によって定まる比例係数、K22は車速に応じて変動する比例係数である。
前記ステップS21で算出した要求駆動力τm、ステップS25で算出した制駆動力反発力τcに基づいて算出する。具体的には、制駆動力反発力τcが、要求駆動力τmを制限すること及びエンジンブレーキ力を発生させることで達成可能な範囲である場合には、要求駆動力τmから制駆動力反発力τcを差し引いて算出し、達成可能な範囲以上である場合には目標駆動力τsとしてエンジンブレーキ力相当でリミットをかけ、不足分については、制動力を制御することによって達成する。
τs=−τe ……(15)
次いで、ステップS27に移行し、目標制動力τbを算出する。具体的には、前記ステップS25で算出した制駆動力反発力τcのうち、ステップS26における駆動力制限を行っても不足する制駆動力反発力相当分を、目標制動力τbとする。つまり、逸脱判断フラグFLDが“ON”の場合、制駆動力反発力τcが、τc≦τm+τeの場合には、目標制動力τb=0とする。逆に、τc>τm+τeの場合には、目標制動力τbは、次式(16)から算出する。
そして、このようにして算出した目標制動力τb、前記ステップS1で読み込んだマスタシリンダ圧Pmに基づいて、各車輪への目標制動流体圧PSiを算出する。
この場合も、上記第1の実施の形態と同様に、前記ステップS1で読み込んだマスタシリンダ圧Pmに対し、前後制動力配分に基づく後輪用マスタシリンダ圧をPmRとしたとき、前記逸脱判断フラグがFLD=OFFである場合には、前左右輪5FL、5FRのホイールシリンダ6FL、6FRへの目標制動流体圧PsFL、PsFRは共に、マスタシリンダ圧Pmとなり、後左右輪5RL、5RRのホイールシリンダ6RL、6RRへの目標制動流体圧PsRL、PsRRは共に後輪用マスタシリンダ圧PmRとなる。
PsFL=Pm+KbF×τb
PsFR=Pm+KbF×τb
PsRL=PmR+KbR×τb
PsRR=PmR+KbR×τb ……(17)
なお、ここでは、各車輪の目標制動流体圧Psとして目標制動力τbから換算される目標制動流体圧とマスタシリンダ圧Pmとの和とした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、目標制動流体圧Psとマスタシリンダ圧Pmとのうちの何れか大きい方を選択するようにしてもよい。
次いで、ステップS29に移行して、前記ステップS27で算出した各車輪の目標制動流体圧を前記制動流体圧制御回路7に向けて出力する。また、前記車線逸脱フラグFLDが
“ON”である場合には、警告用のモニタ23を作動させる等の処理を行う。そして、メインプログラムに復帰する。
今、自車両が走行車線中央よりを走行している場合には、前記ステップS22で算出される推定横変位Xsが、Xs≧Xc及びXs≦−Xcのいずれも満足しないから、逸脱判断フラグはFLD=OFFに設定され(ステップS23)、また、車線変更フラグFLDは“OFF”に設定される(ステップS24)。したがって、逸脱判断フラグがFLD=OFFであるから、制駆動力反発力τcは零に設定され(ステップS25)、また、目標駆動力τsとしてアクセル開度Accに応じた要求駆動力τmが設定され(ステップS26)、目標制動力τbは零に設定される(ステップS27)。
この状態から、自車両が左に逸脱する傾向となり推定横変位Xsが増加し、Xs≧Xcとなると逸脱判断フラグがFLD=ONに設定され(ステップS23)、このときのアクセル開度Accに応じた要求駆動力τmが初期値τdとして設定される。このとき、ドライバに車線変更の意思がない場合には、アクセルペダルの踏込み量の変動が少なく、要求駆動力τmの変動量は小さい。したがって、この要求駆動力τmの変動量がしきい値Δτよりも小さいときには、車線変更ではないと判断され車線変更フラグFLCは“OFF”に設定される。
一方、ドライバが車線変更への移行を目的として操舵を行い、アクセルペダルの踏込みを行うと、車線逸脱傾向にあると判断されているときには、上記と同様にして車線逸脱量に応じた制駆動力反発力τcが算出され、この制駆動力反発力τcに相当する減速を実現するための目標駆動力τs及び目標制動力τbが算出され、これに応じて自車両が減速制御されると共に駆動力が抑制されることになるが、車線変更に伴うアクセルペダルの踏込みに伴い、車線逸脱傾向にあると判定された時点における要求駆動力τdからの要求駆動力τmの変動量がしきい値Δτ以上となると、この時点で、車線変更であると判断されて
車線変更フラグFLCが“ON”に設定される。
また、このとき、要求駆動力τmから制駆動力反発力τcを差し引いて目標駆動力τsを算出するようにしているから、アクセルペダルの踏込みに伴い要求駆動力τmが増加するとこれに伴って、目標駆動力τsが増加することになり、アクセルペダルの踏込みに応じて駆動力を増加させることができ、ドライバの加速意思に即して加速を行うことができる。
そして、この状態から車線変更が終了し、アクセル開度Accが低下し、要求駆動力τmが、車線逸脱判断フラグFLCが“ON”に切り替わった時点における要求駆動力である初期値τd以下となったとき、車線変更終了と判断し車線変更フラグFLCが“OFF”に切り替わる。
このように、車線逸脱傾向にあって車線逸脱回避のための減速制御を行う場合には、アクセルペダルの操作量に応じた駆動力を発生させるのではなく、減速制御による制御量に相当する制駆動力反発力τc相当分を低減させるようにしているから、減速させるために必要とする減速制御量と、要求駆動力に応じた駆動力とが干渉することを回避し、車線逸脱回避のための制御効果を十分得ることができる。
ここで、第1の実施の形態において、図2のステップS3の処理が逸脱検出手段に対応し、ステップS6、S7、S9の処理が逸脱回避制御手段に対応し、駆動トルクコントロールユニット12及びエンジン9が駆動力発生手段に対応し、アクセル開度センサ18が
駆動力要求量検出手段に対応し、ステップS5の処理が駆動力抑制手段に対応し、ステップS4の処理が意図推測手段に対応し、ステップS6の処理が逸脱回避制御量抑制手段及び目標ヨーモーメント算出手段に対応し、ステップS7及びS9の処理がヨーモーメント発生手段に対応している。また、ステップS4及びステップS5の処理が目標駆動力算出手段に対応し、ステップS8の処理及び駆動トルクコントロールユニット12が駆動力制御手段に対応し、ステップS3、ステップS6、ステップS7、ステップS9の処理が逸脱回避制御手段及びヨーモーメント制御手段に対応している。
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御回路
8 車両状態コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 単眼カメラ
14 カメラコントローラ
15 加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
20 方向指示スイッチ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
23 モニタ
Claims (15)
- 自車両が車線逸脱傾向にあるかどうかを検出する逸脱検出手段と、
当該逸脱検出手段で車線逸脱傾向にあることが検出されるとき自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向に自車両の車両挙動を制御する逸脱回避制御手段と、
駆動力要求量に応じた駆動力を発生する駆動力発生手段と、
前記駆動力要求量を検出する駆動力要求量検出手段と、
前記車線逸脱傾向にあることが検出されるとき、前記駆動力発生手段で発生される駆動力を抑制する駆動力抑制手段と、を備えた車線逸脱防止装置であって、
前記駆動力要求量検出手段で検出された駆動力要求量に基づいて車線変更の意図の有無を推測する意図推測手段を備え、
前記駆動力抑制手段は、前記意図推測手段で車線変更の意図があると推測されるとき前記駆動力を回復させるようになっていることを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 自車両が車線逸脱傾向にあるかどうかを検出する逸脱検出手段と、
当該逸脱検出手段で車線逸脱傾向にあることが検出されたとき自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向に自車両の車両挙動を制御する逸脱回避制御手段と、
駆動力要求量に応じた駆動力を発生する駆動力発生手段と、
前記駆動力要求量を検出する駆動力要求量検出手段と、
前記車線逸脱傾向にあることが検出されるとき、前記駆動力発生手段で発生される駆動力を抑制する駆動力抑制手段と、を備えた車線逸脱防止装置であって、
前記駆動力要求量検出手段で検出された駆動力要求量に基づいて車線変更の意図の有無を推測する意図推測手段と、
当該意図推測手段で車線変更の意図があると推測されるとき前記逸脱回避制御手段における制御量を抑制する逸脱回避制御量抑制手段と、を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記駆動力抑制手段は、前記意図推測手段で車線変更の意図があると推測されるとき前記駆動力を回復させるようになっていることを特徴とする請求項2記載の車線逸脱防止装置。
- 前記逸脱回避制御手段は、逸脱を回避するための目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、
当該目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントを発生するヨーモーメント発生手段と、を備え、
前記逸脱回避制御量抑制手段は、前記意図推測手段で車線変更の意図があると推測されるとき、前記駆動力抑制手段により回復される駆動力に応じて、前記目標ヨーモーメント算出手段で算出される目標ヨーモーメントを抑制するようになっていることを特徴とする請求項3記載の車線逸脱防止装置。 - 前記逸脱回避制御手段は、逸脱を回避するための減速制御量を算出する減速制御量算出手段と、
当該減速制御量算出手段で算出した減速制御量に相当する減速制御を行う減速制御手段と、を備え、
前記逸脱回避制御量抑制手段は、前記意図推測手段で車線変更の意図があると推測されるとき、前記駆動力抑制手段により回復される駆動力に応じて、前記減速制御量算出手段で算出される減速制御量を抑制するようになっていることを特徴とする請求項3記載の車線逸脱防止装置。 - 前記駆動力抑制手段は、前記意図推測手段で車線変更の意図があると推測されるとき前
記駆動力を所定の変化割合で回復させるようになっていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。 - 前記意図推測手段は、前記逸脱回避制御手段での逸脱回避制御開始時点における駆動力要求量に判定用値を加算した値を第1のしきい値とし、前記駆動力要求量検出手段で検出される駆動力要求量が前記第1のしきい値以上となったとき、車線変更の意図があると推測するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記第1のしきい値は、前記駆動力要求量検出手段で検出される駆動力要求量に応じて変更されることを特徴とする請求項7記載の車線逸脱防止装置。
- 前記意図推測手段は、前記駆動力要求量検出手段で検出される駆動力要求量が、前記第1のしきい値以上増加した後、前記第1のしきい値よりも小さな第2のしきい値以下となったとき、車線変更の意図はないと判断するようになっていることを特徴とする請求項8記載の車線逸脱防止装置。
- 前記第2のしきい値は、前記逸脱回避制御開始時点における駆動力要求量に設定されることを特徴とする請求項9記載の車線逸脱防止装置。
- 前記意図推測手段は、前記逸脱検出手段で逸脱傾向にないと判断されるとき、前記車線変更の意図はないと判断するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 自車両が車線逸脱傾向にあるかどうかを検出する逸脱検出手段と、
前記逸脱検出手段で車線逸脱傾向にあることが検出されるとき自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向に自車両の車両挙動を制御する逸脱回避制御手段と、
駆動力要求量を検出する駆動力要求量検出手段と、
前記車線逸脱傾向にあることが検出されるとき、前記駆動力要求量検出手段で検出される駆動力要求量を低減して目標駆動力を算出する目標駆動力算出手段と、
前記車線逸脱傾向にあることが検出されるとき、前記目標駆動力算出手段で算出した目標駆動力を発生するよう駆動力制御を行う駆動力制御手段と、を備えた車線逸脱防止装置であって、
前記目標駆動力算出手段は、前記逸脱回避制御手段による逸脱回避制御が開始された時点からの駆動力要求量の増加量に基づいて前記目標駆動力を算出するようになっていることを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記逸脱回避制御手段は、その逸脱回避制御を開始した時点からの駆動力要求量の増加量に基づいて前記逸脱回避制御による制御量を算出するようになっていることを特徴とする請求項12記載の車線逸脱防止装置。
- 自車両が車線逸脱傾向にあるかどうかを検出する逸脱検出手段と、
前記逸脱検出手段で車線逸脱傾向にあることが検出されるとき自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向に自車両の車両挙動を制御する逸脱回避制御手段と、
駆動力要求量に応じた制動力を発生する駆動力発生手段と、
前記駆動力要求量を検出する駆動力要求量検出手段と、
前記車線逸脱傾向にあることが検出されるとき、前記駆動力発生手段で発生される駆動力を抑制する駆動力抑制手段と、を備えた車線逸脱防止装置であって、
前記逸脱回避制御手段は、その逸脱回避制御を開始した時点からの駆動力要求量の増加量に基づいて前記逸脱回避制御による制御量を算出するようになっていることを特徴とす
る車線逸脱防止装置。 - 前記逸脱回避制御手段は、逸脱を回避するためのヨーモーメントを発生させるヨーモーメント制御手段又は逸脱を回避するための減速制御を行う減速制御手段であることを特徴とする請求項12から請求項14の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
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