JP2005220231A - オレフィン系重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン系重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】相分離を利用したプロセスを用いて簡素化した工程でオレフィン系重合体を回収でき、相分離で得られた上相部(希薄相)を循環させて再利用することができるなど効率よく、しかも高い触媒活性でオレフィン重合体を製造できる方法を提供する。
【解決手段】
[A]周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物および[B]イオン化イオン性化合物からなるオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを液相で重合または共重合することにより、オレフィン系重合体を含む重合体含有液を製造し、該重合体含有液を重合帯域から、温度が上部曇点以上、185℃以下である分離帯域に導いて、オレフィン系重合体を高濃度で含む下相部と、上相部とに相分離し、該分離帯域の下相部からオレフィン系重合体を回収するとともに、該上相部の少なくとも一部を重合帯域に循環させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン系重合体の製造方法に関し、より詳しくは高い効率でオレフィン系重合体を得ることのできる、オレフィン系重合体の製造方法に関する。
従来、エチレンとα―オレフィン、必要に応じて非共役ジエンを用いる低結晶性エチレン系重合体などのオレフィン系重合体は、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、あるいはバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いて、溶液重合法で製造されている。
溶液重合法によって溶媒の存在下にオレフィン系重合体を製造すると、オレフィン系重合体は溶媒に溶解した状態で得られる為、この溶液からオレフィン系重合体を分離回収する必要がある。特許文献1には、オレフィン系重合体の分離回収を効率よく行うため、生成した重合体溶液を上部曇点以上の温度に維持された分離帯域に導いて分相し、この分離帯域の下相部からポリブテン−1を回収し、分離帯域の上相部の少なくとも一部を重合帯域に循環させることを特徴とするポリブテン−1の製造方法が記載されている。この方法によれば、上相部をそのまま重合系に循環して再使用することができるという点においても効率がよく工業的に有利である。
また、特許文献2には、遷移金属のメタロセン化合物、および有機アルミニウムオキシ化合物からなるオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを液相で重合または共重合させ、生成したオレフィン系重合体を含む重合体溶液を重合帯域から上部曇点以上の温度に維持された分離帯域に導いてオレフィン系重合体を高濃度で含む下相部と上相部とに相分離し、該分離帯域の下相部からオレフィン系重合体を回収するとともに、上相部の少なくとも一部を重合帯域に循環させる低結晶性エチレン系重合体の製造方法が記載されている。
ところで本発明者らの検討によれば、高活性でオレフィン系重合体を得られる[A]周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物、および[B]イオン化イオン性化合物からなる特定のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィン系重合体を液相で重合または共重合することにより、オレフィン系重合体を含む重合体含有液を製造し、これを前記製造法と同様にしてオレフィン系重合体を高濃度で含む下相部と、上相部とに相分離し、該分離帯域の下相部からオレフィン系重合体を回収するとともに、上相部の少なくとも一部を重合帯域に循環させた場合には、上相部を重合帯域に循環させない場合と比較して重合帯域の触媒活性が低下し、効率よくしかも高い触媒活性でオレフィン重合体を製造することが困難であるという改善すべき点のあることがわかった。
本発明者らは、このような重合帯域の触媒活性が低下する不具合を改善すべく研究した結果、特定の重合触媒の存在下にオレフィンを液相で重合または共重合することにより、オレフィン系重合体を含む重合体含有液を製造し、該重合体含有液を重合帯域から、温度が上部曇点以上、特定の温度以下である分離帯域に導いて、オレフィン系重合体を高濃度で含む下相部と、上相部とに相分離し、該分離帯域の下相部からオレフィン系重合体を回収するとともに、該上相部の少なくとも一部を重合帯域に循環させることで、下相部(濃厚相)から簡素化した工程でオレフィン系重合体を回収でき、上相部(希薄相)を循環させて再利用することができるなど効率よく、しかも重合帯域における触媒活性が低下せず、高い触媒活性でオレフィン重合体を製造できることを見出して本発明を完成するに至った。
特開昭59−206416号公報 特開平6−263821号公報
本発明が解決しようとする課題は、相分離を利用したプロセスを用いて簡素化した工程でオレフィン系重合体を回収でき、相分離で得られた上相部(希薄相)を循環させて再利用することができるなど効率よく、しかも高い触媒活性でオレフィン重合体を製造できる方法を提供することにある。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、
[A]周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物および[B]イオン化イオン性化合物からなるオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを液相で重合または共重合することにより、オレフィン系重合体を含む重合体含有液を製造し、該重合体含有液を、重合帯域から、温度が上部曇点以上、185℃以下である分離帯域に導いて、オレフィン系重合体を高濃度で含む下相部と、上相部とに相分離し、該分離帯域の下相部からオレフィン系重合体を回収するとともに、上相部の少なくとも一部を重合帯域に循環させることを特徴としている。
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、前記周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物が、置換基を有していても良いシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個以上有する遷移金属化合物であることが好ましく、遷移金属化合物が幾何拘束型の構造を有する化合物であることがより好ましい。また前記周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物が炭素、水素、ケイ素以外の典型元素を含む触媒であることが好ましい。
また本発明においてはオレフィン重合用触媒が、[A]周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物、および[B]イオン化イオン性化合物に加え、[C]有機アルミニウム化合物を含むことが好ましい。
本発明によれば、簡素化した工程で効率よく、しかも高い触媒活性でオレフィン重合体を製造することができる。
以下本発明に係るオレフィン系重合体の製造方法について具体的に説明する。まず本発明に用いられるオレフィン重合用触媒について説明する。
本発明において用いられるオレフィン重合用触媒は、[A]周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物および[B]イオン化イオン性化合物からなることを特徴としている。
[A]周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物としては、例えば置換されていてもよいシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個以上有する遷移金属化合物が挙げられる。このような化合物は、メタロセン化合物と呼ばれることがある。
置換されていてもよいシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個以上有する遷移金属化合物としては、例えば以下の式(I)で表される化合物が挙げられる。
MLx …(I)
式中、Mは周期表第4族から選ばれる遷移金属を示し、具体的にはジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価を満たす数である。
Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、例えば、シクロペンタジエニル基;メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-,i-プロピルシクロペンタジエニル基、n-,i-,sec-,t-ブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基、オクチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基、エチルブチルシクロペンタジエニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルシクロヘキシルシクロペンタジエニル基などのアルキル置換またはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。これらのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、さらにハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。これらのうちでは、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
上記一般式(I)で示される化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基;シリレン基;ジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレンなどの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、例えば、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(-SO3a、但し、Raはアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アリール基またはアルキル置換アリール基である。)、ハロゲン原子または水素原子などが挙げられる。
炭素原子数が1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、より具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルなどのアルキル基; シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基; フェニル、トリルなどのアリール基;ベンジル、ネオフィルなどのアラルキル基が挙げられる。
また、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、オクトキシなどが挙げられる。
アリーロキシ基としては、フェノキシなどが挙げられ、スルホン酸含有基(-SO3a)としては、メタンスルホナト、p-トルエンスルホナト、トリフルオロメタンスルホナト、p-クロルベンゼンスルホナトなどが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個含む遷移金属化合物を例示する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン-ビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-エチレン-ビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
また上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を挙げることもできる。
本発明では遷移金属化合物として置換されていてもよいシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を1個有する化合物を用いることもでき,例えば下記一般式(II)で表される化合物を用いることもできる。
1 1 Xm …(II)
式中M1は、周期表第4族から選ばれる遷移金属を示し、L1は、置換されていても良いシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、非局在化π結合をしており、金属M1活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、Xは、それぞれ独立に、置換されていてもよいシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の基であり、例えば水素、ハロゲン、20以下の炭素を含有する炭化水素基、20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下のゲルマニウムを含有するゲルミル基などが挙げられ、mはM1の価数を満たす数である。
このような一般式(II)で示される化合物のうちでも、下記一般式(III)で示される化合物が好ましい。
Figure 2005220231
式中、M1はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムを示し、Xは、上記と同様である。CpはM1にπ結合している、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素および周期表第14族の元素(たとえば炭素、ケイ素、ゲルマニウムまたは錫)から選ばれる少なくとも1種の元素を含む配位子である。Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子である。また、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
このような一般式(III)で示される化合物として具体的には、[ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロリド、[(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル]チタンジクロリド、[ジベンジル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロリド、[ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]ジベンジルチタン、[ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]ジメチルチタン、[(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル]ジベンジルチタン、[(メチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル]ジネオペンチルチタン、[(フェニルホスフィド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)メチレン]ジフェニルチタン、[ジベンジル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]ジベンジルチタン、[ジメチル(ベンジルアミド)(η5-シクロペンタジエニル)シラン]ジ(トリメチルシリル)チタン、[ジメチル(フェニルホスフィド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン]ジベンジルチタン、[(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル]ジベンジルチタン、[2-η5-(テトラメチル-シクロペンタジエニル)-1-メチル-エタノレート(2-)]ジベンジルチタン、[2-η5-(テトラメチル-シクロペンタジエニル)-1-メチル-エタノレート(2-)]ジメチルチタン、[2-((4a,4b,8a,9,9a-η)-9H-フルオレン-9-イル)シクロヘキサノレート(2-)]ジメチルチタン、[2-((4a,4b,8a,9,9a-η)-9H-フルオレン-9-イル)シクロヘキサノレート(2-)]ジベンジルチタンなどが挙げられる。
また上記のような化合物においてチタニウム金属を、ジルコニウム金属、ハフニウム金
属に置き換えた化合物を挙げることもできる。これらのうちでも遷移金属がチタニウム金属であるものが好ましい。
また[A]周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物としては、シクロペンタジエニル骨格を有しないものであっても良い。シクロペンタジエニル骨格を有しない化合物の例として次の一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005220231
(なお、ここでN……Tiは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
式中、mは、1〜4の整数を示し、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、R6は、フェニル基に結合した炭素が1級、2級、または3級炭素である脂肪族炭化水素基、フェニル基に結合した炭素が1級、2級、または3級炭素である脂環族炭化水素基および芳香族基から選ばれ、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。ただし、R1はフッ素原子含有炭化水素基を含まない。また、mが2以上の場合にはR1〜R5で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル基、iso-プロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
これらのうち、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましい。特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
次に上記で説明したR1〜R5の例について、より具体的に説明する。
アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などが挙げられる。アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基などが挙げられる。アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。 アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などが挙げられる。 エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられる。アミド基として具体的には、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基などが挙げられる。イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられる。 アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられる。スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられる。スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
1〜R5は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
6はフェニル基に直接結合した炭素が1級,2級および3級炭素である脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基および芳香族基であり、R6として好ましい脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状(2級)のアルキル基;脂環族炭化水素基としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、2,6-ジメチルシクロヘキシル、2,4,6-トリメチルシクロヘキシル、3,5-ジメチルシクロヘキシル、2,3,4,5,6ペンタメチルシクロヘキシル、2,2-ジメチルシクロヘキシル、2,2,6,6-テトラメチルシクロヘキシル、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル、3,5-ジ-tertブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;芳香族基としてはフェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、トリフェニル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基または炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。
本発明では、R6 としては特に、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状(2級)のアルキル基、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、2,6-ジメチルシクロヘキシル、3,5-ジメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ベンジル、ナフチル、アントラニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基であることも好ましい。
また、mが2以上の場合には、R1〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
nは、チタン原子の価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
これらのうち、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられる。
酸素含有基としては、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イオウ含有基としては、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
窒素含有基として具体的には、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ケイ素含有基として具体的には、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
スズ含有基として具体的には、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
TiがZr、Hfに変わった化合物でもよい。
本発明に用いられる[A]遷移金属化合物は、炭素、水素、ケイ素、ハロゲン以外の典型元素を含む触媒であることが好ましい態様の1つである。
これらの遷移金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
次に本発明で用いられるイオン化イオン性化合物[B]について説明する。
オレフィン重合用触媒を形成するイオン化イオン性化合物は、上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を形成する化合物、または上記遷移金属化合物と下記有機アルミニウム化合物との反応物と反応してイオン性化合物を形成する化合物であり、具体的には、ルイス酸、イオン性化合物などが挙げられる。
ルイス酸としては、BR13 3(R13は、フッ素、メチル、トリフルオロメチルなどの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。具体的には、トリアルキル置換アンモニウム塩としては、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素などが挙げられる。
N,N-ジアルキルアニリニウム塩としては、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩としては、例えばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げる
こともできる。
次に本発明で必要に応じて用いることのできる、有機アルミニウム化合物[C]について説明する。
このような有機アルミニウム化合物[C]は、例えば下記一般式(V)で表される。
14 nAlX1 3-n …(V)
式中、R14は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。
炭素原子数が1〜15の炭化水素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物として具体的には、以下のような化合物が挙げられる。トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニム; 一般式(i-C49xAly(C510z (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)で表わされるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;トリイソプロペニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム; ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなど。
重合を行うに際して遷移金属化合物[A]は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として、重合容積1リットルあたり通常10-8〜10-3グラム原子、好ましくは10-7〜10-4グラム原子の量で用いられる。
イオン化イオン性化合物[B]は、遷移金属化合物とイオン化イオン性化合物とのモル比(遷移金属化合物/イオン化イオン性化合物)が、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲となるような量で用いられる。
また、必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物[C]は、該有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子(Al1)とイオン化イオン性化合物とのモル比(Al/[B])が通常 0.1〜10000、好ましくは1〜1000の範囲となるような量で用いられ、イオン化イオン性化合物がホウ素を含む化合物である場合は、Alとホウ素原子のモル比(Al1/ホウ素原子)が通常0.1−1000、好ましくは1―500、さらに好ましくは2―300となるような量で用いられる。
本発明では、このようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合させてオレフィン系重合体を製造する。このようなオレフィンとしては、炭素数2〜20のα−オレフィンおよび必要に応じて非共役ジエンが挙げられる。
本発明で用いられる炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、具体的に、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。
また非共役ジエンとしては、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-プロピリデン-5-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネンなどの環状ジエン、1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,7-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどの鎖状の非共役ジエンが挙げられる。
本発明では、重合溶媒として、不活性炭化水素または反応モノマー自体が用いられるが、好ましくは脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素が用いられる。この脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素は、沸点100℃以下の脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素であることが好ましく、具体的にこのような脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素としては、具体的に、2,2-ジメチルプロパン、2-メチルブタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、2,2,3-トリメチルブタン、n-ペンタン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、n-ヘキサン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、n-ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタンなどが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。
これらの脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素は、2種以上組合せて用いてもよい。これらのうち、ヘキサン、メチルペンタン、メチルシクロペンタンが好ましく用いられる。
上記のような脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素(b) は揮散しやすく、これらを重合溶媒として用いると、ポリマーの乾燥工程を簡素化することができ、最終的に得られるポリマーには臭気が残存しなくなる。
重合は、攪拌機などにより強制的に攪拌しながら実施することが好ましい。本発明では、重合は、生成するポリマーが重合溶媒に溶解して実質的に均一相を形成する条件下すなわち下部曇点と上部曇点との間で実施されることが好ましいが、上部曇点以上の二相分離条件下で、攪拌によって両相が分散混合にある状態で実施されてもよい。
具体的には重合温度は、通常、−20℃〜185℃、好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは、20℃〜120℃であり、重合圧力は、通常、大気圧〜15MPaG、好ましくは大気圧〜5.0MPaG 、特に好ましくは大気圧〜3.0MPaGであることが望ましい。
また重合は、重合体含有液中のポリマー濃度が、通常約20〜300g/リットル好ましくは50〜200g/リットルに維持して行なわれることが望ましい。このような濃度で重合を行なうと、重合反応が円滑に進行するとともに、重合効率よくオレフィン系重合体が得られるようになる。
得られるオレフィン系重合体の分子量は、重合温度などの重合条件を変更することにより調節することもできるし、水素(分子量調節剤)の使用量を制御することにより調節することもできる。
上記のような重合は、溶液重合法、懸濁重合法などの液相で実施され、オレフィン系重合体含有液を与える。本発明では、これらのうち溶液重合法が好ましい。この場合はオレフィン系重合体含有液は、オレフィン系重合体溶液である。また重合は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができるが、連続的に行なうことが好ましい。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行なうこともできる。
本発明では、重合は上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて行なわれており、触媒当りの共重合体収率が高い。このため生成した重合体含有液に、脱触媒処理を施さずに分離帯域に供給することができる。
次に本発明では、上記のようにして得られた重合体含有液は、重合帯域から、温度が上部曇点以上185℃以下である分離帯域に導かれて、ここでオレフィン系重合体を高濃度で含む下相部(以下濃厚相ということがある)と、オレフィン系重合体を低濃度で含む上相部(以下希薄相ということがある)とに相分離される。なお本発明において分離帯域とは、例えば液の密度差を利用するなどして、温度が上部曇点以上となったオレフィン系重合体含有液を、上相部と下相部とにマクロ的に分離する帯域である。例えば図1における相分離器Dがこれに該当する。
下相部のオレフィン系重合体濃度が上相部のオレフィン系重合体濃度よりも相対的に高ければよいが、通常は下相部のオレフィン系重合体濃度は40〜450g/リットル、好ましくは60〜350g/リットルであり、上相部のオレフィン系重合体濃度は0〜20g/リットル、好ましくは0〜10g/リットルの範囲である。
得られる重合対岸有益の温度が分離帯域における上部曇り店未満であれば,この重合体溶液を多管式熱交換器あるいは二重管型熱交換器などの熱交換器を用いて、分離帯域における上部曇点まで加熱してから分離帯域に導くことが好ましい。
重合体溶液の上部曇点は、透過光を測定し、透過光強度が急激に減衰する温度として容易に求めることができる。
二相分離領域は、温度の他に単量体や形成される重合体の種類(分子量、分子量分布、組成、組成分布等)、量割合(濃度)、溶媒の種類、相分離圧力、その他の条件によっても変動する。
得られる重合体含有液は、下部曇点と上部曇点の間の温度に保持されると、均一液相をなしているが、上部曇点以上の温度に保持すると、濃厚相と希薄相とに相分離する。
本発明においては重合体含有液の分離帯域の温度は、上部曇点以上の温度であるとともに、185℃以下であることが必要である。分離帯域の温度は、好ましくは上部曇点より約10℃高い温度から185℃以下の範囲であり、さらには温度の上限は180℃以下であることがさらに好ましい。この範囲であれば、前記オレフィン系重合体を低濃度で含む上相部(希薄相)を重合帯域に循環させた場合でも活性の低下が起こらないため、高い触媒金属あたりの重合活性でオレフィン系重合体を製造することができる。なおここでいう分離帯域の温度とは、分離帯域における上相部および下相部の両方の温度のことを言う。
本発明においては、重合帯域で得られたオレフィン系重合体が、重合帯域を出てから、分離帯域までのいずれの時点においても、185℃以下の温度であることが好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。
また上部曇点の温度を下げるために、分離帯域に新たにエチレンなどの低分子炭化水素を添加してもよい。相分離は完全に行う必要はなく、例えば濃厚相に希薄相の一部が混合した状態であってもよい。
このような相分離は、重力沈降たとえば重合体溶液を静置することによって容易に行なうことができるが、また遠心分離によって行なうこともできる。
重力沈降による相分離は、通常5分〜120分、好ましくは5分〜40分で行なうことができるが、分離温度をより高く設定することにより、分離に要する時間を短縮することが可能である。
遠心分離による相分離は、通常、相分離条件に維持した液体サイクロンなどを用いて行なわれ、希薄相と濃厚相を円滑かつ安定に回収することができる。
このようにして重合体溶液は相分離されるが、分離帯域で分離された濃厚相は、乾燥工程に送られ、多管式熱交換器、ホッパーまたは薄膜蒸発器などの回転式脱溶媒器等により加熱、フラッシュ、減圧吸引されて、溶媒や未反応モノマーが乾燥除去され、オレフィン系重合体が回収される。上記濃厚相は、生成ポリマーを高濃度に含んでおり、乾燥工程を簡素化することができ、さらに加熱時間を短縮することができる。特に本発明では、重合溶媒として、好ましくは沸点100℃以下の脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素(b) を用いた場合には、トルエンなどの高沸点を有する重合溶媒に比べて乾燥時間が短縮されるとともに乾燥工程を簡素化することができ、重合溶媒臭気のないオレフィン系重合体を容易に得ることができる。
一方、分離帯域で分離された希薄相の一部または全部は重合系に循環される。希薄相は、通常、10%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上が重合系へ循環されて再使用されることが望ましい。このように相分離された希薄相を重合系へ循環させることにより、重合溶媒が再利用できる。
上述したように、本発明では、重合体溶液は脱触媒処理などを施すことなく分離帯域に導くことが可能であるため、希薄相液は精製処理などを施さなくても直接重合系へ循環して再利用することが可能である。
また重合帯域に循環されなかった希薄相の一部または全部は、そのままあるいは加熱されて重合器より抜き出した重合体含有液に混合して分離帯域に循環させるか、または必要に応じて溶媒、未反応単量体を回収し低分子量重合体の除去操作を行って重合反応に再使用される。このように回収された希薄相を分離帯域に循環させると、熱を有効利用しうる。またこの循環される希薄相は充分に希薄であり管内閉塞のトラブルを起こしにくい。
相分離帯域に循環される希薄相の温度と供給量とは、相分離温度、重合体溶液の温度、排出量などに基づいて容易に決定される。上記のようにして本発明で得られるオレフィン系重合体は、α−オレフィンの単独重合体あるいはα−オレフィン共重合体さらにα−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体である。
このような本発明で得られるオレフィン系重合体は、エチレンとα−オレフィンとさらに必要に応じて非共役ジエンとの共重合体であることが好ましく、エチレンから誘導される構成単位を30〜95モル%、好ましくは45〜93モル%の量で、α−オレフィンから誘導される構成単位を5〜70モル%、好ましくは7〜60モル%の量で、非共役ジエンから誘導される構成単位を0〜10モル%の量で含有する低結晶性のオレフィン系重合体が特に好ましい。
このようなオレフィン系重合体は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.5〜20dl/g、好ましくは0.7〜10dl/g、さらに好ましくは1.0〜5.0dl/gである。
以下実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお以下の実施例では、図1に示すプロセスフローに従って、連続重合を行った。
[実施例1]
<エチレン・プロピレン・ジエン共重合>
容積300Lの連続重合反応器Cに次の原材料を連続的に供給した。すなわち脱水精製した溶媒(n−ヘキサン)を31.5L/h、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(5mmol/L)を0.2L/h、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルテトラキスボレートのトルエン溶液(0.1mmol/L)を1.15L/h、(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シルロペンタジエニル)シラン)チタンジクロライドのヘキサン溶液(0.2mmol/L)を0.115L/h、エチレンを4.7kg/h、プロピレンを3.9kg/h、ENB(5−エチリデン−2−ノルボルネン)を1.04kg/h、水素を5.8L/hの割合で連続的に供給し、重合温度80℃、全圧2.0MPa・G、滞留時間2.5hの条件下で共重合を行った。得られた共重合体溶液を重合器より40L/hの割合で連続的に排出させた。排出させた重合体溶液について、供給した触媒の濃度と得られたオレフィン重合体の濃度とから重合活性を求めたところ、280kg/mmol−Tiであった。
次いで排出させた共重合体溶液を温度180℃に昇温(圧力:4.9MPa・G)し、分離帯域である、相分離器Dへ供給した。相分離器Dで共重合体溶液について、濃厚相(下相部)と少量のポリマーを含む希薄相(上相部)とに分離した。このとき濃厚相と希薄相はそれぞれ180℃に維持されていた。
分離された濃厚相を26L/hの割合で熱交換器Kに導き、さらにホッパーEに導いて、ここで溶媒を蒸発分離し、エチレン・プロピレン・ジエンの共重合体を6.5kg/hの割合で得た。この値から濃厚相の重合体濃度を求めることができる。
また、相分離器Dで分離された希薄相を相分離器Dの上部より14L/h の割合で抜き出した。抜き出した希薄相について重合体濃度を求めたところ5g/Lであった。このことから相分離が起こっていることが分かる。そしてエチレン・プロピレン・ジエン共重合体を含む溶液は相分離により、約1.5倍の濃度まで濃縮されていることが分かった。抜き出した希薄相は、熱交換器Hにより共重合体供給ラインと熱交換し、更に熱交換器Gで冷却した後、重合反応器Cに循環した。重合が定常状態になった後、すなわち重合温度および圧力が一定になった後の重合活性を、前記循環する前と同様にして調べたところ、重合活性は280kg/mmol−Tiであり、すなわち相分離器Dで分離された希薄相を重合反応器Cに循環した際にも、循環する前の重合活性が維持されていた。
[実施例2]
<エチレン・プロピレン共重合>
容積300Lの連続重合反応器に次の原材料を供給した。すなわち脱水精製した溶媒(n−ヘキサン)を35.0L/h、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(5mmol/L)を2.0L/h、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルテトラキスボレートのトルエン溶液(0.1mmol/L)を0.9L/h、(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シルロペンタジエニル)シラン)チタンジクロライドのヘキサン溶液(0.2mmol/L)を0.09L/h、エチレンを4.7kg/h、プロピレン3.8kg/h、水素を2.8L/hの割合で連続的に供給し、重合温度80℃、全圧1.2MPa・G、滞留時間2.3hの条件下で共重合を行った。共重合体溶液を重合器より43L/hの割合で連続的に排出させた。排出させた重合体溶液について、供給した触媒の濃度と得られたオレフィン重合体の濃度とから重合活性を求めたところ、320kg/mmol−Tiであった。
次いで排出させた共重合体溶液を温度180℃に昇温(圧力:4.0MPa・G)し、相分離器Dへ供給した。相分離器Dで共重合体溶液について、濃厚相(下相部)と少量のポリマーを含む希薄相(上相部)とに分離した。このとき濃厚相と希薄相とはともに180℃に維持されていた。
分離された濃厚相を28L/hの割合で熱交換器Kに導き、さらにホッパーEに導いて、ここで溶媒を蒸発分離し、エチレン・プロピレン共重合体を5.8kg/hの割合で得た。この値から濃厚相の重合体濃度を求めることができる。
また相分離器Dで分離された希薄相を相分離器Dの上部より15L/hの割合で抜き出した。抜き出した希薄相について重合体濃度を求めたところ6g/Lであった。このことから相分離が起こっていることが分かる。そしてエチレン・プロピレン共重合体を含む溶液は約1.5倍の濃度まで濃縮されていることが分かった。
抜き出した希薄相は、熱交換器Hにより共重合体供給ラインと熱交換し、更に熱交換器Gで冷却した後、重合反応器Cに循環した。重合が定常状態になった後の重合活性を、前記循環する前と同様にして調べたところ、重合活性は320kg/mmol−Tiであり、すなわち相分離器Dで分離された希薄相を重合反応器Cに循環した際にも、循環する前の重合活性が維持されていた。
[比較例1]
<エチレン・プロピレン・ジエン共重合>
容積300Lの連続重合反応器に次の原材料を供給した。すなわち脱水精製した溶媒(n−ヘキサン)を35L/h、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(5mmol/L)を0.2L/h、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルテトラキスボレートのトルエン溶液(0.1mmol/L)を2.25L/h、(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シルロペンタジエニル)シラン)チタンジクロライド触媒のヘキサン溶液(0.2mmol/L)を0.225L/h、エチレンを4.4kg/h、プロピレンを3.4kg/h、ENB(5−エチリデン−2−ノルボルネン)を0.78kg/h、水素を7.9L/hの割合で連続的に供給し、重合温度80℃、全圧1.2MPa・G、滞留時間2.3h の条件下で共重合を行った。重合器より43L/hの割合で連続的に排出させた。排出させた重合体溶液について、供給した触媒の濃度と得られたオレフィン重合体の濃度とから重合活性を求めたところ、140kg/mmol−Tiであった。
次いで排出させた共重合体溶液を温度200℃に昇温(圧力:4.0MPa・G)し、相分離器Dへ供給した。相分離器Dで共重合体溶液について、濃厚相(下相部)と少量のポリマーを含む希薄相(上相部)とに分離した。この際濃厚相と希薄相はともに200℃に維持されていた。
分離された濃厚相を28L/hの割合で熱交換器Kに導き、さらにホッパーEに導いて、ここで溶媒を蒸発分離し、エチレン・プロピレン・ジエンの共重合体を6.5kg/hの割合で得た。この値から濃厚相の重合体濃度を求めることができる。
また、相分離器Dで分離された希薄相を相分離器Dの上部より15L/hの割合で抜き出した。抜き出した希薄相について重合体濃度を求めたところ5g/Lであった。このことから相分離が起こっていることが分かる。そしてエチレン・プロピレン共重合体を含む溶液は約1.5倍の濃度まで濃縮されていることが分かった。
抜き出した希薄相は、熱交換器Hにより共重合体供給ラインと熱交換し、更に熱交換器Gで冷却した後、重合反応器Cに循環した。その際、全圧が上昇した為、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルテトラキスボレートのトルエン溶液(0.1mmol/L)の供給量を2.25L/hから3.2L/hに、また(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シルロペンタジエニル)シラン)チタンジクロライドのヘキサン溶液(0.2mmol/L)の供給量を0.225L/hから0.32L/hに、それぞれ増加することで全圧1.2MPa・Gを維持した。重合が定常状態となった後の重合活性を前記循環する前と同様にして調べたところ、重合活性は100kg/mmol−Tiであり、すなわち相分離器Dで分離された希薄相を重合反応器Cに循環した際の重合活性は、循環しない場合と比較して0.71倍に低下した。
[比較例2]
<エチレン・プロピレン共重合>
容積300Lの連続重合反応器に次の原材料を供給した。すなわち、脱水精製した溶媒(n−ヘキサン)を35.0L/h、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(5mmol/L)を2.0L/h、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルテトラキスボレートのトルエン溶液(0.1mmol/L)を0.9L/h、(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シルロペンタジエニル)シラン)チタンジクロライドのヘキサン溶液(0.2mmol/L)を0.09L/h、エチレンを4.7kg/h、プロピレンを3.8kg/h、水素を2.8L/hの割合で連続的に供給し、重合温度80℃、全圧1.2MPa・G、滞留時間2.3hの条件下で共重合を行った。重合器より43L/hの割合で連続的に排出させた。排出させた重合体溶液について、供給した触媒の濃度と得られたオレフィン重合体の濃度とから重合活性を求めたところ、320g/mmol−Tiであった。
次いで排出した重合体溶液を温度200℃に昇温(圧力:4.0MPa・G)し、相分離器Dへ供給した。相分離器Dで共重合体溶液について、濃厚相(下相部)と少量のポリマーを含む希薄相(上相部)とに分離した。このとき濃厚相と希薄相はともに200℃に維持されていた。
分離された濃厚相を28L/hの割合で熱交換器Kに導き、さらにホッパーEに導いて、ここで溶媒を蒸発分離し、エチレン・プロピレン共重合体を5.8kg/hの割合で得た。この値から濃厚相の重合体濃度を求めることができる。
また相分離器Dで分離された希薄相を相分離器Dの上部より15L/hの割合で抜き出した。抜き出した希薄相について重合体濃度を求めたところ6g/Lであった。このことから相分離が起こっていることが分かる。そしてエチレン・プロピレン共重合体を含む溶液は約1.5倍の濃度まで濃縮されていることが分かった。
抜き出した希薄相は、熱交換器Hにより共重合体供給ラインと熱交換し、更に熱交換器Gで冷却した後、重合反応器Cに循環した。希薄相を重合反応器Cに循環した際に全圧が上昇した為、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルテトラキスボレートのトルエン溶液(0.1mmol/L)の供給量を0.9L/hから1.3L/hに、(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シルロペンタジエニル)シラン)チタンジクロライドのヘキサン溶液(0.2mmol/L)の供給量を0.09L/hから0.13L/hにそれぞれ増加することで全圧1.2MPa・Gを維持した。
重合が定常状態となった後の重合活性を前記循環する前と同様にして調べたところ、重合活性は230kg/mmol−Ti であり、すなわち相分離器Dで分離された希薄相を重合反応器Cに循環した際の重合活性は、循環しない場合と比較して0.72倍に低下した。
[比較例3]
<エチレン・プロピレン共重合>
容積300Lの連続重合反応器に次の原材料を供給した。すなわち脱水精製した溶媒(n−ヘキサン)を35.0L/h、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(5mmol/L)を2.0L/h、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルテトラキスボレートのトルエン溶液(0.1mmol/L)を0.9L/h、(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シルロペンタジエニル)シラン)チタンジクロライドのヘキサン溶液(0.2mmol/L)を0.09L/h、エチレンを4.7kg/h、プロピレン3.8kg/h、水素を2.8L/hの割合で連続的に供給し、重合温度80℃、全圧1.2MPa・G、滞留時間2.3h の条件下で共重合を行った。重合器より生成した共重合体溶液を43L/hの割合で連続的に排出させた。排出した重合溶液について、供給した触媒の濃度と得られたオレフィン重合体の濃度とから重合活性を求めたところ、320g/mmol−Tiであった。次いで排出した重合溶液を、温度190℃に昇温(圧力:4.0MPa・G)し、相分離器Dへ供給した。相分離器Dで共重合体溶液について、濃厚相(下相部)と少量のポリマーを含む希薄相(上相部)とに分離した。このとき、濃厚相と希薄相とはそれぞれ190℃に維持されていた。
分離された濃厚相を28L/hの割合で熱交換器Kに導き、さらにホッパーEに導いて、ここで溶媒を蒸発分離し、エチレン・プロピレン共重合体を5.8kg/hの割合で得た。この値から濃厚相の重合体濃度を求めることができる。
また相分離器Dで分離された希薄相を相分離器Dの上部より15L/hの割合で抜き出した。抜き出した希薄相について重合体濃度を求めたところ6g/Lであった。このことから相分離が起こっていることが分かる。そしてエチレン・プロピレン共重合体を含む溶液は約1.5倍の濃度まで濃縮されていることが分かった。
抜き出した希薄相は、熱交換器Hにより共重合体供給ラインと熱交換し、更に熱交換器Gで冷却した後、重合反応器Cに循環した。その際に全圧が上昇した為、トリフェニルカルベニウムペンタフルオロフェニルテトラキスボレートのトルエン溶液(0.1mmol/L)を0.9L/hから1.1L/hに、(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シルロペンタジエニル)シラン)チタンジクロライドのヘキサン溶液(0.2mmol/L)を0.09L/hから0.11L/hにそれぞれ増加することで全圧1.2MPa・Gを維持した。重合が定常状態となった後の重合活性を、前記循環する前の重合活性と同様にサンプリングして調べたところ、重合活性は260kg/mmol−Ti であり、すなわち相分離器Dで分離された希薄相を重合反応器Cに循環した際の重合活性は、循環しない場合と比較して0.81倍に低下した。
[比較例4]
<エチレン・プロピレン・ジエン共重合>
容積300Lの連続重合反応器に次の原材料を供給した。すなわち、脱水精製した溶媒(n−ヘキサン)を35.5L/h、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(2.5mmol/L)を4.0L/h、メチルアルミノキサンのヘキサンスラリー(2.04mg(Al原子)/L)を7.4L/h、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.072mmol/L)を1.1L/h、エチレンを4.2kg/h、プロピレンを5.8kg/h、7−メチル−1,6−オクタジエンを2L/h、水素を0.4L/hの割合で連続的に供給し、重合温度60℃、全圧0.81MPa・G、滞留時間2.0hの条件下で共重合を行った。重合器より生成した共重合体溶液を50L/hの割合で連続的に排出させた。排出した重合溶液について、供給した触媒の濃度と得られたオレフィン重合体の濃度とから重合活性を求めたところ、62g/mmol−Tiであった。次いで排出した重合溶液を、温度200℃に昇温(圧力:4.0MPa・G)し、相分離器Dへ供給した。相分離器Dで共重合体溶液について、濃厚相(下相部)と少量のポリマーを含む希薄相(上相部)とに分離した。このとき濃厚相および希薄相はそれぞれ200℃に維持されていた。
分離された濃厚相を15L/hの割合で熱交換器Kに導き、さらにホッパーEに導いて、ここで溶媒を蒸発分離し、エチレン・プロピレン・7−メチル−1,6−オクタジエン共重合体を4.9kg/hの割合で得た。この値から濃厚相の重合体濃度を求めることができる。
また相分離器Dで分離された希薄相を相分離器Dの上部より35L/hの割合で抜き出した。抜き出した希薄相について重合体濃度を求めたところ7g/Lであった。このことから相分離が起こっていることが分かる。そしてエチレン・プロピレン・7−メチル−1,6−オクタジエン共重合体を含む溶液は約3.3倍の濃度まで濃縮されていることが分かった。
抜き出した希薄相は、熱交換器Hにより共重合体供給ラインと熱交換し、更に熱交換器Gで冷却した後、重合反応器Cに循環した。重合が定常状態となった後の重合活性を、前記循環する前の重合活性と同様にサンプリングして調べたところ、重合活性は62kg/mmol−Ti であり、すなわち相分離器Dで分離された希薄相を重合反応器Cに循環した際にも、循環する前の重合活性が維持されていた。
[比較例5]
<エチレン・プロピレン共重合>
容積300Lの連続重合反応器に次の原材料を供給した。すなわち、脱水精製した溶媒(n−ヘキサン)を37.2L/h、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(2.5mmol/L)を4.0L/h、メチルアルミノキサンのヘキサンスラリー(2.04mg(Al原始)/L)を7.9L/h、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.072mmol/L)を0.9L/h、エチレンを4.2kg/h、プロピレンを5.3kg/h、水素を1.2L/hの割合で連続的に供給し、重合温度80℃、全圧0.74MPa・G、滞留時間2.0hの条件下で共重合を行った。この状態で連続重合反応器から重合溶液をサンプリングし、供給した触媒の濃度と得られたオレフィン重合体の濃度とから重合活性を求めたところ、81kg/mmol−Tiであった。
共重合体溶液を、重合器より57L/hの割合で連続的に排出させた。排出した重合溶液について、供給した触媒の濃度と得られたオレフィン重合体の濃度とから重合活性を求めたところ、320g/mmol−Tiであった。次いで排出した重合溶液を、温度200℃に昇温(圧力:5.0MPa・G)し、相分離器Dへ供給した。相分離器Dで共重合体溶液について、濃厚相(下相部)と少量のポリマーを含む希薄相(上相部)とに分離した。このとき、濃厚相と希薄相は200℃に維持されていた。
分離された濃厚相を16.5L/hの割合で熱交換器Kに導き、さらにホッパーEに導いて、ここで溶媒を蒸発分離し、エチレン・プロピレン共重合体を5.3kg/hの割合で得た。この値から濃厚相の重合体濃度を求めることができる。
また相分離器Dで分離された希薄相を相分離器Dの上部より40.5L/hの割合で抜き出した。抜き出した希薄相について重合体濃度を求めたところ9g/Lであった。このことから相分離が起こっていることが分かる。そしてエチレン・プロピレン共重合体を含む溶液は約4.6倍の濃度まで濃縮されていることが分かった。
抜き出した希薄相は、熱交換器Hにより共重合体供給ラインと熱交換し、更に熱交換器Gで冷却した後、重合反応器Cに循環した。重合が定常状態になった後の重合活性を、前記循環する前と同様にして調べたところ、重合活性は81kg/mmol−Tiであり、すなわち相分離器Dで分離された希薄相を重合反応器Cに循環した際にも、循環する前の重合活性が維持されていた。
本発明の製造方法を利用して、工業的に有利な方法で、しかも高い触媒活性でオレフィン系重合体を製造することができる。
本発明で用いられるプロセスのフロー図の一例である。
符号の説明
C:連続重合反応器
D:相分離器(分離帯域の一例)
E:ホッパー
F:昇圧ポンプ
G、H,I,K:熱交換器

Claims (5)

  1. [A]周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物および[B]イオン化イオン性化合物からなるオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを液相で重合または共重合することにより、オレフィン系重合体を含む重合体含有液を製造し、該重合体含有液を重合帯域から、温度が上部曇点以上、185℃以下である分離帯域に導いて、オレフィン系重合体を高濃度で含む下相部と、上相部とに相分離し、該分離帯域の下相部からオレフィン系重合体を回収するとともに、該上相部の少なくとも一部を重合帯域に循環させることを特徴とするオレフィン系重合体の製造方法。
  2. 前記周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物が、置換基を有していても良いシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個以上有する遷移金属化合物であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
  3. 前記遷移金属化合物が幾何拘束型の構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
  4. 遷移金属触媒が炭素、水素、ケイ素、ハロゲン以外の典型元素を含む触媒であることを特徴とする請求項1から3に記載のポリオレフィン製造方法。
  5. オレフィン重合用触媒が、[A]周期律表第4族から選ばれる遷移金属化合物、および[B]イオン化イオン性化合物に加え、[C]有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のオレフィン系重合体の製造方法。
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