JP2005219964A - 単層カーボンナノチューブの処理方法及び単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法、ならびに得られる単層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブ分散液 - Google Patents

単層カーボンナノチューブの処理方法及び単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法、ならびに得られる単層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブ分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】 分散性に優れたカーボンナノチューブを提供する。
【解決手段】 単層カーボンナノチューブ1重量部と融点が−50〜200℃であるイオン性液体を形成する化合物1〜1000重量部とをイオン性液体を形成する化合物の融点以上の温度で混合し、イオン性液体の融点以下の温度に冷却して固化させた後、乾式粉砕処理する単層カーボンナノチューブの処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、単層カーボンナノチューブの溶媒中における分散性が向上する単層カーボンナノチューブの処理方法であって、イオン性液体のような単層カーボンナノチューブの絡み合いを解く媒体中で、単層カーボンナノチューブを乾式粉砕処理することで得られる単層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブ分散液、ならびにこれらの製造方法に関する。
カーボンナノチューブは炭素6員環からなるグラファイトシートが円筒状を形成した物質であり、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。
カーボンナノチューブは、高電気伝導性、機械的性質や化学安定性等、これまでにない優れた特性を有しており、複合材料,半導体素子,導電材料,水素吸蔵材料などの実用化に向けた研究が進められている。例えば、高強度、高弾性率、高導電性という特徴を生かしてポリマー中にフィラーとして添加して、機械的物性や導電性を向上させようとする試みも行われている。特に、単層カーボンナノチューブは、高いアスペクト比を有することからフィラーとして期待されている。しかし、単層カーボンナノチューブの機能を十分に発現させるためには、単層カーボンナノチューブを高度に分散させる必要がある。しかし、単層カーボンナノチューブ間に働くファンデルワールス相互作用により安定的にカーボンナノチューブを分散させることが困難であり、安定的に高度に分散させるためにさまざまな検討がなされている。中でも溶媒中およびポリマーマトリクス中におけるカーボンナノチューブの分散性を高める方法の一つとして、カーボンナノチューブの長さを短くする方法が考えられる。例えば、化学的処理法としては、硝酸、硫酸等の強酸存在下加熱あるいは超音波を印加することにより単層カーボンナノチューブを切断し、長さを短くするという報告がある。(非特許文献1参照)しかし、強酸処理によりナノチューブ表面が大きなダメージを受け、単層ナノチューブの場合、本来の特性を損なってしまうという問題点があった。また、物理的処理法としては、湿式と乾式の機械的処理が知られており、具体的には乳鉢、ボールミル処理、ビーズミル処理等によりマルチウォールカーボンナノチューブの長さを短くすることが検討されている。(特許文献1〜2参照)しかし、単層カーボンナノチューブに湿式粉砕処理を行っても、粉砕されず長さが短くならないという問題があった。また、単層カーボンナノチューブを乾式粉砕した場合、粉砕することにより長さは短くなるが、再分散が困難な凝集体を形成し、分散性が向上しないという問題点があった。この原因としては、単層カーボンナノチューブが凝集しているすなわちバンドルを形成している状態で乾式粉砕処理を行っているため、凝集物が生成すると考えられる。この問題点を解決するために、シクロデキストリンを媒体として用いて、単層カーボンナノチューブを分散させた状態で、乳鉢処理することで単層カーボンナノチューブを切断するという報告がある。(非特許文献2参照)
しかし、媒体として用いたシクロデキストリンを除去することが煩雑であり、得られた単層カーボンナノチューブの分散性も不十分であるという問題があった。
一方で、イミダゾリウムイオンからなるイオン性液体と単層カーボンナノチューブを乳鉢により処理することでゲル状混合物を形成し、そのゲル中において単層カーボンナノチューブがバンドルの解けた状態で存在しているとの報告がある。(非特許文献3参照)
しかし、この乳鉢処理によって単層カーボンナノチューブはバンドルが解けているだけで粉砕されておらず、イオン性液体を除去した後の単層カーボンナノチューブの分散性は、処理前の単層カーボンナノチューブの分散性と変わらない。
特開平7−48111号公報 頁1〜3 特開2000−340098号公報 頁1〜9 Science 280,1253−1256(1998) J.Am.Chem.Soc.vol.123 6201−6202(2001) Science 300,2072−2074(2003)
本発明の目的は上記問題点を解決し、分散性に優れたカーボンナノチューブおよびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、イオン性液体を形成する化合物を媒体として用いて、固体状態で単層カーボンナノチューブを粉砕処理することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.(1)単層カーボンナノチューブ1重量部と融点が−50〜200℃であるイオン性液体を形成する化合物1〜1000重量部とをイオン性液体を形成する化合物の融点以上の温度で混合し、
(2)イオン性液体を形成する化合物の融点以下の温度まで冷却して固化させた後、
(3)得られた単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物からなる固体混合物を乾式粉砕処理し、次いで
(4)イオン性液体を形成する化合物を除去する
ことを特徴とする単層カーボンナノチューブの処理方法。
2. イオン性液体を形成する化合物のカチオンがアルキルイミダゾリウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、アルキルアンモニウムイオンまたはアルキルホスフォニウムイオンであることを特徴とする上記記載の単層カーボンナノチューブの処理方法。
3. イオン性液体を形成する化合物のカチオンがアルキルイミダゾリウムイオンであることを特徴とする上記記載の単層カーボンナノチューブの処理方法。
4. 上記記載の方法で得られた単層カーボンナノチューブ。
5. 溶媒に上記記載の単層カーボンナノチューブを分散させることを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
6. 溶媒に上記記載の単層カーボンナノチューブが分散していることを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液。
本発明により簡便な方法で、単層カーボンナノチューブの凝集を抑制した粉砕方法を提供し、分散性に優れた単層カーボンナノチューブを得ることができる。また本方法ではイオン性液体を形成する化合物を用いることにより単層カーボンナノチューブを好適に分散できるばかりでなく、液体の揮発を最小限にし、また短時間で固体化が可能であるという利点を有する。
本発明において、単層カーボンナノチューブとは、直径がおよそ0.4〜2nm、長さがおよそ数nm〜数μmのカーボンからなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては炭素の6角網目の面(グラフェンシート)がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管になっているものである。単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ間に働くファンデルワールス力のために凝集力が著しく強く、容易に完全に溶媒およびポリマー中に分散できない。
上記の単層カーボンナノチューブの従来公知の製法として、現在は主に炭素化合物を高温下で触媒金属微粒子に接触させて熱分解する化学気相成長法(以下,CVD法とする)、アーク放電法、およびレーザー蒸発法が用いられている。またこの上記以外にもプラズマ合成法や固相反応法が知られているが、本発明に用いられる単層カーボンナノチューブの製造方法として、これらに限定されるものではない。篠原らが報告している、多孔性担体に金属触媒を担持した基体に原料炭素源となる炭素化合物気体を接触させて熱分解するCVD法による単層カーボンナノチューブの製造方法は、特に精製することなく、純度が高く、高度にグラファイト化された単層カーボンナノチューブが得られることから好ましい製造方法である。(Chemical Physics Letter 303(1999) 117−124
また、本発明における単層カーボンナノチューブは、不純物としてフラーレン、活性炭、カーボンブラック、アモルファスカーボン、触媒金属等を含んでいても差し支えない。50%以上が単層カーボンナノチューブであることが好ましい。
本発明の単層カーボンナノチューブの処理方法は、(1)単層カーボンナノチューブと融点が−50〜200℃であるイオン性液体を形成する化合物とをイオン性液体の融点以上の温度で混合する工程、(2)得られた単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物との混合物をイオン性液体の融点以下に冷却する工程、(3)単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物からなる混合固体を乾式粉砕する工程、(4)粉砕された単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物からなる混合固体からイオン性液体を除去する工程からなる。
以下各工程について詳細に説明する。
工程(1)において、単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物とをイオン性液体の融点以上の温度で混合することにより、単層カーボンナノチューブの絡み合いを解き、さらにはバンドル状の単層カーボンナノチューブを孤立した状態の単層カーボンナノチューブを形成する。
本発明においてイオン性液体を形成する化合物とは、室温前後で融解できる、塩類、塩類の混合物、あるいは、塩類を生成する成分の混合物であり、例えば200℃程度までの比較的に高い温度で融解する塩類にも適用され得うる。いうまでもなく、イオン性液体を形成する化合物の融点以下でイオン性液体を形成する。
本発明においてイオン性液体を形成する化合物としては、融点が−50〜200℃のものを使用することができる。融点が−50℃より低い場合は、固化させるために−50℃より低温に冷却させる必要があり好ましくない。また、融点が200℃以上の場合、融解させるのに高温を必要とし、単層カーボンナノチューブと混合するのに装置が煩雑になり好ましくない。上記のイオン性液体を形成する化合物には、アニオン種としてハロゲンアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、メチルスルフェートアニオン、ニトレートアニオンまたはトリフルオロメタンスルフェートアニオン等と、カチオン種としてはアルキルアンモニウムイオン、アルキルホスフォニウムイオン、アルキルイミダゾリウムイオンまたはアルキルピリジニウムイオン等からなる化合物が挙げられ、本発明において用いられるイオン性液体を形成する化合物としては、カチオン種がアルキルイミダゾリウムイオンおよびアルキルピリジニウムイオンであるものが好ましい。例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムニトレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスヘート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフェート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルフォスフェート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフェート、1−エチルピリジニウムブロマイド、1−ブチルピリジニウムブロマイド、1−ブチルピリジニウムクロライド、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルフェート、1−ヘキシルピリジニウムブロマイド、1−ヘキシルピリジニウムクロライド、1−ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェート等が挙げられる。
これらのイオン性液体を形成する化合物は、アニオン交換法、酸エステル法、炭酸エステル法、中和法といった従来公知の技術を用いて合成することができ、また試薬として購入することも可能なものもある。
イオン性液体を形成する化合物を用いることにより単層カーボンナノチューブを好適に分散できるばかりでなく、液体の揮発を最小限にし、また短時間で固体化が可能であるという利点を有する。
混合の方法としては、イオン性液体を形成する化合物の融点以上の温度で、液体状態のイオン性液体を形成する化合物、すなわちイオン性液体と単層カーボンナノチューブとを乳鉢ですり合わせる乳鉢処理、攪拌翼を兼ね備えたフラスコ中で混合する方法、超音波処理による方法等が挙げられ、これらに限定されるものではない。また、これらを組み合わせて用いてもよい。混合の温度としてはイオン性液体を形成する化合物の融点以上であれば問題ないが、好ましくは融点+10〜融点+100℃である。
使用されるイオン性液体を形成する化合物の量については、単層カーボンナノチューブの純度、イオン性液体を形成する化合物の種類にもよるので、一律に規定できるものではないが、単層カーボンナノチューブに対し、1〜1000倍重量が好ましく、2〜500倍重量がより好ましい。
工程(2)において、得られた単層カーボンナノチューブとイオン性液体とのペースト状混合物をイオン性液体を形成する化合物の融点以下に冷却することで、イオン性液体を形成する化合物中で単層カーボンナノチューブが解けている状態を固定化させる。この工程により、粉砕により生じる単層カーボンナノチューブの凝集を抑制することができる。冷却の温度としてはイオン性液体を形成する化合物の融点以下であれば問題ないが好ましくは融点−80〜融点−10℃である。
続いて工程(3)において、工程(2)で得られた単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物からなる固体混合物を乾式粉砕することで、単層カーボンナノチューブを切断する。
乾式粉砕処理としては、ボールミルを用いた処理、乳鉢を用い乳棒によりすり潰す処理、媒体攪拌型粉砕機、ジェットミル、石臼を用いてすりつぶす処理、振動ミル等が挙げられる。中でも効率的に切断できることから振動ミルが好ましい。乾式粉砕処理においては、機械的処理における応力や時間を変えることで、単層カーボンナノチューブの長さを制御することができる。
乾式粉砕処理の温度としては、使用したイオン性液体を形成する化合物の融点以下の温度であることが必要である。イオン性液体を形成する化合物の融点以上の温度で処理した場合、単層カーボンナノチューブが解けた状態を固定化できないだけでなく、粉砕することも困難である。使用するイオン性液体を形成する化合物の融点が低い場合、粉砕機に冷却装置を備え付けることや、ドライアイスを添加して粉砕もしくは液体窒素中にて粉砕することにより冷却することも可能である。
粉砕時間としては、単層カーボンナノチューブの種類、純度、使用するイオン性液体を形成する化合物の種類および乾式粉砕方法の種類にもよるので、一律に規定できるものではないが、振動ミルを用いた場合、10秒〜10時間が好ましく、30秒〜5時間がより好ましく、1分〜2時間がさらに好ましい。
工程(4)において、乾式粉砕処理された単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物の混合固体物から、イオン性液体を形成する化合物を除去することにより、本発明における単層カーボンナノチューブを得ることができる。イオン性液体を形成する化合物を除去する方法としては、イオン性液体を形成する化合物を溶解する溶媒に乾式粉砕処理された単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物の混合物を添加して、イオン性液体を形成する化合物を溶解しろ過することで、イオン性液体を形成する化合物から単離された単層カーボンナノチューブを得ることができる。一方、蒸留やエバポレーター等により濾液から溶媒を除去することにより、イオン性液体を形成する化合物を回収することが可能であり、回収したイオン性液体を形成する化合物を再利用することができる。また、イオン性液体を形成する化合物の融点以上の温度で、乾式粉砕された単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物の混合物を熱時濾過することによりイオン性液体を回収し、イオン性液体を形成する化合物から単離された単層カーボンナノチューブを得ることができる。
本発明において得られた単層カーボンナノチューブは、イオン性液体を形成する化合物が残存していてもよい。また、乾式粉砕処理のような力学的な作用を加えることで単層カーボンナノチューブの表面に化学的な変化を生じさせることも可能であり、乾式粉砕処理をすることで単層カーボンナノチューブ表面に生じた欠陥(ラジカル)と、イオン性液体を形成する化合物とが化学的な結合している単層カーボンナノチューブ、イオン結合等により相互作用している単層カーボンナノチューブについても本発明に含まれる。
本発明により得られた単層カーボンナノチューブを分散させる溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールといった1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールといった2価アルコール、グリセリンといった3価アルコール、アセトンといったケトン類、テトラヒドロフランといった環状エーテル、1,2−ジクロロベンゼンといったハロゲン化芳香族炭化水素、クロロホルムといったハロアルカン、1−メチルナフタレンといった置換複素環化合物、非プロトン系極性溶媒等をあげることができる。なかでも非プロトン系極性溶媒が好ましく、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等があげられる。これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。
単層カーボンナノチューブを分散させる方法としては、特に限定されないが超音波や各種攪拌方法を用いることができる。攪拌方法としては、ホモジナイザーのような高速攪拌やアトライター、ボールミル等の攪拌方法も使用することができる。
本発明における単層カーボンナノチューブの分散液とは、単層カーボンナノチューブが浮遊し、目視で均一に見える状態のものをいう。また、一日以上放置した後も液層部分に単層カーボンナノチューブは存在しており、分散液は黒色に着色している。
本発明における単層カーボンナノチューブの分散液をさらに濾過や遠心分離により分級することもできる。濾過に使用するフィルターのサイズや、遠心分離の条件を適宜選択することで単層カーボンナノチューブを分級することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく具体的に説明する。ただしこれらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[参考例1:単層カーボンナノチューブの合成]
多孔性担体にY型ゼオライト粉末(東ソー製;HSZ−320NAA)を用い,触媒金属化合物に酢酸第二鉄と酢酸コバルトを用いて,Fe/Co触媒をゼオライトに担持した。触媒の担持量はそれぞれ2.5重量%に調製した。その後,石英ボートに触媒粉末を乗せてCVD装置の石英管内に設置して真空排気をおこない,Ar流量10ml/分で導入しながら室温から600℃まで昇温した。所定の600℃に達した後,エタノール蒸気を流量3000ml/分で導入し,Ar/エタノール雰囲気下で30分間保持した。得られた黒色の生成物をレーザーラマン分光法および透過型電子顕微鏡で分析した結果,単層カーボンナノチューブが生成していることが確認された。ついで,得られた生成物(単層カーボンナノチューブ/ゼオライト/金属触媒)を,フッ化水素酸10%に3時間浸漬後、中性になるまでイオン交換水で洗浄することでゼオライトおよび金属触媒を除去して単層カーボンナノチューブを精製した。
[実施例1]
(単層カーボンナノチューブとイオン性液体との混合)
参考例1で得られた単層カーボンナノチューブ1重量部とイオン性液体を形成する化合物として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート(以下EMIPF6:融点61℃)120重量部とを100℃、窒素雰囲気下、乳鉢で1時間すり合わせた。
(単層カーボンナノチューブとイオン性液体の混合物の冷却および乾式粉砕)
上記で得られた単層カーボンナノチューブとEMIPF6との混合物を、ステンレス製のカプセルにステンレス製のボールと一緒に入れて、−80℃まで冷却した。続いてvibrating mill(島津製作所製)を用いて6分間乾式粉砕処理を行った。
(イオン性液体の除去)
乾式粉砕処理した単層カーボンナノチューブとEMIPF6との混合物をエタノールに分散させて、EMIPF6をエタノールに溶解させた後、0.1μmのメンブレンフィルターにより濾過、数回エタノールで洗浄後、終夜減圧乾燥することで単層カーボンナノチューブを得た。また、ろ液をエバポレートすることによりEMIPF6を回収した。
(単層カーボンナノチューブ分散液の調製)
得られた単層カーボンナノチューブをN−メチル−2−ピロリドンに0.01wt%の濃度になるように添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)を用いて30分処理することにより単層カーボンナノチューブの分散液を得た。この分散液の分散性は非常に安定であり、1日放置した後分散液部分の吸収スペクトルを測定した。得られた紫外可視吸収スペクトルを図1に示す。
[比較例1]
参考例1で得られた単層カーボンナノチューブをイオン性液体と混合しないで、単層カーボンナノチューブのみで乾式粉砕処理を6分行った。得られた単層カーボンナノチューブを用いて実施例1と同様にN−メチル−2−ピロリドンに0.01wt%の濃度になるように添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)を用いて30分処理することにより単層カーボンナノチューブの分散液を得た。この分散液を1日放置したが、単層カーボンナノチューブは凝集し、沈殿してしまった。1日放置した後分散液部分の吸収スペクトルを測定した。得られた紫外可視吸収スペクトルを図1に示す。
[比較例2]
参考例1で得られた単層カーボンナノチューブ(10mg)とγ−シクロデキストリン(300mg)をエタノール(2ml)に加えて、乳鉢で溶媒がなくなるまですりつぶした。さらに1時間乳鉢で処理した後、得られた単層カーボンナノチューブとγ−シクロデキストリンの混合物を、ステンレス製のカプセルにステンレス製のボールと一緒に入れて、vibrating mill(島津製作所製)を用いて6分間乾式粉砕処理を行った。
(γ−シクロデキストリンの除去)
乾式粉砕処理した単層カーボンナノチューブとγ−シクロデキストリンとの混合物を大過剰のイオン交換水で洗浄することでγ−シクロデキストリンを除去し、数回エタノールで洗浄後、0.1μmのメンブレンフィルターにより単層カーボンナノチューブを回収、終夜減圧乾燥することで単層カーボンナノチューブを得た。
(単層カーボンナノチューブ分散液の調製)
得られた単層カーボンナノチューブをN−メチル−2−ピロリドンに0.01wt%の濃度になるように添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)を用いて30分処理することにより単層カーボンナノチューブの分散液を得た。1日放置した後分散液部分の吸収スペクトルを測定した。得られた紫外可視吸収スペクトルを図1に示す。
図1に示すように本発明おいて得られた単層カーボンナノチューブは、吸収強度が高く分散性に優れていることがわかる。
図1は実施例1、比較例1および2の分散液の紫外可視吸収スペクトルの測定結果である。

Claims (6)

  1. (1)単層カーボンナノチューブ1重量部と融点が−50〜200℃であるイオン性液体を形成する化合物1〜1000重量部とをイオン性液体を形成する化合物の融点以上の温度で混合し、
    (2)イオン性液体を形成する化合物の融点以下の温度まで冷却して固化させた後、
    (3)得られた単層カーボンナノチューブとイオン性液体を形成する化合物からなる固体混合物を乾式粉砕処理し、次いで
    (4)イオン性液体を形成する化合物を除去する
    ことを特徴とする単層カーボンナノチューブの処理方法。
  2. イオン性液体を形成する化合物のカチオンがアルキルイミダゾリウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、アルキルアンモニウムイオンまたはアルキルホスフォニウムイオンであることを特徴とする請求項1記載の単層カーボンナノチューブの処理方法。
  3. イオン性液体を形成する化合物のカチオンがアルキルイミダゾリウムイオンであることを特徴とする請求項1記載の単層カーボンナノチューブの処理方法。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の方法で得られた単層カーボンナノチューブ。
  5. 溶媒に請求項4記載の単層カーボンナノチューブを分散させることを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  6. 溶媒に請求項4記載の単層カーボンナノチューブが分散していることを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液。
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