JP2009107891A - 窒化ホウ素系ナノチューブ及びその製造方法並びに窒化ホウ素ナノチューブゲル - Google Patents

窒化ホウ素系ナノチューブ及びその製造方法並びに窒化ホウ素ナノチューブゲル Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶媒等に分散し易く、取扱いが容易で且つ成形加工性の向上した新規な窒化ホウ素系ナノチューブおよびその製造方法ならびに製造原料となる窒化ホウ素ナノチューブゲルを提供する。
【解決手段】窒化ホウ素ナノチューブ上に存在するNH基の水素原子をアルキル基で置換した窒化ホウ素系ナノチューブとその製造方法並びに窒化ホウ素系ナノチューブの製造に用いる窒化ホウ素ナノチューブゲルを開示する。窒化ホウ素系ナノチューブは、窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体とを混合して得られる窒化ホウ素ナノチューブゲルとハロゲン化アルキルとを反応させて製造できる。
【選択図】図6

Description

本発明は、窒化ホウ素系ナノチューブおよびその製造方法並びに窒化ホウ素ナノチューブゲルに関する。
カーボンナノチューブをはじめとする多くのナノチューブは通常の有機溶媒に不溶であり、このことがナノチューブの成形性を著しく困難にしている。ナノチューブの成形困難性が解決されれば実用上非常に有利になるため、カーボンナノチューブを溶媒に均一分散させて成形性の向上を図ることが種々検討されている。
例えば、非特許文献1には、イオン性液体である1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートに分散させた単層カーボンナノチューブ分散液をすりつぶすと、透明な液相である純粋な1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート相と黒いゲル相である単層カーボンナノチューブを含有する1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート相が分離して生成することが記載されている。そして黒いゲル相は高粘度であり、容器をさかさまにしても流れないと記載されている。
このような系は、非常に高粘度であるため、粘弾性挙動の測定が可能であり、単層カーボンナノチューブをドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液に分散した系でその挙動が調べられている(例えば、非特許文献2参照)。
非特許文献3には、単層カーボンナノチューブを10重量%のヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液で処理した後、水溶液中の水をテトラヒドロフラン溶媒で置換する高粘度ゲルの形成方法が開示されている。
上記のゲル化したカーボンナノチューブのラマンスペクトルでは、ゲル化の前後の吸収スペクトルに変化がないことから、このゲル化現象は、カーボンナノチューブとイオン性液体との間の物理的相互作用であり、二つの物質間に化学反応は起こっていない(例えば、非特許文献4、5参照)。
一方、イオン性液体中で単層カーボンナノチューブをジアゾニウム塩と化学反応させて、化学的にカーボンナノチューブに有機基を導入する方法も提案されている(たとえば、非特許文献6参照)。
同様に、窒化ホウ素ナノチューブの改質に関しては、窒化ホウ素ナノチューブを共役系高分子でラッピングすることにより、均一で透明な有機溶媒分散液を得る方法が報告されている(たとえば、非特許文献7および特許文献1参照)。
さらに、窒化ホウ素ナノチューブをアシル化して化学変性させて均一で透明な有機溶媒分散液を得る方法も報告されている(たとえば、非特許文献8及び特願2006−130868号参照)。
特開2007−230830号公報 T. Fukushima ほか、Science 300巻、2072頁、2003年 L. A. Houghほか、Phys. Rev. Lett. 93巻、168102頁、2004年 Y. Sabbaほか、Macromolecules 37巻、4815頁、2004年 J. Wu ほか、Nano Lett. 4巻、647頁、2004年 R. W. Berg ほか、J. Phys. Chem. B 109巻、19018頁、2005年 B. K. Price ほか、J. Am. Chem. Soc. 127巻、14867頁、2005年 Chunyi Zhi ほか、J. Am. Chem. Soc. 127巻、15996頁、2005年 C. Y. Zhiほか、Angew. Chem. Int. Ed.44巻、7932頁、2005年
本発明は、有機溶媒等に分散し易く、取扱いが容易で且つ成形加工性の向上した新規な窒化ホウ素系のナノチューブを提供することを目的とする。
本発明者らは、窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基の水素原子をアルキル基で置換した窒化ホウ素ナノチューブ(以下、「窒化ホウ素系ナノチューブ」という)が有機溶媒中で均一に分散することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基の水素原子がアルキル基で置換されている窒化ホウ素系ナノチューブを提供する。
また、本発明は、窒化ホウ素系ナノチューブが有機溶媒に均一に分散する窒化ホウ素系ナノチューブ分散液も提供する。
さらに、本発明は窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法を提供する。すなわち、窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体とからなる窒化ホウ素ナノチューブゲルをルイス酸の存在下でハロゲン化アルキルと反応させることを特徴とする窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法である。窒化ホウ素ナノチューブ上に存在するNH基の水素原子がアルキル基で置換され、有機溶媒による溶解性や分散性が改善された窒化ホウ素系ナノチューブを得ることができる。
さらに加えて、本発明は、窒化ホウ素系ナノチューブの製造に用いる窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体とからなる窒化ホウ素ナノチューブゲルを提供する。窒化ホウ素ナノチューブゲルは、窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体を混合して混合物とし、該混合物をすりつぶして糊状にした後、遠心分離して窒化ホウ素ナノチューブゲルを得ることができる。
本発明の窒化ホウ素系ナノチューブは、上述したように、窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基の水素原子をアルキル基で置換したものであり、有機溶媒による溶解性及び/又は分散性が改善された。すなわち、アルキル基で置換された窒化ホウ素ナノチューブは成形特性が向上し、加工が容易になったことで、窒化ホウ素系ナノチューブの用途拡大や新たな活用が期待できる。本発明の窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法は、窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体とからなる組成物である窒化ホウ素ナノチューブゲルを用いることにより、窒化ホウ素ナノチューブ上に存在するNH基の水素元素を効率的にアルキル化することができ、窒化ホウ素系ナノチューブを収率よく得ることができる。
上述したように、窒化ホウ素系ナノチューブを有機溶媒に溶解したときの分散性は良好であり、長期間放置しても沈殿を生じることがなく、安定して溶液状態を維持することができる。この窒化ホウ素系ナノチューブ分散液を用いることで成形物が容易に得られる。たとえば、基板やベルト状物の上に窒化ホウ素系ナノチューブの有機溶媒分散液を流延し、加熱して有機溶媒を蒸発させることにより、窒化ホウ素系ナノチューブからなるフィルム状物を容易に、かつ、効率よく製造することができる。
先ず、本発明の窒化ホウ素系ナノチューブを説明する。
本発明の窒化ホウ素系ナノチューブは、窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基の水素原子がアルキル基で置換されたものである。
ここで、アルキル基とは、炭素数10以上24以下の直鎖あるいは分鎖のアルキル基をいい、芳香族環と置換されていてもよいが、好ましくは、芳香族環を含まない直鎖アルキル基(Cn2n+1)である。具体的には、デカン残基、ウンデカン残基、ドデカン残基、トリデカン残基、テトラデカン残基、ペンタデカン残基、ヘキサデカン残基、ヘプタデカン残基、オクタデカン残基、ノナデカン残基、アイコサン残基、エイコサン残基、ヘンイコサン残基、ヘンアイコサン残基、ドコサン残基、トリコサン残基、テトラコサン残基を挙げることができる。特に好ましくは、ドデカン残基、テトラデカン残基、オクタデカン残基、アイコサン残基、ドコサン残基である。
なお、窒化ホウ素ナノチューブ上にはNH基がダングリング−ボンド欠陥(dangling-bond defect)として存在することが報告されている(非特許文献8参照)。
窒化ホウ素系ナノチューブは、低濃度の場合、有機溶媒中で透明に分散する性状を有する。窒化ホウ素系ナノチューブ分散液は、分散性が良好であり、長期間放置しても沈殿を生じることがなく、安定に溶液状態を維持することができる。
有機溶媒は、特に限定されるものではないが、エチルアルコール、アセトン、クロロホルムやN,N-ジメチルホルムアミドやこれらの混合溶媒を挙げることができる。
次に、本発明の窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法を説明する。
本発明の窒化ホウ素系ナノチューブは、窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体とからなる窒化ホウ素ナノチューブゲルをルイス酸の存在下でハロゲン化アルキルと反応させることで得ることができる。
窒化ホウ素系ナノチューブの製造に用いられる窒化ホウ素ナノチューブは、窒素・ホウ素の6員環ネットが円筒状となったもので、既に公知の物質である。窒化ホウ素ナノチューブは、種々の製法により得ることができるが、例えば、ホウ素、酸化鉄(II)および酸化マグネシウムの混合物を1100〜1700℃で加熱して酸化ホウ素の蒸気を発生させ、この発生した蒸気にアンモニアガスを作用させて合成したものがよい。これは、収量及び高純度であるからである。
得られた窒化ホウ素ナノチューブは、硝酸で処理することにより、触媒として使用したマグネシウムや鉄を除く。この方法により、直径が20〜50nmの均一な窒化ホウ素ナノチューブを得ることができる。この方法において、反応温度を1700℃以上、特に1900℃以上に上げると収量は増加するが、直径20〜50nmの窒化ホウ素ナノチューブのほかに、多くの粒子、薄片、数百nm以上の直径を有する繊維状物質が不純物として生成するので好ましくない。逆に、1100℃未満では、窒化ホウ素ナノチューブの収率が低下する。
次いで、窒化ホウ素ナノチューブをイオン性液体と混合して窒化ホウ素ナノチューブゲルとする。詳しくは、イオン性液体を窒化ホウ素ナノチューブと混合し、得られた混合物をすりつぶして糊状化した後、遠心分離して窒化ホウ素ナノチューブゲルとする。
イオン性液体は、特に限定されるものではなく、イミダゾリウム系、ピリジニウム系、脂肪族系イオン液体を用いることができる。好ましくは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートのようなイミダゾリウム系のイオン性液体である。これらのイオン性液体は沸点が高く、不揮発性であるため、空気中へ飛散しにくく公害問題のない環境にやさしい溶媒である。
窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体との重量比は、1:99〜32の範囲が好ましい。この範囲よりもイオン性液体が多い場合、窒化ホウ素ナノチューブの濃度が希薄すぎてゲルを形成しない。逆に、この範囲よりもイオン性液体の量が少ない場合には、窒化ホウ素ナノチューブの濃度が高すぎて窒化ホウ素ナノチューブの分散が悪くなり取扱いが困難になる。
さらに、窒化ホウ素ナノチューブゲルをルイス酸の存在下、ハロゲン化アルキルと反応させて、窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基の水素原子とアルキル基の置換を行う。
この反応で用いるルイス酸は、特に限定されるものではないが、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄等を使用することできる。反応に用いるルイス酸の量は、例えば塩化アルミニウムの場合、その重量比は、好ましくは、窒化ホウ素ナノチューブ1重量部に対し、塩化アルミニウム1/5重量部以上である。塩化アルミニウムが1/5重量部以下の場合は、アルキル化反応が十分に進行しない。
ハロゲン化アルキルは、上述したアルキル残基にハロゲン原子が結合したものであれば良く、好ましくは塩化物、臭化物である。具体例的には、1-ブロモアイコサン、1-クロロオクタデカン、1-ブロモオクタデカン、1-ブロモドコサン、1-ブロモテトラデカン、1-クロロテトラデカン、1-ブロモドデカンが好ましい。窒化ホウ素ナノチューブとハロゲン化アルキルの重量比は、好ましくは、窒化ホウ素ナノチューブ1重量部に対して、ハロゲン化アルキル3重量部以上である。3重量部以下の場合は、窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基の水素原子とアルキル基の置換が十分に行われない。
以上述べたように、窒化ホウ素ナノチューブゲルをルイス酸の存在下でハロゲン化アルキルと反応させることで、窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基の水素原子がアルキル基と置換が起こり、窒化ホウ素ナノチューブにアルキル基が導入された窒化ホウ素系ナノチューブが生成する。
すなわち、NH+XR→ NR (ここで、Xはハロゲン原子を、Rはアルキル基を示す。)
の反応である。
図6は、この窒化ホウ素ナノチューブ上に存在するNH基とハロゲン化アルキルとの反応を模式的に示したものである。NH基の水素原子とアルキル基の置換反応により、窒化ホウ素系ナノチューブが得られる。
以下、実施例に従って本発明をさらに詳細に説明する。
窒化ホウ素ナノチューブは、既知の方法によって製造した。すなわち、酸化マグネシウム粉末、酸化鉄(II)粉末及びホウ素粉末の混合物をアルゴンガス気流中において、1300℃で加熱することにより酸化ホウ素の蒸気を発生させ、この蒸気とアンモニアガスを反応させて窒化ホウ素ナノチューブを結晶成長させた。生成した窒化ホウ素ナノチューブを濃度60重量%の硝酸で洗浄して、触媒の鉄、マグネシウム粒子を除去した。触媒除去後の窒化ホウ素ナノチューブの外観は白色で、六方晶系の結晶構造を有し、長さおよそ10μm、直径20〜50nmで、その純度は90vol%以上であった。
上記で製造した窒化ホウ素ナノチューブ10mgとアルドリッチ社製の1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(純度98%以上)950mgの混合物をメノウ乳鉢に入れて、1時間乳棒ですりつぶした。得られた糊状物を遠心分離管に入れて、10000rpmで2時間遠心分離した。混合物は透明な液相と白色の糊状相の二つに分離された。白色の糊状相は、容器をさかさまにしても流動せず、ゲルが形成されたことを裏付けている。生成したゲルの入った容器の像を図1の左端に示した。
全く同様にして、窒化ホウ素ナノチューブ10mgとアルドリッチ社製の1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(純度97%以上)950mgからゲルを製造した。白色の糊状相は、容器をさかさまにしても流動せず、ゲルが形成されたことを裏付けている。その像を図1の中央に示す。
同じく、窒化ホウ素ナノチューブ10mgとアルドリッチ社製の1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(純度96%以上)950mgから製造したゲルを図1の右端に示した。白色の糊状相は、容器をさかさまにしても流動せず、ゲルが形成されたことを裏付けている。
図2に、イオン性液体として1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートを用いて製造した窒化ホウ素ナノチューブゲルの走査型電子顕微鏡像を示した。また、図3には、その透過型電子顕微鏡像を示した。図2および図3から窒化ホウ素ナノチューブの長さは5〜10μmであることが分かった。
上記した1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェートと窒化ホウ素ナノチューブから作製した3種類の窒化ホウ素ナノチューブゲルのラマンスペクトルを図4に示す。縦軸は吸収強度、横軸はラマンシフト(単位:cm-1)を表わす。図4において、上から6本のスペクトルは2本ずつ対になっており、それぞれ上側のスペクトルが窒化ホウ素ナノチューブゲルのスペクトル、下側のスペクトルがイオン性液体単独のスペクトルである。一番下のスペクトルは窒化ホウ素ナノチューブ単独(図4中ではBNNTsと表記する)のスペクトルである。すなわち、図4中、BMIBF4は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートを表し、EMITF2は1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナートを示し、BMIPF6は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェートを意味し、それぞれが窒化ホウ素ナノチューブゲルのスペクトルとイオン性液体単独のスペクトルである。
一番下の窒化ホウ素ナノチューブ単独のスペクトルには、1363cm-1にメインピークが現れている。3種類のイオン性液体単独には、1021cm-1と1416cm-1にイミダゾール環に基づくピークがある。そして3種類の窒化ホウ素ナノチューブゲルには、この両方のピークがあり、かつ、シフトの位置が変化していないことから、窒化ホウ素とイオン性液体との間には、化学反応は生じておらず、窒化ホウ素ナノチューブゲルは物理的相互作用に基づいて形成されていることが分かった。
窒化ホウ素ナノチューブ3mgとアルドリッチ社製の1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(純度96%以上)300mgの混合物をメノウ乳鉢に入れ、乳棒を用いて室温で30分間すりつぶした。引き続き、前記乳鉢の中に、アルドリッチ社製の1-ブロモアイコサン(純度97%以上)10mgとアルドリッチ社製の塩化アルミニウム(純度98%)2mgを加え、1時間すりつぶした。得られた内容物をエチルアルコールで洗浄し、0.45μmのテフロン(登録商標)製フィルターでろ過した。フィルター上の生成物をエチルアルコール、N,N-ジメチルホルムアミド、水で順次洗浄した。フィルター上の生成物を採取し、N,N-ジメチルホルムアミドに分散させて超音波処理した後、ろ過した。不純物を完全に除去するために、この操作を2度繰り返した。この後、生成物を60℃で乾燥した。収量は2mgであった。この生成物は粉末状で灰黄色であった。
図5に、生成物のフーリェ変換赤外吸収スペクトルを示した。縦軸は吸収強度、横軸は波数(単位:cm-1)を表わす。反応後のスペクトルには、2700〜3000cm-1にCN伸縮振動、1300〜1500cm-1にCHの曲げ振動、700cm-1付近に(CH2nの振動ピークが現れており、窒化ホウ素ナノチューブにアルキル基(すなわちアイコサン残基)が導入された窒化ホウ素系ナノチューブであることが確認できた。
上述したように、本発明の窒化ホウ素系ナノチューブは、有機溶媒による溶解性及び/又は分散性が改善されているので、アルキル化された窒化ホウ素ナノチューブの成形加工が容易になり、窒化ホウ素系ナノチューブを成形加工品へ応用することができる。また、新たな用途開発も期待できる。たとえば、基板やベルト状物の上に窒化ホウ素系ナノチューブの有機溶媒分散液を流延し、加熱して有機溶媒を蒸発させることにより、窒化ホウ素系ナノチューブからなるフィルム状物を容易にかつ、効率よく製造することが出来る。
窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体とから製造したゲルを表わす図である。 窒化ホウ素ナノチューブと1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートから製造した窒化ホウ素ナノチューブゲルの走査型電子顕微鏡像を表わす図である。 窒化ホウ素ナノチューブと1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートから製造した窒化ホウ素ナノチューブゲルの透過型電子顕微鏡像を表わす図である。 窒化ホウ素ナノチューブゲルのラマンスペクトルを表わす図である。 化学反応によりアルキル基が導入された窒化ホウ素ナノチューブのフーリェ変換赤外吸収スペクトルを表わす図である。 窒化ホウ素ナノチューブ上に存在するNH基とハロゲン化アルキルとの反応を模式的に示した図である。

Claims (17)

  1. 窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基の水素原子がアルキル基で置換されている、窒化ホウ素系ナノチューブ。
  2. 前記アルキル基は、炭素数が10以上24以下の範囲である、請求項1に記載の窒化ホウ素系ナノチューブ。
  3. 前記窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基は、窒化ホウ素ナノチューブの表面及び/又は両端に存在するものである、請求項1又は2に記載の窒化ホウ素系ナノチューブ。
  4. 前記窒化ホウ素ナノチューブに存在するNH基の水素原子は、その一部又は全部がアルキル基で置換されている、請求項3に記載の窒化ホウ素系ナノチューブ。
  5. 前記窒化ホウ素系ナノチューブが有機溶媒に分散している窒化ホウ素系ナノチューブ分散液。
  6. 前記アルキル基は、炭素数が10以上24以下の範囲である、請求項5に記載の窒化ホウ素系ナノチューブ分散液。
  7. 前記有機溶媒は、エチルアルコール、アセトン、クロロホルムおよびN,N-ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物である、請求項5又は6に記載の窒化ホウ素系ナノチューブ分散液。
  8. 窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体とからなる窒化ホウ素ナノチューブゲルをルイス酸の存在下でハロゲン化アルキルと反応させることを特徴とする、窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法。
  9. 前記イオン性液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートの何れかである、請求項8に記載の窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法。
  10. 前記ルイス酸は、塩化アルミニウムである請求項8に記載の窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法。
  11. 前記窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体との混合物がすりつぶされ糊状化されたものである、請求項8に記載の窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法。
  12. 前記窒化ホウ素ナノチューブ1重量部に対し、ハロゲン化アルキルが3重量部以上であり、塩化アルミニウムが1/5重量部以上である、請求項8に記載の窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法。
  13. 前記ハロゲン化アルキルは、1-ブロモアイコサン、1-クロロオクタデカン、1-ブロモオクタデカン、1-ブロモドコサン、1-ブロモテトラデカン、1-クロロテトラデカン、1-ブロモドデカンの何れかである、請求項8〜12の何れかに記載の窒化ホウ素系ナノチューブの製造方法。
  14. 窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体とからなる、窒化ホウ素ナノチューブゲル。
  15. 前記イオン性液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートの何れかである、請求項14に記載の窒化ホウ素ナノチューブゲル。
  16. 前記窒化ホウ素ナノチューブゲルは、前記窒化ホウ素ナノチューブ1重量部と前記イオン性液体99〜32重量部とからなる、請求項15に記載の窒化ホウ素ナノチューブゲル。
  17. 窒化ホウ素ナノチューブとイオン性液体とを混合し、該混合物をすりつぶして糊状化した後、遠心分離を行うことを特徴とする、窒化ホウ素ナノチューブゲルの製造方法。
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