JP2005219463A - ポリイミド/金属積層体およびその製造方法、並びにその利用 - Google Patents

ポリイミド/金属積層体およびその製造方法、並びにその利用 Download PDF

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賢 西中
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卓 伊藤
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Abstract

【課題】 ポリイミドフィルムと金属層との接着状態を強固なものとし、かつ、製造工程の煩雑化を回避または抑制することが可能なポリイミド/金属積層体を提供する。
【解決手段】 本発明にかかるポリイミド/金属積層体は、ポリイミド層10と、これに直接積層される銅モリブデン合金からなる合金層20とを含む。さらに、上記合金層20に積層される銅層(導電層)30が含まれてもよい。これにより、ポリイミド層10と合金層20とが強固に接着するとともに、合金層20および銅層30を同じ条件でエッチングできるため、これを用いてFPCや多層構造のプリント配線板を効率的に製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリイミド/金属積層体およびその製造方法、並びにその利用に関するものであり、特に、ポリイミド層と金属層との接着力を十分なものとするとともに、製造過程の煩雑化を回避することができ、高品質のプリント配線板を得ることができるポリイミド/金属積層体およびその製造方法と、その代表的な利用とに関するものである。
プリント配線板(プリント基板)は、絶縁性基板の表面に回路を形成した構成を有しており、従来から、電子部品や半導体素子等を実装するために広く用いられている。このプリント配線板の中には、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造のフレキシブルプリント配線板(FPC)が知られている。
このFPCでは、絶縁性フィルム(絶縁性基板)としてポリイミドフィルムを用いた構成のものが知られているが、特に、ポリイミドフィルムの表面に物理的蒸着法によって金属を積層するタイプのポリイミド/金属積層体により製造されるFPCは、近年の電子機器の軽量化、小型化、高密度化、高機能化等の要求に伴い、その受容が高まっている。上記物理的蒸着法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が知られている。
このように物理的蒸着法によって形成されるポリイミド/金属積層体においては、ポリイミドフィルムと金属層との間における接着力が不足する傾向にある。そこで、この接着力の不足を解消するために、様々な技術が提案されている。具体的には、(i)金属製の中間層を設ける技術、(ii)樹脂製の中間層を設ける技術、(iii)接着力向上のための処理を行う技術等が挙げられる。
まず、(i)金属製の中間層(金属中間層)を設ける技術としては、まず、(1)ポリイミドフィルム表面に中間層としてモリブデン層をスパッタリング法により形成し、その上に銅層または銅合金層をスパッタリング法により形成する技術(特許文献1参照)、(2)ポリイミドフィルム表面に0.01〜5μmのクロム層をスパッタリング法により形成し、その上に銅層をスパッタリング法により形成する技術(特許文献2参照)、(3)ポリイミド等の耐熱性基材フィルムの表面に、耐食性金属、例えば、ニッケルやニッケル−クロムの蒸着層を、5〜1000nmの厚さとなるように設け、その上に良導電性金属、例えば、銅やアルミニウムの蒸着層を設け、さらにその上に、耐食性金属の蒸着層を設ける技術(特許文献3参照)、(4)ポリイミドフィルム表面に50〜500Åのクロム層を蒸着法で形成し、その上にメッキにより銅層を形成する技術(特許文献4参照)、(5)ニッケル、コバルト、ジルコニウム、パラジウム、あるいはこれらを含む合金層をイオンプレーティング法により形成し、その上にイオンプレーティング法により銅層を形成する技術(特許文献5参照)、(6)ニッケル、あるいはこれを含む合金層をインオプレーティング法で形成し、その上にイオンプレーティング法により銅層を形成する技術(特許文献6参照)等が提案されている。
さらに、(7)ポリイミドフィルム表面をプラズマ改質した上で、クロム、ニッケル、チタンから選ばれた一種以上の金属薄膜を乾式メッキにより形成し、その上で銅薄膜を乾式メッキにより形成する技術(特許文献7参照)等のように、ポリイミドフィルム表面に対して改質処理を行う技術や、(8)イミド化率50%以上のポリアミド酸フィルム表面に、有機チタン化合物の溶液を塗布するか、当該溶液に浸漬し、その後、ポリアミド酸をポリイミドに転化し、このフィルムを乾燥する技術(特許文献8参照)等のように、蒸着法以外の方法により金属中間層を形成する技術も提案されている。
次に、(ii)樹脂製の中間層(樹脂中間層)を設ける技術としては、(9)原料としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を使用したBPDA系ポリイミド製のフィルム基材の表面に、原料としてピロメリット酸二無水物(PMDA)を使用したPMDA系ポリイミドからなる中間層を形成し、その上に金属蒸着層および金属めっき層を順次形成する技術(特許文献9参照)等が提案されている。
次に、(iii)接着力向上のための処理を行う技術としては、(10)熱可塑性ポリイミドの表面に少なくとも1層の導体層を直接形成して得られるポリイミドと導体層の積層体を、加圧及び加熱処理して熱融着せしめ熱可塑性ポリイミドと導体層との密着強度を強化する技術(特許文献10参照)等が提案されている。
特開平08−330695号公報(公開日:平成8年(1996)12月13日) 特開平02−98994号公報(公開日:平成2年(1990)4月11日) 特開昭62−181488号公報(公開日:昭和62年(1987)8月8日) 特開昭62−62551号公報(公開日:昭和62年(1987)3月19日) 特公昭57−18357号公報(公告日:昭和57年(1982)4月16日、公開公報:特開昭55−34415号公報、公開日:昭和55年(1980)3月11日) 特公昭57−18356号公報(公告日:昭和57年(1982)4月16日、公開公報:特開昭55−34414号公報、公開日:昭和55年(1980)3月11日) 特開平11−92917号公報(公開日:平成11年(1999)4月6日) 特開平11−71474号公報(公開日:平成11年(1999)3月16日) 特開平6−124978号公報(公開日:平成6年(1994)5月6日) 特開2002−113812号公報(公開日:平成14年(2000)4月12日)
しかしながら、上述した接着力の不足を解消する各技術は、何れも、工程数の増加による煩雑化、処理条件の制限、設備条件の制限等があるため、ポリイミド/金属積層体およびこれを用いたプリント配線板を効率的に製造することができないという問題を有している。
具体的には、まず、(i)金属中間層を設ける技術においては、ポリイミドフィルムと銅層の接着力を高めるために物理的蒸着法により形成された金属中間層を設けている。そのため、物理的蒸着法による成膜工程が1工程増えることになり、物理的蒸着の条件や設備に制約を受けることになる。
また、この技術で得られる積層体は、ポリイミド/金属中間層/銅層の3層構造となっている。ここで、上記積層体においては、金属層をエッチングして所定のパターンを有する回路(パターン回路)を形成することによりプリント配線板が製造されることになる。しかしながら、上記積層体の金属層は、金属中間層と銅層の2層であるため、エッチング工程では、これら2種類の金属をエッチングする必要が生ずる。したがって、エッチング工程が2段階となり、工程数が増えるだけでなく、エッチングの処理条件や設備において制約を受けることになる。
また、(ii)樹脂中間層を設ける技術では、ポリイミドおよび金属以外の層を設けることになり、積層体として必要最小限の層の数が増加する。しかも、樹脂中間層を形成するときの形成時の処理条件や設備に制約を受けることになる。
さらに、(iii)接着力向上のための処理を行う技術では、層の形成以外に、加熱および加圧といった工程が必要となる。そのため、層形成以外の工程を行うことにより製造過程が煩雑化するとともに、これら加熱・加圧工程の処理条件や設備に制約を受けることになる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポリイミドフィルムと金属層との接着状態を強固なものとし、かつ、製造工程の煩雑化を回避または抑制することが可能なポリイミド/金属積層体およびその製造方法と、その利用の一例とを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、銅およびモリブデンの合金が、(1)耐熱性に優れていること、(2)ポリイミドフィルムに対して高い接着性を有すること、および(3)銅と同じ条件でエッチング可能であること、並びに(4)この合金を用いることによって信頼性の高い高密度プリント配線板を効率的に製造できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかるポリイミド/金属積層体は、上記の課題を解決するために、ポリイミド層と、当該ポリイミド層における少なくとも一方の表面に直接積層され、かつ、銅およびモリブデンの合金からなる合金層とを含むことを特徴としている。
上記ポリイミド/金属積層体は、さらに、上記合金層に積層される導電層が含まれてもよい。また、この導電層が銅層であることが好ましい。さらに、上記合金層が物理的蒸着法により形成されたものであることが好ましく、このときの物理的蒸着法としては、スパッタリング法が用いられることが好ましい。
また、上記ポリイミド/金属積層体においては、上記ポリイミド層が、単層の熱可塑性ポリイミドフィルムからなっていてもよいし、上記ポリイミド層が、ポリイミドフィルムを複数積層した積層ポリイミドフィルムとなっており、かつ、少なくとも熱可塑性ポリイミドフィルムが含まれているとともに、上記合金層は、上記ポリイミド層における熱可塑性ポリイミドフィルムが露出している表面に直接積層されていてもよい。このとき、上記積層ポリイミドフィルムには、非熱可塑性ポリイミドフィルムが含まれていることがより好ましい場合がある。
また、上記ポリイミド/金属積層体においては、上記ポリイミド層の一方の表面にのみ上記合金層が積層されているとともに、他方の表面には、接着剤層が積層されている構成であってもよい。
本発明にかかるポリイミド/金属積層体の製造方法は、ポリイミド層の少なくとも一方の表面に金属層を形成する金属層積層工程を含むポリイミド/金属積層体の製造方法において、上記金属層積層工程では、銅およびモリブデンの合金からなる合金層を物理的蒸着法により形成することを特徴としている。
上記製造方法においては、上記物理的蒸着法として、スパッタリング法が用いられることが好ましい。さらに、合金層の表面に導電層を形成する導電層積層工程を含むことが好ましく、当該導電層積層工程では、メッキにより銅層を形成することが好ましい。加えて、上記金属層積層工程が施されるポリイミド層の表面の材質が、熱可塑性ポリイミドとなっていることが好ましい場合がある。
また、上記製造方法においては、さらに、熱可塑性ポリイミドフィルムと非熱可塑性ポリイミドフィルムとを積層して積層ポリイミドフィルムを形成するポリイミド積層工程を含み、当該積層ポリイミドフィルムを上記ポリイミド層として用いてもよい。さらに、上記製造方法においては、上記金属層積層工程は、上記ポリイミド層の一方の表面のみに行われるとともに、当該ポリイミド層の他方の表面に接着剤層を形成する接着剤層積層工程を含んでいてもよい。
本発明にかかるプリント配線板は、上記のポリイミド/金属積層体を用いて製造されるものであり、単層構造のものであってもよいし、複数のプリント配線板が積層された多層構造であってもよい。特に、多層構造を有している場合、積層されるプリント配線板の少なくとも1枚に、本発明にかかる単層構造のプリント配線板が用いられればよい。
また、多層構造のプリント配線板を製造する場合には、単層構造または多層構造に関わらず上記プリント配線板を複数枚重ねて一括して貼り合わせることにより多層化する工程を含み、上記プリント配線板の少なくとも1枚に、本発明にかかるポリイミド/金属積層体を用いて製造されるプリント配線板が用いられればよい。あるいは、上記プリント配線板の回路形成面に、本発明にかかるポリイミド/金属積層体を積層し、当該ポリイミド/金属積層体の金属層に回路を形成する工程を繰り返してもよい。なお、上記プリント配線板またはポリイミド/金属積層体を積層するときに、シート状の接着剤を用いることが好ましい場合がある。
以上のように、銅およびモリブデンの合金(銅モリブデン合金)を用いれば、得られるポリイミド/金属積層体において、ポリイミド層と金属層とを強固に接着することができる。しかも、銅モリブデン合金は、銅と同じ条件でエッチングが可能であるため、合金層に銅層を積層した場合であっても、給電層形成や回路の形成をそれぞれ1段階で完了することができる。それゆえ、プリント配線板の製造過程の煩雑化を回避することができる。
その結果、積層体およびプリント配線板において、ポリイミド層と金属層との密着性を優れたものとすることができるとともに、金属層を薄くして高密度回路に適応できるようにすることが可能となる。したがって、回路の細線化に適し、かつ、信頼性の高い高密度のプリント配線板を効率よく製造することができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について図1ないし図5に基づいて以下に詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
本実施の形態では、本発明にかかるポリイミド/金属積層体、本発明にかかるポリイミド/金属積層体の製造方法、および本発明にかかるプリント配線板およびその製造方法(本発明の利用の代表例)の順で、本発明を詳細に説明する。
(I)本発明にかかるポリイミド/金属積層体
本発明にかかるポリイミド/金属積層体は、図1(a)に示すように、ポリイミド層10(図中“PI”)と銅モリブデン合金からなる合金層20(図中“Cu−Mo”)とを積層した2層構造を含むものである。また、図1(b)に示すように、合金層20に導電層としての銅層30(図中“Cu”)が積層された3層構造を含むものであってもよい。
(I−1)ポリイミド層
<ポリイミド層として用いられるポリイミドフィルム>
上記ポリイミド層は、単独のポリイミドフィルムとなっていてもよいし、2枚以上のポリイミドフィルムが積層されてなる積層ポリイミドフィルムとなっていてもよい。また、ポリイミドの種類も特に限定されるものではなく、非熱可塑性ポリイミドおよび熱可塑性ポリイミドの何れであってもよい。具体的には、上記ポリイミド層としては、(1)熱可塑性ポリイミドフィルム、(2)非熱可塑性ポリイミドフィルム、(3)熱可塑性ポリイミドフィルムおよび非熱可塑性ポリイミドフィルムをそれぞれ1層以上積層した積層ポリイミドフィルム等を挙げることができる。
特に、本発明を用いて製造されるプリント配線板がフレキシブルプリント配線板(FPC)である場合には、ポリイミド層が(3)積層ポリイミドフィルムとなっていることが好ましい。これにより、FPCの強度を向上させることが可能となる。一方、本発明を用いて製造されるプリント配線板が多層プリント配線板(説明の便宜上、MLBと称する)である場合には、ポリイミド層が(1)熱可塑性ポリイミドフィルムか、または(3)複合層であることが好ましい。これにより、デスミア工程や無電解メッキ工程に対する耐性を優れたものとすることができる。また、(3)積層ポリイミドフィルムの場合には、MLBの強度を向上させることが可能となる。
上記ポリイミド層においては、合金層が積層される側の表面は、熱可塑性ポリイミドからなっていることがより好ましい。これにより合金層とポリイミド層との密着性をより向上させることができる。それゆえ、上記FPCおよびMLBの何れを製造する場合でも、(1)熱可塑性ポリイミドフィルムまたは(3)積層ポリイミドフィルムがより好ましく用いられる。
さらに、製造されるプリント配線板の種類や用途に応じて、(4)ポリイミド以外の材料からなるフィルムを含む複合積層フィルムをポリイミド層として用いてもよい。(4)複合積層フィルムのコアフィルムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、金属箔、金属板、ガラスクロスに樹脂を含浸させた基板(例えばガラスエポキシ基板)等を挙げることができる。このようなコアフィルムの少なくとも一方の表面(好ましくは両面)に熱可塑性ポリイミドフィルムを積層して(4)複合積層フィルムを形成すれば、合金層とポリイミド層との密着性をより一層優れたものにできるとともに、製造されるプリント配線板における耐熱性や熱膨脹特性等を優れたものとすることができる。
なお、本発明では、金属層として後述する銅モリブデン合金からなる合金層が用いられるため、合金層とポリイミド層との密着性は十分なものとなっている。したがって、ポリイミド層としては、(2)非熱可塑性ポリイミドフィルムも好適に用いることができる。すなわち、上記(3)積層ポリイミドフィルムや(4)複合積層フィルムには、非熱可塑性ポリイミドフィルムが含まれていてもよい。特に、プリント配線板の基板に好ましい剛性や耐久性を与える目的から、非熱可塑性ポリイミドフィルムが含まれていることが好ましい。
したがって、本発明で用いられるポリイミド層の具体例を図示すると、図2(a)に示すように、熱可塑性ポリイミドフィルム11(図中“THERMOPLASTIC PI”)単層によりポリイミド層10が形成されている構成、図2(b)に示すように、非熱可塑性ポリイミドフィルム12(図中“NON-THERMOPLASTIC PI”)の片面に熱可塑性ポリイミドフィルム11が積層された2層の積層ポリイミドフィルムによりポリイミド層10が形成されている構成、図2(c)に示すように、非熱可塑性ポリイミドフィルム12の両面に熱可塑性ポリイミドフィルム11が積層された3層の積層ポリイミドフィルムによりポリイミド層10が形成されている構成、または、図2(d)に示すように、コアフィルム13(図中“CORE”)の両面に熱可塑性ポリイミドフィルム11が積層された3層の複合フィルムによりポリイミド層10が形成されている構成等を挙げることができる。
なお、上記(1)熱可塑性ポリイミドフィルム、(2)非熱可塑性ポリイミドフィルム、(3)積層ポリイミドフィルムの何れにおいても、その形態は特に限定されるものではなく、公知の形態のものを用いることができる。
ここで、ポリイミド層として用いられるポリイミドフィルム(上記(3)積層ポリイミドフィルムや(4)複合積層フィルムも含む)においては、その平滑性が、表面の10点平均粗さ(以下、Rzと称する)で2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。ポリイミド層の表面が平滑であるということは、ポリイミド層の表面に凹凸が少ないことになる。ポリイミド層の表面に凹凸があると、プリント配線板の製造過程で行われるエッチング工程において、エッチング残りが生じやすくなるが、ポリイミドフィルムのRzが上記の範囲内であれば、このような問題を有効に回避または抑制することができるため、得られるポリイミド/金属積層体を、高密度回路を形成するのに好適なものとすることができる。
上記Rzは、JIS B0601等の表面形状に関する規格に規定されており、その測定には、JIS B0651の触針式表面粗さ計や、B0652の光波干渉式表面粗さ計を用いることができる。本発明では、後述する実施例に示すように、光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて高分子フィルムの10点平均粗さを測定している。
<非熱可塑性ポリイミドフィルム>
本発明で用いられる非熱可塑性ポリイミドフィルムは、公知の方法で製造することができる。具体的には、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)を支持体に流延、塗布し、イミド化することで得ることができる。
上記ポリアミド酸としては、基本的には、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。一般的には、芳香族テトラカルボン酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種とを、実質的に等モル量となるように有機溶媒中に溶解させて、制御された温度条件下で、上記酸二無水物およびジアミンの重合が完了するまで攪拌する。これによって、ポリアミド酸の有機溶媒溶液を得ることができる。
ポリアミド酸を合成するために用いられる上記有機溶媒としては、アミド系溶媒が好ましく用いられる。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができるが特に限定されるものではない。これら有機溶媒は単独で用いてもよいし、任意の割合で適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。上記の中でも、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましく用いられる。
上記非熱可塑性ポリイミドの合成に用いられる酸二無水物としては、上記のように、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく用いられる。具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、p−フェニレンジフタル酸無水物等や、これらの類似物を挙げることができる。
上記芳香族テトラカルボン酸の中でも、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)がより好ましく用いられる。これら芳香族テトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、任意の割合で適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。
上記非熱可塑性ポリイミドの合成に用いられるジアミンは、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド等や、これらの類似物を挙げることができる。
上記ジアミンの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリドおよびp−フェニレンジアミンがより好ましく用いられる。これらジアミンは単独で用いてもよいし、任意の割合で適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。
上記非熱可塑性ポリイミドの合成に好ましい酸二無水物およびジアミン類の組み合わせは、例えば、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの組み合わせ;ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびp−フェニレンジアミンの組み合わせ;ピロメリット酸二無水物および/またはp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびp−フェニレンジアミンの組み合わせ;ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、および/または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよびp−フェニレンジアミンの組み合わせ;等を挙げることができる。
これらのモノマーを組み合わせて得られる非熱可塑性ポリイミドは、適度な弾性率、寸法安定性、低吸水率等の優れた特性を発現することができる。それゆえ、本発明におけるポリイミド層として好適に用いることができる。
上記非熱可塑性ポリイミドは、前駆体であるポリアミド酸を支持体上に流延または塗布し、イミド化を行い、さらに乾燥することにより非熱可塑性ポリイミドフィルムとして製造することができる。ここで、上記非熱可塑性ポリイミドフィルムにおいては、得られるポリイミド/金属積層体の用途や構造等に応じて非熱可塑性ポリイミド以外の成分を含んでいても良い。具体的には、例えば、無機物または有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤、酸化防止剤を挙げることができるが特に限定されるものではない。
また、上記非熱可塑性ポリイミドフィルムにおいては、必要に応じてフィルムの少なくとも一方の表面に対して物理的および/または化学的表面処理を行ってもよい。物理的表面処理としては、具体的には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、イオンガン処理等を挙げることができる。また、化学的表面処理としては、具体的には、例えば、プライマー処理等を挙げることができる。これら表面処理は公知の方法を用いることができ、その詳細な条件は特に限定されるものではない。このような表面処理を行うことによって、得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムの表面に対して、さらに良好な特性を付与し得る事ができる。
得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚み(フィルム厚)は特に限定されるものではないが、本発明にかかるポリイミド/金属積層体におけるポリイミド層として用いる場合には、2〜125μmの範囲内であることが好ましく、5〜75μmの範囲内であることがより好ましい。フィルム厚が上記範囲より薄ければ、得られるポリイミド/金属積層体の剛性が不十分となるだけでなく、非熱可塑性ポリイミドフィルムそのものの取り扱い性が低下する。一方、フィルム厚が上記範囲よりも厚ければ、本発明にかかるポリイミド/金属積層体を用いてプリント配線板を製造するときに、インピーダンス制御の点から回路幅を広くする必要が生じる。そのため、プリント配線板の小型化、高密度化の要請に逆行する。
<イミド化>
ここで、上記ポリアミド酸をイミド化する方法としては、熱キュア法(熱的イミド化法)または化学キュア法(化学的イミド化法)を挙げることができる。これらイミド化のうち、化学キュア法がより好ましく用いられ、さらには、熱キュア法と化学キュア法とを併用することがより好ましい。
化学キュア法は、ポリアミド酸の有機溶媒溶液に、少なくとも化学的転化剤(脱水剤)を作用させ、好ましくは触媒を作用させる方法である。この方法を用いることで、得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムの靭性、破断強度、及び生産性を優れたものとすることができる。
上記化学的転化剤(脱水剤、脱水閉環剤)としては、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物等を挙げることができる。その中でも、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族無水物をより好ましく用いることができる。これら化学的転化剤は単独で用いてもよいし、任意の割合で適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。
また、これら化学的転化剤の添加量(使用量)は特に限定されるものではなく、非熱可塑性ポリイミドの製造条件やポリアミド酸の種類等に応じて十分なイミド化が可能な量を添加すればよい。具体的には、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸部位のモル数に対してモル比で1〜10倍量を添加することが好ましく、1〜7倍量を添加することがより好ましく、1〜5倍量を添加することがさらに好ましい。化学的転化剤の添加量が上記の範囲より少ないと、イミド化が効果的に進行しない。一方、添加量が上記の範囲より多いとイミド化が早くなり取り扱いが困難となる。
また、イミド化を効果的に行うためには、上記化学的転化剤に加えて触媒を用いることが好ましい。この触媒は、化学的転化剤と同時に併用して用いる。この触媒としては、例えば、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等を挙げることができる。その中でも、キノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の複素環式第三級アミンをより好ましく用いることができる。
これらの触媒の添加量(使用量)は、非熱可塑性ポリイミドの製造条件やポリアミド酸の種類、化学的添加剤の種類等に応じて十分なイミド化が可能な量を添加すればよい。具体的には、化学的転化剤のモル数に対してモル比で1/20〜10倍量を添加することが好ましく、1/15〜5倍量を添加することがより好ましく、1/10〜2倍量添加することがさらに好ましい。触媒の添加量が上記の範囲より少ないと、イミド化が効果的に進行しない。一方、添加量が上記の範囲より多いとイミド化が早くなり取り扱いが困難となる。
また、熱キュア法は、上記化学的転化剤や触媒等を用いることなく、加熱によってのみイミド化を促進させる。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、得ようとするポリイミドフィルムの厚さ等の条件に応じて変動するものであり、特に限定されるものではない。
なお、上記化学キュア法および/または熱キュア法においては、そのイミド化の詳細な反応条件は、ポリアミド酸の種類、得られるポリイミドの種類や製造方法、これら方法を併用するか否か等の諸条件により適宜設定されるものであり、特に限定されるものではない。
<熱可塑性ポリイミドフィルム>
本発明で用いられる熱可塑性ポリイミドフィルムは、上記非熱可塑性ポリイミドフィルムと同様に、ポリアミド酸(ポリアミック酸)を支持体に流延、塗布し、イミド化することで得ることができる。なお、ポリアミド酸の合成の方法および条件は、上記非熱可塑性ポリイミドフィルムと同様であるため、その説明は省略する。
上記熱可塑性ポリイミドの合成に用いられる酸二無水物は、非熱可塑性ポリイミドフィルムと同じく、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく用いられる。具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、p−フェニレンジフタル酸無水物等や、これらの類似物を挙げることができる。これら芳香族テトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、任意の割合で適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。
上記熱可塑性ポリイミドの合成に用いられるジアミンは、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド等や、これらの類似物を挙げることができる。これらジアミンは単独で用いてもよいし、任意の割合で適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。
本発明において熱可塑性ポリイミドを製造する場合には、上述した酸二無水物の中でも、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸無水物、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)が特に好ましく用いられる。
また、上述したジアミンの中でも、1,3−ジアミノベンゼン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンが特に好ましく用いられる。
これら酸二無水物およびジアミンは単独で用いてもよいし、任意の割合で適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。これらのモノマーは工業的に入手可能であり、また得られる熱可塑性ポリイミドにおいて(1)吸水率が低くなる、(2)誘電率が小さい、(3)誘電正接が小さい等の優れた特性を発現させることができるとともに、本発明において重要となる(4)接着強度を向上させるという作用効果を発現することができるため特に好ましく用いられる。
上記熱可塑性ポリイミドの合成に好ましい酸二無水物およびジアミン類の組み合わせは、例えば、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンとの組み合わせ;3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはエチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンとの組み合わせ;p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの組み合わせ;4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)と1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンとの組み合わせ;等を挙げることができる。
なお、上記モノマーを用いて得られるポリアミド酸をイミド化することにより、本発明で好適に用いられる熱可塑性ポリイミドを製造することができる。このときのイミド化は、前記非熱可塑性ポリイミドのイミド化(<イミド化>の項)にて説明した化学キュア法および/または熱キュア法を用いることができる。
また、ポリアミド酸を減圧下で過熱してイミド化する方法も可能である。この方法で得られたポリイミドを溶剤に再度溶解して乾燥させフィルム化することで熱可塑性ポリイミドフィルムを得ることができる。このイミド化法(便宜上、真空イミド化法と称する)によれば、イミド化によって生成する水を積極的に系外に除去することができるので、ポリアミド酸の加水分解を抑制することが可能になり、より高分子量のポリイミドを得ることができる。また、この真空イミド化法によれば、原料(モノマー)の酸二無水物中に不純物として存在する片側または両側開環物が最閉環するので、分子量を高いものとする場合、特に好ましい効果を得ることができる。このように分子量がより高いものとなれば、十分な強度を有する熱可塑性ポリイミドフィルムが得られることになる。
上記真空イミド化法における加熱条件は80〜400℃の範囲内であることが好ましいが、100℃以上がより好ましく、120℃以上がより好ましい。100℃以上であると、イミド化が効率的に行われるだけでなく副産物としての水を効率よく除去することができる。また、加熱時の最高温度は目的とする熱可塑性ポリイミドの種類に応じて設定すればよい。すなわち、最高温度は、得られる熱可塑性ポリイミドの熱分解温度以下であることが好ましく、通常のイミド化の完結温度である150〜350℃の範囲内程度が適用される。
上記真空イミド化法における減圧条件は、より圧力を小さくするような条件が好ましいが、具体的には、0.9×105 Pa以下であることが好ましく、0.5×105 Pa以下であることがより好ましく、0.1×105 Pa以下であることが特に好ましい。これよりも圧力が大きいと効率的に水を除去することができない場合がある。
上記熱可塑性ポリイミドは、前駆体であるポリアミド酸を支持体上に流延または塗布し、イミド化を行い、さらに乾燥することにより熱可塑性ポリイミドフィルムとして製造することができる。ここで、上記熱可塑性ポリイミドフィルムにおいては、得られるポリイミド/金属積層体の用途や構造等に応じて熱可塑性ポリイミド以外の成分を含んでいても良い。具体的には、例えば、無機物または有機物のフィラー、有機リン化合物等の可塑剤、酸化防止剤を挙げることができるが特に限定されるものではない。さらには、必要に応じて、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂と混合してもよい。その混合比率や混合条件等については特に限定されるものではない。
得られる熱可塑性ポリイミドフィルムの厚み(フィルム厚)は特に限定されるものではない。本発明では、合金層と接着する表面が熱可塑性ポリイミドフィルムとなっていることが好ましいため、十分な接着力を発揮できる程度のフィルム厚を有していればよい。なお、上記熱可塑性ポリイミドフィルムは、前記積層ポリイミドフィルムや複合積層フィルムの表面として好適に用いることができるが、この場合のフィルム厚については、次の<積層ポリイミドフィルム>の項で説明する。
<積層ポリイミドフィルム>
本発明にかかるポリイミド/金属積層体では、ポリイミド層として、積層ポリイミドフィルムを用いることが好ましく、このとき、合金層の積層される表面が熱可塑性ポリイミドフィルムであることが好ましい。ここで、積層ポリイミドフィルムを形成する方法は特に限定されるものではないが、代表的には、(1)非熱可塑性ポリイミドフィルムを支持体として用いる方法と、(2)非熱可塑性ポリイミドフィルムと熱可塑性ポリイミドフィルムとを貼り合わせる方法とを挙げることができる。
上記(1)の方法では、非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面または両面に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延または塗布した後、当該ポリアミド酸をイミド化および乾燥する。また、熱可塑性ポリイミドが溶媒可溶性であれば、熱可塑性ポリイミド溶液を調製し、非熱可塑性ポリイミドフィルムの表面に流延または塗布して乾燥してもよい。このときの流延または塗布方法や条件、あるいは熱可塑性ポリイミド溶液の調製方法や条件等については、特に限定されるものではなく、公知の方法を好適に用いることができる。
次に、上記(2)の方法では、先に、熱可塑性ポリイミドフィルムを製造し、非熱可塑性ポリイミドフィルムに熱融着させる。熱融着の方法や条件については特に限定されるものではなく、公知の方法を好適に用いることができる。また、熱融着時に公知の条件で加圧してもよい。
ここで、非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、上記熱可塑性ポリイミドフィルムを形成する場合、当該熱可塑性ポリイミドフィルムのフィルム厚は、0.01〜10μmの範囲内である事が望ましく、0.1〜5μmの範囲内である事がより好ましい。熱可塑性ポリイミドフィルムのフィルム厚が上記範囲より薄いと、接着性の発現効果が弱くなり、本発明の効果が期待できなくなってしまう。
一方、フィルム厚が上記範囲より厚すぎると、得られるプリント配線板において、基板の耐熱性や熱膨脹特性などの物性が熱可塑性ポリイミドの物性によって支配されることになる。したがって、非熱可塑性ポリイミドフィルムの物性を生かし、プリント配線板における耐熱性や線膨張特性などの優れた特性を十分に発現させるためには、熱可塑性ポリイミドフィルムのフィルム厚は非熱可塑性ポリイミドフィルムより薄いことが好ましい。具体的には、フィルム厚の比で示すと、熱可塑性ポリイミドフィルムのフィルム厚は非熱可塑性ポリイミドフィルムのフィルム厚の1/2以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましい。
<ポリイミド層全体の厚み>
本発明において、ポリイミド層全体の厚み(ポリイミド層厚)としては特に限定されるものではなく、得られるポリイミド/金属積層体の構成や、これを用いて製造されるプリント配線板の用途等に応じて適宜設定すればよい。
例えば、ポリイミド層として上記積層ポリイミドフィルムを用いる場合であって、かつ、非熱可塑性ポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミドフィルムを積層する場合には、非熱可塑性ポリイミドフィルムおよび熱可塑性ポリイミドフィルムの好ましいフィルム厚から、ポリイミド層厚は、2〜145μmの範囲内が好ましく、5〜95μmの範囲内が好ましいことになる。
なお、ポリイミド層の種類に関わらず、ポリイミド層厚としては、一般的には、5〜225μmの範囲内が好ましく、10〜50μmの範囲内がより好ましい。この範囲内であれば、得られるプリント配線板の厚みの増大を回避することができる。一方、上記範囲内から外れると、絶縁性基板として有効に機能しなくなることがある。
(I−2)金属層
<合金層>
本発明における合金層は、上記ポリイミド層における少なくとも一方の表面に直接積層され、銅モリブデン合金からなっている。
上記銅モリブデン合金における銅(Cu)およびモリブデン(Mo)の混合比率としては、重量比でCu:Mo=90:10〜99.9:0.1の範囲内であることが好ましく、Cu:Mo=98:2〜99.5:0.5の範囲内であることがより好ましい。モリブデンの混合比率が上記範囲よりも低いと合金層として上記ポリイミド層に良好に接着するという効果が小さくなる。一方、モリブデンの混合比率が上記範囲よりも高いと、エッチング時にモリブデンがエッチング残渣となる可能性がある。
本発明において用いられる合金層が、上記銅モリブデン合金であれば、空気中で400℃1時間の加熱によっても変色や抵抗値の変化を起こさないため、優れた耐熱性を発揮することができる。また、銅およびモリブデンの混合比率が上記範囲内であれば、銅と同様の条件でエッチングすることができるという利点もある。なお、本発明における銅モリブデンの合金には、合金層としての特性を改善または向上するために、銅およびモリブデン以外の第3の金属成分を配合してもよい。
上記合金層の厚み(合金層厚)は、特に限定されるものではないが、プリント配線板を製造する用途から、5〜500nmの範囲内であることが好ましく、10〜300nmの範囲内であることがより好ましい。合金層厚が上記範囲よりも薄いと均一な合金層が形成されず、また密着性も不十分となる。また、上記範囲よりも厚いと、合金層形成時の生産性が低下するだけでなく、例えば、セミアディティブ法による回路形成時にフラッシュエッチング工程が困難になる等の問題が生じる。
上記合金層の形成方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を好適に用いることができる。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的蒸着法、CVD等の化学的蒸着法等を挙げることができる。これらの中でも、物理的蒸着法が好ましく、特に、設備の簡便さ、生産性、得られる合金層とポリイミド層との接着性等から総合的に判断するとスパッタリング法がより好ましい。
上記スパッタリング法は、予め銅モリブデン合金のターゲットを準備しておき、公知のスパッタリング装置を用いてスパッタを行う。このとき用いられるスパッタリング装置としては、DCマグネトロンスパッタ、RFスパッタ、あるいはこれらに種々の改善を加えたものを好適に用いることができる。これらのスパッタリング装置は、合金層を形成する際の要求に応じて適切なものを選択すればよい。例えば、効率よくスパッタを行うためには、DCマグネトロンスパッタが好ましく用いられる。一方、薄膜中のスパッタガスの混入を防ぐ等の目的から高真空中でスパッタを行う場合には、RFスパッタが好ましく用いられる。
上記DCマグネトロンスパッタを例に挙げてスパッタリング法について詳しく説明する。まず、ポリイミド層を基板として真空チャンバー内にセットし、真空引きをする。通常、回転ポンプによる粗引きと拡散ポンプまたはクライオポンプ等による引きとを組み合わせて、一般的には、6×10〜4Pa以下まで真空引きする。次いでスパッタガスを導入しチャンバー内を0.1Pa〜10Pa、好ましくは0.1Pa〜1Paの圧力とし、銅モリブデン合金のターゲットにDC電圧を印可してプラズマ放電を起こさせる。このとき、ターゲット上に磁場を形成し、生成したプラズマを磁場内に閉じこめることでプラズマ粒子のターゲットへのスパッタ効率を高める。ポリイミド層にプラズマやスパッタの影響が無いようにしながら、プラズマが生成した状態で数分間から数時間保持してターゲットの表面酸化層を除去する(プレスパッタ)。プレスパッタの終了後、シャッターを開けるなどしてポリイミド層にスパッタを行う。
スパッタ時の放電パワーは、好ましくは100〜1000Wの範囲内である。また、スパッタを行うサンプルの形状に従ってバッチ方式のスパッタやロールスパッタを適用することができる。導入されるスパッタガスとしては、通常アルゴンなどの不活性ガスを用いるが、少量の酸素を含んだ混合ガスやその他のガスを用いることもできる。
なお、合金層を良好に形成する目的から、ポリイミド層の表面に対して種々の表面処理(前処理)を行ってもよい。この表面処理としては、具体的には、プラズマ処理、ボンバード処理、イオンガン処理、コロナ処理、火炎処理、電子線照射、紫外線照射、オゾン処理等の公知の処理方法を挙げることができる。これら表面処理は単独で行ってもよいし、複数組み合わせて行ってもよい。また、合金層を形成する場合、必要に応じて、ポリイミド層を適宜加熱または冷却することも可能である。このときの加熱または冷却の温度範囲も特に限定されるものではない。
ここで、ポリイミド層に対する上記合金層の積層に際しては、ポリイミド層における合金層と接触する側の表面が熱可塑性ポリイミドフィルムであることが好ましい。熱可塑性ポリイミドフィルムに合金層を積層すると、ポリイミド層と合金層との接着状態をより良好なものとすることができる。
特に本発明では、ポリイミド層が、ポリイミドフィルムを複数積層した複合層となっていることが好ましいが、この複合層には、少なくとも熱可塑性ポリイミドフィルムが含まれており、かつ、当該熱可塑性ポリイミドフィルムが表面に露出していることがより好ましい。そして、上記合金層は、上記ポリイミド層における熱可塑性ポリイミドフィルムが露出している表面に直接積層されていることが好ましい。
例えば、図3に示すように、ポリイミド層10が図2(b)に示す熱可塑性ポリイミドフィルム11および非熱可塑性ポリイミドフィルム12の2層構造である場合、熱可塑性ポリイミドフィルム11側に合金層20を積層すればよい。
<導電層>
本発明では、上記合金層に導電層を積層してもよい。換言すれば、本発明にかかるポリイミド/金属積層体においては、金属層として上記合金層が少なくとも含まれていればよいが、さらに、上記合金層に積層される導電層が含まれていてもよい。上記合金層に導電層を積層することで、エッチング等によりそのまま回路を形成することが可能となり、本発明にかかるポリイミド/金属積層体からプリント配線板を製造する場合の効率性をより優れたものとすることができる。
導電層の材料は特に限定されるものではなく、導電性を有する金属を好適に用いることができる。具体的には、アルミニウム、銅、これらの合金が挙げられ、中でも銅が最も好ましい。これにより本発明にかかるポリイミド/金属積層体から製造されるプリント配線板の信頼性を十分なものとすることができる。
導電層の形成方法は特に限定されるものではないが、銅層の場合、電気メッキによる方法が好ましく用いられる。電気メッキの詳細な条件は特に限定されるものではなく、公知の条件を好適に用いることができる。電気メッキにより得られる銅層の厚み(銅層厚)は、1〜100μmの範囲内が好ましく、5〜70μmの範囲内がより好ましい。銅層厚が上記範囲より薄いと、金属層を十分に厚くしたことにならない。一方、銅層厚が上記範囲を超えると、金属層が厚くなりすぎることになる。
したがって、本発明では、銅モリブデン合金からなる合金層を物理的蒸着法で形成し、銅からなる導電層をメッキ法により形成することが特に好ましい。これにより、物理的蒸着法による成膜工程の増加を回避することができるため、物理的蒸着の条件や設備に制約を受けることがない。また、銅モリブデン合金は銅と同じ条件でエッチングすることが可能であるため、回路形成のためのエッチング工程を事実上1段階とすることができる。それゆえ、ポリイミド/金属積層体およびこれを用いたプリント配線板を効率的に製造することが可能となる。
このように、本発明にかかるポリイミド/金属積層体は、図1(a)に示すように、ポリイミド層10と合金層20を積層した構成であってもよい。そのバリエーションの具体例を図示すると、例えば、図4(a)に示すように、ポリイミド層10の両面に合金層20が積層された3層の構造、図4(b)に示すように、ポリイミド層10の両面に合金層20が積層され、さらにこの合金層21それぞれの上に銅層30が積層された5層の構造等を挙げることができる。
(I−3)その他の層
<接着剤層>
本発明にかかるポリイミド/金属積層体においては、上記ポリイミド層および金属層(少なくとも合金層を含む)以外にその他の層が含まれていてもよい。その他の層としては、特に限定されるものではないが、例えば接着剤層を挙げることができる。この接着剤層は、ポリイミド層の一方の表面にのみ合金層が積層されている場合に、他方の表面に積層されるものである。
用いられる接着剤は特に限定されるものではなく、接着性を発揮できる公知の樹脂を含むものを用いることができる。具体的には、(1)熱融着型の接着剤と(2)硬化型の接着剤とが挙げられる。
上記(1)熱融着型の接着剤は、熱可塑性樹脂を含んでおり、この熱可塑性樹脂の加熱による融解を接着に利用するものである。用いられる熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂等が挙げられる。これら熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、任意の割合で適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。
上記(2)硬化型の接着剤は、熱硬化性樹脂を含んでおり、この熱硬化性樹脂の硬化反応を接着に利用するものである。用いられる熱硬化性樹脂としては、具体的には、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアナート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらを単独または適宜組み合わせて用いることができる。これら熱硬化性樹脂は単独で用いてもよいし、任意の割合で適宜組み合わせた混合物として用いてもよい。
また、上記熱硬化性樹脂以外に他の熱硬化成分を加えてもよい。具体的には、例えば、高分子鎖の側鎖または末端に反応性基を有する熱硬化性樹脂、すなわち側鎖反応性基型熱硬化性樹脂を挙げることができる。上記反応性基としては、エポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、メタクリル基、アクリル基、カルボキシ基、水酸基、シアノ基等を挙げることができる。また、樹脂の具体的な種類としては、ポリイミドを挙げることができる。
上記側鎖反応性基型熱硬化性樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、樹脂の種類等に応じて公知の方法を用いることができる。樹脂がポリイミドの場合を例に挙げると、具体的な製造方法例としては、(1)反応性基を有するジアミンおよび酸二無水物をモノマー成分として用い、前述した熱可塑性ポリイミドと同様の方法で製造する方法、(2)前述した熱可塑性ポリイミドと同様の方法により、水酸基、カルボキシ基、芳香族ハロゲン基等を有する溶媒可溶性ポリイミドを製造した後、上記反応性基を化学反応により付与する方法等を挙げることができる。
さらに、必要に応じて上記各種樹脂以外の成分を適宜加えることもできる。具体的には、例えば、有機過酸化物等のラジカル反応開始剤、反応促進剤(硬化反応の効率化のため);トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の架橋助剤(架橋反応の効率化のため);酸二無水物系、アミン系、イミダゾール系等の一般に用いられるエポキシ硬化剤(耐熱性、接着性等の向上のため);種々のカップリング剤;等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
また、加熱接着時の接着剤の流れ性を制御する目的で、上記熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を混合することも可能である。この場合、各樹脂の混合比率としては、熱可塑性樹脂100重量部に対して、熱硬化性樹脂を1〜10000重量部の範囲内で加えることが好ましく、5〜2000重量部の範囲内で加えることがより好ましい。熱硬化性樹脂の混合比率が上記範囲より少ないと、流動性が高すぎて接着剤の流れ性を十分に制御できなくなる場合がある。一方、熱硬化性樹脂の混合比率が上記範囲よりも多いと、接着剤が十分流動できなくなる。
本発明にかかるポリイミド/金属積層体に含まれる接着剤層として特に好ましい接着剤の一例を挙げると、(1)熱可塑性ポリイミド樹脂を必須成分とし、これに(2)熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂とを混合した樹脂組成物を挙げることができる。上記(1)・(2)の樹脂を含むことにより、得られる接着剤層において、接着性、加工性、耐熱性等の諸特性のバランスを好適なものとすることができる。
上記接着剤層を形成する方法は特に限定されるものではないが、例えば、(1)接着剤を溶液として調製し、これをポリイミド層の表面に塗布、乾燥し、半硬化状態に保持する方法、(2)先に半硬化状態の接着剤シートを作製しておき、これをポリイミド層に貼り付ける方法等を挙げることができる。
<保護層>
本発明にかかるポリイミド/金属積層体においては、その用途に応じて上記接着剤層以外の層が含まれていてもよい。具体的には、例えば、接着剤層を保護する保護層を挙げることができる。この保護層は、接着面にゴミが付着したり、接着面が空気中の酸素と接触して劣化したりすることを回避して、接着面を保護することができる。この保護層は使用時には剥離するため、保護層と接着剤層との接合面は、保管時には適度な密着性を有するとともに、使用時の剥離しやすさを兼ね備えていることが好ましい。
上記保護層としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム(PPSフィルム)、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、ポリエチレンビニルアルコールフィルム(EVAフィルム)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、剥離性を向上させるために、保護層における接着剤層と接合する側の表面は、従来公知の方法で表面処理してもよい。
上記保護層の厚みは特に限定されるものではないが、5〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜30μmの範囲内であることがより好ましい。厚みが小さすぎるとシワになりやすいため、保護層そのものの取扱性が低下したり、保護層を接着剤層に積層する際の操作性が低下したりする傾向がある。一方、厚みが大きすぎると、この保護層は最終的に廃棄するものであるため、無駄が大きくなるという問題がある。
上記保護層を接着剤層に積層する際の具体的な積層方法は特に限定されるものではないが、通常は、接着剤層に保護層となるフィルムを貼り合わせて、ラミネート処理すればよい。このときのラミネートの条件は特に限定されるものではない。
このように、本発明にかかるポリイミド/金属積層体には、ポリイミド層、合金層、銅層以外にその他の層が含まれていてもよい。その他の層として接着剤層を挙げてバリエーションの具体例を図示すると、例えば、図5(a)に示すように、ポリイミド層10の一方の表面に合金層20が積層され、他方の表面に接着剤層(図中“ADHESIVE”)40が積層された3層の構造、または、図5(b)に示すように、ポリイミド層10の一方の表面に合金層20が積層され、さらにこの合金層20の上に銅層30が積層され、他方の表面に接着剤層40が積層された4層の構造等を挙げることができる。さらに、図5(c)に示すように、銅層30/合金層20/ポリイミド層10/接着剤層40の順で積層された4層の構造(図5(b)に示す構造)において、さらに接着剤層40を保護するために接着剤層40上に保護層(図中“COVER”)50を積層する5層構造等を挙げることができる。
(II)本発明にかかるポリイミド/金属積層体の製造方法
本発明にかかるポリイミド/金属積層体の製造方法は、ポリイミド層の少なくとも一方の表面に金属層を形成する金属層積層工程(合金層積層工程)を含んでおり、金属層積層工程では、銅モリブデン合金からなる合金層を物理的蒸着法、好ましくはスパッタリング法により形成する方法である。ここで、上記金属層積層工程が施されるポリイミド層の表面の材質は、熱可塑性ポリイミドとなっていることが好ましい。
さらに、上述したように、本発明にかかるポリイミド/金属積層体は、合金層の上に導電層、特に銅層が積層されていてもよいので、本発明にかかる製造方法においては、さらに、合金層の表面に導電層を形成する導電層積層工程を含んでいることが好ましい。導電層が銅層の場合には、前述したように、導電層積層工程では、メッキにより銅層を形成すればよい。
また、本発明にかかるポリイミド/金属積層体は、上述したように、接着剤層が含まれていてもよい。それゆえ、本発明にかかる製造方法においては、ポリイミド層の表面に接着剤層積層工程を含んでいてもよい。このとき、上記金属層積層工程を、上記ポリイミド層の一方の表面のみに行う。また、接着剤層積層工程は、上記ポリイミド層の他方の表面に対して行われる。加えて、接着剤層を保護する保護層を積層する保護層積層工程等、その他の層を積層する工程が含まれていてもよい。
さらに、上述したように、ポリイミド層が複合層となっていてもよいので、本発明にかかる製造方法においては、熱可塑性ポリイミドフィルムと非熱可塑性ポリイミドフィルムとを積層するポリイミド積層工程も含まれていてもよい。このとき、複合層としてのポリイミド層の構造により、熱可塑性ポリイミドフィルムと非熱可塑性ポリイミドフィルムとを適宜組み輪あせて多層構造を形成するように積層すればよい。例えば、図2(b)に示すように、ポリイミド層10が2層構造の場合には、熱可塑性ポリイミドフィルム11と非熱可塑性ポリイミドフィルム12とをそれぞれ1枚ずつ積層すればよいが、図2(c)に示すように、ポリイミド層10が3層構造の場合には、1枚の非熱可塑性ポリイミドフィルム12を2枚の熱可塑性ポリイミドフィルム11で挟み込んだ状態で積層すればよい。また、図2(d)に示すように、ポリイミド層10がコアフィルム13を含む場合には、コアフィルム13を用いてポリイミド積層工程を行えばよい。
なお、上記各工程を行う順序は特に限定されるものではないが、ポリイミド層が多層構造である場合には、先にポリイミド積層工程を行えばよい。また、銅層は合金層に積層することになるので、導電層積層工程の前に金属層積層工程を行えばよい。
(III)本発明にかかるプリント配線板およびその製造方法
本発明にかかるポリイミド/合金積層体の用途は特に限定されるものではないが、特に、プリント配線板の製造に好適に用いられる。
本発明にかかるポリイミド/金属積層体を用いて製造されるプリント配線板の具体的な構造は特に限定されるものではなく、単層構造のプリント配線板であってもよいし、多層構造のプリント配線板(MLB)であってもよい。特に、本発明は、可撓性を発揮するFPCの製造に好適に用いることができる。
<単層構造のプリント配線板>
単層構造のプリント配線板(説明の便宜上、単層プリント配線板と称する)の製造方法としては、(1)サブトラクティブ法および(2)セミアディティブ法を挙げることができる。上記(1)サブトラクティブ法では、まず、本発明にかかるポリイミド/金属積層体の合金層に電気メッキにより導電層(好ましくは銅層)を積層するか、すでに導電層が積層されたポリイミド/金属積層体を用いる。次に、エッチングにより、合金層および導電層に対して所定のパターンとなるように回路を形成する。
上記(2)セミアディティブ法では、導電層を有さないポリイミド/金属積層体を用い、合金層上にレジスト膜を形成する。次に、露光、現像により回路の形成を予定する部分のレジスト被膜を取り除く。次に、合金層が露出する部分に電気メッキ等により例えば銅製の回路を形成する。次に、レジスト部分を取り除き不要部分の合金層をエッチングにより取り除く。なお、上記(1)・(2)の何れの方法においても、その他の技術・プロセスを組み合わせることも可能である。
このようにして得られる単層プリント配線板は、基板としてのポリイミド層の表面に、導電層と合金層との2層からなる回路が形成される。合金層が銅モリブデン合金からなっているため、導電層、特に銅層がポリイミド層に十分に接着される。しかも、銅モリブデン合金は、銅と同じ条件でエッチングが可能であるため、合金層に銅層等の導電層を積層した場合であっても、給電層形成や回路の形成をそれぞれ1段階で完了することができる。それゆえ、プリント配線板の製造過程の煩雑化を回避することができる。しかも、ポリイミド層と金属層との密着性が優れていることから、金属層を薄くして高密度回路に適応できるようにすることが可能となる。したがって、回路の細線化に適し、かつ、信頼性の高い高密度のプリント配線板を効率よく製造することができる。
特に、本発明では、回路である導電層および合金層の厚みが薄くできるとともに、基板であるポリイミド層も薄いものを用いることができるため、良好な可撓性を発揮できるFPCの製造に好適に用いることができる。また、ポリイミド層の剛性を調節して可撓性を低下させることによりリジッドプリント配線板の製造にも好適に用いることができる。
<多層構造のプリント配線板>
多層構造のプリント配線板(MLB)の製造方法としては、上記単層プリント配線板を複数積層するように形成すればよい。本発明にかかるMLBにおいては、積層される単層プリント配線板の少なくとも1枚に、本発明にかかる単層プリント配線板が用いられればよい。ここで、単層プリント配線板を積層する手法としては、特に限定されるものではなく、様々な手法を用いることができる。具体的には、例えば、(1)ビルドアップ工法、(2)一括積層法等を挙げることができる。
上記(1)ビルドアップ工法は、単層プリント配線板の回路面に、本発明にかかるポリイミド/金属積層体を、接着剤を介して貼り合せる。その後、必要な場所にレーザーなどによりビアホールを設け、デスミア、化学メッキ、電気メッキを組み合わせて回路を形成する。この一連の工程を複数回繰り返すことにより多層構造を構築する。このように回路形成面を1段ごとに形成する方法を、一般にビルドアップ工法と称する。
すなわち、このビルドアップ工法では、単層プリント配線板の回路形成面に、前述したポリイミド/金属積層体を積層し、当該ポリイミド/金属積層体の金属層に回路を形成する工程を繰り返すことになる。この場合、上記ポリイミド/金属積層体として、ポリイミド層の一方の表面のみに合金層および導電層が形成された片面積層体を好適に用いることができる。具体的には、例えば、図5(b)に示すような、銅層30/合金層20/ポリイミド層10/接着剤層40からなる4層構造の片面積層体を挙げることができる。このタイプの片面積層体では、一方の表面に回路を形成するための銅層が積層されているとともに、他方の表面に接着剤層も積層されている。それゆえ、効率的にMLBを製造することができる。もちろん、図1(b)に示すような、銅層30/合金層20/ポリイミド層10からなる3層構造の片面積層体も好適に用いることができる。この場合は、他方の表面にシート状の接着剤を介在させることによって多層化すればよい。
さらには、上記ビルドアップ工法においては、MLBに対してプリント配線板(単層構造・多層構造に関わらず)を積層してもよい。すなわち、本発明では、単層プリント配線板に単層プリント配線板を積層してビルドアップする製造方法に限定されるものではなく、MLBに単層プリント配線板を積層してもよいし、MLBにMLBを積層してもよい。このときの多層構造そのものについても特に限定されるものではなく、片面積層体が多層化された構造であってもよいし、両面積層体であってもよい。
なお、ビルドアップ工法において、本発明にかかるポリイミド/金属積層体を貼りあわせる対象となる最初のプリント配線板は特に限定されるものではなく、FPCであってもよいし、リジッドプリント配線板であってもよい。これにより、多層型のFPCやリジッドフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
上記(2)一括積層法は、回路がすでに形成された単層プリント配線板またはMLBを複数枚用意し、回路形成面同士を対向させて一括して貼り合わせる。これを説明の便宜上、一括積層法と称する。すなわち、一括積層法においては、単層構造・多層構造に関わらずプリント配線板を複数枚重ねて一括して貼り合わせることにより多層化する工程を含むことになる。このとき、上記プリント配線板の少なくとも1枚に、本発明にかかるプリント配線板が用いられればよい。また、上記プリント配線板を貼り合わせる場合には、前述したシート状の接着剤を用いればよい。
<その他の応用例>
本発明にかかるプリント配線板は、例えば、単層プリント配線板の場合、片面のみに回路を形成した片面FPCだけでなく、両面に回路を形成した両面FPCも挙げることができる。片面FPCを製造する場合には、図1(b)に示す3層構造のポリイミド/金属積層体を好適に用いることができるが、両面FPCを製造する場合には、図4(b)に示すような5層構造のポリイミド/金属積層体を好適に用いることができる。
さらに、本発明は、上記片面FPCまたは両面FPCTAB(テープオートメーテッドボンディング)方式のチップ実装に適用した片面TABテープや両面TABテープにも好ましく適用することができる。加えて、COF(チップオンフィルム)方式によるCOF基板に対しても本発明を好ましく適用することができる。
また、両面プリント配線板(FPCに限定されない)や多層プリント配線板を製造する場合には、本発明にかかる製造方法の各工程に加えて、レーザーやドリルによる穴開け、デスミア、並びに無電解メッキ等の公知の工程を必要に応じて適宜組み合わせることができる。
本発明について、実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、ポリイミド/金属積層体における合金層とポリイミド層との接着強度については、以下の測定・評価した。
〔常態での接着強度の測定〕
得られた配線板モデルサンプル(後述)の表面に形成されている銅層(導電層)をパターン幅3mmとなるようにエッチングし、IPC−TM−650−method.2 .4 .9に従い、剥離角度90度、剥離速度50mm/minの条件で、合金層およびポリイミド層の接着強度を測定した。8N/cm以上であれば、十分な接着強度があると評価した。
〔プレッシャークッカー後の接着強度の測定〕
上記と同様に、パターン幅3mmにエッチングした配線板モデルサンプル(後述)を121℃、100%RH、の条件で96時間暴露した。その後の接着強度を、IPC−TM−650−method.2 .4 .9に従い、剥離角度90度、剥離速度50mm/minの条件で、合金層およびポリイミド層の接着強度を測定した。4N/cm以上であれば、十分な接着強度があると評価した。
〔エッチング特性〕
得られたポリイミド/金属積層体の一部をサンプルとして切り取り、これを120mL/L濃度の硫酸と80mL/L濃度の過酸化水素水と液からなるエッチング液に1分間浸漬した。浸漬後のサンプルについて、残渣の有無をEPMAで評価した。
〔実施例1〕
(1)非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造
ピロメリット酸二無水物/p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)/p−フェニレンジアミン/4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で1/1/1/1の割合でポリアミド酸を合成した。このポリアミド酸は、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解した濃度17重量%のポリアミド酸溶液として用いた。当該ポリアミド酸溶液90gに無水酢酸17gおよびイソキノリン2g(化学的転化剤および触媒)を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に厚さ300μmで流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。
得られたアルミ箔とポリアミド酸溶液との積層体を110℃4分間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの残揮発分含量は30重量%であり、イミド化率は90%であった。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各1分間加熱して十分にイミド化し、厚さ25μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムを得た。
(2)熱可塑性ポリイミド前駆体の製造
ジアミン成分として2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)をN,N−ジメチルホルムアミドに均一に溶解した。この溶液を撹拌しながら酸二無水物成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とエチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMEG)とを転化して約1時間撹拌した。このときBPDA:TMEGがモル比で4:1となるように添加量を設定した。また、全ての酸二無水物成分と全てのジアミン成分とが等モルになるように添加量を設定した。撹拌後、固形分濃度20重量%の熱可塑性ポリイミド前駆体、すなわちポリアミド酸のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(便宜上、ポリイミド前駆体溶液と略す)を得た。
(3)積層ポリイミドフィルムの製造
上記(1)で製造した非熱可塑性ポリイミドフィルムをコアフィルムとして用い、その両面に、上記(2)で製造したポリイミド前駆体溶液を、グラビヤコーターを用いて塗布した。塗布後、加熱処理により溶媒を乾燥させるとともにポリアミド酸をイミド化させ、最終加熱温度を390℃して熱可塑性ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を十分にイミド化した。これにより、非熱可塑性ポリイミドフィルムを熱可塑性ポリイミドフィルムで挟持する構成(図2(c)参照)の積層ポリイミドフィルムを得た。
当該積層ポリイミドフィルムについて、光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて、熱可塑性ポリイミドフィルムの表面の10点平均粗さを測定したところ0.1μmであった。
(4)合金層の形成(ポリイミド/金属積層体の製造)
上記(3)で製造した積層ポリイミドフィルムをポリイミド層として用い、当該ポリイミド層の一方の表面に、銅モリブデン合金(銅:モリブデン=98.84:1.16)をスパッタリング法により積層した。このときのスパッタリング条件は、スパッタ圧0.2Pa、DC出力1KW、スパッタ時間15分間とした。合金層の厚み(合金層厚)は300nmとした。これにより、ポリイミド層および合金層からなるポリイミド/金属積層体(図1(a)参照)を得た。
このポリイミド/金属積層体について、前述した方法によりエッチング特性を評価した。その結果を表2に示す。なお、表2にも注記しているが、表中の「○」は残渣無しを示し、表中の「×」はニクロムがポリイミドフィルム表面に残る状態を示す。
(5)接着剤シートの製造
窒素雰囲気下で、N,N−ジメチルホルムアミドに1当量のビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンを溶解した。溶液を冷却しつつ撹拌し、1当量の4、4’−(4、4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)を溶解、重合した。これにより、固形分濃度30重量%のポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を200℃、180分、665Paの減圧下で加熱してイミド化し、固形の熱可塑性ポリイミドを得た。
得られた固形の熱可塑性ポリイミド、ノボラック型のエポキシ樹脂(商品名:エピコート1032H60、油化シェル社製)、および4,4’−ジアミノジフェニルスルフォンを、それぞれ重量比が70/30/9になるように混合し、さらに、ジオキソランに固形分濃度が20重量%になるように溶解した。これにより接着剤溶液を得た。
得られた接着剤溶液を、易剥離処理したPETフィルム(商品名:SG−1、パナック株式会社製、厚み125μm)に塗布した。このときの塗布厚は乾燥後の厚みが23μmとなるように調節した。塗布後、60℃1分、80℃1分、100℃3分、120℃3分、140℃3分と段階的に乾燥した。乾燥後、接着剤をPETから剥離し、半硬化状態のシート状の接着剤(接着剤シート)を得た。得られた接着剤シートの250℃10分間の重量減少率は2.0%であった。
(6)積層工程(多層プリント配線板モデルの製造)
上記(4)で得られたポリイミド/金属積層体の合金層の表面に耐熱性保護フィルム(商品名:リオエルムLE952−T1、東洋インキ製造株式会社製)をラミネートした。そして、ポリイミド/金属積層体のポリイミド層側の表面(熱可塑性ポリイミドフィルム側の表面)に、上記(5)で得られた接着剤シートを介して、銅箔18μmのガラスエポキシ銅張積層板を重ね、真空プレスにより積層し、接着剤シートを硬化させた。このときの真空プレスの条件は、温度200℃、熱板圧力3MPa、プレス時間2時間、真空条件1KPaとした。これにより、耐熱性保護フィルム/合金層/ポリイミド層/接着剤層/ガラスエポキシ銅張積層板からなる積層体を得た。
この積層体を、本発明にかかる多層プリント配線板を製造する場合におけるビルドアップ工法途上の状態のモデルとし、プリント配線板の製造過程で行われる各工程に対する影響を評価した。なお、当該積層体を、便宜上、配線板モデルサンプルと称する。
(7)デスミア工程、化学銅メッキ工程
上記配線板モデルサンプルの表面の耐熱性保護フィルムを剥離した後、当該配線板モデルサンプルに対して次の表1に示す条件の各工程を施した。これら各工程は、上記配線板モデルサンプルの耐デスミア液性、耐無電解銅メッキ液性を評価するために行った。
Figure 2005219463
(8)電気銅メッキ工程
表1に示す条件の各工程を施した配線板モデルサンプルの合金層に対して、硫酸銅めっき浴(ハイスロー浴)を用い、電流密度2A/dm2で40分間の条件で電気メッキし、銅厚みを18μmとした。なお、メッキ浴の添加剤として濃度10mL/Lのトップルチナメークアップ(商品名、奥野製薬社製)および濃度2.5mL/Lのトップルチナ81−HL(商品名、奥野製薬社製)を用いた。
上記(7)・(8)の各工程を施した配線板モデルサンプルについて、合金層およびポリイミド層の接着強度を、常態並びにプレッシャークッカー(PCT)後のそれぞれの条件で測定し、評価した。その結果を表2に示す。
〔実施例2〕
上記(2)における熱可塑性ポリイミド前駆体の原料である酸二無水物成分として、BTDAおよびTMEGのモル比を、BTDA:TMEG=3:7とした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド/金属積層体および配線板モデルサンプルを製造した。得られたポリイミド/金属積層体のエッチング特性を評価するとともに、配線板モデルサンプルについて、常態並びにPCT後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
〔比較例1〕
上記(4)の合金層の形成において、銅モリブデン合金の代わりに、6nmの厚みとなるようにニクロム合金をスパッタリングするとともに、200nmの厚みとなるように銅をスパッタリングした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド/金属積層体および配線板モデルサンプルを製造した。得られたポリイミド/金属積層体のエッチング特性を評価するとともに、配線板モデルサンプルについて、常態並びにPCT後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
〔比較例2〕
上記(4)の合金層の形成において、銅モリブデン合金の代わりに、300nmの厚みとなるように純銅をスパッタリングした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド/金属積層体および配線板モデルサンプルを製造した。得られたポリイミド/金属積層体のエッチング特性を評価するとともに、配線板モデルサンプルについて、常態並びにPCT後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
〔実施例3〕
上記(7)のデスミア工程・化学銅メッキ工程を省略した以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド/金属積層体および配線板モデルサンプルを製造した。得られたポリイミド/金属積層体のエッチング特性を評価するとともに、配線板モデルサンプルについて、常態並びにPCT後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
〔実施例4〕
上記(7)のデスミア工程・化学銅メッキ工程を省略した以外は、実施例2と同様にして、ポリイミド/金属積層体および配線板モデルサンプルを製造した。得られたポリイミド/金属積層体のエッチング特性を評価するとともに、配線板モデルサンプルについて、常態並びにPCT後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
〔実施例5〕
上記(2)・(3)を省略する、すなわち、熱可塑性ポリイミドフィルムを積層せずに、非熱可塑性ポリイミドフィルムのみをポリイミド層として用いた以外は、実施例3と同様にして、ポリイミド/金属積層体および配線板モデルサンプルを製造した。得られたポリイミド/金属積層体のエッチング特性を評価するとともに、配線板モデルサンプルについて、常態並びにPCT後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
〔比較例3〕
上記(7)のデスミア工程・化学銅メッキ工程を省略した以外は、比較例1と同様にして、ポリイミド/金属積層体および配線板モデルサンプルを製造した。得られたポリイミド/金属積層体のエッチング特性を評価するとともに、配線板モデルサンプルについて、常態並びにPCT後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
〔比較例4〕
上記(4)の合金層の形成において、銅モリブデン合金の代わりに、6nmの厚みとなるようにニクロム合金をスパッタリングするとともに、200nmの厚みとなるように銅をスパッタリングした以外は、実施例5と同様にして、ポリイミド/金属積層体および配線板モデルサンプルを製造した。得られたポリイミド/金属積層体のエッチング特性を評価するとともに、配線板モデルサンプルについて、常態並びにPCT後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
〔比較例5〕
上記(4)の合金層の形成において、銅モリブデン合金の代わりに、300nmの厚みとなるように純銅をスパッタリングした以外は、実施例5と同様にして、ポリイミド/金属積層体および配線板モデルサンプルを製造した。得られたポリイミド/金属積層体のエッチング特性を評価するとともに、配線板モデルサンプルについて、常態並びにPCT後の接着強度を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2005219463
表2の結果から明らかなように、本発明にかかるポリイミド/金属積層体、およびプリント配線板(配線板モデルサンプル)は、合金層とポリイミド層とが十分な接着力を発揮していることがわかる。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明は、銅モリブデン合金からなる合金層を有することにより、ポリイミド層に対して高い接着性を発揮できるだけでなく、銅と同じ条件でエッチング可能であり、これによって信頼性の高い高密度プリント配線板を効率的に製造することが可能になる。
それゆえ、本発明は、樹脂や金属等の素材加工産業や各種化学産業だけでなく、各種電子部品の産業分野に好適に用いることができる。
(a)および(b)は、本発明の一実施形態であるポリイミド/金属積層体の積層構造を示す模式的断面図である。 (a)〜(d)は、図1(a)または(b)に示すポリイミド/金属積層体に含まれるポリイミド層のバリエーションを示す模式的断面図である。 図1(a)に示すポリイミド/金属積層体において、合金層に接着されるポリイミド層の表面が熱可塑性ポリイミドフィルムとなっている例を示す模式的断面図である。 (a)・(b)は、図1(b)に示す、銅層を含むポリイミド/金属積層体の他の例を示す模式的断面図である。 (a)・(b)は、図1(a)・(b)に示すポリイミド/金属積層体において、さらに、接着剤層を含む構成を示す模式的断面図であり、(c)は、さらに保護層を含む構成を示す模式的断面図である。
符号の説明
10 ポリイミド層
11 熱可塑性ポリイミドフィルム
12 非熱可塑性ポリイミドフィルム
13 コアフィルム
20 合金層(金属層)
30 銅層(金属層)
40 接着剤層
50 保護層

Claims (21)

  1. ポリイミド層と、当該ポリイミド層における少なくとも一方の表面に直接積層され、かつ、銅およびモリブデンの合金からなる合金層とを含むことを特徴とするポリイミド/金属積層体。
  2. さらに、上記合金層に積層される導電層が含まれることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド/金属積層体。
  3. 上記導電層が銅層であることを特徴とする請求項2に記載のポリイミド/金属積層体。
  4. 上記合金層が物理的蒸着法により形成されたものであることを特徴とする請求項1、2または3に記載のポリイミド/金属積層体。
  5. 上記物理的蒸着法として、スパッタリング法が用いられることを特徴とする請求項4に記載のポリイミド/金属積層体。
  6. 上記ポリイミド層が、単層の熱可塑性ポリイミドフィルムからなっていることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載のポリイミド/金属積層体。
  7. 上記ポリイミド層が、ポリイミドフィルムを複数積層した積層ポリイミドフィルムとなっており、かつ、少なくとも熱可塑性ポリイミドフィルムが含まれているとともに、
    上記合金層は、上記ポリイミド層における熱可塑性ポリイミドフィルムが露出している表面に直接積層されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載のポリイミド/金属積層体。
  8. さらに、上記積層ポリイミドフィルムには、非熱可塑性ポリイミドフィルムが含まれていることを特徴とする請求項7に記載のポリイミド/金属積層体。
  9. 上記ポリイミド層の一方の表面にのみ上記合金層が積層されているとともに、
    他方の表面には、接着剤層が積層されていることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載のポリイミド/金属積層体。
  10. ポリイミド層の少なくとも一方の表面に金属層を形成する金属層積層工程を含むポリイミド/金属積層体の製造方法において、
    上記金属層積層工程では、銅およびモリブデンの合金からなる合金層を物理的蒸着法により形成することを特徴とするポリイミド/金属積層体の製造方法。
  11. 上記物理的蒸着法として、スパッタリング法が用いられることを特徴とする請求項10に記載のポリイミド/金属積層体の製造方法。
  12. さらに、合金層の表面に導電層を形成する導電層積層工程を含むことを特徴とする請求項10または11に記載のポリイミド/金属積層体の製造方法。
  13. 上記導電層積層工程では、メッキにより銅層を形成することを特徴とする請求項12に記載のポリイミド/金属積層体の製造方法。
  14. 上記金属層積層工程が施されるポリイミド層の表面の材質が、熱可塑性ポリイミドとなっていることを特徴とする請求項10ないし13の何れか1項に記載のポリイミド/金属積層体の製造方法。
  15. さらに、熱可塑性ポリイミドフィルムと非熱可塑性ポリイミドフィルムとを積層して積層ポリイミドフィルムを形成するポリイミド積層工程を含み、当該積層ポリイミドフィルムを上記ポリイミド層として用いることを特徴とする請求項10ないし14の何れか1項に記載のポリイミド/金属積層体の製造方法。
  16. 上記金属層積層工程は、上記ポリイミド層の一方の表面のみに行われるとともに、
    当該ポリイミド層の他方の表面に接着剤層を形成する接着剤層積層工程を含むことを特徴とする請求項10ないし15の何れか1項に記載のポリイミド/金属積層体の製造方法。
  17. 請求項1ないし9の何れか1項に記載のポリイミド/金属積層体を用いて製造されるプリント配線板。
  18. 複数のプリント配線板が積層された多層構造を有しており、
    積層されるプリント配線板の少なくとも1枚に、請求項17に記載のプリント配線板が用いられることを特徴とする多層プリント配線板。
  19. プリント配線板を複数枚重ねて一括して貼り合わせることにより多層化する工程を含み、
    上記プリント配線板の少なくとも1枚に、請求項1ないし9の何れか1項に記載のポリイミド/金属積層体を用いて製造されるプリント配線板が用いられることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  20. プリント配線板の回路形成面に、請求項1ないし9の何れか1項に記載のポリイミド/金属積層体を積層し、当該ポリイミド/金属積層体の金属層に回路を形成する工程を繰り返すことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  21. 上記プリント配線板またはポリイミド/金属積層体を積層するときに、シート状の接着剤を用いることを特徴とする請求項19または20に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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