JP2005219456A - 植毛耐火材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 通常時には結露を防止し、火災時には耐火機能を有すると共に、設置箇所の省スペース化が図れる植毛耐火材を提供する。
【解決手段】 加熱されて膨張する熱膨張耐火材層12と、表面から多数の繊維が突起する植毛基材層11と、を積層しており、さらに前記熱膨張耐火材層12に、基板13が積層してなる。
【選択図】 図2
【解決手段】 加熱されて膨張する熱膨張耐火材層12と、表面から多数の繊維が突起する植毛基材層11と、を積層しており、さらに前記熱膨張耐火材層12に、基板13が積層してなる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、建築物などに使用される耐火材に係り、特に、屋根材及びダクト材などに用いて好適で、常温時において結露を防止すると共に、火災時において遮炎性及び断熱性に優れた植毛耐火材に関する。
近年、一般の建築に用いられる各種建築部材に対しては、耐火性、耐結露性などの様々な機能が要求されている。例えば、従来の耐火性を有した建築部材としては、耐火屋根、耐火ダクトなどが挙げられる。図7及び図8は、従来の耐火屋根及び耐火ダクトの各々の断面図を示している。
図7に示す耐火屋根60は、亜鉛鉄板からなる溝板61及び角板63と、該溝板61と角板63との間に介在する断熱層62とを備え、該断熱層62は、厚さ40mm以上のロックウールなどの断熱材からなっている。そして、溝板61と角板63とを固定すると共に、ロックウールの所定厚みを確保するために断熱層62内には、チャンネル64が配設されており、該チャンネル64には、溝板61を固定する固定ボルト66と、支持梁65に耐火屋根60を固定するフックボルト67が植設されている。
また、図8に示す耐火ダクト70は、鋼板を曲げ加工したダクト本体71と、該ダクト本体71の外側に巻装された厚さ50mm程度のロックウール72からなり、この耐火ダクト70は、設置にあたって、該ダクト本体71の設置後に、ロックウールを被覆するような二段階の施工とされている。
一方、ダクト及びパネル等の建材製品などに結露防止の機能を持たせる素材としては、表面処理鋼板の表面に、植毛接着水性塗料組成物からなる植毛植付層を形成した静電植毛鋼板があり、前記植毛植付層には、有機短繊維からなる静電植毛層が形成されている(特許文献1)。
しかし、前記のごとくパネル又はダクトに、ガラスウール又はロックウールなどの耐火材を、積層又は被覆した場合には、耐火断熱層が形成されていることにより結露を防止し、耐火性能を一応得ることはできるが、より確実に耐火性能を得るためには、前記耐火材は、基準となる所定以上の厚みを有することが必要である。このような厚さ基準を満たすためには、パネル又はダクトは、その仕上がり厚さ寸法及び仕上がり外径などの外形寸法が大きくなってしまうと共に、設置スペースが大きく必要とされる。
さらに、ダクトにこのような耐火材を被覆する場合は、現地でダクトを設置してから、耐火材をダクト外周に被覆するので、現地での施工数を多く要する。また、現場で現物合わせにより被覆作業をするので、無駄となって廃棄しなければならない被覆端材が多く出てしまう。
一方、特許文献1に記載の植毛鋼鈑を建材としてパネル及びダクトに使用した場合には、結露を防止できると共に省スペース化も、前記耐火材を用いたものに比べて図れるが、植毛鋼鈑は、耐火性能を有していないために、この点においても建築用途としても安全上
、使用箇所に制限を受ける。
、使用箇所に制限を受ける。
そして、本発明者は、部材の構成を検討するにあたって、施工性及び加工性が向上するように部材の全体厚みを薄くすることを念頭において、耐火性及び耐結露性の二つの機能を、単に耐火材などの一つの部材に担わせるのではなく、これらの二つの機能が必要とする条件を夫々に分析し、これら条件を満たすべく、それらの二つの機能を二つの部材の組合せとして構成し、結果として一部材の構造とすることに取組んだものである。
具体的には、本発明者は、耐火遮炎性の機能を満たす条件として、高温時に火炎を完全に遮断して耐火層を形成する第一の構造と、耐結露性の機能を満たす条件として、平常時に結露の原因となる微量水分などを分散して吸着することにより結露水の生成を回避する第二の構造と、を1つの部材に設けることを着想したものである。
よって、上述した問題に鑑みた前記着想に基づいて、本発明は、なされたものであって、その目的とするところは、通常時には結露を防止し、火災時には遮炎性などの耐火機能を有すると共に、設置箇所の省スペース化が図れる植毛耐火材を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係る植毛耐火材は、第一の構造として加熱されて膨張する熱膨張耐火材層と、第二の構造として表面から多数の繊維が突起する植毛基材層と、を備えることを特徴とし、具体的には、この植毛基材層は、一方の面に、植毛された多数の繊維が突起して、他方の面に、熱膨張耐火材層が積層している。
前記のごとく構成された本発明の植毛耐火材は、火災などにより高熱に曝されると熱膨張する熱膨張耐火材層を設けたので、たとえ、植毛耐火材が変形したとしても、間隙などが生じること無く、火炎を完全に遮断できると共に裏面側の温度上昇を防止することができる。また、植毛基材層を設けたので、常温時には、多数の繊維が突起することで繊維間に水分などの流体を吸着するので、これら水分が集合して結露水となって滴り落ちることがない。さらに、耐火性を熱膨張耐火材層に、耐結露性を植毛基材層に担わせたので、ロックウールを使用した耐火材に比べ、その厚みは低減され、このような厚みの低減により、スペースの効率化が図れ、現地施工がさらに容易となる。
本発明に係る植毛耐火材は、熱膨張耐火材層に、基板が積層されていることを特徴としており、基板、熱膨張耐火材層、及び植毛基材層が、順次積層されることが好ましく、さらに、熱膨張耐火材層は、接着性を有した材料からなることが好ましい。
前記のごとく構成された本発明の植毛耐火材は、基板を設けることで、植毛耐火材の強度を保ち、基板に鋼板などの金属を用いることで、屋根及びダクトなどの耐火建材を容易に製造することができる。また、上記積層順序にすると共に、接着性を持たせた熱膨張耐火材層を用いることで、基板、熱膨張耐火材層、及び植毛基材層が容易に一体化できる。
また、本発明に係る植毛耐火材は、前記繊維からなる植毛部と該植毛部のベースとなる基材部を備え、基材部が、紙、織布、不織布、フィルム、金網、金属板、金属薄板、無機繊維不織布等からなってもよく、好ましくは、熱反射が良好な熱線反射材であるアルミニウム箔積層紙又はアルミガラスクロスなどからなることを特徴としている。
前記のごとく構成された本発明の植毛耐火材は、植毛基材層の基材部に、熱反射性のよい熱線反射材である、例えばアルミニウム箔積層紙、アルミガラスクロス等を用いることにより、耐火性能がさらに向上する。
また、本発明に係る植毛耐火材は、耐火建材用であり、この植毛耐火材を重ね合わせて接合した耐火建材には好適であり、この耐火建材としては、折板屋根、スパイラルダクトなどが挙げられる。
前記のごとく構成された本発明の植毛耐火材は、建材に好適であり、特に、ボルト締結、かしめなどにより重ね合わせて接合するだけで、常温時には、耐火断熱層が微小変形してシール性を保ち、火災時には、重なり部分の熱膨張耐火材層が作用して、炎を遮断し煙の進入を防止できる。
以上の説明から理解できるように、本発明による植毛耐火材によれば、熱膨張耐火材層を備えることで耐火性の機能を有すると共に、植毛基材層を備えることで耐結露性の機能を有し、これらの構成により厚みを薄くできる。そして、このように厚み低減に伴い、本発明に係る植毛耐火材は、加工性及び施工性が優れ、建材として好適となる。
以下に添付の図面を参照して、本発明の植毛耐火材のいくつかの実施形態を詳細に説明する。図1は、第一実施形態に係る植毛耐火材1の全体の断面図である。植毛耐火材1は、基材部11a及び植毛部11bからなる植毛基材層11と、熱膨張耐火材層12と、を積層したものであり、植毛基材層11は基材部11aの一方の面に、多数の繊維が突起した植毛部11bを形成し、他方の面に熱膨張耐火材層12を積層している。
基材部11aとしては、一般的な材料が用いられ、例えば、紙、織布、不織布、フィルム、金網、金属板、中でも、金属薄板又は、無機繊維不織布が用いられる。また、植毛部11bは、植毛間に水分などの流体を吸着し得るように、基材部11aの表面に、短繊維を突起すべく植毛したものである。さらに、基材部11aの材質としては、耐火性能を向上させるために熱線反射材を適用するのが好ましく、特にこの中でも、熱反射性のよいアルミニウム箔積層紙、アルミガラスクロスを用いることが好ましい。また、基材部11aの厚みとしては、0.03〜2mm程度の範囲であることがよく、この範囲よりも薄いと植毛部11bを保持するのが困難となり、この範囲よりも厚いと加工性・取扱性が低下する。
また、植毛部11bの繊維は、ナイロンなどの有機繊維、ガラスファイバなどの無機繊維等の一般的な繊維が用いられており、例えばナイロンを例に挙げると、繊維径20μm、繊維長さ0.5mm程度の繊維が使用されており、単位面積あたり植毛密度が70g/m2程度になるように、均一に植毛されている。ここに示す植毛基材層11は、基材部11a上に静電植毛で植毛加工をしてもよいが、上に示した機能を満たせば、市販されている植毛付き基材でも十分である。
また、熱膨張耐火材層12は、高温時に火炎を完全に遮断すべく、加熱によって膨張して耐火断熱層を形成する熱膨張耐火材からなっている。熱膨張耐火材層12を構成する熱膨張耐火材は、例えば50kW/m2の加熱条件下で30分間加熱された後の体積膨張率が3〜100倍であれば、特に制限はない。熱膨張耐火材は、前記のように加熱したときの体積膨張率が、3倍未満では耐火性が低く、十分な耐火性能を発現させるためには分厚い熱膨張耐火材層を必要し、コストアップを招く。また、熱膨張耐火材層12は、100倍を超えると加熱により膨張してしまい、耐火断熱層の強度を低下させるため、崩れ易くなる。具体的な熱膨張耐火材層12の厚みは、0.2〜5mm程度の範囲がよく、好ましくは、0.5mm〜2mm程度がよく、厚みが0.2mmよりも薄いと、所望の耐火性能が得られない。
熱膨張耐火材の具体的な材質としては、例えば、3M社製「ファイアバリア」(クロロプレンゴムとバーミキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、体積膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料社製「メジヒカット」(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、体積膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kca1/m・h・℃)等の市販品が使用可能であるが、熱可塑性樹脂又はエポキシ樹脂及び無機充填剤からなるものが好ましい。
例えば、熱可塑性樹脂100重合部に対して、リン化合物および中和処理された熱膨張性黒鉛の合計量を15〜300重合部、並びに無機充填剤を30〜500重合部含有する樹脂組成物や、エポキシ樹脂に対して、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤を混合した樹脂組成物から形成され、好ましくはエポキシ樹脂100重合部に対して、リン化合物を50〜150重合部、中和処理された熱膨張性黒鉛を10〜300重合部、および無機充填剤を30〜500重合部含有し、前記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛および無機充填剤の合計量が200〜600重合部である樹脂組成物等が特に好適に用いられる。
このように、形成された植毛耐火材1は、耐結露性及び耐火性を有しつつ、厚みも1mm以下とすることができ、ダクトなどの配管に巻くにあたっても作業性もよく、省スペース化が図れる。この他にも可撓性を有するので、ロール状として管理することができ、運搬性もよい。
図2は、第二実施形態に係る植毛耐火材2の全体の断面図である。植毛耐火材2は、図1に示した植毛耐火材1に、基板13を積層したものである。具体的には、植毛基材層11が積層された面と反対の面の熱膨張耐火材層12に、基板13を積層したものである。
このように積層された基板13は、素材として金属が用いられ、植毛耐火材2の強度を向上させ、植毛耐火材2を所望の形状に成形すること及びその形状を維持することに役立つ。この金属である基板13としては、例えば、炭素鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛メッキ鋼板、アルミ亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板等が挙げられる。
基板13の厚さは、選定材質によっても異なるが、約0.25mm〜2mm程度の範囲であり、この範囲よりも厚みが厚いと、加工性及び施工性が著しく低下し、この範囲より薄いと、耐火材としての必要な強度が得られない。鋼板の場合は、好ましくは0.5〜1.2mmが最適である。さらに基材13に、耐食性及び美観を得るために、塗装、ラミネート加工などの表面処理をしてもよい。
ここで、本実施形態の植毛耐火材2の製造方法について説明する。製造工程としては、加熱によって膨張し耐火断熱性を有し得る材料(熱膨張耐火材)となる各材料の成分量(後述の実施例で説明)を混練して熱膨張耐火材を形成し、該熱膨張耐火材を、基板13(例えば鋼板)と植毛基材層(例えば植毛付き基材)との間に挟み込んで積層成形し、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に関しては、該積層成形材を加熱することで熱硬化させて、植毛耐火材2を形成する。
まず上述した混練にあたっては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等の公知の装置を用いる。また、前記混練にあたっては、前記熱膨張耐火材用の各材料を予め別々に作製(混練)して混練物としておき、プランジャーポンプ、スネークポンプ、ギアポンプ等で各混練物を供給し、スタティックミキサー、ダイナミックミキサー等で混合して、最終の混練物である熱膨張耐火材としてもよい。
そして成形には、プレス成形、ロール成形、コーター成形等などが挙げられる。例えば、プレス成形による方法としては、加圧プレス機を用いて、金型に、鋼板と植毛付き基材とを配置し、これらの間に混練した熱膨張耐火材を投入して(場合によっては加圧して)成形する方法が挙げられる。ロール成形による方法としては、例えば、SMC(シートモールディングコンパウンド)を用いて、鋼板と植毛付き基材との間に混練した熱膨張耐火材を挟み込んで、成形する方法が挙げられる。また、コーター成形による方法としては、例えば、ロールコーター又はブレードコーターを用いて、鋼板と植毛付き基材との間に混練した熱膨張耐火材を挟み込んで成形する方法が挙げられる。
成形された熱膨張耐火材の硬化方法としては、特に限定されるものではなく、単純に加熱炉に投入する方法、加熱ローラなどを用いて成形・硬化を同時に行う方法等、公知の方法によって行うことができる。
基板13と植毛基材層11との間にある熱膨張耐火材層12の積層接合方法としては、粘着性を有する熱膨張耐火材を使用すれば、接着剤を用いることなく積層することができ好適であるが、この他にも、熱膨張耐火材のみからなるシート材を製作し、このシート材の表面に接着剤などを塗布し、基板13と植毛基材層11とを積層接合させ、熱膨張耐火材層12を形成してもよい。なお、図1の植毛耐火材1も、上記製造方法から容易に理解されるように、該方法により製造可能であるので説明は省略する。
図3,4を参照して、本発明の第二実施形態に係る植毛耐火材2を屋根に用いた実施例を説明する。図3は、折板屋根20(耐火建材)を示す斜視図、図4は、図3のA−A線の断面図である。
図3に示すように、折板屋根20の植毛耐火材2は、ロールフォーマーなどを用いて、植毛耐火材2の植毛基材層11が室内側に位置するように折曲げ加工して折り目を有する耐火屋根部材21に形成されている。この耐火屋根部材21は、一定の間隔で横方向(前記折り目方向に直交する方向)に配設された耐火被覆した支持梁22の上部に固定された波型形状のタイトフレーム23を介して固定されると共に、耐火屋根部材21の折り目が前記波型形状に合致すると共に、耐火屋根部材21の端部同士が重なり合うようにして固定される。
具体的には、図4に示すように、耐火屋根部材21の端部に、締結ボルト25で締結するための貫通孔21cが形成されており、該貫通孔21cを介して、締結ボルト25及びそれに螺合するナット26が、二つの耐火屋根部材21が接触面21dで重なり合うべく締結されるようになっている。
折板屋根20の施工方法としては、まずタイトフレーム23を支持梁22に溶接などで固定し、該支持梁22を耐火被覆し、固定されたタイトフレーム23と耐火屋根部材21の山形部21aとを、ワッシャ(図示しない)などの弛み止めを介して、固定ボルト24で固定する。また、二つの耐火屋根部材21の接合端部では、重なり部21bを設けつつ、固定ボルト24で、この重なり部21bをタイトフレーム23に固定するが、この他にも図4に示すように、耐火屋根部材21の折り目方向(支持梁22間の横方向)の端部の中央でも、重なり部21bに隙間ができないように貫通孔21cを介して、締結ボルト25で締結する。このように、固定ボルト24及び締結ボルト25で、順次耐火屋根部材21を重ね合わせて締結することで、折板屋根20が完成する。
このように構成された折板屋根20は、常温時には、耐火屋根部材21の植毛基材層11(植毛部)を室内側方向に向けて配置することにより、植毛基材層11の植毛間で、水分を吸着保持することが可能となり、該水分が集合して結露水となって滴り落ちることが
なく、天井などにカビなどが発生することがない。
なく、天井などにカビなどが発生することがない。
また、本実施例の耐火屋根部材21は、火災などにより高熱に曝されると、あらゆる隙間を塞ぐように熱膨張して耐火断熱層を形成する熱膨張耐火材層12を有するものであるので、火炎を確実に遮断することができる。すなわち、熱膨張耐火材が膨張することにより断熱層として機能し、裏面への温度伝達を抑制することによって、基板の変形が抑えられる。さらに、重なり部21bの接触面21dは、火災時などの高温時に、基板13が変形しても、熱膨張耐火材が肉厚方向に膨張し、重なり部21bに耐火断熱層を形成する。さらに、同様の状況下で、締結ボルト25及び貫通孔21cの形状が変形しても貫通孔21cの微小隙間を塞ぐように熱膨張耐火材が膨張するので、外部に炎が貫通することはない。よって、火炎の貫通や、煙の進入を防止することができる。また、植毛耐火材2としては、ロックウール等の耐火材を使用しないので、厚みが低減されると共に、耐火屋根部材21の加工は容易であり、加工された耐火屋根部材21は、折板屋根20の施工に優れている。さらに、ここでは図示していないが、図1に示した植毛耐火材1を折板屋根材に密着させて敷設しても同様の結果が得られる。
次に、図5、6を参照して、本発明の第二実施形態に係る植毛耐火材2を用いた別の用途の実施例を説明する。図5は、図2の植毛耐火材2からなるスパイラルダクト40(耐火建材)の斜視図であり、図6は、図5のB−B線の断面図である。このスパイラルダクト40は、一般的なダクト製造方法で製造されたダクトであり、図2に示す植毛耐火材2の植毛部11bをダクト外周側に露出するような状態でスパイラル状に巻くことにより円筒状に形成し、該植毛耐火材2の接合縁部をはぜ折り加工し、ローラなどによりかしめることで製造されたダクトである。このように製造された円筒状のスパイラルダクト40は、曲面部41と、はぜ折りしてかしめることにより曲面部41の継ぎ目となる重なり部42と、で形成されている。そして、この重なり部42は、はぜ折り加工されていることにより、スパイラルダクト40内を通過する気体の漏れを防止すると共に、スパイラルダクト40の補強部材として作用する。
スパイラルダクト40は、ダクトの外側から内側に向けて、植毛基材層11、熱膨張耐火材層12、基板13の順に積層されているので、スパイラルダクト40の継ぎ目となる重なり部42は、植毛耐火材2の一端部を内側にコ字状に曲げ、他端部をそのコ字状部を巻き込むように外側に曲げて該曲げ端部を重ねて接合した構造であり、該構造により、ダクト内のシール性を十分に確保すると共にダクト強度を向上させている。
また、スパイラルダクト40の外周側は、植毛基材層11(植毛部)が外部に向かって露出しているので、植毛基材層11の植毛間に、外気により発生する水分を分散して吸着保持し、該水分が集合して結露水となって滴り落ちることを防止できる。
一方、火災などにより外周側から加熱され、重なり部42が熱変形したとしても、熱膨張耐火材が高熱に曝されるとダクト径方向に熱膨張し耐火断熱層を形成するので、スパイラルダクト40の管内に炎が貫通することなく、かつ、熱膨張耐火材が膨張することにより断熱層が形成されるため、基板の変形を防止でき、炎を完全に遮断することができる。さらに、本実施形態に係る植毛耐火材2は、ロックウール等の耐火材を使用しないので、約50mmから約1mm程度(1/50程度)に厚みが低減され、加工性及び施工性に優れている。また、図1に示した植毛耐火材1をダクトの素材としてもよく、この場合も同様の効果が得られる。
(実施例1)
耐火パネルは、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製「E807」)40重量部、ジ
アミン系硬化剤(油化シェルエポキシ社製「EKFL052」)60重量部、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製「Exolit AP422」)100重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「フレームカット1」)50重量部、水酸化アルミニウム(昭和電工社製「ハイジライトH−31」)50重量部、及び炭酸カルシウム(備北粉化社製「BF300」)100重量部、からなる樹脂組成物を混練ロールで混練した後、基板として0.6mm厚の塗装ステンレス鋼板と、植毛基材層として植毛層付きアルミガラスクロスと、の間に、前記混練した熱膨張耐火材を熱膨張耐火材層として0.5mmになるように成形し、加熱硬化して得られた。そして、得られた耐火パネルをロールフォーマーで、1.2m×3mの耐火屋根部材に作成し、該耐火屋根部材を重ね合わせて4m×3mの折板屋根となる耐火試験体を製作した。
耐火パネルは、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製「E807」)40重量部、ジ
アミン系硬化剤(油化シェルエポキシ社製「EKFL052」)60重量部、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製「Exolit AP422」)100重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「フレームカット1」)50重量部、水酸化アルミニウム(昭和電工社製「ハイジライトH−31」)50重量部、及び炭酸カルシウム(備北粉化社製「BF300」)100重量部、からなる樹脂組成物を混練ロールで混練した後、基板として0.6mm厚の塗装ステンレス鋼板と、植毛基材層として植毛層付きアルミガラスクロスと、の間に、前記混練した熱膨張耐火材を熱膨張耐火材層として0.5mmになるように成形し、加熱硬化して得られた。そして、得られた耐火パネルをロールフォーマーで、1.2m×3mの耐火屋根部材に作成し、該耐火屋根部材を重ね合わせて4m×3mの折板屋根となる耐火試験体を製作した。
(実施例2)
耐火パネルは、ブチルゴム(エクソン化学社製「ブチル065」)40重量部、ポリブテン(出光石油化学社製「ポリブテン100R」)50重量部、石油樹脂(トーネックス社製「エスコレッツ5320」)10重量部、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製「Exolit AP422」)45重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「フレームカットGREP−EG」)30重量部、及び水酸化アルミニウム(昭和電工社製「ハイジライトH−31」)200重量部、を混練ロールで混練した後、基板として0.6mm厚の塗装ステンレス鋼板と、植毛基材層としての植毛層付きアルミガラスクロスと、の間に、前記混練した熱膨張耐火材を熱膨張耐火材層として0.5mmになるように成形した。そして得られた耐火パネルをロールフォーマーで1.2m×3mの耐火屋根部材に作成し、該耐火屋根部材を重ね合わせて4m×3mの折板屋根となる耐火試験体を製作した。
耐火パネルは、ブチルゴム(エクソン化学社製「ブチル065」)40重量部、ポリブテン(出光石油化学社製「ポリブテン100R」)50重量部、石油樹脂(トーネックス社製「エスコレッツ5320」)10重量部、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製「Exolit AP422」)45重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「フレームカットGREP−EG」)30重量部、及び水酸化アルミニウム(昭和電工社製「ハイジライトH−31」)200重量部、を混練ロールで混練した後、基板として0.6mm厚の塗装ステンレス鋼板と、植毛基材層としての植毛層付きアルミガラスクロスと、の間に、前記混練した熱膨張耐火材を熱膨張耐火材層として0.5mmになるように成形した。そして得られた耐火パネルをロールフォーマーで1.2m×3mの耐火屋根部材に作成し、該耐火屋根部材を重ね合わせて4m×3mの折板屋根となる耐火試験体を製作した。
(比較例1)
熱膨張耐火材を使用せず、基板として0.6mm厚の塗装ステンレス鋼板と、植毛基材層としての植毛層付きアルミガラスクロスと、をエポキシ系接着剤で接着して、ロールフォーマーを用いて1.2m×3mの耐火屋根部材を製作し、該耐火屋根部材を重ね合わせて4m×3mの折板屋根となる耐火試験体を製作した。
熱膨張耐火材を使用せず、基板として0.6mm厚の塗装ステンレス鋼板と、植毛基材層としての植毛層付きアルミガラスクロスと、をエポキシ系接着剤で接着して、ロールフォーマーを用いて1.2m×3mの耐火屋根部材を製作し、該耐火屋根部材を重ね合わせて4m×3mの折板屋根となる耐火試験体を製作した。
(耐火試験)
前記実施例1、2、及び比較例1の耐火試験体について、ISO834の加熱条件に従い、65kgのおもりを耐火試験体に載荷しながら、30分間、植毛部がある植毛基材層側から加熱した。この結果、実施例1及び2の耐火試験体は、遮炎性を有する共に、損傷もなく、耐火材として充分機能していることが解った。一方、比較例の耐火試験体は、試験開始20分後にパネル継ぎ目より火炎が噴出した。
前記実施例1、2、及び比較例1の耐火試験体について、ISO834の加熱条件に従い、65kgのおもりを耐火試験体に載荷しながら、30分間、植毛部がある植毛基材層側から加熱した。この結果、実施例1及び2の耐火試験体は、遮炎性を有する共に、損傷もなく、耐火材として充分機能していることが解った。一方、比較例の耐火試験体は、試験開始20分後にパネル継ぎ目より火炎が噴出した。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
例えば、第二実施形態に係る植毛耐火材は、基板、熱膨張耐火材層、及び植毛基材層を順次積層させているが、植毛基材層の植毛部が露出していればよく、基板と熱膨張耐火材層との積層順序は逆でもよい。
また、第二実施形態に係る植毛耐火材は、成形して折板屋根、スパイラルダクトとして使用した実施例を示したが、板形状のまま建物の内壁等に用いてもよい。また、第一実施形態に係る植毛耐火材は、建材に巻装してもよく、建材の形状に合わせて切断して、建材に接着してもよい。
本発明の活用例として、熱膨張耐火材層と植毛基材層からなる植毛耐火材を鉄骨柱材に巻装し、耐火性と耐結露性とを備えた構造材とすることができる。
1,2…植毛耐火材 、11…植毛基材層 、11a…基材部 、11b…植毛部 、12…熱膨張耐火材層 、13…基板 、20…折板屋根 、21…耐火屋根部材 、40…スパイラルダクト
Claims (4)
- 加熱されると膨張する熱膨張耐火材層と、表面から多数の繊維が突起する植毛基材層と、を積層したことを特徴とする植毛耐火材。
- 前記熱膨張耐火材層には、さらに基板を積層したことを特徴とする請求項1に記載の植毛耐火材。
- 前記植毛基材層は、前記繊維からなる植毛部と該植毛部のベースとなる基材部を有し、該基材部は、熱線反射材からなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の植毛耐火材。
- 前記基板は、鋼板からなり、前記熱線反射材は、アルミニウム箔積層紙又はアルミガラスクロスであることを特徴とする請求項3に記載の植毛耐火材。
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