JP2005218242A - 交流モータ駆動回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の直列数を増加する等の方法を必要とせずに、電源電圧よりも高電圧の交流を交流モータに供給し、交流モータの駆動力向上を容易に達成できる交流モータ駆動回路を提供する。
【解決手段】電源からの直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路と、前記昇圧チョッパ回路に駆動パルスを供給するためのチョッパドライブ回路と、前記昇圧チョッパ回路で昇圧された直流を交流電圧に変換して交流モータに供給するインバータ手段と、前記インバータ手段に駆動パルスを供給するインバータドライブ回路を有し、インバータドライブ回路よりの駆動パルスの出力を、昇圧チョッパ回路内の平滑コンデンサ両端の電圧が最大となる時点に同期させることを特徴とする交流モータ駆動回路。
【選択図】図4

Description

この発明は交流モータ駆動回路に関し、特に、自動車の駆動源として搭載される交流モータを駆動するための交流モータ駆動回路に関する。
近年、電気モータ(以下単にモータと言う。)は、自動車にも搭載され駆動源として用いられるようになっている。例えば、排気ガスを軽減でき環境汚染を防止できるものとして注目され、実用化されているハイブリッド車は、ガソリンエンジンとモータとを駆動源として走行するものである。
特開2001−292578号公報には、電気自動車やハイブリッド車を駆動するモータ駆動回路が開示されている。このモータ駆動回路は、電池からの直流電圧をインバータ装置に供給し、インバータ装置からの交流電圧でモータを駆動するものである。
自動車の駆動源としてのモータの駆動電圧は、従来は、200〜300V程度であった。しかし近年、自動車の加速力の向上を目指して、駆動電圧は高電圧に移行しており、今後は500Vを超える駆動電圧が必要とされている。このような高電圧を、電源の電池の直列数の増加により得る場合は、電池の容積が増加する問題が生じる。そこで、電池の直列数を増加することなく、高いモータ駆動電圧を得ることを可能とするモータ駆動回路が求められている。
特開2001−292578号公報
本発明は、電池の直列数を増加する等の方法を必要とせずに、電源電圧よりも高電圧の交流を交流モータに供給し、交流モータの駆動力向上を容易に達成できる交流モータ駆動回路を提供することをその課題とする。
本発明者は、電源からの直流電圧を昇圧する手段として昇圧チョッパ回路を用い、この昇圧チョッパ回路を制御するチョッパドライブ回路の駆動パルス出力と、インバータ手段を駆動させるインバータドライブ回路の駆動パルス出力とを同期させることにより、前記の課題が達成できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、その請求項1として、
電源からの直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路と、
前記昇圧チョッパ回路に駆動パルスを供給するためのチョッパドライブ回路と、
前記昇圧チョッパ回路で昇圧された直流を交流電圧に変換して交流モータに供給するインバータ手段と、
前記インバータ手段に駆動パルスを供給するインバータドライブ回路を有し、
インバータドライブ回路よりの駆動パルスの出力を、昇圧チョッパ回路内の平滑コンデンサ両端の電圧が最大となる時点に同期させることを特徴とする交流モータ駆動回路を提供する。
本発明の交流モータ駆動回路は、電源からの直流電圧を昇圧する手段として昇圧チョッパ回路を用いる。昇圧チョッパ回路は、通常、電源からの直流電圧が与えられてエネルギーを蓄えるリアクトルと、前記リアクトルから出力される直流電圧をスイッチングし、前記蓄積されたエネルギーに基づいて高電圧の断続パルスを出力する昇圧スイッチング素子、電流の向きを制御するダイオードと、平滑コンデンサを有する。
前記リアクトルから出力される直流電圧をスイッチングすることにより、リアクトルに蓄えられたエネルギーに基づいて高電圧の断続パルスが出力され、この断続パルスにより平滑コンデンサが充電されるとともに負荷に電流が流れる。昇圧スイッチング素子がオフのとき、平滑コンデンサが充電されるので、昇圧スイッチング素子がオフからオンに変わる時点で、平滑コンデンサの両端の電圧は最大になる。なお、特開2000−102177号公報に記載のモータ駆動回路にも、昇圧チョッパ回路が用いられている。ただし、同公報記載の回路では、主機用充電手段を充電するために用いられているが、本発明では、駆動用モータへの電力供給のために用いられる。
前記昇圧チョッパ回路は、チョッパドライブ回路より昇圧スイッチング素子に供給されるパルス(駆動パルス)により昇圧動作を行う。すなわち、該駆動パルスのオン、オフにより、昇圧スイッチング素子がオン、オフとなる。従って、本発明の交流モータ駆動回路は、昇圧チョッパ回路に駆動パルスを供給するためのチョッパドライブ回路を有する。
前記昇圧チョッパ回路で昇圧された直流は、インバータ手段により交流電圧に変換され交流モータに供給される。前記インバータ手段は、通常のインバータと同様、スイッチング素子により、直流電圧を交流電圧に変換するものであり、変換された交流電圧は交流モータに供給され交流モータが駆動される。前記インバータ手段は、インバータドライブ回路より、前記スイッチング素子に供給される駆動パルスにより作動する。従って、本発明の交流モータ駆動回路は、前記インバータ手段に駆動パルスを供給するインバータドライブ回路を有する。
本発明の交流モータ駆動回路は、インバータドライブ回路よりの駆動パルス出力を、チョッパドライブ回路より出力される各駆動パルスに同期させることを特徴とする。ここで、各パルスに同期させるとは、チョッパドライブ回路よりの駆動パルスの周期と、インバータドライブ回路よりの駆動パルスの周期とを同じにするとともに、チョッパドライブ回路よりの各駆動パルスがオフからオンに変わる時点、すなわち平滑コンデンサの両端の電圧が最大になる時点、及び/又はその近傍の時間にインバータドライブ回路よりの駆動パルスを出力させることを言う。その近傍の時間とは、平滑コンデンサの両端の電圧が最大になる時点の前後、特に前であって、チョッパドライブ回路よりの各駆動パルスの出力時間に比べて、短い時間を言う。
インバータドライブ回路よりの駆動パルス出力を、チョッパドライブ回路より出力される各駆動パルスに同期させることにより、インバータ手段より交流モータに供給される出力をより高電圧とすることができ、自動車の加速力の向上等を達成することができる。
特に、インバータドライブ回路よりの駆動パルスが、昇圧チョッパ回路内の平滑コンデンサの両端の電圧が最大となる時点、及び該時点の前後の短時間に出力されると、さらに上昇した高電圧が交流モータに供給されるようになるので、より好ましい。ここで、短時間とは、チョッパドライブ回路より出力される各駆動パルスの出力時間より非常に短い時間を意味し、より短い時間であるほど交流モータに供給される電圧が上昇する。
本発明の請求項2は、この好ましい態様に該当し、前記の交流モータ駆動回路であって、インバータドライブ回路よりの駆動パルスを、昇圧チョッパ回路内の平滑コンデンサ両端の電圧が最大となる時点の前後の短時間に出力させることを特徴とする交流モータ駆動回路を提供するものである。平滑コンデンサ両端の電圧が最大となる時点後、両端電圧は、急速に低下するので、インバータドライブ回路よりの駆動パルスの出力は、該時点においてオフになることがさらに好ましい。
本発明の交流モータ駆動回路により駆動される交流モータとしては、3相交流モータ等の多相交流モータが滑らかで強力な駆動力を得るために好ましく用いられる。特に3相交流モータが好ましい。本発明の交流モータ駆動回路であって、3相交流モータの駆動に用いられるもののインバータ手段は、インバータドライブ回路より供給される3相の駆動パルスに応じてスイッチングして3相交流電圧を前記3相交流モータに供給するスイッチング素子を有する。
本発明の請求項3は、この好ましい態様に該当し、前記の交流モータ駆動回路であって、前記交流モータは3相交流モータであって、前記インバータ手段は、インバータドライブ回路より出力される3相の駆動パルスに応じてスイッチングして3相交流電圧を前記3相交流モータに供給するスイッチング素子を有することを特徴とする交流モータ駆動回路を提供するものである。
自動車の駆動源としてのモータは、減速時や坂道の下りの際には、発電機として作用し回生電圧を発生する。そこで、好ましくは回生電圧により電源の電池を充電する回生機能を有する。交流モータより発生する回生電圧は交流であり、一方電池の充電は直流により行われるので、好ましくは、前記インバータ手段が、前記交流モータにより発生される回生電圧を整流して直流を出力する。又、本発明の交流モータ駆動回路は高い回生電圧を発生するので、この出力された直流の電圧も高い。そこで好ましくは、さらに回生電圧を充電に適当な電圧、通常電源が発生する直流電圧と同程度の電圧に降圧する手段を有する。
本発明の請求項4は、この好ましい態様に該当し、前記の交流モータ駆動回路であって、回生時には前記インバータ手段が、前記交流モータにより発生される回生電圧を整流して出力し、かつ前記インバータ手段から出力された整流電圧を、前記電源を充電するための電圧に降圧する降圧手段を有することを特徴とする交流モータ駆動回路を提供するものである。この構成により、モータの回生時には、回生電圧は充電に適当な電圧、通常電源が発生する直流電圧と同程度の電圧、に降圧されるので、高い回生電圧にも係わらず電源の電池を適当な電圧で充電することができる。
なお、特開2001−292578号公報に記載のモータ駆動回路は、回生機能を有するが、降圧手段については記載されていない。従って、高い回生電圧を生じるモータの場合には、高電圧のまま電池を充電することになり、電圧を下げて電池を充電することができない。
前記降圧手段としては、降圧チョッパ回路が好ましく例示される。請求項5は、この好ましい態様に該当し、前記の交流モータ駆動回路であって、前記降圧手段は降圧チョッパ回路であって、前記インバータ手段から出力された整流電圧をスイッチングする降圧スイッチング素子と、降圧スイッチング素子のオン時にエネルギーを蓄積するリアクトルと、前記降圧スイッチング素子のオフ時にリアクトルに蓄積されたエネルギーに基づいて前記電源に還流電流を流すダイオードを有することを特徴とする交流モータ駆動回路を提供するものである。
なお前記昇圧チョッパ回路及び降圧チョッパ回路として、両者を一体化し、両者の機能を有する回路、例えば一端が入力又は出力の陽極側端子に接続しているリアクトル、互いに直列に接続されており、両者の間でリアクトルの他端と接続している2個のダイオード、かつ該2個のダイオードとそれぞれ並列に設けられており、かつ互いに直列に接続されている2個の半導体素子を有するチョッパ回路を用いることも可能であり、回路の複雑化を防ぐために好ましい。
なお、前記インバータ手段のスイッチング素子としては、SiC、GaN、C等の高温動作可能なワイドバンドギャップデバイスや、Siの絶縁ゲート型トランジスタ(IGBT)やパワーMOSFET等の半導体素子が例示される。又前記インバータ手段は、スイッチング素子に加えて整流素子を共に有する。好ましくは、前記整流素子は、前記スイッチング素子に対して並列に接続される。前記整流素子と前記スイッチング素子を並列に接続する代わりに、整流素子とスイッチング素子を内蔵するパワースイッチングデバイスを用いることもできる。
昇圧スイッチング素子や降圧スイッチング素子としては、絶縁ゲート型トランジスタ(IGBT)やパワーMOSFET等の半導体素子が例示される。前記の昇圧チョッパ回路による昇圧比及び降圧チョッパ回路による降圧比は、スイッチングのオン時間とオフ時間の比により決められる。そこで、好ましくは、出力電圧を一定にするため、出力電圧をモニタして、オン時間とオフ時間の比を調整する帰還制御が行われる。
なお、前記の昇圧チョッパ回路、降圧チョッパ回路においては、整流素子やダイオードとして、パワースイッチングデバイスの内蔵ダイオードを用いることができる。すなわち、スイッチング素子と整流素子やダイオードを配線する代わりに、その中にスイッチング素子と整流素子やダイオードを並列に接続したパワースイッチングデバイスを配線しても同様な効果が得られる。
本発明の交流モータ駆動回路により、電源の電池の直列数を増加する等の方法を必要とせずに、電源電圧よりも高電圧の交流を交流モータに供給し、交流モータの駆動力向上を容易に達成できる。
図1は本発明の交流モータ駆動回路に用いられる昇圧チョッパ回路の原理図であり、図2はチョッパ周期の駆動パルスの波形図である。図1において、電池Bの正電極からの直流電圧EはリアクトルLを介して半導体素子Sのコレクタに与えられるとともに、ダイオードDのアノードに与えられる。半導体素子Sのベースには図2に示すオン時間、オフ時間を繰り返すチョッパ周期の駆動パルスが与えられる。半導体素子Sはこの駆動パルスによりスイッチング(オン、オフ)する。ダイオードDのカソードは平滑コンデンサCの一端と負荷Rの一端とに接続される。電池Bの負電極と半導体素子SのエミッタとコンデンサCの他端と負荷Rの他端は共通接続されている。
図2に示した駆動パルスがチョッパ周期でオン時間になると半導体素子SがオンしてリアクトルLに電流iが流れてリアクトルLにエネルギーが蓄積される。半導体素子Sがオン、オフすることにより、半導体素子SとリアクトルLの接続点に高電圧の断続パルスが出力され、この断続パルスによりダイオードDを介して平滑コンデンサCが充電されるとともに負荷Rに電流iが流れる。
駆動パルスがオフ時間になると半導体素子Sがオフとなるが、リアクトルLに蓄積されたエネルギーにより平滑コンデンサCが充電されるとともに負荷Rに電力が供給され続ける。負荷Rに供給される直流電圧Eは、昇圧された電圧であって、駆動パルスのオン時間とオフ時間の比に応じて任意の電圧に設定できる。
図3は、この発明の好ましい態様、すなわち回生機能及び降圧チョッパ回路を備えた交流モータ駆動回路に用いられる降圧チョッパ回路の原理図である。
図3において、電池Bはその正電極から直流電圧Eを発生し、半導体素子Sのコレクタに与える。半導体素子Sのベースには図2に示したチョッパ周期の駆動パルスが与えられる。半導体素子Sはこの駆動パルスによりスイッチング(オン、オフ)する。半導体素子SのエミッタにはリアクトルLの一端とダイオードDのカソードとが接続されており、リアクトルLの他端は平滑コンデンサCの一端と負荷Rの一端に接続されている。電池Bの負電極、ダイオードDのアノード及び平滑コンデンサCの他端と負荷Rの他端は共通接続されている。
駆動パルスがチョッパ周期のオン時間には半導体素子Sがオンして、半導体素子Sのエミッタから電池Bの電圧Eが出力され、リアクトルLを介して平滑コンデンサCが充電されるとともに負荷Rに電流iが流れて負荷Rの両端に電圧Eが生じる。このときリアクトルLにエネルギーが蓄積される。駆動パルスがオフ時間になると半導体素子Sがオフし、エミッタの電圧は0Vになり、電池Bから負荷Rに電流iが流れなくなる。
しかし、リアクトルLにエネルギーが蓄積されているとともに平滑コンデンサCが充電されているため、ダイオードDの両端に電圧Vfが生じ、ダイオードD、リアクトルL、平滑コンデンサCからなる閉回路に還流電流が流れ、負荷Rに電圧Eが印加される。この電圧Eは、駆動パルスの周波数を十分に高く設定しておくことにより、リップルの小さい電圧とすることができる。この直流電圧Eは電池Bから出力される直流電圧Eを降圧した電圧であって、駆動パルスのオン時間とオフ時間の比に応じて任意の電圧に設定できる。
図4はこの発明の一実施形態のモータ駆動回路を示す回路図である。図4において、モータ駆動回路は、チョッパ回路1と、チョッパドライブ回路2と、インバータ回路3と、インバータドライブ回路4を有する。チョッパ回路1は図3に示した降圧チョッパ回路と、図1に示した昇圧チョッパ回路とを逆向きに複合したものである。
電池Bの正電極はチョッパ回路1中のリアクトルLの一端に接続され、リアクトルLの他端はダイオードD2のアノードと、ダイオードD1のカソードと、パワーMOSFET S1のソースと、パワーMOSFET S2のドレインとに接続されている。ダイオードD2のカソードとパワーMOSFET S1のドレインはノードPに接続され、電池Bの負電極とダイオードD1のアノードとパワーMOSFET S2のソースはノードNに接続されている。ノードNは接地され、ノードPとNとの間には平滑コンデンサCが接続されている。パワーMOSFET S1、S2の各ゲートにはチョッパドライブ回路2から駆動パルスd1、d2が与えられる。
チョッパ回路1のパワーMOSFET S1は、オン、オフすることによりダイオードD1を介して降圧した電圧を電池Bに出力する降圧チョッパ回路として動作し、パワーMOSFET S2はオン、オフすることにより、ダイオードD2を介して電池Bの電圧を昇圧した電圧を出力する昇圧チョッパ回路として動作する。
パワーMOSFET S3〜S8は、昇圧チョッパ回路で昇圧された直流電圧を3相の交流電圧に変換してモータMを駆動するインバータ回路3を構成している。モータMはインバータ回路3から出力される3相のドライブ信号によって駆動される。このためにノードPとNとの間には、昇圧された直流電圧を3相のドライブ信号に変換するためのパワーMOSFET S3とS4、S5とS6、S7とS8の直列回路が接続されている。
すなわち、パワーMOSFET S3、S5、S7のドレインはノードPに接続され、パワーMOSFET S3、S5、S7のソースはそれぞれパワーMOSFET S4、S6、S8のドレインに接続され、パワーMOSFET S4、S6、S8のソースはノードNに接続されている。また、パワーMOSFET S3〜S8の各ゲートには、インバータドライブ回路4から駆動パルスが与えられている。
各パワーMOSFET S3〜S8のドレインとソースとの間には帰還ダイオードD3〜D8が、それぞれのカソードがドレイン側に、アノードがソース側になるように並列に接続されている。これらの帰還ダイオードD3〜D8は、回生時にモータMで生じた交流の回生電圧を直流電圧(脈流)に整流してノードP、N間に出力する。
次に、図4に示したモータ駆動回路の動作について説明する。図5は図4のチョッパドライブ回路2から出力される駆動パルスを示す波形図である。
モータ駆動時には、図5(a)に示すように、チョッパドライブ回路2からオン、オフする駆動パルスd2が出力されてパワーMOSFET S2のゲートに与えられる。この駆動パルスd2のオン時間、オフ時間の比は、電池Bの電圧が所定の電圧に昇圧されるように設定されている。この時、パワーMOSFET S1のゲートに与えられる駆動パルスd1は、図5(b)に示すように「L」レベルに設定されており、パワーMOSFET S1はオフの状態を維持している。
パワーMOSFET S2がオン、オフすることにより、前記の図1の説明と同様にして、パワーMOSFET S2のドレインとリアクトルLの接続点に高電圧の断続パルスが出力される。この高電圧の断続パルスは、ダイオードD2を介してノードP、N間に出力され、平滑コンデンサCによって平滑されて昇圧された直流電圧になる。
インバータ回路3では、各パワーMOSFET S3とS4、S5とS6、S7とS8が、インバータドライブ回路4から与えられる駆動パルスに応じて、位相が120°異なるごとにオン、オフし、3相の交流電圧を発生する。すなわち、各パワーMOSFET S3とS4、S5とS6、又はS7とS8がオンとなるとき、チョッパ回路1で発生した昇圧された電圧が、S3とS4、S5とS6、又はS7とS8の接続点からモータに供給されるので、パワーMOSFET S3、S4、S5、S6、S7、S8の各組合せにおいて、オンとなるタイミングを120°ずらすことにより、等価的な3相交流電圧を発生させることができる。この発生した3相の交流電圧を、モータMに供給することにより、モータMは電源の電池の直流電圧より高い交流電圧で回転駆動される。
図4の例のモータ駆動回路では、インバータドライブ回路4から与えられる駆動パルス(以下及び図6中において、PWMパルスと言う。)の出力は、チョッパドライブ回路2からの駆動パルスd2に同期する。より具体的には、駆動パルスd2の周期(チョップ周期)とPWMパルスの周期(PWM周期)が同一であり、かつ、駆動パルスd2がオフからオンに変わる時点の近傍の時点で、PWMパルスがオンであるように、すなわち、平滑コンデンサCの両端の電圧が最大となる時点に、インバータドライブ回路4によるモータ駆動パルスが発生するように、同期して動作させる。
図6は、図4の例のモータ駆動回路における(a)駆動パルスd2、(b)平滑コンデンサC両端の電圧、及び(c)PWMパルスの出力の時間変化を示す概念図である。駆動パルスd2がオフのとき、リアクトルLに蓄積されたエネルギーにより平滑コンデンサCが充電されるので、図6より明らかなように、平滑コンデンサC両端の電圧は時間とともに増大する。
駆動パルスd2がオンになると、平滑コンデンサCのエネルギーは放電されるので、平滑コンデンサC両端の電圧は急激に減少する。従って、駆動パルスd2がオフからオンに変わる時点で、平滑コンデンサC両端の電圧は最大になる。
上記のように、PWMパルスがオンのとき、チョッパ回路により昇圧された電圧、すなわち平滑コンデンサC両端の電圧がモータ側へ供給されるので、PWMパルスを、駆動パルスd2がオフからオンに変わる時点及び/又はその前後の短い時間にオンにすることにより、高いモータ駆動電圧を得ることができる。
特に、駆動パルスd2がオフからオンに変わる時点を含み該時点の前の短時間においてPWMパルスをオンにすれば、より高いモータ駆動電圧を得ることができる。この場合、駆動パルスd2のオフの時間が短い程、平滑コンデンサC両端の電圧がより高い時期にモータ側へ電圧が供給されるので好ましい。
一方、駆動パルスd2がオフからオンとなった後は、平滑コンデンサC両端の電圧が急激に低下する。従って、駆動パルスd2がオフからオンに変わる時点において、PWMパルスをオフにすることが好ましい。又は、遅くても駆動パルスd2がオフからオンに変わる時点後のできるだけ短時間内に、PWMパルスをオフにすることが望まれる。図6の例では、チョッパ周期とPWM周期が同一であり、駆動パルスd2がオフからオンに変わる時点でPWMパルスはオフとなり、該時点の直前の短時間のみPWMパルスはオンとなっている。
減速時や下り坂になると、モータMは発電機として作用し、3相交流の回生電圧を発生する。この回生電圧は、相ごとに帰還ダイオードD3とD4、D5とD6、D7とD8により整流されて脈流となってノードP、N間に出力され、チョッパ回路1に供給される。チョッパ回路1に供給された脈流は、平滑コンデンサCにより平滑されて直流電圧となる。
回生時にはチョッパドライブ回路2は、駆動パルスd2を図5(d)に示すように「L」レベルにしてパワーMOSFET S2をオフ状態にし、駆動パルスd1を図5(c)に示すようにオン、オフさせることによりパワーMOSFET S1をオン、オフさせる。このとき、パワーMOSFET S1のゲートに与えられる駆動パルスd1は、回生電圧を所定の電圧に降圧するように、オン時間,オフ時間の比が設定されている。パワーMOSFET S2のオン、オフにより、前記図1の説明と同様にして、インバータ回路3より供給されて平滑コンデンサCにより平滑された直流電圧を降圧し、ダイオードD1を介して電池Bを充電する。
したがって、上記の実施形態によれば、電池Bの直流電圧を昇圧チョッパ回路で昇圧し、インバータ回路3で3相交流電圧に変換してモータMを駆動して自動車を走行させることができる。また、平滑コンデンサC両端の電圧が高いときに合わせて、PWMパルスがオンとなり交流モータに電圧が供給されるので、高いモータ駆動電圧を得ることができる。さらに、自動車の減速時や下り坂を走行しているときは、モータMを発電機として動作させて3相交流の回生電圧を発生させ、インバータ回路3で脈流電圧に整流し、平滑コンデンサCで直流に平滑し、降圧チョッパ回路により電池Bの電圧とほぼ等しい直流電圧を発生させて電池Bを充電することができる。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明に適用される昇圧チョッパ回路の原理図である。 チョッパ周期の駆動パルスの波形図である。 この発明に適用される降圧チョッパ回路の原理図である。 この発明の一実施形態のモータ駆動回路を示す回路図である。 図4のチョッパドライブ回路から出力される駆動パルスの波形図である。 チョッパドライブ回路から出力される駆動パルス、平滑コンデンサC両端の電圧、PWMパルスの時間変化を示す概念図である。
符号の説明
1 チョッパ回路
2 チョッパドライブ回路
3 インバータ回路
4 インバータドライブ回路
B 電池
S 半導体素子
L リアクトル
D、D1、D2、D ダイオード
D3〜D8 帰還ダイオード
C、C1 平滑コンデンサ
R 負荷
S1〜S8 各パワーMOSFET
P、N ノード
M 交流モータ

Claims (5)

  1. 電源からの直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路と、
    前記昇圧チョッパ回路に駆動パルスを供給するためのチョッパドライブ回路と、
    前記昇圧チョッパ回路で昇圧された直流を交流電圧に変換して交流モータに供給するインバータ手段と、
    前記インバータ手段に駆動パルスを供給するインバータドライブ回路を有し、
    インバータドライブ回路よりの駆動パルスの出力を、昇圧チョッパ回路内の平滑コンデンサ両端の電圧が最大となる時点に同期させることを特徴とする交流モータ駆動回路。
  2. インバータドライブ回路よりの駆動パルスを、昇圧チョッパ回路内の平滑コンデンサ両端の電圧が最大となる時点の前後の短時間に出力させることを特徴とする請求項1に記載の交流モータ駆動回路。
  3. 前記交流モータは3相交流モータであって、
    前記インバータ手段は、インバータドライブ回路より出力される3相の駆動パルスに応じてスイッチングして3相交流電圧を前記3相交流モータに供給するスイッチング素子を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交流モータ駆動回路。
  4. 回生時には前記インバータ手段が、前記交流モータにより発生される回生電圧を整流して出力し、かつ前記インバータ手段から出力された整流電圧を、前記電源を充電するための電圧に降圧する降圧手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の交流モータ駆動回路。
  5. 前記降圧手段は降圧チョッパ回路であって、
    前記インバータ手段から出力された整流電圧をスイッチングする降圧スイッチング素子と、
    降圧スイッチング素子のオン時にエネルギーを蓄積するリアクトルと、
    前記降圧スイッチング素子のオフ時に前記リアクトルに蓄積されたエネルギーに基づいて、前記電源に還流電流を流すダイオードを有することを特徴とする請求項4に記載の交流モータ駆動回路。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014515911A (ja) * 2010-12-08 2014-07-03 フレクストロニクス オートモティブ インコーポレイテッド 低損失低雑音電動機制御システム
CN114337277A (zh) * 2020-09-30 2022-04-12 日立安斯泰莫株式会社 变压控制装置以及电磁阀驱动装置

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