JP2005217185A - コンデンサ素子及び電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 陽極部を形成する弁金属基体に亀裂が発生することを防止できるコンデンサ素子及び電解コンデンサを提供する。
【解決手段】 固体電解コンデンサのコンデンサ素子3はアルミニウム基体15を有し、このアルミニウム基体15の粗面化された表面には、酸化アルミニウム被膜16が成膜されている。アルミニウム基体15及び酸化アルミニウム被膜16は、陽極部11を形成している。陽極部11における陽極端子14を除く領域の酸化アルミニウム被膜16上には固体電解質層17が形成され、この固体電解質層17上にはグラファイトペースト層18及び銀ペースト層19が順に形成されている。固体電解質層17、グラファイトペースト層18及び銀ペースト層19は、陰極部12を形成している。陽極端子14を形成する酸化アルミニウム被膜16上には、弾力性を有する弾性樹脂製の粘着テープで形成され陽極端子14を保護する被覆部20が設けられている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、陽極端子をもった陽極部と陰極部とを有するコンデンサ素子及び電解コンデンサに関するものである。
従来の電解コンデンサとしては、例えば特許文献1に記載されている固体電解コンデンサがある。この文献に記載の固体電解コンデンサのコンデンサ素子は、陽極酸化被膜が形成されたアルミニウム基板の一部領域の表面にコンデンサ部を形成したものである。コンデンサ部は、アルミニウム基板の表面に導電性機能高分子膜を形成し、更に導電性機能高分子膜の表面にグラファイト層及び銀ペースト層を順次形成することにより作られている。
特開平6−267802号公報
ところで、上記のようなコンデンサ素子を備えた固体電解コンデンサでは、固体電解コンデンサの持つ静電容量を増大させるために、複数のコンデンサ素子をベース基板上に積層することがある。このとき、各コンデンサ素子の陽極部を形成するアルミニウム基板の露出部分(陽極端子)は、例えばレーザ溶接によりベース基板に固定され、各コンデンサ素子の陰極部を形成するコンデンサ部は、例えば導電性接着剤によりベース基板に固定される。しかし、このような固定方法では、導電性接着剤の厚み分だけコンデンサ部の位置が高くなるため、陽極端子(アルミニウム基板)をベース基板に固定する際に、アルミニウム基板をベース基板側に曲げる必要が生じる。この場合、特に上層のコンデンサ素子では、アルミニウム基板の曲げ量が大きくなるため、アルミニウム基板に亀裂が生じ、最悪の場合にはアルミニウム基板が断線するおそれがある。
本発明の目的は、陽極部を形成する弁金属基体に亀裂が発生することを防止できるコンデンサ素子及び電解コンデンサを提供することである。
本発明は、陽極端子をもった陽極部と陰極部とを有するコンデンサ素子であって、陽極部は、弁金属基体と弁金属基体の表面に形成された誘電体層とを含んでなり、陰極部は、陽極部における陽極端子を除く領域の誘電体層上に形成された電解質層と、電解質層上に形成された導電体層とを含んでなり、陽極端子を形成する誘電体層上には、弾力性を有する弾性樹脂で形成され、陽極端子を保護する被覆部が設けられていることを特徴とするものである。
このようなコンデンサ素子を被接続体の上に積層して置く場合は、例えば導電性接着剤によって各コンデンサ素子の陰極部を被接続体に固定すると共に、各コンデンサ素子の陽極端子を被接続体側に曲げた状態で、例えばレーザ溶接によって陽極端子を被接続体に固定する。このとき、特に上層の各コンデンサ素子の陽極端子を被接続体側に急激に曲げると、陽極端子を形成する誘電体層の曲げ部分に亀裂が生じる可能性がある。しかし、その誘電体層上には、弾性樹脂で形成された被覆部が設けられているので、陽極端子を曲げることで誘電体層に亀裂が生じても、その亀裂の広がり(進行)が被覆部によって抑えられる。これにより、誘電体層に生じた亀裂が弁金属基体にまで達することは殆ど無いため、弁金属基体に亀裂が生じることが防止される。
好ましくは、被覆部は、弾性樹脂製の粘着テープを誘電体層に貼り付けることにより形成されている。この場合には、例えば市販の粘着テープを誘電体層に貼り付けるだけで良いので、被覆部の形成作業を容易に行うことができ、コスト的にも有利である。
また、被覆部は、弾性樹脂を誘電体層にコーティングすることにより形成されていてもよい。例えば弁金属基体の表面が粗面化(拡面化)されている場合には、弾性樹脂を誘電体層にコーティングすると、弁金属基体の粗面化によって形成された凹部の底部にまで弾性樹脂が入り込むようになる。このため、弾性樹脂と誘電体層との密着部分が増大するので、陽極端子を曲げたときに、誘電体層に亀裂が生じにくくなる。これにより、弁金属基体に亀裂が発生することを一層防止できる。
また、本発明は、陽極ランド及び陰極ランドを有する被接続体と、陽極ランドに接続された陽極端子をもった陽極部と陰極ランドに接続された陰極部とを有するコンデンサ素子とを備えた電解コンデンサであって、陽極部は、弁金属基体と弁金属基体の表面に形成された誘電体層とを含んでなり、陰極部は、陽極部における陽極端子を除く領域の誘電体層上に形成された電解質層と、電解質層上に形成された導電体層とを含んでなり、陽極部の陽極端子は、被接続体側に曲げられた状態で陽極ランドに接続されており、陽極端子を形成する誘電体層上には、弾力性を有する弾性樹脂で形成され、陽極端子を保護する被覆部が設けられていることを特徴とするものである。
このように陽極端子を形成する誘電体層上に、弾性樹脂で形成された被覆部を設けることにより、コンデンサ素子を被接続体に接続する際に、陽極端子を被接続体側に大きく曲げることで誘電体層に亀裂が生じても、その亀裂の広がり(進行)が被覆部によって抑えられる。これにより、誘電体層に生じた亀裂が弁金属基体にまで達することは殆ど無いため、弁金属基体に亀裂が生じることが防止される。
本発明によれば、コンデンサ素子の陽極端子を形成する誘電体層上に、弾性樹脂で形成され陽極端子を保護する被覆部を設けたので、陽極端子を曲げたときに、陽極端子を形成する弁金属基体に亀裂や断線が生じることを防止できる。これにより、コンデンサ素子としての特性を損なうことを防止できる。
以下、本発明に係わるコンデンサ素子及び電解コンデンサの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わるコンデンサ素子の一実施形態を備えた固体電解コンデンサを示す一部断面を含む概略構成図であり、図2は、その固体電解コンデンサの要部平面図である。各図において、本実施形態の固体電解コンデンサ1は、基板2と、この基板2上に載置された複数(ここでは3つ)の2端子型のコンデンサ素子3と、これらのコンデンサ素子3をモールド固定する樹脂モールド部4とを備えている。
基板2は、例えばエポキシ樹脂製のプリント基板である。基板2の上面には、銅製の陽極ランド5及び陰極ランド6が印刷され、基板2の下面には、銅製の陽極ランド7及び陰極ランド8が印刷されている。また、基板2には、陽極ランド5,7同士を電気的に接続するビアホール9と、陰極ランド6,8同士を電気的に接続するビアホール10とが形成されている。
このような基板2上に置かれるコンデンサ素子3は、陽極部11と、陰極部12と、絶縁層13とを有している。陽極部11の一部領域(一端側の領域)は、陽極端子14を構成している。陽極端子14は、基板2の陽極ランド5と電気的に接続され、陰極部12は、基板2の陰極ランド6と電気的に接続されている。絶縁層13は、陽極部11と陰極部12とを電気的に絶縁させている。
図3は、コンデンサ素子3の構造を概略的に示した断面図であり、図4は、コンデンサ素子3の一部構造を詳細に示した拡大断面図である。
各図において、コンデンサ素子3は、箔状のアルミニウム基体15を有し、このアルミニウム基体15の表面は、一端面を除き、エッチング処理によって粗面化(拡面化)されている。このアルミニウム基体15の粗面化された表面には、陽極酸化によって絶縁性酸化アルミニウム(Al)被膜16が成膜されている。これらのアルミニウム基体15及び酸化アルミニウム被膜16の全体は、上記の陽極部11を形成している。そして、この陽極部11における絶縁層13から一端(図3で見て右端)までの領域が、上記の陽極端子14を形成している。なお、アルミニウム基体15の厚さは、例えば90〜100μm程度であり、酸化アルミニウム被膜16の膜厚は、例えば数nm〜数十nm程度である。
陽極部11における陽極端子14及び絶縁層13を除く領域の酸化アルミニウム被膜16上には、導電性高分子化合物を含む固体電解質層17が形成されている。この固体電解質層17は、粗面化されたアルミニウム基体15によって形成された凹部15aに含漬している。なお、固体電解質層17は、モノマーの状態で凹部15aに含漬させた後、化学酸化重合または電解酸化重合して形成される。固体電解質層17上には、グラファイトペースト層18及び銀ペースト層19がスクリーン印刷法、浸漬法(ディップ法)及びスプレー塗布法のいずれかによって順に形成されている。これらの固体電解質層17、グラファイトペースト層18及び銀ペースト層19は、上記の陰極部12を形成している。
また、酸化アルミニウム被膜16上には、エポキシ樹脂等からなる上記の絶縁層13が陰極部12に隣接して形成されている。この絶縁層13は、スクリーン印刷法等によって形成されている。絶縁層13の形成は、陰極部12の形成前に行う。これにより、その後の固体電解質層17の形成工程において、重合液が毛細管現象によって酸化アルミニウム被膜16における陽極端子14の領域まで浸透してしまうことを確実に防止できる。なお、陽極端子14の領域への重合液の浸透を防ぐには、上記の絶縁層13の代わりに、アルミニウム基体15の粗面化構造を破壊して絶縁溝部を形成してもよい。
陽極端子14を形成する露出した酸化アルミニウム被膜16上には、陽極端子14を保護する被覆部20が設けられている。この被覆部20は、弾力性を有する弾性樹脂製の粘着テープで形成されている。このような粘着テープとしては、酸化アルミニウム被膜16に対して良好な接着性を有すると共に耐熱性及び難燃性に優れているという観点から、シリコーン系の粘着剤を含んだポリイミド製の粘着テープが望ましい。被覆部20は、アルミニウム基体15の上面側及び下面側において、絶縁層13の近傍から陽極端子14の先端に向けて延在している。なお、被覆部20の厚さは、50〜100μm程度である。
このようなコンデンサ素子3が図1に示すように基板2上に積層された状態では、各コンデンサ素子3の陽極端子14を形成するアルミニウム基体15がYAGレーザスポット溶接等によって陽極ランド5に接続されていると共に、各コンデンサ素子3の陰極部12を形成する銀ペースト層19が導電性接着剤21によって陰極ランド6に接続されている。
このとき、コンデンサ素子3の銀ペースト層19と陰極ランド6との接着、コンデンサ素子3の銀ペースト層19同士の接着を確実に行うためには、導電性接着剤21として十分な厚みPが必要となる。このため、各コンデンサ素子3を基板2に固定する際には、図1に示すように、コンデンサ素子3の陽極端子14を基板2側に折り曲げる必要がある。特に、上層のコンデンサ素子3については、陽極端子14と陰極部12との高低差が増大するため、陽極端子14の曲げ量が大きくならざるを得ない。
ところで、上述したように、陽極端子14を形成するアルミニウム基体15は粗面化されており、しかもその粗面化した表面には高硬度の酸化アルミニウム被膜16が形成されている。このため、陽極端子14を基板2側に大きく曲げると、図5に示すように、粗面化されたアルミニウム基体15によって形成された凹部15aにおいて、酸化アルミニウム被膜16にひび(亀裂)が入りやすくなる。このため、その亀裂によって陽極端子14に大きな応力集中がかかるため、酸化アルミニウム被膜16に生じた亀裂を起点として、アルミニウム基体15にも亀裂・破損等が生じ、最悪の場合にはアルミニウム基体15が断線してしまう可能性がある。このようにアルミニウム基体15に亀裂等が発生すると、コンデンサとしての特性(静電容量成分など)に悪影響を及ぼすことになる。
これに対し本実施形態においては、陽極端子14を形成する酸化アルミニウム被膜16上に被覆部20を設けたので、陽極端子14を基板2側に大きく曲げることで酸化アルミニウム被膜16に万が一亀裂が生じた場合でも、図5に示すように、酸化アルミニウム被膜16に密着している被覆部20によって、その亀裂が横に広がることが抑止される。これにより、酸化アルミニウム被膜16の亀裂に加わる応力が緩和されるため、酸化アルミニウム被膜16の亀裂に伴ったアルミニウム基体15の亀裂・破損等の発生を防ぐことができる。従って、固体電解コンデンサがもつコンデンサ特性の悪化を防止することが可能となる。また、被覆部20は、弾力性を有する弾性樹脂で形成されているので、陽極端子14が曲げにくくなることも無い。さらに、被覆部20として粘着テープを使用するので、被覆部20を容易にかつ安価に形成することが可能となる。
図7は、本発明に係わるコンデンサ素子の他の実施形態の一部構造を詳細に示した拡大断面図であり、上記の基板2に固定された時の状態を示したものである。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態のコンデンサ素子30は、上述した実施形態における被覆部20とは構造の異なる被覆部31を有している。被覆部31は、弾力性を有する弾性樹脂、例えばポリイミド樹脂やシリコーン樹脂等で形成されている。被覆部31は、陽極端子14を形成する酸化アルミニウム被膜16の表面に、液状の弾性樹脂をスクリーン印刷法等によってコーティング(塗布)し、その後で弾性樹脂を硬化させることにより形成されている。
このような方法を採用することにより、アルミニウム基体15の凹部15aの底(奥)にまで樹脂がしみ込むため、凹部15aの内部にも被覆部31が形成されるようになる。このため、酸化アルミニウム被膜16と被覆部31との密着面積が増大し、酸化アルミニウム被膜16が被覆部31によって十分に保護されるので、コンデンサ素子30を基板2に固定する際に、コンデンサ素子30の陽極端子14を基板2側に大きく曲げても、酸化アルミニウム被膜16に亀裂が入りにくくなる。従って、アルミニウム基体15に亀裂が発生することを一層確実に防止できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態のコンデンサ素子では、陽極端子14の上面側及び下面側において、酸化アルミニウム被膜16上に被覆部を設ける構成としたが、陽極端子14を基板2側に曲げたときに、陽極端子14の片面側の酸化アルミニウム被膜16だけに亀裂が発生するような場合には、それに合わせて陽極端子14の上面側及び下面側のいずれか一方においてのみ、酸化アルミニウム被膜16上に被覆部を設けても良い。また、被覆部の数や寸法等については、亀裂の発生具合等に応じて適宜設定すればよい。
また、上記実施形態のコンデンサ素子は、1つの陽極端子を有する2端子型のコンデンサ素子であるが、本発明は、複数の陽極端子を有する多端子型のコンデンサ素子にも適用可能である。さらに、上記実施形態の固体電解コンデンサは、コンデンサ素子を基板に固定する基板型コンデンサであるが、本発明は、コンデンサ素子をリードフレームに固定するリードフレーム型コンデンサにも適用可能である。
本発明に係わるコンデンサ素子の一実施形態を備えた電解コンデンサを示す一部断面を含む概略構成図である。 図1に示す電解コンデンサの要部平面図である。 図1に示すコンデンサ素子の構造を概略的に示した断面図である。 図3に示すコンデンサ素子の一部構造を詳細に示した拡大断面図である。 従来のコンデンサ素子が基板に固定されている時のコンデンサ素子の一部構造を詳細に示した拡大断面図である。 図4に示すコンデンサ素子が基板に固定されている時のコンデンサ素子の一部構造を詳細に示した拡大断面図である。 本発明に係わるコンデンサ素子の他の実施形態が基板に固定されている時のコンデンサ素子の一部構造を詳細に示した拡大断面図である。
符号の説明
1…固体電解コンデンサ、2…基板(被接続体)、3…コンデンサ素子、5…陽極ランド、6…陰極ランド、11…陽極部、12…陰極部、14…陽極端子、15…アルミニウム基体(弁金属基体)、16…酸化アルミニウム被膜(誘電体層)、17…固体電解質層、18…グラファイトペースト層、19…銀ペースト層(導電体層)、20…被覆部、30…コンデンサ素子、31…被覆部。

Claims (4)

  1. 陽極端子をもった陽極部と陰極部とを有するコンデンサ素子であって、
    前記陽極部は、弁金属基体と前記弁金属基体の表面に形成された誘電体層とを含んでなり、
    前記陰極部は、前記陽極部における前記陽極端子を除く領域の前記誘電体層上に形成された電解質層と、前記電解質層上に形成された導電体層とを含んでなり、
    前記陽極端子を形成する前記誘電体層上には、弾力性を有する弾性樹脂で形成され、前記陽極端子を保護する被覆部が設けられていることを特徴とするコンデンサ素子。
  2. 前記被覆部は、前記弾性樹脂製の粘着テープを前記誘電体層に貼り付けることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ素子。
  3. 前記被覆部は、前記弾性樹脂を前記誘電体層にコーティングすることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ素子。
  4. 陽極ランド及び陰極ランドを有する被接続体と、前記陽極ランドに接続された陽極端子をもった陽極部と前記陰極ランドに接続された陰極部とを有するコンデンサ素子とを備えた電解コンデンサであって、
    前記陽極部は、弁金属基体と前記弁金属基体の表面に形成された誘電体層とを含んでなり、
    前記陰極部は、前記陽極部における前記陽極端子を除く領域の前記誘電体層上に形成された電解質層と、前記電解質層上に形成された導電体層とを含んでなり、
    前記陽極部の前記陽極端子は、前記被接続体側に曲げられた状態で前記陽極ランドに接続されており、
    前記陽極端子を形成する前記誘電体層上には、弾力性を有する弾性樹脂で形成され、前記陽極端子を保護する被覆部が設けられていることを特徴とする電解コンデンサ。



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