JP2005217101A - 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電子部品の発した熱を外部や大気中に良好に放散させることができ、かつ電子部品を放熱部材に強固に接着させることが可能な電子部品収納用パッケージおよびそれを用いた電子装置を提供すること。
【解決手段】 電子部品収納用パッケージ8は、電子部品11の搭載部10を有する平板状の放熱部材1と、放熱部材1の上面に搭載部10を取り囲んで取着された、内側の搭載部10周辺から外表面に導出する複数の配線導体6を有する枠体5とを具備しており、放熱部材1は、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体2の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体3が埋設されているとともに、基体2および貫通金属体3の上下面を覆ってそれぞれ銅層4a,4bが形成されており、銅層4a,4bは、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下である。
【選択図】図1
【解決手段】 電子部品収納用パッケージ8は、電子部品11の搭載部10を有する平板状の放熱部材1と、放熱部材1の上面に搭載部10を取り囲んで取着された、内側の搭載部10周辺から外表面に導出する複数の配線導体6を有する枠体5とを具備しており、放熱部材1は、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体2の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体3が埋設されているとともに、基体2および貫通金属体3の上下面を覆ってそれぞれ銅層4a,4bが形成されており、銅層4a,4bは、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は良好な放熱特性の放熱構造を有する、半導体素子などの電子部品を収納するための電子部品収納用パッケージおよびそれを用いた電子装置に関するものである。
従来、半導体素子や圧電振動子、発光素子などの電子部品を収容するための電子部品収納用パッケージは、一般に酸化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等の電気絶縁材料から成る枠体と、電子部品が搭載されてその動作時に発生する熱を外部もしくは大気中に良好に放散させるための銅とタングステンとの合金材料または銅とモリブデンとの合金材料から成る放熱部材と蓋体とから構成されており、放熱部材の上面の電子部品の搭載部を取り囲むように枠体が配置されているとともに、これら枠体および放熱部材によって形成される凹部の内側から外側にかけて、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀等から成る複数の配線導体が枠体に被着され導出されている。
そして、放熱部材の上面の搭載部に電子部品をガラス,樹脂,ロウ材等の接着剤を介して接着固定するとともに、この電子部品の各電極をボンディングワイヤを介して配線導体に電気的に接続し、しかる後、枠体に蓋体をガラス,樹脂,ロウ材等から成る封止材を介して接合し、放熱部材と枠体と蓋体とから成る容器の内部に電子部品を収容することによって製品としての電子装置となる(例えば、下記の特許文献1参照)。この電子装置は、さらに放熱効率を向上させるために、ねじ止め等によって外部放熱板に搭載される場合もある。
このようなタングステンと銅との合金材料等から成る放熱部材を具備した電子部品収納用パッケージは、放熱部材の熱伝導率が高く、なおかつ放熱部材の熱膨張係数が、電子部品としての半導体素子の構成材料であるシリコン,ガリウム砒素やパッケージの構成材料として使われるセラミック材料等と熱膨張係数が近似することから、パワーICや高周波トランジスタ等の高発熱半導体素子を搭載する電子部品収納用パッケージとして注目されている。
特開平9−312361号公報
近年、パワーICや高周波トランジスタの高集積化に伴う発熱量の増大によって、現在では300W/m・K以上の熱伝導率を持つ放熱部材が求められている。しかしながら、前述のタングステンと銅との合金材料またはモリブデンと銅との合金材料から成る放熱部材の熱伝導率は200W/m・K程度とその要求に対して低いため、放熱特性が不十分であるという問題点があった。
これに対し、タングステンまたはモリブデンと銅とがマトリクス状に構成された複合材料、つまり、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る放熱部材を用いることが提案されている。
しかしながら、このタングステンまたはモリブデンと銅とがマトリクス状に構成された複合材料から成る放熱部材を用いた電子部品収納用パッケージでは、タングステンまたはモリブデンは熱伝導率,熱膨張係数が共に低く、銅は熱伝導率,熱膨張係数が共に高いため、銅の含有量を増加させるに伴って放熱部材の熱伝導率,熱膨張率も共に増加することとなる。よって、放熱部材の熱伝導率を向上させるために銅の含有量を増加させると、電子部品と放熱部材との熱膨張係数の差が大きくなり、電子部品を放熱部材に強固に接合することができなくなるという問題点があった。
本発明は上記従来の技術における問題に鑑み案出されたものであり、その目的は、電子部品の発した熱を外部や大気中に良好に放散させることができ、かつ電子部品を放熱部材に強固に接合させることが可能な電子部品収納用パッケージおよびそれを用いた電子装置を提供することにある。
本発明の電子部品収納用パッケージは、上面の中央部に電子部品の搭載部を有する平板状の放熱部材と、該放熱部材の上面に前記搭載部を取り囲んで取着された、内側の前記搭載部周辺から外表面に導出する複数の配線導体を有する枠体とを具備しており、前記放熱部材は、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体が埋設されているとともに、前記基体および前記貫通金属体の上下面を覆ってそれぞれ銅層が形成されており、該銅層は、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下であることを特徴とする。
本発明の電子部品収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記銅層は、銅の含有率が99.99質量%以上であることを特徴とする。
本発明の電子部品収納用パッケージは、上面の中央部に電子部品の搭載部を有する平板状の放熱部材と、該放熱部材の上面に前記搭載部を取り囲んで取着された、内側の前記搭載部周辺から外表面に導出する複数の配線導体を有する枠体とを具備しており、前記放熱部材は、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体が埋設されているとともに、前記基体および前記貫通金属体の上下面を覆ってそれぞれ銅を主成分とし、銀を0.10乃至0.25質量%含有している金属層が形成されており、該金属層は、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下であることを特徴とする。
本発明の電子装置は、上記本発明の電子部品収納用パッケージと、前記搭載部に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記枠体の上面に前記電子部品を覆うように取着された蓋体または前記枠体の内側に前記電子部品を覆うように充填された封止樹脂とを具備していることを特徴とする。
本発明の電子部品収納用パッケージによれば、放熱部材が、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体が埋設されているとともに、基体および貫通金属体の上下面を覆ってそれぞれ銅層が形成されており、銅層は、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下であることから、従来のタングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る放熱部材に比べて、電子部品の搭載部の下により体積の大きい銅から成る高熱伝導部分を配置することができるので、電子部品で発生した熱を電子部品の搭載面に直角な方向により多く伝えることができ、その結果、電子部品に発生する熱をこの放熱部材を介して大気中あるいは外部放熱板にきわめて良好に放散することができる。
また、銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体が熱膨張しても、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体が貫通金属体を拘束して放熱部材全体の熱膨張を抑制することができる。よって、電子部品と放熱部材との強固な接合を維持することができる。
さらに、放熱部材の上下に形成された銅層により、電子部品が発生した熱を放熱部材に平行な方向にもより多く伝えることができ、放熱部材に直角な方向と平行な方向の両方に伝達することができ、電子部品の放熱性をきわめて向上させることができる。その結果、電子部品を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることが可能となる。
また、銅層の平面視での結晶体の平均径が5mm以下であるので、結晶の粒界部に段差が発生するのを抑制して銅層表面の表面粗さを小さくし、きわめて平滑な面とすることができ、搭載する電子部品を銅層に良好に密着させることができる。よって、電子部品で発生する熱を銅層にきわめて良好に伝達することができ、放熱特性をより向上させることができる。
本発明の電子部品収納用パッケージにおいて、好ましくは、銅層は、銅の含有率が99.99質量%以上であることから、銅の純度が高くなって銅層の熱伝導率をより向上させることができる。また、より微細な結晶粒径の銅層をより形成しやすくなり、平滑性に優れるとともに安定した熱伝導特性を有するものとすることができる。
本発明の電子部品収納用パッケージは、放熱部材が、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体が埋設されているとともに、基体および貫通金属体の上下面を覆ってそれぞれ銅を主成分とし、銀を0.10乃至0.25質量%含有している金属層が形成されており、金属層は、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下であることから、電子部品が発生した熱を貫通金属体によって放熱部材に直角な方向と平行な方向に伝達することができるとともに、金属層によって放熱部材に平行な方向にもより多く伝えることができ、電子部品の放熱性をきわめて向上させることができる。その結果、電子部品を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることが可能となる。
また、貫通金属体が熱膨張しても基体が貫通金属体を拘束して放熱部材全体の熱膨張を抑制することができ、電子部品と放熱部材との強固な接合を維持することができる。
また、銀を含むことにより、銅の結晶成長を抑制することができ、微細な結晶粒径の金属層をより形成しやすくなり、平滑性に優れるとともに安定した熱伝導特性を有するものとすることができる。
さらに、金属層の平面視での結晶体の平均径が5mm以下であるので、結晶の粒界部に段差が発生するのを抑制して金属層表面の表面粗さを小さくし、きわめて平滑な面とすることができ、搭載する電子部品を金属層に良好に密着させることができる。よって、電子部品で発生する熱を金属層にきわめて良好に伝達することができ、放熱特性をより向上させることができる。
本発明の電子装置は、上記本発明の電子部品収納用パッケージと、搭載部に搭載されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された電子部品と、枠体の上面に電子部品を覆うように取着された蓋体または枠体の内側に電子部品を覆うように充填された封止樹脂とを具備していることから、本発明の電子部品収納用パッケージの特徴を備えた、電子部品の放熱特性が極めて良好な、長期にわたって安定して電子部品を作動させることができる電子装置を提供することができる。
次に、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の電子部品収納用パッケージおよびそれを用いた電子装置の実施の形態の一例を示す断面図であり、1は放熱部材、2は放熱部材1の基体、3は貫通金属体、4は銅層(4aは上面側の銅層,4bは下面側の銅層)、5は枠体、6は配線導体である。これら放熱部材1と枠体5で電子部品11を収納する電子部品収納用パッケージ8が構成される。また、この放熱部材1の搭載部10に電子部品11を搭載した後に、放熱部材1と枠体5とからなる凹部5aに電子部品11を覆うように封止樹脂13を充填して電子部品11を封止することにより、または、枠体5の上面に蓋体を凹部5aを覆うように取着して電子部品11を封止することにより、本発明の電子装置14が構成される。
枠体5は酸化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等から成り、ロウ材を介して放熱部材1の上面に搭載部10を取り囲んで接着固定されることにより取着される。なお、このロウ材による接着固定に際しては、ロウ付け用の金属層(図示せず)が枠体5の放熱部材1との接合部に形成されてもよい。また、枠体5は金属から構成されていてもよく、その場合、配線導体6を枠体5を構成する金属と絶縁させるために配線導体6の周囲をセラミックスや樹脂、ガラス等の絶縁体で覆えばよい。
また、放熱部材1には、その上面の中央部の搭載部10に電子部品11が樹脂,ガラス,ロウ材等の接着剤を介して固定される。なお、接着剤としてロウ材を用いる場合には、ロウ付け用の金属層(図示せず)が放熱部材1の電子部品11との接合部10に形成されてもよい。ただし、放熱部材1の上面の搭載部10に接合された銅層4aにより十分なロウ付けができる場合には、ロウ付け用の金属層は特に必要ではない。
枠体5は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤等を混合添加して泥漿状となすとともに、これからドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、しかる後に、このセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,ニッケル,パラジウム,金等の金属材料粉末に適当な有機バインダ,溶剤を混合してなる導電性ペーストをグリーンシートに予めスクリーン印刷法等により所定の配線導体6のパターンに印刷塗布した後に、このグリーンシートを複数枚積層し、約1600℃の温度で焼成することによって作製される。
また、枠体5には、放熱部材1と枠体5とで構成される凹部5aの内面(搭載部10周辺)から枠体5の外面にかけて導出する配線導体6が形成されており、配線導体6の凹部5aの内側の一端には電子部品11の各電極がボンディングワイヤ12を介して電気的に接続される。また、配線導体6の枠体5の外側の他端には外部電気回路基板との接続用のリード端子7が接続される。
配線導体6はタングステン,モリブデン等の高融点金属から成り、タングステン,モリブデン等の金属粉末に適当な有機バインダ,溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを枠体5となるセラミックグリーンシートに予めスクリーン印刷法等によって所定のパターンに印刷塗布しておくことによって、放熱部材1および枠体5による凹部5aの内面から枠体5の外面にかけて被着形成される。
また、配線導体6はその露出する表面にニッケル,金等の耐食性に優れ、かつボンディングワイヤ12のボンディング性に優れる金属を1〜20μmの厚みにメッキ法によって被着させておくと、配線導体6の酸化腐食を有効に防止できるとともに配線導体6へのボンディングワイヤ12の接続を強固となすことができる。従って、配線導体6は、その露出する表面にニッケル,金等の耐食性に優れ、かつボンディング性に優れる金属を1〜20μmの厚みに被着させておくことが望ましい。
本発明の放熱部材1は、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体2の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体3が埋設されているとともに、基体2および貫通金属体3の上下面を覆ってそれぞれ銅層4a,4bが形成されており、銅層4a,4bは、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下である。
放熱部材1は、電子部品11の作動に伴い発生する熱を吸収するとともに大気中に放散させる、あるいは外部放熱板に伝導させる機能を有する。このような放熱部材1は、例えば、先ず平均粒径が5〜40μmのタングステン粉末またはモリブデン粉末を、電子部品11の搭載部10となる部位に貫通穴が形成されるように加圧成形し、これを1300〜1600℃の雰囲気中で焼結することにより、電子部品11の搭載部10に上面から下面にかけて形成された貫通穴を持つ多孔体をあらかじめ作製する。そして、この多孔体に水素雰囲気下において約1200℃で10〜50質量%の銅を含浸させることにより、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る(タングステンまたはモリブデンと銅とのマトリクスから成る)平板状の基体2を作製する。この基体2の中央に形成された貫通穴に、基体2の上面から下面にかけて銅から成る貫通金属体3を埋設し、さらに、この基体2および貫通金属体3の上面を覆って銅層4aならびに基体2および貫通金属体3の下面を覆って銅層4bを被着することによって形成される。
基体2の貫通穴への貫通金属体3の埋設方法、および、上下の銅層4の被着方法は、例えば、基体2にめっき処理をする方法、銅粉末含む金属ペーストを印刷塗布した後、焼成する方法、あるいは、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体と所定量の銅とを同時に加熱して銅を溶融させ、毛細管現象によって多孔質の焼結体に銅を含浸させるとともに貫通金属体3および銅層4を形成する方法が挙げられる。また、基体2の貫通穴へ貫通金属体3を埋設した後、基体2の上下面に上下の銅層4となる金属板を接合することにより形成してもよい。
本発明の銅層4はその平面視での結晶体の平均径が5mm以下である。これにより、結晶の粒界部に段差が発生するのを抑制して銅層4表面の表面粗さを小さくし、きわめて平滑な面とすることができ、搭載する電子部品11を銅層4に良好に密着させることができる。よって、電子部品11で発生する熱を銅層4にきわめて良好に伝達することができ、放熱特性をより向上させることができる。
このような平面視での結晶体の平均径が5mm以下である銅層4は、基体2にめっき処理をして銅層4を形成する場合は、めっき液の濃度や温度などの条件を制御することにより所望のものとすることができる。また、銅粉末を含む金属ペーストを印刷塗布した後、焼成して銅層4を形成する場合は、銅粉末の不純物濃度を低くしたり、焼成温度や焼成速度を制御することにより所望のものとすることができる。また、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に含浸させる場合は、焼結体と銅とを同時に加熱して銅を溶融させ、毛細管現象によって多孔質の焼結体に銅を含浸させる際、銅の不純物濃度を低くしたり、銅を含浸させた後の冷却速度を制御することにより所望のものとすることができる。
銅層4の平面視での結晶体の平均径が5mmより大きい場合には、電子部品収納用パッケージ8を組立てた際の700℃以上の温度で、銅層4の結晶の粒界部に段差が生じることによって銅層4の表面の算術平均粗さRaがRa>30(μm)となりやすく、銅層4表面に電子部品11を実装した場合に、充分な接続が確保できず、電子部品11で発生する熱を放熱部材1内に伝熱させることが困難となる。
また、好ましくは、貫通金属体3の外周は、電子部品11の外周より大きくなっているのがよく、特に好ましくは、基体2の厚み分大きくなっているのがよい。これにより、電子部品11で発生した熱を放熱部材1の上面の電子部品11の搭載部10から下面へと垂直な方向により多く伝えることができるとともに、貫通金属体3内においても電子部品11の外周から外側へ放熱部材1に平行な方向への熱の広がりを持たせることが可能となり、放熱性をより向上させることができる。
なお、貫通金属体3の外周は、電子部品11の外周に対して基体2の厚みよりも大きくなると、貫通金属体3の熱膨張が大きくなって搭載部10が歪みやすくなる。その結果、電子部品11が剥離しやすくなる。
また、放熱部材1の下面側、即ち、電子部品11が搭載される搭載部10とは反対側の銅層4bの表面の算術平均粗さRaは、Ra≦30(μm)であることが好ましい。通常、電子部品収納用パッケージ8は、アルミニウムや銅等の金属体あるいは、高熱伝導を有するセラミック体から成る支持基板へネジ止めにより、またははんだ等の溶融金属,ロウ材を用いて接続される。このとき、基体2の下面の銅層4bの下面の算術平均粗さRaがRa>30(μm)の場合には、電子部品収納用パッケージ8と支持基板とを十分に密着させることが困難となり、両者の間に空隙やボイドが発生しやすくなり、その結果、電子部品11で発生した熱を電子部品収納用パッケージ8からこの支持基板へ効率良く伝達させることができなくなるおそれがある。したがって、下面の銅層4bの外側表面となる下面は、支持基板との良好な密着性が得られるように、Ra≦30(μm)の平滑面であることが望ましい。
銅層4a,4bの厚みは、それぞれ800μmより厚くなると基体2と銅層4a,4bとの熱膨張差によって発生する応力が大きくなり十分な接合強度が得られない傾向があることから、800μm以下としておくことが望ましい。また、銅層4a,4bの厚みが50μm以上であれば、電子部品11の作動に伴い発生する熱が銅層4a,4bの平面方向に十分広がるので、放熱部材1の熱放散性はさらに向上することから50μm以上としておくことが望ましい。
好ましくは、銅層4は、銅の含有率が99.99質量%以上であるのがよい。これにより、銅の純度が高くなって銅層4の熱伝導率をより向上させることができる。また、より微細な結晶粒径の銅層4をより形成しやすくなり、平滑性に優れるとともに安定した熱伝導特性を有するものとすることができる。即ち、電子部品収納用パッケージ8を組立てる際に700℃以上の温度が加わった場合でも、銅の含有率を99.99質量%以上とすることで銅の結晶成長を抑制することができ、銅層4の結晶粒径の粒界部に大きな段差が発生するのを抑制し、銅層4の算術平均粗さRaがRa<30(μm)となり、電子部品11と銅層4との接続が良好となって銅層4と貫通金属体3とにより電子部品11で発生する熱の放熱部材1内における伝達を極めて良好なものとすることができる。
また、放熱部材1の基体2の上下面に接合される銅層4(4a,4b)は、少なくとも放熱部材1と枠体5とからなる凹部5aの底面と同じ面積で上下面に形成されれば十分であり、必ずしも図1に示すように放熱部材1の上下面の全面を覆うように形成される必要はない。
次に、本発明の第二の発明である電子部品収納用パッケージについて説明する。本発明の第二の発明である電子部品収納用パッケージは、上述した電子部品収納用パッケージにおいて放熱部材1の銅層4が金属層であること以外は同様であるので、本発明の第二の発明である電子部品収納用パッケージについても図1を用いて同じ符号で説明する。金属層4以外の部位の詳細な説明も省略する。
本発明の第二の発明である電子部品収納用パッケージ8に用いられる放熱部材1は、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体2の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体3が埋設されているとともに、基体2および貫通金属体3の上下面を覆ってそれぞれ銅を主成分とし、銀を0.10乃至0.25質量%含有している金属層4(4a,4b)が形成されており、金属層4は、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下である。
これにより、電子部品11が発生した熱を貫通金属体3によって放熱部材1に直角な方向と平行な方向に伝達することができるとともに、金属層4によって放熱部材1に平行な方向にもより多く伝えることができ、電子部品11の放熱性をきわめて向上させることができる。その結果、電子部品11を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることが可能となる。
また、貫通金属体3が熱膨張しても基体2が貫通金属体3を拘束して放熱部材1全体の熱膨張を抑制することができ、電子部品11と放熱部材1との強固な接合を維持することができる。
また、銀を含むことにより、銅の結晶成長を抑制することができ、微細な結晶粒径の金属層4をより形成しやすくなり、平滑性に優れるとともに安定した熱伝導特性を有するものとすることができる。
さらに、金属層4の平面視での結晶体の平均径が5mm以下であるので、結晶の粒界部に段差が発生するのを抑制して金属層4表面の表面粗さを小さくし、きわめて平滑な面とすることができ、搭載する電子部品11を金属層4に良好に密着させることができる。よって、電子部品11で発生する熱を金属層4にきわめて良好に伝達することができ、放熱特性をより向上させることができる。
金属層4は、銀の含有量が0.10質量%未満であると、銅の結晶が成長して結晶粒径が大きくなりやすく、金属層4の表面に結晶による段差が生じて電子部品11を実装した際に段差により電子部品11に応力歪が発生し、長期信頼性が低下する可能性があり、同時に熱を良好に放熱部材1に伝達する効果が小さくなる。また、銀の含有率が0.25質量%を超えると、銀−銅合金から成る金属体により熱伝導率が低下し、また結晶が成長して大きな結晶粒径のものが生じやすくなり、同様に金属層4の表面に結晶による段差が生じて電子部品11からの熱を良好に放熱部材1に伝達する効果が小さくなる。
このような金属層4は、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に所定量の銅と所定量の銀を加え、加熱することによって銅および銀を溶融させ、毛細管現象により焼結体に含浸させるとともに、貫通金属体3および金属層4を形成する。このときの銀の含有量および焼結体に含浸させた後の冷却速度を調整することにより、銀を核として銅を結晶成長させて平面視での結晶体の平均径が5mm以下のものを得ることができる。
かくして、上述の電子部品収納用パッケージ8の放熱部材1の搭載部10上に電子部品11をガラス,樹脂,ロウ材等から成る接着剤を介して接着固定するとともに、電子部品11の各電極をボンディングワイヤ12を介して所定の配線導体6に電気的に接続し、しかる後に、放熱部材1と枠体5とからなる凹部5aの内側に電子部品11を覆うようにエポキシ樹脂等の封止樹脂13を充填して電子部品11を封止することによって、あるいは、樹脂や金属,セラミックス等から成る蓋体を枠体5の上面に凹部5aを覆うように取着して電子部品11を封止することによって製品としての電子装置14となる。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更が可能である。例えば、電子部品11で発生した熱を放熱部材1から大気中に効率良く放散させるために、放熱部材1の基体2および貫通金属体3の下面に接合された銅層4bに放熱フィンを接続したり、銅層4bに放熱フィンをロウ付け等で接合して放熱フィンが放熱部材1と一体化した形状としたりしてもよく、これによって、電子部品11の作動に伴い発生する熱を放熱部材1により吸収するとともに大気中に放散させる作用をさらに向上することができる。
なお、銅層4または金属層4は、その平面視において、平板状の結晶が敷き詰められたような状態となっており、この結晶体の平面視での最大径と最小径とを平均したものを本発明における銅層4または金属層4の平面視での結晶体の平均径という。
1・・・・・・・・・放熱部材
2・・・・・・・・・基体
3・・・・・・・・・貫通金属体
4、4a、4b・・・銅層
5・・・・・・・・・枠体
5a・・・・・・・・凹部
6・・・・・・・・・配線導体
8・・・・・・・・・電子部品収納用パッケージ
10・・・・・・・・・搭載部
11・・・・・・・・・電子部品
14・・・・・・・・・電子装置
2・・・・・・・・・基体
3・・・・・・・・・貫通金属体
4、4a、4b・・・銅層
5・・・・・・・・・枠体
5a・・・・・・・・凹部
6・・・・・・・・・配線導体
8・・・・・・・・・電子部品収納用パッケージ
10・・・・・・・・・搭載部
11・・・・・・・・・電子部品
14・・・・・・・・・電子装置
Claims (4)
- 上面の中央部に電子部品の搭載部を有する平板状の放熱部材と、該放熱部材の上面に前記搭載部を取り囲んで取着された、内側の前記搭載部周辺から外表面に導出する複数の配線導体を有する枠体とを具備しており、前記放熱部材は、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体が埋設されているとともに、前記基体および前記貫通金属体の上下面を覆ってそれぞれ銅層が形成されており、該銅層は、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下であることを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
- 前記銅層は、銅の含有率が99.99質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の電子部品収納用パッケージ。
- 上面の中央部に電子部品の搭載部を有する平板状の放熱部材と、該放熱部材の上面に前記搭載部を取り囲んで取着された、内側の前記搭載部周辺から外表面に導出する複数の配線導体を有する枠体とを具備しており、前記放熱部材は、タングステンまたはモリブデンから成る焼結体に銅を含浸させて成る枠状の基体の中央部の上面から下面にかけて銅または銅を主成分とする合金から成る貫通金属体が埋設されているとともに、前記基体および前記貫通金属体の上下面を覆ってそれぞれ銅を主成分とし、銀を0.10乃至0.25質量%含有している金属層が形成されており、該金属層は、その平面視での結晶体の平均径が5mm以下であることを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージと、前記搭載部に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記枠体の上面に前記電子部品を覆うように取着された蓋体または前記枠体の内側に前記電子部品を覆うように充填された封止樹脂とを具備していることを特徴とする電子装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004020784A JP2005217101A (ja) | 2004-01-29 | 2004-01-29 | 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004020784A JP2005217101A (ja) | 2004-01-29 | 2004-01-29 | 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005217101A true JP2005217101A (ja) | 2005-08-11 |
Family
ID=34904616
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004020784A Pending JP2005217101A (ja) | 2004-01-29 | 2004-01-29 | 電子部品収納用パッケージおよび電子装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005217101A (ja) |
-
2004
- 2004-01-29 JP JP2004020784A patent/JP2005217101A/ja active Pending
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