JP2005216624A - 車両の視界調整方法及び視界調整装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮想線分Aを含む帯状領域Bの光量若しくは色が他の領域のそれとは異なるように前照灯4の照射特性を制御することにより、運転者からオフセットした位置に配置した頂点Tから車幅方向両側に向けて一様に下降傾斜する仮想線分Aを走行路面上に提示する。これにより、仮想線分Aにより前方視界の傾きを抑制できるようになり、ひいては、旋回時の頭部傾斜角の揺らぎを抑制できるので、運転者の運転姿勢を安定させ操舵の乱れを抑制することができる。
【選択図】図5
Description
本発明の実施形態となる車両の視界調整方法では、始めに、図1に示すように、運転者の対向位置P1と車両中心位置P0との間で、且つ、運転者の対向位置P1から距離Sだけオフセットしたフロントウインドガラス1上の位置に頂点Tを有し、この頂点Tから車幅両方向に向けて一様に下降傾斜する左右稜線Rl,Rrを持つ見切り線を仮想的に配置する。なお、上記頂点Tは、図2に示すように、右ハンドル車ならば右旋回時(左ハンドル車ならば左旋回時)に、旋回姿勢時の運転者Mの視点と頂点Tとを結んだ直線が旋回外側斜線Loutよりも外側に位置するように配置されている。また、図3に示すように、運転者側の稜線、つまり右ハンドル車では右稜線Rr、左ハンドル車では左稜線Rlが水平線と成す傾きの最大角をそれぞれθ1,θ2とした時、θ1,θ2の大きさが車両のロール角θRよりも大きくなるように設定されている。
次に、運転者の前方視界を上記のように調整する際の車両視界調整装置の構成の幾つかの具体例について説明する。
通常、車両には少なくとも左右一対の前照灯が取り付けられ、各国の法規等によって若干異なるものの、その照射特性は、図10に示すように前方路面上を均一に照射するようになっている。そこで、前照灯4の照射特性を上記のように制御する際には、図12に示すように、上記前照灯4aに加えて、帯状領域Bのみを照射する特性(図11参照)を有するフォグランプ等の副前照灯4bを設けることにより、前述の図8(a)に示すように、帯状領域Bの明るさ(色温度)を他の領域よりも明るくすることができる。また、この時、2つのピークを持つように副前照灯4bの照射特性を制御することにより、前述の図9(a)に示すような分布状態の照射領域を形成することもできる。
従来までの前照灯の構成では、光源から発せられた光は、反射鏡によって反射された後、前照灯表面に設けられたレンズにより集光されて車両前方の路面に照射されていたが、近年の成型技術や設計技術の進歩に伴い、現在の前照灯の構成では、図13,14に示すように、レンズ14に見える部分は単にカバーの役割をするだけとなり、光源11から発せられた光の反射鏡13における反射角を制御することにより光12を路面に照射している。従って、帯状領域Bに光を照射する反射鏡領域15(図15参照)の角度を以下に示すように構成することにより、走行路面上に帯状領域Bを提示し、運転者の平衡感覚安定化効果を実現することができる。以下、図16を参照して、反射鏡15の角度設定方法について説明する。
上記具体例2では、反射鏡の一つの領域の角度を設定したが、図17に示すように反射鏡の二つの領域15a,15bの角度を設定することにより、前述の図9(a)に示すように2つの領域に集光させ、運転者の平衡感覚安定化効果を実現してもよい。この場合、具体的には図18に示すように、路面上の仮想線分Aに対応する点P3を仮定する際に、仮想線分Aと相似形で且つ、車両前後方向に離れた位置にある仮想線分に対応する点P3’,P3’’を仮定し、2つの反射鏡領域15a,15bを介して前方に照射される光がそれぞれ、点P3’,P3’’上に結像、若しくは焦点を結ぶように、反射鏡領域15a,15bの角度を設定する。
この具体例4では、図19に示すように、仮想線分Aの左稜線Alは、車両左側の前照灯4lにより照射されると共に、この左稜線Alの左側に位置する領域は、前照灯4lの反射鏡14の右側部分を通過する光線により照射される。具体的には、仮想線分Aの左稜線Alの左端点P6及び右端点P5はそれぞれ、反射鏡14の右端点14b及び左端点14aを通過する光線により照射される。すなわち、光源11から反射鏡14を通じて路面に照射され、パターンを描く光線の向きは、車両上方から見て交差するように反射鏡14の角度が設定されている。なお、ここでは、左稜線Alについて説明したが、右稜線Arについても同様である。
なお、上記具体例4では、仮想線分Aの左稜線Al及び右稜線Arをそれぞれ、車両左側及び右側の前照灯4l,4rで照射したが、図22に示すように、仮想線分Aの左稜線Al及び右稜線Arをそれぞれ、車両右側及び左側の前照灯4r,4lで照射するようにしてもよい。このような構成によれば、車両が図23に示す通常走行状態から図24(a)に示すC矢印方向に右旋回を行う際、仮想線分Aの頂点に対応する点P5付近は、前照灯4r,4lの反射鏡の車両内側の点を通過する光線によって照射されることになるので、稜線の左右端点P6,P7と比較して、ロールによる車両姿勢の変化の影響を受けづらく、照射領域が車両に対し大きく変化しない。一方、稜線の左右端点P6,P7は、車両のロールに伴って、車両前後方向に大きく移動する。この結果、左右稜線が連結した形状を保つことができるので、平衡感覚安定化効果に関係のない部分の不要な前方視界の変化を抑えることができる。
この具体例6では、図25に示すように、車両状態からロール角を検知するロール角検知部21,検知されたロール角から照射領域の稜線の必要な角度変化を演算する照射エリア演算部22,及び角度変化値に従って前照灯の向きを駆動する前照灯駆動アクチュエータ23を車両に設ける。そして、例えば右旋回時には、右側稜線をロール角に応じて変化させるために、帯状領域の右端点を車両前後方向で車両側に変化させる。そして、このような構成によれば、運転席から見て旋回内側方向となる右側稜線は、水平面に対する角度が大きくなる方向に変化するので、どのような旋回状態において運転者の平衡感覚安定化効果を保つことができる。なお、照射エリア形状の算出については、運転席から見たときの稜線の傾きが、ロール時に運転者から見て水平に見えるように設定することが望ましく、実際にはロール角に応じたマップとするとよい。また、前照灯の駆動方法については、特開平6−144108号公報に開示されている方法を利用するとよい。
2:見切り線
A:仮想線分
B:帯状領域
Rl:左稜線
Rr:右稜線
T:頂点
Claims (24)
- 運転者の前方視界を調整する車両の視界調整方法において、
明暗若しくは色温度の差により形成される照射形状が車両前端部から照射領域前端部までの照射領域内において車両前方方向に凸状になるように、車両の前照灯の照射特性を制御するステップを有する
ことを特徴とする車両の視界調整方法。 - 運転者の前方視界を調整する車両の視界調整方法において、
運転者の対向位置と車両中心位置の間で、且つ、当該対向位置からオフセットした位置に頂点を有し、当該頂点から車幅方向両側に向けて一様下降する左右稜線を持つ見切り線をフロントウインド下端部に仮想的に配置するステップと、
運転者の視点と見切り線上の点を結ぶ直線が車両前方の路面と交わる点の集合から成る路面上の仮想線分を含む路面上の帯状領域における光量若しくは色温度が、他の照射領域における光量若しくは色温度と異なるように、車両の前照灯の照射特性を制御するステップと
を有することを特徴とする車両の視界調整方法。 - 前照灯から発せられる光の一部若しくは全部が前記帯状領域に集光するように前照灯の照射特性を制御するステップを有することを特徴とする請求項2に記載の車両の視界調整方法。
- 前照灯から発せられる光の一部若しくは全部が車両前後方向で前記帯状領域を挟む2つ以上の照射領域に集光するように前照灯の照射特性を制御するステップを有することを特徴とする請求項2に記載の車両の視界調整方法。
- 前照灯から発せられた光若しくは全部が前記帯状領域に集光するように3つ以上配置された前照灯の少なくとも一つの照射特性を制御するステップを有することを特徴とする請求項2に記載の車両の視界調整方法。
- 前照灯から発せられる光の一部若しくは全部が車両前後方向で前記帯状領域を挟む2つ以上の照射領域に集光するように3つ以上配置された前照灯の少なくとも一つの照射特性を制御するステップを有することを特徴とする請求項2に記載の車両の視界調整方法。
- 前記照射特性を制御する前照灯の照射光の色温度を他の前照灯の照射光の色温度と異ならせるステップを有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載に車両の視界調整方法。
- 前記帯状領域を照射する前照灯を構成する反射鏡の一部若しくは全部の領域は、前記仮想線分上の点と曲面内の任意の点を結ぶ線分と当該任意の点と光源位置を結ぶ線分とが成す角度を2等分する、連続曲面若しくは連続曲面を近似する複数の平面から成る多面体形状として形成されていることを特徴とする請求項2,請求項3,請求項5,請求項7のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整方法。
- 前記帯状領域を照射する前照灯を構成する反射鏡の第1の領域は、前記仮想線分と相似形で、且つ、仮想線分から車両遠方側にオフセットした線分上の点と曲面内の任意の点を結ぶ線分と当該任意の点と光源位置を結ぶ線分とが成す角度を2等分する、連続曲面若しくは連続曲面を近似する複数の平面から成る多面体形状として形成され、第2の領域は、前記仮想線分と相似形で、且つ、仮想線分から車両近方側にオフセットした線分上の点と曲面内の任意の点を結ぶ線分と当該任意の点と光源位置を結ぶ線分とが成す角度を2等分する、連続曲面若しくは連続曲面を近似する複数の平面から成る多面体形状として形成されていることを特徴とする請求項2,請求項3,請求項6,請求項7のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整方法。
- 少なくとも1つの前照灯により前記帯状領域における光量若しくは色温度を異ならせる際、前記帯状領域の車室内から見て左側及び右側の領域はそれぞれ、前照灯を構成するレンズ若しくは反射鏡の車室内から見て右方及び左方部分を通過する光により照射することを特徴とする請求項2から請求項9のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整方法。
- 少なくとも2つの前照灯により前記帯状領域における光量若しくは色温度を異ならせる際、前記帯状領域の車室内から見て左側及び右側の領域はそれぞれ、車室内から見て右方及び左方に配置されている前照灯により照射することを特徴とする請求項2から請求項9のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整方法。
- 車両のロール角、ピッチ角、及び上下方向変位の少なくとも一つの変化に応じて、前照灯を構成する反射鏡の一部若しくは全部、光源、及び前照灯全体の少なくとも一つの位置及び角度を変化させるステップを有することを特徴とする請求項2から請求項11のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整方法。
- 運転者の前方視界を調整する車両の視界調整装置において、
明暗若しくは色温度の差により形成される照射形状が車両前端部から照射領域前端部までの照射領域内において車両前方方向に凸状になるように、車両の前照灯の照射特性を制御すること
を特徴とする車両の視界調整装置。 - 運転者の前方視界を調整する車両の視界調整装置において、
運転者の対向位置と車両中心位置の間で、且つ、当該対向位置からオフセットした位置に頂点を有し、当該頂点から車幅方向両側に向けて一様下降する左右稜線を持つ見切り線をフロントウインド下端部に仮想的に配置し、運転者の視点と見切り線上の点を結ぶ直線が車両前方の路面と交わる点の集合から成る路面上の仮想線分を含む路面上の帯状領域における光量若しくは色温度が、他の照射領域における光量若しくは色温度と異なるように、車両の前照灯の照射特性を制御すること
を特徴とする車両の視界調整装置。 - 前照灯から発せられる光の一部若しくは全部が前記帯状領域に集光するように前照灯の照射特性を制御することを特徴とする請求項14に記載の車両の視界調整装置。
- 前照灯から発せられる光の一部若しくは全部が車両前後方向で前記帯状領域を挟む2つ以上の照射領域に集光するように前照灯の照射特性を制御することを特徴とする請求項14に記載の車両の視界調整装置。
- 前照灯から発せられた光若しくは全部が前記帯状領域に集光するように3つ以上配置された前照灯の少なくとも一つの照射特性を制御することを特徴とする請求項14に記載の車両の視界調整装置。
- 前照灯から発せられる光の一部若しくは全部が車両前後方向で前記帯状領域を挟む2つ以上の照射領域に集光するように3つ以上配置された前照灯の少なくとも一つの照射特性を制御することを特徴とする請求項14に記載の車両の視界調整装置。
- 前記照射特性を制御する前照灯の照射光の色温度を他の前照灯の照射光の色温度と異ならせることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載に車両の視界調整装置。
- 前記帯状領域を照射する前照灯を構成する反射鏡の一部若しくは全部の領域は、前記仮想線分上の点と曲面内の任意の点を結ぶ線分と当該任意の点と光源位置を結ぶ線分とが成す角度を2等分する、連続曲面若しくは連続曲面を近似する複数の平面から成る多面体形状として形成されていることを特徴とする請求項14,請求項15,請求項17,請求項19のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整装置。
- 前記帯状領域を照射する前照灯を構成する反射鏡の第1の領域は、前記仮想線分と相似形で、且つ、仮想線分から車両遠方側にオフセットした線分上の点と曲面内の任意の点を結ぶ線分と当該任意の点と光源位置を結ぶ線分とが成す角度を2等分する、連続曲面若しくは連続曲面を近似する複数の平面から成る多面体形状として形成され、第2の領域は、前記仮想線分と相似形で、且つ、仮想線分から車両近方側にオフセットした線分上の点と曲面内の任意の点を結ぶ線分と当該任意の点と光源位置を結ぶ線分とが成す角度を2等分する、連続曲面若しくは連続曲面を近似する複数の平面から成る多面体形状として形成されていることを特徴とする請求項14,請求項15,請求項18,請求項19のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整装置。
- 少なくとも1つの前照灯により前記帯状領域における光量若しくは色温度を異ならせる際、前記帯状領域の車室内から見て左側及び右側の領域はそれぞれ、前照灯を構成するレンズ若しくは反射鏡の車室内から見て右方及び左方部分を通過する光により照射することを特徴とする請求項14から請求項21のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整装置。
- 少なくとも2つの前照灯により前記帯状領域における光量若しくは色温度を異ならせる際、前記帯状領域の車室内から見て左側及び右側の領域はそれぞれ、車室内から見て右方及び左方に配置されている前照灯により照射することを特徴とする請求項14から請求項21のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整装置。
- 車両のロール角、ピッチ角、及び上下方向変位の少なくとも一つの変化に応じて、前照灯を構成する反射鏡の一部若しくは全部、光源、及び前照灯全体の少なくとも一つの位置及び角度を変化させることを特徴とする請求項14から請求項23のうち、いずれか1項に記載の車両の視界調整装置。
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