JP2005215278A - 液晶表示装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 液晶表示装置の大画面化に伴い様々の不良や欠陥が生じがちで、液晶表示装置の大画面化に伴い民生用途であるテレビ関連製品の開発が進み、既に対角線サイズが30型を越える大画面の液晶パネルの量産も始まっている。これら大画面の液晶パネルは当然、その有効面積比が高くなることから様々の不良や欠陥,例えば信号線の断線不良が生じがちである。
【解決手段】 ハーフトーン露光技術により感光性有機絶縁層を用いてパシベーション絶縁層上に透明導電性の絵素電極と、透明導電層または透明導電層と金属層との積層よりなる補助信号線を1枚のフォトマスクで形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】 ハーフトーン露光技術により感光性有機絶縁層を用いてパシベーション絶縁層上に透明導電性の絵素電極と、透明導電層または透明導電層と金属層との積層よりなる補助信号線を1枚のフォトマスクで形成する。
【選択図】 図2
Description
本発明はカラー画像表示機能を有する液晶表示装置、とりわけアクティブ型の液晶表示装置に関するものである。
近年の微細加工技術、液晶材料技術および高密度実装技術等の進歩により、5〜50cm対角の液晶表示装置でテレビジョン画像や各種の画像表示機器が商用ベースで大量に提供されている。また、液晶パネルを構成する2枚のガラス基板の一方にRGBの着色層を形成しておくことによりカラー表示も容易に実現している。特にスイッチング素子を絵素毎に内蔵させた、いわゆるアクティブ型の液晶パネルではクロストークも少なく、応答速度も早く高いコントラスト比を有する画像が保証されている。
これらの液晶表示装置(液晶パネル)は走査線としては200〜1200本、信号線としては300〜1600本程度のマトリクス編成が一般的であるが、最近は表示容量の増大に対応すべく大画面化と高精細化とが同時に進行している。
図5は液晶パネルへの実装状態を示し、液晶パネル1を構成する一方の透明性絶縁基板、例えばガラス基板2上に形成された走査線の電極端子群5に駆動信号を供給する半導体集積回路チップ3を導電性の接着剤を用いて接続するCOG(Chip−On−Glass)方式や、例えばポリイミド系樹脂薄膜をベースとし、金または半田メッキされた銅箔の端子を有するTCPフィルム4を信号線の電極端子群6に導電性媒体を含む適当な接着剤で圧接して固定するTCP(Tape−Carrier−Package)方式などの実装手段によって電気信号が画像表示部に供給される。ここでは便宜上二つの実装方式を同時に図示しているが実際には何れかの方式が適宜選択される。
液晶パネル1のほぼ中央部に位置する画像表示部内の画素と走査線及び信号線の電極端子5,6との間を接続する配線路が7、8で、必ずしも電極端子5,6と同一の導電材で構成される必要はない。9は全ての液晶セルに共通する透明導電性の対向電極を対向面上に有するもう1枚の透明性絶縁基板である対向ガラス基板またはカラーフィルタである。
図6はスイッチング素子として絶縁ゲート型トランジスタ10を絵素毎に配置したアクティブ型液晶表示装置の等価回路図を示し、11(図5では7)は走査線、12(図5では8)は信号線、13は液晶セルであって、液晶セル13は電気的には容量素子として扱われる。実線で描かれた素子類は液晶パネルを構成する一方のガラス基板2上に形成され、点線で描かれた全ての液晶セル13に共通な対向電極14はもう一方のガラス基板9の対向する主面上に形成されている。絶縁ゲート型トランジスタ10のOFF抵抗あるいは液晶セル13の抵抗が低い場合や表示画像の階調性を重視する場合には、負荷としての液晶セル13の時定数を大きくするための補助の蓄積容量15を液晶セル13に並列に加える等の回路的工夫が加味される。なお16は蓄積容量15の共通母線となる蓄積容量線である。
図7は液晶表示装置の画像表示部の要部断面図を示し、液晶パネル1を構成する2枚のガラス基板2,9は樹脂性のファイバ、ビーズあるいはカラーフィルタ9上に形成された柱状スペーサ等のスペーサ材(図示せず)によって数μm程度の所定の距離を隔てて形成され、その間隙(ギャップ)はガラス基板9の周縁部において有機性樹脂よりなるシール材と封口材(何れも図示せず)とで封止された閉空間になっており、この閉空間に液晶17が充填されている。
カラー表示を実現する場合には、ガラス基板9の閉空間側に着色層18と称する染料または顔料のいずれか一方もしくは両方を含む厚さ1〜2μm程度の有機薄膜が被着されて色表示機能が与えられるので、その場合にはガラス基板9は別名カラーフィルタ(Color Filter 略語はCF)と呼称される。そして液晶材料17の性質によってはガラス基板9の上面またはガラス基板2の下面の何れかもしくは両面上に偏光板19が貼付され、液晶パネル1は電気光学素子として機能する。現在、市販されている大部分の液晶パネルでは液晶材料にTN(ツイスト・ネマチック)系の物を用いており、偏光板19は通常2枚必要である。図示はしないが、透過型液晶パネルでは光源として裏面光源が配置され、下方より白色光が照射される。
液晶17に接して2枚のガラス基板2,9上に形成された例えば厚さ0.1μm程度のポリイミド系樹脂薄膜20は液晶分子を決められた方向に配向させるための配向膜である。21は絶縁ゲート型トランジスタ10のドレインと透明導電性の絵素電極22とを接続するドレイン電極(配線)であり、信号線(ソース線)12と同時に形成されることが多い。信号線12とドレイン電極21との間に位置するのは半導体層23であり詳細は後述する。カラーフィルタ9上で隣り合った着色層18の境界に形成された厚さ0.1μm程度のCr薄膜層24は半導体層23と走査線11及び信号線12に外部光が入射するのを防止するための光遮蔽部材で、いわゆるブラックマトリクス(Black Matrix 略語はBM)として定着化した技術である。
ここでスイッチング素子として絶縁ゲート型トランジスタの構造と製造方法に関して説明する。現在絶縁ゲート型トランジスタには2種類のものが多用されており、そのうちの一つのエッチストップ型と呼称されるものを従来例として紹介する。図8は従来の液晶パネルを構成するアクティブ基板(表示装置用半導体装置)の単位絵素の平面図であり、図8(e)のA−A’、B−B’およびC−C’線上の断面図を図9に示し、その製造工程を以下に簡単に説明する。
先ず図8(a)と図9(a)に示したように耐熱性と耐薬品性と透明性が高い絶縁性基板として厚さ0.5〜1.1mm程度のガラス基板2、例えばコーニング社製の商品名1737の一主面上にSPT(スパッタ)等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1〜0.3μm程度の第1の金属層を被着し、微細加工技術によりゲート電極11Aも兼ねる走査線11と蓄積容量線16を選択的に形成する。走査線の材質は耐熱性と耐薬品性と耐弗酸性と導電性とを総合的に勘案して選択するが一般的にはCr,Ta,MoW合金等の耐熱性の高い金属または合金が使用される。
液晶パネルの大画面化や高精細化に対応して走査線の抵抗値を下げるためには走査線の材料としてAL(アルミニウム)を用いるのが合理的であるが、ALは単体では耐熱性が低いので上記した耐熱金属であるCr,Ta,Moまたはそれらのシリサイドと積層化する、あるいはALの表面に陽極酸化で酸化層(Al2O3)を付加することも現在では一般的な技術である。すなわち走査線11は1層以上の金属層で構成される。
次にガラス基板2の全面にPCVD(プラズマ・シーブイディ)装置を用いてゲート絶縁層となる第1のSiNx(シリコン窒化)層30、不純物をほとんど含まず絶縁ゲート型トランジスタのチャネルとなる第1の非晶質シリコン(a−Si)層31、及びチャネルを保護する絶縁層となる第2のSiNx層32と3種類の薄膜層を例えば、0.3−0.05−0.1μm程度の膜厚で順次被着し、図8(b)と図9(b)に示したように微細加工技術によりゲート電極11A上の第2のSiNx層をゲート電極11Aよりも幅細く選択的に残して保護絶縁層32Dとし、第1の非晶質シリコン層31を露出する。
続いて同じくPCVD装置を用いて全面に不純物として例えば燐を含む第2の非晶質シリコン層33を例えば0.05μm程度の膜厚で被着した後、図8(c)と図9(c)に示したようにSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1μm程度の耐熱金属層として例えばTi,Cr,Mo等の薄膜層34と、低抵抗配線層として膜厚0.3μm程度のAL薄膜層35と、さらに膜厚0.1μm程度の中間導電層として例えばTi薄膜層36を順次被着し、微細加工技術によりソース・ドレイン配線材であるこれら3種の薄膜層34A,35A及び36Aの積層よりなる絶縁ゲート型トランジスタのドレイン電極21とソース電極も兼ねる信号線12を選択的に形成する。この選択的パターン形成はソース・ドレイン配線の形成に用いられる感光性樹脂パターンをマスクとしてTi薄膜層36、AL薄膜層35、Ti薄膜層34を順次食刻した後、ソース・ドレイン電極12,21間の第2の非晶質シリコン層33を除去して保護絶縁層32Dを露出するとともにその他の領域では第1の非晶質シリコン層31をも除去してゲート絶縁層30を露出することによってなされる。このようにチャネルの保護層である第2のSiNx層32D(保護絶縁層、エッチストップ層あるいはチャネル保護層)が存在して第2の非晶質シリコン層33の食刻が自動的に終了することからこの製法はエッチストップと呼称される。
絶縁ゲート型トランジスタがオフセット構造とならぬようソース・ドレイン電極12,21は保護絶縁層32Dと一部(数μm)平面的に重なって形成される。この重なりは寄生容量として電気的に作用するので小さいほど良いが、露光機の合わせ精度とフォトマスクの精度とガラス基板の膨張係数及び露光時のガラス基板温度で決定され、実用的な数値は精々2μm程度である。
さらに上記感光性樹脂パターンを除去した後、ガラス基板2の全面に透明性の絶縁層としてゲート絶縁層と同様にPCVD装置を用いて0.3μm程度の膜厚のSiNx層を被着してパシベーション絶縁層37とし、図8(d)と図9(d)に示したようにパシベーション絶縁層37を微細加工技術により選択的に除去してドレイン電極21上に開口部62と、画像表示部外の領域で走査線11の電極端子5が形成される領域上に開口部63と、信号線12の電極端子6が形成される領域上に開口部64を形成してドレイン電極21と走査線11の一部5と信号線12の一部6を露出する。同様に蓄積容量線16(を平行に束ねた電極パターン)上には開口部65を形成して蓄積容量線16の一部を露出する。
最後にSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1〜0.2μm程度の透明導電層として例えばITO(Indium−Tin−Oxide)あるいはIZO(Indium−Zinc−Oxide)を被着し、図8(e)と図9(e)に示したように微細加工技術により開口部62を含んでパシベーション絶縁層37上に絵素電極22を選択的に形成してアクティブ基板2として完成する。開口部63内の露出している走査線11の一部を電極端子5とし、開口部64内の露出している信号線12の一部を電極端子6としても良く、図示したように開口部63,64を含んでパシベーション絶縁層37上にITOよりなる電極端子5A,6Aを選択的に形成しても良いが、通常は電極端子5A,6A間を接続する透明導電性の短絡線40も同時に形成される。その理由は、図示はしないが電極端子5A,6Aと短絡線40との間を細長いストライプ状に形成することにより高抵抗化して静電気対策用の高抵抗とすることが出来るからである。同様に番号は付与しないが開口部65を含んで蓄積容量線16への電極端子が形成される。
信号線12の配線抵抗が問題とならない場合にはALよりなる低抵抗配線層35は必ずしも必要ではなく、その場合にはCr,Ta,MoW等の耐熱金属材料を選択すればソース・ドレイン配線12,21を単層化して簡素化することが可能である。このようにソース・ドレイン配線は耐熱金属層を用いて第2の非晶質シリコン層と電気的な接続を確保することが重要であり、絶縁ゲート型トランジスタの耐熱性については先行例である特開平7−74368号公報に詳細が記載されている。なお、図8(c)において蓄積容量線16とドレイン電極21とがゲート絶縁層30を介して平面的に重なっている領域50(右下がり斜線部)が蓄積容量15を形成しているがここではその詳細な説明は省略する。
特開平7−74368号公報
以上述べた5枚マスク・プロセスは詳細な経緯は省略するが、半導体層の島化工程の合理化とコンタクト形成工程が削減された結果得られたもので、当初は7〜8枚程度必要であったフォトマスクもドライエッチ技術の導入により、現時点では5枚に減少してプロセスコストの削減に大きく寄与している。液晶表示装置の生産コストを下げるためにはアクティブ基板の作製工程ではプロセスコストを、またパネル組立工程とモジュール実装工程では部材コストを下げることが有効であることは周知の開発目標である。プロセスコストを下げるためにはプロセスを短くする工程削減と、安価なプロセス開発またはプロセスへの置き換えとがあるが、ここでは4枚のフォトマスクでアクティブ基板が得られる4枚マスク・プロセスを工程削減の一例として説明する。4枚マスク・プロセスはハーフトーン露光技術の導入により写真食刻工程を削減するもので、図10は4枚マスク・プロセスに対応したアクティブ基板の単位絵素の平面図で、図10(e)のA−A’、B−B’およびC−C’線上の断面図を図11に示す。既に述べたように絶縁ゲート型トランジスタには2種類のものが多用されているが、ここではチャネルエッチ型の絶縁ゲート型トランジスタを採用している。
先ず5枚マスク・プロセスと同様にガラス基板2の一主面上にSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1〜0.3μm程度の第1の金属層を被着し、図10(a)と図11(a)に示したように微細加工技術によりゲート電極11Aも兼ねる走査線11と蓄積容量線16を選択的に形成する。
次にガラス基板2の全面にPCVD装置を用いてゲート絶縁層となるSiNx層30、不純物をほとんど含まず絶縁ゲート型トランジスタのチャネルとなる第1の非晶質シリコン層31、及び不純物を含み絶縁ゲート型トランジスタのソース・ドレインとなる第2の非晶質シリコン層33と3種類の薄膜層を、例えば0.3−0.2−0.05μm程度の膜厚で順次被着する。引き続き、SPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1μm程度の耐熱金属層として例えばTi薄膜層34と、膜厚0.3μm程度の低抵抗配線層としてAL薄膜層35と、さらに膜厚0.1μm程度の中間導電層として例えばTi薄膜層36を、すなわちソース・ドレイン配線材を順次被着し、微細加工技術により絶縁ゲート型トランジスタのドレイン電極21とソース電極も兼ねる信号線12を選択的に形成するのであるが、この選択的パターン形成に当たりハーフトーン露光技術により図10(b)と図11(b)に示したようにソース・ドレイン間のチャネル形成領域80B(斜線部)の膜厚が例えば1.5μmで、ソース・ドレイン配線形成領域80A(12),80A(21)の膜厚3μmよりも薄い感光性樹脂パターン80A,80Bを形成する点が合理化された4枚マスク・プロセスの大きな特徴である。
このような感光性樹脂パターン80A,80Bは、液晶表示装置用基板の作製には通常ポジ型の感光性樹脂を用いるので、ソース・ドレイン配線形成領域80Aが黒、すなわちCr薄膜が形成されており、チャネル領域80Bは灰色、たとえば幅0.5〜1μm程度のラインアンドスペースのCrパターンが形成されており、その他の領域は白、すなわちCr薄膜が除去されているようなフォトマスクを用いれば良い。灰色領域は露光機の解像力が不足しているためにラインアンドスペースが解像されることはなく、ランプ光源からのフオトマスク照射光を半分程度透過させることが可能であるので、ポジ型感光性樹脂の残膜特性に応じて図11(b)に示したような断面形状を有する感光性樹脂パターン80A,80Bを得ることができる。
上記感光性樹脂パターン80A,80Bをマスクとして図11(b)に示したようにTi薄膜層36、AL薄膜層35、Ti薄膜層34、第2の非晶質シリコン層33及び第1の非晶質シリコン層31を順次食刻してゲート絶縁層30を露出した後、図10(c)と図11(c)に示したように酸素プラズマ等の灰化手段により感光性樹脂パターン80A,80Bを1.5μm以上膜減りさせると感光性樹脂パターン80Bが消失してチャネル領域が露出するとともに、ソース・ドレイン配線形成領域上にのみ80C(12),80C(21)を残すことができる。そこで膜減りした感光性樹脂パターン80C(12),80C(21)をマスクとして、再びソース・ドレイン配線間(チャネル形成領域)のTi薄膜層,AL薄膜層,Ti薄膜層,第2の非晶質シリコン層33A及び第1の非晶質シリコン層31Aを順次食刻し、第1の非晶質シリコン層31Aは0.05〜0.1μm程度残して食刻する。ソース・ドレイン配線が金属層をエッチングした後に第1の非晶質シリコン層31Aを0.05〜0.1μm程度残して食刻することによりなされるので、このような製法で得られる絶縁ゲート型トランジスタはチャネルエッチと呼称されている。なお上記酸素プラズマ処理においてレジストパターン80Aは80Cに変換されるのでパターン寸法の変化を抑制するため異方性を強めることが望ましいがその手段は後述する。
さらに上記感光性樹脂パターン80C(12),80C(21)を除去した後は、5枚マスク・プロセスと同じく図10(d)と図11(d)に示したようにガラス基板2の全面に透明性の絶縁層として0.3μm程度の膜厚の第2のSiNx層を被着してパシベーション絶縁層37とし、ドレイン電極21上と、走査線11と信号線12の電極端子が形成される領域にそれぞれ開口部62,63,64を形成し、開口部63内のパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30を除去して開口部63内に走査線の一部5を露出するとともに、開口部62,64内のパシベーション絶縁層37を除去してドレイン電極21の一部と信号線の一部6を露出する。同様に蓄積容量線16上には開口部65を形成して蓄積容量線16の一部を露出する。
最後にSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1〜0.2μm程度の透明導電層として例えばITOあるいはIZOを被着し、図10(e)と図11(e)に示したように微細加工技術によりパシベーション絶縁層37上に開口部62を含んで透明導電性の絵素電極22を選択的に形成してアクティブ基板2として完成する。電極端子に関してはここでは開口部63,64を含んでパシベーション絶縁層37上にITOよりなる透明導電性の電極端子5A,6Aを選択的に形成している。
液晶表示装置の大画面化に伴い民生用途であるテレビ関連製品の開発が進み、既に対角線サイズが30型を越える大画面の液晶パネルの量産も始まっている。これら大画面の液晶パネルは当然、その有効面積比が高くなることから様々の不良や欠陥が生じがちである。走査線や信号線の断線はアクティブ基板の製作後だけでなく、液晶パネル化された後でも救済が可能であり、液晶表示装置の開発当初の先行文献である特開昭62−299993号公報にも一つの救済策が開示されている。
特開昭62−299993号公報
通常アクティブ基板上には走査線用金属薄膜と信号線用金属薄膜と絵素電極用透明導電層と3種類の導電性パターンが形成されるので、一つの電極線の断線に対して当該の電極線とは異なった他の電極線を電気的に並列に形成することで断線の発生する確率をほぼ皆無とすることは可能である。ただし、そのために開口率が低下する、あるいは液晶パネルの高温動作時の信頼性が損なわれるのでは逆効果であり、アクティブ基板を製造する工程と生産設備において発生するダスト・パーティクルの徹底的な抑制によってこのような冗長構成は順次廃止されてきた経緯がある。
しかしながら液晶パネルの大画面が進むと歩留の低下は避けられないし、アクティブ基板の外部に形成された冗長配線路の抵抗値の抑制も困難となり、従来とは異なった新しい段線防止のための方策が模索されているのが現状である。
本発明はかかる現状に鑑みなされたもので、ハーフトーン露光技術の採用により信号線の断線発生確率を低減するだけでなく、高温動作時の信頼性も確保できる新規なデバイス構造とその製造方法を提供するものである。
本発明においては従来の5枚マスク・プロセス及び4枚マスク・プロセスと同様に透明導電性の絵素電極をアクティブ基板製作の最終工程に行うが、露出した絵素電極とは異なり、絵素電極と同時に形成されるがその表面に感光性有機絶縁層を有する補助信号線を形成することで補助信号線へのパシベーション機能の付与がなされる。
請求項1に記載の液晶表示装置は、一主面上に少なくとも絶縁ゲート型トランジスタと、前記絶縁ゲート型トランジスタのゲート電極も兼ねる走査線とソース配線も兼ねる信号線と、ドレイン配線に接続された絵素電極とを有する単位絵素が二次元のマトリクスに配列された第1の透明性絶縁基板と、前記第1の透明性絶縁基板と対向する第2の透明性絶縁基板またはカラーフィルタとの間に液晶を充填してなる液晶表示装置において、
第1の透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタが形成され、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有する無機パシベーション絶縁層が前記第1の透明性絶縁基板上に形成され、
前記ソース配線上の開口部を含み信号線上の無機パシベーション絶縁層上にその表面に感光性有機絶縁層を有し透明導電層よりなる補助信号線と、前記ドレイン配線上の開口部を含み絵素電極形成領域の無機パシベーション絶縁層上に透明導電層よりなる絵素電極が形成されていることを特徴とする。
第1の透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタが形成され、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有する無機パシベーション絶縁層が前記第1の透明性絶縁基板上に形成され、
前記ソース配線上の開口部を含み信号線上の無機パシベーション絶縁層上にその表面に感光性有機絶縁層を有し透明導電層よりなる補助信号線と、前記ドレイン配線上の開口部を含み絵素電極形成領域の無機パシベーション絶縁層上に透明導電層よりなる絵素電極が形成されていることを特徴とする。
この構成によりソース電極上に形成された開口部を介して透明導電層よりなる補助信号線は信号線に並列に接続されて信号線の断線確率は激減する。また補助信号線上には感光性有機絶縁層が形成されて補助信号線にもパシベーション機能が付与されているので補助信号線からの直流成分が液晶に漏洩することは無く、従来品と同等の高い信頼性を有するTN型の液晶表示装置が得られる。
請求項2に記載の液晶表示装置は、同じく、
第1の透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタが形成され、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有し、その上層部が有機絶縁層であるパシベーション絶縁層が前記第1の透明性絶縁基板上に形成され、
前記ソース配線上の開口部を含み信号線上のパシベーション絶縁層上にその表面に感光性有機絶縁層を有し金属層と透明導電層との積層よりなる補助信号線と、前記ドレイン配線上の開口部を含み絵素電極形成領域のパシベーション絶縁層上に透明導電層よりなる絵素電極が形成されていることを特徴とする。
第1の透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタが形成され、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有し、その上層部が有機絶縁層であるパシベーション絶縁層が前記第1の透明性絶縁基板上に形成され、
前記ソース配線上の開口部を含み信号線上のパシベーション絶縁層上にその表面に感光性有機絶縁層を有し金属層と透明導電層との積層よりなる補助信号線と、前記ドレイン配線上の開口部を含み絵素電極形成領域のパシベーション絶縁層上に透明導電層よりなる絵素電極が形成されていることを特徴とする。
この構成によりソース電極上に形成された開口部を介して透明導電層と金属層との積層よりなる補助信号線は信号線に並列に接続されて信号線の断線確率は激減する。また補助信号線上には感光性有機絶縁層が形成されて補助信号線にもパシベーション機能が付与されているので補助信号線からの直流成分が液晶に漏洩することなく、従来品と同等の高い信頼性を有するTN型の液晶表示装置が得られる。
請求項3は請求項1に記載の液晶表示装置の製造方法であって、
透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタを形成する工程と、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有する無機パシベーション絶縁層を前記透明性絶縁基板上に形成する工程と、
ハーフトーン露光技術により感光性有機絶縁層を用いて透明導電性の絵素電極と、その表面に感光性有機絶縁層を有する透明導電性の補助信号線を形成する工程を有することを特徴とする。
透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタを形成する工程と、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有する無機パシベーション絶縁層を前記透明性絶縁基板上に形成する工程と、
ハーフトーン露光技術により感光性有機絶縁層を用いて透明導電性の絵素電極と、その表面に感光性有機絶縁層を有する透明導電性の補助信号線を形成する工程を有することを特徴とする。
この構成により無機シベーション絶縁層上に絵素電極と補助信号線の形成を1枚のフォトマスクを用いて処理することが可能となり製造工程数の増加は殆ど発生しない。そして補助信号線の形成時に用いた感光性有機絶縁層をそのまま残すことで新たなパシベーション絶縁層の形成を不要とするTN型の液晶表示装置の作製が可能となる。
請求項4は請求項2に記載の液晶表示装置の製造方法であって、
透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタを形成する工程と、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有し、その上層部が有機絶縁層であるパシベーション絶縁層を前記透明性絶縁基板上に形成する工程と、
ハーフトーン露光技術により感光性有機絶縁層を用いて透明導電性の絵素電極と、その表面に感光性有機絶縁層を有する金属層と透明導電層との積層よりなる補助信号線を形成する工程を有することを特徴とする。
透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタを形成する工程と、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有し、その上層部が有機絶縁層であるパシベーション絶縁層を前記透明性絶縁基板上に形成する工程と、
ハーフトーン露光技術により感光性有機絶縁層を用いて透明導電性の絵素電極と、その表面に感光性有機絶縁層を有する金属層と透明導電層との積層よりなる補助信号線を形成する工程を有することを特徴とする。
この構成によりその上層部が有機絶縁層であるパシベーション絶縁層上に絵素電極の形成と補助信号線の形成を1枚のフォトマスクを用いて処理することが可能となり製造工程数の増加は殆ど発生しない。そして金属層と透明導電層との積層よりなる補助信号線の形成時に用いた感光性有機絶縁層をそのまま残すことで新たなパシベーション絶縁層の形成を不要とするTN型の液晶表示装置の作製が可能となる。
以上述べたように本発明はハーフトーン露光技術により感光性有機絶縁層パターンを用いてパシベーション絶縁層上に透明導電性の絵素電極と、透明導電層または透明導電層と金属層との積層よりなる補助信号線を1枚のフォトマスクで処理する合理化技術を核とし、この構成に基づいてさまざまなアクティブ基板を提案している。本発明に記載の液晶表示装置ではアクティブ基板の全面に無機または有機パシベーション絶縁層が形成されているので補助信号線上にのみ感光性有機絶縁層を選択的に形成することで新たなパシベーション絶縁層の形成は不要である。この結果、信号線が断線していても補助信号線が信号線に並列に付加されるので信号線の断線発生確率は著しく抑制される。
さらに本発明に記載の液晶表示装置の一部は金属層の導入により有機パシベーション絶縁層上にも透明導電性の絵素電極と、透明導電層と金属層との積層よりなる補助信号線を形成することが可能で、有機パシベーション絶縁層の膜厚を大きくすることで開口率を高める、あるいは配向処理が容易となる付加的な効果も得られる。また補助信号線の抵抗値が低く、補助信号線のパターン幅を細めても信号線の断線救済能力が低下しないので開口率の向上にも寄与する。
本発明の要件は上記の説明からも明らかなように透明導電性の絵素電極の形成に当たり、ハーフトーン露光技術により感光性有機絶縁層パターンを用いてパシベーション絶縁層上に透明導電性の絵素電極と、透明導電層または透明導電層と金属層との積層よりなる補助信号線を1枚のフォトマスクで処理することを可能ならしめた点にあり、それ以外の構成に関しては走査線、信号線、ゲート絶縁層等の材質や膜厚等が異なった液晶表示装置あるいはその製造方法の差異も本発明の範疇に属することは自明である。また反射型の液晶表示装置においても反射電極の形成に用いられる金属薄膜層を本発明のように補助信号線として流用して信号線の断線を防止する事も可能であり、半透過型液晶表示装置においても透過電極の形成に用いられる透明導電層を本発明のように補助信号線として流用して信号線の断線を防止する事も可能である。さらに絶縁ゲート型トランジスタの半導体層は如何なる制約も受けないことも明らかである。
本発明の実施例を図1〜図4に基づいて説明する。図1に本発明の実施例1に係る表示装置用半導体装置(アクティブ基板)の平面図を示し、図2に図1(f)のA−A’線上とB−B’線上及びC−C’線上の製造工程の断面図を示す。同様に実施例2は図3と図4とで夫々アクティブ基板の平面図と製造工程の断面図を示す。なお従来例と同一の部位については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。本発明では絶縁ゲート型トランジスタの構造や蓄積容量の形態は任意であり、ソース・ドレイン配線を形成した後の製造工程に発明性が存在する。そこで実施例1ではチャネルエッチ型の5枚マスク・プロセスを採用して詳細な説明を行うが、合理化されたチャネルエッチ型の4枚マスク・プロセスを採用しても何ら支障は無い。
実施例1では先ず従来例と同様にガラス基板2の一主面上にSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1〜0.3μm程度の第1の金属層としてCr,Ta,MoW合金等の耐熱性の高い金属または合金の薄膜を被着し、図1(a)と図2(a)に示したように微細加工技術によりゲート電極11Aも兼ねる走査線11を選択的に形成する。走査線11とゲート電極11Aの形成と同時に画像表示部外の領域で走査線11の一部よりなる(電極端子)5も同時に形成する。
次にガラス基板2の全面にPCVD装置を用いてゲート絶縁層となるSiNx層30、不純物をほとんど含まず絶縁ゲート型トランジスタのチャネルとなる第1の非晶質シリコン層31、及び不純物を含み絶縁ゲート型トランジスタのソース・ドレインとなる第2の非晶質シリコン層33と3種類の薄膜層を、例えば0.3−0.2−0.05μm程度の膜厚で順次被着する。そして図1(b)と図2(b)に示したように微細加工技術によりゲート電極11A上に第2の非晶質シリコン層33Aと第1の非晶質シリコン層31Aとの積層よりなる島状の半導体層をゲート11電極Aよりも幅広く選択的に形成してゲート絶縁層30を露出する。
引き続きソース・ドレイン配線の形成工程ではSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1μm程度の耐熱金属層として例えばTi,Ta等の薄膜層34と、膜厚0.3μm程度の低抵抗配線層としてAL薄膜層35と、さらに膜厚0.1μm程度の中間導電層として例えばTi薄膜層36を順次被着する。そして図1(c)と図2(c)に示したように微細加工技術により感光性樹脂パターンを用いてこれらの薄膜層を順次食刻し、ゲート電極11Aと一部重なるように34A,35A及び36Aの積層よりなる絶縁ゲート型トランジスタのドレイン電極21とソース配線も兼ねる信号線12を選択的に形成するが、ここでは第2の非晶質シリコン層33A及び第1の非晶質シリコン層31Aを順次食刻し、第1の非晶質シリコン層31Aは0.05〜0.1μm程度残して食刻する。ソース・ドレイン配線12,21の形成と同時に走査線11上に蓄積電極72と画像表示部外の領域で信号線12の一部よりなる(電極端子)6も同時に形成する。
ソース・ドレイン配線12,21の形成後は従来の5枚マスク・プロセスと同様にガラス基板2の全面に透明性の絶縁層として0.3μm程度の膜厚のSiNx層を被着してパシベーション絶縁層37とし、図1(d)と図2(d)に示したようにドレイン電極21上、ソース電極(信号線)12上、走査線の一部5上及び信号線の一部6上に夫々開口部62A,62B,63及び64を形成し、開口部62A,62B,64内のパシベーション絶縁層37と、開口部63内のパシベーション絶縁層37とゲート絶縁層30を選択的に除去してこれらの電極を露出する。
そしてガラス基板2の全面にSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1〜0.2μm程度の透明導電層として例えばITOを被着し、図1(e)と図2(e)に示したように開口部62Bを含んで補助信号線12Sに対応した領域81Aの膜厚が2μmで、開口部62Aを含んで絵素電極と、開口部63を含んで走査線の電極端子と、開口部64を含んで信号線の電極端子に対応した領域81Bの膜厚の1μmよりも厚い感光性有機絶縁層パターン81A,81Bをハーフトーン露光技術により形成する。そして感光性有機絶縁層パターン81A,81Bをマスクとして露出している透明導電層を選択的に除去して絵素電極22と補助信号線12Sと走査線の電極端子5Aと信号線の電極端子6Aを形成する。なおここでは従来例と同様にアクティブ基板2の外周に透明導電性の短絡線40を設け、電極端子5A,6Aと短絡線40との間を細長いストライプ状に形成することにより高抵抗化して静電気対策用の高抵抗としている。
この後、酸素プラズマ等の灰化手段により記感光性有機絶縁層パターン81A,81Bを1.5μm以上膜減りさせると感光性有機絶縁層パターン81Bが消失し、図1(f)と図2(f)に示したように透明導電性の絵素電極22と電極端子5A,6Aが露出すると共に補助信号線12S上にのみ膜減りした感光性有機絶縁層パターン81C(12S)をそのまま残すことができるが、上記酸素プラズマ処理で感光性有機絶縁層パターン81C(12S)のパターン幅が細くなると補助信号線12Sの上面が露出して信頼性が低下するので異方性を強めてパターン寸法の変化を抑制することが望ましい。具体的にはRIE(Reactive Ion Etching)方式、さらに高密度のプラズマ源を有するICP(Inductive Coupled Plasama)方式やTCP(Transfer Coupled Plasama)方式の酸素プラズマ処理がより望ましい。
このようにして得られたアクティブ基板2とカラーフィルタとを貼り合わせて液晶パネル化し、本発明の実施例1が完了する。実施例1では感光性有機絶縁層パターン81Cは液晶に接しているので、感光性有機絶縁層はノボラック系の樹脂を主成分とする通常の感光性樹脂ではなく、純度が高く主成分にアクリル樹脂やポリイミド樹脂を含む耐熱性の高い感光性有機絶縁層を用いることが大切であり、材質によっては加熱することで流動化して補助信号線12Sの側面を覆うように構成することも可能で、この場合には液晶パネルの信頼性を確保することが容易である。蓄積容量15の構成に関しては図1(f)に示したようにソース・ドレイン配線12,21と同時に形成された蓄積電極72と前段の走査線11に設けられた突起部とがゲート絶縁層30を介して平面的に重なることで構成している例(右下がり斜線部52)を例示しているが、蓄積容量15の構成はこれに限られるものではなく、従来例で紹介したように走査線11と同時に形成される蓄積容量線16とドレイン電極21との間にゲート絶縁層30を含む絶縁層を介して構成しても良い。なお絵素電極22と蓄積電極72との電気的接続は蓄積電極72上のパシベーション絶縁層37に形成された開口部62Cを介して与えられている。
実施例1では補助信号線12S上のみに感光性有機絶縁層パターン81C(12S)を形成して絵素電極22は導電性を保ったまま露出しているが、これでも十分な信頼性が得られる理由は液晶セルに印可される駆動信号は基本的に交流であり、カラーフィルタ9上の対向電極14と絵素電極22との間には直流電圧成分が少なくなるように対向電極14の電圧は画像検査時に調整されるので(フリッカ低減調整)、従って補助信号線12S上にのみ直流成分が流れないように絶縁層を形成しておけば良いという基本原理に基づいているからである。
実施例1ではこのようにパシベーション絶縁層が無機材質であるSiNx層であるので感光性有機絶縁層パターンの膜厚を減少せしめる酸素プラズマ処理でパシベーション絶縁層の膜厚が減少する事は無いが、パシベーション絶縁層が有機材質であるアクリル樹脂の場合にはアクリル樹脂の膜厚が減少してアクティブ基板上に不要な段差が発生して配向膜の配向処理で様々な障害が発生する。有機材質であるアクリル樹脂よりなるパシベーション絶縁層上にハーフトーン露光技術で補助信号線を形成するためにはアクリル樹脂の膜減りを阻止する工夫が必要であり、それを実施例2として説明する。既に述べたように本発明では絶縁ゲート型トランジスタの構造や蓄積容量の形態は任意であり、そこで実施例2ではエッチストップ型の5枚マスク・プロセスを採用して詳細な説明を行う。
実施例2ではソース・ドレイン配線の形成工程において耐熱金属層として例えばTi,Ta等の薄膜層34と、そして膜厚0.3μm程度の低抵抗配線層としてAL薄膜層35と、さらに膜厚0.1μm程度の中間導電層として例えばTi薄膜層36を順次被着し、これら3層の薄膜層よりなるソース・ドレイン配線材と第2の非晶質シリコン層33と第1の非晶質シリコン層31を微細加工技術により感光性樹脂パターンを用いて順次食刻してゲート絶縁層30と保護絶縁層32Dを露出し、図3(c)と図4(c)に示したように34A,35A及び36Aの積層よりなり保護絶縁層32Dと一部重なるように絶縁ゲート型トランジスタのソース配線も兼ねる信号線12と、絶縁ゲート型トランジスタのドレイン電極21と、信号線12の一部よりなる(電極端子)6を選択的に形成するまでは従来例とほぼ同一の製造工程で進行する。
ソース・ドレイン配線12,21の形成後はガラス基板2の全面に透明性の絶縁層として3μm程度の膜厚の透明性と耐熱性の高い感光性アクリル樹脂を塗布して平坦化層39とし、図3(d)と図4(d)に示したようにフォトマスクを用いた選択的紫外線照射によりドレイン電極21上、ソース電極12上、走査線の一部5上及び信号線の一部6上に夫々開口部62A,62B,63及び64を形成し、開口部62A,62B,64内に夫々ドレイン電極21の一部、ソース電極12の一部及び信号線の一部6を露出する。そして現像処理の後、平坦化層絶縁層39を熱硬化する。さらに開口部63内のゲート絶縁層30を選択的に除去して走査線の一部5を露出する。同様に蓄積容量線16上には開口部65を形成して蓄積容量線16の一部を露出する。
エッチストップ型の絶縁ゲート型トランジスタはチャネル上に保護絶縁層32Dを有するのでアクティブ基板2のパシベーション層にアクリル樹脂を採用しても絶縁ゲート型トランジスタの電気的な特性が変動することは無いが、チャネルエッチ型の絶縁ゲート型トランジスタでは通常SiNxよりなるパシベーション絶縁層37をアクティブ基板2上に被着した後、アクリル樹脂による平坦化層39の形成が必要である。すなわちパシベーション絶縁層はその上層部が有機絶縁層であり下層部がSiNxである積層となる。勿論開口部62A,62B,63,64内のパシベーション絶縁層37の除去も必要である。
平坦化層39の形成後、ガラス基板2の全面にSPT等の真空製膜装置を用いて膜厚0.1〜0.2μm程度の透明導電層として例えばITO91と膜厚0.1〜0.2μm程度の金属層92として例えばMo,Crを被着し、図3(e)と図4(e)に示したように開口部62Bを含んで補助信号線12Sに対応した領域81Aの膜厚が2μmで、開口部62Aを含んで絵素電極と、開口部63を含んで走査線の電極端子と、開口部64を含んで信号線の電極端子に対応した領域81Bの膜厚の1μmよりも厚い感光性有機絶縁層パターン81A,81Bをハーフトーン露光技術により形成する。そして感光性有機絶縁層パターン81A,81Bをマスクとして露出している金属層92を除去して透明導電層91を露出する。金属層92は透明導電層91とアルカリ性の現像液やレジスト剥離液と電池反応を起こさない非アルミニウム系の金属材料が一般的である。
この後、酸素プラズマ等の灰化手段により前記感光性有機絶縁層パターン81A,81Bを1.5μm以上膜減りさせると感光性有機絶縁層パターン81Bが消失し、図3(f)と図4(f)に示したように絵素電極22に対応して金属層92(22)と、電極端子5A,6Aに対応して金属層92(5A),92(6A)が露出すると共に補助信号線12S上にのみ膜減りした感光性有機絶縁層パターン81C(12S)をそのまま残すことができるが、上記酸素プラズマ処理で感光性有機絶縁層パターン81C(12S)のパターン幅が細くなると補助信号線12Sの上面が露出して信頼性が低下するので異方性を強めてパターン寸法の変化を抑制することが望ましい。具体的にはRIE方式、さらに高密度のプラズマ源を有するICP方式やTCP方式の酸素プラズマ処理がより望ましい。この酸素プラズマ処理時に透明導電層91が平坦化層39を膜減りから保護している事を理解されたい。
そこで膜減りした感光性有機絶縁層パターン81C(12S)とこれらの金属層92(22),92(5A),92(6A)をマスクとして透明導電層91を選択的に除去して図3(g)と図4(g)に示したように透明導電性の絵素電極22と走査線の電極端子5Aと信号線の電極端子6Aを形成する。同様に番号は付与しないが開口部65を含んで蓄積容量線16への電極端子が形成される。なおここでは従来例と同様にアクティブ基板2の外周に透明導電性の短絡線40を設け、電極端子5A,6Aと短絡線40との間を細長いストライプ状に形成することにより高抵抗化して静電気対策用の高抵抗としている。
さらに膜減りした感光性有機絶縁層パターン81C(12S)をマスクとして金属層92(22),92(5A),92(6A)を除去すると図3(h)と図4(h)に示したように透明導電性の絵素電極22と電極端子5A,6Aが露出する。実施例1とは異なり補助信号線12Sは透明導電層91(12S)と金属層92(12S)との積層で構成されているのが分かる。
このようにして得られたアクティブ基板2とカラーフィルタとを貼り合わせて液晶パネル化し、本発明の実施例2が完了する。実施例2でも感光性有機絶縁層パターン81Cは液晶に接しているので、感光性有機絶縁層はノボラック系の樹脂を主成分とする通常の感光性樹脂ではなく、純度が高く主成分にアクリル樹脂やポリイミド樹脂を含む耐熱性の高い感光性有機絶縁層を用いることが大切である。蓄積容量15の構成に関しては図3(c)に示したように走査線11と同時に形成された蓄積容量線16とドレイン配線21がゲート絶縁層30を介して平面的に重なることで構成している例(右下がり斜線部50)を例示しているが、蓄積容量15の構成はこれに限られるものではなく、実施例1で紹介したように前段の走査線11と蓄積電極72との間にゲート絶縁層30を含む絶縁層を介して構成しても良い。
実施例2では透明度の高いアクリル樹脂よりなる平坦化層39がアクティブ基板2上に形成されているのでドレイン電極21の段差によって発生するドレイン電極21近傍の非配向が阻止できるだけでなく、図3(h)に示したように絵素電極22を走査線11と重ねて形成して開口率を高める事ができる副次的な効果も生じる。これは平坦化層39が厚いために絵素電極22と走査線11との電気的な干渉(寄生容量)が小さく、クロストークが起き難いためである。さらに補助信号線12Sが透明導電層91(12S)と金属層92(12S)との積層で構成されるので補助信号線12Sの抵抗値が低く、補助信号線12Sのパターン幅を細めても信号線の断線救済能力が低下しないので、開口率の向上にも寄与することが出来る。
1:液晶パネル
2:アクティブ基板(ガラス基板)
3:半導体集積回路チップ
4:TCPフィルム
5:走査線の一部または電極端子
5A:透明導電性の走査線の電極端子
6:信号線の一部または電極端子
6A:透明導電性の信号線の電極端子
9:カラーフィルタ(対向するガラス基板)
10:絶縁ゲート型トランジスタ
11:走査線
11A:ゲート配線、ゲート電極
12:信号線(ソース配線、ソース電極)
12S:補助信号線
16:蓄積容量線
17:液晶
19:偏光板
20:配向膜
21:ドレイン電極(ドレイン配線、ドレイン電極)
22:透明導電性の絵素電極
30:ゲート絶縁層
31:不純物を含まない(第1の)非晶質シリコン層
32D:保護絶縁層(エッチストップ層、チャネル保護絶縁層)
33:不純物を含む(第2の)非晶質シリコン層
34:耐熱金属層
35:低抵抗金属層(AL)
36:中間導電層
37:パシベーション絶縁層
39:平坦化層(アクリル樹脂層)
50,52:蓄積容量形成領域
62,62A:(ドレイン電極上の)開口部
62B:(ソース電極上の)開口部
62C:(蓄積電極上の)開口部
63:(走査線の一部上または走査線の電極端子上の)開口部
64:(信号線の一部上または信号線の電極端子上の)開口部
65:(対向電極上の)開口部
72: 蓄積電極
80A ,80B:ハーフトーン露光で形成された(通常の)感光性樹脂パターン
81A ,81B:ハーフトーン露光で形成された感光性有機絶縁層パターン
91:透明導電層
92:(非アルミニウム系の)金属層
2:アクティブ基板(ガラス基板)
3:半導体集積回路チップ
4:TCPフィルム
5:走査線の一部または電極端子
5A:透明導電性の走査線の電極端子
6:信号線の一部または電極端子
6A:透明導電性の信号線の電極端子
9:カラーフィルタ(対向するガラス基板)
10:絶縁ゲート型トランジスタ
11:走査線
11A:ゲート配線、ゲート電極
12:信号線(ソース配線、ソース電極)
12S:補助信号線
16:蓄積容量線
17:液晶
19:偏光板
20:配向膜
21:ドレイン電極(ドレイン配線、ドレイン電極)
22:透明導電性の絵素電極
30:ゲート絶縁層
31:不純物を含まない(第1の)非晶質シリコン層
32D:保護絶縁層(エッチストップ層、チャネル保護絶縁層)
33:不純物を含む(第2の)非晶質シリコン層
34:耐熱金属層
35:低抵抗金属層(AL)
36:中間導電層
37:パシベーション絶縁層
39:平坦化層(アクリル樹脂層)
50,52:蓄積容量形成領域
62,62A:(ドレイン電極上の)開口部
62B:(ソース電極上の)開口部
62C:(蓄積電極上の)開口部
63:(走査線の一部上または走査線の電極端子上の)開口部
64:(信号線の一部上または信号線の電極端子上の)開口部
65:(対向電極上の)開口部
72: 蓄積電極
80A ,80B:ハーフトーン露光で形成された(通常の)感光性樹脂パターン
81A ,81B:ハーフトーン露光で形成された感光性有機絶縁層パターン
91:透明導電層
92:(非アルミニウム系の)金属層
Claims (4)
- 一主面上に少なくとも絶縁ゲート型トランジスタと、前記絶縁ゲート型トランジスタのゲート電極も兼ねる走査線とソース配線も兼ねる信号線と、ドレイン配線に接続された絵素電極とを有する単位絵素が二次元のマトリクスに配列された第1の透明性絶縁基板と、前記第1の透明性絶縁基板と対向する第2の透明性絶縁基板またはカラーフィルタとの間に液晶を充填してなる液晶表示装置において、
第1の透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタが形成され、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有する無機パシベーション絶縁層が前記第1の透明性絶縁基板上に形成され、
前記ソース配線上の開口部を含み信号線上の無機パシベーション絶縁層上にその表面に感光性有機絶縁層を有し透明導電層よりなる補助信号線と、前記ドレイン配線上の開口部を含み絵素電極形成領域の無機パシベーション絶縁層上に透明導電層よりなる絵素電極が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 一主面上に少なくとも絶縁ゲート型トランジスタと、前記絶縁ゲート型トランジスタのゲート電極も兼ねる走査線とソース配線も兼ねる信号線と、ドレイン配線に接続された絵素電極とを有する単位絵素が二次元のマトリクスに配列された第1の透明性絶縁基板と、前記第1の透明性絶縁基板と対向する第2の透明性絶縁基板またはカラーフィルタとの間に液晶を充填してなる液晶表示装置において、
第1の透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタが形成され、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有し、その上層部が有機絶縁層であるパシベーション絶縁層が前記第1の透明性絶縁基板上に形成され、
前記ソース配線上の開口部を含み信号線上のパシベーション絶縁層上にその表面に感光性有機絶縁層を有し金属層と透明導電層との積層よりなる補助信号線と、前記ドレイン配線上の開口部を含み絵素電極形成領域のパシベーション絶縁層上に透明導電層よりなる絵素電極が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 一主面上に少なくとも絶縁ゲート型トランジスタと、前記絶縁ゲート型トランジスタのゲート電極も兼ねる走査線とソース配線も兼ねる信号線と、前記絶縁ゲート型トランジスタのドレインに接続された絵素電極と、前記絵素電極とは所定の距離を隔てて形成された対向電極とを有する単位絵素が二次元のマトリクスに配列された第1の透明性絶縁基板と、前記第1の透明性絶縁基板と対向する第2の透明性絶縁基板またはカラーフィルタとの間に液晶を充填してなる液晶表示装置において、
第1の透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタを形成する工程と、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有する無機パシベーション絶縁層を前記第1の透明性絶縁基板上に形成する工程と、
透明導電層を被着後、前記ソース配線上の開口部を含んでソース配線上の補助信号線と前記ドレイン電極上の開口部を含んで絵素電極に対応し、補助信号線上の膜厚が絵素電極上の膜厚よりも厚い感光性有機絶縁層パターンを形成する工程と、
前記感光性有機絶縁層パターンをマスクとして前記透明導電層を選択的に除去して補助信号線と絵素電極を形成する工程と、
前記感光性有機絶縁層パターンの膜厚を減少して透明導電性の絵素電極を露出する工程を有する液晶表示装置の製造方法。 - 一主面上に少なくとも絶縁ゲート型トランジスタと、前記絶縁ゲート型トランジスタのゲート電極も兼ねる走査線とソース配線も兼ねる信号線と、ドレイン配線に接続された絵素電極とを有する単位絵素が二次元のマトリクスに配列された第1の透明性絶縁基板と、前記第1の透明性絶縁基板と対向する第2の透明性絶縁基板またはカラーフィルタとの間に液晶を充填してなる液晶表示装置において、
第1の透明性絶縁基板の一主面上に走査線と信号線と絶縁ゲート型トランジスタを形成する工程と、
少なくともソース・ドレイン配線上に開口部を有し、その上層部が有機絶縁層であるパシベーション絶縁層を前記第1の透明性絶縁基板上に形成する工程と、
透明導電層と金属層を被着後、前記ソース配線上の開口部を含んでソース配線上の補助信号線と前記ドレイン電極上の開口部を含んで絵素電極に対応し、補助信号線上の膜厚が絵素電極上の膜厚よりも厚い感光性有機絶縁層パターンを形成する工程と、
前記感光性有機絶縁層パターンをマスクとして前記金属層を選択的に除去して前記透明導電層を露出する工程と、
前記感光性有機絶縁層パターンの膜厚を減少せしめて絵素電極に対応した金属層を露出する工程と、
前記膜厚を減ぜられた感光性有機絶縁層パターンと前記絵素電極に対応した金属層をマスクとして前記透明導電層を選択的に除去して前記パシベーション絶縁層を露出する工程と、
前記絵素電極に対応した金属層を除去して透明導電性の絵素電極を露出する工程を有する液晶表示装置の製造方法。
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