JP2005215149A - 感光性転写材料、画像の形成方法及びブラックマトリックス - Google Patents

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Abstract

【課題】 単位膜厚当たりの光学濃度が高く、配向乱れが少なく、またTFT素子基板に用いても短絡故障がないブラックマトリックス(BM)を作製可能な感光性転写材料を提供することにあり、また前記感光性転写材料を用いる画像形成方法及びBMを提供すること。
【解決手段】 仮支持体上に、少なくとも、感光性樹脂と着色剤として少なくともカーボンブラックを含む遮光性感光樹脂層とをこの順に有する感光性転写材料において、前記カーボンブラックがその表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラックであることを特徴とする感光性転写材料、該転写材料を用いて作製されるBM、及び感光性転写材料を基板の上に遮光性感光樹脂層が接触するように密着させる工程、仮支持体を除去する工程、遮光性感光樹脂層にパターン露光し現像する工程を有する、基板の上に画像を形成する方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感光性転写材料、画像形成方法、及びブラックマトリックスに関する。
カラーフィルターのブラックマトリックスは、配線部の光漏れを防ぎコントラストを上げるという目的から光学濃度が高いほど望ましいが、光漏れを防ぐためブラックマトリックスの厚さを大きくしすぎると、ブラックマトリックスとそれ以外の領域(画素領域等)との境目に段差が生じ、その段差により液晶の配向乱れを起こすことがある。この問題を回避するには、ブラックマトリックス中のカーボンブラック等の着色剤の含有比率を上げ、単位膜厚当たりの着色力を大きくし膜厚を薄くすることが考えられるが、液体状のブラックマトリックス形成用感光樹脂組成物を塗布した後フォトリソグラフィー法でブラックマトリックスを形成する従来の方法では、着色剤比率を上げた場合、ブラックマトリックス形成用感光樹脂組成物の保存時や塗布時に凝集物が発生して良品率が低下するという問題があった。
ここにカーボンブラックの含有比率を上げ、単位膜厚当たりの光学濃度を高くしても、凝集物の発生による良品率の低下がないような、感光性転写材料、画像形成方法及びブラックマトリックスを提供するための新しい技術が必要とされていた。
また、アクティブマトリックス型液晶ディスプレイにおいて、カラーフィルターをTFT素子基板側に設けたカラーフィルター・オン・アレイ方式(COA方式)、及びブラックマトリックスのみをTFT素子基板側に設けたブラックマトリックス・オン・アレイ方式(BOA方式)は、TFTアレイの開口率を高め、液晶パネルの輝度を上げる技術として提案されている。
これらの方式においては、ブラックマトリックスがTFT素子の上に直接載るため、電気回路の短絡(TFT故障)を起こさないためには一定以上の体積抵抗率をブラックマトリックスに付与する必要がある。
一定以上の体積抵抗率を付与する手段として、例えば以下の特許文献1には、カーボンブラックのBET法比表面積(A)と、DBP吸油量(B)と、揮発分(C)の関係が次式を満たすようなカーボンブラックを用いることにより体積抵抗率を上げることが記載されている。
(A×B)1/2/(C+1)<36
また、一定以上の体積抵抗率を付与する他の手段として、ブラックマトリックスの総固形分に占めるカーボンブラックの比率を抑えたり、あるいは遮光用着色剤としてカーボンブラックの他に他の色相の顔料を混合したものを用い、その着色剤に占めるカーボンブラックの比率を一定以下に抑える方法が考えられる。しかしながら、このような方法はブラックマトリックスの光学濃度を下げ本来の機能である遮光性を損なう。そのため、カーボンブラックの比率を下げたブラックマトリックスの膜厚を大きくすると、ブラックマトリックスと画素との境目に段差が生じ、その段差により液晶の配向乱れを起こす。したがって、単にカーボンブラックの配合比率を下げるだけでは、光学濃度が高く、TFT故障がなく、また液晶の配向乱れが少ないブラックマトリックスを得ることはできない。
さらに、ブラックマトリックス形成用感光樹脂組成物や感光性転写材料を用いるブラックマトリックスの作製においては、カーボンブラックや他の遮光剤が光硬化のための紫外線を吸収してしまうため、感光性樹脂層全体にわたって十分硬化させることが難しかった。このため完成したブラックマトリックスの光学濃度不足やサイドエッチングによる断面形状不良が発生する場合があった。
ここにカーボンブラックの含有比率を上げ、単位膜厚当たりの光学濃度を高くしても、
一定以上の体積抵抗率を保ち、また光硬化のために必要な紫外線が透過できるような、感光性転写材料、画像形成方法及びブラックマトリックスを提供するための新しい技術が必要とされていた。
また、カーボンブラックの表面改質をジアゾニウム塩化合物を用いて行うことも知られているが(例えば以下の特許文献2を参照)、特許文献2には、そのような表面改質カーボンブラックをブラックマトリックス作製用の顔料として用いることの記載はない。
特開平10−114873号公報 特表平10−510861号公報
本発明はこのような状況のもとになされたものであり、その目的は、単位膜厚当たりの光学濃度が高く、配向乱れが少なく、またTFT素子基板に用いても短絡故障がないブラックマトリックスを作製可能な感光性転写材料を提供することにあり、また前記感光性転写材料を用いるブラックマトリックスの作製方法を提供することにある。
前記課題は、以下の感光性転写材料、画像の形成方法及びブラックマトリックスを提供することにより解決される。
(1)仮支持体上に、少なくとも、感光性樹脂と着色剤として少なくともカーボンブラックを含む遮光性感光樹脂層を有する感光性転写材料において、前記カーボンブラックがその表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラックであることを特徴とする感光性転写材料。
(2)遮光性感光樹脂層におけるカーボンブラックの含有比率が30質量%以上であることを特徴とする前記(1)に記載の感光性転写材料。
(3)前記(1)又は(2)にに記載の感光性転写材料を基板の上に遮光性感光樹脂層が接触するように密着させる工程、仮支持体を除去する工程、遮光性感光樹脂層にパターン露光し現像する工程を有する、基板の上に画像を形成する方法。
(4)前記(1)又は(2)にに記載の感光性転写材料を用いて作製される、400nmにおける吸光度Aと700nmにおける吸光度Bの比率A/Bが1.4以下であって、厚み1μm当たりの光学濃度が2.5以上であるブラックマトリックス。
本発明の感光性転写材料は、遮光性感光樹脂層に含有させる遮光剤として、その表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラックを用いたため、遮光性感光樹脂層を形成するための遮光性感光樹脂組成物におけるカーボンブラックの分散安定性を高めることができ、該組成物中におけるカーボンブラックの含有比率を高くすることが可能になった。そのため、形成されるブラックマトリックスの単位膜厚当たりの光学濃度を高くすることができる。
また、本発明の感光性転写材料は、あらかじめ仮支持体の上に遮光性感光樹脂組成物を塗布して遮光性感光樹脂層を形成したもので、これを固体状態で保管し、基板には転写により遮光性感光樹脂層を形成するので、遮光性感光樹脂組成物を液体の状態で保管して基板の上に塗布により遮光性感光樹脂層を形成する方法に比較して、凝集物等による良品率の低下を改善することができ、また、カーボンブラックの含有比率をさらに上げることができる。
また、前記のごときカーボンブラックを用いることにより、その含有率を上げてもブラックマトリックスの体積抵抗率が下がらず、TFT素子基板に用いた場合でも、電気回路の短絡といったTFT故障を起こすことがない。
さらに、このカーボンブラックを含有する遮光性感光樹脂層の光吸収は、紫外域から可視域までの広い波長範囲にわたって比較的フラットな吸収特性を示すので、遮光性感光樹脂層全体にわたって十分硬化させることができる。したがって、膜厚を大きくすることによっても高い光学濃度を得ることができ、現像の際のサイドエッチングによる断面形状不良が発生することがない。
[感光性転写材料]
本発明の感光性転写材料は、仮支持体上に、少なくとも、感光性樹脂と着色剤として少なくともカーボンブラックを含む遮光性感光樹脂層を有し、前記カーボンブラックはその表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラックであることを特徴とする。
本発明の感光性転写材料は、遮光性感光樹脂層に含有させる遮光剤として、その表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラックを用いたため、遮光性感光樹脂層を形成するための遮光性感光樹脂組成物におけるカーボンブラックの分散安定性を高めることができ、該組成物中におけるカーボンブラックの含有比率を高くすることが可能になった。そのため、形成されるブラックマトリックスの単位膜厚当たりの光学濃度を高くすることができる。
また、本発明の感光性転写材料は、あらかじめ仮支持体の上に遮光性感光樹脂組成物を塗布して遮光性感光樹脂層を形成したもので、これを固体状態で保管し、基板には転写により遮光性感光樹脂層を形成するので、遮光性感光樹脂組成物を液体の状態で保管して基板の上に塗布により遮光性感光樹脂層を形成する方法に比較して、凝集物等による良品率の低下を改善することができ、また、カーボンブラックの含有比率をさらに上げることができる。
また、前記のごときカーボンブラックを用いることにより、その含有率を上げてもブラックマトリックスの体積抵抗率が下がらず、TFT素子基板に用いた場合でも、電気回路の短絡といったTFT故障を起こすことがない。
さらに、このカーボンブラックを含有する遮光性感光樹脂層の光吸収は、紫外域から可視域までの広い波長範囲にわたって比較的フラットな吸収特性を示すので、遮光性感光樹脂層全体にわたって十分硬化させることができる。したがって、膜厚を大きくすることによっても高い光学濃度を得ることができ、また現像の際サイドエッチングによる断面形状不良が発生することがない。
[遮光性感光樹脂層]
前記遮光性感光樹脂層は、感光性樹脂と着色剤として少なくともその表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラックを含む。また、前記遮光性感光樹脂層はさらにアルカリ可溶性バインダー、光重合開始剤を含むことが好ましく、目的及び必要に応じて、紫外線吸収剤や界面活性剤及びその他の添加剤を含むことができる。遮光性感光樹脂層におけるカーボンブラックの含有量は30質量%以上が好ましく、また、ブラックマトリックスの絶縁性を考慮すると60質量%以下が好ましい。
遮光性感光樹脂層は、遮光性感光樹脂組成物を塗布することにより形成される。遮光性感光樹脂層の厚さは通常0.5〜10μmであり、好ましくは1〜5μmであり、特に1〜3μmが好ましい。
(遮光性感光樹脂組成物)
<表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラック>
その表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラックは、カーボンブラックとジアゾニウム塩化合物との反応により、カーボンブラック表面に有機基(脂肪族基、芳香族基(複素芳香族基を含む、以下同じ)、又は脂肪族基部分及び芳香族基部分)が結合している。
本発明において、ジアゾニウム塩化合物と反応させるカーボンブラックとしては、ランプブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等のいずれの種類も用いることができる。
また本発明において用いるジアゾニウム塩化合物の種類に特に制限はないが、好ましくは以下の式で示されるジアゾニウム塩化合物である。
式(1) ArN2 +-
前記式中Arは芳香族基又は複素芳香族基を表し、X-はアニオン又はハロゲン化物イオンを表す。芳香族基及び複素芳香族基は置換基を有することが好ましい。
前記芳香族基及び複素芳香族基としてはフェニル基、ナフチル基、アントラセルニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、フリル基、インドリル基等が挙げられる。
また、前記置換基としては炭素数1〜20のアルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜21のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、総炭素数1〜21のアルコキシカルボニル基、総炭素数1〜21のアシルオキシ基、複素芳香族基(複素芳香族基としてはArの具体例として挙げたものが同様に挙げられる。)、総炭素数2〜20のアシルアミノ基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、カルバモイル基、ハロゲン、−NO2、−CN、−COO-塩、−SO3H、−SO3 -塩、−OSO3H、−OSO3 -塩、−OPO32、−OPO3-塩、−OPO3 2-塩、−PO32、−PO3-塩、−PO3 2-塩、−SSO3H、−SSO3 -塩、−N2 +-、−N(R13 +-、−P(R13 +-、−N=NR1、−StR1(tは1〜8の整数)、−SO2NR12、−SO2SR1、−SNR12、−SNR3、−SO2NR3、−CO2NR3、S−(1,4−ピペラジンジイル)−SR1、2−(1,3−ジチアニル)、2−(1,3−ジチオラニル)、−SOR1、−SO21等を示す。前記R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜21のアリールアルキル基又は複素芳香族基(複素芳香族基としてはArの具体例として挙げたものが同様に挙げられる。)を表す。また、R3は−(CH2)a−、−(CH2)bO(CH2)c−、−(CH2)bNR(CH2)c−、または−(CH2)bS(CH2)c−であり、ここでaは2〜6であり、bは1〜6であり、cは1〜6であり、Nとともに環を形成する。
また、前記置換基はさらに置換基を有していてもよい。
この場合、カーボンブラック表面を修飾する有機基は−Arとなる。
さらに本発明におけるジアゾニウム塩化合物としては、以下の式(2)で表されるものが使用可能である。
式(2) X-2 +−Ar1−X−Ar2−N2 +-
前記式(2)において、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、芳香族基又は複素芳香族基を示し、Xは2価の基を示す。2価の基としては、例えばアルキレン基、−NHSO2−アルキレン−NHSO2−基、−St−基(tは1〜8の整数)、−Y1−St−Y2−基(Y1及びY2は2価の基であり、例えばアルキレン基、アリーレン基、−アルキレン−NHSO2−基、−フェニレン−NHSO2−フェニレン−基等を示し、tは1〜8の整数を示す。)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
この場合、カーボンブラック表面を修飾する有機基は−Ar1−X−Ar2−となる。
さらに以下の式(3)で表されるジアゾニウム塩化合物も用いうる。
式(3) HS−Ar3−N2 +-
前記式(3)中、Ar3は芳香族基又は複素芳香族基を示す。また、この場合、カーボンブラック表面を修飾する有機基はHS−Ar3−である。
前記式(2)及び式(3)中のAr1、Ar2及びAr3で示す芳香族基又は複素芳香族基は、具体的には式(1)で示すArと同様である。
前記の有機基で修飾されたカーボンブラックは、ジアゾニウム塩化合物とカーボンブラックとを溶媒(プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒又はこれらの混合溶媒)中で反応させることにより得られる。
また、他の方法として、前記のごとき溶媒中においてその場でジアゾニウム塩化合物を生成させつつカーボンブラックと反応させることもできる。この場合、ジアゾニウム塩化合物はジアゾニウム塩化合物に対応する第1アミン、亜硝酸塩及び酸を反応させるなどの方法により生成させることができる。
表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラックについては、特表平10−510861号公報に詳細に説明されており、例えば、その製造方法及び得られるカーボンブラックは該公報の34〜39頁に記載されている。
<感光性樹脂>
本発明における感光性樹脂は少なくともエチレン性不飽和二重結合を有する重合性モノマーを含み、該モノマーは分子内に少なくとも1個の付加重合が可能なエチレン性不飽和結合を有し、好ましくは沸点が常圧で100℃以上のモノマー化合物である。
その具体例としては、例えばポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの;特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレート等を挙げることができる。
中でも特に、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を好適な例として挙げられる。
上記エチレン性不飽和二重結合を有する重合性モノマーは、2種以上を混合して使用することもできる。
本発明においては、上記エチレン性不飽和二重結合を有する重合性モノマーの遮光性感光樹脂組成物中の固形分含有量は5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。該含有量が5質量%未満では光感度や画像の強度が低くなることがあり、一方、該含有量が50質量%を越えると、遮光性感光樹脂層としての粘着性が過剰になり取扱い作業性が低下することがある。
<アルカリ可溶性バインダー>
本発明に用いるアルカリ可溶性バインダーとしては、顔料の分散安定性が良く、重合性モノマー及び光重合開始剤との相溶性が良く、アルカリ現像液に対する溶解性や塗布液調製時の有機溶剤溶解性、強度、軟化温度等が適切であるものが好ましい。
具体的には、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号等の各明細書に記載されている様なメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が好適に挙げられる。また、側鎖にカルボン酸基を有するセルローズ誘導体も使用できる。この他に水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも有用である。特に好ましくは、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体及びベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。
以上のものは水不溶性のバインダーであるが、水溶性のアルカリ可溶性バインダーとしては、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。その他に、種々の特性、例えば硬化膜の強度を改良するために、現像特性等を損なわない範囲でアルカリ不溶のポリマーを併用することができる。この様なポリマーとしては、アルコール可溶性ナイロン又はエポキシ樹脂等が挙げられる。
上記アルカリ可溶性バインダーは、2種以上を併用することもできる。
本発明において、上記アルカリ可溶性バインダーの遮光性感光樹脂組成物における固形分含有量は10〜95質量%が好ましく、より好ましくは20〜90質量%である。該含有量が10質量%未満では遮光性感光樹脂層としての粘着性が高過ぎることがあり、一方、該含有量が95質量%を越えると、露光により形成される画像の強度及び光感応度の点で劣ることがある。
<光重合開始剤>
本発明に用いる光重合開始剤としては、可視光線や紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射(露光)により、後述の重合性モノマーの重合反応を開始させる活性種を発生し得る化合物であり、公知の光重合開始剤若しくは光重合開始剤系の中から適宜に選択することができる。
例えば、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、等を挙げることができる。
具体的には、特開2001−117230公報に記載されている、トリハロメチル基が置換したトリハロメチルオキサゾール誘導体又はs−トリアジン誘導体、米国特許第4239850号明細書に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載のトリハロメチルオキサジアゾール化合物などのトリハロメチル基含有化合物;
9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、1,2−ビス(9−アクリジニル)エタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ビス(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のビス(9−アクリジニル)アルカン、等のアクリジン系化合物;
6−(p−メトキシフェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物;そのほか、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ミヒラーズケトン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン/アミン、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられる。
上記の内、トリハロメチル基含有化合物、アクリジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、特に、トリハロメチル基含有化合物及びアクリジン系化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。このトリハロメチル基含有化合物とアクリジン系化合物は、汎用性があり且つ安価である点で有用である。
特に好ましいのは、トリハロメチル基含有化合物としては、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールであり、アクリジン系化合物としては、9−フェニルアクリジンであり、更に、6−〔p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル〕−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール等のトリハロメチル基含有化合物、及びミヒラーズケトン、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、上記光重合開始剤の遮光性感光樹脂組成物における固形分含有量は0.1〜20質量%が好ましく、特に0.5〜10質量%が好ましい。該含有量が0.1質量%未満であると、遮光性感光樹脂組成物の光硬化の程度及び強度が低いことがあり、該含有量が20質量%を越えると、形成された画像が脆く下部に削れが生じることがある。
上記光重合開始剤は、水素供与体を併用して構成されてもよい。該水素供与体としては、感度をより良化することができる点で、以下で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。ここでの「水素供与体」とは、露光により前記ビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物をいう。
上記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「メルカプタン系水素供与体」という)である。また、上記アミン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「アミン系水素供与体」という)である。尚、これらの水素供与体は、メルカプト基とアミノ基とを同時に有していてもよい。
上記メルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン、等が挙げられる。これらの内、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましく、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
上記アミン系水素供与体の具体例としては、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等が挙げられる。これらの内、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
上記水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、形成された画像(画素)が現像時に基板から脱落し難く、且つ強度及び感度も向上させ得る点で、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組合せて使用することが好ましい。
上記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組合せの具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。より好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであり、特に好ましい組合せは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
上記メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体とを組合せた場合の、メルカプタン系水素供与体(M)とアミン系水素供与体(A)との質量比(M:A)は、通常1:1〜1:4が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。
該水素供与体の遮光性感光樹脂組成物における含有量としては、該組成物の全固形分(質量)の0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
本発明の遮光性感光樹脂組成物には、更に熱重合防止剤を添加することが好ましい。該熱重合防止剤の具体例としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
更に、本発明の遮光性感光樹脂組成物には、目的及び必要に応じて、公知の添加剤、例えば可塑剤、界面活性剤、溶剤等を添加することができる。
<カーボンブラック以外の顔料>
本発明の感光性転写材料には、カーボンブラック以外の着色剤も用いることができる。
本発明に用いる着色剤としては、赤色、緑色、青色、黄色、紫色、マゼンタ色、シアン色、黒色等の顔料或いは染料が用いられる。顔料を感光性樹脂層中に均一に分散させる為に、5μm以下の粒径のものが好ましく、粒径が1μm以下のものがより好ましく、特に0.5μm以下の粒径のものが好ましい。
赤色着色剤としては、モノアゾ系、ディスアゾ系、キサンテン系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系及びピランスロン系有機顔料又は無機顔料が好ましく、これらの中でも、アンスラキノン系顔料がより好ましい。
具体的には、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド217、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド227、C.I.ピグメントレッド228、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド48:1等が挙げられる。
緑色着色剤としては、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ニトロソ系、インダミン系、モノアゾ系及びアンスラキノン系の有機顔料又は無機顔料が好ましく、これらの中でも、フタロシアニン系顔料がより好ましい。
具体的には、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等が挙げられる。
青色着色剤としては、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、アンスラキノン系、トリアリールメタン系、ディスアゾ系及びインジゴイド系の有機顔料又は無機顔料が好ましく、これらの中でも、フタロシアニン系顔料がより好ましい。
具体的には、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー64等が挙げられる。
黄色着色剤としては、としては、モノアゾ系、ディスアゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ベンズイミダゾロン系及びジオキシム系の有機顔料又は無機顔料が好ましく、これらの中でも、イソインドリノン系顔料がより好ましい。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168等が挙げられる。
紫色着色剤としては、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アンスラキノン系、モノアゾ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、インジゴイド系及びペリレン系の有機顔料又は無機顔料が好ましく、これらの中でも、ジオキサジン系の顔料がより好ましい。
具体的には、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット30、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット40、C.I.ピグメントバイオレット50等が挙げられる。
更に、好ましい顔料の具体例として、カーミン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、三菱カーボンブラックMA−100、ペリレンブラック(BASF K0084、K0086)、シアニンブラック、#1201リオノールイエロー(C.I.21090)、リオノールイエローGRO(C.I.21090)、シムラ−ファーストイエロー8GF(C.I.21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(C.I.21095)、シムラ−ファーストレッド4015(C.I.12355)、リオノールレッド7B4401(C.I.15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(C.I.74160)、リオノールブルーSM(C.I.26150)、三菱カーボンブラックMA−100、三菱カーボンブラック#40、ビクトリアピュアブルー(C.I.42595)、オーラミンO(C.I.41000)、カロチンブリリアントフラビン(C.I.ベーシック13)、ローダミン6GCP(C.I.45160)、ローダミンB(C.I.45170)、サフラニンOK70:100(C.I.50240)、エリオグラウシンX(C.I.42080)、ファーストブラックHB(C.I.26150)、等を挙げることができる。この他金属粉、白色顔料、蛍光顔料なども用いられる。
本発明において着色剤として、カーボンブラック以外にその他の顔料を組合わせて、色相及び透過率を調整することも可能である。
上記のカーボンブラック以外の顔料の中でも、波長365nmにおける光透過率を向上させるために、特にC.I.ピグメントブルー60を使用するのが最も好ましい。
本発明では、これらのカーボンブラック以外の着色剤(顔料)の組合わせや混合比は、その遮光性感光樹脂層が色相的には黒色に等しいか若しくは近く、且つ遮光性感光樹脂層を形成した時に、波長365nmにおける光透過率が0.003〜1.0%であり、波長430〜470nm、波長530〜560nm及び波長600〜630nmにおける光透過率が何れも0.2%以下になる様に適宜に選択することが好ましい。
上記の波長365nmにおける光透過率は、0.005〜1.0%がより好ましく、特に0.02〜1.0%が最も好ましい。該光透過率が0.003%未満であると、波長365nmの光で露光しても遮光性感光樹脂層の硬化が不足するため、現像の過程で一部が溶解し、ブラックマトリックスの厚みや光学濃度が不十分となる。一方、該光透過率が1.0%を越えると、ハレーション及びイラジエーションの影響によりブラックマトリックスに必要な解像度が得られない。
また、上記の波長430〜470nm、波長530〜560nm及び波長600〜630nmにおける光透過率は何れも0.15%以下であるのが好ましく、特に0.1%以下が最も好ましい。上記各波長領域における光透過率が0.2%を越えると、液晶表示パネルとしてのコントラストが不足してしまう。
前記の「色相的に黒色に等しいか若しくは近くである」ということは、液晶表示パネル等の表示装置に用いられる光源(F10光源等)におけるCIE表色法で定義される無彩色点が黒色であると定義されることを意味し、その無彩色点のx、y値からの差である△x、△yの値が、△x≦0.1且つ△y≦0.1の範囲にあることと定義される。上記以外の色相では、液晶表示パネルとして黒を表示した時に、黒以外の着色の存在が目視で認識される場合がある。
本発明において、カーボンブラックにカーボンブラック以外の顔料を2種以上組合わせて用いる場合、赤色系と青色系の互いに補色関係にある顔料混合物と黄色系と紫色系の互いに補色関係にある顔料混合物との組合せや、上記の混合物に更に黒色の顔料を加えた組み合わせ等がある。更に、黄色と紫色の補色関係の組み合わせに、青色の顔料、中でも特に、C.I.ピグメントブルー60を加えることも好ましい。
[アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層]
本発明の感光性転写材料においては、仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けることが好ましい。前記熱可塑性樹脂層としてはアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層が好ましい。
アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層は、アルカリ可溶性であって、少なくとも樹脂成分を含んで構成され、該樹脂成分としては、実質的な軟化点が80℃以下であることが好ましい。
軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、等が挙げられる。
熱可塑性樹脂層には、上記の熱可塑性樹脂の少なくとも一種を適宜選択して用いることができ、更に全日本プラスチック成形工業連合会編著「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による、軟化点が約80℃以下の有機高分子の内アルカリ水溶液に可溶なものを使用することができる。
また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質についても、その有機高分子物質中に該高分子物質と相溶性のある各種可塑剤を添加することで、実質的な軟化点を80℃以下に下げて用いることもできる。また、これらの有機高分子物質には、仮支持体との接着力を調節する目的で、実質的な軟化点が80℃を越えない範囲で、各種ポリマーや過冷却物質、密着改良剤或いは界面活性剤、離型剤、等を添加することもできる。
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェートビフェニルジフェニルフォスフェートを挙げることができる。
本発明において、「アルカリ可溶性」とは、下記のアルカリ物質の水溶液、又はこれに水と混和性のある有機溶媒を混合したものに可溶であることを指す。遮光性感光樹脂層についても同様である。アルカリ性物質、及び水と混和性のある適当な有機溶剤としては、現像液に用いられるものと同様のアルカリ性物質、「水と混和性の有機溶剤」と同様のものを挙げることができる。
熱可塑性樹脂層の厚みは6μm以上が好ましい。該厚みが6μm未満であると、1μm以上の下地の凹凸を完全に吸収することが不可能となることがある。また、上限については、転写の際、遮光性感光樹脂層側に残留した場合の現像性及び製造適性等から約100μm以下、好ましくは約50μm以下である。
仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設ける場合、溶液状に調製した熱可塑性樹脂層形成用の塗布液を、スピンコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布法を用いて仮支持体上に塗布する等の方法により好適に行える。
[中間層]
感光性転写材料には、中間層を設けることもできる。
中間層には、上記した層を重層塗布する際の混合防止、これらの層の間の密着力の調整、転写の際に遮光性感光樹脂層側に残留して酸素遮断の機能を発揮するもの、等の種々の機能を持たせることができる。例えば、酸素遮断機能を有するものとしては、水またはアルカリ水溶液に分散または溶解し、低い酸素透過性を示すものの中から公知のものを適用できる。特開昭46−2121号や特公昭56−40824号の各公報に記載の、ポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、各種のポリアクリルアミド類、各種の水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種の澱粉およびその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、マレイネート樹脂、及びこれらの2種以上の組合せ等が挙げられる。
特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組合せである。ポリビニルアルコールは鹸化率が80%以上であるものが好ましく、ポリビニルピロリドンの含有量は中間層固形分の1〜75質量%が好ましく、より好ましくは1〜60質量%である。
中間層の厚みは、非常に薄く設けられ、約0.1〜5μmが好ましく、0.5〜2μmが特に好ましい。
[仮支持体]
仮支持体としては、化学的および熱的に安定であって、可撓性の物質で構成されるものから適宜選択することができる。具体的には、テフロン(R)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等、薄いシート若しくはこれらの積層体が好ましい。仮支持体の厚みとしては、5〜300μmが適当であり、好ましくは20〜150μmである。
また本発明の感光性転写材料の構成として、さらに、特開平4−208940号公報に開示された、仮支持体への接着力が小さい分離層及び遮光性感光樹脂層を有する転写材料、特開平5−173320号公報に開示された、仮支持体上に熱可塑性樹脂層、中間層及び遮光性感光樹脂層を有し、該仮支持体と熱可塑性樹脂層の間の接着力が最も小さい感光性転写材料、特開平5−72724号公報に開示された熱可塑性樹脂層、分離層及び遮光性感光樹脂層を有し、該熱可塑性樹脂層と分離層の間の接着力が最も小さい転写材料、特開平5−80503号公報に開示された仮支持体の上に熱可塑性樹脂層、中間層及び遮光性感光樹脂層を有し、該仮支持体と熱可塑性樹脂層の間の接着力が最も小さい感光性転写材料、等の技術が適用できる。なお、前記第1、第2のブラックマトリックスのパターン形状としては、格子状、ストライプ状、島状など、必要に応じいかなる形状をとることもできる。
(感光性転写材料の作製)
本発明の感光性転写材料は、仮支持体上に、前記のアルカリ可溶性熱可塑性樹脂層構成成分を含む塗布液を塗布してアルカリ可溶性熱可塑性樹脂層を形成し、次いで前記遮光性感光樹脂組成物をこの上に塗布して遮光性感光樹脂層を形成することにより作製される。前記塗布は、例えばスピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等を用いて行われる。
[ブラックマトリックス及びその作製]
本発明の感光性転写材料を用いて作製されるブラックマトリックスは、400nmにおける吸光度Aと700nmにおける吸光度Bの比率A/Bが1.3以下であって、厚み1μm当たりの光学濃度が2.5以上である。
本発明のブラックマトリックス(遮光膜)の厚さは1μm〜3μmが好ましい。該遮光膜の厚さが1μm未満では、遮光膜内のカーボンブラック濃度を高くする必要があり、現像性が悪化する。遮光膜の厚さが3μmを越えると液晶の配向乱れが起こりやすく、また、現像性及び画像形成再現性の悪化等の問題が発生する。この遮光膜の膜厚は上記の範囲においては任意に設定可能である。特にカラーフィルター作製時には完成品カラーフィルターの平坦性が良好であることが望まれ、従って、この場合にはその他の着色層(赤、青、緑の各着色層等)と同じ膜厚に設定することが望ましい。
本発明のブラックマトリックスの作製方法は、感光性転写材料を基板の上に遮光性感光樹脂層が接触するように密着させる工程、仮支持体を除去する工程、遮光性感光樹脂層にパターン露光し現像する工程を有する。パターン露光は、後述のようにフォトマスクを用いてもよく、またカラーフィルターの画素群が既に形成されている場合では基板の画素群非形成面側から全面露光することによってもよい(セルフアライメント方式)。また、フォトマスクを用いる場合、露光方向は基板のブラックマトリックス形成側からでも非形成側からでもよく、適宜選択可能である。(基板としてTFT素子基板を用いる場合は露光方向はブラックマトリックス形成側からである。)
露光光源は遮光性感光樹脂層の感光特性に応じて選択され、超高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、アルゴンレーザー等が好適に挙げられる。また、特許第3308038号号公報に記載の、400nm以上の波長の光透過率が2%以下である光学フィルター等を併用してもよい。
[カラーフィルター及びその作製]
カラーフィルターの1つの態様は、光透過性基板の上に、前記のブラックマトリックスと互いに異なる色を呈する2以上の画素群(以下、単に「画素群」ということがある。)とを有するものである。前記のごときブラックマトリックスを備えるカラーフィルターは、光の利用効率、コントラスト、及び配線の遮蔽性に優れている。
前記の画素群は、画素形成用着色感光樹脂組成物又は画素形成用感光性転写材料の複数種を用いて形成される。画素群を形成した後、熱処理を行なうことが好ましい。また、光透過性基板の上に最初に形成するのは、画素群でもブラックマトリックスでもよいが、最初に画素群を形成するのが好ましい。
最初に画素群を設ける方法について説明すると、光透過性基板の上に、画素形成用の着色感光樹脂組成物又は感光性転写材料を用いて着色感光樹脂層を形成し、該層をパターン露光後現像して単色の画素を形成する工程を、画素群の色相の数に応じて繰り返し行い、次いで形成した複数の画素群の上に前記のように感光性転写材料を用いてブラックマトリックスを作製する。
また、ブラックマトリックス作製時におけるパターン露光は、遮光性感光樹脂層の上からフォトマスクを透して露光しても、基板の着色感光樹脂層非形成面側から全面露光(セルフアライメント方式)してもよい。このセルフアライメント方式を採用する場合には、画素群を形成した後熱処理を行うことが好ましく、この処理により既設の画素中の光重合開始剤や開始剤由来のラジカルが消費されるため、画素の上に黒着色が生ずることはない。また、予め基板上に形成される画素群は、特許第3308038号に記載の様に遮光性感光樹脂層の感光波長域における上記各画素の光透過率を2%以下にすることが好ましい。
本発明のカラーフィルターの別の態様は、カラーフィルター基板としてTFT素子基板を用い、この上にブラックマトリックスと複数の画素群を設けるものである。
この態様のカラーフィルターにおいては、最初にブラックマトリックスを設けその後画素群を設けることが好ましい。また、ブラックマトリックス作製時におけるパターン露光は、カラーフィルター形成側からフォトマスクを透して行われる。
さらにカラーフィルター基板としてTFT素子基板を用いる場合の別の態様は、TFT素子基板の上にブラックマトリックスのみを形成し、別の光透過性基板の上に画素群を設けるもので、TFTアレイの開口率が良好である。
(画素形成用着色感光樹脂組成物)
画素形成用着色感光樹脂組成物は、感光性樹脂、着色剤を少なくとも含み、さらにアルカリ可溶性バインダー、光重合開始剤を含むことが好ましい。感光性樹脂、アルカリ可溶性バインダー、光重合開始剤等は、前記遮光性感光樹脂層に含まれる成分が同様に用いられる。着色剤は、前記の赤色顔料、青色顔料、黄色顔料、緑色顔料等が同様に用いられる。
また、前記着色感光樹脂組成物には紫外線吸収剤、紫外線吸収剤前駆体を添加することが好ましい。
<紫外線吸収剤、紫外線吸収剤前駆体>
紫外線吸収剤としては、下記一般式(I)で表されるクマリン系化合物を用いることが好ましい。下記一般式(I)で表されるクマリン系化合物は、光吸収性が良好で、着色感光樹脂組成物の光重合を阻害することがない。
Figure 2005215149
上記一般式(I)において、R1は少なくとも1つのヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基、又は上記一般式(II)で表される基を表す。R2は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、又は前記R1で表される基を表す。ここでR2がR1で表される少なくとも1つのヒドロキシアルキル基で置換されたアミノ基である場合には、R1及びR2は同一であっても、異なっていてもよい。R3は置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。R4は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基又は、HO−R3−で表される基を表す。ここでR3及びR4は窒素原子を含んだ5員又は6員のヘテロ環を形成していてもよい。
上記紫外線吸収剤の具体例としては、前記一般式(I)で表されるクマリン系化合物例としては、特開平7−225313号公報に記載の化合物が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、着色感光樹脂組成物に含有できる紫外線吸収剤前駆体としては、通常の状態では紫外線吸収能が比較的低いが、加熱処理により紫外線吸収剤としての機能を発揮し得る化合物を指し、下記一般式(III)で表される化合物が好適に挙げられる。
Figure 2005215149
上記一般式(III)において、Aは上記一般式(IV)で表される基を表す。上記一般式(IV)中のR5は置換又は無置換のアルキルカルボニル基、置換又は無置換のアラルキルカルボニル基、置換又は無置換のアリールカルボニル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。一般式(IV)中のR6は水素原子、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、置換又は無置換のアラルキルカルボニル基、置換又は無置換のアリールカルボニル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表し、R7は水素原子又は低級アルキル基を表す。
カルボニル基の炭素原子を除き、上記のアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基としては、炭素数1〜15の各基が好ましく、炭素数1〜7がより好ましい。上記置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、低級アルキルオキシ基アリールオキシ基が好ましい。
上記一般式(III)で表される紫外線吸収剤前駆体の具体例としては、特開平9−25360号公報に記載の化合物が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
紫外線吸収剤及び紫外線吸収剤前駆体の着色感光樹脂組成物における固形含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましい。この際、種類の異なる紫外線吸収剤を2種以上混合して使用してもよい。
上記の他、着色感光樹脂組成物には、必要に応じて、更に公知の添加剤、例えば、可塑剤、充填剤、安定化剤、重合禁止剤、界面活性剤、溶剤、密着促進剤等の他の成分を含有させることができる。
例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のいわゆるセロソルブ類、及びこれらの酢酸エステル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル等の酢酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類等の溶剤が挙げられる。
また、着色感光樹脂組成物を塗布して形成される着色感光樹脂層は少なくとも150℃以下の温度で軟化もしくは粘着性になることが好ましく、熱可塑性であることが好ましい。かかる観点からは、相溶性の可塑剤を添加することで改質することができる。
(画素形成用感光性転写材料)
画素形成用感光性転写材料は、前記のブラックマトリックス形成用の感光性転写材料における遮光性感光樹脂層を、着色感光樹脂層に変更したものを用いることができる。すなわち、仮支持体上にアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層と、前記着色感光樹脂組成物を塗布して形成される着色感光樹脂層を設けたものを画素形成用感光性転写材料として用いることができる。
(カラーフィルター基板)
カラーフィルターを構成する基板としては、金属性支持体、金属張り合わせ支持体、ガラス、セラミック、合成樹脂フィルム等を使用することができる。特に、透明性で寸度安定性の良好なガラスや合成樹脂フィルムが好ましい。また、携帯性及び強度の観点からはプラスチック製基板が好ましく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、アクリレート樹脂フィルム、ポリエステルサルフォンフィルム等で、膜厚が50〜250μmのものが好適である。さらにTFT素子基板を用いることができる。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り「%」及び「部」はいずれも質量基準である。
参考例1(4−スルホフェニル基で修飾されたカーボンブラックAの製造)
350m2/gのCTAB表面積および120ml/100gのDBPAを有するカーボンブラック(10g)を、2.12gのスルファニル酸を90gの水に溶かした溶液の沸騰溶液に添加した。この中に1.04gのNaNO2を10gの水に溶かした溶液を徐々に添加した。4−スルホベンゼンジアゾニウム水酸化物内部塩が形成され、これはカーボンブラックと反応した。20分間撹拌した後、得られる分散物を炉内で120℃において乾燥した。4−スルホフェニル基で修飾されたカーボンブラッAを得た。
参考例2(4−(モルホリノチオ)フェニル基で修飾されたカーボンブラックBの製造)
120mg/gのヨウ素価および125ml/100gのDBPAを有するカーボンブラック(225g)、氷(280g)、および水(2リットル)をよく撹拌した混合物に、N−モルホリノ−(4−アミノフェニル)スルフェンアミド(9.46g)を加えた。これに3.36gのNaNO2を75mlの水に溶かした溶液を添加し、次いで75mlの水中の37%HCl(9.32g)を添加した。このスラリーを5時間撹拌し、濾過してカーボンブラック生成物を集め、125℃において一定重量に乾燥した。4−(モルホリノチオ)フェニル基で修飾されたカーボンブラックBが得られた。
参考例3(−(4−C64)−SO2NH−CH2CH2−S−S−CH2CH2−NHSO2−(4−C64)−基で修飾されたカーボンブラックCの製造)
ビス[2−(4−アミノベンゼンスルホンアミド)エチル]ジサルファイド(15.6g)を、13.6gの37%HClを含有する275mlの水に添加し、この混合物を氷浴中で冷却した。次に、この混合物に、5.04gのNaNO2を60mlの水に溶かした溶液を添加した。黄色スラリーが生じた。次に、120mg/gのヨウ素価および125ml/100gのDBPAを有するカーボンブラックペレット(225g)を1.2リットルの水に添加したスラリーを急速に攪拌しながら、黄色スラリーを一度に添加した。このスラリーを一夜撹拌し、濾過してカーボンブラック生成物を集めた。この生成物を水で洗浄し、濾過により集め、100℃において一定重量に乾燥した。−(4−C64)−SO2NH−CH2CH2−S−S−CH2CH2−NHSO2−(4−C64)−基で修飾されたカーボンブラックCが得られた。
(実施例1)
−ブラックマトリックス形成用感光性転写材料の作製−
仮支持体として、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートベースフィルム(PETベースフィルム)を準備し、該フィルム上に、下記組成を混合して得た熱可塑性樹脂層用塗布液をスピンコーターにより塗布し、120℃のオーブン内で5分間乾燥し、PETベースフィルム上に層厚15μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
〔熱可塑性樹脂層用塗布液の組成〕
・ベンジルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 ・・・ 4.5部
(共重合比4.5/11.7/55/28.8
重量平均分子量80000)
・スチレン/アクリル酸共重合体 ・・・ 15部
(共重合組成比60/40 重量平均分子量8000)
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニルプロパン]
・・・ 7部
・F−176PF(フッ素系界面活性剤、大日本インキ(株)製)
・・・ 1.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・ 28部
・メチルエチルケトン ・・・ 27部
次に、下記組成を混合して中間層用塗布液を調製し、前記熱可塑性樹脂層上に、スピンコーターにより更に中間層用塗布液を塗布した。その後、100℃のオーブンで2分間乾燥し、熱可塑性樹脂層上に層厚1.6μmの中間層を形成した。
〔中間層用塗布液の組成〕
・ポリビニルアルコール(PVA−205,(株)クラレ製) ・・・ 13部
・ポリビニルピロリドン ・・・ 6部
(PVP−K30,五協産業(株)製)
・メタノール ・・・173部
・イオン交換水 ・・・211部
次に、上記のように熱可塑性樹脂層及び中間層が設けられたPETベースフィルムを用意すると共に、下記組成を混合して、遮光性感光樹脂組成物(遮光性感光樹脂層用塗布液)を調製した。そして、PETベースフィルム上の中間層上に遮光性感光樹脂層用塗布液をスピンコーターにより塗布した。その後、100℃のオーブンで2分間乾燥し、厚み3μmの遮光性感光樹脂層を形成した。更に、感光性樹脂層上にカバーフィルムとして12μm厚のポリプロピレンフィルムを室温下でラミネートし、PETベースフィルム上に熱可塑性樹脂層、中間層、遮光性感光樹脂層、及びカバーフィルムがこの順に積層されてなる、本発明のブラックマトリックス形成用感光性転写材料を得た。
〔遮光性感光樹脂層用塗布液の調製〕
(カーボンブラック分散液1の調製)
・参考例1のカーボンブラックA ・・・ 13.1部
・下記に示す顔料分散剤1 ・・・ 0.7部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 ・・・ 16.6部
[共重合組成比(モル比)=72/28 重量平均分子量30000の40%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液]
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 69.7部
Figure 2005215149
前記組成の黒色顔料組成物をモーターミルM−50(アイガー社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで9時間分散し、カーボンブラック分散液を調製した。
(遮光性感光樹脂層用塗布液の調製)
以下の成分を混合して遮光性感光樹脂層用塗布液を調製した。
カーボンブラック分散液1 37.9部
MMPG−AC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 3.2部
メチルエチルケトン 53.1部
メガファックF−176PF(大日本インキ(株)製) 0.09部
ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.002部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 3.2部
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−{4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル}−s−トリアジン 0.12部
−着色画素形成用感光性転写材料の作製−
上記ブラックマトリックス形成用感光性転写材料の作製において、「遮光性感光樹脂層用塗布液」を、下記の組成の赤色感光性樹脂層用塗布液、緑色感光性樹脂層用塗布液、青色感光性樹脂層用塗布液に変更した他は同様にして、赤色画素形成用、緑色画素形成用、及び青色画素形成用の3種の感光性転写材料を得た。
〔赤色感光性樹脂層用塗布液の組成〕
・RT−107 ・・・ 21.65部
(C.I.PR254分散液 富士フイルムアーチ(株)製)
・MMPG−AC ・・・ 31.20部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
・メチルエチルケトン ・・・ 34.96部
・界面活性剤 ・・・ 0.06部
(メガファックF−176PF、大日本インキ(株)製)
・フェノチアジン ・・・ 0.0012部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 ・・・ 4.97部
(共重合比=72/28、分子量30000)
・ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート ・・・ 4.92部
・2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)
−1,3,4−オキサジアゾール ・・・ 0.31部
・7−{〔−4(ジエチルアミノ)−6−(3−ヒドロキシメチル
ピペリジノ)−s−トリアジニル(2)〕−アミノ}
−3−フェニルクマリン ・・・ 1.50部
・2,4,6−トリス〔2,4ビス(メトキシカルボニルオキシ)
フェニル〕−1,3,5−トリアジン ・・・ 0.37部
〔緑色感光性樹脂層用塗布液の組成〕
・GT−2 ・・・ 15.86部
(C.I.PG36分散液、富士フイルムアーチ(株)製)
・YT−123 ・・・ 11.06部
(C.I.PY138分散液、富士フイルムアーチ(株)製)
・MMPG−AC ・・・ 10.25部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
・メチルエチルケトン ・・・ 51.49部
・界面活性剤 ・・・ 0.19部
(メガファックF−176PF、大日本インキ(株)製)
・フェノチアジン ・・・ 0.004部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 ・・・ 4.47部
(共重合比=72/28、分子量30000)
・ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート ・・・ 5.27部
・2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)
−1,3,4−オキサジアゾール ・・・ 0.193部
・7−{〔−4(ジエチルアミノ)−6−(3−ヒドロキシメチル
ピぺリジノ)−s−トリアジニル(2)〕−アミノ}
−3−フェニルクマリン ・・・ 1.26部
〔青色感光性樹脂層用塗布液の組成〕
・7075M ・・・ 32.93部
(C.I.PB15:6分散液、御国色素(株)製)
・MMPG−AC ・・・ 0.69部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
・メチルエチルケトン ・・・ 52.50部
・界面活性剤 ・・・ 0.12部
(メガファックF−176PF、大日本インキ(株)製)
・フェノチアジン ・・・ 0.022部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 ・・・ 8.10部
(共重合比=78/22、分子量40000)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート ・・・ 5.19部
・2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)
−1,3,4−オキサジアゾール ・・・ 0.20部
・2,4,6−トリス(2,4ビス(メトキシカルボニルオキシ)
フェニル〕−1,3,5−トリアジン ・・・ 0.25部
−カラーフィルターの作製−
ガラス基板をシランカップリング剤溶液(信越化学(株)製の「KBM−603」;1%希釈液)に3分間浸漬し、10秒水洗し、エアガンで水切り後、110℃のオーブンで5分間乾燥して、シランカップリング処理ガラス基板を得た。
上記により得られれた赤色画素用感光性転写材料からカバーフィルムを除去し、前記シランカップリング処理ガラス基板と、該感光性転写材料の感光性樹脂層が接するように重ね合わせ、ラミネータ(大成ラミネータ(株)製のファーストラミネーター8B−550−80)を用いて、2kg/m2の加圧、130℃のローラー温度、0.2m/minの送り条件で貼り合わせた。続いてポリエチレンテレフタレートの仮支持体を、熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した。アライナーMAP−1200L(大日本スクリーン(株)製)を用い、赤色画素用フォトマスクを介して、超高圧水銀灯(2kW)にて、感光性樹脂層に60cmの距離から3秒間露光を行った(照射エネルギー:20mJ/cm2)。次いで所定の処理液(T−PD2:富士写真フイルム(株)製の10倍希釈液)を用いて、熱可塑性樹脂層および中間層を除去した。その後、所定の処理液(T−CD1:富士写真フイルム(株)製の5倍希釈液)にて感光性樹脂層を現像して未露光部分を除去し、更に所定の処理液(T−SD1:富士写真フイルム(株)製の10倍希釈液)にてブラシをかけながら現像残膜を除去し、ガラス基板上に赤色画素パターンを得た。更に画素パターンの硬化を進めるため、アライナーにて基板の表裏から基板全面を500mJ/cm2でポスト露光し、220℃のオーブンで20分間焼成した。
次いで、緑色画素用感光性転写材料を用い、前記赤色画素パターンを作製するのと同じ方法でガラス基板上に緑色画素パターンを作製した。さらに青色画素用感光性転写材料を用い、前記赤色画素パターンを作製するのと同じ方法でガラス基板上に青色画素パターンを作製した。
続いて、ブラックマトリックス形成用の感光性転写材料からカバーフィルムを除去し、この感光性転写材料の遮光性感光脂層の表面と、ガラス基板の赤色、緑色、青色画素パターンが設けられている側の表面とが接するように重ね合わせ、赤色画素パターン形成の場合と同様にしてラミネータを用いて貼り合わせた。引き続き、仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去した。そして、アライナーMAP−1200L(大日本スクリーン(株)製)を用いて、ガラス基板の、赤色、緑色及び青色画素パターンを有しない側から超高圧水銀灯(2kW)により70mJ/cm2で露光を行ない、更に赤色画素パターン等の場合と同様にして現像、ポスト露光を行い、240℃のオーブンで50分間焼成して、ブラックマトリックスを形成した。
以上のようにして、赤色、緑色及び青色画素パターンとブラックマトリックスが形成されたカラーフィルタを得た。
(実施例2)
実施例1において、カーボンブラック分散液1の調製に用いられたカーボンブラックAを参考例2のカーボンブラックBに変更してカーボンブラック分散液2を調製する他は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。
(実施例3)
実施例1において、カーボンブラック分散液1の調製に用いられたカーボンブラックAを参考例3のカーボンブラックCに変更してカーボンブラック分散液3を調製する他は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。
(比較例1)
実施例1のカラーフィルターの作製において、ブラックマトリックス形成用感光性転写材料を用いる代わりに、実施例1で調製した遮光性感光樹脂層用塗布液を、赤色画素、緑色画素及び青色画素パターンが設けられたカラーフィルタ基板の画素上に塗布・乾燥して遮光性感光樹脂層を形成し、その後、実施例1と同様にして露光・現像を行う他は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを得た。
(比較例2)
実施例1におけるカーボンブラック分散液1のカーボンブラックAを未処理カーボンブラック(リーガル330、キャボット社製)に変更する他は同様にしてカーボンブラック分散液4を調製した。そして、比較例1で用いた遮光性感光樹脂層用塗布液において、カーボンブラック分散液1をカーボンブラック分散液4に変更する他は、比較例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。
(比較例3)
以下の組成を有する遮光性感光樹脂層用塗布液を用いる他は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。
前記カーボンブラック分散液4 29.4部
MMPG−AC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 6.5部
メチルエチルケトン 53.1部
メガファックF−176PF(大日本インキ(株)製) 0.09部
ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.002部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 3.9部
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−{4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル}−s−トリアジン 0.15部
[評価]
以下のようにして実施例及び比較例の評価を行った。結果を表1に示す。
1.ブラックマトリックスの光学濃度(吸光度)
ブラックマトリックスの光学濃度及び波長400nm、700nmにおける吸光度は、顕微分光測光装置OSP−SP100(オリンパス製)により測定した。なお、光学濃度の値が膜厚1μm当たり2.5以上であれば、実用上問題のないレベルの光学濃度であるといえる。
2.ブラックマトリックスの膜厚
ブラックマトリックスの膜厚(μm)は、微細形状測定測定器P−10型(ケーエルエー・テンコール社製)により測定した。なお、膜厚が1.6μm以上あれば、配向乱れは実用上問題のないレベルであるといえる。
3.ブラックマトリックスの体積抵抗率
全面にITO電極を設けたガラス基板(100mm×100mm×1.1mm)のITO形成面に、ブラックマトリックス形成用の感光性転写材料をラミネートした後露光・現像し、全面にブラックマトリックスを形成した。このサンプルの体積抵抗率をJIS K6911に準拠した方法で超高抵抗計R8340A(アドバンテスト社製)により測定した。
4.保管後の凝集物
実施例1ないし3及び比較例3については、遮光性感光樹脂層用塗布液を調製した後すぐに塗布を行ってブラックマトリックス形成用感光性転写材料を作製し、40℃、7日間保管した。この後、保管後の感光性転写材料をカラーフィルター基板上にラミネートしてカラーフィルターを作製し、その際該カラーフィルター表面に凝集物が発生しているかどうか目視で観察した。
比較例1及び2については、遮光性感光樹脂層用塗布液を40℃、7日間保存した後にカラーフィルタ基板上に塗布を行ってカラーフィルターを作製し、その際、該カラーフィルター表面に凝集物が発生するかどうか目視で観察した。
○:凝集物は全く発生しなかった。
△:わずかに凝集物が発生した。
×:多くの凝集物が発生した。
Figure 2005215149
表1が示すように、本発明のブラックマトリックスの作製においては、カーボンブラックの含有量を45%と高くしても、保存後の転写材料を用いてカラーフィルターを作製した場合、カラーフィルター表面に凝集物が生じたりすることはない。
これに対し、未修飾カーボンブラックを用いると、カーボンブラックの含有率を45%と高くすることができず(比較例3)、光学濃度が低くブラックマトリックスとしての機能に劣るものとなる。
また、表面修飾カーボンブラックを用いた場合でも、本発明のように感光性転写材料とせずに塗布液として用いると(比較例1)、保管後の塗布液を用いてカラーフィルターを作製した場合、該カラーフィルターの表面に凝集物が生ずる。
一方、未修飾カーボンブラックを用いた塗布液(比較例2)では、保管後の塗布液を用いてカラーフィルターを作製した場合、該カラーフィルターの表面に生ずる凝集物が非常に多い。
(実施例4)
実施例1の遮光性感光樹脂層用塗布液の調製においてカーボンブラックの添加量を、遮光性感光樹脂層中におけるカーボンブラックの含有率が表2に記載の含有率になるように変更する他は同様にして、遮光性感光樹脂層用塗布液を調製し、この塗布液を用いて、遮光性感光樹脂層をガラス基板上に形成し、その体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2005215149
表2が示すように、本発明のブラックマトリックスでは、カーボンブラックの含有率を上げても、体積抵抗率が過度に低下することはない。
以上の結果を示す実施例1ないし3のカラーフィルターを用いて組み上げた液晶パネルは、ブラックマトリックス部の遮光性が良好で、かつ配向乱れがないという結果が得られた。
また、実施例1ないし3のカラーフィルターをTFT素子基板側に設けて組み上げたカラーフィルター・オン・アレイ方式(COA方式)及びブラックマトリックスのみをTFT素子基板側に設けて組み上げたブラックマトリックス・オン・アレイ方式(BOA方式)の液晶パネルにおいては、TFTアレイの開口率が大きく、ブラックマトリックス部の遮光性が良好で、かつTFT故障の発生が少ないという結果が得られた。

Claims (4)

  1. 仮支持体上に、少なくとも、感光性樹脂と着色剤として少なくともカーボンブラックを含む遮光性感光樹脂層を有する感光性転写材料において、前記カーボンブラックがその表面をジアゾニウム塩化合物との反応により修飾されたカーボンブラックであることを特徴とする感光性転写材料。
  2. 遮光性感光樹脂層におけるカーボンブラックの含有比率が30質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の感光性転写材料。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料を基板の上に遮光性感光樹脂層が接触するように密着させる工程、仮支持体を除去する工程、遮光性感光樹脂層にパターン露光し現像する工程を有する、基板の上に画像を形成する方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料を用いて作製される、400nmにおける吸光度Aと700nmにおける吸光度Bの比率A/Bが1.4以下であって、厚み1μm当たりの光学濃度が2.5以上であるブラックマトリックス。
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