JP2005214164A - スクロール圧縮機及び該圧縮機を用いた車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 可動及び固定スクロールの過熱を簡単な構成で防止でき、R152aからなる冷媒に好適したスクロール圧縮機及び該圧縮機を用いた車両用空調装置を提供する。
【解決手段】 スクロール圧縮機は、R152aからなる作動ガスの吸い込み、圧縮、及び吐出の一連のプロセスを行うスクロールユニット52を備える。スクロールユニット52は、可動及び固定スクロール54,56と、これら可動及び固定スクロール54,56間に区画され、可動スクロール54の旋回運動に伴なって可動及び固定スクロール54,56の外周から径方向略中央まで移動されるとともに容積がデッドボリュームまで縮小される複数の圧縮室58とを有し、圧縮室58の前記デッドボリュームをDV、圧縮室58の最大総容積をVmaxとしたとき、デッドボリューム比DV/Vmaxが3%以上8%以下の範囲に入る。
【選択図】 図2
【解決手段】 スクロール圧縮機は、R152aからなる作動ガスの吸い込み、圧縮、及び吐出の一連のプロセスを行うスクロールユニット52を備える。スクロールユニット52は、可動及び固定スクロール54,56と、これら可動及び固定スクロール54,56間に区画され、可動スクロール54の旋回運動に伴なって可動及び固定スクロール54,56の外周から径方向略中央まで移動されるとともに容積がデッドボリュームまで縮小される複数の圧縮室58とを有し、圧縮室58の前記デッドボリュームをDV、圧縮室58の最大総容積をVmaxとしたとき、デッドボリューム比DV/Vmaxが3%以上8%以下の範囲に入る。
【選択図】 図2
Description
本発明は、スクロール圧縮機及び車両用空調装置に関する。
例えば車両用空調装置の圧縮機として用いられるスクロール圧縮機は、ハウジング内にスクロールユニットを備え、スクロールユニットは、作動ガスの吸い込み、圧縮及び吐出の一連のプロセスを行う。具体的には、スクロールユニットは可動及び固定スクロールを有し、可動スクロールは、電磁クラッチを介して伝達される駆動力を受け、固定スクロールに対して噛み合った状態で旋回運動し、電磁クラックの断続は制御部より制御される。固定スクロールと可動スクロールとの間には複数の圧縮室が周方向に区画され、各圧縮室は、可動スクロールの旋回運動に伴い、可動及び固定スクロールの外周から径方向略中央まで移動される際、その容積がデッドボリュームとなるまで縮小される。スクロールユニットは、上述の圧縮室を介して前記一連のプロセスを実行し、圧縮室内の圧力が吐出弁の締切圧を越えたとき、圧縮室から圧縮作動ガスが吐出弁を通じて吐出される。
ここで、圧縮室内での作動ガスの圧縮はその温度上昇をもたらし、圧縮作動ガスにより可動及び固定スクロールが過熱され易い。このような過熱は許容範囲を超えた可動及び固定スクロールの熱膨張を招き、可動スクロールの安定した旋回運動を阻害する。このため、このような過熱に起因するスクロール圧縮機の不具合を防止するべく、車両用空調装置は過熱防止手段を備えている(例えば特許文献1参照)。例えば、過熱防止手段は、スクロール圧縮機のハウジングの外壁に取付けられた温度センサを有し、この温度センサを介してハウジングの温度が制御部によって監視される。制御部は、ハウジングの温度が上限値以上に達したとき、電磁クラッチをオフ作動させることで圧縮機を停止させ、この後、ハウジングの温度が上限値よりも低下してから圧縮機の作動を再開させる。
実開平7―14189号公報
近年、地球環境保全のため、作動ガスとしての従来のR134aに代わる冷媒、具体的にはHFC系のR152aからなる冷媒に好適したスクロール圧縮機の開発が進められている。しかしながら、R152aを用いた場合、圧縮室から吐出される冷媒の温度がR134aに比べて約15℃高くなる。このため、可動及び固定スクロールの過熱によるスクロール圧縮機の不具合が生じ易くなるばかりでなく、車両用空調装置が過熱防止手段により頻繁に停止され、車室の快適性が損なわれるという問題がある。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、可動及び固定スクロールの過熱を簡単な構成で防止でき、R152aからなる冷媒に好適したスクロール圧縮機及び該圧縮機を用いた車両用空調装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明によれば、R152aからなる作動ガスの吸い込み、圧縮、及び吐出の一連のプロセスを行うスクロールユニットを備えたスクロール圧縮機において、前記スクロールユニットは、ハウジング内に収容された固定スクロールと、前記固定スクロールに対して噛み合った状態で旋回運動する可動スクロールと、前記固定スクロールと前記可動スクロールとの間に区画され、前記旋回運動に伴なって前記可動及び固定スクロールの外周から径方向略中央まで移動されるとともに容積がデッドボリュームまで縮小される複数の圧縮室とを有し、前記圧縮室の前記デッドボリュームをDV、前記圧縮室の最大総容積をVmaxとしたとき、デッドボリューム比DV/Vmaxが3%以上8%以下の範囲に入ることを特徴とするスクロール圧縮機が提供される(請求項1)。
上記した構成によれば、デッドボリューム比DV/Vmaxが3%以上8%以下の範囲に入っているので、R134aを使用するスクロール圧縮機でのデッドボリューム比(10%程度)よりも小さく、それ故、圧縮室から吐出されるR152aの吐出温度が、R134aを使用するスクロール圧縮機の場合の吐出温度と同程度かそれ以下にまで低く抑えられ、可動及び固定スクロールの過熱による不具合が防止される。
請求項2の本発明によれば、前記可動及び固定スクロールのそれぞれはAl合金からなることを特徴としている。
上記した構成によれば、圧縮室から吐出されるR152aの温度が低く抑えられているので、冷媒としてR134aを使用するスクロール圧縮機の場合と同様に、可動及び固定スクロールの材料としてAl合金を使用することができる。
上記した構成によれば、圧縮室から吐出されるR152aの温度が低く抑えられているので、冷媒としてR134aを使用するスクロール圧縮機の場合と同様に、可動及び固定スクロールの材料としてAl合金を使用することができる。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、前記作動ガスが循環する循環流路と、前記循環流路に介挿された請求項1又は2のスクロール圧縮機と、前記スクロール圧縮機の温度が許容温度以上に加熱されたとき、前記スクロール圧縮機を停止させる駆動停止手段とを備えることを特徴とする車両用空調装置が提供される(請求項3)。
上記した構成によれば、デッドボリューム比DV/Vmaxが3%以上8%以下の範囲に入っているので、圧縮室から吐出されるR152aの吐出温度が低く抑えられ、駆動停止手段の作動による車両用空調装置の頻繁な停止が抑制されるので、車室の快適性を確保することができる。
上記した構成によれば、デッドボリューム比DV/Vmaxが3%以上8%以下の範囲に入っているので、圧縮室から吐出されるR152aの吐出温度が低く抑えられ、駆動停止手段の作動による車両用空調装置の頻繁な停止が抑制されるので、車室の快適性を確保することができる。
以上説明したように、本発明のスクロール圧縮機はその可動及び固定スクロールの過熱が簡単な構成にて防止され、R152aからなる冷媒に好適する。
また、本発明の車両用空調装置は、駆動防止手段によるスクロール圧縮機の頻繁な停止が防止され、R152aからなる冷媒に好適する。
また、本発明の車両用空調装置は、駆動防止手段によるスクロール圧縮機の頻繁な停止が防止され、R152aからなる冷媒に好適する。
図1は一実施例の車両用空調装置の冷凍回路を示す。
冷凍回路は、自動車のエンジンルーム2内に配置されたスクロール圧縮機4を備え、圧縮機4は、蒸発器6に循環管路8の復路を介して接続され、この循環管路8の往路には凝縮器10及び膨張弁12が介挿されている。なお、蒸発器6はエンジンルーム2と、車室7との間を区画するインストルメントパネル13内に配置されている。
冷凍回路は、自動車のエンジンルーム2内に配置されたスクロール圧縮機4を備え、圧縮機4は、蒸発器6に循環管路8の復路を介して接続され、この循環管路8の往路には凝縮器10及び膨張弁12が介挿されている。なお、蒸発器6はエンジンルーム2と、車室7との間を区画するインストルメントパネル13内に配置されている。
冷凍回路は、HFC系のR152aからなる冷媒で満たされており、冷媒がスクロール圧縮機4により冷凍回路内を循環されて、車室7内の空気が冷却される。より詳しくは、圧縮機4は、電磁クラッチ14を介して取付けられた駆動プーリ15を有し、駆動プーリ15には駆動ベルト16が掛け回されている。制御部17により電磁クラッチ14がオン作動されると、駆動ベルト16を介してエンジン18から圧縮機4に動力が供給される。圧縮機4は、この動力により循環管路8の復路から冷媒を吸い込んで圧縮し、圧縮した冷媒を凝縮器10に向けて吐出する。圧縮冷媒は凝縮器10にて凝縮された後、膨張弁12を通じて蒸発器6内にて膨張する。蒸発器6では膨張した冷媒と車室7内の空気との間にて熱交換が行われ、これにより車室7内の空気が冷却される。そして、蒸発器6を通過した冷媒は循環管路8の復路を通じて圧縮機4に戻される。
また、冷凍回路は、スクロール圧縮機4の駆動停止手段として温度センサ19を有し、温度センサ19は、スクロール圧縮機4に取付けられるとともに制御部17に電気的に接続されている。制御部17は、温度センサ19を介して圧縮機4の温度を監視し、圧縮機4の温度が所定の上限温度を超えたときには、電磁クラッチ14をオフ作動させて圧縮機4の運転を停止させ、圧縮機4の温度を上限温度以下に保持する。
図2はスクロール圧縮機4の縦断面を示しており、圧縮機4はハウジング20を備え、ハウジング20はそれぞれAl合金製の駆動ケーシング22及び圧縮ケーシング24を有する。駆動ケーシング22は、圧縮ケーシング24側が大径となる段付きの筒形状をなし、それぞれ開口した両端を有する。一方、圧縮ケーシング24は駆動ケーシング22の大径端に向けて開口したカップ形状をなし、その開口端が駆動ケーシング22の大径端にシールリング26を介して気密に嵌合され、そして、複数の連結ねじ28を介して駆動ケーシング22の大径端に連結されている。
駆動ケーシング22内には回転軸30が配置され、この回転軸30もまた段付き形状をなし、一端側の小径軸部32と、その他端の大径端部34とを有する。
回転軸30の大径端部34はニードル軸受36を介して駆動ケーシング22に回転自在に支持されている。また、回転軸30の小径軸部32もまたボール軸受38を介して駆動ケーシング22の小径端に回転自在に支持されている。
回転軸30の大径端部34はニードル軸受36を介して駆動ケーシング22に回転自在に支持されている。また、回転軸30の小径軸部32もまたボール軸受38を介して駆動ケーシング22の小径端に回転自在に支持されている。
更に、駆動ケーシング22内にはボール軸受38とニードル軸受36との間に軸封止ユニット、即ち、リップシール40が配置されており、このリップシール40は回転軸30の小径軸部32に相対的に摺接し、駆動ケーシング22内を気密に区画している。
更に、回転軸30の小径軸部32は駆動ケーシング22の小径端から突出し、その突出端に駆動ディスク42がナット44を介して取付けられている。この駆動ディスク42が上述の電磁クラッチ14を介して駆動プーリ15に連結されており、駆動プーリ15は電磁クラッチ14のソレノイドを内蔵し、プーリ軸受50を介して駆動ケーシング22の小径端に回転自在に支持されている。従って、制御部17により電磁クラッチ14がオン作動されたとき、電磁クラッチ14は駆動プーリ15と駆動ディスク42を一体的に連結し、駆動ディスク42、即ち、回転軸30を駆動プーリ15とともに一方向に回転させる。これに対し、電磁クラッチ14がオフ作動されているとき、電磁クラッチ14は駆動プーリ15と駆動ディスク42との間の連結を解除し、駆動プーリ15から回転軸30への動力の伝達を断つ。
更に、回転軸30の小径軸部32は駆動ケーシング22の小径端から突出し、その突出端に駆動ディスク42がナット44を介して取付けられている。この駆動ディスク42が上述の電磁クラッチ14を介して駆動プーリ15に連結されており、駆動プーリ15は電磁クラッチ14のソレノイドを内蔵し、プーリ軸受50を介して駆動ケーシング22の小径端に回転自在に支持されている。従って、制御部17により電磁クラッチ14がオン作動されたとき、電磁クラッチ14は駆動プーリ15と駆動ディスク42を一体的に連結し、駆動ディスク42、即ち、回転軸30を駆動プーリ15とともに一方向に回転させる。これに対し、電磁クラッチ14がオフ作動されているとき、電磁クラッチ14は駆動プーリ15と駆動ディスク42との間の連結を解除し、駆動プーリ15から回転軸30への動力の伝達を断つ。
一方、圧縮ケーシング24には、その外周に上述の温度センサ19として例えばサーミスタが取付けられ、その内部にはスクロールユニット52が収容されている。スクロールユニット52は、それぞれAl合金製の可動スクロール54及び固定スクロール56を有し、可動スクロール54は固定スクロール56に対して噛み合った状態で旋回運動可能に配置されている。より詳しくは、可動及び固定スクロール54,56は、渦巻きラップ54a,56aをそれぞれ有し、渦巻きラップ54a,56aの横断面はインボリュート曲線で表される渦巻き形状をなす(図3参照)。渦巻きラップ54a,56aは、互いに噛み合うようにして略同心上に配置され、それらの径方向内面及び外面にて相対的且つ局所的に摺接する。そして、これらの摺接個所は可動スクロール54の旋回運動に伴なって渦巻きラップ54a,56aの径方向外端54c,56cから内端まで移動する。また、再び図2を参照すると、可動及び固定スクロール54,56は、渦巻きラップ54a,56aの軸線方向両側に、渦巻きラップ54a,56aと一体的に形成された基板54b,56bをそれぞれ有し、渦巻きラップ54a,56aの先端は、チップシールを介して相手側の基板54b,56bの内面にそれぞれ摺接自在になっている。従って、可動スクロール54と固定スクロール56との間には、チップシールを介して気密な圧縮室58が複数区画される(図3参照)。圧縮室58は、渦巻きラップ54a,56aに沿って形成され、各圧縮室58は可動スクロール54の旋回運動により、渦巻きラップ54a,56aの外周から径方向略中央に向けて一方向に移動する。この移動の際、圧縮室58は横断面積が縮小され、圧縮室58の容積は後述するデッドボリュームDVまで縮小される。
上述した可動スクロール54の旋回運動を達成するため、可動スクロール54の基板54bは駆動ケーシング22側に向けて突出するボス62を有しており、このボス62はニードル軸受64を介して偏心ブッシュ66に回転自在に支持されている。この偏心ブッシュ66はクランクピン68に支持され、クランクピン68は回転軸30の大径端部34から偏心して突出している。従って、回転軸30の回転に伴い、クランクピン68及び偏心ブッシュ66を介して可動スクロール54が旋回運動することなる。
また、偏心ブッシュ66にはこの偏心ブッシュ66と大径端部34との間に挟持されるようにしてカウンタウエイト70が取付けられており、このカウンタウエイト70は複数の大小の円弧状プレートを重ね合わせて構成され、可動スクロール54の旋回運動に対するバランスウエイトとなる。より詳しくは、カウンタウエイト70は偏心ブッシュ66に連結ピン71を介して取付けられ、この連結ピン71回りの回転がクランクピン68により阻止されている。従って、カウンタウエイト70もまた可動スクロール54と同様に、その旋回姿勢を一定にした状態で旋回運動する。
更に、駆動ケーシング22の大径端と可動スクロール54の基板54bとの間には自転阻止機構としてのボールカップリング72が介装されている。例えば、ボールカップリング72は駆動ケーシング22の大径端及び基板54bにそれぞれ支持され、その周方向に等間隔を存して環状レースを有した一対のリングプレート74と、これらリングプレート74の環状レース間に挟持されたボール76とからなり、ニードル軸受64の軸線を中心とした可動スクロール54の自転を阻止する。
一方、固定スクロール56は、圧縮ケーシング24内に締結ボルト(図示せず)を介して固定され、固定スクロール56の基板56bの外周面は、Oリング78を介して周方向全域に亘り圧縮ケーシング24の内周面に当接されている。また、固定スクロール56の基板56bにはその略中央に圧縮室58に連なる吐出孔82が形成され、この吐出孔82はリード弁からなる吐出弁84により開閉される。この吐出弁84はその弁押さえ86とともに基板56bの外面にボルトを介して取付けられている。従って、スクロールユニット52の一端側には、圧縮ケーシング24の内面と固定スクロール56の基板56bとの間に吐出室80が形成され、この吐出室80はOリング78により吸入室81側から気密を存して区画される。なお、吸入室81は、圧縮ケーシング24の内周面とスクロールユニット52の外周との間に確保されている。
なお、図2には示されていないが、圧縮ケーシング24の周壁には吸入室81及び吐出室80にそれぞれ連通する吸込口及び送出口が形成されており、吸込口は、冷凍回路を形成する循環管路8の復路に接続され、そして、送出口は循環管路8の往路に接続される。
上述したスクロール圧縮機4によれば、回転軸30の回転に伴い、クランクピン68及び偏心ブッシュ66を介して可動スクロール54が旋回運動し、この際、可動スクロール54の自転がボールカップリング72の働きにより阻止された状態にある。この結果、可動スクロール54はその旋回姿勢を一定に維持した状態で、固定スクロール56に対して旋回運動し、この旋回運動により、以下の一連のプロセスが実施される。まず、吸込口を通じて吸入室81に外部から冷媒が吸い込まれ、そして、吸入室81内の冷媒は、スクロールユニット52の外周にて、渦巻きラップ54a,56aの外端54c,56cと、相手側渦巻きラップ54a,56aとの間の隙間に進入する。この隙間は、可動スクロール54の旋回運動に伴ない周期的に発生し、渦巻きラップ54a,56aの周方向に拡大した後(図3(a))、外端54c,56cが相手側渦巻きラップ54a,56aに密着されることにより圧縮室58(図3(b))となる。このようにして渦巻きラップ54a,56aの外周にて出現した圧縮室58内に吸い込まれた冷媒は、渦巻きラップ54a,56aに沿った径方向略中央に向かう圧縮室58の移動に伴ない、その容積減少により圧縮される。圧縮冷媒は、径方向略中央にて圧縮室58の容積がデッドボリュームDVまで縮小されたときに、圧縮室58に連通した吐出孔82を介して、その圧力により吐出弁84が開弁されて吐出室80内に吐出される。この後、圧縮冷媒は吐出室80から送出口を通じて外部に供給される。なお、スクロールユニット52においては、複数の圧縮室58が同時に形成され、一連のプロセスにおける各工程が同時に進行する。
上述したスクロール圧縮機4によれば、回転軸30の回転に伴い、クランクピン68及び偏心ブッシュ66を介して可動スクロール54が旋回運動し、この際、可動スクロール54の自転がボールカップリング72の働きにより阻止された状態にある。この結果、可動スクロール54はその旋回姿勢を一定に維持した状態で、固定スクロール56に対して旋回運動し、この旋回運動により、以下の一連のプロセスが実施される。まず、吸込口を通じて吸入室81に外部から冷媒が吸い込まれ、そして、吸入室81内の冷媒は、スクロールユニット52の外周にて、渦巻きラップ54a,56aの外端54c,56cと、相手側渦巻きラップ54a,56aとの間の隙間に進入する。この隙間は、可動スクロール54の旋回運動に伴ない周期的に発生し、渦巻きラップ54a,56aの周方向に拡大した後(図3(a))、外端54c,56cが相手側渦巻きラップ54a,56aに密着されることにより圧縮室58(図3(b))となる。このようにして渦巻きラップ54a,56aの外周にて出現した圧縮室58内に吸い込まれた冷媒は、渦巻きラップ54a,56aに沿った径方向略中央に向かう圧縮室58の移動に伴ない、その容積減少により圧縮される。圧縮冷媒は、径方向略中央にて圧縮室58の容積がデッドボリュームDVまで縮小されたときに、圧縮室58に連通した吐出孔82を介して、その圧力により吐出弁84が開弁されて吐出室80内に吐出される。この後、圧縮冷媒は吐出室80から送出口を通じて外部に供給される。なお、スクロールユニット52においては、複数の圧縮室58が同時に形成され、一連のプロセスにおける各工程が同時に進行する。
以下では、圧縮室58のデッドボリュームDVについて説明する。
圧縮室58のデッドボリュームDVとは、図3(a)に示したように、圧縮室58が渦巻きラップ54a,56aの径方向略中央にて最も縮小されたときの圧縮室58の容積であり、換言すれば、圧縮室58の内圧上昇により吐出弁84が開弁され、圧縮室58から吐出孔82を介して圧縮冷媒が吐出されるときの圧縮室58の容積である。なお、圧縮室58の容積は吐出孔82の容積を含まないものとする。
圧縮室58のデッドボリュームDVとは、図3(a)に示したように、圧縮室58が渦巻きラップ54a,56aの径方向略中央にて最も縮小されたときの圧縮室58の容積であり、換言すれば、圧縮室58の内圧上昇により吐出弁84が開弁され、圧縮室58から吐出孔82を介して圧縮冷媒が吐出されるときの圧縮室58の容積である。なお、圧縮室58の容積は吐出孔82の容積を含まないものとする。
上記したスクロール圧縮機4では、圧縮室58のデッドボリュームDVは8cc(cm3)以下に設定され、圧縮室58の最大総容積Vmaxで除して得られる値の百分率、即ちデッドボリューム比DV/Vmaxが3%以上8%以下の範囲に入っている。ここで、最大総容積Vmaxとは、図3(b)に示したように、渦巻きラップ54a,56aの外端54c,56cが相手側渦巻きラップ54a,56aに密着されたときにおける、全ての圧縮室58の容積の和をいい、換言すれば、固定スクロール56と可動スクロール54との間にて気密に区画される最大の容積である。なお、最大総容積Vmaxも吐出孔82の容積は含まないものとする。
スクロール圧縮機4においては、デッドボリュームDVの値が8cc以下デッドボリューム比DV/Vmaxが3%以上8%以下の範囲に入っているので、冷媒としてR152aを用いているにもかかわらず、圧縮室58から吐出される圧縮冷媒の温度(吐出温度)を低くすることができ、可動及び固定スクロール54,56の過熱による不具合の発生が防止される。
より詳しくは、同一のスクロール圧縮機に、冷媒としてR152a及びR134aを別々に適用し、これらの冷媒が圧縮室から吐出されるときの温度をそれぞれTR134a及びTR152aとしたときに、これらの吐出温度の比をR(=TR152a/TR134a)とすると、Rは次式(1)〜(4)にて近似的に表される。
ただし、式(1)〜(4)中、r、TC、及び、TEは、それぞれ潜熱、蒸発器温度、及び、凝縮器温度である。これらの式(1)〜(4)に、次の表1に示した値を代入すると、式(5)に示したように、吐出温度比Rの値として1.04が求められる。
従って、同一のスクロール圧縮機において、R134aの吐出温度TR134aが100℃のときには、R152aの吐出温度TR152aは104℃となってR134aよりも約4℃高くなる。換言すれば、冷媒としてR134aが用いられていた従来のスクロール圧縮機にR152aを適用すると、冷媒の吐出温度が約4%高くなる。
このように吐出温度が高くなると、渦巻きラップの径方向中央の部分が局所的に過熱されて膨張し、可動スクロールの旋回運動が安定しなくなり、最悪の場合には相手側スクロールの基板と片当たりしてかじり・焼付き等の不具合の虞も生じる。なお、吐出温度の上昇は、R152aにおける定容比熱Cvに対する定圧比熱Cpの比熱比Cp/Cvが、R134aに比べて大きいことによると簡単には説明される。
一方、スクロール圧縮機においては、図4にR134aの場合について例示したように、デッドボリューム比DV/Vmaxを小さくすることにより吐出温度を低下させることができる。そこで、上記したスクロール圧縮機4では、デッドボリューム比DV/Vmaxを従来の略10%程度から、図中ハッチングで示した領域、即ち8%以下に小さくすることにより、吐出温度TR152aを略4℃低下させている。これにより、スクロール圧縮機4においては、R134aに代えてR152aを冷媒として用いたことによる吐出温度の上昇が補償されて、従来のスクロール圧縮機におけるR134aの吐出温度と同程度かそれ以下にまで吐出温度TR152aが低く抑えられ、吐出温度の上昇による渦巻きラップ54a,56aの局所的な過熱が防止されるので、安定した可動スクロールの旋回運動を確保することができ、かじり・焼付き等の不具合の発生も防止することができる。換言すれば、渦巻きラップ54a,56aの局所的な過熱が防止されるので、可動及び固定スクロール54,56の材料を線膨張係数の小さい合金等に変更せずとも、従来と同じAl合金製の可動及び固定スクロール54,56を用いて、安定した可動スクロールの旋回運動を確保することができる。
また、スクロール圧縮機においては、図5にR134aの場合について例示したようにデッドボリューム比DV/Vmaxを小さくすることにより成績係数COPを高めることができる。従って、スクロール圧縮機4によれば、デッドボリューム比DV/Vmaxを略10%程度から、図中ハッチングで示した領域、即ち8%以下にまで小さくしたことにより、成績係数COPも向上される。
そして、スクロール圧縮機4を用いた車両用空調装置においては、R134aに代えてR152aを冷媒として用いた場合でも、吐出温度TR152aの上昇が抑制されるので、駆動停止手段による圧縮機4の頻繁な停止が防止され、車室7内が快適に保たれる。
ここで、上記したスクロール圧縮機4において、従来10%程度であったデッドボリューム比DV/Vmaxを8%以下にするためには、デッドボリュームDVを小さくすればよい。即ち、従来の渦巻きラップの径方向内端が、図6中、破線で示した位置にあるとすれば、渦巻きラップ54a,56aの双方の径方向内端を実線で示される位置までインボリュート曲線に沿って移動させて、渦巻きラップ54a,56aを従来よりも延長すればよい。このようにデッドボリュームDVを小さくすれば、スクロールユニット52の外径が変化しないので圧縮ケーシング24の内径等を変更する必要がなく、デッドボリューム比DV/Vmaxを簡単に小さくすることができるので好ましい。なお、デッドボリューム比DV/Vmaxを3%以上に設定したのは、3%未満の場合には、可動スクロール54の円滑な旋回運動を確保し難くなるからである。
ここで、上記したスクロール圧縮機4において、従来10%程度であったデッドボリューム比DV/Vmaxを8%以下にするためには、デッドボリュームDVを小さくすればよい。即ち、従来の渦巻きラップの径方向内端が、図6中、破線で示した位置にあるとすれば、渦巻きラップ54a,56aの双方の径方向内端を実線で示される位置までインボリュート曲線に沿って移動させて、渦巻きラップ54a,56aを従来よりも延長すればよい。このようにデッドボリュームDVを小さくすれば、スクロールユニット52の外径が変化しないので圧縮ケーシング24の内径等を変更する必要がなく、デッドボリューム比DV/Vmaxを簡単に小さくすることができるので好ましい。なお、デッドボリューム比DV/Vmaxを3%以上に設定したのは、3%未満の場合には、可動スクロール54の円滑な旋回運動を確保し難くなるからである。
本発明は上述の一実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記した一実施例におけるスクロール圧縮機4は、冷蔵庫及び冷凍庫の冷凍回路にも適用可能である。
また、上記した一実施例においては、スクロール圧縮機4は、Al合金製の可動及び固定スクロール54,56を有していたが、鉄製の可動及び固定スクロールを有していてもよい。
例えば、上記した一実施例におけるスクロール圧縮機4は、冷蔵庫及び冷凍庫の冷凍回路にも適用可能である。
また、上記した一実施例においては、スクロール圧縮機4は、Al合金製の可動及び固定スクロール54,56を有していたが、鉄製の可動及び固定スクロールを有していてもよい。
20 ハウジング
52 スクロールユニット
54 可動スクロール
56 固定スクロール
58 圧縮室
52 スクロールユニット
54 可動スクロール
56 固定スクロール
58 圧縮室
Claims (3)
- R152aからなる作動ガスの吸い込み、圧縮及び吐出の一連のプロセスを行うスクロールユニットを備えたスクロール圧縮機において、
前記スクロールユニットは、
ハウジング内に収容された固定スクロールと、
前記固定スクロールに対して噛み合った状態で旋回運動する可動スクロールと、
前記固定スクロールと前記可動スクロールとの間に区画され、前記旋回運動に伴なって前記可動及び固定スクロールの外周から径方向略中央まで移動される際、容積がデッドボリュームまで縮小される複数の圧縮室とを有し、
前記圧縮室の前記デッドボリュームをDV、前記圧縮室の最大総容積をVmaxとしたとき、デッドボリューム比DV/Vmaxが3%以上8%以下の範囲に入ることを特徴とするスクロール圧縮機。 - 前記可動及び固定スクロールのそれぞれはAl合金からなることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
- 前記作動ガスが循環する循環流路と、
前記循環流路に介挿された請求項1又は2のスクロール圧縮機と、
前記スクロール圧縮機の温度が許容温度以上に加熱されたとき、前記スクロール圧縮機を停止させる駆動停止手段とを備えることを特徴とする車両用空調装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004025496A JP2005214164A (ja) | 2004-02-02 | 2004-02-02 | スクロール圧縮機及び該圧縮機を用いた車両用空調装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004025496A JP2005214164A (ja) | 2004-02-02 | 2004-02-02 | スクロール圧縮機及び該圧縮機を用いた車両用空調装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005214164A true JP2005214164A (ja) | 2005-08-11 |
Family
ID=34907869
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004025496A Pending JP2005214164A (ja) | 2004-02-02 | 2004-02-02 | スクロール圧縮機及び該圧縮機を用いた車両用空調装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005214164A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008133778A (ja) * | 2006-11-28 | 2008-06-12 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 圧縮機用の保護装置 |
-
2004
- 2004-02-02 JP JP2004025496A patent/JP2005214164A/ja active Pending
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