JP2005213576A - 無電解めっき前処理剤、それを用いる無電解めっき方法、及び無電解めっき物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 炭素原子数3〜10を有するアセチルアセトン等のβ−ジケトンとパラジウム等の貴金属とのキレート(パラジウムアセチルアセトナート等)を含む、さらに好ましくはこれにイミダゾール系シランカップリング剤などの金属捕捉能を有するシランカップリング剤を含む無電解めっき前処理剤を使用し、次いで無電解めっきする。
【選択図】 なし
Description
すなわち、本発明は、
(1) 炭素原子数5以上を有するβ−ジケトンと貴金属とのキレートを含む無電解めっき前処理剤、
(2) さらに分子内に金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤を含む前記(1)記載の無電解めっき前処理剤、
(3) シランカップリング剤がアゾール系化合物またはアミン化合物とエポキシシラン系化合物との反応により得られたシランカップリング剤である前記(2)記載の無電解めっき前処理剤、
(4) 金属捕捉能を持つ官能基がイミダゾール基である前記(2)または(3)記載の無電解めっき前処理剤、
(5) キレートがパラジウムアセチルアセトナートである前記(1)〜(4)のいずれか(1)項記載の無電解めっき前処理剤、
組成物。
(6) 前記(1)〜(5)のいずれか1項記載の無電解めっき前処理剤を含むインク組成物、
(7) 前記(1)〜(6)のいずれか1項記載の無電解めっき前処理剤またはインク組成物により被めっき物を前処理し、次いで無電解めっきすることを特徴とする無電解めっき方法。
(8) インク組成物による前処理がインクジェットによる描画である前記(7)記載の無電解めっき方法。
(9) 前記(7)または(8)記載の無電解めっき方法により得られためっき物に関する。
前記β−ジケトンは、β位にカルボニルが2個必要であるため、炭素原子数として少なくとも3個必要であり、また炭素原子数が10を超えるとβ−ジケトンの配位能力が弱くなり不安定である。このため炭素原子数は3から10が好ましい。より好ましくは5〜7である。特に好ましい具体例としては、例えば、アセチルアセトン、2,4−ジオキサンジオン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオンを挙げることができる。また、前記の貴金属としては無電解めっき液から被めっき物表面に銅やニッケルなどを析出させる際の触媒効果を示すパラジウム、銀、白金、金等を挙げることができるが、特にパラジウムが好ましい。
通常、β−ジケトンは、貴金属に対して二座配位子となり、例えばアセチルアセトンは、パラジウムに対して下記のように配位して、パラジウムアセチルアセトネートを形成する。
これらのキレート化合物自体は、公知の化合物であり、市販品あるいは合成品を利用することができる。
貴金属キレート化合物は、前処理剤の溶液中において、1〜10000mg/l、好ましくは30〜3000mg/lの濃度で使用することができる。
前記シランカップリング剤による処理は、キレート化合物を含む前処理剤溶液にシランカップリング剤を添加してこの前処理剤により被めっき物を処理することによって行うこともできるが、また、キレート化合物による処理に先立ち、別途シランカップリング剤を含む溶液により処理することにより行うこともできる。
アゾール化合物としては、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、ベンダゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。これらに制限されるものではないが、イミダゾールが特に好ましい。
また前記シランカップリング剤とは、前記アゾール系化合物またはアミン化合物由来の貴金属捕捉基の他に、−SiX1X2X3基を有する化合物であり、X1、X2、X3はアルキル基、ハロゲンやアルコキシ基などを意味し、被めっき物への固定が可能な官能基であれば良い。X1、X2、X3は同一でもまた異なっていても良い。
このようなエポキシシラン化合物としては、
例えば、80〜200℃でアゾール系化合物1モルに対して0.1〜10モルのエポキシ基含有シラン化合物を滴下して5分〜2時間反応させることにより得ることができる。その際、溶媒は特に不要であるが、クロロホルム、ジオキサン、メタノール、エタノール等の有機溶媒を用いてもよい。
特に好ましい例としてイミダゾールとエポキシシラン系化合物の反応を下記に示す。
表面処理後に使用した溶剤を揮発させるにはこの溶媒の揮発温度以上に加熱し
て表面を乾燥すれば十分であるが、さらに60−120℃で3−60分間加熱す
ることが好ましい。
以下に実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1
塩化スズ500ml/Lと(3,5−オクタンジオナト)パラジウム800mg/L(パラジウム換算220mg/L)でブタノール系めっき前処理剤を調製した。この溶液にガラス基板を60℃で10分間浸漬し流水で水洗後、大気雰囲気中100℃で15分間加熱処理をした。室温まで冷却した後、無電解ニッケルめっき液ニコム7N−0(日鉱メタルプレーティング(株)製)を70℃に加熱して5分間めっきを行った。さらに無電解銅めっき液KC500(日鉱メタルプレーティング(株)製)を1μm厚つけた。銅皮膜の密着性をテストした結果、ピール強度は0.9kgf/cm2と高い密着度であった。
イミダゾールとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物であるシランカップリング剤を300mg/L、パラジウムアセチルアセトナート300mg/L(パラジウム換算105mg/L)含んだ2−エチルヘキサノール系めっき前処理剤を調製した。この液にガラスエポキシ基板を60℃で10分間浸漬し流水で水洗後、大気雰囲気中100℃で15分間加熱処理をした。室温まで冷却した後、無電解ニッケルめっき液ニコム7N−0(日鉱メタルプレーティング(株)製)を70℃に加熱して5分間めっきを行った。さらに無電解銅めっき液KC500(日鉱メタルプレーティング(株)製)を1μm厚つけた。銅皮膜の密着性をテストした結果、ピール強度は1.3kgf/cm2と高い密着度であった。
γ−アミノプロピルトリメトキシシランを600mg/Lと(2,4−ヘキサンジオナト)パラジウムを400mg/L(パラジウム換算128mg/L)になるように添加して、オクチルアルコール系めっき前処理剤を調製した。
この液にガラス板を60℃で30分間浸漬し流水で水洗後、窒素雰囲気中150℃で20分間加熱処理をした。無電解ニッケルめっき液ニコム7N−0(日鉱メタルプレーティング(株)製)を70℃に加熱して10分間めっきし、1μmの膜厚とした。そのピール強度は1.2kgf/cm2と高い密着度であった。
イミダゾールとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物であるシランカップリング剤を500mg/L含んだ水溶液に室温でイミドフィルムを浸漬した。流水水洗後、(3,5−ヘプタンジオナト)パラジウム200mg/L(パラジウム換算60mg/L)含んだキシレン溶液に浸漬した。流水水洗後、大気雰囲気中100℃で15分間加熱処理をした。室温まで冷却した後、無電解ニッケルめっき液ニコム7N−0(日鉱メタルプレーティング(株)製)を70℃に加熱して5分間めっきを行った。さらに無電解めっき液KC500(日鉱メタルプレーティング(株)製)を1μm厚つけた。銅皮膜の密着性をテストした結果、ピール強度は、1.3kgf/cm2と高い密着度であった。
イミダゾールとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物であるシランカップリング剤を300mg/L、(3,5−オクタンジオナト)パラジウムを300mg/L(パラジウム換算89mg/L)含んだブタノール系めっき前処理剤を調製した。この液にガラス基板を60℃で10分間浸漬し流水で水洗後、大気雰囲気中100℃で15分間加熱処理した。室温まで冷却した後、無電解ニッケルめっき液ニコム7N−0(日鉱メタルプレーティング(株)製)を70℃に加熱して5分間めっきを行った。さらに無電解銅めっき液KC500(日鉱メタルプレーティング(株)製)を1μm厚つけた。銅皮膜の密着性をテストした結果、ピール強度は1.5kgf/cm2と高い密着度であった。
イミダゾールとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物であるシランカップリング剤(a)とパラジウムアセチルアセトナート(b)を混合して2−エチルヘキシサノール溶液を調製した。その溶液に、粘度調整剤、表面張力剤を加えて、(a)が400mg/L、(b)が400mg/L(パラジウム換算139mg/L)となるようにインク化した。それをインクジェットノズルより吐出し、ポリイミドフィルム基板に配線回路を描画した。風乾後、無電解ニッケルめっき液ニコム7N−0(日鉱メタルプレーティング(株)製)を施した。さらに無電解めっき液KC500(日鉱メタルプレーティング(株)製)を1μm厚つけた。SEMでの断面観察の結果、パターン外析出がなく、めっき界面の明瞭な配線が形成された。
イミダゾールとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物3g/Lへパラジウムアセチルアセトナート3g/L(パラジウム換算1g/L)を添加してオクチルアルコール溶液を調製した。この溶液は室温で1ヶ月以上安定であった。
塩化スズ500mg/Lと塩化パラジウム500mg/L(パラジウム換算300mg/L)でブタノール系めっき前処理剤を調製した。この液にガラス板を60℃で10分間浸漬し流水で水洗後、大気雰囲気中100℃で15分間加熱処理をした。室温まで冷却した後、無電解ニッケルめっき液ニコム7N−0(日鉱メタルプレーティング(株)製)を70℃に加熱して5分間めっきを行った。さらに無電解めっき液KC500(日鉱メタルプレーティング(株)製)を1μm厚つけた。銅皮膜の密着性をテストした結果、ピール強度は0.3kgf/cm2であった。また、前記前処理剤は、室温中5時間でパラジウムが析出沈殿した。
イミダゾールとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物1g/Lへ酢酸パラジウム1g/L(パラジウム換算0.5g/L)を添加してオクチルアルコール溶液を調製した。この溶液は室温で5分間ほどでパラジウムが析出沈殿し、前処理剤として使えなかった。
Claims (9)
- 炭素原子数3〜10を有するβ−ジケトンと貴金属とのキレートを含む無電解めっき前処理剤。
- さらに分子内に金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤を含む請求項1記載の無電解めっき前処理剤。
- シランカップリング剤がアゾール系化合物またはアミン化合物とエポキシシラン系化合物との反応により得られたシランカップリング剤である請求項2記載の無電解めっき前処理剤。
- 金属捕捉能を持つ官能基がイミダゾール基である請求項2または3記載の無電解めっき前処理剤。
- キレートがパラジウムアセチルアセトナートである請求項1〜4のいずれか1項記載の無電解めっき前処理剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の無電解めっき前処理剤を含むインク組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の無電解めっき前処理剤またはインク組成物により被めっき物を前処理し、次いで無電解めっきすることを特徴とする無電解めっき方法。
- インク組成物による前処理がインクジェットによる描画である請求項7記載の無電解めっき方法。
- 請求項7または8記載の無電解めっき方法により得られためっき物。
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