JP2003041374A - 表面処理剤、およびそれを用いた表面処理物 - Google Patents
表面処理剤、およびそれを用いた表面処理物Info
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Abstract
あらかじめ混合もしくは反応させた表面処理剤の安定性
を向上すること。 【解決手段】 一分子中に金属捕捉能を持つ官能基を有
するシランカップリング剤と貴金属化合物をあらかじめ
混合もしくは反応させた液に酸化剤を添加してなる表面
処理剤。
Description
媒となる貴金属を捕捉する機能とめっき基体上に固着す
る機能を同一分子内に併せ有するシランカップリング剤
と、貴金属化合物を混合もしくは反応させた液に、酸化
剤を添加することにより、液安定性を向上させた表面処
理剤、およびそれを用いた表面処理物に関するものであ
る。
属被膜を形成する方法の一つであり、樹脂基板にプリン
ト配線を形成する方法などに利用されている。この無電
解めっきの前処理としては、パラジウムなどの貴金属を
触媒としてあらかじめ下地に付着させておく活性化と呼
ばれる方法が一般的である。これまで、SnCl2の塩
酸性水溶液で処理した後PdCl2水溶液に浸漬処理し
てPdを吸着させたり、SnとPdを含んだコロイド溶
液によりPdを表面に担持させる方法が使われてきた。
これらの方法は毒性が高いSnを使用することや処理工
程が複雑であるなど問題が多い。そこで最近、無電解め
っきの触媒であるPdなどの貴金属を担持させる方法と
して、これらの貴金属類と錯体を形成できる官能基を有
するシランカップリング剤を使った方法がいろいろと提
案されている(特公昭59−52701、特開昭60−
181294、特開昭61−194183、特開平3−
44149号公報)。本発明者らも、シランカップリン
グ剤と貴金属化合物をあらかじめ混合もしくは反応させ
ためっき前処理剤を使った方法について、いくつか提案
している(特願2000−1645、特願2000−2
38047号公報)。
は、経時変化を起こしやすく、沈殿が発生するなど液安
定性が不十分であるという問題点があった。
のこうした問題点を改善することを技術的課題とするも
のである。
た結果、前記貴金属化合物とそれを捕捉する機能を有す
るシランカップリング剤をあらかじめ混合もしくは反応
させた液の経時変化の原因は、貴金属化合物の還元反応
にあることを突きとめた。そして対策として、酸化剤を
加えることにより経時変化が抑制され、液安定性が向上
することを見出し本発明に至った。
属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤と
貴金属化合物をあらかじめ混合もしくは反応させた液に
酸化剤を添加してなる表面処理剤、(2)一分子中に金
属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップリング剤が
アゾール系化合物とエポキシシラン系化合物との反応に
より得られたシランカップリング剤であることを特徴と
する前記(1)記載の表面処理剤、(3)金属捕捉能を
持つ官能基がイミダゾール基であることを特徴とする前
記(1)記載の表面処理剤、(4)貴金属化合物がパラ
ジウム化合物であることを特徴とする前記(1)記載の
表面処理剤、(5)酸化剤が過硫酸塩であることを特徴
とする前記(1)記載の表面処理剤、(6)pHが2.
0以下であることを特徴とする前記(1)記載の表面処
理剤、(7)前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載
の表面処理剤で処理された表面処理物、に関する。
プリング剤を用いることが重要である。すなわち、金属
捕捉能を持つ官能基が分子内に存在することにより、め
っき触媒の活性を効果的に発現する電子状態、配向を取
ることが可能となり、シランカップリング剤であること
により被めっき材との密着性を発現することが可能とな
る。またさらに、本表面処理剤は表面、特に金属表面の
濡れ性を向上させる作用も有する。
しては、これらに制限されるものではないが、アミノ
基、カルボキシル基、アゾール基、水酸基、メルカプト
基などが挙げられる。これらの中でもアゾール基が好ま
しい。アゾール基としては、イミダゾール、オキサゾー
ル、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキ
サゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジア
ゾール、チアジアゾール、テトラゾール、オキサトリア
ゾール、チアトリアゾール、ベンダゾール、インダゾー
ル、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾールなどが挙
げられる。中でもイミダゾール基が特に好ましい。ま
た、前記シランカップリング剤とは、前記貴金属イオン
捕捉基の他に、−SiX1X2X3基を有する化合物であ
り、X1、X2、X3はアルキル基、ハロゲンやアルコキ
シ基などを意味し、被めっき物への固定が可能な官能基
であれば良い。X1、X2、X3は同一でもまた異なって
いても良い。
知である。例えば、アゾール系化合物とエポキシシラン
系化合物との反応で得られたシランカップリング剤を例
示することができる(特開平6−256358号公
報)。また、このような含窒素複素環式アゾール化合物
と反応させるエポキシ基含有シラン化合物としては、
3のアルキル基、nは1〜3の整数)で示されるエポキ
シシランカップリング剤が好ましい。前記アゾール化合
物と前記エポキシ基含有シラン化合物との反応は、特開
平6−256358号公報に説示されている条件で行う
ことができる。例えば、80〜200℃でアゾール化合
物1モルに対して0.1〜10モルのエポキシ基含有シ
ラン化合物を滴下して5分〜2時間反応させる。その
際、溶媒は特に不要であるが、クロロホルム、ジオキサ
ンメタノール、エタノール等の有機溶媒を用いてもよ
い。本発明に使用する金属捕捉能を有するシランカップ
リング剤のその他の例として、γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン等が挙げられる。
めっき液から銅やニッケルなどを析出させる際に触媒効
果を示すパラジウム、銀、白金、金などの塩化物、水酸
化物、酸化物、硫酸塩、アンモニウム塩などのアンミン
錯体などが挙げられるが、特にパラジウム化合物、中で
も塩化パラジウムが好ましい。貴金属化合物は水溶液と
して用いることが好ましく、処理する溶液中の濃度は5
〜300mg/Lが好ましい。
分子中に金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカップ
リング剤と貴金属化合物をあらかじめ混合もしくは反応
させた液で表面処理する場合、この液は適当な溶媒、例
えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、2−
プロパノール、アセトン、トルエン、エチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどやこれらを混合
した溶液などに溶解させた溶液で使用できる。水を使用
する場合、特に被めっき面及びめっき条件により溶液の
pHを最適化する必要がある。布状や板状の下地に対し
ては、浸漬処理や刷毛塗り等で表面コートした後に溶媒
を揮発させる方法が一般的であるが、これに限定される
ものではなく表面に均一にシランカップリング剤を付着
させる方法であればよい。
揮発させて強制的に溶液中に含まれるシランカップリン
グ剤を下地表面に付着させる方法の他にこのシランカッ
プリング剤の均一な成膜性により浸漬処理状態で下地表
面に吸着が可能であることから、処理後溶媒をろ過分離
して湿った粉体を乾燥させる方法も可能である。付着状
態によっては水洗のみで、乾燥工程を省略できる場合も
ある。
持つ官能基を有するシランカップリング剤の濃度はこれ
に限ったものではないが、0.001〜10重量%が使
いやすい。0.001重量%未満の場合、基材の表面に
付着する化合物量が低くなりやすく、効果が得にくい。
また、10重量%を超えると付着量が多すぎて乾燥しに
くかったり、粉末の凝集を起こしやすくなる。
を持つ官能基を有するシランカップリング剤と貴金属化
合物をあらかじめ混合もしくは反応させた液に酸化剤を
添加することにより、触媒効果を示す貴金属の還元反応
による経時変化が抑制され、液の安定性が向上する。本
発明に使用する酸化剤としては、過硫酸ナトリウム、過
硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過
酸化水素などの過酸化物、塩化第二鉄、塩化第二銅、硝
酸などがよい。その中でも過硫酸塩が特に好ましい。添
加する酸化剤の濃度は、0.01〜100g/Lが好ま
しい。0.01g/Lより少ない場合は酸化剤の効果が
十分に発揮されず、また100g/Lより多い場合は被
めっき基板に酸化剤による悪影響を及ぼす恐れがある。
一分子中に金属捕捉能を持つ官能基を有するシランカッ
プリング剤と貴金属化合物をあらかじめ混合もしくは反
応させた液に酸化剤を添加することで液の安定性は向上
するが、併せてpHを下げることによりさらに向上す
る。特にpH2.0以下にすることにより、液の安定性
は向上する。またpH1.5以下にすることにより、液
の安定性は大幅に向上する。
はこの溶媒の揮発温度以上に加熱して表面を乾燥すれば
十分である。溶剤として水を用いた場合は乾燥工程を省
略し、表面処理後水洗するだけでめっきを行うことも可
能である。ただしこの際、触媒をめっき液中に持ち込ま
ないようにするため、水洗を十分に行う必要がある。
被めっき物によっては加熱することが有効な場合もあ
る。当然のことながら、めっき前処理を行う前に被めっ
き面の洗浄を行っても良い。特に密着性を要求される場
合は、従来のクロム酸などによるエッチング処理を用い
ても良い。めっきを行う場合に、還元剤を含む溶液で処
理することが有効である場合もある。特に銅めっきの場
合は、還元剤としてジメチルアミン−ボラン溶液、次亜
リン酸ナトリウム溶液などで処理すると良い。また、無
電解めっきを最初に行って金属薄膜を形成させ、導電性
のない下地にある程度の導電性を持たせた後、電気めっ
きや卑なる金属との置換めっきを行うことも可能であ
る。本発明により、無電解めっきで銅、ニッケル、コバ
ルト、スズ、金などの金属をめっきすることができる。
理の他、表面の濡れ性を向上させることも可能である。
このような効果のある液体としては、極性が高い液体で
あり、特に水に対する濡れ性を大きく向上させることが
できる。濡れ性を向上させる基材として、銅やニッケル
などに大きな効果を発現する。そして、金属表面の濡れ
性が向上すると、そこにはんだや樹脂等を塗布する際、
塗布性や密着性を向上することができる。
シランとの等モル反応生成物であるシランカップリング
剤を40mg/L、塩化パラジウムを40mg/L含ん
だ水溶液に、様々な量の過硫酸ナトリウムを添加し、ま
たpHを変化させた液の安定性を、室温放置(最長30
日)したときの経時変化を観察することにより調べた。
実施例及び比較例を表1にまとめた。
下で過硫酸ナトリウムを添加した系では30日の室温放
置でいずれも沈殿発生は無かった。また実施例3、4に
示すように、pH2.0では過硫酸ナトリウム濃度が高
いほど沈殿発生までの日数が長くなり、酸化剤が液安定
性の向上に効果を示すことがわかる。それに対し、比較
例1に示すように、過硫酸ナトリウムが無添加の系では
pH2.0でも1日で沈殿が発生した。また実施例5、
6に示すように、過硫酸ナトリウムを多めに添加するこ
とでpHが2.0がより高い場合でもわずかではあるが
液安定性が向上する。表1を見ると、過硫酸ナトリウム
の添加量が増すほど、またpHが低いほど、経時変化の
抑制効果が高い傾向が見られる。また、表1の試験後に
これらの液を用いて電解銅箔(厚さ20μm)上に無電
解ニッケルめっきを行った。処理は、5%希硫酸洗浄
(1分間)、水洗、触媒液浸漬(25℃、1分間)、水
洗、無電解ニッケルめっきの順番で行った。無電解ニッ
ケルめっきの条件は下記の通り。無電解ニッケルめっき
はいずれの液でも問題なく行うことができた。
シランとの等モル生成物であるカップリング剤を40m
g/L、塩化パラジウムを40mg/L、過硫酸ナトリ
ウムを1.0g/Lを添加した水溶液に、ニッケルが1
μmめっきされた銅板を室温で1分間浸漬した。水洗
後、水に対する濡れ性を観察した。表面は部分的に変色
したものの、図1に示すようにニッケルめっき銅板の濡
れ性は大きく向上し、水のハジキは観察されなかった。
い、水に対する濡れ性を観察した。図2に示すようにニ
ッケルめっき銅板の濡れ性は悪く、水のハジキが観察さ
れた。
あらかじめ混合もしくは反応させた表面処理剤は、触媒
効果を示す貴金属の還元反応による経時変化が起こり、
沈殿が発生するなど液安定性に問題があった。本発明で
は、この表面処理剤に酸化剤を添加することで貴金属の
還元反応を抑制し、その結果液安定性が向上した。ま
た、本発明の表面処理剤により、金属表面の濡れ性を向
上することができる。
濡れ性を説明する写真。
Claims (7)
- 【請求項1】 一分子中に金属捕捉能を持つ官能基を有
するシランカップリング剤と貴金属化合物をあらかじめ
混合もしくは反応させた液に酸化剤を添加してなる表面
処理剤。 - 【請求項2】 一分子中に金属捕捉能を持つ官能基を有
するシランカップリング剤がアゾール系化合物とエポキ
シシラン系化合物との反応により得られたシランカップ
リング剤であることを特徴とする請求項1記載の表面処
理剤。 - 【請求項3】 金属捕捉能を持つ官能基がイミダゾール
基であることを特徴とする請求項1記載の表面処理剤。 - 【請求項4】 貴金属化合物がパラジウム化合物である
ことを特徴とする請求項1記載の表面処理剤。 - 【請求項5】 酸化剤が過硫酸塩であることを特徴とす
る請求項1記載の表面処理剤。 - 【請求項6】 pHが2.0以下であることを特徴とす
る請求項1記載の表面処理剤。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一つに記載の表
面処理剤で処理された表面処理物。
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- 2001-07-31 JP JP2001231129A patent/JP4582528B2/ja not_active Expired - Fee Related
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