JP2005211647A - 軟膏付救急用絆創膏 - Google Patents

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Abstract

【課題】パッド、軟膏薬成分浸透抑制性のフィルム、ネットの構成を工夫することにより、パッド上に層着した軟膏薬のパッド下方への浸透や外側面への移動によるはみ出しを有効に抑制でき、またパッドと傷口との付着を有効に防止することができ、軟膏薬等の変性を来すことなく、軟膏薬を有効に患部に作用させることができる軟膏付救急用絆創膏を提供するにある。
【解決手段】絆創膏の粘着シートの上面中央部にパッド部を設け、該パッド部のパッド上面に軟膏薬を層着し、前記粘着シートの前記パッド部が貼着されていない部分の上面には離型フィルムを剥離可能に貼着してなる軟膏付救急用絆創膏において、2枚以上のパッドを積層して前記パッド部を形成したことを特徴とする軟膏付救急用絆創膏。
【選択図】図2

Description

本発明は、パッドを2枚以上積層し、かつネットを介在させるなど、パッド部の工夫を施すことにより、軟膏薬の浸透や漏出を効果的に抑制した軟膏付救急用絆創膏に関する。
救急用絆創膏は種々のタイプのものが知られている。一般的に使用されている救急用絆創膏は、粘着シートの上面中央部に殺菌消毒液や創傷治療剤等の薬液を含浸、乾燥させたガーゼ等のパッドを貼着し、該パッドの上面を左右に分離可能な剥離紙で被覆した構造を有するものである。
この種の救急用絆創膏は、薬液が乾燥状態となっているために、創傷口等の患部を傷める虞があるばかりでなく、創傷口から分泌物が出ない限り、十分な殺菌、治療効果を得ることができない。
薬液封入カプセル体を備えた救急用絆創膏は、上記の課題を改善する目的で提案され、パッドの上面に薬液を封入してなるカプセル体を重ね合わせ、使用時に該カプセル体の上面壁を押圧することによってその上面壁の下面中央に突設した先鋭な突起でカプセル体の底面を構成しているアルミ箔製の薄膜を破壊し、カプセル体の薬液をパッド上に流出、含浸させるようにした構造のものが開発されている(たとえば特許文献1及び2参照)。
しかしながら、薬液封入カプセル体を備えた救急用絆創膏は、その製造に著しい工数と費用を要して高価となるばかりでなく、流動性の大なる薬液を使用しているために、使用に際してカプセル体下面の薄膜を破壊するとき薬液が飛散しやすくパッドに正確に含浸することができない場合、あるいはパッドが傾斜した状態で薄膜を破壊するとパッドの上面を伝って薬液の一部が外部に流出する虞があり、またカプセル体内に薬液の一部が残留した状態で破壊すると有効量が減少し、治療効果を弱めることになる。さらに、パッドの表面が創傷口に直接付着するために、取り外す際に創傷部を傷めたりする場合があり、かえって完治を遅らせてしまう難点があった。
このため、薬液に代わって、従来から発想はあったもののその実質的な実用化には至っていなかった軟膏薬をパッドに塗布した救急用絆創膏の提供が要望されているが、上面に軟膏薬を層着しているパッドを剥離紙によって被覆すると、粘着シートと剥離紙の隙間からの外気の影響によって軟膏薬が短時間で乾燥したり、成分が変化して効力を著しく減弱させる虞があり、例え完全に密封した場合においても携行中や使用に際して、剥離紙の表面に外圧が加わると軟膏薬が押し潰されてパッドからはみ出し、使用に供することができなくなる場合が生じると共に、剥離紙等を剥離した場合、剥離紙等の裏面に軟膏薬が転着して軟膏薬の有効量が減少する虞があった。
また、このような軟膏薬の変質や不測の外圧力による軟膏薬の押し潰しをなくするために、上記カプセル体に軟膏薬を封入すると、軟膏薬はカプセル体内壁面に付着しているので、該カプセル体を押圧変形して底面を構成しているアルミ箔製の薄膜を破壊しても多量の軟膏薬をパッド上に転着することは困難であった。
このような技術背景から、本発明者は、上面に軟膏薬を層着しているパッドを長方形状の粘着シートの上面中央部に貼着すると共に、この粘着シート上に中央部を上方に向かって緩やかな円弧状に膨出、成形することにより断面ドーム形状のブリスター部を形成してなる軟膏保護カバーを剥離可能に貼着して上記ブリスター部により上記パッドを該パッド上の上記軟膏薬とブリスター部の下面との間に隙間が存した状態で被覆してなる軟膏薬救急用絆創膏につき提案した(特許文献3参照)

実開昭58−092920号公報 特開昭63−114626号公報 特開2001−104367号公報
しかしながら、上記提案の軟膏付救急用絆創膏は、断面ドーム形状のブリスター部を形成した軟膏保護カバーを粘着シートに剥離可能に貼着し、かつ軟膏薬上に隙間を隔てて軟膏薬を覆うことにより、薬液カプセルを備えた救急用絆創膏が有する課題を悉く解消した点において優れた技術ではあるが、パッドの種類や形態、軟膏薬の成分や粘性等によっては、その軟膏薬の成分が経時的にパッドの下方にまで浸透し、粘着シートの上面の粘着剤層と接触乃至反応して、軟膏薬及び/又は粘着剤が変性を来たす虞があり、有効な殺菌、治療効果が得られないというさらに解決すべき課題があった。
また、薬液を軟膏薬に変えたとはいえ、軟膏薬をパッド上に単に層着しただけでは、パッド上の軟膏薬がパッドと共に直接皮膚の創傷口に当接することとなるために、治癒が進んだり、創傷面が乾燥すると創傷口とパッドとが付着する場合もあり、使用後剥離した時に傷口を広げたり、傷めてしまい、かえって完治を遅らせる懸念があった。
さらに、軟膏薬の成分がパッド下方に浸透したり、あるいは外側面に移動してはみ出したりすれば、軟膏付絆創膏を創傷面に、簡便にかつ確実に貼付することを困難にするばかりでなく、創傷面に供給されるべき軟膏薬の有効量が減少する問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、軟膏薬成分の浸透を抑制するために、パッドやネットの構成を工夫することにより、パッド上に層着した軟膏薬のパッド下方への浸透や外側面への移動によるはみ出しを有効に抑制でき、またパッドと傷口との付着を有効に防止することができ、軟膏薬等の変性を来すことなく、軟膏薬を有効に患部に作用させることができる軟膏付救急用絆創膏を提供するにある。
かかる状況下、本発明者は上記目的を達成するために鋭意研究した結果、浸透性の高いパッドを上層とし浸透性の低いパッドを下層として2枚以上積層すると、軟膏薬が毛細管現象によってパッドの下方に浸透しても、上層のパッドと下層のパッドとの間に界面が形成されたことにより、軟膏薬の成分の下方への浸透が遅延することとなり、軟膏薬が変質したり、硬化するのを長期間に亘って防止することができることを突き止めた。
本発明者は、さらに鋭意検討した結果、軟膏薬成分の浸透性を抑制するものとして、薬剤成分難透過性フィルムを用いることなく、従来軟膏薬浸透抑制効果については着目されてはいなかった、ナイロン製などのネットをパッド間あるいはパッドと粘着テープ間に介在させることにより、予想外にも軟膏薬成分浸透抑制性のフィルムと同様の軟膏薬成分の浸透を抑制できるばかりでなく、膜性のフィルムを使用することがないのでパッド内の通気性をも改善しうることを知見して本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、
1.絆創膏の粘着シートの上面中央部にパッド部を設け、該パッド部のパッド上面に軟膏薬を層着し、前記粘着シートの前記パッド部が貼着されていない部分の上面には離型フィルムを剥離可能に貼着してなる軟膏付救急用絆創膏において、2枚以上のパッドを積層すると共に、パッド間またはパッドと粘着シート間に第一のネットを介在させ、さらに前記パッドおよび第一のネットを、第二のネットで被覆して前記パッド部を形成したことを特徴とする軟膏付救急用絆創膏、
2.下層のパッドの下面と、粘着シートとの間に、第一のネットを介在させたものである上記1の軟膏付救急用絆創膏、
3.2枚以上のパッドの、パッドとパッドとの間に第一のネットを介在させたものである上記1又は2の軟膏付救急用絆創膏、
4.2枚以上のパッドは同質の素材で構成されてあり、パッド間またはパッドと粘着シート間に第一のネットを介在させ、さらに前記パッドおよび第一のネットを、第二のネットで被覆して前記パッド部を形成したことを特徴とする上記1乃至3のいずれか1の軟膏付救急用絆創膏、
5.粘着シート上に、断面ドーム形状のブリスター部を形成してなる軟膏保護カバーを剥離可能に貼着したものである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の軟膏付救急用絆創膏、
6.粘着シート上に、断面ドーム形状のブリスター部を形成してなる軟膏保護カバーを剥離可能に貼着したものである上記1乃至5のいずれかの軟膏付救急用絆創膏、
7.軟膏保護カバーが、中央部を上方に向かって緩やかな円弧状に膨出、成形することにより断面ドーム形状のブリスター部に形成してなるものである上記1乃至6のいずれかの軟膏付救急用絆創膏、
8.ブリスター部が、平面矩形状に形成されてあり、その長辺側の両側壁部を下端から上方に向かって互いに接近する方向に傾斜した起立壁部を形成しているものである上記1乃至7のいずれかの軟膏付救急用絆創膏、
9.軟膏保護カバーが、上面に軟膏薬を装着しているパッド部を長方形状の粘着シート上に、四方周壁部が上記軟膏薬を層着したパッドの厚みより高く形成している平面矩形上のブリスター部を中央部に膨出、形成してなり、剥離可能に貼着して上記ブリスター部により上記パッド部を被覆したものである上記1乃至8のいずれかの軟膏付救急用絆創膏、
10.ブリスター部が、その天井壁部にその長さ方向に平行な突条を上方に向かって膨出、形成しているものである上記1乃至10のいずれかの軟膏付救急用絆創膏、
に関するものである。
請求項1の記載の発明によれば、創膏の粘着シートの上面中央部にパッド部を設け、該パッド部のパッド上面に軟膏薬を層着し、前記粘着シートの前記パッド部が貼着されていない部分の上面には離型フィルムを剥離可能に貼着してなる軟膏付救急用絆創膏において、前記パッド部を2枚以上のパッドを積層して形成するとともに、パッド間あるいはパッドと粘着テープとの間に第一のネットを介在させ、さらに前記パッドおよび第一のネットを第二のネットで被覆したパッド部とすることにより、断面ドーム形状の軟膏保護カバーを有する軟膏付救急用絆創膏だけでなく、該保護カバーのない、あるいは断面ドーム形状でない軟膏保護カバーを有する軟膏付救急用絆創膏であっても、パッド部に層着された絆創膏の成分がパッド部の下方に浸透するのを有効に抑制することが可能となる。
さらに、請求項2記載の発明によれば、下層のパッド部の下面と粘着シートとの間に介在させ、第二のネットでパッド部を被覆する構成とすることにより、軟膏薬の成分が下層パッドの下方にまで浸透しても粘着テープまでの浸透をネットの2重構造で遮断することが可能となるばかりでなく、粘着テープとの接触あるいは化学反応を有効に抑制するガードフィルムとしての機能も発揮する。
また、請求項3の発明によれば、2枚以上積層したパッドとパッドの間に1枚以上の第一のネットを介在させる構成とすることにより、該フィルムの作用により上層のパッドに層着した軟膏薬の成分が下層パッドに浸透するのを有効に抑制したり、軟膏薬成分の側面へ移動をも有効に抑制できるばかりでなく、下層パッドが一種のクッション性を示し、軟膏救急用絆創膏を皮膚に貼着するときソフトな感触を与える利点があり、またパッドと傷口との付着を防止し、剥離時傷口を痛める懸念もなく、かつ工業的に有利に製造できる。
またさらに、請求項4の発明によれば、同質のパッドを2枚以上積層し、そのパッド間及び/又は下層パッド下面に第一のネットを介在させ、かつパッド部周囲を第二のネットで被覆した構成とすることにより、前記の利点を有するほか、同質のパッドを2枚以上積層しても、軟膏薬成分の浸透抑制性を有効に抑制することができ、工業上高品質を維持しつつ安価に製造しうる利点をも有する。
請求項5の発明によれば、粘着シート上に、断面ドーム形状のブリスター部を形成してなる軟膏保護カバーを剥離可能に貼着した構成とすることにより、軟膏薬の浸透抑制等の前記の利点を有するほか、外気との接触を回避でき、またカプセル体などの使用を回避できるので、軟膏薬の変質や転着による有効量の減少等を有効に防止することができる。
本発明においては、軟膏保護カバーを、中央部を上方に向かって緩やかな円弧状に膨出、成形することにより断面ドーム形状のブリスター部に形成してなるものとすることにより、あるいはさらにブリスター部を平面矩形状に形成し、その長辺側の両側壁部を下端から上方に向かって互いに接近する方向に傾斜した起立壁部を形成しているものとすることにより、あるいはさらに軟膏保護カバーを、上面に軟膏薬を装着しているパッド部を長方形状の粘着シート上に、四方周壁部が上記軟膏薬を層着したパッドの厚みより高く形成している平面矩形上のブリスター部を中央部に膨出、形成し、剥離可能に貼着して上記ブリスター部により上記パッド部を被覆したものとすることにより、さらにはまたブリスター部を、その天井壁部にその長さ方向に平行な突条を上方に向かって膨出、形成したものとすることにより、前記の利点のほか、携行時の不測の押し潰しなどに強固に阻止することができる。
本発明の具体的な実施の形態について図面に基づいて説明すると、図1〜図5において、救急用絆創膏1の基体となる粘着シート2は柔軟性を有する薄い合成樹脂製シート又は不織布、織布、紙等からなる一定幅と一定長さを有する矩形状のシート片の上面全面に粘着剤を層着してなり、この粘着剤層3は上記シート片の上面に粘着剤を塗布することによって形成されている。
さらに、この粘着シート2の上面中央部には、後に詳述する軟膏薬4を担持するパッド部5の下面を粘着剤層3に貼着させている。
さらに、上記粘着シート2上には軟膏保護カバー8が重ね合わされていて該軟膏保護カバー8の下面を粘着剤層3に剥離可能に貼着している。この軟膏保護カバー8は非通気性で且つ適度な剛性を有する塩化ビニル樹脂等の透明な合成樹脂製薄肉シートよりなり、上記粘着シート2と同一幅で且つ該粘着シートよりも長さが短い長方形状に形成されている。さらに、この軟膏保護カバー8の長さ方向の中央部の一定幅と一定長さ部分を上方に向かって緩やかな円弧状に膨出、成形することによって下端が全面的に開口したブリスター部81に形成している。
この軟膏保護カバー8の両端部から突出している粘着シート2の両端部の粘着剤層3に離型フィルム91、92を剥離可能に貼着してあり、この離型フィルム91、92の内端部は軟膏保護カバー8の両端部下面に延設していて、該延設部を上方に折り返して重ね端部91a、92aとし、該重ね端部91a、92a上に上記軟膏保護カバー8の両端部を載置させている。
パッド部5の形状を図2を用いてさらに詳述すると、パッド部5は、少なくとも2枚以上のパッド、図2では2枚のパッド51、52と、その最上層のパッド51上に層着された軟膏薬4と、各パッドと平面ほぼ同一形状の、ナイロンなどの合成繊維あるいは天然繊維製であって、前記パッド51、52の間に介在させた第一のネット71と、第一のネット71とパッド部側面ほぼ全体を被覆する第二のネット72とで構成され、該パッド部5の下面は粘着シート2の粘着剤層3上に貼着されている。

2枚以上積層している上層パッド51、下層パッド52は、それぞれガーゼ、脱脂綿、その他の織布、不織布、軟質プラスチック繊維あるいはこれらの積層体などを素材とし、矩形状であり、その幅は上記粘着シート2の幅よりも小幅に且つ長さも短く形成されている。
各パッド51、52は、異質の素材を使用し、軟膏薬4の成分の浸透抑制に強弱を与えることも可能であるが、同一素材の繊維を使用しても、パッドを2枚以上とし、そのパッド間に界面を設けることにより、軟膏薬4流動性成分の毛細管現象による浸透を抑制することが判明しており、むしろ同一素材を使用する方が高品質を維持したまま安価に製造できるので工業生産上も有利である。
さらに、図2において、2枚のパッド51とパッド52との間には、該パッド51、52と平面ほぼ同一形状の、紙製、プラスチック製等の軟膏薬浸透抑制用のネット71を介在させてあり、上層パッド51、ネット71および下層パッド52の下面両側部に亘ってネット7を被覆して該ネット7の両側面をパッド部5の両側面に熱溶着によって一体に固着してあり、このネット7上から上記軟膏薬4を一定量ネット7の網目7a(図示せず)を通じてパッド部5の上面に塗布することにより薄く層着している。従って、軟膏薬4はネット7の網目7aに保持された状態となり、パッド5上を平面方向に流動する虞はない。
なお、ブリスター部81を有する軟膏保護カバー8は、種々の形状とすることも可能であるが、特開2001−104367号公報に記載の如く、平面矩形状で、中央部を上方に向かって緩やかな円弧状に膨出、成形することにより断面ドーム形状のブリスター部81を形成し、該ブリスター部81のその長辺側の両側壁部を下端から上方に向かって互いに接近する方向に傾斜した起立壁部を形成しており、かつ上面に軟膏薬を装着しているパッド部を長方形状の粘着シート上に、四方周壁部が上記軟膏薬を層着したパッド部5の厚みより高く形成し、剥離可能に貼着して上記ブリスター部81により上記パッド部5を被覆した形状とするのが好ましい。該軟膏保護カバー、ブリスター部、起立壁部、パッド部5の被覆態様について同一となる場合のその態様の記述は当該特開2001−104367号の記載が本発明の記載にそのまま引用される。
すなわち、図1および図2においては、典型的な軟膏保護カバー8の形状を示しており、ブリスター部81で上記長方形状の粘着シート2の上面中央部に貼着しているパッド部5を被覆して該ブリスター部81内に収納した状態でブリスター部81の開口端の外周部下面を含む軟膏保護カバー8の下面を該軟膏保護カバー8の長さ方向の両端部下面を除いて粘着シート2の粘着剤層3に剥離可能に貼着してある。
この軟膏保護カバー8は非通気性でかつ適度な剛性を有する塩化ビニル樹脂等の透明な合成樹脂製薄肉シートよりなり、上記粘着シート2と同一幅でかつ該粘着シート2よりも長さの短い矩形状に形成されている。さらに、この軟膏保護カバー8の長さ方向の中央部の一定幅と一定長さ部分を上方に向かって緩やかな円弧状に膨出、成形することによって下端が全面的に開口した断面ドーム形状のブリスター部81に形成している。
該ブリスター部81の開口端の四方縁辺において、パッド部5よりも若干大きく設計されてあり、その開口部82内収納可能に形成している。
さらに、このブリスター部81の開口下端における長辺側においてはその両側を開口端の長縁辺から上方に向かって互いに接近する方向に傾斜した断面三日月形状の起立壁部に形成している。
また、該ブリスター部81の天井壁部84の高さは軟膏薬4を層着しているパッド部5の厚みよりも僅かに大きく形成されてあり、従ってブリスター部81の開口端内に収納されているパッド部5上の粘着剤層3とブリスター部81の天井壁部84の下面との間には隙間が存在していて粘着剤層3はブリスター部81の天井壁部84の下面に付着しないように構成している。
このように構成した救急用絆創膏は、救急用絆創膏は、パッドを単に2枚積層するよりも、さらに軟膏薬4成分の下層パッド52への浸透を有効に抑制するばかりでなく、下層パッド52が、軟膏薬4成分が時により浸透した場合の含浸材として機能するほか、一種のクッション材ともなり、救急絆創膏を貼付すると、創傷口に対して適度な圧力で柔らかく押圧するので、傷口を傷めることなく治療できる利点をも有する。
次に、使用に際しては、まず、粘着シート2上から軟膏保護カバー8を剥離する。この時、軟膏保護カバー8の両端部は粘着シート2に貼着されておらず、その両端部と粘着シート2の両端部との間に離型フィルム91、92を介在させているので、一方の手の指先で粘着シート2の端部を摘み、他方の手の指先で軟膏保護カバー8の端部を摘んでこれらの端部を引き離すことにより、ワンタッチで軟膏保護カバー8を粘着シート2から剥離することができ、そのブリスター部81によって被覆されていたパッド部を露出させることができる。次いで、粘着シート2の両端部から離型フィルム91、92を除去し、しかるのち、パッド部5上に層着している軟膏薬5を創傷口に当てがい、粘着シート2を皮膚面に貼着する。
図3、図4および図5は、本発明の別な実施例であって、別な形状に形成しているパッド部5を用いた救急用絆創膏を示している。
図3において、パッド部5Aは、2枚のパッド51とパッド52との間に第一のネット71aを介在させ、下層パッド52と粘着テープ1との間にはさらに他の第一のネット71bを介在させてあり、さらに上層パッド51、第一のネット71a、下層パッド52および他の第一のネットの下面両側部に亘って、第二のネット72を被覆して該ネット72の両側面をパッド部5の両側面に熱溶着によって一体に固着してあり、このネット72上から上記軟膏薬4を一定量第二ネット72の網目62a(図示せず)を通じてパッド部5の上面に塗布することにより薄く層着している。従って、軟膏薬4は第二ネット72の網目に保持された状態となり、パッド5上を平面方向に流動する虞はない。
図4のパッド部5Bは、上層パッド51、下層パッド52と2枚のパッドを積層し、平面形状がパッド51、52とほぼ同一で、軟膏薬4の成分の浸透を抑制する第一のネット71を、下層パッド52と粘着シート2との間に介在させる構成としている。上層パッド51、下層パッド52、該第一のネット71の下面両側部に亘って第二のネット72を被覆して該ネット72の両側面をパッド部5Bの両側面に熱溶着によって一体に固着してあり、このネット72上から上記軟膏薬4を一定量ネット72の網目6a(図示せず)を通じてパッド部5Bの上面に塗布することにより薄く層着している。このように形成しているパッド部5Bを備えた救急用絆創膏のその他の構造は、上記実施例と同様であるので、同一部分に同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
このパッド5Bは、パッド51とパッド52との間に形成された界面の存在により軟膏薬4の成分が、下層パッド52に浸透しがたくなっており、例えさらに下層パッド52まで浸透しても、第一のネット71が下層パッド52と粘着シートとの間にネット72を介して挟持され、十分に距離があるので、軟膏薬4の成分が粘着シート2の粘着剤2と接触して変質することはない。
図5のパッド部5Cは、上層パッド51、下層パッド52と2枚のパッドを積層し、軟膏薬4の成分の浸透を抑制する第一のネット71を上層パッド51と下層パッド52との間に介在させると共に、平面同一形状の、例えば平面同一形状の、紙製、プラスチック製で、有孔の膜体であってもよい軟膏薬浸透抑制用のフィルム6を下層パッド52と粘着シート2との間に介在させ、さらに上層パッド51、第一のネット71、下層パッド52、および軟膏薬浸透抑制性のフィルム6を、ネット72の下面両側部に亘ってネット72を被覆して該ネット72の両側面をパッド部5の両側面に熱溶着によって一体に固着してあり、このネット72上から上記軟膏薬4を一定量ネット72の網目62a(図示せず)を通じてパッド部5の上面に塗布することにより薄く層着している。このように形成しているパッド部5Cを備えた救急用絆創膏のその他の構造は、上記実施例と同様であるので、同一部分に同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
パッド部5Cは、上層パッド51と下層パッドとの間に第一のネット71を介在させるときは、軟膏薬浸透抑制性のフィルム6を粘着シート2と下層パッド52との間に介在させる構成とすることもでき、軟膏薬4の成分の浸透性を確実に抑制し、かつ下層パッドのクッション性、粘着剤2との接触回避も十分に図ることができることを示している。
本発明軟膏付救急用絆創膏の分解した斜視図 本発明軟膏付救急用絆創膏の分解した平面図および縦断断面図 本発明軟膏付救急用絆創膏一実施例の分解した平面図および縦断断面図 本発明軟膏付救急用絆創膏一実施例の分解した平面図および縦断断面図 本発明軟膏付救急用絆創膏一実施例の分解した平面図および縦断断面図
符号の説明
1 絆創膏
2 粘着シート
3 粘着剤層
4 軟膏薬
5 パッド部
51 上層パッド
52 下層パッド
6 軟膏薬4成分浸透抑制性のフィルム
81 ブリスター部
91 第一の離型フィルム
92 第二の離型フィルム

Claims (5)

  1. 絆創膏の粘着シートの上面中央部にパッド部を設け、該パッド部のパッド上面に軟膏薬を層着し、前記粘着シートの前記パッド部が貼着されていない部分の上面には離型フィルムを剥離可能に貼着してなる軟膏付救急用絆創膏において、2枚以上のパッドを積層すると共に、パッド間またはパッドと粘着シート間に第一のネットを介在させ、さらに前記パッドおよび第一のネットを、第二のネットで被覆して前記パッド部を形成したことを特徴とする軟膏付救急用絆創膏。
  2. 下層のパッドの下面と、粘着シートとの間に、第一のネットを介在させたものである請求項1記載の軟膏付救急用絆創膏。
  3. 2枚以上のパッドの、パッドとパッドとの間に第一のネットを介在させたものである請求項1又は2記載の軟膏付救急用絆創膏。
  4. 2枚以上のパッドは同質の素材で構成されてあり、パッド間またはパッドと粘着シート間に第一のネットを介在させ、さらに前記パッドおよび第一のネットを、第二のネットで被覆して前記パッド部を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の軟膏付救急用絆創膏。
  5. 粘着シート上に、断面ドーム形状のブリスター部を形成してなる軟膏保護カバーを剥離可能に貼着したものである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の軟膏付救急用絆創膏。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101421937B1 (ko) * 2012-11-14 2014-07-23 (주)비엔에스메디븐스 드레싱용 밴드

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