JP2005209315A - 再生装置、アクセス方法 - Google Patents

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  • Moving Of The Head For Recording And Reproducing By Optical Means (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Abstract

【課題】 BCAアクセス時において光学ヘッドが内周側に移動し過ぎることにより、メカデッキ側との衝突、衝突防止機構の動作による異音が発生することを防止する。
【解決手段】 BCAに隣接するオントラック可能な領域にアクセスした後、少量のスレッド移動によってBCAにアクセスすることで、スレッド移動誤差量を極力小さなものとしてメカデッキとの衝突、或いは衝突防止機構による異音の防止を図る。このとき、スレッド移動誤差等を考慮した移動量を設定することで、より確実に上記衝突、異音を防止できる。或いは、対物レンズを内周側に変位させた状態でスレッド移動を開始し、BCA内のデータが検出されたことに応じてスレッド移動を停止する。BCAデータの読み出しが可能となる位置で確実に光学ヘッドを停止することができ、上記のような衝突、異音を確実に防止することができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、例えばBCA(Burst Cutting Area)等のノントラッキング方式によりデータが記録されるノントラッキング記録領域が形成された光ディスク媒体についての再生が可能に構成された再生装置、及び上記光ディスク媒体の上記ノントラッキング記録領域へのアクセス方法に関する。
例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-Ray Disc)など、各種のディスクメディアが開発され、オーディオデータ、ビデオデータ等、各種データ記録再生システムで利用されている。
これらのディスクメディアにおいては、例えば記録トラックに対して信号が記録される以外の記録領域として、所謂BCA(Burst Cutting Area)と呼ばれる領域を形成するようにされたものがある。
周知のように、このBCAとしては、例えばディスクのリードインエリアよりもさらに内周領域において、円周方向に沿ってバーコード状に情報を記録するようにしたものである。
ここで、ディスクメディアの記録再生システムにおいて、装填されたディスクメディア上における、通常のトラックにより信号が記録される記録領域については、フォーカスサーボ制御によって信号面に対してレーザスポットを合焦し、且つトラッキングサーボ制御によって適正にトラックをトレースしている状態の下で、信号の記録再生を行うようにされる。つまり、通常のトラッキング方式によりデータの記録再生が可能とされている。
これに対し、上記したBCAでは、トラッキングサーボをかけずに単にフォーカスサーボによる合焦状態が得られることで情報の読み出しを行うことができる。つまりBCAでは、上記のようにしてバーコードにより情報が記録されることから、フォーカスオン状態でレーザスポットがBCA内に在るようにされれば、そこに記録される信号を読み出すことができるものである(ノントラッキング方式)。
BCAは、このようなノントラッキング方式によって、より簡易に情報の読み出しが可能となるように形成された領域でもある。
なお、以下の特許文献にはこのようなBCAに対して読み出しを行う技術について記載されている。
特開平10−228646号公報
上記のようにして、BCAにはトラックが形成されず、フォーカスオンのみで簡易に情報を読み出すことができるが、このようにトラックが形成されないということは、トラックジャンプ等によってトラック単位で目標にアクセスすることができないということになる。
そこで、このようなBCAに対しては、スレッド移動のみでアクセスするようにされるのであるが、スレッド移動は、トラックジャンプによりアクセスする場合よりも一般的にアクセス精度が低いものとなる。このため、スレッド移動のみによって、最内周に位置するBCAにアクセスすることによっては、例えばスレッド移動誤差が生じて、実際の移動量が目標移動量よりも多くなる場合に、ピックアップ(光学ヘッドシャーシ)が最内周規制位置においてメカデッキ側と衝突してしまう可能性がある。
そして、このようなスレッド移動の誤差は、例えばスレッド移動の距離が長くなる程に大きくなることが知られている。すなわち、BCAアクセス前の光学ヘッドの位置が外周側である程、上記のような衝突が生じる可能性も高くなるものである。
なお、実際には、上記のようにメカデッキ側に光学ヘッドシャーシが衝突するようなスレッド移動が行われた場合にも、例えばラックばねと呼ばれるような衝突防止機構が備えられる場合には、光学ヘッドシャーシがメカデッキ側の最内周規制位置と接触したとしても、それ以上内周側にスレッド移動の力が加わることが防止される。
しかしながら、このように衝突防止機構が働いた場合、例えばラックばねが跳ねる等の異音が発生することがあり、これにより商品性が低下するという問題が生じることとなる。
また、当然のことながら、このような衝突防止機構が備えられない場合は、衝突による光学ヘッドシャーシやメカデッキの破壊を招くこととなる。
また、光学ヘッドの構造によっては、光学ヘッドをメカデッキ最内周位置側にかなり近接した状態で、はじめてビームスポットがBCAの領域内に入るような場合も考えられる。
このような場合、BCAアクセス時には光学ヘッドシャーシがメカデッキに接触する付近をスレッド移動の目標として設定することとなるが、このようにスレッド移動目標が設定される場合、上記したようなスレッド移動誤差が生じることによってメカデッキとの衝突や衝突防止機構による異音が生じる可能性がさらに高くなる。
なお、このような事態を防止するためには、例えば光学ヘッドのサイズを小型化する等して、光学ヘッドシャーシがメカデッキ側と接触する位置でのビームスポットの位置が、より内周側となるように構成することが考えられる。つまり、これによってビームスポットがBCAの領域に入るときの光学ヘッドシャーシ位置と最内周規制位置との間隔がより多く得られるようにするものである。
しかしながらこの際、光学ヘッドシャーシを小型化するにはその分コストを要するものとなり、これによって装置製造コストが増加してしまうという問題が生じることになる。
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、先ず、再生装置の第1の構成として以下のようにすることとした。
すなわち、本発明の再生装置の第1の構成としては、ノントラッキング方式によりデータが記録されるノントラッキング記録領域とトラッキング方式によりデータの記録されるトラッキング記録領域とが形成された光ディスク媒体からデータを再生する再生装置であって、対物レンズを少なくともトラッキング方向に変位可能に保持すると共に、この対物レンズを介してレーザ光を照射することによって上記光ディスク媒体に対するデータの読み出しが可能に構成された光学ヘッド手段を備える。
そして、上記光学ヘッド手段を上記トラッキング方向に移送するスレッド手段と、さらに、上記ノントラッキング記録領域についての読み出し指示に基づいて上記光学ヘッド手段を上記ノントラッキング記録領域に隣接するトラッキング記録領域の所定アドレスを目標として移送させると共に、上記所定アドレスを目標とした移送の完了後に、上記光学ヘッド手段が所定の目標移動量に基づいて上記スレッド手段により移送されるように制御する制御手段とを備えるものである。
また、本発明では第1のアクセス方法として以下のようにすることとした。
つまり、先ず、ノントラッキング方式によりデータが記録されるノントラッキング記録領域とトラッキング方式によりデータの記録されるトラッキング記録領域とが形成された光ディスク媒体における、上記ノントラッキング記録領域についての読み出し指示に基づき、光学ヘッドが上記ノントラッキング記録領域に隣接する上記トラッキング記録領域の所定アドレスを目標として移送されるように制御を行う第1の制御手順を実行する。
その上で、上記第1の制御手順による上記所定アドレスを目標とした移送が完了した後に、上記光学ヘッドが所定の目標移動量に基づいて移送されるように制御を行う第2の制御手順を実行するものとした。
上記本発明によれば、上記ノントラッキング記録領域に隣接する、トラッキング方式によるオントラック可能な領域にアクセスした後に、上記ノントラッキング記録領域へのスレッド移送が行われる。つまりこの場合、ノントラッキング記録領域に対するアクセスは、このノントラッキング記録領域の隣接領域からの比較的短いスレッド移送により行うことができる。
スレッド移送時の移動誤差量が、スレッド移送距離に応じて大きくなるものとすれば、上記隣接領域からの比較的短い移送に伴う誤差量としても少ないものとすることができ、その分、光学ヘッドシャーシとメカデッキとの衝突、或いは衝突防止機構による異音が発生する可能性を低くすることができる。
そして、この際、例えばスレッド移送による最大誤差量を考慮した目標移動量を設定すれば、誤差が最大に発生した場合にも、上記のような衝突又は異音の発生をより確実に防止することができる。
また本発明では、再生装置の第2の構成として、以下のようにもすることとした。
つまり、本発明の再生装置の第2の構成としては、ノントラッキング方式によりデータが記録されるノントラッキング記録領域とトラッキング方式によりデータの記録されるトラッキング記録領域とが形成された光ディスク媒体からデータを再生する再生装置であって、対物レンズを少なくともトラッキング方向に変位可能に保持すると共に、この対物レンズを介してレーザ光を照射することによって上記光ディスク媒体に対するデータの読み出しが可能に構成された光学ヘッド手段を備える。
そして、上記光学ヘッド手段を上記トラッキング方向に移送するスレッド手段と、上記光学ヘッド手段から出力される信号から上記ノントラッキング記録領域に記録されているデータを検出するノントラッキングデータ検出手段とを備える。
その上で、上記ノントラッキング記録領域についての読み出し指示に基づき、上記光ディスク媒体に形成されるトラックに上記レーザ光を合焦させた状態で上記光学ヘッド手段が上記ノントラッキング記録領域方向へ移送させるように上記スレッド手段を制御すると共に、上記ノントラッキングデータ検出手段によって上記ノントラッキング記録領域に記録されているデータが検出されることに応じて、上記スレッド手段による上記光学ヘッド手段の移送を停止させる制御手段を備えるものである。
さらに、本発明では第2のアクセス方法として以下のようにもすることとした。
つまり、先ず、ノントラッキング方式によりデータが記録されるノントラッキング記録領域とトラッキング方式によりデータの記録されるトラッキング記録領域とが形成された光ディスク媒体における、上記ノントラッキング記録領域についての読み出し指示に基づき、光学ヘッドが、上記光ディスク媒体に形成されるトラックにレーザ光を合焦させた状態で上記ノントラッキング記録領域方向へスレッド移送されるように制御を行う第1の制御手順を実行する。
その上で、上記第1の制御手順によって移送される上記光学ヘッドより出力される信号から、上記ノントラッキング記録領域に記録されているデータが検出されることに応じて、上記光学ヘッドのスレッド移送が停止されるように制御を行う第2の制御手順を実行するものとした。
上記第2の本発明によれば、移送される光学ヘッドから出力される信号より上記ノントラッキング記録領域に記録されるデータが検出されたことに応じて、スレッド移送が停止されるので、光学ヘッドシャーシを、ノントラッキング記録領域のデータの読み出しが可能となった位置で確実に停止させることが可能となる。
このとき、例えば上記対物レンズをノントラッキング記録領域方向に変位させた状態で光学ヘッドの移送を開始させれば、その分、変位させずに移送する場合よりも、上記ノントラッキングデータが検出されるときの光学ヘッドシャーシの位置が、メカデッキ側からより離れた位置とすることができる。
このように本発明によれば、上記第1の構成によって、スレッド移動誤差により光学ヘッドがメカデッキ側と例えば最内周規制位置において衝突する事態や、或いは衝突防止機構による異音が生じるといった事態の発生を抑制することができる。
また、このような上記第1の本発明として、例えば上記最内周領域へのスレッド移送時に想定される移動誤差量を考慮した目標移動量の設定を行えば、これらの発生の更なる抑制が図られる。
さらに、第2の本発明として、ノントラッキング記録領域のデータが検出されたことに応じてスレッド移送を停止する場合では、上記のような衝突又は異音の発生を確実に防止することができる。
また、第2の本発明において、例えば対物レンズをノントラッキング記録領域方向に変位させた状態で上記光学ヘッドを移送するようにすれば、光学ヘッドの停止位置とメカデッキ側の規制位置との間隔を、対物レンズを変位させない場合と比較してより多く得ることができ、上記のような衝突又は異音の発生をより確実に防止することができる。
さらに、上記のようにして光学ヘッドの停止位置とメカデッキ側の規制位置との間隔をより多く得ることができれば、光学ヘッドシャーシのサイズ的なマージンを稼ぐことができ、例えばノントラッキング記録領域読み出しのために光学ヘッドシャーシを小型化する等の必要はなくなって、このようなメカ構造的な制限によって装置製造コストが増大化してしまうことを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。

1.記録再生装置の構成及びディスク
2.BCAアクセス時の問題
3.第1の実施の形態
4.第2の実施の形態
1.記録再生装置の構成及びディスク

図1は、本発明における実施の形態の再生装置としての、記録再生装置1の内部構成例について示したブロック図である。
この実施の形態としての記録再生装置1は、一例として、磁界変調方式でデータ記録が行われる光磁気ディスクであるミニディスク(MD)方式のディスクに対する記録再生装置とする。但し、既に普及している音楽用途のミニディスクのみではなく、より高密度記録を可能とし、コンピュータユースの各種データのストレージに利用できる高密度ディスク(次世代ディスクとも言う)についても対応可能な記録再生装置である。
また、本例の記録再生装置1としては、例えばパーソナルコンピュータ(或いはネットワーク)50等の外部の機器との間でデータ通信可能な機器とされる。
例えば記録再生装置1は、パーソナルコンピュータ50とUSBケーブル等の伝送路51で接続されることで、パーソナルコンピュータ50に対する外部ストレージ機器として機能できる。また、パーソナルコンピュータ50を介したり、或いは直接ネットワークと接続できる機能を備えるなどしてネットワーク接続されることで、音楽や各種データをダウンロードし、記録再生装置1においてストレージ部2に装填されたディスクに保存できるものともなる。
一方、この記録再生装置1はパーソナルコンピュータ50等に接続しなくとも、例えばオーディオ機器として機能する。例えば他のオーディオ機器等から入力された音楽データをディスクに記録したり、ディスクに記録された音楽データ等を再生出力することができる。
即ち本例の記録再生装置1は、パーソナルコンピュータ50等に接続されることで汎用的なデータストレージ機器として利用でき、かつ単体ではオーディオ記録再生機器としても利用できる装置である。
ここで、本例の記録再生装置1の構成の説明に先立って、記録再生装置1が対応する、光磁気記録による次世代ディスクの概要について説明しておく。
先ず、このような次世代ディスクとしては、現行のパーソナルコンピュータとの親和性が図れるように、ファイル管理システムとしてFAT(File Allocation Table)システムを使って、オーディオデータのようなコンテンツデータを記録再生するものである。
また、現行のMDシステムに対して、エラー訂正方式や変調方式等の改善を行うことで、データの記録容量の増大を図るとともにデータの信頼性を高めているものである。
次世代ディスクの記録再生のフォーマットとしては、現在2種類の仕様が開発されている。説明上、これらを第1の次世代MD、第2の次世代MDと呼ぶこととする。
第1の次世代MDは、現行のMDシステムで用いられているディスクと全く同様のディスクを用いるようにした仕様であり、第2の次世代MDは、現行のMDシステムで用いられているディスクと外形は同様であるが、磁気超解像度(MSR)技術を使うことにより、線記録方向の記録密度を上げて、記録容量をより増大した仕様である。
現行のMDシステム(オーディオ用MDやMD−DATA)では、カートリッジに収納された直径64mmの光磁気ディスクが記録媒体として用いられている。ディスクの厚みは1.2mmであり、その中央に11mmの径のセンターホールが設けられている。カートリッジの形状は、長さ68mm、幅72mm、厚さ5mmである。
第1,第2の次世代MDの仕様でも、これらディスクの形状やカートリッジの形状は、全て同じである。つまり、従来のMDシステムとの外形上での互換性が確保されている。
トラックピッチについては、第2の次世代MDでは、1.2μmから1.3μm(例えば1.25μm)とすることが検討されている。これに対して、現行のMDシステムのディスクを流用する第1の次世代MDでは、トラックピッチは1.6μmとされている。ビット長は、第1の次世代MDが0.44μm/ビットとされ、第2の次世代MDが0.16μm/ビットとされる。冗長度は、第1,第2の次世代MDともに、20.50%である。
第2の次世代MD仕様のディスクでは、磁気超解像技術を使うことにより、線密度方向の記録容量を向上するようにしている。磁気超解像技術は、所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層に転写されていた磁壁が転写されることで、微少なマークがビームスポットの中に見えるようになることを利用したものである。
具体的に、第2の次世代MD仕様のディスクでは、透明基板上に、少なくとも情報を記録する記録層となる磁性層と、切断層と、情報再生用の磁性層とが積層される。切断層は、交換結合力調整用層となる。所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層に転写されていた磁壁が再生用の磁性層に転写される。これにより、微少なマークがビームスポットの中に見えるようになる。なお、記録時には、レーザパルス磁界変調技術を使うことで、微少なマークを生成することができる。
また、第2の次世代MD仕様のディスクでは、デトラックマージン、ランドからのクロストーク、ウォブル信号のクロストーク、フォーカスの漏れを改善するために、グルーブを深くし、グルーブの傾斜を鋭くしている。即ち第2の次世代MD仕様のディスクでは、グルーブの深さは例えば160nmから180nmであり、グルーブの傾斜は例えば60度から70度であり、グルーブの幅は例えば600nmから700nmである。
光学的仕様については、第1の次世代MDの仕様では、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの対物レンズの開口率NAが0.45とされている。第2の次世代MDの仕様も同様に、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの開口率NAが0.45とされている。
また、記録方式としては、第1,第2の次世代MDとも、グルーブ記録方式が採用されている。つまり、グルーブ(ディスクの盤面上の溝)をトラックとして記録再生に用いるようにしている。
さらに、エラー訂正符号化方式としては、現行のMDシステムでは、ACIRC(Advanced Cross Interleave Reed-Solomon Code) による畳み込み符号が用いられていたが、第1,第2の次世代MDの仕様では、RS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)とBIS(Burst Indicator Subcode)とを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられている。
ブロック完結型のエラー訂正符号を採用することにより、リンキングセクタが不要になる。LDCとBISとを組み合わせたエラー訂正方式では、バーストエラーが発生したときに、BISによりエラーロケーションが検出できる。このエラーロケーションを使って、LDCコードにより、イレージャ訂正を行うことができる。
アドレス方式としては、シングルスパイラルによるグルーブを形成したうえで、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブルを形成したウォブルドグルーブ方式が採用されている。このようなアドレス方式は、ADIP(Address in Pregroove)と呼ばれている。
ADIPの仕様については、現行のMDシステムと同様であるが、現行のMDシステムでは、2352バイトからなるセクタを記録再生のアクセス単位としているのに対して、第1,第2の次世代MDの仕様では、64Kバイトを記録再生のアクセス単位(レコーディングブロック)としている。
また、現行のMDシステムでは、エラー訂正符号としてACIRCと呼ばれる畳み込み符号が用いられているのに対して、第1,第2の次世代MDの仕様では、LDCとBISとを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられている。
そこで、現行のMDシステムのディスクを流用する第1の次世代MDの仕様では、ADIP信号の扱いを、現行のMDシステムのときとは異なるようにしている。また、第2の次世代MDでは、第2の次世代MDの仕様により合致するように、ADIP信号の仕様に変更を加えている。
変調方式については、現行のMDシステムでは、EFM(8 to 14 Modulation)が用いられているのに対して、第1,第2の次世代MDの仕様では、RLL(1,7)PP(RLL;Run Length Limited ,PP;Parity Preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))(以下、1−7pp変調と称する)が採用されている。また、データの検出方式は、第1の次世代MDではパーシャルレスポンスPR(1,2,1)MLを用い、第2の次世代MDではパーシャルレスポンスPR(1,−1)MLを用いたビタビ復号方式とされている。
また、ディスク駆動方式はCLV(Constant Linear Verocity)で、その線速度は、第1の次世代MDの仕様では、2.7m/秒とされ、第2の次世代MDの仕様では、1.98m/秒とされる。なお、現行のMDシステムの仕様では、60分ディスクで1.2m/秒、74分ディスクで1.4m/秒とされている。
現行のMDシステムで用いられるディスクをそのまま流用する第1の次世代MDの仕様では、ディスク1枚当たりのデータ総記録容量は約300Mバイト(80分ディスクを用いた場合)になる。変調方式がEFM変調から1−7pp変調とされることで、ウィンドウマージンが0.5から0.666となり、この点で、1.33倍の高密度化が実現できる。
また、エラー訂正方式として、ACIRC方式からBISとLDCを組み合わせたものとしたことで、データ効率が上がり、この点で、1.48倍の高密度化が実現できる。総合的には、全く同様のディスクを使って、現行のMDシステムに比べて、約2倍のデータ容量が実現されたことになる。
これに対し磁気超解像度を利用した第2の次世代MDの仕様のディスクでは、更に線密度方向の高密度化が図られ、データ総記録容量は、約1Gバイトになる。
なお、データレートは第1の次世代MDでは4.4Mビット/秒であり、第2の次世代MDでは、9.8Mビット/秒である。
図2(a)には、第1の次世代MDのディスクの構成が示されている。
第1の次世代MDのディスクは、現行のMDシステムのディスクをそのまま流用したものである。すなわち、透明のポリカーボネート基板上に、誘電体膜と、磁性膜と、誘電体膜と、反射膜とを積層して構成される。更に、その上に保護膜が積層される。
第1の次世代MDのディスクでは、この図2(a)に示すようにディスクの内周のリードイン領域に、P−TOC(プリマスタードTOC(Table Of Contents))領域が設けられる。ここは、物理的な構造としてはプリマスタード領域となり、エンボスピットによりコントロール情報等がP−TOC情報として記録されていることになる。
そして、このようにP−TOC領域が設けられるさらに内周側には、BCA(Burst Cutting Area)と呼ばれる、読み出し専用のデータが記録される領域が設けられる。
このBCAは、例えばミラー面により形成され、そこにはディスク円周方向に沿ってバーコード状の縞模様が形成されており、このバーコードにより所定内容の情報が記録されている。本例の場合、このBCAにはディスクごとに固有となるようにされた識別子(ディスクID、ユニークID)を記録するものとしている。
また、P−TOC領域が設けられるリードイン領域の外周は、レコーダブル領域(光磁気記録可能な領域)とされ、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域の内周には、U−TOC(ユーザーTOC)が設けられる。
この場合のU−TOCは、現行のMDシステムでディスクの管理情報を記録するために用いられているU−TOCと同様の構成のものである。確認のために述べておくと、U−TOCは、現行のMDシステムにおいては、トラック(オーディオトラック/データトラック)の曲順、記録、消去などに応じて書き換えられる管理情報であり、各トラック(トラックを構成するパーツ)について、開始位置、終了位置や、モードを管理するものである。
また、U−TOCの外周には、アラートトラックが設けられる。アラートトラックは、このディスクが第1の次世代MD方式で使用され、現行のMDシステムのプレーヤでは再生できないことを示す警告音が記録された警告トラックである。
図2(b)には、第1の次世代MDの仕様のディスクのレコーダブル領域の構成を示している。
この図2(b)に示されるように、レコーダブル領域の先頭(内周側)には、U−TOCおよびアラートトラックが設けられる。U−TOCおよびアラートトラックが含まれる領域は、現行のMDシステムのプレーヤでも再生できるように、EFMでデータが変調されて記録される。
そして、このEFM変調でデータが変調されて記録される領域の外周には、次世代MD1方式の1−7pp変調によりデータが変調されて記録される領域が設けられる。EFM変調によりデータが変調されて記録される領域と、1−7pp変調によりデータが変調されて記録される領域との間は所定の距離の間だけ離間されており、ガードバンドが設けられている。
このようなガードバンドが設けられるため、現行のMDプレーヤに第1の次世代MDの仕様のディスクが装着されて、不具合が発生されることが防止される。
1−7pp変調によりデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT(Disc Description Table)領域と、セキュアトラックが設けられる。DDT領域には、物理的に欠陥のあるセクタ(レコーディングブロック)に対する交替セクタ処理をするために設けられる。
DDT領域には、さらに、ユニークID(UID)が記録される。UIDは、記録媒体毎に固有の識別コードであって、例えば所定に発生された乱数に基づく。
セキュアトラックは、コンテンツの保護を図るための情報が格納される。
さらに、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT(File Allocation Table)領域が設けられる。このFAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。
FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。FATシステムは、ルートにあるファイルやディレクトリのエントリポイントを示すディレクトリと、FATクラスタの連結情報が記述されたFATテーブルとを用いて、FATチェーンによりファイル管理を行うものである。
このような第1の次世代MDの仕様のディスクにおいて、上記したU−TOC領域には、アラートトラックの開始位置の情報と、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の開始位置の情報が記録されるものとなる。
ここで、現行のMDシステムのプレーヤに、上記構成による第1の次世代MDのディスクが装着されると、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から、アラートトラックの位置が分かり、アラートトラックがアクセスされ、アラートトラックの再生が開始される。アラートトラックには、このディスクが第1の次世代MD方式で使用され、現行のMDシステムのプレーヤでは再生できないことを示す警告音が記録されている。
この警告音から、このディスクが現行のMDシステムのプレーヤでは使用できないことが通知される。
なお、この場合の警告音としては、「このプレーヤでは使用できません」というような言語による警告とすることができる。勿論、ブザー音とするようにしても良い。
一方、第1の次世代MDに準拠したプレーヤに対し、第1の次世代MDのディスクが装着された場合、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から1−7pp変調でデータが記録された領域の開始位置が分かり、上記したDDT、セキュアトラック、FAT領域が読み取られる。上述のように1−7pp変調のデータの領域では、U−TOCではなくFATシステムによるデータ管理が行われる。
続いて図3(a)には、第2の次世代MDのディスクの構成を示す。
この場合もディスクは、透明のポリカーボネート基板上に誘電体膜、磁性膜、誘電体膜、反射膜、さらにその上層に保護膜を積層して成る。
そして、第2の次世代MDのディスクの場合では、図示するようにディスクの内周のリードイン領域には、ADIP信号によりコントロール情報等が記録される、P−TOP(プリマスタードTOP(Table Of Parameter))領域が形成される。すなわち、第2の次世代MDのディスクでは、リードイン領域にはP−TOPとしてADIP信号によりコントロール情報が記録されているものである。
このP−TOP領域より内周側には、この場合もBCAが設けられる。この場合のBCAとしてもミラー面によりに形成されて、第1の次世代MDの場合と同様にバーコードによりディスクIDが記録される。
さらに、リードイン領域としての上記P−TOPの外周から、この場合もレコーダブル領域が開始され、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域には、1−7pp変調方式によりデータが変調されて記録される。
或るディスクが第1の次世代MD1であるか第2の次世代MDであるかは、例えば、リードインの情報から判断できる。
すなわち、リードインにエンボスピットによるP−TOCが検出されれば、現行のMDまたは第1の次世代MDのディスクであると判断できる。リードインにADIP信号によるコントロール情報が検出され、エンボスピットによるP−TOCが検出されなければ、第2の次世代MDであると判断できる。
なお、第1、第2の次世代MDの判別は、このような方法に限定されるものではない。オントラックのときとオフトラックのときとのトラッキングエラー信号の位相から判別することも可能である。勿論、カートリッジ等にディスク識別用の検出孔等を設けるようにしても良い。
第2の次世代MDの仕様のディスクのレコーダブル領域の構成としては、図3(b)に示すように、全て1−7pp変調方式によりデータが変調されて記録される領域が形成される。そして、この1−7pp変調方式によりデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT領域と、セキュアトラックが設けられる。
この場合も上記DDT領域には、物理的に欠陥のあるセクタ(レコーディングブロック)に対する交替セクタ処理を行うための領域とされる。またDDT領域には、上述したUIDが記録される。さらにセキュアトラックには、この場合もコンテンツの保護を図るための情報が格納される。
また、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT領域が設けられる。FAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。
そして、このような第2の次世代MDのディスクにおいては、図からもわかるようにU−TOC領域は設けられていない。つまり、第2の次世代MDのディスクについては、次世代MDに準拠したプレーヤのみでの使用が想定されているものである。
次世代MDに準拠したプレーヤでは、第2の次世代MDのディスクが装着されると、所定の位置にあるDDT、セキュアトラック、FAT領域が読み取られ、FATシステムを使ってデータの管理が行われることになる。
これまでに説明してきたような次世代ディスクに対応するために、図1に示す本例の記録再生装置1では、ストレージ部2として、図4に示す構成のストレージ部を備えて、コンテンツデータの記録・再生を行うものとされる。
図4において、このストレージ部2では、装填されたディスク40をスピンドルモータ29によってCLV方式で回転駆動させる。そして、このディスク40に対しては記録/再生時に光学ヘッド19によってレーザ光が照射される。
なお、この場合、ディスク40としては、現行のMD仕様のディスクと、第1の次世代MDの仕様のディスクと、第2の次世代MDの仕様のディスクとが装着される可能性があることから、これらのディスクにより線速度が異なるものとなる。
このため、スピンドルモータ29は、装填されたディスク40の別に応じた異なる線速度に対応して回転されることになる。
光学ヘッド19は、記録時には記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド19には、図示は省略するがレーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系、及び反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。光学ヘッド19に備えられる対物レンズとしては、例えば二軸機構によってディスク半径方向(トラッキング方向)及びディスクに接離する方向(フォーカス方向)に変位可能に保持されている。
また、ディスク40を挟んで光学ヘッド19と対向する位置には磁気ヘッド18が配置されている。磁気ヘッド18は記録データによって変調された磁界をディスク40に印加する動作を行う。
また、図示しないが光学ヘッド19全体及び磁気ヘッド18をディスク半径方向に移動させるためスレッドモータ及びスレッド機構が備えられている。
光学ヘッド19および磁気ヘッド18は、第2の次世代MDのディスクの場合には、パルス駆動磁界変調を行うことで、微少なマークを形成することができる。現行MDのディスクや、第1の次世代MDのディスクの場合には、磁界変調方式とされる。
また、このストレージ部2では、光学ヘッド19、磁気ヘッド18による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ29によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。
記録処理系では、現行のMDシステムのディスクの場合において、オーディオトラックの記録時に、ACIRCでエラー訂正符号化を行い、EFMで変調してデータを記録する部位と、第1,第2の次世代MDの場合に、BISとLDCを組み合わせた方式でエラー訂正符号化を行い、1−7pp変調により変調して記録する部位が設けられる。
再生処理系では、現行のMDシステムのディスクの再生時に、EFMの復調とACIRCによるエラー訂正処理と、第1,第2の次世代MDシステムのディスクの再生時に、パーシャルレスポンスおよびビタビ復号を用いたデータ検出に基づく1−7pp復調と、BISとLDCによるエラー訂正処理とを行う部位が設けられる。
また、現行のMDシステムや第1の次世代MDのADIP信号よるアドレスをデコードする部位と、第2の次世代MDのADIP信号をデコードする部位とが設けられる。
また、第1の次世代MD及び第2の次世代MDの際の、BCAデータの再生系も備えられる。
光学ヘッド19のディスク40に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ21に供給される。
RFアンプ21では入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク40にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
現行のMDシステムのディスクを再生するときには、RFアンプで得られた再生RF信号は、EFM復調部24およびACIRCデコーダ25で処理される。
すなわち再生RF信号は、EFM復調部24で2値化されてEFM信号列とされた後、EFM復調され、更にACIRCデコーダ25で誤り訂正およびデインターリーブ処理される。つまりこの時点でATRAC圧縮データの状態となる。
そして現行のMDシステムのディスクの再生時には、セレクタ26はB接点側が選択されており、その復調されたATRAC圧縮データがディスク40からの再生データとして出力される。
一方、第1,第2の次世代MDのディスクを再生するときには、RFアンプ21で得られた再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22およびRS−LDCデコーダ25で処理される。すなわち再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22において、PR(1,2,1)MLまたはPR(1,−1)MLおよびビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。そして更にRS−LDCデコーダ23で誤り訂正、及びデインターリーブ処理される。
そして、第1,第2の次世代MDのディスクの再生時には、セレクタ26はA接点側が選択されており、その復調されたデータがディスク40からの再生データとして出力される。
また、この場合、第1,第2の次世代MDのディスクにおけるBCAに記録されたデータを再生する系として、上記RFアンプ21からの再生RF信号は、図示するBCAデコーダ31に対して供給される。BCAデコーダ31では、このように供給される再生RF信号に対しBCAにおける記録変調方式に応じた復調処理を行い、これを図示するシステムコントローラ8(図1にも示される)に対して供給する。システムコントローラ8は、このようにBCAデコーダ31から供給される信号に基づいてBCAに記録されるデータの内容を認識することができる。
RFアンプ21から出力されるトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号はサーボ回路27に供給され、グルーブ情報はADIP復調部30に供給される。
ADIP復調部30は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIP信号を復調する。
そして、このように復調された、ディスク上の絶対アドレス情報であるADIPアドレスは、図示するようにシステムコントローラ8に供給される。システムコントローラ8ではADIPアドレスに基づいて所要の制御処理を実行する。
またグルーブ情報はスピンドルサーボ制御のためにサーボ回路27に供給される。
サーボ回路27は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、CLVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。
またサーボ回路27は、スピンドルエラー信号や、RFアンプ21から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、あるいはシステムコントローラ8からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ28に対して出力する。すなわち上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
また、本例の場合は、システムコントローラ8からの指令に基づき、後述するようなBCAへのアクセスのための制御も行う。
モータドライバ28では、サーボ回路27から供給されたサーボ制御信号に基づいて所要のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、二軸機構を駆動する二軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ29を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。
このようなサーボドライブ信号により、ディスク40に対するフォーカス制御、トラッキング制御、およびスピンドルモータ29に対するCLV制御が行われることになる。
現行のMDシステムのディスクでオーディオデータを記録するときには、セレクタ16がB接点に接続され、したがってACIRCエンコーダ14およびEFM変調部15が機能することになる。
この場合、記録データとして図1に示されるキャッシュメモリ3から供給される圧縮データは、ACIRCエンコーダ14でインターリーブおよびエラー訂正コード付加が行われた後、EFM変調部15でEFM変調が行われる。
そして、EFM変調データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク40に対してEFM変調データに基づいた磁界印加を行うことでオーディオトラックの記録が行われる。
これに対し、第1の次世代MDまたは第2の次世代MD2にデータを記録する時には、セレクタ16がA接点に接続され、RS−LDCエンコーダ12およびRLL(1−7)PP変調部13が機能することになる。この場合、キャッシュメモリ3からの高密度データは、RS−LDCエンコーダ12でインターリーブおよびRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部13でRLL(1−7)変調が行われる。
そして、RLL(1−7)符号列としての記録データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク40に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータトラックの記録が行われる。
レーザドライバ/APC20は、上記のような再生時および記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Lazer Power Control)動作も行う。
つまり、図示していないが、光学ヘッド19内にはレーザパワーモニタ用のディテクタが設けられ、そのモニタ信号がレーザドライバ/APC20にフィードバックされる。レーザドライバ/APC20は、モニタ信号として得られる現在のレーザパワーを、設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることで、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが、設定値で安定するように制御している。
なお、レーザパワーとしては、再生レーザパワー、記録レーザパワーとしての値がシステムコントローラ8によって、レーザドライバ/APC20内部のレジスタにセットされる。
以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)は、図1にも示されるシステムコントローラ8からの指示に基づいて実行されるものとなる。
説明を図1に戻し、本例の記録再生装置1内部の全体構成について説明する。
図1において、キャッシュメモリ3は、上記構成によるストレージ部2によりディスク40に記録するデータ、或いはストレージ部2によってディスク40から読み出されたデータについてのバッファリングを行うキャッシュメモリであり、例えばD−RAMより構成される。
キャッシュメモリ3へのデータの書込/読出は、システムコントローラ(CPU)8において起動されるタスクによって制御される。
USBインタフェース4は、例えばパーソナルコンピュータ50とUSBケーブルとしての伝送路51で接続された際の、データ伝送のための処理を行う。
入出力処理部5は、例えば記録再生装置1が単体でオーディオ機器として機能する場合に記録再生データの入出力のための処理を行う。
この入出力処理部5は、例えば入力系として、ライン入力回路/マイクロホン入力回路等のアナログ音声信号入力部、A/D変換器や、デジタルオーディオデータ入力部を備える。またATRAC圧縮エンコーダ/デコーダを備える。ATRAC圧縮エンコーダ/デコーダは、ATRAC方式によるオーディオデータの圧縮/伸長処理を実行するための回路である。なお、もちろんのこと、本実施の形態の記録再生装置としては、例えばMP3などの他のフォーマットによるオーディオデータが記録再生可能な構成を採ってもよく、この場合には、これらのオーディオデータのフォーマットに対応したエンコーダ/デコーダを備える等、適宜の構成の変更が可能である。
また、本実施の形態としては、ビデオデータに関しては特に記録再生可能なフォーマットの限定は行わないが、例えばMPEG4などが考えられる。そして、入出力処理部5としては、このようなフォーマットに対応したエンコーダ/デコーダを備えればよいこととなる。
さらに入出力処理部5は、出力系として、デジタルオーディオデータ出力部や、D/A変換器及びライン出力回路/ヘッドホン出力回路等のアナログ音声信号出力部を備える。
そして、この場合の入出力処理部5内には、暗号処理部(図示せず)が備えられる。暗号処理部においては、例えばディスクに記録すべきAVデータについて、所定のアルゴリズムによる暗号化処理を施すようにされる。また、例えばディスクから読み出されたAVデータについて暗号化が施されている場合には、必要に応じて暗号解読のための復号処理を実行するようにもされている。
入出力処理部5を介した処理として、ディスクにオーディオデータが記録されるのは、例えば入力TINとして入出力処理部5にデジタルオーディオデータ(又はアナログ音声信号)が入力される場合である。入力されたリニアPCMデジタルオーディオデータ、或いはアナログ音声信号で入力されA/D変換器で変換されて得られたリニアPCMオーディオデータは、必要に応じてATRAC圧縮エンコードされてキャッシュメモリ3に蓄積される。そして所定タイミング(ADIPクラスタ相当のデータ単位)でキャッシュメモリ3から読み出されてストレージ部2に転送される。ストレージ部2では、転送されてくる圧縮データを所定の変調方式で変調してディスクに記録する。
ディスクからミニディスク方式のオーディオデータが再生される場合は、ストレージ部2は再生データをATRAC圧縮データ状態に復調してキャッシュメモリ3に転送する。そしてキャッシュメモリ3から読み出されて入出力処理部5に転送される。入出力処理部5は、供給されてくる圧縮オーディオデータに対してATRAC圧縮デコードを行ってリニアPCMオーディオデータとし、デジタルオーディオデータ出力部から出力する。或いはD/A変換器によりアナログ音声信号としてライン出力/ヘッドホン出力を行う。
システムコントローラ8は、記録再生装置1内の全体の制御を行うと共に、接続されたパーソナルコンピュータ50との間の通信制御を行う。
図示するROM8aには、システムコントローラ8の動作プログラムや固定パラメータ等が記憶される。
またRAM8bは、システムコントローラ8によるワーク領域として用いられ、また各種必要な情報の格納領域とされる。
例えばストレージ部2によってディスク40から読み出された各種管理情報や特殊情報、例えば上述したP−TOCデータ、U−TOCデータ、FATデータ等、楽曲トラックの管理情報については、キャッシュメモリ3に取り込まれるが、システムコントローラ8は、それらの管理情報の内、必要な情報をRAM8bに取り込んで処理することが行われる。
キャッシュ管理メモリ9は、例えばS−RAMで構成され、キャッシュメモリ3の状態を管理する情報が格納される。システムコントローラ8はキャッシュ管理メモリ9を参照しながらデータキャッシュ処理の制御を行う。
表示部6は、システムコントローラ8の制御に基づいて、ユーザに対して提示すべき各種情報の表示を行う。例えば動作状態、モード状態、楽曲等の名称などの文字データ、トラックナンバー、時間情報、その他の情報表示を行う。
また、例えばディスク40が次世代ディスクである場合には、このディスク40に対し楽曲データに対応づけて画像データが記憶されていることが想定されているが、表示部6は、ディスク40のロード時や再生時等においてシステムコントローラ8の制御に基づき、このように対応づけられた画像データの表示を行うようにすることも考えられる。
操作部7には、ユーザの操作のための各種操作子として、各種操作ボタンやジョグダイヤルなどが形成される。ユーザは、この操作部7に対する操作により記録再生装置1に対する所要の動作指示を行う。システムコントローラ8は操作部7によって入力された操作情報に基づいて所定の制御処理を行う。
なお、これまでに説明した記録再生装置1の構成はあくまでも一例であり、例えば入出力処理部5は、オーディオデータだけでなく、ビデオデータに対応する入出力処理系を備えるようにしてもよい。
また、パーソナルコンピュータ50との接続はUSBでなく、IEEE1394等の他の外部インタフェースが用いられても良い。
また、操作部7としては、リモートコントローラ上に先に例示したものと同様の操作子を備えるようにすることも可能である。
2.BCAアクセス時の問題

上記構成による記録再生装置1において、装填されたディスク40が第1の次世代MD、又は第2の次世代MDである場合は、先の図2(a)、図3(a)にも示したようにして、それぞれリードインとしてのP−TOC、P−TOPよりもさらに内周側の領域に、BCAが形成されていることになる。
ここで、確認のために、このようなBCAを含むディスク40の最内周付近に光学ヘッド19のシャーシが位置しているときの様子を、次の図5を用いて説明しておく。なお、この図5では、光学ヘッド19の位置とディスク40上に形成される各領域との関係を模式的に示している。
先ず、この図では、先の図4にて説明した光学ヘッド19のシャーシが、当該記録再生装置1のメカデッキ側における最内周規制位置Iと接している状態を示している。すなわち、この図に示される状態が、光学ヘッド19がスレッド移動によりディスク40内周方向に最大に移動している状態となる。
図示は省略しているが、この場合のメカデッキ側には、このように光学ヘッド19のシャーシ位置を最内周側にて規制するための機構が備えられており、この機構によって光学ヘッド19のシャーシが上記最内規制位置Iよりもさらに内周側に移動されてしまうことが防止されている。
また、この場合、上記光学ヘッド19のシャーシが最内周規制位置Iにおいてメカデッキ側と接触した状態から、スレッド機構によりなお内周側に移動させようとする力が加わった場合に、その力を逃がして光学ヘッド19とメカデッキ側との衝突の防止を図る、衝突防止機構が備えられる。本例の場合、このような衝突防止機構としては所謂ラックばねと呼ばれる機構を採用している。
またこの図において、図示するターンテーブル29aは、先の図4に示したスピンドルモータ29により回転駆動される。このターンテーブル29aは、その外周面においてディスク40のセンターホールを嵌合し、これによってディスク40を回転させる。そして、このようにディスク40が嵌合されたとき、ディスク40の中心はターンテーブル29a上の図のような位置となる。
また、図示するビームスポット19aは、光学ヘッド19に備えられる対物レンズを介してディスク記録面上に照射されるレーザビームのビームスポットを示している。そして、ここでのビームスポット19aの位置は、二軸機構により対物レンズがニュートラルな位置で保持されるときの位置を示している。このような位置を光学視野センターOCとする。
さらに、ビームスポット19aは、光学視野センターOCを中心として、二軸機構の動作による対物レンズの変位に伴って図示する最大視野振り量Eだけ変位可能とされる。つまり、ビームスポット19aは、光学視野センターOCを中心として上記最大視野振り量Eだけディスク40の内周及び外周方向にシフト可能とされている。このようなビームスポット19aの可動範囲を、図示するように光学視野範囲19bとする。
なお、実施の形態の場合、BCAの最外周端は、第1の次世代MD、第2の次世代MDの場合で共に、図示するようにディスク中心から例えば15.65mmの位置に設定されている。
また、上記した最大視野振り量Eとしては例えば0.2mmが設定されている。
ここで、実施の形態において、光学ヘッド19のシャーシがメカデッキ側と最内周規制位置Iにて接触している状態では、少なくとも図のように光学視野範囲19bの一部又は全部が、BCAの領域内に在るようにされることを前提する。つまり、この条件が満たされない場合は、物理的にBCAに記録されるデータを読み出すことができないからである。
ところで、図示するBCAとしては、先にも説明したようにバーコードにより情報が記録されているものであるから、フォーカスオンの状態でビームスポット19aがBCA内に在るようにされれば、そこに記録される情報を読み出すことができる。つまり、この場合はトラッキングサーボ制御によって正確にトラックをトレースせずにデータの読み出しを行うことができる(ノントラッキング方式)。
しかしながらこのことは、例えばレコーダブル領域のようにトラックによる記録が行われてはいないということであるから、BCAへのアクセスはトラック単位により精度よく行うことができず、スレッド移動のみで行うことになる。
スレッド移動としては、例えばスレッド機構において光学ヘッド19をディスク半径方向に移送するためのリードスクリューの遊び等により、設定された目標移動量に対して誤差が生じることが知られている。
このため、上記のようにしてスレッド移動によりBCAにアクセスを行った場合は、このような移動誤差により光学ヘッド19の実際のスレッド移動量が過剰となった場合に、メカデッキ側と最内周規制位置Iにおいて接触してもなお内周方向へ移動しようとする力が加わってしまうことになる。
この際、実施の形態の場合のように、所謂ラックばねと呼ばれるような衝突防止機構が備えられる場合は、光学ヘッド19を最内周規制位置Iからさらに内周側に移動させようとする力が加わることは防止され、光学ヘッド19とメカデッキとの衝突は防止される。但し、このように衝突防止機構が働くことによっては、例えばラックばねが跳ねるなどの異音が生じ、これによって記録再生装置1の商品性を低下させてしまうといった問題が生じる。
この場合、スレッド移動の誤差は、その移動距離が長いほど大きくなる傾向となるので、例えばBCAアクセス前の光学ヘッド19の位置が外周側であるほど、上記のような異音を招く可能性が高くなる。
3.第1の実施の形態

そこで、本発明の第1の実施の形態としては、BCAの読み出し時において単なるスレッド移動のみによってアクセスを行うのではなく、次の図6に示すような動作によりBCAへのアクセスを行うものとしている。
なお、この図6では、第1の実施の形態としての動作に伴う光学ヘッド19の移動の様子として、図5に示した光学視野範囲19bの移動の様子のみを示している。またこの図としても、このような光学視野範囲19bとディスク40上の各領域との位置関係を模式的に示すものである。
図6において、第1の実施の形態としてのアクセス動作としては、例えばBCAについての読み出し指示が発生することに応じて、先ずは図中(1)と示すようにしてBCAに隣接するP−TOC、又はP−TOPエリア内の所定アドレスにアクセスを行うものとしている。
つまり、ディスク40が第1の次世代MDである場合は、予め設定されたP−TOC内の所定アドレスに、また、第2の次世代MDである場合は予め設定されたP−TOP内の所定アドレスに対してアクセスを行うものである。
P−TOCエリア、及びP−TOPエリアとしては、先の図2、図3の説明からも理解されるようにトラックが形成されてトラッキング方式によりデータが記録される領域であることから、上記所定アドレスに精度良くアクセスすることができる。
そして、これらP−TOCエリア及びP−TOPエリアとしては、BCAに隣接する領域であることから、このときのBCAアクセスのためのスレッド移動量は、極力小さなものとすることができる。つまり、スレッド移動量が多いほど移動誤差量が増大する条件の下では、このときのスレッド移動誤差は極力小さなものとすることができ、これによって光学ヘッド19が内周方向に移動し過ぎて衝突防止機構が動作したときの異音が生じる可能性を、より低くすることができるものである。
但し、このような動作のみでは、衝突防止機構による異音が生じる可能性は低下できるものの、これらの完全な防止が図られるものではない。
このために第1の実施の形態としては、上記した図6(1)の動作としてBCAに隣接するP−TOPエリア又はP−TOPエリアにアクセスした後に、同図中(2)により示される動作として、スレッド移動誤差量を考慮した適正目標移動量L2の設定に基づき、BCAにアクセスするものとしている。
このようなスレッド移動誤差量を考慮した適正目標移動量L2の設定について、次の図7を用いて説明する。
図7は、先の図5と同様に光学ヘッド19とディスク40上に形成される各領域との位置関係を模式的に示すものであり、この場合は図6(1)の動作によってP−TOC又はP−TOPエリアにアクセスが行われた場合の位置関係を例示している。
図7において、先の図6(1)の動作によって、P−TOC又はP−TOPエリアにアクセスが行われた場合には、光学ヘッド19におけるビームスポット19aは、図示するようにP−TOC又はP−TOPエリア内の所定位置にオントラックしていることになる。そして、光学ヘッド19のシャーシ位置は、このときのビームスポット19aの位置に対応した図のような位置となる。
このようなP−TOC又はP−TOPエリアにアクセスした状態において、BCAにスレッド移動して確実にデータを読むとした場合には、例えば図示する最内周規制位置Iへの移動量としての、目標移動量L1を基準の移動量として据えることが考えられる。
すなわち、このような最内周規制位置Iへの目標移動量L1に基づいてスレッド移動を行えば、先の図5に示したような位置に光学ヘッド19を移動させることができるので、ビームスポット19aを確実にBCA内に位置させて確実にBCA内のデータの読み出しを行うことができる。
しかしながら、このような目標移動量L1によっては、ビームスポット19aを確実にBCA内に位置させることは可能となるものの、移動誤差が生じて移動量が多くなった場合に、先に説明したようにして衝突防止機構による異音の発生を招くことになる。
この際、上記のような目標移動量L1によっては、スレッド移動誤差量が最小である場合に、図示する最小移動量C1だけ移動が行われる。つまり、誤差が最小であることから、この場合の実際の光学ヘッド19の移動量としては目標移動量L1と同等の移動量が得られるものである。
これに対し、誤差が最大となった場合には、目標移動量L1よりも多い、例えば図示するような最大移動量D1が得られてしまう。すなわち、図中斜線部として示される余分な移動量が得られてしまう。
これらのことから、上記のように目標移動量L1を設定した場合、この目標移動量L1と実際に得られる移動量との誤差の最大量は、上記のような最大の誤差が生じたときの最大移動量D1から、誤差が最小となるときの最小移動量C1を差し引いた、図のような最大誤差量Gにより得られることがわかる。
第1の実施の形態では、このように目標移動量L1を設定した場合に想定される最大誤差量Gを、目標移動量L1から差し引いた値を、図示する適正目標移動量L2の値として設定するものとする。
このようにして、目標移動量L1から最大誤差量Gを差し引いた値が目標移動量として設定されれば、この場合の光学ヘッド19の実際の移動量は、図からも理解されるように目標移動量L1より多くなるようなことはなくなる。
つまり、この場合の適正目標移動量L2に基づく実際の移動量としては、最大でもこの適正目標移動量L2に最大誤差量Gが加えられたものとなることから、この適正目標移動量L2に基づく図示する最大移動量D2としては、目標移動量L1以下とすることができる。また、最小移動量C2としては、先にも説明したように誤差が最小の場合の移動量であるから、図のように適正目標移動量L2と同等の移動量が得られることになる。
なお、上記説明において、目標移動量L1としては、上記P−TOC又はP−TOPエリア内の所定アドレスから最内周規制位置Iまでの移動量として、予め割り出される所定の値を設定することができる。つまり、この場合の目標移動量L1としては、上記したP−TOC又はP−TOPエリア内の所定アドレスをアドレスAAとし、光学ヘッド19のシャーシがメカデッキ側と最内周規制位置Iにおいて接触する位置でのビームスポット19a(例えば光学視野センターOCに在るとする)のディスク上での位置(仮想アドレス)をアドレスBBとすると、
L1=AA−BB
により表される所定の固定値として得ることができる。
しかしながら、このように目標移動量L1として固定値を用いる場合は、上記所定アドレスへのアクセス(図6(1))完了時のレーザスポッ19aの位置が、必ずしも光学視野センターOCと一致しない可能性があることを考慮する必要がある(図6中「D5」参照)。
例えば、先に説明したように上記所定アドレスにトラック単位で正確にアクセスするとした場合では、スレッド移動後のトラックジャンプにより上記所定アドレスへのアクセスが可能なため、アクセス完了時の光学ヘッド19のシャーシ位置としては必ずしもアクセスごとに同じ位置とはならない。そして、このようにアクセス完了時の光学ヘッド19のシャーシ位置が必ずしもアクセスごとに同じ位置とならないことにより、上記のような固定値による目標移動量L1としては、必ずしも最内周規制位置Iへの正確な移動量とはならない可能性がある。
これによると、このような目標移動量L1を基に設定される適正目標移動量L2によるBCAへのスレッド移動が行われることによっては、光学ヘッド19の位置を期待される位置へ正確に移動させることができなくなってしまう可能性がある。
このことから第1の実施の形態では、このようなP−TOC又はP−TOPへのアクセス時におけるビームスポット19aの光学視野センターOCからの変位量(視野振り量)を用いて、上記目標移動量L1の値を補正するものとしている。すなわち、先に例示したようにアドレスBBとしてビームスポット19aが光学視野センターOCに位置するときのアドレスを想定した場合では、このようなセンターOCからのずれを考慮した目標移動量L1の設定を行えば、異音の発生をより確実に防止できるものである。
ちなみに、この場合の目標移動量L1としては、上記した所定アドレスへのアクセス完了時におけるビームスポット19aの光学視野センターOCからのずれ量を視野振り量D5とし、この視野振り量D5の値として内周方向への変位量を正の値、外周方向への変位量を負の値とした場合、
L1=AA−BB+D5
により設定するものとしている。
図6に戻り、先の(2)の動作によって、上述したように設定される適正目標移動量L2に基づくスレッド移動が行われることによっては、図6中の(3−1)又は(3−2)として示すようにして、BCAへの実際のスレッド移動が行われる。
すなわち、(3−1)は、スレッド移動誤差量が最小となる最小移動量C2により光学ヘッド19が移動された場合であり、図からもわかるようにこの場合は、設定された適正目標移動量L2と同等の移動量が得られる。
また、(3−2)は、スレッド移動誤差が最大となる最大移動量D2により光学ヘッド19が移動された場合であり、この場合は設定された適正目標移動量L2に、最大誤差量Gが加えられた移動量が得られる。つまり、ここでのスレッド移動量は、先の図7にて示した目標移動量L1と同等となり、従ってこの(3−2)として示される光学視野範囲19bの位置が、光学ヘッド19が最内周規制位置Iと接触する位置での光学視野範囲19bの位置と対応するものである。
このようにして、上記した適正目標移動量L2を設定してP−TOC又はP−TOPエリアからBCAにスレッド移動を行うことによっては、スレッド移動誤差が最大に生じた場合にも、光学ヘッド19のシャーシはメカデッキの最内周規制位置Iとは接触するものの、それ以上内周に移動する力が加わるようなことは防止される。これによって、スレッド移動誤差が最大に生じた場合にも、衝突防止機構が動作して異音が発生するといった事態が効果的に防止される。
また、衝突防止機構が備えられない場合としても、光学ヘッド19のシャーシがメカデッキ側と衝突するような事態は防止される。
ここで上記説明によれば、スレッド移動誤差が最大であった場合は、光学ヘッド19を最内周規制位置Iに位置させることができるので、図5に示した状態のようにビームスポット19aをBCA内に位置させて読み出しを行うことができる。
これに対し、例えば図6中(3−1)として示すようにして、適正目標移動量L2に基づくスレッド移動の誤差量が最小であった場合に、光学ヘッド19のシャーシやメカデッキの構造上の問題等からビームスポット19aがBCA内に位置させることができないことも考えられる。
そこで第1の実施の形態では、P−TOC又はP−TOPエリアからのBCAへのスレッド移動後において、図6(4)として示すように、ビームスポット19aを内周側に変位させるものとしている(視野内周振り)。
つまり、P−TOC又はP−TOPエリアからのBCAへのスレッド移動完了後において、二軸機構によって対物レンズを内周方向に変位させ、これによってビームスポット19aが光学視野範囲19bにおける内周側にシフトするように制御を行う。これによって、先の(2)のスレッド移動のみによっては、スレッド移動誤差が最小であった場合にBCAが読み出せない場合にも、ビームスポット19aをBCA内に位置させることができるようになる(図中(3−1)→(4)参照))。
図8には、上記説明による第1の実施の形態としてのBCAアクセス動作を実現するための処理動作について示す。
なお、この図に示される処理動作は、図1に示したシステムコントローラ8が、例えばROM8aに格納されるプログラムに従って実行するものである。
先ず、システムコントローラ8は、図示するステップS101の処理によって、BCAの読み出し指示を監視する。そして、このようなBCAの読み出し指示があった場合は、ステップS102において、P−TOC又はP−TOPエリア内の所定アドレスへのアクセスのための処理を実行する。
つまり、図4に示したサーボ回路27に対して、予め設定されたP−TOC又はP−TOPエリア内の所定アドレスを目標アドレスとして指示してアクセスを実行させる。
ステップS103においては、アクセス完了後の視野振り量D5を取得する。
すなわち、上記のような予め設定されたP−TOC又はP−TOPエリア内の所定アドレスに対するアクセス完了時における、ビームスポット19a(対物レンズ)の光学視野センターOCからの変位量を視野振り量D5として取得するものである。
このような光学ヘッド19における対物レンズの視野振り量(レンズシフト量)としては、例えばサーボ回路27からのTWppと呼ばれる視野信号に基づいて取得することができる。
続くステップS104においては、適正目標移動量L2を算出する。
先にも説明したように、このような適正目標移動量L2としては、上記したP−TOC又はP−TOPエリア内の所定アドレスから最内周規制位置Iへの基準となる移動量を目標移動量L1とし、この目標移動量L1に基づくスレッド移動を行ったときに生じ得る最大の誤差量を最大誤差量Gとした場合に、
L2=L1−G
による演算を行って求めることができる。
そしてこのとき、基準となる上記目標移動量L1としては、上記所定アドレスをアドレスAA、光学ヘッド19のシャーシがメカデッキ側と最内周規制位置Iにおいて接触する位置でのビームスポット19a(光学視野センターOCに在るとする)のディスク上での位置をアドレスBB、さらに上記所定アドレスへのアクセス完了時におけるレンズシフト量を視野振り量D5とした場合、
L1=AA−BB+D5
により設定する。
ステップS105においては、適正目標移動量L2分のスレッドムーブを実行させる。つまり、ステップS104にて算出された適正目標移動量L2をサーボ回路27に指示し、光学ヘッド19のシャーシをスレッド機構によってディスク40内周方向に移動させる。
そして、ステップS106においては、サーボ回路27を制御して光学ヘッド19によるフォーカスをオンとさせる。
続くステップS107においては、先に説明した視野内周振り動作を実行させる。つまり、サーボ回路27に対する指示を行って二軸機構により強制的に対物レンズを内周方向に所定量変位させる。
さらに、ステップS108においては、BCAリード処理を実行する。つまり、図4に示したBCAデコーダ31によるデコード出力を入力し、その内容をBCAに記録されたデータ内容として認識する。
以上のようにして第1の実施の形態の記録再生装置1では、ディスク40上のBCAに隣接するP−TOC又はP−TOPエリア内の所定のアドレスにアクセスした後に、BCAへのスレッド移動を行うものとしている。これによっては、BCAへのスレッド移動量を極力小さなものとしてスレッド移動誤差を最小限とすることができる。そして、このようにスレッド移動誤差を極力小さくすることができれば、BCAアクセス時に衝突防止機構による異音が発生する可能性を低下させることができる。
さらに、本実施の形態では、P−TOC又はP−TOPエリアへのアクセス後、スレッド移動誤差を考慮した適正目標移動量L2の設定に基づきBCAへのスレッド移動を行うものとしたから、移動誤差が最大となった場合にも、実際のスレッド移動量が最内周規制位置Iまでの移動量よりも多くなってしまうことが防止される。
すなわち、スレッド移動誤差が最大となった場合にも、実際のスレッド移動量を最内周規制位置Iまでの移動量以下とすることができる。
また、実施の形態では、上記適正目標移動量L2の設定にあたっての基準となる目標移動量L1について、P−TOC又はP−TOPエリアへのアクセス時における光学ヘッド19のシャーシ位置(ビームスポット19a(対物レンズ)の光学視野センターOCからの変位量)を考慮した値に設定していることから、上記のようなP−TOC又はP−TOPエリアへのアクセスごとに光学ヘッド19の位置にずれが生じる場合にも、正確な目標位置への移動量の算出を行うことができる。つまりこれによって、上記適正目標移動量L2に基づく実際のスレッド移動量が、より確実に最内周規制位置Iまでの移動量以下となるようにすることがことができる。
このようにして第1の実施の形態によれば、BCAへのアクセスのための実際のスレッド移動量を、確実に最内周規制位置Iまでの移動量以下とすることが可能となり、BCAアクセス時において衝突防止機構を確実に動作させないようにすることができる。そして、衝突防止機構を動作させないようにすることができれば、異音の発生を防止して記録再生装置1の商品性低下を防止することができる。
なお、第1の実施の形態において、適正目標移動量L2の設定は、上記P−TOC・P−TOPエリア内の所定アドレスからの基準の移動量である目標移動量L1の値から、最大移動誤差量Gを差し引いた値に設定するものとしたが、これに加え、さらにメカデッキや光学ヘッド19のシャーシ等のメカ的な誤差を考慮した値とすれば、このようなメカ誤差が生じている場合にも確実に衝突防止機構を動作させないようにすることができる。
例えば、図5に示した光学ヘッド19シャーシが最内周規制位置Iと接触する状態において、メカデッキ側の最内周規制位置Iを設定するための機構の取り付け位置や、光学ヘッド19のシャーシにメカ的な誤差が生じている場合には、図中「X」と示すディスク中心からビームスポット19aまでの距離にも誤差が生じるものとなるが、このような誤差を想定した場合、上記した適正目標移動量L2によっては衝突防止機構を動作させないようにすることができなくなる可能性がないとは言えない。
そこで、第1の実施の形態において、上記した適正目標移動量L2(又は目標移動量L1)としては、例えば上記のようなメカデッキの最内周規制位置Iの位置誤差、光学ヘッド19のシャーシサイズの誤差、及び光学ヘッド19における光学視野センターOCの位置誤差等を差し引いた値を設定するものとしてもよい。
このようにすれば、メカ的な誤差が生じている場合にも確実に衝突防止機構を動作させないようにすることが可能となる。
また、第1の実施の形態では、先の図6にて説明したようにして適正目標移動量L2に基づくスレッド移動を行った後、ビームスポット19aを内周側に変位させるようにしたことから、上記適正目標移動量L2によるスレッド移動誤差が最小であった場合にも、ビームスポット19aがより確実にBCA内に入るようにすることができる。
ここで、先の図6における(3−1)の動作についての説明からも理解されるように、本例によっては、上記のように適正目標移動量L2によるスレッド移動誤差が最小であった場合に、視野を内周側に振ることでビームスポット19aをBCA内に位置させることができたが、この際、メカデッキや光学ヘッド19のシャーシの構造や光学視野範囲19bの設定、ディスクの偏芯等によっては、例えば視野を内周側に最大に振ったとしてもビームスポット19aをBCA内に位置させることができない場合も考えられる。
つまり、換言すれば、これまでに説明した実施の形態の動作は、このように目標移動量L2による移動誤差が最小であった場合に、少なくとも視野を内周側に最大に振った状態でビームスポット19aをBCA内に位置させることができる構造とされる場合であれば、これを好適に適用できるものである。そして、このような条件の下であれば、これまでに説明した本例の動作によって、確実にBCA内のデータを読み出すことができ、なお且つ確実に衝突防止機構を動作させないようにすることができる。
4.第2の実施の形態

続いては、本発明における第2の実施の形態としての記録再生装置1の動作について、次の図9を用いて説明する。
なお、この図9としても、先の図6の場合と同様に光学ヘッド19における光学視野範囲19bと、ディスク40上の各領域との位置関係を模式的に示している。
また、第2の実施の形態において、既に第1の実施の形態にて説明した部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図9において、先ず、図示する(1)の状態として、例えばBCA読み出し実行前に、光学ヘッド19(図中光学視野範囲19b)がディスク40上のレコーダブル領域内にあった場合を想定する。またこのとき、ビームスポット19aは例えば光学視野センターOCに位置していたものと仮定する。
第2の実施の形態の場合、システムコントローラ8においてBCA読み出し指示が検出されることに応じては、図中(2)の動作として示すように、ビームスポット19aを内周方向に変位させる。
このとき、フォーカスはオンとした状態でビームスポット19a(対物レンズ)を変位させる。また、このように(2)の動作として設定するビームスポット19a(対物レンズ)の変位量として、例えばビームスポット19aが光学視野範囲19bにおいて最内周側となる最大の視野振り量Eを設定するものとしている。
このように、フォーカスオン状態でビームスポット19aを最内周側に変位させると、(3)の動作として、光学ヘッド19の内周方向へのスレッド移動を開始させる。
ここで、上記(3)の動作として内周方向へのスレッド移動を開始させると、システムコントローラ8は、光学ヘッド19によるBCA内のデータの読み出しが検出されたか否かを判別する。つまり、図4にて示したRFアンプ21に得られるRF信号として、BCA内の記録データに対応する信号が得られたか否かを判別する。
例えばこの場合、システムコントローラ8は、BCAデコーダ31においてRF信号がBCA内のデータのフォーマットに従って適正に復調されたことに応じて、BCA内のデータが検出されたことを認識するようにされる。
そして、システムコントローラ8は、図中(4)として示すように光学ヘッド19によってBCA内のデータが読み出されたことが検出されたと判別した場合は、次の(5)の動作として、光学ヘッド19のスレッド移動を停止させ、BCA内のデータについての読み出しを行ってその情報内容を認識するようにされる。
上記のような第2の実施の形態の動作によれば、BCA内のデータの読み出しが検出された時点でスレッド移動が停止されるので、光学ヘッド19のシャーシを、BCAのデータの読み出しが可能となった位置で確実に停止させることが可能となる。つまり、これによれば光学ヘッド19のシャーシが最内周規制位置Iに接触する以前に停止させることが可能となり、これによって衝突防止機構を動作させないようにして、記録再生装置1の商品性低下の防止を図ることができる。
また、上記のようにビームスポット19a(対物レンズ)を内周側に最大に変位させた状態でスレッド移動を行い、BCA内のデータが検出された時点でスレッド移動を停止させるようにすることで、光学ヘッド19の停止位置を、例えば視野を振らずにスレッド移動を行う場合よりもさらも外周側とすることができる。
このように、光学ヘッド19の停止位置をより外周側とすることができれば、このときの光学ヘッド19のシャーシと最内周規制位置Iとの間隔はより多く得られるものとなるので、より確実に衝突防止機構を動作させないようにすることができる。
また、このように光学ヘッド19の停止位置をより外周側とすることができれば、その分、光学ヘッド19のシャーシのサイズ的なマージンを稼ぐことができる。そして、このように光学ヘッド19のサイズ的なマージンを稼ぐことができれば、光学ヘッド19を小型化する等して、光学的視野範囲19bがより内周側となるように構造を制限する必要がなくなり、このような制限に伴うコストアップの防止も図られる。
また、上記説明によれば、第2の実施の形態では、内周側に最大に変位されたビームスポット19aがBCA内のデータの読み出しが可能となる位置に至ったことに応じて、光学ヘッド19の移動を停止させることができるものである。
このことから、第2の実施の形態によれば、光学ヘッド19及びメカデッキ側の構造として、ビームスポット19aを光学視野範囲19bにおいて内周側に最大に変位させ且つ光学ヘッド19のシャーシを最内周規制位置I付近に位置させた状態において、ビームスポット19aがBCA内に位置するようにされていれば、衝突防止機構を動作させないようにしつつ、確実にBCA内のデータを読み出すことができる、というメリットがある。
なお、第2の実施の形態では、ビームスポット19a(対物レンズ)を内周側に最大に振った状態でスレッド移動を行うものとしたが、例えば光学ヘッド19やメカデッキの構造によっては、ビームスポット19aがBCA内のデータの読み出しが可能となるときの光学ヘッド19の位置と、最内周規制位置Iとの間に充分なスペースが得られる場合も考えられる。このようなことから、ビームスポット19aの変位量は必ずしも最大にする必要はなく、例えばこのような光学ヘッド19やメカデッキの構造に応じる等して任意の変位量が設定されればよい。
ここで、第2の実施の形態としては、以下のような変形例も可能である。
先ず、この変形例としては、メカデッキ側に対して、光学ヘッド19のシャーシが最内周規制位置Iに接触する付近に達した際にオンとなるインリミットスイッチを設けるようにしておく。そして、BCA読み出し指示に応じて、光学ヘッド19のスレッド移動を開始した後、このインリミットスイッチがオンとなった時点でスレッド移動を停止する。その上で、ビームスポット19aを内周方向に変位させて、BCA内のデータの読み出しを実行する。
このような変形例によっても、BCAアクセス時において衝突防止機構を動作させないようにすることができ、且つビームスポット19aを内周方向に変位させる分、光学ヘッド19のサイズ的なマージンを稼ぐことができる。
なお、これまでに説明してきた各実施の形態では、本発明の再生装置がMDに対応した構成に適用される場合を例に挙げたが、例えばCD、DVD(Digital Versatile Disc)等、他の光ディスク媒体に対応する構成に対しても本発明は好適に適用できる。
また、当然のことながら、本発明としては光ディスク媒体に対する再生のみが可能な再生専用機に対しても好適に適用できる。
また、各実施の形態では、光ディスク媒体の最内周領域がBCAとされる場合を例示したが、例えば光ディスク媒体の最内周に形成される、ノントラッキング方式によりデータが記録されたノントラッキング記録領域に対するアクセスであれば、本発明を好適に適用することができる。
さらに、このようなノントラッキング記録領域が光ディスク媒体の最外周側に形成される場合にも適用できる。
また、第1の実施の形態としてのBCAアクセス動作において、記録再生装置1に備えられる光学ヘッド19のシャーシやメカデッキの構造(サイズ)上、BCA内のデータが読出可能となるときの光学ヘッド19のシャーシ位置と、最内周規制位置Iとの間隔に充分に余裕がある場合には、スレッド移動誤差量が最小となった場合にビームスポット19bがBCA内に入らなくなること(図6(3−1)参照)は考慮する必要はなくなる。このような場合には、基準となる目標移動量L1として、必ずしも光学ヘッド19のシャーシが最内周規制位置Iと接触する位置までの移動量とする必要はない。
そして、このようにBCA内のデータが読出可能となるときの光学ヘッド19のシャーシ位置と最内周規制位置Iとの間隔に充分に余裕がある場合には、その分目標移動量の設定幅にも余裕ができるので、例えば予め設定した所定の固定値による目標移動量によってBCAへのアクセスが行われた場合にも、確実に衝突防止機構による異音の発生を防止できる可能性がある。このような場合には、第1の実施の形態の動作として、P−TOC又はP−TOPの所定アドレスへのアクセス後、予め設定された所定の固定値による目標移動量の設定によってBCAへのアクセスを行うようにしても、衝突防止機構による異音の発生を防止することができる。
また、このようなことを考慮すると、第1の実施の形態としては、図6、図7にて例示したように視野振り量D5、目標移動量L1、最大移動誤差量G等に基づき演算により適正目標移動量L2を設定する場合も、上記のように所定の固定値としての目標移動量を設定する場合も共に、衝突防止機構による異音の発生を防止できるものである。
なお、本発明の第1の構成において言う「所定の目標移動量」とは、このように所定の演算によって算出した目標移動量と、予め設定された所定の固定値としての目標移動量との双方を含むものである。
また、第1の実施の形態では、P−TOC又はP−TOP内の所定アドレスにトラックジャンプも併用してトラック単位により正確にアクセスするものとした。そして、これに応じ目標移動量L1としては、この所定アドレスからの固定の移動量(アドレスAA−アドレスBB)に基づいて設定することができた。
しかしながら第1の実施の形態において、BCAアクセス前の上記所定アドレスを目標としたアクセスは、例えばスレッド移動のみによるなど、必ずしもこの所定アドレスに正確にアクセスする必要はない。
例えば、このように上記所定アドレスへ正確なアクセスを行わないとした場合に対応しては、上記目標移動量L1としては固定値に基づくのではなく、このときアクセスされたアドレスから、光学ヘッド19が最内周規制位置Iと接触する位置のアドレス(先に説明したアドレスBB)までの移動量を逐次算出しこれに基づくものとすればよい。このようにすれば、上記所定アドレスにアクセスできなかった場合にもこのときアクセスされたアドレスからの正確な移動量を算出することが可能となるので、実施の形態の場合と同様に衝突防止機構による異音の発生を確実に防止できる。
また、先に述べたように光学ヘッド19のシャーシやメカデッキの構造上、BCA内のデータが読出可能となるときの光学ヘッド19のシャーシ位置と最内周規制位置Iとの間隔に充分に余裕がある場合等では、上記のように所定アドレスに正確にアクセスしないとした場合にも、例えばそのアクセス誤差等を考慮して予め設定した所定の固定値による目標移動量に基づくことで、異音の発生を確実に防止できることになる。
本発明の実施の形態の記録再生装置のブロック図である。 実施の形態の記録再生装置が対応するディスクの説明図である。 実施の形態の記録再生装置が対応するディスクの説明図である。 実施の形態の記録再生装置のストレージ部のブロック図である。 光学ヘッドとディスクに形成される各領域との位置関係を模式的に示した図である。 第1の実施の形態の記録再生装置の動作について説明するための図である。 第1の実施の形態の記録再生装置のBCAアクセス時に設定されるべき目標移動量について説明するための図である。 第1の実施の形態としての動作を実現するための処理動作について例示するフローチャートである。 第2の実施の形態の記録再生装置の動作について説明するための図である。
符号の説明
1 記録再生装置、2 ストレージ部、3 キャッシュメモリ、4 USBインタフェース、5 入出力処理部、6 表示部、7 操作部、8 システムコントローラ、8a ROM、8b RAM、9 キャッシュ管理メモリ、19 光学ヘッド、19a ビームスポット、19b 光学視野範囲、

Claims (9)

  1. ノントラッキング方式によりデータが記録されるノントラッキング記録領域とトラッキング方式によりデータの記録されるトラッキング記録領域とが形成された光ディスク媒体からデータを再生する再生装置であって、
    対物レンズを少なくともトラッキング方向に変位可能に保持すると共に、この対物レンズを介してレーザ光を照射することによって上記光ディスク媒体に対するデータの読み出しが可能に構成された光学ヘッド手段と、
    上記光学ヘッド手段を上記トラッキング方向に移送するスレッド手段と、
    上記ノントラッキング記録領域についての読み出し指示に基づいて上記光学ヘッド手段を上記ノントラッキング記録領域に隣接するトラッキング記録領域の所定アドレスを目標として移送させると共に、上記所定アドレスを目標とした移送の完了後に、上記光学ヘッド手段が所定の目標移動量に基づいて上記スレッド手段により移送されるように制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする再生装置。
  2. 上記ノントラッキング記録領域は、上記光ディスク媒体における最内周領域又は最外周領域とされることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
  3. 上記ノントラッキング記録領域には、上記光ディスク媒体の円周方向に沿って形成されたバーコードによりデータが記録されることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
  4. 上記制御手段は、
    上記光学ヘッド手段における上記対物レンズを上記光ディスク媒体において上記ノントラッキング記録領域が形成される方向に変位させた状態で、上記光学ヘッド手段による上記ノントラッキング記録領域についての読み出しを実行させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
  5. 上記目標移動量は、少なくとも
    上記光学ヘッド手段の、上記所定アドレスを目標とした移送の完了時の位置から上記スレッド手段により移送可能な最内周位置又は最外周位置への移動量としての基準移動量と、この基準移動量に基づいて上記スレッド手段よる移送が行われるときに想定される最大移送誤差量とを用いて設定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
  6. ノントラッキング方式によりデータが記録されるノントラッキング記録領域とトラッキング方式によりデータの記録されるトラッキング記録領域とが形成された光ディスク媒体からデータを再生する再生装置であって、
    対物レンズを少なくともトラッキング方向に変位可能に保持すると共に、この対物レンズを介してレーザ光を照射することによって上記光ディスク媒体に対するデータの読み出しが可能に構成された光学ヘッド手段と、
    上記光学ヘッド手段を上記トラッキング方向に移送するスレッド手段と、
    上記光学ヘッド手段から出力される信号から上記ノントラッキング記録領域に記録されているデータを検出するノントラッキングデータ検出手段と、
    上記ノントラッキング記録領域についての読み出し指示に基づき、上記光ディスク媒体に形成されるトラックに上記レーザ光を合焦させた状態で上記光学ヘッド手段が上記ノントラッキング記録領域方向へ移送させるように上記スレッド手段を制御すると共に、上記ノントラッキングデータ検出手段によって上記ノントラッキング記録領域に記録されているデータが検出されることに応じて、上記スレッド手段による上記光学ヘッド手段の移送を停止させる制御手段と、
    を備えることを特徴とする再生装置。
  7. 上記制御手段は、
    上記読み出し指示に基づき、上記対物レンズを上記ノントラッキング記録領域方向に変位させた状態で、上記スレッド手段による上記光学ヘッド手段の移送を開始させる、
    ことを特徴とする請求項6に記載の再生装置。
  8. ノントラッキング方式によりデータが記録されるノントラッキング記録領域とトラッキング方式によりデータの記録されるトラッキング記録領域とが形成された光ディスク媒体における、上記ノントラッキング記録領域についての読み出し指示に基づき、光学ヘッドが上記ノントラッキング記録領域に隣接する上記トラッキング記録領域の所定アドレスを目標として移送されるように制御を行う第1の制御手順と、
    上記第1の制御手順による上記所定アドレスを目標とした移送が完了した後に、上記光学ヘッドが所定の目標移動量に基づいて移送されるように制御を行う第2の制御手順と、
    を実行することを特徴とするアクセス方法。
  9. ノントラッキング方式によりデータが記録されるノントラッキング記録領域とトラッキング方式によりデータの記録されるトラッキング記録領域とが形成された光ディスク媒体における、上記ノントラッキング記録領域についての読み出し指示に基づき、光学ヘッドが、上記光ディスク媒体に形成されるトラックにレーザ光を合焦させた状態で上記ノントラッキング記録領域方向へスレッド移送されるように制御を行う第1の制御手順と、
    上記第1の制御手順によって移送される上記光学ヘッドより出力される信号から、上記ノントラッキング記録領域に記録されているデータが検出されることに応じて、上記光学ヘッドのスレッド移送が停止されるように制御を行う第2の制御手順と、
    を実行することを特徴とするアクセス方法。
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